- 1 - 主文 本件控訴に基づき、原判決中、控訴人の敗訴部分を取り消す。 上記取消部分に係る被控訴人の請求を棄却する。 2 本件附帯控訴を棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 申立て 1 控訴の趣旨主文第1項と同旨 2 附帯控訴の趣旨 原判決中、被控訴人の敗訴部分を取り消す。 控訴人は、被控訴人に対し、更に308万円及びこれに対する平成31年2月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(以下、略語は、特に定めない限り、原判決の表記に従う。) 1 本件は、軽犯罪法違反被疑事件(本件被疑事件)に係る被疑者として捜査の 対象となった被控訴人が、警視庁に所属する警察官から違法な職務質問、身体拘束、取調べ、所持品検査、写真撮影、指掌紋記録作成、暴行及び差別的言動を受けたとして、控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金合計330万円及びこれに対する違法行為のあった日である平成31年2月5日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、被控訴人の上記請求について、被控訴人の主張に係る本件における警察官の各行為のうち、本件被疑事件につき深夜にわたり約5時間をかけて被控訴人に対する取調べを実施し、同取調べ後も捜査を継続したことについては違法性が認められるとして、損害金合計22万円及びこれに対する前同日から 支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める限度で、これを認容し - 2 - 後も捜査を継続したことについては違法性が認められるとして、損害金合計22万円及びこれに対する前同日から 支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める限度で、これを認容し - 2 -た。 これに対し、控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。 2 前提事実原判決の「第2 事案の概要」の1記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、2頁17行目の「道路上(以下「本件道路」という。)」を「道 路(以下「本件道路」という。)上」に、26行目の「中野警察署」を「警視庁中野警察署」にそれぞれ改める。 3 争点及び争点に関する当事者の主張次のとおり補正し、当審における被控訴人の主張の要旨を付加するほか、原判決の「第2 事案の概要」の2記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決の補正ア 3頁22行目の「出勤して」を「出張して」に改め、23行目の「途中に」の次に「、警察官から」を、24、25行目の「すぎず」の次に「、被控訴人には」をそれぞれ加え、4頁4行目の「職務質問」を「同職務質問は、これ」に、6行目の「器具」を「刃物、鉄棒その他人の生 命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」にそれぞれ改める。 イ 4頁18行目の「路上」を「本件道路上」に改め、5頁1行目の「原告は」の次に「、警察官に対し」を加える。 ウ 5頁17行目の「取調べ中」の次に「、警察官に対し」を加える。 エ 6頁7行目の「目的で、」の次に「被控訴人に係る」を加える。 オ 6頁16行目の「から」の次に「、被控訴人に対する捜査は」を加え、17行目の「捜査」を「もの」に改め、23行目の「入室して」の次に「、被控訴人に対し」を加え、25行目の「原 」を加える。 オ 6頁16行目の「から」の次に「、被控訴人に対する捜査は」を加え、17行目の「捜査」を「もの」に改め、23行目の「入室して」の次に「、被控訴人に対し」を加え、25行目の「原告に対して」を削り、7頁7行目の「署名指印に」を「署名指印を」に改め、13行目の「上か ら」の次に「、被控訴人に対し」を加える。 - 3 -カ 7頁26行目の「場合に違法となる」を「ものである場合であることを要するもの」に改める。 キ 8頁6行目の「職務質問の」を「被控訴人に対する職務質問は、その」に改め、8行目の「ことや、」の次に「被控訴人が」を、15行目の「許容されている。」の次に「本件において、」をそれぞれ加える。 ク 9頁1行目の「取調べは」から2行目の「原告は」までを「取調べに実質的に要した時間は、午後11時頃から午前2時40分頃までの約3時間40分であった。被控訴人は、その取調べにおいて」に改め、6行目の「したがって」の次に「、そのような被控訴人に対する取調べについて」を、10行目の「早く」の次に「、被控訴人の」をそれぞれ加え る。 ケ 10頁4行目の「着衣の外側から手を触れ、」を「被控訴人の着衣の外側から手を触れ、その」に改める。 コ 11頁2行目の「が生じた」を「を被った」に改める。 当審における被控訴人の主張の要旨 ア職務質問について 原判決が参照する最高裁昭和55年9月22日第三小法廷決定は、いわゆる一斉検問が問題となった事案についてのものである。そこでは、自動車運転者の社会生活上の地位に伴う責任等が理由として挙げられているから、同決定は、交通違反の予防、検挙を主な目的とし、特定人に 対する特定の犯罪の嫌疑を前提としな のものである。そこでは、自動車運転者の社会生活上の地位に伴う責任等が理由として挙げられているから、同決定は、交通違反の予防、検挙を主な目的とし、特定人に 対する特定の犯罪の嫌疑を前提としない場合についての限定的な判断を示したものである。特定人に対する特定の犯罪の嫌疑がある場合の職務質問については、上記決定の射程は及ばず、警察法2条1項によっては適法とされ得ないから、被控訴人に対する職務質問についても、警察法2条1項を根拠に適法とすることはできない。 以下のとおり、本件各器具の形状、用途、収納場所及び収納状況等に - 4 -照らせば、被控訴人による本件各器具の所持につき、軽犯罪法1条2号に該当する余地は皆無であるから、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続したことは違法である。 a 本件各器具は、普段使用するボールペン等の筆記具と大きく変わらない形状、重量のものであり、通常想定される用法によれば、他人に 危害を加えるようなものではないところ、軽犯罪法1条2号の「その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」とは、その器具の性質上、ある程度殺傷の用に供されやすいものであることが必要であり、本件各器具は、ガラス割りとしても販売されているものであるから、上記の「器具」に該当するものと みる余地はない。 b 先細りしている物の細い方を小物入れ等に差し込んで収納することは、収納方法として極めて通常のものであり、これをもって軽犯罪法1条2号の「隠して」に該当するとみることは常識に反する。 c 被控訴人は工事業者であり、その業務において本件各器具を使用す るのであるから、被控訴人が本件各器具を所持することに「正当な理由」(軽犯罪法 該当するとみることは常識に反する。 c 被控訴人は工事業者であり、その業務において本件各器具を使用す るのであるから、被控訴人が本件各器具を所持することに「正当な理由」(軽犯罪法1条2号)があることは明らかである。 d 職務質問の際に、本件各器具を携帯していた理由について被控訴人が回答した内容は、車の水没のときにも使用し、また、仕事で緊急にガラスを割るときにも使用するという点に収れんするものであって、 被控訴人においては、その回答の内容を変遷させたのではなく、説明の具体化をしたものとみるべきである。 イ中野署への任意同行について以下のとおり、警察官が被控訴人を中野署へ移動させた上で職務質問を継続したことについては、必要性がなく、相当でもない上、被控訴人の 任意によるものではなかったというべきであるから、警察官の当該行為 - 5 -は違法である。 前記アのとおり、警察官が被控訴人に対する職務質問を継続する必要性はなかったから、警察官が被控訴人に対して中野署への任意同行を求める必要性もなかった。 また、被控訴人について更なる事情聴取の必要があったとしても、被 控訴人の住所及び氏名が明らかになっていた以上、証拠物件の任意提出を受けるなどした上で、後日の出頭を要請することもできたのであるから、警察官が被控訴人に対して中野署への任意同行を求める必要性はなかった。 被控訴人は翌朝早くから仕事の予定がある旨をA巡査長らに伝えてい たこと、被控訴人が警察官らに囲まれて威圧されていたとの被控訴人の供述は何ら不自然ではなく、被控訴人は中野署への移動を事実上強制されていたというべきであることからして、被控訴人が任意に中野署に移動したもの 被控訴人が警察官らに囲まれて威圧されていたとの被控訴人の供述は何ら不自然ではなく、被控訴人は中野署への移動を事実上強制されていたというべきであることからして、被控訴人が任意に中野署に移動したものと評価することはできない。 ウ中野署における取扱状況について 当番警察官等による暴行及び差別的言動についてa 被控訴人は、当番警察官等による暴行及び差別的言動について、本訴提起当時より一貫してその主張をしているところ、被控訴人の本人尋問における供述の内容は極めて鮮明かつ迫真的である上、これらは通常の生活の中で遭遇しない極めて特異な出来事で、強烈な印象とと もに被控訴人の記憶にとどまるといえるものであるから、上記供述は信用することができるものである。 これに対し、控訴人の主張は、当番警察官について、当初は当番警察官そのものの存在を否定するものであったが、その後、本署当番責任者はいたものの被控訴人の取扱いには関与していないという内容の ものへの変遷を経て、最終的には、被控訴人の取調べに当たり1分ほ - 6 -ど話を聞いているという内容のものへと変遷しており、このような控訴人の主張及びこれに沿う控訴人側の証人らの証言は、いずれも信用に値しないというべきである。 b 被控訴人の左膝捻挫について、被控訴人は、平成31年2月5日の早朝に帰宅後、疲労を取ることを優先して、負傷した脚の痛みを我慢 していたが、日に日に痛みが強くなったため、同月19日に医師の診察を受け、左膝捻挫との診断を受けたものである。このような経過から、診断書(甲4)が同月19日付けのものであることは不自然ではなく、同診断書の内容は、中野署において当番警察官等との引っ張り合いの中で転倒して左膝を負傷 の診断を受けたものである。このような経過から、診断書(甲4)が同月19日付けのものであることは不自然ではなく、同診断書の内容は、中野署において当番警察官等との引っ張り合いの中で転倒して左膝を負傷したという被控訴人の主張を裏付ける ものである。 所持品検査についてa 前記アのとおり、所持品検査に先行する被控訴人に対する職務質問が違法である以上、所持品検査も違法である。 b 被控訴人が所持品検査について承諾したとの事実はなく、その点か らも、所持品検査は違法である。 cB巡査は、証人尋問において、取調べ中の自傷事故防止の観点から所持品検査を行った旨供述するが、一貫して正当性を主張している被控訴人が自傷行為を図るおそれはなかったから、被控訴人に対する所持品検査の必要性はなかった。仮に、その必要性が認められたとして も、警察官が被控訴人の陰部や肛門周辺を執拗に触れたことについては、必要性がなく、相当性も欠いており、被控訴人に対する所持品検査は、専ら被控訴人のプライバシーや尊厳を毀損し、屈辱感を与えることを目的として行われた侮蔑的かつ悪質なものであり、違法なものである。 写真撮影及び指掌紋記録作成について - 7 -a 被疑者には、個人がみだりにその容ぼう、姿態を撮影されない自由及び指紋の押捺を強制されない自由が憲法上の権利として保障されており、比例原則との関係でも、被疑者のプライバシーを制限するためには、その必要性が積極的な要件として求められるから、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成の必要性については、その必要性が なかったとはいえないとの消極的な要件では足りないというべきである。 また、写真撮影及び指掌紋 るから、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成の必要性については、その必要性が なかったとはいえないとの消極的な要件では足りないというべきである。 また、写真撮影及び指掌紋記録作成の必要性があったのであれば、速やかにこれらを実施すべきところ、被控訴人に対する写真撮影等が実施されたのは、取調べの終盤であったから、これらについては、そ の必要性がなかったものというべきである。実際にも、C警部補やB巡査は、写真撮影等により得られた写真等をその後の捜査で利用することを具体的に想定していなかった旨や利用された事実がない旨を証言しているから、上記の必要性がなかったことは明らかである。 b 被控訴人は本件各器具を携帯することに正当な理由があると考えて いたから、そのような被控訴人が写真撮影及び指掌紋記録作成という、あたかも犯罪者であるかのような扱いを受けることを承諾するはずがない。 控訴人は、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成について、被控訴人がB巡査らによる説得に対して「こんなので指紋とるの」と 申し立てる以上の言動をしなかったことから、被控訴人の承諾が得られた旨主張するが、その程度の言動をもって承諾が得られたものとみなすことは、犯罪捜査規範100条に照らして不適切であり、被控訴人が当該写真撮影及び指掌紋記録作成について承諾をしたことはない。 第3 当裁判所の判断 - 8 - 1 当裁判所は、原審とは異なり、被控訴人の請求は全部理由がないものと判断する。その理由は、以下のとおりである。 2 認定事実次のとおり補正するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の1記載のとおりであるから、これを引用する。 14頁6行目の「イ 」の次に は、以下のとおりである。 2 認定事実次のとおり補正するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の1記載のとおりであるから、これを引用する。 14頁6行目の「イ 」の次に「C警部補は、D巡査長及びB巡査が被控訴人の所持品の確認等を行っている間、A巡査長及びE巡査長から、被控訴人に対して行った職務質問の状況等が前記イのとおりであった旨の説明を受けた。」を、8行目の「その上で」の次に「、C警部補は」をそれぞれ加え、13行目の「判断した。」を「判断し、」に改め、18行目の「C警部 補は」の次に「、午後11時頃から、被控訴人に対する本件被疑事件の被疑者としての取調べを開始し」を、19行目末尾に「その中で、C警部補は、被控訴人が本件各器具を携帯していた理由について、被控訴人が、職務質問の際に、当初は車が水没したときに車内からガラスを割って脱出するために持っていた旨説明していたのに、E巡査長から本件車両のハンドル下側には 別のガラス割りが取り付けられていたことを指摘されると、本件各器具を仕事でガラス割りとして使用しているとか、車の水没のときにも使用し仕事でも使用するなどと説明するに至ったことを踏まえた聴取を行った。被控訴人は、そのようなC警部補からの質問に対し、本件各器具を仕事でガラス割りの用途に使用するためにインターネットサイトで購入し、携帯していたなど と供述し、その供述内容は、C警部補による聴取を受けていた間を通じて、おおむね一貫していた。また、被控訴人は、同聴取において、その2週間ほど前に、警視庁戸塚警察署(以下「戸塚署」という。)の警察官から職務質問を受けた際に、同警察官が警視庁本部に確認を行い、本件各器具を所持することが違法ではない旨確認されたなどと主張し、警視庁本部に本件各器具 塚警察署(以下「戸塚署」という。)の警察官から職務質問を受けた際に、同警察官が警視庁本部に確認を行い、本件各器具を所持することが違法ではない旨確認されたなどと主張し、警視庁本部に本件各器具 を所持することが違法であるか否かの確認をとるように求めた。」をそれぞ - 9 -れ加え、20行目の「乙9、11、15、証人C」を「甲2、乙9、11、15、証人C、被控訴人本人」に改める。 15頁9行目の「取調べは」の次に「、調書を作成する時間も含めて」を加え、25行目の「作業車内の工具箱に入れているが」を「、本件車両のシフトレバー右側面に取り付けられた小物入れに入れているが、これは、すぐ に使えるようにするために手が届く範囲においておいただけであり」に、26行目の「作業車」を「本件車両」にそれぞれ改める。 16頁20行目の「B巡査は」の次に「、午前3時40分頃から午前3時45分頃までの間、中野署駐車場において、被控訴人を立会人として、本件車両の写真撮影を行い、引き続き」を加え、21行目の「中野署駐車場」を 「同駐車場」に、22行目の「このとき」を「本件車両内の写真撮影の際」に、25行目の「乙1、15、証人C」を「甲29の1(なお、甲29の1には、被控訴人を立会人とした本件車両の写真撮影を実施した時間について、午前3時40分頃から午前4時45分頃までであったとする旨の記載があるが、これに引き続いて行われた被控訴人を立会人とした本件車両内の写 真撮影が午前3時45分頃から実施されていること(乙1)、本件車両の写真撮影にそれほど長時間を要するとは考えられないことからすれば、上記の記載のうち、その終了時刻に係る部分については、「午前3時45分」の誤記であると認められる。)、乙1、15、証人C、弁論の全趣旨」にそ 影にそれほど長時間を要するとは考えられないことからすれば、上記の記載のうち、その終了時刻に係る部分については、「午前3時45分」の誤記であると認められる。)、乙1、15、証人C、弁論の全趣旨」にそれぞれ改める。 16頁26行目の「取調べ」の次に「及び前記キの写真撮影」を加える。 17頁7行目の「建物3階にある原告の自宅の前で、原告が自宅の」を「被控訴人の自宅の出入口ドアの前で、被控訴人がその」に改める。 17頁11行目末尾に改行の上、次を加える。 「ア被控訴人は、平成31年3月4日頃、本件被疑事件に係る同年2月4日 夜から同月5日朝までにかけての取調べ等の時系列や問題点を詳しく記 - 10 -載した弁護士宛ての書面(甲2。以下「甲2書面」という。)を作成した。 甲2書面には、被控訴人が本訴において主張する所持品検査の違法(中野署の警察官が被控訴人の陰部や肛門を執拗に触ったこと)、写真撮影及び指掌紋記録作成の違法(中野署の警察官が被控訴人の承諾を得るこ となく被控訴人の写真撮影及び指掌紋記録作成を行ったこと)並びに差別的言動のうちの一部(中野署の警察官が被控訴人に対し「会社をクビにされたホームレスか何かに違いない」などと述べたこと)についての記載がされ、また、指掌紋記録作成の際に撮影室において被控訴人の足が機材に引っ掛かり、左膝を負傷した旨の記載がされていた。他方、甲 2書面には、被控訴人が本訴で主張等する警察官の違法行為に係るその余の事実(被控訴人が中野署に到着した直後、当番警察官が被控訴人を取調室に連行する際に、エレベーター内で被控訴人の首を鷲づかみにし、被控訴人の首をエレベーター内の壁側に向け、動かないようにエレベーター内の奥の壁に押さえ付けるなどの暴行を 、当番警察官が被控訴人を取調室に連行する際に、エレベーター内で被控訴人の首を鷲づかみにし、被控訴人の首をエレベーター内の壁側に向け、動かないようにエレベーター内の奥の壁に押さえ付けるなどの暴行を加えたり、その際に当 番警察官が被控訴人の腰部を思い切り蹴ったりしたとの事実や、被控訴人が取調べを拒絶し又は取調べ中に何度も帰宅することを求めたが許されなかったとの事実等)についての記載はなかった。(甲2)」 17頁12行目の「ア」を「イ」に改める。 17頁24行目の「イ」を「ウ」に改める。 18頁2行目の「である。(乙2)」を「であり、本件器具等は、いずれも護身用としての用途も有する器具として一般に販売されているものである。(甲15、乙2、3、4)」に改める。 3 争点1(警察官の行為が国家賠償法上違法か)について 国家賠償法1条1項の違法について 原判決の「第3 当裁判所の判断」の2記載のとおりであるから、これ - 11 -を引用する。 職務質問について次のとおり補正し、当審における被控訴人の主張に対する判断を付加するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の2記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決の補正 19頁9行目の「において」を「に、何らかの罪を犯し、又は犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由等の」に改め、16行目の「」の次に「ア」を、19行目の「とする」の次に「被控訴人の」をそれぞれ加える。 20頁7、8行目の「とする」の次に「被控訴人の」を加え、11行目の「車両」を「本件車両」に改め、15行目の「であり」の次に「、このような依頼の方法及び態様に照らせば」を加える。 20頁7、8行目の「とする」の次に「被控訴人の」を加え、11行目の「車両」を「本件車両」に改め、15行目の「であり」の次に「、このような依頼の方法及び態様に照らせば」を加える。 21頁2行目の「危害」を「重大な害」に、6、7行目の「甲15、乙3、4」を「認定事実」にそれぞれ改め、9行目の「」の次に 「イ」を、同行目の「そのような」の次に「本件各器具の」をそれぞれ加え、10行目の「護身用として」を削る。 21頁17、18行目の「工事業者の業務上」を「工事業者としての業務において」に改め、25行目の「」の次に「イ」を、25、26行目の「ついて」の次に「A巡査長らから」を、22頁2行目の「仕事 で」の次に「ガラス割りとして」をそれぞれ加え、3行目の「とも捉えられるものである」を削り、5行目の「主張するが」の次に「、車が水没したときに車内から脱出するために利用することと、工事業者が業務上利用することとは、明らかに場面を異にするというべきである。また」を加え、6行目の「ことから」を「ところ」に改める。 イ当審における被控訴人の主張について - 12 - 被控訴人は、前掲最高裁昭和55年9月22日第三小法廷決定について、交通違反の予防、検挙を主な目的とし、特定人に対する特定の犯罪の嫌疑を前提としない場合についての限定的な判断を示したものであって、特定人に対する特定の犯罪の嫌疑がある場合の職務質問については、上記決定の射程は及ばず、警察法2条1項によっては適法とされ得 ず、被控訴人に対する職務質問についても、警察法2条1項を根拠に適法とすることはできない旨主張する。 しかしながら、警察法2条1項は、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保 れ得 ず、被控訴人に対する職務質問についても、警察法2条1項を根拠に適法とすることはできない旨主張する。 しかしながら、警察法2条1項は、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とす る。」として、交通の取締りのみならず、個人の生命及び身体等の保護に任じ、犯罪の予防その他公共の安全と秩序の維持に当たることが警察の責務である旨定めているところ、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア(20頁7行目から17行目まで。当審における補正部分を含む。)において説示したとおり、職務質問直前の被控 訴人の挙動は、警察官との接触を避けようとする被控訴人の意思を一応うかがわせるものであるから、A巡査長が被控訴人に声をかけて質問したことは、犯罪の予防その他公共の安全と秩序の維持に当たることといった警察の上記責務を達成するために必要な活動といえるものであり、これに加えて、A巡査長が、停車中の本件車両内にいた被控訴人に 声をかけ、本件車両内に危険な物品がないか確認させてもらうことを依頼したのに対し、被控訴人は、即時に了承してこれに応じたという状況であったことが認められることからして、A巡査長の被控訴人に対する質問及び本件車両内の確認の依頼は、被控訴人の任意の協力を求める形で行われたものであって、このような依頼の方法及び態様に照らせば、 被控訴人の自由が不当に制約されたともいえず、そうであれば、A巡査 - 13 -長が被控訴人に対して質問を開始し、本件車両内の確認を求めた行為が違法であったとはいえないというべきであり、被控訴人の主張は、上記説示に照らし、採用することができない。 巡査 - 13 -長が被控訴人に対して質問を開始し、本件車両内の確認を求めた行為が違法であったとはいえないというべきであり、被控訴人の主張は、上記説示に照らし、採用することができない。 被控訴人は、本件各器具について、普段使用するボールペン等の筆記具と大きく変わらない形状、重量であり、通常想定される用法によれ ば、他人に危害を加えるものはなく、また、ガラス割りとしても販売されているものであるから、軽犯罪法1条2号の「刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当するとみる余地はないとし、また、先細りしている物の細い方を小物入れ等に差し込んで収納することは、収納方法として極めて通 常のものであり、これをもって同号の「隠して」に該当するとみることは常識に反するとして、被控訴人による本件各器具の所持につき、同号に該当する余地はなかったから、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続したことは違法である旨主張する。 しかしながら、本件各器具は、一方又は両方向の先端に向かって先細 りしている形状であることや、本体の中央部分にくびれがあって、握りやすい構造をしていることからすれば、その使用方法によっては、人の身体に重大な害を加えるために用いられることも疑われる器具であって、仮に被控訴人が主張するようなガラス割りの用途に用いられるものであったとしても、そのような使用方法が必ずしも広く認知されている わけではなく、また、いずれも護身用としての用途も有する器具として一般に販売されていることが認められるものであり、さらに、本件各器具については、本件車両内において、先細りしている先端部分から小物入れに差し込まれ、その先細りしている状況が外部から見えない 具として一般に販売されていることが認められるものであり、さらに、本件各器具については、本件車両内において、先細りしている先端部分から小物入れに差し込まれ、その先細りしている状況が外部から見えない状態にあったところ、そのような本件各器具の収納場所や収納状況にも照らす と、A巡査長らにおいて、被控訴人が正当な理由がなく本件各器具を隠 - 14 -して携帯している可能性を疑ったことについては、一応の合理性があったというべきであることは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2イ(20頁19行目から21頁16行目まで。当審における補正部分を含む。)において認定説示したとおりであって、被控訴人の上記主張は、上記認定説示に照らし、採用することができない。 被控訴人は、被控訴人が工事業者であることから、その業務において本件各器具を使用するのであって、被控訴人が本件各器具を所持することに「正当な理由」(軽犯罪法1条2号)があることは明らかであり、また、職務質問の際に、本件各器具を携帯していた理由について被控訴人が回答した内容は、車の水没のときにも使用し、仕事で緊急にガラス を割るときにも使用するという点に収れんするものであって、被控訴人においては、その回答の内容を変遷させたのではなく、説明の具体化をしたものとみるべきであるなどとして、被控訴人による本件各器具の所持につき、軽犯罪法1条2号に該当する余地はなかったから、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続したことは違法である旨主張す る。 しかしながら、本件証拠上、A巡査長らにおいては、本件各器具の携帯理由に関して追及された際の被控訴人の様子や被控訴人の説明内容等から、本件各器具については軽犯罪法違反の嫌疑があり、その携帯理 しかしながら、本件証拠上、A巡査長らにおいては、本件各器具の携帯理由に関して追及された際の被控訴人の様子や被控訴人の説明内容等から、本件各器具については軽犯罪法違反の嫌疑があり、その携帯理由についてより詳細な事情を聴取する必要があると判断して、被控訴人に 対する職務質問を継続したものと認められるところ、被控訴人が、上記携帯理由についてA巡査長らから質問された際、当初は、車が水没したときに車内からガラスを割って脱出するために持っていた旨回答したものの、その後、更に質問された際には、本件各器具を仕事でガラス割りとして利用している旨回答し、その回答内容を変遷させたこと(この点 について、被控訴人は、上記2回目の回答はガラスを割る場面について - 15 -詳細な説明を加えたにすぎず、説明内容を変遷させたものではないなどと主張するが、車が水没したときに車内から脱出するために利用することと、工事業者が業務上利用することとは、明らかに場面を異にするから、同主張は採用し難いものというほかない。)などから、A巡査長らが、本件各器具の携帯理由に関する被控訴人の説明を鵜呑みにすること なく、詳細な事情を聴取する必要があると判断して被控訴人に対する職務質問を継続したことに一応の合理性があったものというべきであって、A巡査長らがその職務質問を継続したことが違法であると認めることはできないことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2イ(21頁17行目から22頁13行目まで。当審におけ る補正部分を含む。)において認定説示したとおりであり、被控訴人の上記主張は、上記認定説示に照らし、採用することができない。 中野署への任意同行について次のとおり補正し、当審における被控訴人の主張に対する判断 定説示したとおりであり、被控訴人の上記主張は、上記認定説示に照らし、採用することができない。 中野署への任意同行について次のとおり補正し、当審における被控訴人の主張に対する判断を付加するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の2記載のとおりであるから、 これを引用する。 ア原判決の補正 22頁15行目の「中野署への」の次に「被控訴人の」を加え、17行目の「原告本人は」を「本人尋問において」に改める。 23頁2行目の「求めてから」の次に「中野署への」を、7行目の 「中野署への」の次に「被控訴人の」をそれぞれ加える。 23頁14行目の「なかったため」を「なかったというべきであるから、E巡査長が被控訴人に対して中野署への任意同行を求めたことが」に改める。 イ当審における被控訴人の主張について 被控訴人は、警察官が被控訴人に対する職務質問を継続する必要性は - 16 -なかったから、警察官が被控訴人に対して中野署への任意同行を求める必要性もなかった旨主張するが、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続したことが違法であると認めることはできないことは、前記イ及びにおける認定説示のとおりであって、被控訴人の上記主張は、その前提において失当であり、採用することができない。 また、被控訴人は、被控訴人について更なる事情聴取の必要があったとしても、被控訴人の住所及び氏名が明らかになっていた以上、後日の出頭を要請することもできたのであるから、警察官が被控訴人に対して中野署への任意同行を求める必要性はなかった旨をも主張するが、上記認定説示のとおり、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続した ことが違法であ できたのであるから、警察官が被控訴人に対して中野署への任意同行を求める必要性はなかった旨をも主張するが、上記認定説示のとおり、A巡査長らが被控訴人に対する職務質問を継続した ことが違法であると認めることはできず、また、幹線道路である本件道路上での職務質問を継続することが被控訴人にとって好ましい状況ではなかったというべきであることからして、E巡査長が被控訴人に対して中野署への任意同行を求めたことが相当性を欠く措置であったともいえず、そうであれば、警職法2条2項に照らし、E巡査長が被控訴人に対 して中野署への任意同行を求め、中野署へ移動したことが違法であるとは認められないことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ウ(23頁9行目から17行目まで。当審における補正部分を含む。)における認定説示のとおりであって、被控訴人の上記主張は、直ちに上記認定説示を左右するものではなく、採用することができ ない。 被控訴人は、被控訴人が翌朝早くから仕事の予定がある旨をA巡査長らに伝えていたこと、被控訴人が警察官らに囲まれて威圧されていたとの被控訴人の供述は何ら不自然ではなく、被控訴人は中野署への移動を事実上強制されていたというべきであることからして、被控訴人が任意 に中野署に移動したと評価することはできない旨主張する。 - 17 -しかしながら、中野署への被控訴人の任意同行が強制力を伴うものであったとの被控訴人の主張を採用することができないことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア及びイ(22頁15行目から23頁8行目まで。当審における補正部分を含む。)において認定説示したとおりであって、被控訴人の上記主張は、上記認定説示を 左右するものではなく、採用 の判断」の2ア及びイ(22頁15行目から23頁8行目まで。当審における補正部分を含む。)において認定説示したとおりであって、被控訴人の上記主張は、上記認定説示を 左右するものではなく、採用することができない。 中野署における取扱状況について次のとおり補正し、当審における被控訴人の主張に対する判断を付加するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の2記載のとおりであるから、これを引用する。 ア原判決の補正 23頁22行目の「原告本人は」を「本人尋問において」に改める。 24頁24、25行目の「破れたとして、ポケット」を「破れたという事実があった旨主張し、本人尋問においてこれに沿う供述をするとともに、右ポケット」に改め、25頁3行目末尾に「加えて、被控訴人に 係る写真撮影及び指掌紋記録作成後に実施された被控訴人立会いの下での本件車両内の撮影(認定事実カ、キ参照)に係る車両内写真撮影報告書(乙1)の写真2には、当該ジャンパーの右ポケットに右手を入れながら左手で本件車両内の撮影対象箇所を指差しする被控訴人の姿が写っているが、同写真からは、当該右ポケットに上記の縫い目の破れが あるとは認められず、このことからも、被控訴人提出の上記写真(甲24)に本件当時の状況を推測させるものとしての証明力を認めることは困難である。」を、11行目末尾に改行の上、次をそれぞれ加える。 「 さらに、被控訴人は、被控訴人が中野署に到着した直後、当番警察官が被控訴人を取調室に連行する際に、エレベーター内で被控訴人の首を 鷲づかみにし、被控訴人の首をエレベーター内の壁側に向け、動かない - 18 -ようにエレベーター内の奥の壁に押さえ付けるなどの暴行を加えた旨主張し、 に、エレベーター内で被控訴人の首を 鷲づかみにし、被控訴人の首をエレベーター内の壁側に向け、動かない - 18 -ようにエレベーター内の奥の壁に押さえ付けるなどの暴行を加えた旨主張し、本人尋問でも同旨の供述をするとともに、その際に当番警察官が被控訴人の腰部を思い切り蹴った旨の供述をするが、これらの事実については、被控訴人が、平成31年3月4日頃、本件被疑事件に係る同年2月4日夜から同月5日朝までにかけての取調べ等の時系列や問題点を 詳しく記載した弁護士宛ての甲2書面には、その記載が存しないところ(認定事実ア)、仮に、上記のような警察官による明確な暴行等の事実が存在したのであれば、被控訴人が取調べ等の問題点を弁護士に伝える趣旨で作成したことが明らかな甲2書面に当該暴行等に係る事実の記載をしないことは甚だ不自然であるといえ、甲2書面に当該事実の記載 がないことは、当該事実についての被控訴人の上記供述の信用性に大いに疑問を生じさせるものといえる。」 26頁6行目の「原告本人も」を「本人尋問において」に改める。 27頁14行目の「は否定できないから」を「があったことは否定することができないから、警察官において」に、15行目の「なかったと はいえない」を「あったものと認められる」にそれぞれ改める。 イ当審における被控訴人の主張について 当番警察官等による暴行及び差別的言動について被控訴人は、前記第2の3ウのとおり、当番警察官等による暴行及び差別的言動について、被控訴人の主張は一貫しており、被控訴人の 供述は信用することができるものであるのに対し、控訴人の主張及びこれに沿う控訴人側の証人らの証言はいずれも信用することができないものである旨主張す 、被控訴人の主張は一貫しており、被控訴人の 供述は信用することができるものであるのに対し、控訴人の主張及びこれに沿う控訴人側の証人らの証言はいずれも信用することができないものである旨主張する。 しかしながら、当番警察官等による暴行及び差別的言動に係る被控訴人の供述については、その内容が本件証拠上認められる当時の状況に照 らして不自然なものであるとともに、被控訴人が取調べ等の問題点を弁 - 19 -護士に伝える趣旨で作成したことが明らかな甲2書面に当該暴行等に係る事実の記載がないことからしても、当該事実についての被控訴人の上記供述の信用性には疑問があること、被控訴人がその主張や供述の裏付けとして提出する右ポケットの縫い目が破れているジャンパーの写真(甲24)については、その撮影時期からして本件当時の状況を推測さ せるものとして高い証明力を有するものとはいえない上、車両内写真撮影報告書(乙1)の写真2(被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成後に撮影されたものであり、当該ジャンパーの右ポケットの状態が写っているもの)に照らしても証明力を認め難いこと、被控訴人が同じく提出する左膝捻挫と診断された診断書(甲4)についても、その受診 時期等に照らして、被控訴人が本件当日に上記の傷害を負ったとの事実を強く裏付けるものではないこと、したがって、上記の被控訴人提出の写真(甲24)及び診断書(甲4)を踏まえても、被控訴人の上記供述を信用することはできず、他に被控訴人の上記供述を裏付ける的確な証拠もないことからして、被控訴人の上記主張を採用することができない ことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア(23頁19行目から25頁15行目まで。当審における補正部分を含む。)における認定説 控訴人の上記主張を採用することができない ことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア(23頁19行目から25頁15行目まで。当審における補正部分を含む。)における認定説示に照らして明らかである。 所持品検査についてa 被控訴人は、所持品検査に先行する被控訴人に対する職務質問が違 法である以上、所持品検査も違法である旨主張するが、被控訴人に対する職務質問が違法であるとは認められないことは、前記における認定説示のとおりであって、被控訴人の上記主張は、その前提において失当であり、採用することができない。 b 被控訴人は、被控訴人において所持品検査について承諾したとの事 実はなく、所持品検査は違法である旨主張するが、所持品検査につい - 20 -ては、被控訴人の承諾を得て行われたものと認められ、適法に行われた被控訴人に対する職務質問と密接に関連するものであって、その方法・態様が相当性を欠くものとはいえず、違法であるとは認められないこと、これに反する被控訴人の供述は信用することができないことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2イ(2 5頁16行目から26頁20行目まで。当審における補正部分を含む。)において認定説示したとおりであり、被控訴人の上記主張は、上記認定説示に照らし、失当であることが明らかである。 c 被控訴人は、一貫して正当性を主張している被控訴人が自傷行為を図るおそれはなかったから、所持品検査の必要性はなかった旨主張す るが、被控訴人に対して行われた所持品検査が違法であるとは認められないことは、前記bの認定説示のとおりであって、被控訴人の上記主張は、上記認定説示を左右するものではない。 また、 るが、被控訴人に対して行われた所持品検査が違法であるとは認められないことは、前記bの認定説示のとおりであって、被控訴人の上記主張は、上記認定説示を左右するものではない。 また、被控訴人は、仮に、被控訴人に対する所持品検査の必要性が認められたとしても、警察官が被控訴人の陰部や肛門周辺を執拗に触 れたことについては、必要性がなく、相当性も欠くことから、当該所持品検査は違法なものである旨をも主張するが、本件証拠上、同主張に沿う事実が認められないことは、前記引用に係る原判決の「第3当裁判所の判断」の2ア(23頁19行目から25頁15行目まで。当審における補正部分を含む。)における認定説示のとおりで あって、被控訴人の上記主張は、理由がなく、前記bの認定説示を左右するものではない。 写真撮影及び指掌紋記録作成についてa 被控訴人は、前記第2の3ウaのとおり、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成の必要性について、その必要性がなかったと はいえないとの消極的な要件では足りないとし、その必要性があった - 21 -のであれば、速やかにこれらを実施すべきところ、被控訴人に対する写真撮影等が実施されたのは、取調べの終盤であったから、これらについては、その必要性がなかったものというべきである旨等を主張する。 しかしながら、警察官が、被控訴人に対する取調べの後、被控訴人 の供述の裏付け捜査等を実施するに当たり、被控訴人と特定の者との同一性を確認したり、被控訴人が物品を手で触ったかどうかを確認したりする必要が生ずる可能性があったことは否定することができず、警察官において、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成を行う必要性があったものと認められることは、前記 を手で触ったかどうかを確認したりする必要が生ずる可能性があったことは否定することができず、警察官において、被控訴人に係る写真撮影及び指掌紋記録作成を行う必要性があったものと認められることは、前記引用に係る原判決の 「第3 当裁判所の判断」の2ウ(27頁6行目から15行目まで。当審における補正部分を含む。)において認定説示したとおりであって、上記のとおり被控訴人が主張するところは、上記認定説示を左右するものではなく、採用することができない。 b 被控訴人は、前記第2の3ウbのとおり、被控訴人においては 写真撮影及び指掌紋記録作成について承諾していなかった旨主張するが、本件証拠上認められる被控訴人に対する取調べに係る事実経緯からして、被控訴人が写真撮影及び指掌紋記録作成に承諾していなかったとは考え難いことは、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア(23頁19行目から25頁15行目まで。当審にお ける補正部分を含む。)における認定説示に照らして明らかであって、被控訴人の上記主張は採用することができない。 取調べを中心とする平成31年2月4日及び同月5日を通じた取扱状況についてア被控訴人に対する取調べが実質的な逮捕に当たり違法なものであるかど うかについて - 22 -次のとおり補正するほか、原判決の「第3 当裁判所の判断」の2ア及びイ記載のとおりであるから、これを引用する。 27頁23行目の「約5時間」を「、調書作成時間や鑑識資料作成のための中断時間も含めて約5時間にわたって」に改める。 28頁6行目の「などの事情に照らすと」を「、甲2書面には、被控 訴人が取調べを拒絶した旨の記載がないこと(認定事実ア)、か ための中断時間も含めて約5時間にわたって」に改める。 28頁6行目の「などの事情に照らすと」を「、甲2書面には、被控 訴人が取調べを拒絶した旨の記載がないこと(認定事実ア)、かえって、被控訴人は、取調べにおいて、その2週間ほど前に戸塚署の警察官から職務質問を受けた際に、同警察官が警視庁本部に確認を行い、本件各器具を所持することが違法ではない旨確認されたなどと主張して、警視庁本部に本件各器具を所持することが違法であるか否かの確認をとる ように求めていたこと(認定事実イ)等の事情に照らせば、被控訴人が」に改める。 イ被控訴人に対する取調べが任意捜査として許されないものであり違法なものであるかどうか及び同取調べ終了後に行われた捜査が違法なものであるかどうかについて 本件被疑事件は、被控訴人が正当な理由がなく凶器である本件各器具を隠して携帯していたという軽犯罪法違反被疑事件であるところ、本件各器具が、警察官が本件車両内を確認した際に発見されたものであり、被控訴人が、A巡査長による職務質問に対し、本件各器具を仕事で使用するために携帯していたなどと回答していたことからすれば、被控訴人 に対する取調べにおいて主として解明すべき事項は、被控訴人が本件各器具を携帯することについての正当な理由の有無や、本件各器具を隠していたことについての犯意の有無(以下、これらの事項を併せて「本件事項」という。)であったといえる。 そして、前記認定(認定事実イ)のとおり、被控訴人は、職務質問 において、本件各器具の携帯理由についてA巡査長らから質問された - 23 -際、当初は、車が水没したときに車内からガラスを割って脱出するために持っていた旨回答したものの、E巡査長から本件車 において、本件各器具の携帯理由についてA巡査長らから質問された - 23 -際、当初は、車が水没したときに車内からガラスを割って脱出するために持っていた旨回答したものの、E巡査長から本件車両のハンドル下側には別のガラス割りが取り付けられていたことを指摘されると、当該ガラス割りは本件車両を買ったときに付いていたものであるから知らない旨答え、本件各器具の携帯理由について更に追及されると、本件各器具 を仕事でガラス割りとして使用しているとか、車の水没のときにも使用し仕事でも使用するなどと回答したことが認められるところ、職務質問におけるこのような被控訴人の回答ぶりについては、被控訴人が、A巡査長らからの質問に対して本件各器具の携帯理由を説明する中で、客観的事情に反する旨の追及を受けた結果、その説明内容を不自然に変遷さ せたものとみることができるものといえる。さらに、前記認定(認定事実イ)のとおり、C警部補は、被控訴人と共に中野署に移動した後のA巡査長及びE巡査長から、上記の被控訴人に対する職務質問の状況等についての説明を受け、その状況等を把握していたことが認められる。 そうすると、C警部補が本件事項を明らかにするためには、本件各器 具の携帯理由についての被控訴人の説明内容が不自然に変遷しているとみられるものであったことを踏まえ、その変遷の理由等を含め、被控訴人の説明内容の合理性を多様な観点から検証し、被控訴人に対する取調べにおいて慎重に追及する必要があったということができる。また、被控訴人は、C警部補による聴取に対し、おおむね一貫して、本件各器具 を仕事でガラス割りの用途に使用するためにインターネットサイトで購入し、携帯していたなどと供述していたことが認められるものの(認定 事実 イ)、被控訴人 取に対し、おおむね一貫して、本件各器具 を仕事でガラス割りの用途に使用するためにインターネットサイトで購入し、携帯していたなどと供述していたことが認められるものの(認定 事実 イ)、被控訴人は、自身の仕事について、東京都水道局を通じて依頼される緊急工事等に携わっているなどと説明しており(認定事実エ参照)、水道関係の工事においてガラスを割るための器具の使用を必 要とする場合があるということが自明であるとはいえない(なお、被控 - 24 -訴人自身も、本人尋問において、本件各器具を水道関係の工事で使うことはない旨供述している(被控訴人本人尋問調書33頁参照)。)ことからすると、本件事項を明らかにするためには、本件各器具を水道関係の工事においてガラス割りの用途に使用するとの点についても、被控訴人に対する取調べにおいて慎重に追及する必要があったということがで きる。さらに、前記引用に係る原判決の「第3 当裁判所の判断」の2イ(28頁3行目から9行目まで。当審における補正部分を含む。)における説示のとおり、被控訴人が取調べの時点においてこれを明示的に拒絶する態度を示していたとまで認めることはできないこと、本件証拠上、被控訴人が、取調べ中に明示的に帰宅することを求めたものとみ られる事情までは認められず、かえって、被控訴人は、警視庁本部に本件各器具を所持することが違法であるか否かを確認するように求めるなど、積極的に取調べに応じていたことが認められることのほか、被控訴人に対する取調べは午後10時30分頃から午前3時30分頃までの5時間にわたって実施されたものの、その時間には、調書の作成時間や鑑 識資料の作成時間も含まれており(認定事実エ)、また、被控訴人が供述調書の末尾に取調べを受ける理由はない旨を付け加えるこ 時間にわたって実施されたものの、その時間には、調書の作成時間や鑑 識資料の作成時間も含まれており(認定事実エ)、また、被控訴人が供述調書の末尾に取調べを受ける理由はない旨を付け加えることなどを要望したため、C警部補が被控訴人の要望に応じて、供述調書の末尾に文言を付け加えた供述調書を作成し直して読み聞かせを行ったこと(前同)からして、これにも一定の時間を要したものと考えられることなど に照らせば、被控訴人に対する取調べについては、本件被疑事件が軽犯罪法違反の罪という比較的軽微な罪に係るものであって、前記認定のとおり深夜にわたり継続して行われたものであることを踏まえても、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度を超えた違法なものであるとまでは認めることができない。 これに対し、被控訴人は、C警部補による取調べ中、何度も帰宅を求 - 25 -めた旨主張する。 確かに、被控訴人は、中野署への任意同行を求められた際、翌日早朝から仕事がある旨を述べて一旦は難色を示した上で、警察官の説得に応じ任意同行を承諾しており(認定事実ウ)、被控訴人が当初から積極的に取調べに応じていたとまでは認め難い。 しかしながら、被控訴人が、取調べにおいて、その2週間ほど前に警視庁戸塚署の警察官から職務質問を受けた際に、同警察官が警視庁本部に確認を行い、本件各器具を所持することが違法ではない旨確認されたなどと主張して、警視庁本部に本件各器具を所持することが違法であるか否かの確認をとるように求めていること(認定事実イ)に照らせ ば、被控訴人においては、本件各器具の所持が軽犯罪法1条2号に該当するものではない旨を積極的に主張し、その限りでは、自らの嫌疑を晴らすために、取調べに積極 ていること(認定事実イ)に照らせ ば、被控訴人においては、本件各器具の所持が軽犯罪法1条2号に該当するものではない旨を積極的に主張し、その限りでは、自らの嫌疑を晴らすために、取調べに積極的に応じていたものとみることができる。さらに、被控訴人作成の甲2書面には、被控訴人の上記主張に沿う事実の記載が存しないところ(認定事実ア)、仮に、当該事実が存在したの であれば、被控訴人が取調べ等の問題点を弁護士に伝える趣旨で作成したことが明らかな甲2書面に当該事実の記載をしないことは甚だ不自然であるということができる。これらの事情に鑑みると、本件証拠上、被控訴人の上記主張事実は認められないものといわざるを得ず、被控訴人の上記主張は、前記の認定説示を左右するものではなく、採用するこ とができない。 なお、被控訴人は、被控訴人が自宅にいる妻と連絡を取りたい旨を申し出たが、警察官においては、これを全く取り合わず、被控訴人が妻に対して直接電話をかけることを許さなかった旨をも主張する。 しかしながら、前記認定(認定事実ウ)のとおり、被控訴人がB巡 査に対して携帯電話を使用して自宅に電話をしたい旨申し出たところ、 - 26 -B巡査が被控訴人に対して取調中であることから警察官が代わって被控訴人の自宅に電話連絡をする旨提案してその承諾を求め、被控訴人がこれを承諾したことから、B巡査において、被控訴人の自宅に電話をかけ、電話に出た被控訴人の妻に対し、被控訴人が携帯していた物品について被控訴人から事情を聴取している旨の連絡をしたことが認められ、 当該事実経緯については、被控訴人に対する取調べが違法であるとみるべき事情を見いだすことはできず、被控訴人の上記主張は、前記の認定説示を左右するものではな いる旨の連絡をしたことが認められ、 当該事実経緯については、被控訴人に対する取調べが違法であるとみるべき事情を見いだすことはできず、被控訴人の上記主張は、前記の認定説示を左右するものではなく、採用することができない。 以上のとおり、被控訴人に対する取調べについては、違法なものであるとまでは認めることができない。 そして、被控訴人に対する取調べ終了後に引き続いて行われた、被控訴人を立会人とする本件車両内の写真撮影や被控訴人の住居の確認についても、前記認定(認定事実キ及びク並びに同)のとおり、いずれも被控訴人の承諾の下に行われており、その方法及び態様に照らし、社会通念上相当と認められる限度内にあるものというべきであるから、こ れらが違法なものであるということはできない。 4 以上によれば、被控訴人の主張に係る本件における警察官の行為については、いずれもが国家賠償法上違法であるとは認められないから、その余の点について判断するまでもなく、被控訴人の請求は全部理由がないものといわざるを得ない。 5 よって、被控訴人の請求を一部認容した原判決は失当であって、控訴人の本件控訴は理由があるから、原判決中、控訴人の敗訴部分を取り消した上、同取消部分に係る被控訴人の請求を棄却し、また、被控訴人の本件附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 - 27 -東京高等裁判所第22民事部 裁判長裁判官相澤哲 裁判官加藤聡 裁判官内田めぐみ 官加藤聡 裁判官内田めぐみ
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