主文 1 原判決を取り消す。 2 神奈川県公安委員会が控訴人に対して平成22年4月14日付けでした運転免許取消処分を取り消す。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨主文同旨 2 控訴の趣旨に対する答弁本件控訴を棄却する。 第2 事案の概要1(1) バングラデシュ人民共和国の国籍を有する外国人である控訴人は,平成16年法律第90号による道路交通法の改正(平成19年6月2日施行)の後に,埼玉県公安委員会から第1種運転免許のうち普通自動車運転免許(以下「本件免許」という。)を受けていた者であるところ,神奈川県公安委員会は,中型自動車である本件車両(原判決3頁5行目参照)を運転した控訴人の行為(以下「本件運転行為」という。)が無免許運転(道路交通法64条)に当たり,その基礎点数19点(同法施行令別表第二の一)を控訴人のそれまでの道路交通法違反行為による累積点数4点に加算すると累積点数が23点に達したとして,控訴人に対し,平成22年4月14日付けで,道路交通法103条1項5号,同法施行令38条5項1号イに基づき,本件免許の取消処分(以下「本件取消処分」という。)をするとともに,道路交通法103条7項,同法施行令38条6項2号ホに基づき,運転免許を受けることができない期間を同日から1年間と指定する処分(以下「本件指定処分」といい,本件取消処分と一括して「本件各処分」という。)をした。 なお,本件車両が中型自動車に当たるのは,道路交通法3条,同法施行規則2条に基づく自動車の区分に 本件指定処分」といい,本件取消処分と一括して「本件各処分」という。)をした。 なお,本件車両が中型自動車に当たるのは,道路交通法3条,同法施行規則2条に基づく自動車の区分によるものである。この区分は,自動車等の運行方法の記載及び運転免許行政上の必要性によるものであり,自動車等に関する車両行政上の観点から区分される道路運送車両法の規定による自動車等の種類とは若干異なり,必ずしも一致するものではない。自動車検査証(以下「車検証」という。)の「自動車の種別」欄に「普通」とあるのは,道路運送車両法3条に基づく区別であり,道路交通法上の普通自動車とは異なる。 本件車両についても,車検証の「自動車の種別」欄には「普通」と記載されている(乙22)が,道路交通法上は中型自動車に当たることになる。 (2) 本件は,本件運転行為に先立ち,神奈川県警察本部川崎臨港警察署(以下「川崎臨港署」という。)の警察官から,本件免許によって本件車両を運転することが可能であるとの教示を受けていたとする控訴人が,本件運転行為の当時には,本件免許で本件車両を運転することができないとの認識を有しておらず,無免許運転の罪についての故意がなかったのであるから,同罪は成立せず,その成立を前提とする本件各処分は違法なものであるなどと主張して,被控訴人に対し,本件各処分のうち本件取消処分の取消しを求めた事案である。 (3) 原審は,本件免許による本件車両の運転の可否に関する錯誤がいわゆる法律の錯誤にすぎず,故意を阻却するものではないから,その錯誤により違法性の意識を欠いたことについて相当の理由があると認められる場合に限り,無免許運転の罪の成立が否定されるとした上で,警察官の誤解による誤った教示がされたとしても,控訴人には,自動車の運転免許を受け 法性の意識を欠いたことについて相当の理由があると認められる場合に限り,無免許運転の罪の成立が否定されるとした上で,警察官の誤解による誤った教示がされたとしても,控訴人には,自動車の運転免許を受けた者として,本件免許により運転できる車両を調査確認すべき義務があったにもかかわらず,警察官による教示を軽信して,自ら調査確認をする義務を怠ったのであるから,違法性の意識を欠いたことについて控訴人に相当の理由があったとはいえないとして,控訴人の本訴請求を棄却したので,控訴人がこれを不服 として控訴した。 2 「前提事実」は,原判決を次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の第2の2に記載するとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁11行目の「乙3ないし7」を「甲5,乙5ないし7」に改める。 (2) 同23行目から25行目までの「免許を受けることができない期間を1年と指定する免許取消処分(本件処分)を行った(乙8ないし10,弁論の全趣旨)。」を「本件取消処分をするとともに,運転免許を受けることができない期間を同日から1年間と指定する本件指定処分を行った(甲4,乙3,4,8ないし10,弁論の全趣旨)。」に改める。 (3) 同4頁4行目の「弁論の全趣旨」を「当裁判所に顕著である。」に改める。 3 争点本件取消処分の適法性(1) 被控訴人の主張ア普通自動車免許だけしか有していない控訴人が,中型自動車である本件車両を運転する行為が無免許運転の罪の客観的構成要件に該当することは明らかである。 中型自動車免許が新設された平成16年法律第90号による道路交通法の改正以前においては,大型自動車と普通自動車の区別しかなく,普通自動車 構成要件に該当することは明らかである。 中型自動車免許が新設された平成16年法律第90号による道路交通法の改正以前においては,大型自動車と普通自動車の区別しかなく,普通自動車免許により,車両総重量8000㎏未満,最大積載量5000㎏未満,乗車定員10人以下の普通自動車を運転することができるものとされていた。そして,上記改正により新設された中型自動車について,同法改正附則6条2号は,改正法の施行前に取得された普通自動車免許を,車両総重量5000㎏以上8000㎏未満,最大積載量3000㎏以上5000㎏未満の車両に限定した中型自動車免許とみなすこととしているところ,本 件車両は,車両総重量7845㎏,最大積載量3250㎏であるから,上記の新設された中型自動車に当たることになる。したがって,道路交通法の上記改正後においても,改正法の施行前に取得された普通自動車免許で本件車両を運転することは可能であるが,控訴人は,改正法の施行後である平成20年4月10日に外国運転免許証からの切替えによる本件免許を取得しているにすぎないから,本件免許で本件車両を運転することは認められないことになる。さらに,控訴人は,本件車両が車両2台の積載も可能なものであり,普通自動車に比べて大きいことを認識しており,また,平成20年6月25日には,本件車両を自己の名義に変更しており,遅くともこの時点までには,車両総重量や最大積載量を認識していたはずであるから,本件運転行為の当時,本件車両が中型自動車に区分される車体の大きさや構造,原動機の大きさを備えているとの事実を認識していたというべきであり,無免許運転の罪が成立するための故意があったことは明らかである。 イ本件免許で本件車両が運転できると控訴人が川崎臨港署で確認していたとして るとの事実を認識していたというべきであり,無免許運転の罪が成立するための故意があったことは明らかである。 イ本件免許で本件車両が運転できると控訴人が川崎臨港署で確認していたとしても,違法性の意識の存在が犯罪成立の要件ではないとの考え方によれば,本件運転行為について無免許運転の罪が成立することは当然のことであり,また仮に,違法性の意識の可能性の存在を犯罪成立の要件と解するとしても,本件車両は車両総重量7845㎏,最大積載量3250㎏であり,型式や外形等からも一見して普通自動車とは異なるものである上,控訴人は,運転免許取得時に普通自動車免許で運転できる車両についての説明資料を受領しており,さらに,自動車の売買を生業としていることからしても,本件免許では本件車両の運転ができないことを認識し得る可能性があったことは明らかである。 したがって,控訴人による本件運転行為が無免許運転の罪に当たるとした処分行政庁の認定判断は正当であり,これを前提とする本件各処分には 何らの違法がないのであるから,本件取消処分も適法というべきである。 (2) 控訴人の主張ア刑法38条1項所定の「罪を犯す意思」とは,犯罪事実(構成要件該当事実)を認識していることであるが,いわゆる行政刑罰法規の違反の罪については,一般人が犯罪事実をその細部まで正確に理解,認識していることは通常考えられないから,故意があるというために必要とされる認識の内容程度については実質的な観点からの判断が不可欠であるところ,故意犯の責任の本質が行為者に対する責任非難であることを考慮すると,この場合の犯罪事実の認識とは,行為者において反対動機の形成が可能な程度の事実の認識をいうものと解するべきである。 ところで,無 質が行為者に対する責任非難であることを考慮すると,この場合の犯罪事実の認識とは,行為者において反対動機の形成が可能な程度の事実の認識をいうものと解するべきである。 ところで,無免許運転の罪は,いわゆる行政刑罰法規である道路交通法違反の罪であり,故意の対象となるべき禁止事項は,道路交通法だけに定められているものではなく,その具体的内容が同法施行規則に委任されるといういわゆる白地刑罰法規であるため,一般人がその詳細を具体的に知悉しているとは通常想定することができない。しかも,控訴人は,我が国の法令に精通しない外国人であり,本件運転行為の当時,道路交通法上の中型自動車が,同法施行規則2条において,「大型自動車,大型特殊自動車,大型自動二輪車,普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で,車両総重量が5000㎏以上11000㎏未満のもの,最大積載量が3000㎏以上6500㎏未満のもの又は乗車定員が11人以上29人以下のもの」と定められていることを知らなかったのであるから,本件車両が中型自動車に当たるとの認識を有していなかった。 控訴人は,本件車両が普通自動車に比べて大きく,また,法律の改正により,それまで普通自動車免許で運転することができた自動車のうち一定規模以上の自動車を運転することができなくなったということを耳にしていたことから,日本人であり,普通自動車免許を有する妻のAに尋ねたと ころ,同人もよく理解していなかった。そこで,控訴人は,Aとともに川崎臨港署に赴き,同署の警察官に控訴人の免許証と本件車両の車検証の写しを示して,本件免許による本件車両の運転の可否を尋ねたところ,対応した警察官から運転が可能である旨の教示を受けたのである。 したがって,控訴人は,本件運転行為の当 両の車検証の写しを示して,本件免許による本件車両の運転の可否を尋ねたところ,対応した警察官から運転が可能である旨の教示を受けたのである。 したがって,控訴人は,本件運転行為の当時,本件免許では本件車両を運転できないとの反対動機を形成することが可能な程度の事実を認識していなかったのであるから,無免許運転の罪についての故意がなかったというべきである。 イ仮に無免許運転の罪の故意が控訴人について認められるとしても,控訴人は,自己の普通自動車免許(本件免許)による本件車両の運転の可否を調査確認するために川崎臨港署に赴き,同署の警察官から本件車両の運転が可能であることを確認しているのであり,調査確認の方法が不相当なものであったとは解されないから,控訴人が違法性の意識を欠き,かつ,これを欠いたことについて相当の理由があったというべきである。 したがって,控訴人の本件運転行為について無免許運転の罪は成立しないと解するのが相当であり,これと異なる前提に立った本件各処分には裁量権を逸脱濫用した違法があり,本件取消処分も違法というべきである。 第3 争点に対する判断 1 控訴人は,平成16年法律第90号による道路交通法の改正(平成19年6月2日施行)の後に埼玉県公安委員会から第1種運転免許のうち普通自動車免許を受けていただけであるから,中型自動車免許を有していなかった控訴人が中型自動車である本件車両を運転した行為(本件運転行為)が,道路交通法64条に反するものであることは明らかである。 2 控訴人は,本件運転行為の当時,本件車両が本件免許では運転できない自動車であると理解することが可能な程度の事実についての認識がなく,無免許運転の罪の故意がなかったのであるから,無免許運転の罪は成立せず, 人は,本件運転行為の当時,本件車両が本件免許では運転できない自動車であると理解することが可能な程度の事実についての認識がなく,無免許運転の罪の故意がなかったのであるから,無免許運転の罪は成立せず,本件取消 処分の前提とする事実認定に誤りがあると主張する。 しかしながら,道路交通法103条1項は,免許を受けた者が,同項各号のいずれかに該当するときは,政令で定める基準に従い,その者の免許を取り消すことができる旨を定めているところ,本件各処分の根拠(甲4)とされた同項5号では,「自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき」と規定されており,その文言上,道路交通法違反の罪を犯したことをその要件としているわけではない。そして,同法103条1項所定の免許の取消処分等は,将来における道路交通の危険を防止するという行政目的のために行われる処分であるから,客観的に同法に違反する事実があれば,上記のような処分を行うことができると解するべきであり,他方,同法違反の罪が成立し,その刑が確定していることを要しないのはもちろんであるが,同法違反の罪が成立することも上記取消処分の要件とはされていないものと解するのが相当である。そして,本件取消処分が前提とする控訴人の無免許運転については,同法84条において,「自動車等を運転しようとする者は,公安委員会の運転免許を受けなければならない」と定められ,また,同法64条1項において,「何人も,84条1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで,自動車等を運転してはならない」旨を定めているところである。 したがって,本件取消処分の適法性は,まず控訴人についての同法64条違反の事実の有無が中心的な判断基準となるのであり,本件運転行 動車等を運転してはならない」旨を定めているところである。 したがって,本件取消処分の適法性は,まず控訴人についての同法64条違反の事実の有無が中心的な判断基準となるのであり,本件運転行為に関する無免許運転の罪(道路交通法117条の4第2号,64条)の成否は,本件取消処分の適法性の判断に直ちに影響を及ぼすものではないというべきところ,控訴人が客観的に道路交通法64条に反する本件運転行為を行ったことは前述したとおりであるから,処分行政庁がした本件各処分の前提となる道路交通法64条違反の行為が控訴人にあったものと認められることは明らかというべきである。 3(1) そこでさらに検討するところ,控訴人は,川崎臨港署の警察官から本件免許で本件車両の運転が可能である旨の教示を受けたので,本件運転行為の当時,本件免許で本件車両を運転することができると認識していたのであり,控訴人には違法性の意識がなく,かつ,これを欠いたことについて相当の理由があったところ,本件各処分は,このような事情を考慮しておらず,違法なものであると主張する。 ところで,運転免許の取消処分は,将来における道路交通の危険を防止するという行政目的のために行われる処分であるが,自動車の運転を禁止するという重大な制約を運転者に課すものであるから,その目的を達成するために選択された手段が目的実現のために適切なものであることを要するほか,より制約の少ない手段があるにもかかわらず,これを選択せず,過大な制約を伴う手段をあえて採用するなどした場合には裁量権の逸脱濫用の問題が生ずるものというべきである。そして,控訴人が川崎臨港署の警察官から本件免許で本件車両の運転が可能である旨の教示を受け,本件運転行為の当時,本件免許で本件車両を運転することができると認識して 問題が生ずるものというべきである。そして,控訴人が川崎臨港署の警察官から本件免許で本件車両の運転が可能である旨の教示を受け,本件運転行為の当時,本件免許で本件車両を運転することができると認識していたとする控訴人主張の事実は,本件取消処分についての裁量権の逸脱濫用の有無を判断するに当たって考慮されるべき事情には当たり得るものというべきところ,控訴人の主張は,このような観点から本件取消処分について裁量権に逸脱濫用がある旨をいうものと解されるのであり,以下,検討することとする。 (2) 証拠(甲2,8,9,乙22,原審における控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,①控訴人は,新車・中古自動車,オートバイ等及びそれらの部品の輸出入及び販売等を目的とする株式会社Bの代表取締役の地位にあり,主に中古車の売買を営んでいたこと,②本件車両は,長さ741㎝,幅220㎝,高さ295㎝,最大積載量3250㎏,車両重量4430㎏,車両総重量7845㎏の自家用貨物自動車であり,普通自動車より大きい種類のものであることは一見して明らかであること,③控訴人は,営業で売買する自 動車の運搬に使用する目的で本件車両の購入を検討していたところ,自動車2台の積載が可能であり,控訴人自身も少し大きいと認識したことから,本件免許による運転の可否に疑問を抱き,そのことを警察署で確認しようと考えたこと,④控訴人は,前所有者から送信された本件車両の車検証の写しを携帯していたことが認められるのであり,これらの事実を総合すると,中古車の売買等を営む会社の代表者であり,日頃から自動車の区分について関心を有していたはずの控訴人が,普通自動車より大きい本件車両について,控訴人の本件免許による運転の可否を確認する必要性を認識して,本件車両の車検証の写しも日頃から身近に携帯し 自動車の区分について関心を有していたはずの控訴人が,普通自動車より大きい本件車両について,控訴人の本件免許による運転の可否を確認する必要性を認識して,本件車両の車検証の写しも日頃から身近に携帯していたというのであるから,控訴人は,本件運転行為の当時,本件車両が普通自動車に比べて大きく,中型自動車に区分される車体の大きさや構造,原動機の大きさを備えた自動車であるとの事実を認識していたものと認めるのが相当である。 (3) 他方,前記引用に係る前提事実(原判決2頁17行目以下)に加え,証拠(甲7ないし9,乙8ないし10,14(後記採用しない部分を除く。),17,22,原審における証人C(後記採用しない部分を除く。),同A,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア控訴人は,バングラデシュ人民共和国の国籍を有し,平成9年6月26日に短期滞在90日の在留資格で本邦に上陸し,その後,不法に残留していたところ,平成13年ころに知り合った日本人であるAとの婚姻を平成15年11月ころに届け出て,平成17年6月9日には,在留特別許可を取得した。控訴人は,自動車の売買を業としており,平成20年8月27日,株式会社Bを設立して,その代表取締役に就任しているところ,日常的な会話には支障がない程度に日本語を理解しているものの,漢字や複雑な内容の会話には十分に対応することが困難である。 イ平成20年4月ないし5月ころ,知人から本件車両の購入を持ちかけられた控訴人は,業務に使用する目的でその取得を考えたものの,妻である Aの免許証の「種類」欄には「中型」と,「免許の条件等」の欄には「中型車は中型車(8t)に限る」との記載があったにもかかわらず,控訴人の免許証には,「種類」欄に「普通」と記載さ ,妻である Aの免許証の「種類」欄には「中型」と,「免許の条件等」の欄には「中型車は中型車(8t)に限る」との記載があったにもかかわらず,控訴人の免許証には,「種類」欄に「普通」と記載されているだけで,「免許の条件等」欄には何らの記載もなかったことから,Aに対して,本件免許による本件車両の運転の可否を尋ねたところ,Aもこれを判断できず,同人は,警察署で確認するよう控訴人に助言した。 ウ控訴人は,平成20年5月ころ,川崎臨港署の付近を通りかかった際,一緒にいたAから,本件免許による本件車両の運転の可否を確認するよう勧められたので,Aとともに川崎臨港署に赴いた。そして,控訴人は,Aとともに,川崎臨港署交通課の交通総務係長であったC警察官に対し,控訴人の免許証と本件車両の車検証の写しを提示した上で,本件車両の運転の可否を質問したところ,C警察官は,控訴人の免許で本件車両を運転することが可能であるとの趣旨の返答をした。 エ控訴人は,平成20年6月25日ころまでに本件車両の所有権を取得するとともに,同日,自己の名義に登録を変更し,以後,本件車両を業務に利用して,これを運転していた。 オ本件運転行為(平成21年10月25日)の際,これを取り締まった越谷警察署の司法巡査であるD(以下「D巡査」という。)は,控訴人の携帯電話使用等の行為について反則行為として処理したものの,無免許運転の点については気付かないままこれを見逃し,何らの措置もとらなかった。 その後,埼玉県警察本部の交通教育課の指摘により,無免許運転の罪に当たることが判明したとして,同年12月29日,一旦納付された反則金7000円が控訴人に返還された上で,改めて控訴人の本件運転行為が無免許運転の罪に当たるものとして手続が進められ,その後 運転の罪に当たることが判明したとして,同年12月29日,一旦納付された反則金7000円が控訴人に返還された上で,改めて控訴人の本件運転行為が無免許運転の罪に当たるものとして手続が進められ,その後,控訴人は,不起訴処分(起訴猶予)となった。 カ処分行政庁は,平成22年4月14日,控訴人の意見聴取を行った上で, 控訴人に対する本件各処分をしたところ,控訴人は,本件取消処分を不服として,同年10月14日,本件取消処分の取消しを求めて本訴を提起した。 (4) C警察官は,原審において,「外国人男性と日本人女性が川崎臨港署を訪れ,中型自動車免許が新設される前に普通自動車免許を取得したが,外国人の夫の運転免許について相談に来たということであったので,中型制度ができる前に取得したのであれば,今までどおり,最大積載量5トンまでの車両を運転することができる旨を説明しただけである。」,「その際,この男女のいずれかが所持していた車検証を見せられたので,車両総重量や最大積載量等を見た上で,道路交通法の改正前の旧普通自動車免許で運転することができる中型自動車であることを確認し,『改正前でよかったですね。』と返答したが,この2人から運転免許証を見せられたことはなく,提示された運転免許証に基づき特定の車両を運転することができるというやりとりはしていない。」と供述する。しかしながら,自己の有する免許証による運転の可否を確認するためにわざわざ警察署を訪れた者が,車検証の写しを持参しただけで,運転免許証を携帯していなかったというのは不自然であり,また,車検証の写しと免許証とを所持していたにもかかわらず,警察官に車検証の写しだけを提示して,免許証を提示しなかったというのもより一層考え難い上,運転の可否を質問されている警 うのは不自然であり,また,車検証の写しと免許証とを所持していたにもかかわらず,警察官に車検証の写しだけを提示して,免許証を提示しなかったというのもより一層考え難い上,運転の可否を質問されている警察官が,問題となっている免許証の内容を直接確認しなかったというのも不自然,不合理というべきである。さらに,控訴人は,平成16年法律第90号による道路交通法の改正の後に普通自動車免許である本件免許を受けていたのであり,改正前に本件免許を取得していたわけではないから,C警察官が供述するように,中型自動車免許の新設前に普通自動車免許を取得したとして相談に来た旨の説明をしたというのも考え難いところであり,上記のC警察官の原審における供述部分(乙14の陳述書を含む。)はにわか に採用することができないというべきである。 そしてむしろ,本件運転行為を現認した越谷警察署のD巡査も,当初は携帯電話の使用等の違反行為を反則行為として処理しただけで,無免許運転の点について見逃したほどである(乙5ないし7)から,交通課所属の警察官であっても誤った教示をする可能性があることも否定できないところである。そして,控訴人は,平成22年4月14日の意見聴取(原判決3頁22行目参照)の際に,「警察官に確認して,運転してよいといわれたので本件車両を運転した」旨の意見を述べている(乙8)ほか,それ以前にも,本件運転行為が無免許運転の罪に当たるとして改めて取り調べられた平成21年12月12日の供述調書において,日時等に違いはあるものの,「警察官に免許を見せて聞いたら,中型まで運転できると言われた」旨を述べているのであり,「本件免許で本件車両の運転ができると警察官に言われた」とする説明は,控訴人及び妻であるAの原審における供述も含めて一応一貫しているとこ たら,中型まで運転できると言われた」旨を述べているのであり,「本件免許で本件車両の運転ができると警察官に言われた」とする説明は,控訴人及び妻であるAの原審における供述も含めて一応一貫しているところである。したがって,前記((3)ウ)認定のとおり,C警察官は,控訴人の免許で本件車両を運転することが可能であるとする趣旨の回答をしたものと推認されるのであるが,そのような回答がされるに至った原因については,必ずしも明確ではない(原判決(6頁6行目以下)が指摘するような疑問もあり,控訴人らの質問の趣旨内容がC警察官に対して正確に伝わらなかった可能性があり,また,そのために誤った内容を教示した可能性も否定できない。)ものの,いずれにしても,C警察官による教示の結果,控訴人は,本件免許で本件車両を運転することができるものと誤信したと推認するのが相当である。 (5) 前記(3)及び(4)の認定事実によれば,控訴人は,本件運転行為の当時,本件免許により本件車両の運転ができるものと誤信していたのであり,控訴人がこのように誤信したのは,本件免許による本件車両の運転の可否を確認するために川崎臨港署に赴き,交通課の警察官であるC警察官から本 件免許で運転できる旨の教示を受けて,その疑問を払拭したことにある。 そして,控訴人が,このC警察官による説明を個人的な見解に止まるものではなく,警察のいわば公式的な見解として受け取ったとしてもやむを得ないものがあるというべきであり,この点について控訴人に非難される点があるとも言い難いところである。 したがって,前記認定の事実関係のもとにおいては,無免許運転に当たる可能性を考慮して本件車両の運転を回避することを控訴人に期待することはもはや困難であったものというべきであり,このような運転者に したがって,前記認定の事実関係のもとにおいては,無免許運転に当たる可能性を考慮して本件車両の運転を回避することを控訴人に期待することはもはや困難であったものというべきであり,このような運転者に対して運転免許の取消という重大な不利益を与えることは,将来における道路交通の危険を防止することに資するとも考え難く,相当ではないというべきである。それにもかかわらず,控訴人に対して,本件取消処分を行い,自動車の運転を禁止するという制約を課すことは,前記目的の実現を図るための手段として適切さを欠いたものであるというべきであり,控訴人に対して過大な制約を課すものというべきである。 したがって,処分行政庁が控訴人に対してした本件取消処分には裁量権の範囲を逸脱した違法があると認めるのが相当である。 第4 結論以上によれば,本件取消処分は裁量権の範囲を逸脱し,違法であるから,これを取り消すのが相当と判断されるところ,これと異なり,本件取消処分を適法として,控訴人の本訴請求を棄却した原判決は失当であり,控訴人の本件控訴は理由があるから,原判決を取り消して,控訴人の本訴請求を認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部 裁判長裁判官奥田隆文 裁判官片山憲一 裁判官清藤健一 (原裁判等の表示) 主文 1 原告の請求を棄却する。 裁判官片山憲一 裁判官清藤健一 (原裁判等の表示) 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求神奈川県公安委員会が,原告に対し,平成22年4月14日付けでした運転免許取消処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,神奈川県公安委員会が,原告の無免許運転(以下「本件違反行為」という。)等の道路交通法(以下「道交法」という。)違反事実を認定し,平成22年4月14日付けで運転免許取消処分(以下「本件処分」という。)を行ったのに対し,原告が,本件違反行為当時はそれについての故意を欠いており,同違反行為の成立は認められないにもかかわらず,これが認められることを前提としてされた本件処分は違法であるとして,本件処分の取消しを求めた事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨により 容易に認められる事実)(1) 原告は,平成20年4月10日に,埼玉県公安委員会から第1種運転免許のうち普通自動車運転免許の交付を受けた者である。 なお,原告は,翌11日に横浜市α区へ,さらに平成21年4月20日に川崎市の肩書住所地へ住所変更したため,同免許は神奈川県公安委員会から交付されたものとみなされる(乙1)。 (2) 普通自動車運転免許については,平成16年法律第90号による道交法の改正(平成19年6月2日施行)以前は,車両総重量8トン未満,最大積載量5トン未満,乗車定員10人以下の車両の運転が可能であったが,同改正により,車両総重量5トン未満,最大積載量3トン未 る道交法の改正(平成19年6月2日施行)以前は,車両総重量8トン未満,最大積載量5トン未満,乗車定員10人以下の車両の運転が可能であったが,同改正により,車両総重量5トン未満,最大積載量3トン未満,乗車定員10人以下の車両の運転しかできないこととされた(乙16)。 (3) 原告は,平成21年10月25日午後1時25分ころ,埼玉県越谷市β×番地10付近道路において,自家用中型貨物自動車(千葉××××××××号。最大積載量3250㎏,車両総重量7845㎏。以下「本件車両」という。)を運転し,携帯電話を使用していたところを,埼玉県警察越谷警察署警察官に現認されたが,同警察官は携帯電話使用等の違反行為の道交法違反により交通反則切符処理をしたものの,その後埼玉県警察本部交通部運転免許センター運転教育課の指摘により,無免許運転を看過していたことが判明し,同警察官は,同年12月12日,あらためて無免許運転による立件手続をとった(乙3ないし7)。 (4) 神奈川県公安委員会は,埼玉県公安委員会から本件違反行為について処分移送通知を受け,原告が,①平成20年12月12日の携帯電話使用等(保持)の違反行為(道交法71条5号の5,120条1項11号),②平成21年1月24日の速度超過の違反行為(同法22条1項,118条1項1号,同法施行令11条)の違反歴があるのに加え,本件違反行為に及んだため,行政処分の対象となる累積違反点数が,①の違反行為につき1点,②の違反 行為につき3点,本件違反行為につき19点の合計23点であり,原告には処分前歴はないことから,原告が免許を受けることができない期間を1年と指定する免許取消しの処分量定に該当する(同法103条1項5号,同法施行令38条5項1号イ,同条6項2号)こととなったため,平成22年4月14日,原 ら,原告が免許を受けることができない期間を1年と指定する免許取消しの処分量定に該当する(同法103条1項5号,同法施行令38条5項1号イ,同条6項2号)こととなったため,平成22年4月14日,原告から意見聴取(同法104条1項)を行った上で,処分を軽減すべき特段の事情も認められないとして,同日付けで,免許を受けることができない期間を1年と指定する免許取消処分(本件処分)を行った(乙8ないし10,弁論の全趣旨)。 (5) 本件違反行為は,同年2月1日,道交法違反事件として,越谷警察署長から越谷区検察庁に送致され,さらに,同月10日,川崎区検察庁に移送され,同庁は,同月26日,原告を不起訴処分(起訴猶予)とした(弁論の全趣旨)。 (6) 原告は,同年10月14日,本件訴えを提起した(弁論の全趣旨)。 3 争点についての当事者の主張(1) 被告の主張中型自動車運転免許が新設された平成16年法律第90号による道交法の改正附則6条2号によれば,新法施行前の普通免許は車両総重量5トン以上8トン未満,最大積載量3トン以上5トン未満の8トン限定中型免許を受けているものとみなされるところ,原告は,新法施行後の平成20年4月10日に外国運転免許証から本法の運転免許証に切り替え,交付を受けたものであるから,これに当たらない。したがって,本件違反行為が道交法違反に該当することは明らかである。 原告は,本件違反行為について,警察署で本件車両の運転ができることを確認しており,無免許運転の故意がなかったから無免許運転の罪は成立しないと主張するが,原告は,運転免許取得時に普通自動車免許で運転できる車両についての書類をもらった旨述べているのであり,また,自動車の売買を 生業としていることからしても,本件車両を運転することができないことを認識 運転免許取得時に普通自動車免許で運転できる車両についての書類をもらった旨述べているのであり,また,自動車の売買を 生業としていることからしても,本件車両を運転することができないことを認識しうる可能性があったことは明らかである。 したがって,本件違反行為の認定に誤りはなく,本件処分は適法であるというべきである。 (2) 原告の主張原告は,本件車両の運転に先立ち,川崎臨港警察署において,原告の所持する運転免許により本件車両を運転できることを警察官から確認しており,同運転免許により本件車両を運転できると考えていた。また,本件違反行為の際も,越谷警察署警察官さえも無免許運転に気付かなかったほどであった。 したがって,原告には無免許運転の罪の故意はなかったというべきところ,無免許運転の罪には過失犯を処罰する規定はない。仮に,これが法律の錯誤にすぎず,原告に無免許運転の罪の故意は認められるとしても,原告には違法性の意識がなく,かつ違法性の意識を欠いたことに相当の理由があるというべきである。 したがって,原告につき無免許運転罪は成立しないから,本件違反行為の存在を前提としてされた本件処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 原告は,本件違反行為が無免許運転罪の故意を欠き,又は違法性の意識を欠いたことについて相当の理由があったと主張し,その根拠として,警察官から本件車両を運転することができる旨の確認を得ていたことを挙げる。 そして,原告及びその妻(甲7ないし9,証人A,原告本人)が述べる上記確認に関する事実関係は,以下のとおりである。 原告は,平成20年4月10日にバングラデシュの運転免許を切り替え,埼玉県公安委員会から普通自動車運転免許証の交付を受けたが,そのころ友人から本件車両の購入方を持ちかけられ,車検証 おりである。 原告は,平成20年4月10日にバングラデシュの運転免許を切り替え,埼玉県公安委員会から普通自動車運転免許証の交付を受けたが,そのころ友人から本件車両の購入方を持ちかけられ,車検証のコピーをもらってい た。原告は,その妻に対して,自己の運転免許証を示して,これで何トン車まで運転することができるかを尋ねたが,妻もよく判らなかったため,その後,同年5月ころの夜7時半か8時ころ,たまたま川崎臨港警察署の近くを妻と自動車で通りかかった際,妻に言われて警察官に原告の免許で本件車両の運転ができるかどうかを聞いてみようということになり,同署を妻とともに訪ねた。原告は,同署でカウンター内にいた警察官に対し,自らの運転免許証と本件車両の車検証を示し(なお,その際妻の運転免許証も併せて示したかもしれない。),自分の運転免許で本件車両の運転ができるかを尋ねたところ,警察官は,大丈夫であるとの返答をした。そのため,原告は本件車両を運転できるものと信じて,その後運転を続けた。 2 原告及びその妻の述べる上記経緯は,中型自動車の区分の新設が平成16年の道交法改正の重要な改正点であり,平成20年5月当時は平成19年6月2日の改正法施行後1年を経ていない時期であって,改正法施行にあたり,神奈川県警では交通課の署員に改正点の周知が徹底されたこと(乙14,証人C)からすると,このような基本的事項に関して原告らが述べるような誤った回答がされたことについては,原告の質問の趣旨が署員に正確に伝えられたものか,運転するのは改正法施行前から運転免許を有する妻と誤って伝えられていなかったか,などの点を含めて,疑問の余地も大きいところであるが,その点はひとまずおき,上記のような原告らの述べる経緯のもとで回答を得たことにより,本件違反行為につき道交法違反(無 って伝えられていなかったか,などの点を含めて,疑問の余地も大きいところであるが,その点はひとまずおき,上記のような原告らの述べる経緯のもとで回答を得たことにより,本件違反行為につき道交法違反(無免許運転)が成立しないといえるか否かにつき,検討を進める。 3 原告は,自己の自動車運転免許によって本件車両を運転することができると認識していたから,故意を欠く旨主張するが,上記の点に関する錯誤は,原告がいかなる種類の自動車を運転することができるか,すなわち,これを裏からいえば,いかなる種類の自動車の運転が禁止されているかに関するものであるから,法律の錯誤にほかならないと解され,故意を阻却するものではなく,た だ,法律の錯誤に陥り違法性の意識を欠いたことにつき相当の理由がある場合に限り,無免許運転の罪の成立が阻却される場合がありうるにすぎないと解される。 そこで,本件について,上記の原告らの述べるところをみると,原告は,たまたま近くを通りかかった折りに,妻に言われて川崎臨港警察署を訪ね,運転免許証と車検証を示して警察官に質問したというのであるが,これに対して運転が可能である旨の返答を得たのであれば,それは警察官の誤解による誤った回答というほかはないことになる。しかしながら,原告は,自動車運転免許を受けた者として,道路交通に関する法規につき一定の知識を有するべき立場にあり,必要があれば自ら調査すべき義務を負っているものであるから,本件車両を運転するにあたっても,当然自己の普通自動車運転免許証で運転しうる車両の範囲を調査し,本件車両がこれに該当するかどうかを確認すべき義務があったというべきである。しかも,原告は,中古車販売業を自営してきた経験から日本では自動車運転免許が大型車と普通車とで異なることを認識しており,自己の自動車運転免 該当するかどうかを確認すべき義務があったというべきである。しかも,原告は,中古車販売業を自営してきた経験から日本では自動車運転免許が大型車と普通車とで異なることを認識しており,自己の自動車運転免許により何トンまでの普通貨物自動車を運転することが許されるかについて疑問を持って妻に質問をしたことがあり,その際,妻の自動車運転免許証を示され,その種類欄に「中型」,免許の条件等欄に「中型車は8tに限る」との記載がある反面,自己の運転免許証の種類欄には「普通」とあり,免許の条件等欄には何ら記載のないことを改めて認識した(乙1,証人A,原告本人)のであるから,自己の免許で運転しうる自動車の範囲につき慎重な調査が必要であることを認識していたというべきである。にもかかわらず,原告は,上記のとおり,たまたま通りがかりに訪ねた警察署の警察官にその判断をすべてゆだね,どの範囲の車両の運転が可能で,本件車両がこれに該当することの判断過程の詳細を尋ねることもなく,回答をそのまま信じた結果無免許運転に及んだというのであるから,これをもって上記義務を尽くしたものと解することは困難であるというほかはない。したがって,原告が違法性の意識 を欠いたことにつき相当の理由があったと解することはできない。 4 以上によれば,原告の本件違反行為は,道交法に反するものと認められ,これによる違反点数19点を加算した結果,免許取消事由に該当するとしてされた本件処分に違法があるとはいえない。よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 横浜地方裁判所第1民事部裁判長裁判官佐村浩之裁判官日下部克通裁判官小堀 民事部裁判長裁判官佐村浩之裁判官日下部克通裁判官小堀瑠生子
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