平成21(わ)2036 郵便法違反,虚偽有印公文書作成,同行使被告事件

裁判年月日・裁判所
平成22年4月27日 大阪地方裁判所
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判決文本文41,424 文字)

主文 被告人を罰金540万円に処する。 その罰金を完納することができないときは,金2万5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 本件公訴事実中,平成21年7月4日付け起訴状記載の公訴事実(第2)の虚偽有印公文書作成,同行使の点については,被告人は無罪。 理由 (罪となるべき事実)【省略,郵便法違反の事実】(証拠の標目)【省略】(判示事実認定についての補足説明)【省略,郵便法違反の事実に関するもの】(虚偽有印公文書作成,同行使の点について無罪とした理由)第1本件公訴事実の要旨及び争点 平成21年7月4日付け起訴状公訴事実(前文及び第2。なお,第1については,Bのみが起訴され,被告人は起訴されていない。)の要旨は,「被告人は,自称福祉事業支援組織「b」の会長であったものであるが,厚生労働省(以下,「厚労省」という。)社会・援護局障害保健福祉部企画課(以下,「企画課」という。)長であり,心身障害者団体用低料第三種郵便物(以下,「低料第三種郵便物」ともいう。)を利用することのできる団体であることなどを認定する証明書(以下,「公的証明書」などという。)の発行の職務に従事していたC,同課社会参加推進室社会参加係長B及び「b」の発起人Dと共謀の上,行使の目的で,ほしいままに,真実は,「b」は心身障害者団体としての実体がなく,内国郵便約款料金表に規定する心身障害者団体ではなく,同会の発行する定期刊行物「m」は心身障害者の福祉の増進を図ることを目的と せず,郵便料金を不正に免れることを目的としたものであり,かつ,Cが平成16年5月28日に「b」に対して上記証明書を発行した事実もないのに,「b」が同約款料金表に規定する心身障害者団体で,「m」が心身障害者の福祉の増進を図ることを目的とするものであり,同課長が同日に「b 6年5月28日に「b」に対して上記証明書を発行した事実もないのに,「b」が同約款料金表に規定する心身障害者団体で,「m」が心身障害者の福祉の増進を図ることを目的とするものであり,同課長が同日に「b」に対して上記証明書を発行したかのように装うため,Cが,その職務に関し,同年6月上旬ころ,企画課において,Bをして,あて先を「b」,証明内容を「上記団体は,国内郵便約款料金表に規定する心身障害者団体であり,当該団体の発行する『m』は心身障害者の福祉の増進を図ることを目的としているものであると認めます。」,作成日付を「平成16年5月28日」,同課における文書番号をその作成日付に対応した「障企発第0528001号」,作成名義人を「厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長」とそれぞれ記載した書面を作成・印刷させた上,同課長名下に「厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長之印」と刻した角印を押捺させ,もって,厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長作成名義の内容虚偽の有印公文書1通を作成した上,Dらが,同年6月10日ころ,東京都中央区▲●丁目●番●号所在のo郵便局郵便窓口課申請事務センターにおいて,同センター総務主任Eに対し,上記証明書の内容が真実であるかのように装って提出して行使した。」というものであり,検察官は,被告人に虚偽有印公文書作成,同行使罪が成立すると主張する。 これに対し,弁護人は,被告人に,虚偽有印公文書作成,同行使の故意,共謀はなく,被告人には虚偽有印公文書作成,同行使罪は成立しないと主張する。 したがって,本件の争点は,本件公訴事実について,被告人に,虚偽有印公文書作成,同行使についての故意,共謀が認められるか否かである。 被告人の捜査段階の供述調書には,被告人は,本件公的証明書の発行名義人であり,かつその発行権 公訴事実について,被告人に,虚偽有印公文書作成,同行使についての故意,共謀が認められるか否かである。 被告人の捜査段階の供述調書には,被告人は,本件公的証明書の発行名義人であり,かつその発行権限を有していたCが「b」の実体がないことを把握し ながら上記公的証明書を発行することを了承し,それによって上記公的証明書が作成されたことを認識していたことなどを含め,虚偽有印公文書作成,同行使についての故意,共謀を認める内容が記載されている。これに対し,弁護人はその信用性を争っており,被告人は,公判でそのような事実を否定し,故意,共謀はなかった旨供述する。 そこで,以下では,まず,証拠によって認められる事実を検討した上で,争点について検討する。 第2証拠上認定できる事実以下の事実は,当事者間にもほぼ争いがなく,関係証拠【省略】から認定することができる。 なお,被告人は,自らが直接関与していない厚労省内部のやりとりは知らなかった旨供述するが,検察官請求の厚労省関係者の検察官調書をすべて同意し取調べがなされている。しかし,厚労省関係者の検察官調書の記載と被告人の公判供述との内容は,実質的には齟齬,矛盾しているとみられる点がある。そこで,被告人が直接関与していない厚労省内部のやりとりについては,被告人の公判供述と実質的に齟齬,矛盾がみられない内容の厚労省関係者の言動を,ここでは,当事者間に争いのない事実として考慮することにする。 心身障害者用低料第三種郵便物制度について【省略】 厚労省内部における証明書の発行手続【省略】 特定非営利活動法人p協会(以下,「p協会」という。)について【省略】 被告人の経歴,Dとの交際状況等【省略】 「b」設立と被告人の関与 【省略】 2月中旬から2月20日ころの状況【省略】 被告 p協会(以下,「p協会」という。)について【省略】 被告人の経歴,Dとの交際状況等【省略】 「b」設立と被告人の関与 【省略】 2月中旬から2月20日ころの状況【省略】 被告人のF事務所訪問(1)被告人は,2月下旬ころ,Jとともに,F事務所を訪問してFと面談し,Fに,被告人らが「b」という心身障害者を支援する団体を設立したこと及びその活動に関して厚労省から「b」が心身障害者団体である旨の証明書を発行してもらう必要があることを説明した上,厚労省から証明書を発行してもらう際に,Fから厚労省に口添え願えないか依頼した。(この事実に関連して,被告人が本件当時使用していた手帳の2月25日の欄に「13: FsJ氏」との記載がある。)(2)被告人の依頼に対し,Fは,厚労省の知っている幹部に電話をしておく旨答えた。 Fから厚労省への連絡など(1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長Mは,かねて面識のあったFから電話を受けた。その際,MはFから「うちの事務所のA(以下,被告人の姓を示すものとする。)が『b』という障害者団体を作った。その会で,障害3種の定期刊行物を出したらしい。そのために必要な障害者団体の認定証明書を厚生労働省から出してもらいたい。Aをそちらに行かせるから,協力してやってくれ。」と言われ,Mは,これを了承した。 (2)Mは,電話を受けた当日,Cを自室に呼び,同人に対し,Fから前記依頼を受けた旨を告げ,Cは,これを了解した。 (3)Cは,企画課長補佐Nに対し,被告人の名前を挙げた上で,被告人が低料第三種郵便物制度を使いたいと考えており,被告人が訪ねて来るので,対応するよう述べた。 (4)Nは,社会参加係長Lに対し,低料第三種郵便物制度を利用する関係で Fの秘書である被告人が厚労省を訪ねてくる 郵便物制度を使いたいと考えており,被告人が訪ねて来るので,対応するよう述べた。 (4)Nは,社会参加係長Lに対し,低料第三種郵便物制度を利用する関係で Fの秘書である被告人が厚労省を訪ねてくるので,その際に公的証明書の発行に関しての事務手続を説明するよう述べた。 被告人の厚労省訪問(1)被告人は,Fを尋ねた後,企画課を訪れた。 (2)被告人は,その際,Cと挨拶をした(その際の被告人とC,Lらとのやりとりについては争いがある。)。 (3)被告人は,その際,L,社会参加推進室長補佐Oと面談し,F事務所の者であると名乗った。そして,Lと名刺交換をした上,Lから,公的証明書の発行手続や審査に必要な書類,資料等についての説明を受けた。さらに,「b」の設立時期やどのような活動をしていこうとしているのか問われたことから,被告人は,昨年(平成15年)の秋ころに設立した旨及び障害者の支援のための活動をしていこうと考えている旨答えた。そして,被告人は,Lから,「b」の活動実態が分かるような資料を提出するように求められた。 (4)被告人は,その際,あるいはその後,Lから,p協会を訪ねるように言われた。 「b」とp協会との交渉(1)被告人は,Lから言われたことをDに伝えた上,Dに対し,p協会にまず書面を提出して承認を得たものを厚労省に出すと認可が出るので,Dの方で申請してほしい旨話した。 (2)2月26日,Jは,p協会に電話した。p協会の方は,会則,会報見本,会員の内容が分かる資料を持参するように伝えた。 その後,D及びJは,2月下旬ころ,定期刊行物「m」第1号(一面にP衆議院議員のインタビューが掲載されたもの。),「b」規約,名簿等を持ってp協会の事務所を訪ね,p協会の事務局長であったQと面談し,p協会に「b」を加盟させてもら ,定期刊行物「m」第1号(一面にP衆議院議員のインタビューが掲載されたもの。),「b」規約,名簿等を持ってp協会の事務所を訪ね,p協会の事務局長であったQと面談し,p協会に「b」を加盟させてもらえるよう申し入れた。 (3)その際,Jは,Qに対し,有限会社s取締役会長名義の自己の名刺を渡すとともに,「m」について,Fから厚労省の担当者に電話で連絡をしてもらっていること等を説明した。 (4)Qは,「m」第1号や名簿等を見ると共に,D及びJの説明を聞き,「b」が,営利目的等でp協会に加盟して,低料第三種郵便物制度を悪用しようとしているのではないかとの危惧感を抱いた。そこで,D及びJに対し,低料第三種郵便物制度を利用できる団体は障害者が主たる構成員である必要があることや,営利目的や売名目的で同制度を利用することはできないことを告げた上,p協会の目的,加盟要件,同制度を利用するための手続の流れなどが記載された「p協会のしおり」を渡し,これに記載されていることによく注意を払うよう言った。 (5)そのような指摘を受けたD及びJは,3月12日ころ,p協会に対し,Qから上記指摘を受け,その指摘後,障害を持った人の中から主要メンバーとして名前を連ねてもらえる人の承諾を受け,「b」の名簿を作り直した旨を記載した書面及び作り直した名簿を送付した。 (6)他方,Qは,前記の危惧感を抱いたことから,「b」が,厚労省からの公的証明書を得られるか事前にその感触を得ようと考え,Lに電話をした。 その電話を受け折り返し,3月26日,LからQに電話が入り,その際,Qは,D及びJからの申請の内容等についてLに伝えた。 (7)被告人は,3月29日ころ,Dから電話で連絡を受け,その際,被告人の手帳の3月29日の欄に「8円〒NG」と記載した(被告人は,検察官調書で「D D及びJからの申請の内容等についてLに伝えた。 (7)被告人は,3月29日ころ,Dから電話で連絡を受け,その際,被告人の手帳の3月29日の欄に「8円〒NG」と記載した(被告人は,検察官調書で「Dからp協会の審査が難航していることを聞いてそう記載した。」と供述する。)。その際,Dは,被告人に新たな依頼などはしなかった。 (8)Qは,前記の危惧感を抱いていたことから,「b」に対し,「m」が営利目的や売名目的のものであると認められたときは,p協会からの発行を拒絶されても異議はない旨を記載した念書の提出を要求し,それに応じて,3 月29日ころ,「b」からp協会に対し,その旨記載された念書が提出された。 同日,Qは,Lに電話をし,「b」から念書が提出されたことを伝えた。 4月上旬から中旬の状況(1)Bは,4月1日付けで社会参加推進室社会参加係長となり,同日,Lから業務の引き継ぎを受けた。その際,Lは,Bに対し,口頭で,FからMに口利きのあった案件として,「b」に対し公的証明書を発行する案件が存在していること,「b」は実体の疑わしい団体であるものの,国会議員からの口利きを受けた案件であることから,早急に対処するように述べた。 (2)Qは,「b」のp協会への加盟を拒否すべきかどうかを悩んだが,規約等からは心身障害者団体と見えること,念書を提出したこと,営利目的,売名目的と断定できるだけの資料もなかったこと,障害者手帳の写しも提出されたことなどから,理事長のRと相談し,最終的には,加盟を承認することとした。そこで,「b」に連絡し,「加盟申込書」を提出するよう言った。 4月8日,「b」からp協会に対し,加盟申込書が提出された。同書面には会員数18名,発行回数年24回,発行予定概要毎月1日,15日などの記載がある。 その後,同月14日ころ,p 提出するよう言った。 4月8日,「b」からp協会に対し,加盟申込書が提出された。同書面には会員数18名,発行回数年24回,発行予定概要毎月1日,15日などの記載がある。 その後,同月14日ころ,p協会から「b」に対し,p協会から行政当局にあてた,「b」をp協会に加盟することを認め,公的証明書の発行を求める旨の記載がある証明書交付願が送付された。その送付の際に同封した「b」あての書面には,「この証明書交付願に,最近発行した刊行物,会則,会員名簿を添付して,証明書の交付を関係行政機関の窓口に申請します。」との記載がある。なお,Qは,「b」に対する不信感をぬぐい去ることができなかったことから,この書面に,手書きで,「念書に記載された内容を十分守って運営されんことを要請します。」と記載した。 (3)4月19日ころ,「b」から,o郵便局に対し,「p協会から4 月14日付けでp協会の認定書が送られ,4月20日に被告人が厚労省に証明書の交付願いを申請することになった。厚労省より証明書が交付され次第,持参,報告する。」との内容の,4月19日付けの文書が送付された。この文書は,Dが手書きで作成したものをJがパソコンで作成したものであった。 (4)雑誌「t平成16年4月11日号」には,「郵政公社も大困惑DMを8円で送る人たち」という表題で,財団法人u協会発行の機関誌である「v」に,保険会社のダイレクトメールが大量に同封されて郵送されたということについて低料第三種郵便物制度について問題提起した記事が掲載されている。同誌発売当時,被告人はこれを購入して読み,「b」でやろうとしていることは,これと同様のことであると思った。そこで,Dに同誌を示して,大丈夫なのか尋ねた。 (5)なお,4月中に,Dは,p協会の担当者から,「b」は「m」を月3回 て読み,「b」でやろうとしていることは,これと同様のことであると思った。そこで,Dに同誌を示して,大丈夫なのか尋ねた。 (5)なお,4月中に,Dは,p協会の担当者から,「b」は「m」を月3回発行することから,公的証明書発行手続上はp協会に加盟しなくともよいことを知らされた。 4月中旬から5月中旬の状況(1)4月中旬ころから下旬ころにかけて,「b」から,Bに対し,公的証明書を発行するよう催促する内容の電話がかけられた。さらに,Dは,4月下旬ころ,Bに直接の面談を持ちかけ,厚労省地下1階で待ち合わせをした後,喫茶室でBと面談し,公的証明書の発行を依頼した。 (2)Dは,5月中旬ころ,Bに対し,電話で,公的証明書の発行を催促したところ,Bの返答が,未だ決裁の手続には至っていないというものであったことから,Dは,Bに対し,厚労省内部で公的証明書の発行に関する決裁が進んでいるという書面を発行するよう要請した。そのころ,Hは,Dの指示で,Bに電話し,証明書の件がどうなっているのか尋ねたところ,Bは,「取り急ぎ,稟議に回っていることが分かる資料を送る。」と答えた。 (3)5月中旬ころ,Bは,Oから,「b」の案件の進捗状況を訪ねられたことから,「b」から発行申請も審査資料も提出されておらず,形だけであっても決裁に上げることができない旨報告した。その報告を受けて,Oが,Cに対し,Bの報告の内容を伝えると,Cは,Oに対し,もう少し調整を進めるよう話した。そこでOは,Bに対し,手続を進めるよう話した。 (4)Bは,5月中旬ころ,「『b』に係る低料第三種郵便物の許可申請手続については,近日中に滞りなく進めることになっております。」とのB名義の書面と「b」に係る証明書の発行についての決裁手続が途中まで進んでいるように装った内容虚偽の 係る低料第三種郵便物の許可申請手続については,近日中に滞りなく進めることになっております。」とのB名義の書面と「b」に係る証明書の発行についての決裁手続が途中まで進んでいるように装った内容虚偽の書面(以前適式になされていた稟議書面の写しを利用し,社会参加推進室の室長,補佐の印影写しのあるもの。)を作成した上,これらを「b」にファックス送信した。この作成,送信について,Bは,他の厚労省職員に相談しなかった。 (5)Dらは,これらの書面のファクシミリの印字部分を映らないようにコピーするなどした上,5月中旬ころ,そのコピーをp協会に郵送して,電話で厚労省との折衝の進捗状況を報告した。 (6)被告人は,5月11日ころ,Dから,「Cに頼んで郵政公社の方に連絡してもらい,『近々厚労省から公的証明書が発行される』あるいは『厚労省での公的証明の審査も通っている』と日本郵政公社に伝えて欲しい。」と要請され,これを了承した。その際,被告人の手帳の5月11日の欄に「12:00~13:00Mr.Ningyocho(厚労省→直接〒でOKのように)」と,記載した(Mr.Ningyochoとは,Dを意味するものであった。)。 (7)被告人は,その当日か遅くとも数日以内に,Cにその旨依頼するために,企画課の執務室まで赴いた(被告人がCに,上記要請をし,Cがこれに応じ,被告人の前面で郵政公社のエス(以下,Sと,姓が同音のものを,「エス」と表記する。)に電話したか否かに争いがある。)。 (8)その数日後,被告人は,Dに,企画課に行き,頼んできた旨報告した。 (9)Dの知人が経営するw専門学校と「b」との間には,同学校の広告を「m」に掲載し,広告料を支払うという話があり,同校側は,入学式の写真を使った広告を考えているので,遅くとも6月末までには,郵送してほし Dの知人が経営するw専門学校と「b」との間には,同学校の広告を「m」に掲載し,広告料を支払うという話があり,同校側は,入学式の写真を使った広告を考えているので,遅くとも6月末までには,郵送してほしいとHらに伝えていた。そして,5月24日付けで,s名義で同校に対し「6/4発送DM制作・発送費一式」として,合計137万9611円(発送部数約2万2000部)の請求書が発行された。 「m」の第三種郵便物の承認など(1)5月31日付で,「b」の発行する「m」が第三種郵便物として承認され,日本郵政公社l支社長S名義の承認書が6月4日(金曜)にo郵便局において,「m」の発行人とされていたJに対し交付された。 (2)その後の6月5日ころ(ただし,同日は土曜日であり,7日(月曜)の可能性もある。),Hは,売りさばき人証明書,第三種郵便物の承認書,「m」の見本などを持って,o郵便局に赴き,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をなした。 そこで,o郵便局郵便窓口課の担当者(申請事務センター主任)Eは,受け取った書類を基に起案して課長に提出した。しかし,6月8日ころ,課長から,Eに,o郵便局(「b」の定期刊行物差出郵便局とされている。)で差し出す場合には心身障害者用低料第三種郵便物としての差出請求は不要であること,売りさばき人証明が添付されていたが,心身障害者団体差し出しのものは売りさばき人が差出人となることはあり得ないという指摘がなされ,起案文書を差し戻された。そこで,Eは調べ直したところ,o郵便局で差し出す場合には心身障害者用低料第三種郵便物としての差出請求は不要であり,他局(定期刊行物提出局以外の郵便局)で,心身障害者用低料第三種郵便物として差し出す場合には,第三種郵便物認可刊行物が,内国郵便約款料金表に規定する 用低料第三種郵便物としての差出請求は不要であり,他局(定期刊行物提出局以外の郵便局)で,心身障害者用低料第三種郵便物として差し出す場合には,第三種郵便物認可刊行物が,内国郵便約款料金表に規定する心身障害者団体が心身障害者の福祉を図ることを目的として発行されるものであることを証明する旨の当該支社発行の証明書が必要と されていること,支社発行の証明書を発行するためには,証明書発行願と共に,公的証明書を提出する必要があることを認識した。 そこで,Eは,日本郵政公社l支社に問い合わせたところ,同支社では,「m」については,第三種郵便物としての請求があっただけで,心身障害者団体が発行する第三種郵便物としての請求としては把握されていないとの回答を受けた。このため,Eは,「b」に対し,「m」の差出承認請求の際に提出された書類に,支社が発行する「b」が心身障害者団体であることを証明する書類がないので,心身障害者団体用の低料第三種郵便物としての承認は出せない,支社が発行する証明書を手に入れるためには,「b」が心身障害者団体であることを公的に証明する厚労省の証明書の原本の提出が必要であることを伝えた。 (3)6月10日,Hは,l支社あての「b」が心身障害者団体であり,「m」が心身障害者の福祉を図ることを目的として発行されるものであることを証明する旨の証明書発行願をo郵便局に提出した。証明書発行願には,本件公的証明書とp協会発行の交付願が添付資料として付けられていた。その後,同局の担当者は,これらを日本郵政公社l支社へ回付した。 本件公的証明書の作成交付など(1)他方,Dは,被告人に対し,5月中の日付で公的証明書を発行してもらうようCに要請するように依頼し,被告人はこれを了承する旨の返事をした(その時期,及び,その後に被告人がCに,実際にそ 付など(1)他方,Dは,被告人に対し,5月中の日付で公的証明書を発行してもらうようCに要請するように依頼し,被告人はこれを了承する旨の返事をした(その時期,及び,その後に被告人がCに,実際にそのような要請をしたか否かについては争いがある。)。 (2)Dは,厚労省に電話をかけ,Bに対し,広告主が決まっているため心身障害者用低料第三種郵便物として発送できなければ大きな損失になることなどを伝えた上で,作成日付を5月中にした公的証明書を発行するように要請した。 (3)Bは,6月上旬ころまでに,本件公的証明書を作成したが,本件公的証 明書に関して「b」から,厚労省に対して,証明書の発行を願い出る旨の内容の書面も審査に必要な資料も提出されておらず,Bが作成する際,本件公的証明書の発行に関して,決裁の原議が起案され,実際に前記決裁権者の各決裁が行われたという事実も,その後本件公的証明書の発番号が取得された事実もなかった。 (4)被告人は,6月上旬ころまでに,Dに言われ,厚労省に赴き,Cから本件公的証明書を渡された。このことについて,被告人の手帳には記載がない。 その後の経緯日本郵政公社l支社長S名義で,6月21日付け証明書が発行され,「b」は,同月24日ころ,o郵便局の担当者を通じて,同証明書の交付を受けた。 w専門学校の広告が掲載された「m」が郵送された。そして,同校からsの口座に6月14日に61万7814円,6月30日に55万1797円の合計116万9611円が送金されたが,Hは,これをsの運営費等に支出し,被告人に直接利益が分配されることはなかった。 第3争いのある事実についての判断次に,本件において,争いのある事実のうち,被告人の故意,共謀の認定に関わる主要な争点について検討する。 本件において,争いのある事実のうち, れることはなかった。 第3争いのある事実についての判断次に,本件において,争いのある事実のうち,被告人の故意,共謀の認定に関わる主要な争点について検討する。 本件において,争いのある事実のうち,被告人の故意,共謀の認定に関わる事実は,①被告人が,平成16年2月下旬ころ,厚労省において,Cとの間で交わした会話がどのようなものであったか,②被告人が,5月中旬ころ,Cに対し,Cから郵政公社に電話をして,厚労省での審査が終了し,近々公的証明書が発行される旨伝えてもらうよう要請し,Cがこれに応じ,郵政公社に電話をしたのか否か,③被告人が,6月上旬ころ,Cに対して,5月中の日付で公的証明書を早急に発行してもらうよう要請し,Cがこれを了承したのか否か,である(以下,これらの事実を「争いのある事実①」等として引用する。)。 以下,これらの事実の存否について,それぞれ検討する。 争いのある事実①(2月下旬の厚労省での言動)(1)争点の内容ア検察官の主張等被告人の検察官調書(平成21年6月5日付け,乙14)には,次のような記載があり,検察官は,このような事実があったと主張する。 一「2月25日,私は,厚労省を1人で訪ね,Fから厚労省の幹部に対して口利きがあり,その話が,当該幹部から本件公的証明書発行の担当部署である企画課に下りてきているはずであったので,まず,担当部署のトップである企画課長のCを訪ねた。」二「Cに,挨拶すると共に,公的証明書の発行について特別の便宜供与を要請した。私は,Cに,『衆議院議員F事務所(被告人の氏名)』の名刺を渡しながら,『衆議院議員のF事務所のAと申します。このたび,私が会長を務める“b”について公的証明の発行をお願いすることとなりました。よろしくお願いします。』などと言って挨拶をした。」三「Cから,『b がら,『衆議院議員のF事務所のAと申します。このたび,私が会長を務める“b”について公的証明の発行をお願いすることとなりました。よろしくお願いします。』などと言って挨拶をした。」三「Cから,『b』の活動について聞かれ,『去年の秋ころに立ち上げたばかりで,今のところこれといった活動はやっておりません。“b”の新聞に広告を募集して資金集めをし,将来的にはその資金で障害者の方の支援をやっていこうと考えているところです。発起人の中には障害者はおりません。』などと言った。Cは,『“b”は,障害者の団体ではなくて,障害をお持ちの方を支援する活動をしていこうという団体なわけですね。それは困ったなぁ。まあ,何とかしましょう。』などと言った。」四「その後,私はMにあいさつをした。その後,私は,Lらから,公的証明に関する手続の流れや必要資料などの説明を受けた。Lから名刺をもらい,自宅に保管していた。」 そして,Lの検察官調書(甲144)には,「Nから呼ばれ,T,Oと3人で企画課の部屋に行くとCの席近くにAがいて,CからAを紹介され,その後,Aに手続の流れなどを話した。」との記載があり,Oの検察官調書(甲150)にも同旨の記載があり,Nの検察官調書(甲149)には,「Cから,Fの秘書のAが低料第三種郵便物のことで来るらしいと言われた。その後,AがCを訪ねてきたので,私は,T,O,LをCの席に呼んだ。」との記載があり,また,Mの検察官調書(甲147)には,「Fからの電話に対し,私は,『うちで企画課長を務めているCという者が担当になります。私から,彼女に対して,担当部署に対応させますので,Aさんという方には,ひとまず,C課長を訪ねるようお伝えください。』などと答えた。Fは,私に対し,『Aには,そう伝えておくから。』などと言った。」との記載がある。 して,担当部署に対応させますので,Aさんという方には,ひとまず,C課長を訪ねるようお伝えください。』などと答えた。Fは,私に対し,『Aには,そう伝えておくから。』などと言った。」との記載がある。 これらは,被告人の検察官調書の供述に整合する。 イ弁護人の主張等これに対し,被告人は,公判で,「私は,同月25日,厚労省を訪れ,まずLに挨拶をし,Lから,公的証明書の発行手続や審査に必要な書類,資料等についての説明を受けた。その後,Lから,『課長にも挨拶されますか。』と聞かれたことから,課長席のところに行き,Cと挨拶をした。 その際,公的証明書の発行に関するやりとりはなかった。」と供述し,弁護人はこれを前提にして,当日,被告人が,Cに対して,直接に特別の便宜供与を要請した事実と,これに関連して,企画課を訪れた際に面談した人物及びその順番を争っている。 ウそこで,この点について検討する。 (2)検討ア供述一(挨拶の順番)について(ア)被告人の手帳の記載との関係 前記認定事実及び関係証拠によれば,被告人は,Dから,本件公的証明書の担当者が,「L氏」であると告げられており,それをわざわざ被告人の手帳の2月23日から始まる週のメモ欄に記載していること,同メモ欄に,当該記載の下に,青のボールペンで,当該記載から矢印が引かれた上,社会参加係の内線番号や執務室の階数と一致する記載がなされていること,同手帳の2月25日の欄にも「16:00厚労省援局障保福部企課社会参加推進室L係長」と記載されていること(被告人は,この点について,スケジュールとして記載したものであると公判で述べている。),同記載とメモ欄の「16時」の記載の時刻とが一致していることが認められる。 これらの事実によれば,被告人が,少なくとも,Lを訪ねるよう予定を立てていたも て記載したものであると公判で述べている。),同記載とメモ欄の「16時」の記載の時刻とが一致していることが認められる。 これらの事実によれば,被告人が,少なくとも,Lを訪ねるよう予定を立てていたものと認められる(手帳に時刻まで記載されていることに照らすと,企画課を訪れる前にLと連絡を取り,同日同時刻にLと会うようアポイントメントを取った可能性が高いとみられる。)。 被告人の公判供述は,これらの手帳の記載に整合するのに対し,Lでなく,まずCを訪ねたという被告人の捜査段階及び前記4名の供述は,この点と整合しない。 また,Mの検察官調書のように,MがFにCを尋ねるように伝え,Fが被告人にそう伝えると言って,Fから被告人にその旨伝えられたのであれば,被告人の手帳にその旨の記載(Cの名前など)が全くないのも不自然である。 (イ)Cの名刺が被告人宅等から発見されなかったことについて関係証拠によれば,今回の事件で被告人の関係する場所を捜索して,被告人が保管していたかなり大量の名刺が発見されているところ,その中にLの名刺はあったものの,Lより地位が上で本件公的証明書の発行者であるCの名刺は存在しなかったことが認められる。被告人が両名の 名刺を取得していれば,Lの名刺のみ保存し,Cの名刺を廃棄することは考えがたい(また,Cの名刺のみを他に譲渡するような必要性も窺われない。)から,被告人は,当日,Lと名刺交換したが,Cとは名刺交換していなかったことを推認させる(この点について,被告人は,公判で,「L係長とは名刺交換をした。C課長とあいさつをしたのに名刺交換をしなかったのは,私は当時,F先生の秘書ではなく,選挙のときに使ったF事務所,Aという名刺があったので,それを1枚しか持っておらず,それをLに渡したからである。」旨供述している。)。 被告人が初 換をしなかったのは,私は当時,F先生の秘書ではなく,選挙のときに使ったF事務所,Aという名刺があったので,それを1枚しか持っておらず,それをLに渡したからである。」旨供述している。)。 被告人が初めにLと挨拶をしたとの被告人の公判供述はこれらの事実に符合する。他方,検察官調書のように,被告人がまず,担当部署のトップである企画課長のCを訪ね,挨拶すると共に,公的証明書の発行について特別の便宜供与を要請したというのであれば,何故,Cの名刺を所持していなかったのか疑問が残る。 (ウ)担当部署のトップがC課長であることの認識などについて前記検察官調書の記載一には「まず,担当部署のトップである企画課長のCを訪ねた。」との記載がある。 しかし,Ⅰ関係証拠には,被告人は,本件以前に,公的証明書を見たことや,公的証明書の発行手続に関与した経験があったことを窺わせるものはない。Ⅱ被告人の手帳には,「厚労省援局障保福部企課社会参加推進室L係長」(2月25日欄),「厚労省社会・援護局障害保健福祉部社会参加推進室推進係L氏」(2月23日から始まる週のページの右下のメモ欄)との記載があり,この記載からは,担当部署のトップが「社会・援護局」局長なのか,「障害保健福祉部」部長なのか,「企画課」課長なのか,「社会参加推進室」室長なのか,「推進係」係長なのかは明らかではない。ⅢMの供述調書には,担当者がCであることをFに告げたとある。しかし,被告人の検察官調書には,Fからその旨 聞いたとの記載はなく,また,Fからの口利きを認めた後の時点で,このような点について虚偽の供述をなすような事情は認められない。よって,その内容が被告人に伝わったとの事情は窺われない。 以上によれば,被告人が,2月下旬ころに厚労省を訪れる際に,発行担当部署の最高責任者が企画課長である 偽の供述をなすような事情は認められない。よって,その内容が被告人に伝わったとの事情は窺われない。 以上によれば,被告人が,2月下旬ころに厚労省を訪れる際に,発行担当部署の最高責任者が企画課長であると明確に認識していたことについては,疑いが残る。L等を介することなく,いきなり企画課のトップであるCを訪ねるというのは不自然といわざるを得ない。 したがって,Fが口利きをしてくれており,それが担当課に下りてきているはずだから,まずCを訪ねたという被告人の検察官調書の記載内容は,企画課長のところへ行く必要を事前に被告人が認識していた点についての裏付けがなく,被告人の手帳の記載にも整合せず,疑いが残る。他方,被告人の公判供述はこれらの記載に符合しており,特段不自然な点はみられない。 (エ)Fの口利きを隠すこととの関係被告人の捜査の初期段階の平成21年4月26日付け供述調書(乙20。別件郵便法違反事件での捜査中)には,「私は,平成16年2月25日,企画課社会参加推進室社会参加係に行き,まずLと面談し,公的証明の申請手続等について説明を受けた。その後,ある幹部職員のところに行き,公的証明の発行をお願いした。」との記載がある。そして,被告人は,平成21年5月22日付け供述調書(乙24)において,「私は,Fやその弟Gの秘書を務めていたことなどを全面に出すことにより,係長やC,さらにはMに対し,依頼した」旨の記載はあるものの,Fから厚労省に口利きをしてもらったことまでは記載されていなかった。 その後,同年6月4日付け検察官調書(乙13)において,Fに依頼して厚労省の幹部に口利きしていた事実を認める供述が記載されている。そ して,変遷の理由について同月24日付け供述調書(乙21)において,「当初は,Fが厚労省の幹部に口利きをしてくれたことまで話せな 厚労省の幹部に口利きしていた事実を認める供述が記載されている。そ して,変遷の理由について同月24日付け供述調書(乙21)において,「当初は,Fが厚労省の幹部に口利きをしてくれたことまで話せなかったため,面談の順序についても,一『L係長を訪ね,その後,Cのところに行き,依頼をした。』と述べていたが,実際は,二『Cに挨拶に行き依頼をし,その後,Mにも挨拶して,Lから説明を受けた。』という流れである,Fの直接の関与が明らかになることを防ぐため,『b』の案件が議員案件として取り扱われたことを隠すため,このような流れであったと話さざるを得なかった。しかし,手帳の『13:00FsJ氏』との記載がFと会ったことを意味するのではないかと検察官から追及され認めた。」旨の記載がある。 そのような理由から,被告人が面談の順序を変えて供述する可能性はある。 しかし,公判で,被告人は,Fに厚労省への口利きの依頼をした事実を認めている。しかるに,被告人は,挨拶の順序については,捜査段階当初と同じ供述をしており,公判において,Fの直接の関与が明らかになることを防ぐため,面談の順序について虚偽供述をなすとみることには疑問が残る。 (オ)小括以上を総合すると,被告人の検察官調書の記載は,L,N,O,Mらの検察官調書の記載に符合するものではあるが,被告人の手帳の記載,被告人の名刺の保管状況などとも整合せず,内容にも不自然な点があり,信用性に疑いを差し挟む余地がある。他方,被告人の公判供述は,被告人の手帳の前記記載と整合し,その内容も特に不合理とまではいえないことからすると,被告人の公判供述を排斥することはできない。 したがって,被告人が,2月下旬ころ,厚労省に赴いた際,はじめにCのところに行き面談した後,Lと面談したと認定するには合理的な疑 いが残り からすると,被告人の公判供述を排斥することはできない。 したがって,被告人が,2月下旬ころ,厚労省に赴いた際,はじめにCのところに行き面談した後,Lと面談したと認定するには合理的な疑 いが残り,被告人の公判供述が排斥できない以上,被告人は,Lに面談後,Cに挨拶したと認定する。 イ供述二(特別の便宜供与要請),三(Cの応答等),四(Mと挨拶等)について前記のとおり,被告人が厚労省を尋ねた際,はじめにCに会ったと認定することはできないとすると,供述二,三は,その前提を欠くことになる。 また,供述二には,「Cに,公的証明書の発行について特別の便宜供与を要請した。」との記載があるが,具体的には,「私は,Cに,『衆議院議員F事務所A』の名刺を渡しながら,『衆議院議員のF事務所のAと申します。このたび,私が会長を務める『b』について公的証明の発行をお願いすることとなりました。よろしくお願いします。』などと言った。」というものである。名刺を渡したこと自体について,前記のような疑いが残る上,「衆議院議員F事務所のAと申します。このたび,私が会長を務める『b』について公的証明の発行をお願いすることとなりました。よろしくお願いします。」という言葉自体が「特別の便宜供与の要請」といえるのかも問題がある。 また,供述三については,前記認定事実のとおり,「b」の活動等については,ほぼ同趣旨の会話がLとの間でなされているのであり,その後に,改めてCとの間でなされたいうことにも疑問が残る。そして,これらを前提としたCの発言にも疑問が残るものである。 他方,供述四のうちMに挨拶をしたこと自体は,必ずしも不自然なことではない。 以上によれば,少なくとも供述二,三については疑いが残るものである。 争いのある事実②(5月中旬のCに対する郵政公社への電話依頼) のうちMに挨拶をしたこと自体は,必ずしも不自然なことではない。 以上によれば,少なくとも供述二,三については疑いが残るものである。 争いのある事実②(5月中旬のCに対する郵政公社への電話依頼) (1)争点の内容ア検察官の主張等検察官は,「被告人は,同年5月中旬ころ,Dの依頼により,Cに対し,Cから郵政公社に電話をして,厚労省での審査が終了し,近々『b』に対して公的証明書が発行される旨伝えてもらうよう要請し,Cはこれに応じ,郵政公社に電話をした。」との事実を主張する。 この点に関しては,Dから同旨の依頼があり,被告人が企画課を訪ねたこと,その後,Dに対しCに依頼をした旨の報告をしたことには争いはなく,被告人が,Cに前記の要請をしたこと及びそれに応じてCが郵政公社に電話をしたことに関して,被告人の検察官調書(平成21年6月7日付け,乙15)には,次の記載がある。 「平成16年5月中旬ころ,私は,Dから,『C課長に頼んで,郵政公社の方に連絡してもらい,Cから直接“厚労省での公的証明の審査も通っているので,郵政の方で,‘m’を低料第三種郵便物として認可してもらってもよい”と話をしてもらってくれないか。』と言われた。その際に,Dがなぜこのような依頼をしてきたのか理由は聞いていない。要するに,厚労省から公的証明を取得した上,それを郵政公社に提出して許可申請をしなければいけないという書類上の手続を省き,特別に,厚労省から郵政公社に電話をしてもらうことにより,早急に低料第三種郵便物としての認可を受けたいというものだった。その意向は理解できたので,その日か,その数日後ころ,私は,企画課に行き,Cに対し,『“b”の公的証明書に関して,課長から直接郵政公社に電話をしていただいて,“厚労省での審査は通過したので,‘m’を低料第三種郵便物とし で,その日か,その数日後ころ,私は,企画課に行き,Cに対し,『“b”の公的証明書に関して,課長から直接郵政公社に電話をしていただいて,“厚労省での審査は通過したので,‘m’を低料第三種郵便物として認可しても大丈夫だ。”と伝えていただけませんかなどと言って,お願いした。Cは,『一応郵政公社の方には連絡してみますが,相手が応じてくれるかは分かりませんよ。』と言って,私の依頼に応じ,郵政公社のしかるべき立場の人に電話をかけて頼んでくれること になった。このとき,Cは,私の目の前で,『エス』という人に電話をし,私からの依頼事項を伝えて頼んでくれた。私は,Cの電話の会話内容に聞き耳を立てるのも失礼だと思い,数歩離れたところに立っていたので,私からの依頼事項を伝えて頼んだことまでは分かるが,Cとエスとの具体的な言葉のやり取りまでは分からなかった。Cは,電話後,『一応,頼んでおきましたが,郵政公社が応じてくれるかどうかは保証できませんよ。』などと言った。」イ弁護人の主張等これに対し,弁護人は,被告人は,Cに対し,郵政公社への電話依頼をし,Cが郵政公社に電話をした事実はないと主張し,被告人は,公判で次のとおり供述する。 「私は,まず,Lの後任であるとDから聞いていたBにあいさつをしようと思って,Bを訪ねた。アポイントを取らないで行ったので不在だった。そこで,Cにお願いをしようと思って,課長席の方へ行こうとした。 Cは,そのとき,自分のデスクで電話をしていた。私は,近くで立って待っていたが,電話は,なかなか終わらなかった。近くにいた係の方に,出直しますと一言言って退席した。まだ正式な許可が出てないのに,そういう電話をしてほしいと頼むということは,相手に対しても失礼だし,できかねると思っていたので,これ幸いと思った。Dには,厚労省に行って頼 ますと一言言って退席した。まだ正式な許可が出てないのに,そういう電話をしてほしいと頼むということは,相手に対しても失礼だし,できかねると思っていたので,これ幸いと思った。Dには,厚労省に行って頼んできたとうその報告をした。」ウそこで,被告人の捜査段階の供述の信用性について検討する。 (2)検討ア検察官調書の記載には不自然な点があること被告人がCに対し,郵政公社への電話を要請し,Cがこれに応じ,郵政公社に電話をしたとの被告人の検察官調書の記載には,次のような不自然な点がある。 (ア)Cが依頼に応じることについて検察官提出の証拠によれば,Cは,5月中旬時点では,既に,Oから,「b」から,団体の実態に関する資料等が全く提出されていないことの報告を受けていたというのであるから,検察官が主張するように,そのような中,厚労省での審査を通り,近々公的証明書が発行される旨を郵政公社に伝えたのであるとすれば,この時点で,Cの意識としては,申請書や資料等の提出がないままであっても,公的証明書を発行することもやむを得ないとの認識であったと考えられる(被告人の検察官調書のように「厚労省での審査は通過したので,『m』を低料第三種郵便物として認可しても大丈夫だ。」と伝えるというのであれば,なおさらである。)。 そうであれば,Cとしては,郵政公社に電話をするまでもなく,すぐに公的証明書を発行すればよいのであって,Cとしても,そのような要請に応じて,厚労省と全く独立した組織である郵政公社に電話をする理由はない。したがって,被告人からの依頼に応じて,Cがその場で郵政公社の「エス」に電話をしたという点は,不自然であるとみることができる。 (イ)要請の反応,効果がみられないこと被告人からの要請に応じて,Cが郵政公社に厚労省での審査は通過したので「 の場で郵政公社の「エス」に電話をしたという点は,不自然であるとみることができる。 (イ)要請の反応,効果がみられないこと被告人からの要請に応じて,Cが郵政公社に厚労省での審査は通過したので「m」を低料第三種郵便物として許可しても大丈夫であるとの電話をしたのが事実であれば,被告人の捜査段階の供述では,Cは被告人に対し,電話を終えたあと,すぐさま相手から拒否されたとは述べていないのであるから,その後,「b」に対し,何らかの反応(郵政公社に出されている「b」の第三種郵便物の申請を心身障害者用低料第三種郵便物の手続として扱うことになったなどとの連絡をするなど)があってもよいはずであるが,そのような反応があったことを述べている者はい ない。 その話が郵政公社側で了承されたのであれば,o郵便局にも情報が伝わって,6月上旬ころ「b」が低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をした際に,o郵便局に何らかの効果があってもよさそうであるが,そのような事情は全く窺われない。逆に,その際には,o郵便局では,郵政公社l支社から「『b』の申請については,第三種郵便物の承認申請としてしか扱われていない」旨の連絡を受けており,公的証明書の提出が必要であるとして請求を差し返されている。そして,「b」は,本件公的証明書が発行され,上記郵便局に提出されて,ようやく郵政公社l支社長名義の証明書が発行されて,低料第三種郵便物を発送するに至ったものである。 本件では,上記電話があったことを裏付けるような痕跡はなく,特段の効果の形跡もみられない。 (ウ)会話の一部のみが聞き取れたことについて被告人の検察官調書の記載は,「私は,Cの電話の会話内容に聞き耳を立てるのも失礼だと思い,数歩離れたところに立っていた」ところ,「Cは,エスに私からの依頼事項を伝えて 部のみが聞き取れたことについて被告人の検察官調書の記載は,「私は,Cの電話の会話内容に聞き耳を立てるのも失礼だと思い,数歩離れたところに立っていた」ところ,「Cは,エスに私からの依頼事項を伝えて頼んでくれたことまでは分かるが,その後のCとエスとの具体的な言葉のやり取りは分からなかった。」というもので,数歩離れたところに立っていたというのにもかかわらず,「エス」に被告人からの依頼事項を伝えて頼んでくれたことは認識できたというのに,一番関心があるはずの,郵政側との具体的な折衝内容やニュアンスなどが全く分からないというのは不自然ともみられる。 イ被告人がエスの名を出していることの評価被告人は,平成21年4月26日付け供述調書(乙20)で,被告人が電話で依頼した人物としてエスの名前を出しているが,本件当時の低料第 三種郵便物の承認書の名義人である日本郵政公社l支社長がSであり,SはCの夫であるUと交友があったところ,被告人は,SとUとの交友関係を捜査官が把握する前に,Cが,被告人の要求に応じて,その場で,郵政公社の「エス」という人物に電話をしてくれたと自ら述べていることは,被告人の検察官調書の供述記載の信用性を相当程度確保しているともみえる。 しかし,関係証拠によれば,被告人が「エス」の名前を出している前記4月26日付け供述調書(乙20)の作成以前である同月21日には,日本郵政公社l支社長S名義の低料第三種郵便物に関する証明書,承認書等が添付された捜査報告書が作成されており(乙20にも添附),捜査官の側で低料第三種郵便物に関する証明書等の名義人が日本郵政公社l支社長のSであることは知りうる状況であったのであって,「エス」という名前を,被告人自ら出したことが秘密の暴露に当たるものともいえない(なお,前記認定事実及び関係証拠によれば 名義人が日本郵政公社l支社長のSであることは知りうる状況であったのであって,「エス」という名前を,被告人自ら出したことが秘密の暴露に当たるものともいえない(なお,前記認定事実及び関係証拠によれば,被告人の手帳の5月11日の欄に「12:00~13:00Mr.Ningyocho(厚労省→直接〒でOKのように)」との記載があり,当該手帳が既に領置され,前記供述調書作成の際に被告人に示されていることからすると,取調官が,取調べの際,これを認識していたことは明らかである。そして,被告人は,Dから厚労省の審査が通った旨を直接郵政公社に連絡してもらえるよう企画課長にお願いしてくれないかと依頼されたこと自体は,この段階で認めていたと認められる。このような状態で,被告人がCの下を訪れ,Cが「エス」という人物に電話をしていたと供述した場合,取調官が,Cは,日本郵政公社l支社長のSに電話をしたものと考えることは不自然ではない。)。 前記平成21年4月26日付けの被告人の供述調書にもそのような証明書,承認書の写しが添付されており,その際の取調べで,捜査官から,被告人に対して,S名義の証明書,承認書が示されたことは明白である(被 告人は,公判で,「検事調べの中で,当時のl支社長がエスというようなことが出てきた。」と供述しており,これを排斥することはできない。)。 以上総合すると,Cが「エス」に電話したことを被告人自ら述べたという点に関しても,捜査官の誘導又は示された証明書,承認書の名義を見てその影響を受けてなされた可能性が否定できず,被告人の捜査段階の供述の信用性を特別に高める事情とまではいえない。 ウいきなりCに依頼することへのためらいについて関係証拠によれば,被告人は,2月下旬に厚労省に赴き,Cに挨拶をした後,厚労省関係者と直接接触した形跡は認 信用性を特別に高める事情とまではいえない。 ウいきなりCに依頼することへのためらいについて関係証拠によれば,被告人は,2月下旬に厚労省に赴き,Cに挨拶をした後,厚労省関係者と直接接触した形跡は認められないこと,しかも,その後,厚労省側から紹介されたp協会での審査も,DらからFの名前をp協会側に執拗に出していながら難航し,団体の実態等に関して各種の仮装行為を経て,ようやく加盟が認められたこと,被告人は,2月下旬の訪問の際も厚労省の担当者の中ではLと最も長い時間話をし,5月中旬当時は,公的証明書の発行担当者がLからBに変わったことを聞いていたことなどを併せ考えると,Dの依頼が,Cから郵政公社に直接伝えて欲しいとの依頼であるとはいえ,発行担当者に相談または仲介を頼むことなく,いきなりCに依頼をしに行くということにためらいがあったということは不自然なことではない。 エDの依頼を実行しないことの不自然性について検察官は,被告人がDからの依頼を承諾したにもかかわらず,その目的を遂げないまま退去して後日再訪することなく,Dに対し,依頼した旨の虚偽の報告をし,しかも,Dがそのうそに気づくことは考えなかったとの被告人の公判供述は不自然であって信用できないと主張する。 しかし,被告人の,本件当時のrでの勤務状況,「b」の事務所への訪問状況,「b」の活動への関与状況に鑑みると,被告人は,「b」の活動 にそれほど高い関心を持っていなかったことが推認できる。そのような被告人が,Cに対し,Dの依頼があっても,これを実行しなかったこと自体は不自然とはいえない。 さらに,Dの依頼の内容は,郵政公社に対し,Cから伝えておいて欲しいというものであり,被告人の報告もCに依頼したというもので,郵政側がこれに応じたというものではないことからすると,被告人がDに対して さらに,Dの依頼の内容は,郵政公社に対し,Cから伝えておいて欲しいというものであり,被告人の報告もCに依頼したというもので,郵政側がこれに応じたというものではないことからすると,被告人がDに対してCに依頼したとの虚偽の報告をしたとしても,それがDに発覚するおそれはそれほど高いものではなかったといえる。被告人が,虚偽の報告の事実がDに発覚することについて考えていなかったということもあながち不自然とはいえない。 オ小括以上のような事情を併せ考えると,被告人の捜査段階の供述には,疑いを入れる余地があり,この点に関する被告人の公判供述を排斥することはできない。 したがって,争いのある事実②は認定できない。 争いのある事実③(6月上旬のCに対する日付を遡らせた公的証明書発行要請)(1)争点の内容ア検察官の主張等検察官は,「Dらは,5月31日付けの郵政公社の第三種郵便物としての承認書の交付を受け,6月上旬ころ,o郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,『m』を差し出したい旨の請求をなしたところ,公的証明書の添付がないことを指摘され,その提出を要請された。そこで,Dは,公的証明書の早急な入手が必要と考え,6月上旬ころ,被告人に,Cに対して,5月31日付けの郵政公社の承認書にあわせて,5月中の日付に遡らせた公的証明書を早急に発行してもらうよう依頼をし,被告人は, これに応じ,Cにその旨依頼し,Cはこれを了承した。」との事実を主張する。 そして,検察官の主張と同旨の次のような記載がある被告人の検察官調書(平成21年6月7付け,乙15)がある。 「6月上旬ころ,Dは,私に『やっぱり,厚労省の公的証明書が必要みたいだ。厚労省へ言って,証明書を発行してもらってくれないか。郵政からの第三種の承認が5月31日付けになっているので,そ 5)がある。 「6月上旬ころ,Dは,私に『やっぱり,厚労省の公的証明書が必要みたいだ。厚労省へ言って,証明書を発行してもらってくれないか。郵政からの第三種の承認が5月31日付けになっているので,それよりも前の作成日付けで証明書を発行してもらってほしい。早急にお願いします。厚労省の担当者のB係長の方には,こちらからお願いをしておくから。』などと言ってきた。私は,Dからの連絡を受け,6月上旬ころ,Cを訪ねて厚労省に行き,Cに対し,直接,『前に課長から郵政公社の方に連絡をしていただいたのですが,やはり,証明書という書面の形で厚労省の証明が必要のようです。早急に“b”に対する証明書を発行していただけませんか。証明書の発行日付は,こちらの都合で,少し日付を遡らせて,5月中の日付でお願いします。』などと言ってお願いした。Cは,『分かりました。何とかご希望に添えるようにいたします。』と言って,依頼に応じる旨の返答をしてくれた。」また,そのような被告人の捜査段階の供述を補強する証拠,あるいは事情として,以下のものがある。 (ア)次のような記載のあるDの平成21年6月9日付け検察官調書(甲179)「私は,6月4日に第三種郵便物の承認書の交付を受けてから,Hに頼んで,その数日後,o郵便局で,低料第三種郵便物を使えるという証明書の交付を請求してもらったが,確かその翌日ころに,私は,Hから,『o郵便局の担当者から,もし低料第三種郵便を使えるという証明書の交付を受けたいのであれば,厚労省発行の公的証明書の原本を提出 して欲しいと言われた。』などと伝えられた。そこで,私は,公的証明書の発行をBに催促するとともに,Bだけに催促したのではまた先延ばしにされる可能性があったことから上司であるCにもお願いした方がよいと考え,6月上旬ころ,被告人に対し,電話 。そこで,私は,公的証明書の発行をBに催促するとともに,Bだけに催促したのではまた先延ばしにされる可能性があったことから上司であるCにもお願いした方がよいと考え,6月上旬ころ,被告人に対し,電話で,第三種郵便物の承認が5月31日付けで出ており,それより早い日付で公的証明書を早急に発行してもらえるよう依頼した。担当のB係長には,こちらからお願いしておくからと言った。被告人は,これを引き受けた。」(イ)次のような記載のあるBの平成21年6月7日付け検察官調書(甲164)「6月上旬ころ,Dから電話があり,第三種郵便物の承認が出たので,郵政との関係もあるので,5月中の日付で早急に公的証明書を発行してもらいたい旨の催促があった。その際,Dは,被告人から,Cに,5月中の日付で証明書を発行してもらえるように話を通してもらっていると言っていた。その日か,その数日後,Cから内線電話があり,5月中の日付で公的証明書を作成してよい旨告げられた上,作成した公的証明書をCの下に持参するよう指示された。それに対し,私は,『b』から,団体の実態の分かる資料も提出されておらず,障害者団体としての実体が疑わしい団体である旨及び日付を遡らせると発番号を取得することもできない旨述べ,それでも公的証明書を発行してよいか確認を求めたところ,Cは,決裁もせずに公的証明書を作成するよう指示したので,これを作成し,Cに渡した。」(ウ)「b」側は,何ら資料を提出していないにもかかわらず,Bが公的証明書を作成したことは,被告人の依頼を前提としたCの指示があって理解しうる。 (エ)Bは,5月28日付けの公的証明書を作成しているが,「b」側に交付されたのは,被告人も公判で,6月上旬と思う旨述べている。6月 上旬に,5月28日付けの公的証明書を交付していることは,被告人が Bは,5月28日付けの公的証明書を作成しているが,「b」側に交付されたのは,被告人も公判で,6月上旬と思う旨述べている。6月 上旬に,5月28日付けの公的証明書を交付していることは,被告人がCに日付を遡った公的証明書の発行を要請したことを裏付ける。 イ弁護人の主張等弁護人は,被告人は,6月上旬ころ,Cに対して,5月中の日付で公的証明書を早急に発行してもらうよう依頼をし,Cがこれを了承したとの事実はない旨主張する。 そして,被告人は,公判で,次のとおり供述する。 「5月中旬くらいに,Dは,私に,5月中の日付で公的証明書をもらってほしいと言った。しかし,常識的にみて厚かましいお願いなので,Cのところに行って,5月中の日付で公的証明書を発行してくださいという依頼をしたということはなかった。6月上旬に,Dからそのようなことを頼まれ,Cに依頼したこともない。」ウそこで,以下,これらの点について検討する。 (2)検討アD,被告人,Bの検察官調書の供述について前記認定事実によれば,5月31日付けの「m」の第三種郵便物承認書は6月4日(金曜日)にJに対し交付されたこと,その後,6月5日から7日ころ,「b」からo郵便局に対し,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求があったこと,これが正規の手続でない請求であったことから,o郵便局から,日本郵政公社l支社に問い合わせたところ,6月8日ころ,l支社は,「m」については,第三種郵便物としての請求があっただけで,心身障害団体が発行する第三種郵便物としての請求としては把握されていないことから,o郵便局にその旨連絡したこと,そこで,o郵便局担当者は,「b」に対し,公的証明書の提出が必要であると伝えたことが認められる。 以上によれば,その事実を聞いたDが被告人に前記要請をし いないことから,o郵便局にその旨連絡したこと,そこで,o郵便局担当者は,「b」に対し,公的証明書の提出が必要であると伝えたことが認められる。 以上によれば,その事実を聞いたDが被告人に前記要請をし,DがBに 公的証明書発行を依頼したというのも,早くとも6月8日以降となり,被告人,D,Bの検察官調書の記載は,これを前提としたものとみられる。 そこで,これを元に,以下,各供述記載について検討する。 (ア)公的証明書を添付しないで,o郵便局に対し,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をしたことについてDなど「b」側では,心身障害者用低料第三種郵便物として料金の適用を受けようとする場合には,(刊行物の発行所所在地の配達を管轄する)郵政公社の支店に対し,自らが心身障害者団体であること及びその刊行物が心身障害者の福祉を図ることを目的として発行されるものであることを証明することができる資料が必要で,そのために,厚労省から公的証明書を得る必要があることは認識していた。 しかるに,Dなど「b」側は,5月31日付けの「m」の第三種郵便物承認書が6月4日にJに対し交付された後の同月5日以降,公的証明書を添付しないで,o郵便局に対し,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をした。これは,一この時点で,「b」が公的証明書を取得しておらず,物理的に提出することができないものの,厚労省から郵政側に公的証明書を近々発行する,あるいは既に審査も通っていると伝えられているから公的証明書がなくても足りると考えていた可能性と,二すでに公的証明書の交付を受けていたが,その事実が郵政側にも厚労省から連絡されていたと「b」側が誤解するなどして,公的証明書の添付が不要と考えていた可能性とが想定できる。 前記事実によれ 性と,二すでに公的証明書の交付を受けていたが,その事実が郵政側にも厚労省から連絡されていたと「b」側が誤解するなどして,公的証明書の添付が不要と考えていた可能性とが想定できる。 前記事実によれば,一のような可能性はあるとみられる。 そこで,二の可能性について検討する。 公的証明書の交付を受けていれば,これを添付しないで,郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,刊行物を差し出したい旨の請求 をするということは一般的には想定しがたい。 しかし,前記のとおり,Dは,被告人の依頼により厚労省から郵政側に公的証明書の審査を既に通っていると伝えられているから公的証明書の添付がなくても郵政への申請は足りると考えていた可能性が高い。 そして,前記認定事実によれば,Hは,6月10日に,l支社あての証明書発行願をo郵便局に提出した際,添付資料として,本件公的証明書の他,p協会発行の交付願(行政当局にあてた,当該団体についてp協会への加盟を承認した旨及び当該団体に公的証明書を発行していただきたい旨を記載した書面)が付けられていた。この際,添付資料としてp協会発行の交付願が何故提出されたのか必ずしも明らかではないが,同書面は,4月14日に「b」に交付されていたものであり,「b」はこれを5月時点でもo郵便局に提出することは可能であったこと,「b」が6月5日ないし7日ころに,o郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をなした際には同書面が付けられていることを窺わせる資料はないことなどに照らすと,「b」は,自己が保管している文書についても郵政側に提出せず,後になって提出することがあったとみられる。また,上記差し出し請求において,郵政側から不要と指摘された書類を提出していることなどに照らすと,Dら「b」の人間は,何が必 書についても郵政側に提出せず,後になって提出することがあったとみられる。また,上記差し出し請求において,郵政側から不要と指摘された書類を提出していることなどに照らすと,Dら「b」の人間は,何が必要な書類か十分検討せずに郵政側に申請をなした可能性がある。 以上によれば,本件においては,公的証明書についても既に交付を受けていながら当初提出しなかった疑いも排斥できない。 よって,二であった疑いを否定することもできない。 (イ)Dが5月中の日付の公的証明書発行してもらうよう依頼をしたことについてDが,5月31日付けの郵政公社の第三種郵便物としての承認書を6 月4日に受け取り,6月5日以降,郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をなしたところ,6月8日ころ,公的証明書の添付がないことを指摘され,5月31日付けの郵政公社の承認書にあわせて,5月中の日付に遡らせた公的証明書を早急に発行してもらうよう依頼をなすということは,それ自体をみると合理性がある。 しかし,前記認定事実によれば,Dらは2月20日に郵便局に第三種郵便物承認請求書を提出しているが,5月時点でそれから3か月ほど経過しているところ(当時の郵便法23条4項,同法施行規則8条によれば,郵政公社は,第三種郵便物承認申請から,刊行物が毎月発行するものである場合は3か月,毎月3回以上発行するものである場合は2か月以内に承認するか不承認するかの通知をしなければならないことになっていた。),Dは,公判で,検察官の質問に対し,「5月中旬ころ,被告人に電話をして,郵政の方が5月中の認可証(承認書)になって出ることが決定したから,厚労省の方も5月中の認可であることが望ましいと,厚労省への働きかけをお願いした。」と供述しており,この供述は特に不合理とはいえない 政の方が5月中の認可証(承認書)になって出ることが決定したから,厚労省の方も5月中の認可であることが望ましいと,厚労省への働きかけをお願いした。」と供述しており,この供述は特に不合理とはいえない(Dは,実際に5月31日付け承認書が発行される前に,5月中の発行が予定されているとの情報を郵政関係から受けていたことが窺われる。)。 また,5月中旬当時,DはBにも公的証明書の交付を強く要請しており,Dは,5月中も,早く公的証明書が発行されることを望んでいた(しかも,5月11日ころになされたDの被告人へのCに対する郵政への電話依頼というのは,Dの検察官調書によれば,被告人に対し,「なかなか厚労省から公的証明書がもらえない。このままでは郵政公社に怪しく思われるかもしれない。企画課長に頼んで,早く公的証明書を発行してもらうようお願いして欲しい。できれば,企画課長にお願いして, 近々厚労省から公的証明書が発行されることを郵政公社に伝えて欲しい。そうすれば,郵政公社も安心すると思う。」というものである。)。 以上の諸点を併せ考えると,5月31日付けの郵政公社の第三種郵便物としての承認書を6月4日に受けとり,6月5日以降,郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をなしたこととは関係なく,Dが,被告人やBに対し,5月中に,5月中の日付で,公的証明書が発行されるように依頼したことがあった可能性は否定できない。 (ウ)6月10日の郵便局への公的証明書提出との関係時間的にも,6月8日以降に,o郵便局から連絡を受け,証明書交付願を用意し,すでに所持していた公的証明書とともに,6月10日に同郵便局に提出するということは必ずしも不合理とはいえない。 (エ)Bの公的証明書作成時期についてBの検察官調書(甲164など)には, 願を用意し,すでに所持していた公的証明書とともに,6月10日に同郵便局に提出するということは必ずしも不合理とはいえない。 (エ)Bの公的証明書作成時期についてBの検察官調書(甲164など)には,「6月上旬ころ,Dから電話があり,第三種郵便物の承認が出たので,5月中の日付で早急に公的証明書を発行してもらいたい旨の催促があった。その際,Dは,被告人から,Cに,5月中の日付で証明書を発行してもらえるように話を通してもらっていると言っていた。その日か,その数日後,Cから内線電話があり,5月中の日付で公的証明書を作成してよい旨告げられた上,作成した公的証明書をCの下に持参するよう指示された。そこで,私は,その日のうちに,社会参加推進室の私のパソコンを使用し,公的証明書の作成に取りかかった。私は,他の職員に見られないようにするため,職員が全員帰宅していなくなった深夜に,5月中の日付として,5月第4週の最終金曜の日付である5月28日を入力し,室内の印刷機でデータを印刷した。しかし,企画課には職員がまだ残っていたので,課長の公 印を押すことができなかった。そこで,翌朝早く出勤し,企画課のシールボックスから課長の公印と契印を押した。」と記載されている。 Bが,他の職員に見られないようにするため,社会参加推進室の職員が帰宅していなくなった深夜に,5月28日付けの公的証明書を自己のパソコンで作成し,室内の印刷機でデータを印刷したが,課長公印が保管されている隣室の企画課には職員がまだ残っていたので,公印が押せず,翌朝早く出勤し,企画課で課長の公印を押したという供述部分は,不自然不合理な点はなく,信用できる。 前記のとおり,検察官調書を前提とすると,Dからの依頼があったのは早くとも6月8日以降ということになるのであるから,Bが,社会参加推進室のBのパ う供述部分は,不自然不合理な点はなく,信用できる。 前記のとおり,検察官調書を前提とすると,Dからの依頼があったのは早くとも6月8日以降ということになるのであるから,Bが,社会参加推進室のBのパソコンを使用して,5月28日付けの公的証明書を作成したのは,早くとも,6月8日以降の深夜であり,当該証明書に公印を押して完成させたのは,その翌日ということになる。しかし,Bが6月8日以降に5月28日付けの本件公的証明書をパソコン入力し,作成したことを裏付ける客観的な資料は本件で取り調べた証拠上は存在しない。 また,Bは,Dから連絡があったその日か,その数日後,Cから,5月中の日付で公的証明書を作成してよい旨指示されたとの供述をなしている。Dからの連絡が,早くとも6月8日であるとすると,その数日後にCから指示があり,その翌日に公印を押して公的証明書を作成したとすると,「b」からo郵便局に本件公的証明書が提出されたのは6月10日であり,10日時点で,「b」側が本件公的証明書を所持していたことは明らかであるから,この事実と矛盾する不合理なものとなる(「数日後」というのが「2日後」としても,6月10日C指示,6月11日作成となってしまう。)。Bの「その日か,その数日後」という供述自体曖昧であり,この供述の信用性判断には慎重な考慮が必要であ る。 (オ)検察官調書の信用性判断には慎重な考慮が必要であることこの点に関するD,B,被告人の検察官調書は,本件手続のなされた平成16年5月,6月から約5年経過した平成21年5月,6月に録取されたもので,各人の供述の信用性判断には慎重な考慮が必要である。 特に,被告人,Bの供述は,5月31日付けの郵政公社の第三種郵便物としての承認書を6月4日に受けとり,6月5日以降,郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物 述の信用性判断には慎重な考慮が必要である。 特に,被告人,Bの供述は,5月31日付けの郵政公社の第三種郵便物としての承認書を6月4日に受けとり,6月5日以降,郵便局に,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をなしたことを背景とするDの供述を前提とするもので,D供述に前記のとおり,疑問が残ると,その前提を欠くことになる。 (カ)小括以上によれば,第三種郵便物承認書が6月4日に「b」側に交付された後,公的証明書を添付しないで,o郵便局に対し,心身障害者用低料第三種郵便物として,「m」を差し出したい旨の請求をしたことを前提とし,6月8日ころ以降にo郵便局から公的証明書添付の必要性を指摘された後に,Dは,Bに対して日付を5月中に遡らせた公的証明書の発行依頼を,被告人に対してCへの同趣旨の発行要請依頼をなし,これをもとに,被告人はCに発行要請をし,Bは公的証明書を作成したとのD,被告人,Bの検察官調書の供述の信用性には疑問を入れる余地がある。 イ被告人の公判供述について被告人の公判供述は,一Dが,5月中の日付で厚労省から公的証明書をもらってほしいと私に言ったのは,5月中旬くらいであった,二厚かましいお願いなので,C課長のところに行って,5月中の日付で公的証明書を発行してくださいという依頼をしたということはなかったというものである。 (ア)Dが,5月中旬ころに,被告人に対して5月中の日付で厚労省から公的証明書をもらってほしいと言うことについて前記アで述べた諸点に照らすと,Dが,5月中旬ころに,被告人に対して5月中の日付で厚労省から公的証明書をもらってほしいと言うこと自体は不自然ではない。 (イ)被告人の依頼を前提としたCの指示がなく,Bが公的証明書を作成することについて被告人の公判供述を前提とす 5月中の日付で厚労省から公的証明書をもらってほしいと言うこと自体は不自然ではない。 (イ)被告人の依頼を前提としたCの指示がなく,Bが公的証明書を作成することについて被告人の公判供述を前提とすると,「b」側は,何ら資料を提出していないにもかかわらず,被告人の依頼を前提としたCの指示がなくBが公的証明書を作成することは,不自然ではないか問題となる。 しかし,厚労省関係者の検察官調書によれば,被告人の2月下旬の厚労省訪問後は「b」の実態がいかなるものでも公的証明書を発行することが決まっており,さらに,5月中旬時点では,発行申請も資料の提出もなされていないことをCは認識していながら,公的証明書の発行手続を進めるように指示していたというのであるから,これを前提とすると,被告人が改めてCに要請せずとも,Bが公的証明書を作成すること自体は必ずしも不自然とはいえない。 (ウ)被告人は公判で,公的証明書を受け取ったのは6月上旬だったと思う旨供述していることについて被告人が,公判で,公的証明書を受け取ったのが6月上旬だったと思うと供述している根拠ははっきりせず,また,その供述自体「だったと思う」という曖昧なものであり,これが5月下旬を排除する趣旨なのかは必ずしも明確ではない(公判供述は,捜査供述のように,5月31日付けの第三種郵便物承認書が6月4日にJに対し交付されたことなど前提とするものではないから,6月上旬とする根拠は明確でない。)。 また,仮に,公的証明書が6月に入ってから被告人に交付されたとし ても,5月31日付けの第三種郵便物承認書が6月4日に郵政からJに交付されており,この承認書自体は郵政の方で日付を遡らせて作成されたものでないことは明らかであること,官公庁作成の文書が作成日から数日を経て実際に交付されることは不自然ではないこと 日に郵政からJに交付されており,この承認書自体は郵政の方で日付を遡らせて作成されたものでないことは明らかであること,官公庁作成の文書が作成日から数日を経て実際に交付されることは不自然ではないことなどに照らすと,5月28日付けの公的証明書が6月に入って被告人に交付されたこと自体は,被告人がCに日付を遡った公的証明書の発行を要請したことに直接結びつくものとはいえない。 (エ)Dの依頼を受けながら,厚労省に出向かなかったことについて被告人は,Dの検察官調書のように,Dが自分からも担当のBに5月中の日付で出しておくと頼んでおくことを聞いていたとすると,前記のとおり,被告人は,「b」の活動にそれほど高い関心を持っていなかったとみられることも併せ考えると,常識的にみて厚かましいお願いであるから,Dの依頼を了承しながら,Cにお願いをするために厚労省に出向かなかったという被告人の公判供述も,あながち不自然ではない。 (オ)被告人の供述態度との関係被告人は,公判で,F事務所を訪問し,Fに,厚労省から証明書を発行してもらうことに関して,厚労省に口利きをしてもらうよう依頼したこと,Cから本件公的証明書を手渡されたという本件で被告人の刑事責任を基礎付ける重要な要素となる事実を認めている。 前者については,被告人の手帳という客観証拠があることから否定しづらいことはあるといえるが,後者については,被告人の手帳にもその旨の記載はなく,客観証拠には直接これを裏付けるものはないにもかかわらず,公判でも認めており,被告人の公判供述は,必ずしも自己に不利益なことは否認していこうというものともみられない。被告人は,捜査初期は,Fの秘書であることを背景として厚労省に要請したという自己の刑責を認める方向の事実は認めつつも,Fの直接の関与 しも自己に不利益なことは否認していこうというものともみられない。被告人は,捜査初期は,Fの秘書であることを背景として厚労省に要請したという自己の刑責を認める方向の事実は認めつつも,Fの直接の関与を秘匿する ため,これに関する事実を否認していたことが認められ,被告人の関心は,自己の刑責よりFの直接の関与を認めるかどうかにあったものとみられるが,公判では,Fが,被告人から口利きを依頼されたことを強く否定していることを知りながら(なお,Fは,本件捜査段階から,被告人に依頼され厚労省に口利きをしたことを強く否定しており,週刊誌にも,「『Fy党副代表』の怒髪天」との見出しで,「オレは知らん。なぜオレが厚労省に電話せないかんのや。迷惑千万や。」などという記事が掲載されているのを,Aは,取調官から示され,公判での供述時点においても,自己の口利きを強く否定するFの意向を十分認識していたことは明らかである。),Fから厚労省への口利きを頼んだことを認めており,公判段階で,このような観点(関与を否定しているFへの配慮)から,虚偽の供述をしているものとはみられない。 さらに,被告人は,公判で,Cから本件公的証明書を手渡されたという事実は認めており,Cの刑事責任を否定するために,この点について虚偽の供述をなすような状況もみられない。 ウ小括以上によれば,被告人,D,Bの各検察官調書には,いずれも疑いを入れる余地があり,他方,被告人の公判供述を虚偽として排斥することはできない。 したがって,争いのある事実③の検察官主張の事実を認定するには合理的な疑いが残る。 結論 以上によれば,①被告人が,2月下旬ころ,厚労省を訪問した際,まずCに挨拶をし,その際,公的証明書の発行に関する具体的なやりとりをなしたこと,②被告人が,5月中旬ころ,Cに対し,Cから郵 結論 以上によれば,①被告人が,2月下旬ころ,厚労省を訪問した際,まずCに挨拶をし,その際,公的証明書の発行に関する具体的なやりとりをなしたこと,②被告人が,5月中旬ころ,Cに対し,Cから郵政公社に電話をして,厚労省での審査が終了し,近々公的証明書が発行される旨伝えてもらうよう要請 し,Cがこれに応じ,郵政公社に電話をしたこと,③被告人が,6月上旬ころ,Cに対して,5月中の日付で公的証明書を早急に発行してもらうよう要請し,Cがこれを了承したことを認めるには,いずれも合理的疑いが残る。 第4被告人の故意,共謀についての判断 被告人の供述内容(1)捜査段階被告人の検察官調書(乙15など)には,被告人は,「b」は実体がなく,「b」から厚労省に公的証明書の申請手続も,資料の提出もないのにもかかわらず,厚労省はF議員の働きかけにより不正に日付を遡らせた公的証明書を発行したことを認識しており,公的証明書の発行者であるCもその旨認識していながら不正にこれを発行したことを被告人も認識していたなどという虚偽有印公文書作成,行使の故意,共謀を認める旨の記載がある。 (2)公判段階これに対し,被告人は,公判で,虚偽有印公文書作成,行使の故意,共謀を否認し,次のとおり供述する。 「私は,当時,障害者団体と障害者支援団体の区別があるということを認識しておらず,同じようなものと考えていた。公的証明書の申請書や資料一式は,その後,Dが厚労省に持っていったと思っていた。Cに,6月上旬に5月中の日付に遡らせて公的証明書を発行するよう要請したことはない。Cから公的証明書を受け取ったとき,虚偽のものだとは思わなかった。厚労省側が,丁寧な対応をしてくれたので,多少は口利きの効果はあったのかとは思ったが,F先生に口利きをしてもらったことから,公的 い。Cから公的証明書を受け取ったとき,虚偽のものだとは思わなかった。厚労省側が,丁寧な対応をしてくれたので,多少は口利きの効果はあったのかとは思ったが,F先生に口利きをしてもらったことから,公的証明書を取得することができたとは考えてはいなかった。「b」は,まだ実績が余りなかったが,活動方針とか,これからいろいろ活動するということなども含めて認定されたのかと思った。」(3)そこで,以下,この点について検討する。 検討(1)捜査供述の信用性判断に積極的に働く事実ア「b」から厚労省へは公的証明書発行申請も審査資料も提出されていないこと厚労省に対して,公的証明書の発行申請をし審査資料を提出するのは,公的証明書発行に必要不可欠な行為であり,これがなされていないことは公的証明書発行の前提を欠くことになる。被告人自身,発行申請も審査資料の提出も行っていない。そのような状態で,公的証明書が発行されたのは,厚労省担当者が虚偽の文書として作成交付したことが一般には推測できる。 イ「b」に障害者団体としての実体がないこと前記認定事実のとおり,客観的には「b」には構成員がほとんど存在していなかった。そして,被告人は,「b」について,事実に沿わない設立準備委員会に関する書類を見ていたこと,被告人が当時見ていた「b」の名簿は,そこに構成員として記載されている者の数自体が障害者団体として十分とはいえず,その中には承諾を得ずに記載されている者も含まれていたこと,個人ではなく他の団体をも構成員として記載するものであったことからすると,被告人が,平成16年初めに,Dから,x協会代表のVを紹介されたと述べていることを考慮しても,当時被告人が認識していた「b」は,団体としての実体を十分に備えたものであったとは認められない。 低料第 被告人が,平成16年初めに,Dから,x協会代表のVを紹介されたと述べていることを考慮しても,当時被告人が認識していた「b」は,団体としての実体を十分に備えたものであったとは認められない。 低料第三種郵便物制度が,通常1通120円の郵便物を1通8円で郵送できるという制度であること自体は,当時から被告人は認識していたのであり,そのような制度の適用を受けるためには,少なくとも団体として十分な実体を備えた団体でなければ当該制度の適用を受けることができないということについては容易に予想することが可能である。被告人自身,本 件当時もその点に疑問を持ったことについては,公判廷で認めているところである。 よって,本件当時,被告人が,「b」が十分実体のない団体であったと認識していたことは認められる。 ウFから厚労省への口利きを被告人が頼んでいること本件において,厚労省の担当者が,何らの動機となる事情もなく,「b」に実体がないことを認識しつつ,必要な手続を経ることなく,公的証明書を作成をすることは考えがたく,そのことは,本件当時の被告人の認識としても同様であったと考えることができる。そして,被告人の認識において,厚労省担当者に,そのような動機となる事情としては,Fから厚労省への口利きの事実が考えられる。 エ5月ころに被告人がDから依頼された事実等被告人は,5月中旬ころ,Dから,日本郵政公社に,Cから,近々厚労省から公的証明書が発行される旨伝えるよう申し入れるように依頼され,これを了承し,その数日後,被告人は,Dに対し,Cから郵政公社に頼んでもらった旨の報告をしたこと,被告人は,Dから,早急に5月中の日付で公的証明書を発行してもらうようにCに申し入れるように依頼され,被告人がこれを了承したことなどからすると,被告人は,Dが,厚労省から事実と異 の報告をしたこと,被告人は,Dから,早急に5月中の日付で公的証明書を発行してもらうようにCに申し入れるように依頼され,被告人がこれを了承したことなどからすると,被告人は,Dが,厚労省から事実と異なる内容の公的証明書を取得しようとしていたと認識していたと推認することもできる。 オ被告人が公的証明書を受け取ったのは公判でも6月上旬だったと思うと供述していること本件公的証明書は,5月28日付けであるところ,被告人は,公判でも,これを受け取ったのは6月上旬だったと思うと供述しているのであるから,受け取った時点で,被告人は,公的証明書の日付がバックデートされているのを認識しうるはずで,内容虚偽の文書と認識していたとの推測 が可能である。 カ小括以上の事実のみに照らすと,被告人の検察官調書の供述は信用できるようにも解される。 (2)捜査供述の信用性判断に消極的に働く事実,事情ア厚労省への公的証明書の申請,及び資料の提出がない点について前記認定事実によれば,2月下旬時点で,「b」には,規約,会員名簿などは存在していたこと,被告人が厚労省を訪れた2月下旬以降,主としてDが公的証明書交付に向けた活動をしていたこと,Dは,p協会に対して,加盟申請,資料の提出等をなしていること,厚労省の審査に必要な資料もp協会に提出された資料と同じようなものであったこと,4月には,D,Jの活動によりp協会は「b」の加盟を承認することになったこと,その後も,Dは厚労省の担当者Bに電話したり,面談したりしていたこと,これに対し,被告人は月一,二回程度しか「b」事務局があるsの事務所に訪れていなかったことなどに照らすと,公的証明書の申請書や資料は,Dが厚労省に提出したと思っていた旨の被告人の公判供述を排斥することはできず,Dも申請,資料の提出をしていなか 務局があるsの事務所に訪れていなかったことなどに照らすと,公的証明書の申請書や資料は,Dが厚労省に提出したと思っていた旨の被告人の公判供述を排斥することはできず,Dも申請,資料の提出をしていなかったことを被告人自身認識していた旨の被告人の検察官調書には疑いが残るものである(もとより,証拠上,厚労省側から,被告人に,公的証明書の申請,資料の提出がなくとも公的証明書を発行する旨述べた事実も窺えない。)。 イ「b」は障害者団体としての実体がないにもかかわらず,p協会への加盟を認められたことについて前記認定事実によれば,次の事実が認められる。 ① D,Jは,平成16年2月下旬ころ,定期刊行物「m」と「b」規約等を持ってp協会の事務局長Qに「b」を加盟させてもらえるよう申し入れたが,その際,Fから厚労省の担当者に電話で連絡をしてもらって いること等も話した。 ② Qは,Dらに対し,低料第三種郵便物制度を悪用しようとしているのではないかとの危惧感を抱いたことから,低料第三種郵便物制度を利用できる団体は障害者が主たる構成員である必要があること,営利目的等で同制度を利用することはできないことを告げ,p協会の目的,加盟要件,同制度を利用するための手続の流れなどが記載された書面を渡し,これに記載されていることによく注意を払うよう言った。 ③ Qから指摘を受け,Dらは,障害者の中から主要メンバーとして名前を連ねてもらえる人物の承諾を受け,「b」の名簿を作り直し,作り直した名簿をp協会に送付した。 ④ Qは,「b」に対し,「m」が営利目的や売名目的のものであると認められたときは,p協会からの発行を拒絶されても異議はない旨を記載した念書の提出を要求し,「b」からp協会に対し,その旨記載のある念書が提出された。 ⑤ Qは,「b」のp協会への加盟 のであると認められたときは,p協会からの発行を拒絶されても異議はない旨を記載した念書の提出を要求し,「b」からp協会に対し,その旨記載のある念書が提出された。 ⑤ Qは,「b」のp協会への加盟を拒否すべきかどうかを悩んだが,規約等からは心身障害者団体と見えること,念書を提出したこと,営利目的,売名目的と断定できるだけの資料もなかったこと,障害者手帳の写しも提出されたことなどから,理事長のRと相談し,最終的には,加盟を承認することとした。 以上によれば,「b」は障害者団体としての実体がないにもかかわらず,p協会への加盟を認められたが,p協会加盟について,Fから厚労省の担当者に電話で連絡をしてもらっていること,すなわちFから厚労省への口利きを,p協会のQ事務局長に話したことは特段の影響を与えてはいないとみられる。Dらは,会員名簿の作り直し,障害者手帳写しの提出,念書の提出などの,障害者団体としての実態を仮装する行為によって加盟要件をクリアするようにしてp協会の加盟承諾を受けているとみられる。 p協会は,「b」側からの要請で,実体がなく,p協会加盟の要件を充足しないことを知りながら,「b」の加盟を認めたものとはみられない。 そして,発行回数以外の低料第三種郵便物制度の適用要件を具備する定期刊行物を発行する団体であることがp協会加盟の事実上の要件とされており,加盟申込書には,その要件の判断資料として,厚労省における審査資料と同様の資料(会則,会員名簿,発行された刊行物など)を添付することとされていたことなどに照らすと,その判断要件,審査資料とも厚労省のものと共通しているといえる。 してみると,「b」は,p協会に対するのと同様,実態を仮装することにより,p協会と同様に,厚労省が,ある程度の疑いを持ちながらも,却下するほどの事情もないと も厚労省のものと共通しているといえる。 してみると,「b」は,p協会に対するのと同様,実態を仮装することにより,p協会と同様に,厚労省が,ある程度の疑いを持ちながらも,却下するほどの事情もないとして,公的証明書の発行を求めることも十分想定できるものである。 そこで,この点に関する被告人の認識について検討する。 前記認定事実によれば,被告人は,3月29日ころ,Dから電話で連絡を受け,その際,被告人が本件当時使用していた手帳の3月29日の欄に「8円〒NG」と記載していること,同日以前に,Dらはp協会と交渉を行い,その際,刊行物や団体名簿について指摘を受けるなどしていたことが認められ,これらの事実に照らすと,Dからの電話の内容は,p協会における審査が難航していることを伝えるものであったと認められる(なお,被告人は,公判廷において,このような記載については,厚労省からの公的証明書の発行が無理になったことの連絡を受けたものであると供述するが,同日は,「b」からp協会に対し,念書が提出された日である上,その後も,p協会との交渉が続いていることからすると,Dからの連絡の内容が,公的証明書の発行が不可能になったとの連絡であったとまでは認められない。)。 したがって,少なくとも,当該連絡の時点において,被告人は,公的証 明書の発行担当者であるLから行くように指示されたp協会において,「b」のp協会加盟について,それなりに厳格な審査がなされていることを認識していたと認められる。 そして,その後の経緯に照らすと,「b」については,障害者団体としての実体がないにもかかわらず,その後のDらの実態を仮装する努力によりp協会への加盟が認められ,p協会から「b」に対し,証明書交付願が送付されたことが,被告人にも伝わっていた可能性が認められる。 また,客観的には にもかかわらず,その後のDらの実態を仮装する努力によりp協会への加盟が認められ,p協会から「b」に対し,証明書交付願が送付されたことが,被告人にも伝わっていた可能性が認められる。 また,客観的には,p協会への加盟は,厚労省からの公的証明書の審査とは,別個のものであり,p協会への加入が認められたからといって,公的証明書の発行が必ずなされるというものではないが,前記のとおり,両者の判断要件,審査資料とも厚労省のものと共通している(もとより,証拠上,厚労省側から,被告人に,団体の実体がなくとも公的証明書を発行する旨述べた事実も窺われない。)。 以上によれば,被告人は,Dらが「b」の実態を仮装することにより,p協会と同様に厚労省が,ある程度の疑いを持ちながらも,却下するほどの事情もないとして,公的証明書の発行をなしたと考えていた疑いは否定できないものである。 なお,被告人は,4月中旬ころ,前記のとおりtの問題提起記事を見て,「b」がやろうとしていることは大丈夫かと思い,Dに相談したことが認められる。この点について,被告人は,公判で,「その際,Dから,「『b』のDM発送については,一定の条件を満たしてやるので心配はない。郵便局から,こういうことであればいいということを聞いた。この記事の内容も,郵政の方は違法であるとは言っていない。」などと言われ,私は納得した。」旨供述する。この供述をそのまま信用できるかは問題であるが,被告人がある程度疑問,危惧を持ったとしても,Dらが「b」の実態を仮装することも含めて,申請や資料の提出行為をなし手続を形式的 に整えていくと考えたとしても不自然ではない。 ウFから厚労省への口添えを被告人が頼んでいることについて前記事実によれば,被告人は,厚労省へのFからの口利きにそれなりの効果を期待していたことは認められ えていくと考えたとしても不自然ではない。 ウFから厚労省への口添えを被告人が頼んでいることについて前記事実によれば,被告人は,厚労省へのFからの口利きにそれなりの効果を期待していたことは認められる。 しかし,前記イのとおり,Fから口利きが行われた後の厚労省から紹介されたp協会の対応(審査の難航)等に照らすと,Fの口利きを前提としてもそれなりの審査が必要であることを認識したものとみられる。被告人は,Dらが「b」の実態を仮装することにより,p協会と同様に厚労省が,公的証明書の発行をなしたと考えていた可能性は否定できない。少なくともp協会の審査難航の時点において,Fからの口利きの効果がそれほど大きいものではないとの認識を被告人が持っていた疑いが残る。 なお,前記認定事実のとおり,被告人は,かつてはFの秘書をしていた者で,本件当時もFと交際していたことは認められる。しかし,本件で,被告人とFとの間に,厚労省への口利きに対する見返りに関するやりとりや,実際に事後的に「b」からFに対して,見返りが渡されたなどの事情を窺わせるものはない。また,被告人は当時rという小企業の従業員であり,資力もほとんどなく,Fにとって被告人が特に重要な位置づけを有するものともみられず,Fによる厚労省への口利きに極めて大きなものを被告人が想定できるような事情はみられない。 以上によれば,Fから厚労省へなされた口利きから,厚労省側が要件が欠如しているのを認識しながら,意図的に虚偽の公的証明書を作成交付したとの認識を被告人が有していたと認定することには疑いが残る。 エ5月ころに被告人がDから依頼された事実等前記第3のとおり,被告人が,DからCに伝えるよう依頼された事項(厚労省から日本郵政公社に対する公的証明書が近々発行される旨の申し入れ。5月中の日付による公的証明書の発 告人がDから依頼された事実等前記第3のとおり,被告人が,DからCに伝えるよう依頼された事項(厚労省から日本郵政公社に対する公的証明書が近々発行される旨の申し入れ。5月中の日付による公的証明書の発行)について,その依頼に応じ て,被告人がCに対し要請をしたという事情は認定できない。 なお,被告人は,Dに対し,実際に要請したなどとDに報告をしたことは認められる。 しかし,前者の事情(郵政への連絡)は,Dが,本件公的証明書の作成,交付について不当な手段を要求しているということを意味するものではあるが,実際に,Cにその旨の依頼がなされていない以上,Cが「b」の実態を認識し,虚偽であることを知りながら本件公的証明書を発行したことの被告人の認識にはつながらない。 また,後者(5月中の証明書発行)の依頼については,そもそも6月に入ってからDから被告人に依頼がなされたと認めるには疑いが残る。 以上によれば,Dからの依頼の事実が,被告人の故意の認定に直結するものとはいえない。 オ被告人が公的証明書を受け取ったのは公判でも6月上旬だったと思うと供述していることについて前記第3の3で検討したとおり,被告人が,公判で,公的証明書を受け取ったのが6月上旬だったと思うと供述している根拠ははっきりせず,また,その供述自体「だったと思う」という曖昧なものであり,これが5月下旬を排除する趣旨なのかは必ずしも明確ではない。また,仮に,公的証明書が6月に入ってから被告人に交付されたとしても,5月31日付けの第三種郵便物承認書が6月4日に郵政からJに交付されており,この承認書自体は郵政の方で日付を遡らせて作成されたものでないことは明らかであり,官公庁作成の文書が作成日から数日を経て実際に交付されることは不自然ではないことなどに照らすと,5月28日付けの公的証明書が6 書自体は郵政の方で日付を遡らせて作成されたものでないことは明らかであり,官公庁作成の文書が作成日から数日を経て実際に交付されることは不自然ではないことなどに照らすと,5月28日付けの公的証明書が6月に入って交付されても,それを被告人が当然日付を遡らせた虚偽の文書であると考えることにはつながらない。 カ小括 以上の事実を併せ考えると,被告人の公判供述中,「公的証明書の申請書や資料一式は,Dが厚労省に持っていったと思っていた。Cに,6月上旬に5月中の日付に遡らせて公的証明書を発行するよう要請したことはない。Cから公的証明書を受け取ったとき,日付を遡らせた虚偽のものだとは思わなかった。」などという部分を否定することはできない。 (3) 結論 以上によれば,(1)で挙げた点は,被告人の故意,共謀認定を推認せしめる事情で,被告人の検察官調書の信用性を一定程度裏付けるものといいうるが,(2)で述べた点は,これに対する合理的疑いを生じさせるものといえる。 してみると,被告人は,「b」に障害者団体としての実体がないことは認識していたが,公的証明書の申請書や資料は,Dが厚労省に提出しており,Fの口利きにより,厚労省担当者が要件の検討や決裁等を行わず,公的証明書を発行したのではなく,Dらが「b」の実態を仮装することにより,一応の資料を整え,厚労省担当者に公的証明書の発行をなさしめたと考えていた疑いが残る。 虚偽有印公文書作成,同行使の客体となる文書は,作成権限者が作成した内容虚偽の文書でなくてはならない。したがって,被告人に,虚偽有印公文書作成,行使の故意,共謀が認められるためには,被告人が,作成権限者であるCが,虚偽有印公文書作成の故意をもって本件公的証明書を作成したことを未必的にでも認識していることが必要である(非公務員である被告人に, の故意,共謀が認められるためには,被告人が,作成権限者であるCが,虚偽有印公文書作成の故意をもって本件公的証明書を作成したことを未必的にでも認識していることが必要である(非公務員である被告人に,虚偽有印公文書作成の間接正犯は成立しない。)。 上記認定による本件公的証明書に対する被告人の認識は,この意味における虚偽有印公文書作成,交付の故意に該当するものとはいえない。 以上によれば,被告人のなした行為は,社会的には不相当で非難されるべきものではあるが,本件公訴事実については犯罪の証明がないことになる。 よって,刑訴法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。 (法令の適用)【省略】(量刑の理由)【省略】平成22年5月17日大阪地方裁判所第12刑事部裁判長裁判官横田信之裁判官難波宏裁判官田郷岡正哲

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