【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人島内龍起の上告趣意第一点について。 論旨は、検察官及び被告人は被告人を懲役三年に処し四年間刑の執行を猶予した 第
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人島内龍起の上告趣意第一点について。 論旨は、検察官及び被告人は被告人を懲役三年に処し四年間刑の執行を猶予した第一審判決に対して控訴の申立をしたところ、原審は双方の控訴趣意書の陳述を聞いたのみで事実の取調をせずに結審した上第一審判決を破棄し、刑訴四〇〇条但書により被告人を懲役一〇月(未決勾留日数中六〇日算入)に処する旨の判決を言い渡し、右刑の執行はこれを猶予しなかつた。しかし刑訴四〇〇条但書が控訴裁判所をして事実審理を行わないで第一審裁判所の事実認定と量刑を被告人の不利益に変更することを可能ならしめるものとすれば、右条項は憲法三七条一項及び八二条一項に違反するから、右刑訴法の規定を本件に適用した原判決は違憲であり、少くとも原審が本件の場合に右規定によつたことは刑訴四〇〇条但書の解釈適用を誤つた違法があるというに帰する。 しかし、控訴審が検察官からの第一審判決の量刑は不当であるとの控訴趣意に基き第一審判決の量刑の当不当を審査するにあたつては、常に控訴審自ら事実の取調をしなければならないものではなく、訴訟記録及び第一審において取り調べた証拠によつて、その量刑の不当なことが認められるときは、控訴審は自ら事実の取調をしないで、第一審判決の刑より重い刑を言い渡しても刑訴四〇〇条但書の解釈を誤つたものということはできず、その裁判は憲法三七条一項の裁判ではないということのできないことは、すでに当裁判所の判示したとおりである(昭和二七年(あ)第四二二三号昭和三一年七月一八日大法廷判決、刑集一〇巻七号一一七三頁参照)。 そして本件控訴審においては、昭和二六年九月一三日公開法廷で公判審理が行われ、右期日に被告人は適法な通知を受けたが出頭せず、検察官及び弁護人はいずれも出- 法廷判決、刑集一〇巻七号一一七三頁参照)。 そして本件控訴審においては、昭和二六年九月一三日公開法廷で公判審理が行われ、右期日に被告人は適法な通知を受けたが出頭せず、検察官及び弁護人はいずれも出- 1 -席して控訴趣意書に基いて弁論し互に意見を陳述した上弁論が終結されたこと記録によつて明らかであるから、憲法三七条一項、八二条一項の違反を主張する論旨も当らない。されば、原判決には所論の違憲違法はない。 同第二点について。 論旨は、原判決は検察官の控訴趣意並びに弁護人の控訴趣意二につき、「原審の科刑は不当であると思われるので、論旨は結局においていずれも理由がある」と説示しているが、第一審判決の量刑過重を主張する弁護人の控訴趣意と、同判決の量刑過軽を主張する検察官の控訴趣意とがいずれも理由があるということは論理上不能であるから、原判決には理由そごの違法があり、当裁判所の判例に違反すると主張する。 量刑が軽きにすぎるという主張と、量刑が重きにすぎるという主張とは量刑が不当であることを主張する点において共通するのであるから、原判決が判示のように第一審の科刑は不当であると思われるので論旨は結局においていずれも理由があると説明したからといつて所論の違法はなく、また引用の判例に違反するところもない。 同第三点について。 所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。 よつて、刑訴四〇八条に従い主文のとおり判決する。 この判決は、上告趣意第一点について裁判官栗山茂、同真野毅、同小谷勝重、同谷村唯一郎、同小林俊三の後記少数意見があるほか、裁判官の一致した意見である。 裁判官栗山茂、同真野毅、同小谷勝重、同谷村唯一郎、同小林俊三の少数意見は、本件のように第一審の刑 野毅、同小谷勝重、同谷村唯一郎、同小林俊三の後記少数意見があるほか、裁判官の一致した意見である。 裁判官栗山茂、同真野毅、同小谷勝重、同谷村唯一郎、同小林俊三の少数意見は、本件のように第一審の刑の執行猶予を附した判決を第二審において破棄し自判によつてこれを実刑に改めるには自ら事実の取調を行うことを要し、さもなければ第一- 2 -審に差し戻すべきものである。この点において原判決は違法たるを免れないから破棄すべきものであるというのである。 なお、裁判官栗山茂、同小谷勝重、同谷村唯一郎は、昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年六月二二日大法廷判決(刑集九巻八号一一八九頁)、昭和二七年(あ)第四二二三号同三一年七月一八日大法廷判決(刑集一〇巻七号一一七三頁)において述べた少数意見をそれぞれここに引用するほか、裁判官真野毅は昭和二八年(あ)第一七一三号同三二年三月一三日大法廷判決(刑集一一巻三号九九七頁)、昭和二七年(あ)第四二二三号同三一年七月一八日大法廷判決(刑集一〇巻七号一一七三頁)において述べた少数意見を、裁判官小林俊三は昭和二七年(あ)第五九七号同二九年六月八日第三小法廷判決(刑集八巻六号八二一頁)において述べた少数意見及び昭和二八年(あ)第一七一三号同三二年三月一三日大法廷判決(刑集一一巻三号一〇二七頁)において述べた少数意見を引用する。 昭和三三年七月二日最高裁判所大法廷裁判長裁判官田中耕太郎裁判官小谷勝重裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁 裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官河村又介裁判官入江俊郎裁判官池田克裁判官垂水克己裁判官栗山茂、同真野毅、同岩松三郎、同谷村唯一郎、同小林俊三、同本村善太- 3 -郎は退官につき署名押印することができない。 裁判長裁判官田中耕太郎- 4 -
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