- 1 -主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求品川区建築主事が平成18年1月31日付けで株式会社Aに対してした建築確認(確認済証・番号第XXXXXX号)を取り消す。 第2事案の概要本件は,処分行政庁がマンション建築について建築基準法6条1項に基づく確認をしたところ,周辺住民である原告らが,上記マンションの建築計画に係る工事が都市計画法29条1項に定める許可を要する開発行為に当たるにもかかわらず,同許可を得ずになされた申請に対して確認をした違法な処分であるとして,その取消しを求めた事案である。 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( )原告ら 原告らは,いずれも後記( )オの建築物(マンション)の敷地の周辺であ る肩書住所地に居住する者である(甲8。 )( )建築確認に至る経過(甲3,7の1,乙1の1~12,2,6) (),,ア被告品川区においては開発面積500m以上の開発行為のうち 開発行為をしようとする者から,開発行為に該当するか否かについて,あらかじめ開発行為事前相談カードを提出させ,品川区長(実際には,品川区組織規則14条により開発許可に係る事務を分掌するまちづくり事業部住宅課長)が,これを審査し,開発許可の要否を判断した上,開発許可が必要である場合には,開発許可の審査をしてから証明書等を交付することとし,開発許可が不要と判断した場合(開発行為に該当しないと判断した- 2 -場合又は開発行為には該当するとしても開発許可が不要と判断した場合)には,事業主に対して特に証明書等を交付することはせず,同課から同区建築主事に開発許可が不要であるとの判断を内部的 した- 2 -場合又は開発行為には該当するとしても開発許可が不要と判断した場合)には,事業主に対して特に証明書等を交付することはせず,同課から同区建築主事に開発許可が不要であるとの判断を内部的に伝達するという処理をしていた。 イ一級建築士事務所Bは,株式会社A(以下「本件事業主」ともいう)。 から委任を受け,平成17年5月10日,同社を事業主とする開発行為をしようとするとして,被告に対し,開発行為事前相談カード及びその添付図書として位置図,公図の写し,土地の実測図,現況図,土地利用計画図等を提出した。 上記開発行為事前カードには,次の記載がされていた。 (ア)開発行為計画地品川区α×番2(イ)事業主株式会社A(ウ)開発行為の概要(エ)開発区域面積985m2開発行為切土・盛土有(オ)予定建築物等(以下「事前相談建築物」という)。 用途地域第一種中高層住居専用域建築物の用途・規模用途単身者マンション敷地面積985m2建築面積408.8m2延べ面積1573.02m2構造・階数R.C造地下3階,地上5階高さ15mウ品川区まちづくり事業部住宅課職員は,平成17年5月18日,現場調- 3 -査を行い,相談者から提出された書類と現場との整合性を確認した上で,事前相談建築物の建築前と建築後とでは建築物周囲の土地の形状に開発行為に該当するような大きな変化はない旨報告した。そこで,品川区まちづくり事業部住宅課長は,同月19日,開発許可が不要であると判断し,その旨,品川区建築主事にその判断を伝えた(乙1の1,2。 )エ本件事業主は,平成17年6月24日,品川区長との間で,事前相談建築物につき,品川区中高層建築物等の建設に関する開発環境指導要綱6条1項に基づく協定を締結した(甲5。 )オ本 の1,2。 )エ本件事業主は,平成17年6月24日,品川区長との間で,事前相談建築物につき,品川区中高層建築物等の建設に関する開発環境指導要綱6条1項に基づく協定を締結した(甲5。 )オ本件事業主は,平成17年10月19日,品川区建築主事に対し,事前相談建築物に係る建築計画について建築基準法6条1項の規定による建築確認の申請をし,品川区建築主事は,平成18年1月31日付けで,次の建築確認計画(以下「本件建築計画」といい,これに基づいて建築される建築物を「本件建築物,その敷地を「本件敷地」という)につき,建」。 築基準法6条1項に基づく確認をした(以下「本件処分」という。 。)(ア)建築主株式会社A(イ)設計者一級建築士事務所B(ウ)建築敷地東京都品川区α×××-2(エ)住居表示東京都品川区α×-2(オ)地域地区第一種中高層住宅専用地域,準防火地域,第二種高度地区(カ)主要用途共同住宅(キ)構造鉄筋コンクリート造,一部鉄骨鉄筋コンクリート造(ク)階数地上5階,地下3階(ケ)高さ1.151m,19.907m,16.345m(コ)敷地面積997.56m2(サ)建物面積428.28m2- 4 -(シ)建ぺい率42.93%(ス)延べ面積2426.17m2(うち容積対象面積1383.88m) ( )不服申立て等(甲3) ア原告らは,平成18年3月27日,品川区建築審査会に対し,本件建築計画に伴う本件敷地の工事(以下「本件工事」という)が開発行為に当。 たるとして,本件処分が違法であることを理由に審査請求をしたが,同審査会は,同年6月14日,原告らの上記審査請求を棄却するとの裁決をした。 イ原告らは,本件処分の取消しを求め,平成18年10月25日,東京 て,本件処分が違法であることを理由に審査請求をしたが,同審査会は,同年6月14日,原告らの上記審査請求を棄却するとの裁決をした。 イ原告らは,本件処分の取消しを求め,平成18年10月25日,東京地方裁判所に本件訴えを提起した(顕著な事実。 ) 争点 本件の主要な争点は以下のとおりであり,これらに対する摘示すべき当事者,。 ,,の主張は次に記載するとおりであるなお原告らの当事者適格については被告において争うものではなく,本件訴えが建築基準法6条1項に基づく建築確認の取消しを求めるものであって,前記前提事実( )のとおり,原告らが本 件敷地周辺に居住する者であることからすれば,原告らは,いずれも原告適格を有するというべきである。 ( )建築基準法6条1項に基づく建築確認である本件処分において本件工事 の開発行為該当性が処分の違法原因となるか。 (被告の主張)建築主事は,建築計画が開発行為を伴うものであるかどうかについて,権限を有する区長の判断を経由しているかどうかを審査するという形式的,外形的な判断権限を有するにとどまる。本件において,開発許可を所管する住宅課では,事業主から「開発行為事前相談カード」等を提出させ,開発行為を伴うものかどうかの判断を行い,伴わないものであるとの結果を建築主事- 5 -に伝えており,上記審査は済んでいる以上,本件工事が開発行為に該当するという事情は,本件処分の取消原因とならない。 (原告らの主張)ア建築主事は,建築確認の審査に当たり,当該建築計画が開発行為を伴うものであるかどうかについて,区長等の審査・判断を経ているかどうかを形式的,外形的に判断すれば足りるとされていることと,当該建築計画に伴う開発行為について許可を受けていないとの事実を建築確認の取消訴訟においてその取消事由とし 区長等の審査・判断を経ているかどうかを形式的,外形的に判断すれば足りるとされていることと,当該建築計画に伴う開発行為について許可を受けていないとの事実を建築確認の取消訴訟においてその取消事由として主張することができるかどうかということは,別問題である。 区長等による当該建築計画に係る行為が開発行為に該当しない旨の判断に誤りがある場合,必要な開発許可を受けていない当該計画は,都市計画法29条1項の規定に適合しないのであるから,当該建築確認自体が瑕疵を帯びることとなる。 イ知事等による開発行為に該当しないとの判断は,行政庁の処分ととらえて取消訴訟の対象とすることは困難である。他方,都市計画法29条1項に規定する開発許可制度によって保護されるべき利益の救済を求めて訴えを提起するみちが閉ざされるとの解釈は,違法な行政処分により権利又は法律上保護された利益を侵害された者に対して取消訴訟による司法的な救済を図った行政事件訴訟法の趣旨,目的に反する。 したがって,建築確認取消訴訟において,開発行為に該当するか否かどうかについて,争うことができるといえる。 ( )本件工事が開発行為に該当するか。 (被告の主張)ア(ア)本件敷地は,敷地の南東側に傾斜地を有し,傾斜地を除く敷地はほぼ平坦で,南東側の傾斜地に接する隣地との高低差は約9mである。本件建築計画によると,建物の一部が斜面地上に建築されるとともに一部- 6 -が地盤下に建築され,建築物の南西側にはドライエリア(採光等のために設けられる空堀りのこと)を兼ねた2方向避難のための窓先空地が,南東側には地下3階部分からの避難階段の周囲にドライエリアが設けられることになっている。 原告が断がい状の土地に変更すると主張する部分は,このドライエリア部を指すもので,切土,盛土等により土地の形状を変更 には地下3階部分からの避難階段の周囲にドライエリアが設けられることになっている。 原告が断がい状の土地に変更すると主張する部分は,このドライエリア部を指すもので,切土,盛土等により土地の形状を変更するものではない。本件工事において切土される箇所は,建築物によって置き換わるものである。 また,単なる工事中の土砂の搬出量等によって,開発行為に該当するか否かが決まるものではない。 (イ)東京都の開発許可に係る基準には「建築物の建築自体と不可分な,一体の工事と認められる基礎打ち,土地の掘削等の行為」は,開発行為に該当しないとされている。 南西側の掘削部分は,ドライエリア及び窓先空地としての機能を有し,,,,ておりまた南東側の掘削部分はドライエリアとしての機能を有しいずれも本件建築物と構造的に一体の形態を成すから,上記基準によれば開発行為に当たらない。 イ「形」の変更とは,切土,盛土等により土地の形状を変更することを想定しているのであり,下水の負荷が生じる予測をもって直ちに「形」の変更に当たるということはできない。建築工事において下水管の変更を伴うか否かが,直接開発行為に係る判断に影響を及ぼすものではない。また,がけ下住民の共有する共有下水道管を使用するかどうかという事情が,開発行為該当性を左右するものでもない。 ウ都市計画法33条1項各号は,開発行為に開発許可をする際の基準であって,開発行為該当性とは関係がない。 本件工事の先後でも本件敷地の形状は,ほぼ同一であり,従前と異なる- 7 -形状における土地利用がされるものではなく,建築確認審査において,ドライエリア部の土圧など外力に対する安全性が検討されており,がけ崩れ等の危険が生じるものではない。 また,溢水の危険に係る同項3号は,新たな宅地を造成するなど上下水などのイ 建築確認審査において,ドライエリア部の土圧など外力に対する安全性が検討されており,がけ崩れ等の危険が生じるものではない。 また,溢水の危険に係る同項3号は,新たな宅地を造成するなど上下水などのインフラの整備が充分ではない状況を想定している規定であり,マンションの戸数増加により容量変更が必要となるとしても,そのことから開発行為に該当すると判断されるものではない。 さらに,原告らが防災上の危険性が上昇する理由として火災の危険,建物倒壊の危険,工事時の周辺道路の通行の危険を主張するが,戸数の増加のみによって火災の危険が増加するとはいえず,建物倒壊の危険は建築確認において審査される事項であり開発許可とは関係のない事項であるほか,開発許可において審査される通行上の危険とは,開発行為により設置される道路の通行の危険を対象としており,工事時における周辺道路の危険を対象としているものではない。 (原告らの主張)ア都市計画法29条1項の趣旨は,形の変更がされる場合には,従前とは異なった形状における土地利用が行われることから,これを開発許可制度の下に置くことで土地の合理的な利用を図り,都市の健全な発展と秩序ある整備を実現しようとするとともに,周辺住民の個別的利益として,環境保全(同法33条1項2号,災害防止(2号,通行の安全(2号,溢)))水被害防止(3号,給水能力不足の回避(4号,がけ崩れ等により侵))害され得る周辺住民の生命,身体の安全等(7号,8号,振動及び騒音)の防止(10号,鉄道の便益(11号)等を保護する趣旨であると解さ)れる。 イ(ア)本件工事は,地上5階,地下3階,合計85戸の住戸を有するマンションを建築するものである。本件敷地は,南東側の高低差9mのがけ- 8 -地となっている部分以外は平坦であるが,本件工事は, イ(ア)本件工事は,地上5階,地下3階,合計85戸の住戸を有するマンションを建築するものである。本件敷地は,南東側の高低差9mのがけ- 8 -地となっている部分以外は平坦であるが,本件工事は,北西側付近のわずかな土地を残し,深さ6mにわたって切土・搬出し,本件敷地をがけ状の土地とした上で,同所に建物を建築するものである。 本件工事は,南西側の住居部分の掘り下げ部分のみにおいても,これまで平坦であった土地を高低差9m又は6m,幅約19m,奥行約24mにわたって掘り下げるものであり,平坦地を高低差が6mある断がい状の土地に変更するものである。工事全体の土砂搬出量は7000㎥もの量になると推測できる。 これらのことからすれば,本件工事により本件敷地が変容するといえる。 (イ)建築物の建築自体と不可分な一体の工事と認められる基礎打ち,土地の掘削等の行為は,規制の対象とならないとした趣旨は,都市計画法における開発許可制度の制度趣旨に反しないような建築を規制の対象外とする趣旨である。そうすると「建築物の不可分一体の工事」とは,,当該工事自体が開発行為に該当せず,開発許可制度の規制にかからしめる必要のないものであることを前提としているのであって,このような意味での建築物の建築に付随する工事のみを規制対象外としていると解すべきである。 本件では,建物の敷地となっていない部分も6mの深さに切り取って地下2階にわたる建築物を建築する計画なのであるから,上記基準が予定している工事とは異なっている。 また,不可分一体との基準が緩やかに解釈されると,開発行為として都市計画法の規制に服すべき建築計画が規制を免れる不当な結果となるから,不可分一体な工事とは,どのような建築をする場合でも必要な工事という意味に厳格な解釈をするべきである。 ウ前記アの開発許 して都市計画法の規制に服すべき建築計画が規制を免れる不当な結果となるから,不可分一体な工事とは,どのような建築をする場合でも必要な工事という意味に厳格な解釈をするべきである。 ウ前記アの開発許可制度の趣旨からすると,下水の使用状況が異なること- 9 -も形の変更に該当するかどうかの一事情に当たり,従前使用していた下水道の経路を変更するような切土,盛土は,直ちに形の変更に該当し,開発行為に当たる。 本件工事は,地下室を含む建築計画であることから,本件敷地の東側私道に埋設されている共有下水道管に排水する必要が生じ,水道管の変更を伴うことになる。なお,本件敷地の旧地権者は,東側道路側には,排水桝を有しておらず,共有下水道管への排水ための住民の了解が得られる見込みはない。また,従来の水道管では85戸もの世帯には容量不足であるから,新たな水道管を新設する必要があり,これも形の変更に該当するとの一事情になる。 ,,,エ本件工事は開発許可基準にそった個別的な審査検討が必要であって実質的に次のような危険性を有するということが,開発行為に該当することを示す事情ということができる。 (ア)がけ崩れの危険本件工事は,平坦地をがけ地に変更するものであり,特に南東側は高。 ,,低差約9mの極端ながけ地となるがけ地になり保水力が低下すると出水,がけ崩れの危険が増す。本件では,原告Cが居住する土地の境界からわずか60cmしか離れていない場所に深さ約6mものがけ地を作り出すものである。 (イ)溢水の危険本件工事は,大規模な切土が行われ,コンクリート敷きにするほか,85世帯の排水が従来の下水道管に流入すると容量不足となることから,溢水の危険が極めて高くなる。したがって,排水路その他の配水施設が適当に配置されているか否かについて審査する必要があ きにするほか,85世帯の排水が従来の下水道管に流入すると容量不足となることから,溢水の危険が極めて高くなる。したがって,排水路その他の配水施設が適当に配置されているか否かについて審査する必要がある。 (ウ)防災上の危険性住戸の増加により火災が生じるおそれが増す。また,本件敷地の周辺- 10 -道路は狭く,火災時の消火活動,避難に著しい困難を生じさせ,周辺住民の生命・身体・財産が侵害されるおそれがある。したがって,開発区域内の主要な道路の配置,外部道路との接続がなされているか否かについて審査する必要がある。また,地震によって建物が倒壊するなどした際にがけ崩れ等が生じる危険性があるため,周辺住民の生命,身体の安全面について審査する必要がある。 (エ)通行の安全性工事用車両を通行させる道路は,本件敷地の西側私道と東側私道があるが,いずれも狭く対面通行できない。工事用車両が通行すると住民や私道に面する住民の私道を通行する安全,平穏が害される。このような事情も都市計画法の趣旨からは当然考慮されるべき事情である。 第3争点に対する判断 争点( )(開発行為該当性の違法原因性)について ( )建築基準法6条1項において,建築主は,同項各号に掲げる建築物を建 築,大規模の修繕等をしようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならないと規定する。そして,建築基準法施行令は,建築基準関係規定として開発行為の許可に関する都市計画法29条1項,2項などを挙げた上,これらの規定で建築物の敷地,構造又は建築設備に係るものが建築基準関係規定であると定める(同令9条12号。 )また,建築基準法施行規則(ただし,平成19年6月19 法29条1項,2項などを挙げた上,これらの規定で建築物の敷地,構造又は建築設備に係るものが建築基準関係規定であると定める(同令9条12号。 )また,建築基準法施行規則(ただし,平成19年6月19日国土交通省令第96号による改正前のもの)1条の3第11項は,申請に係る建築物の敷地が都市計画区域内等にある場合においては,一定の場合を除くほか,その計画が都市計画法29条1項等の規定に適合していることを証する書面を申請書に添えなければならないと定めている。 - 11 -上記各規定からすれば,建築確認申請のあった建築計画が当該建築物の敷地等に関する法令の一つである都市計画法令に規定する開発行為に関する規制に適合しているか,具体的にいえば,確認申請に係る建築計画における敷地等に関する計画が都市計画法4条12項にいう開発行為に該当するかどうか,該当する場合は,その開発行為につき都道府県知事又はその委任を受けた行政庁の許可処分があったか否か等を建築主事において認定判断すべきことを命じているものと解される。 他方,都市計画法29条1項は,開発行為の許可に係る行政規制の権限を都道府県知事にゆだねており都道府県知事又はその委任を受けた行政庁以,(下「知事等」という)が,第一次的に当該開発計画が規制を要する開発行。 為であるか否かという判断を行い,その上で,同法上の開発許可の要件を備。 ,,えているかどうか等を判定することとされているしたがって建築主事は知事等による開発行為に対する許可又は不許可の処分がある場合には,これらには確定力及び公定力があることから,それが取り消されるまでは,その存在及び内容を建築確認申請の添付書類によって形式的に確認できれば,建築確認の許否の判断においてはそれで足りることになる。 しかしながら,当該工事が都市計画法令に規 ら,それが取り消されるまでは,その存在及び内容を建築確認申請の添付書類によって形式的に確認できれば,建築確認の許否の判断においてはそれで足りることになる。 しかしながら,当該工事が都市計画法令に規定する開発行為に関する規制に適合しているかについては,第一次的には都市計画法29条1項の判断をゆだねられている知事等が判断を行うとしても,同判断に確定力及び公定力が生じない場合においては,建築主事は,建築確認を行う行政庁として,建築基準法6条1項に規定する敷地等に関する法令適合性を判定する上で開発行為に該当するか否かについて一応判断しなければならないというべきである。このことは,都市計画法施行規則60条が,建築基準法6条1項等の規定による確認済証の交付を得ようとする者に,その計画が都市計画法29条1項の規定に適合していることを証する書面の交付を都道府県知事に求めることができる旨定めていることからも裏付けられる。 - 12 -すなわち,知事等が開発許可処分又は不許可処分を行った場合には,当該計画が開発許可に係る要件を満たしているか否かという判断及びその前提となる当該計画に係る工事等が開発行為に該当するとの判断に確定力及び公定力が生じるのであるから,建築基準法6条1項に基づく確認が申請された段階においては,当該建築計画の開発行為該当性及び開発許可に係る要件を充足しているか否かにつき,独自に判断をする必要もなければ権限もないが,知事等が行った開発行為該当性に係る判断に確定力及び公定力が生じない場合には,当該判断に建築主事が法的に拘束される根拠はない。そうすると,都市計画法29条1項で規定する開発行為に該当することを前提にした開発許可又は開発不許可の各判断については,建築主事による実質的な審査を排除して形式的,外形的な審査のみ認め,他方,そもそも すると,都市計画法29条1項で規定する開発行為に該当することを前提にした開発許可又は開発不許可の各判断については,建築主事による実質的な審査を排除して形式的,外形的な審査のみ認め,他方,そもそも開発行為に該当しないとの判断については,建築主事が実質的な判断をする余地を残したものと解することができる。 ,,,,したがって被告は建築主事には開発行為に該当するかどうかにつき権限を有する都道府県知事又はその委任を受けた行政庁の審査,判断を経ているかどうかを形式的・外形的に判断すれば足りるから,開発行為該当性が建築確認処分の違法原因となることはないとするが,この主張は上記に反する限度で理由がない。 ( )以上を前提に本件についてみると,まず,前記前提事実( )アのとおり, 被告においては,内部組織規定により,まちづくり事業部住宅課長が実質的に開発行為該当性を判断し,該当しないと判断した場合,都市計画法施行規則60条が定める書面を作成,交付することなく,直接品川区建築主事に開,,発行為に該当しない旨伝達するという処理がなされており本件においても事前相談建築物に係る工事について開発行為に該当しないと判断された後,内部的に建築主事に伝達されたにすぎないのであるから,上記判断は,行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に- 13 -該当せず,公定力を有しないというべきである。 また,本件においては,品川区長が平成17年5月18日に開発行為が不要であると判断した後に建築計画が若干変更されたにもかかわらず,本件事業主において,改めて品川区に相談等することなく,同年10月19日に建築確認申請をし,品川区建築主事が,同申請に対して建築基準法6条1項に(),,基づく確認本件処分をしたものであ 本件事業主において,改めて品川区に相談等することなく,同年10月19日に建築確認申請をし,品川区建築主事が,同申請に対して建築基準法6条1項に(),,基づく確認本件処分をしたものであるから品川区建築主事においては少なくとも変更された関係において建築物(本件建築物)の建築計画(本件建築計画)に係る本件敷地の工事(本件工事)についても,開発行為該当性について実質的判断をしなければならないといわざるを得ない。 そうすると,仮に本件工事が開発行為に該当する場合には,本件処分自体に瑕疵があるといい得るから,本件工事が開発行為に該当するという事情が本件処分の違法原因になるというべきである。 争点( )(開発行為該当性)について ( )ア都市計画法において,開発行為に知事等の許可を要することとした趣 旨は,急激な都市への人口集中に伴い無秩序な市街化が進行し,都市環境の悪化を招来した原因の一つとして,総合的土地利用計画と有効な法的規制を欠いていたことがあったことから,宅地開発については原則として許可にかからしめるという開発許可制度を設け,市街化区域及び市街化調整区域に係る制度と相まって,良好な市街地の計画的,段階的な整備を図ることによって,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することにある(同法1条ないし3条参照。 )そして,同法(ただし,平成18年5月31日法律第46号による改正前のもの。以下同じ)29条1項ただし書は,1号から12号までの適。 ,(),用除外を設け市街化区域等でなされる比較的小規模な開発行為1号市街化調整区域等で農林漁業等に従事している者の業務や居住の用に供す- 14 -る建築物に係る開発行為2号公益上必要な建築物に係る開発行為 ( 区域等でなされる比較的小規模な開発行為1号市街化調整区域等で農林漁業等に従事している者の業務や居住の用に供す- 14 -る建築物に係る開発行為2号公益上必要な建築物に係る開発行為 (),(号,公的主体の行う開発行為(4号,都市計画事業,土地区画整理事))業,市街地再開発事業,住宅街区整理事業及び防災街区整理事業の施行として行う開発行為(5号ないし9号,公有水面埋立法2条1項の免許を)受け,同法22条2項の竣工認可の告示がない埋立地での開発行為(10号,災害時における応急措置的な開発行為(11号,通常の管理行為,))軽易な行為等(12号)については,上記制度趣旨にかんがみ,弊害を生じるおそれが少ないといったことから,開発行為に該当しても知事等の許可を要しないこととしている。 イ都市計画法は,開発行為につき,主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいうと定めるがその詳細については定めていない(同法4条12項。 )しかし,その文言及び上記アの制度趣旨からすれば,開発行為に該当する「区画の変更」とは,文字どおり建築物の建築又は特定工作物の建設のための土地の区画の変更を指し,他方「形質の変更」とは,土地の形態,的な標徴の変更ということで,切土,盛土又は整地をいうものと解すべきであって,当該行為の先後で異なる形状の土地利用がされることを前提としていると解される。 本件においては「区画の変更」は問題とならないところ,上記の「形質の変更」の意義に照らすと,一連の行為としてなされる既成宅地における建築行為又は建築行為と密接不可分に行われる,基礎打ち,土地の掘削等の行為は,いずれも開発行為の先後で異なる形状の土地利用がされるものではないから,都市計画法において開発行為に知事等の 宅地における建築行為又は建築行為と密接不可分に行われる,基礎打ち,土地の掘削等の行為は,いずれも開発行為の先後で異なる形状の土地利用がされるものではないから,都市計画法において開発行為に知事等の許可を要することとした趣旨(上記ア参照)を没却することが明らかな特段の事情のない限り「形質の変更」から除外することが相当であると解される。 ,この点,東京都都市整備局作成に係る開発許可の手引(甲4)において- 15 -は「建築物の建築自体と不可分な一体の工事と認められる基礎打ち,土,地の掘削等の行為」は開発行為に該当しないとされているが,このような実務の運用も,上記の趣旨に従って理解することができる。 ウ原告らは「建築自体と不可分一体な工事」とは,どのような建築をす,る場合でも必要な工事に限定されるとの解釈を前提にした上で,本件工事は,本件建築物の地階部分の造成工事に伴う掘削の点において,本件敷地の平坦であった部分を断がい状の土地に変容させるものであって,どのような建築をする場合でも必要な工事ではなく,不可分一体な工事ではないから,形質の変更に当たると主張する。 しかしながら,上記ア及びイのとおり,建築物の建築工事と不可分一体の工事と認められる基礎打ち,土地の掘削等が開発行為に該当しないとされるのは,当該行為の先後において建築物周囲の当該土地の利用状況が異ならず,都市計画法における開発許可制度の趣旨にかんがみても,これを開発行為に含めて制限の対象としなくても,同制度により保護しようとした趣旨を害するおそれが少ないことによる。したがって,原告らのいう,開発行為該当性につき,工事の先後の状況比較ではなく,当該工事自体に着目すべきであるとする考え方を採用することはできないし,建築自体と不可分一体な工事に該当するか否かについては,当該建築物 のいう,開発行為該当性につき,工事の先後の状況比較ではなく,当該工事自体に着目すべきであるとする考え方を採用することはできないし,建築自体と不可分一体な工事に該当するか否かについては,当該建築物の建築工事の種類,規模,個々の敷地の形状等の事情を考慮して判断するのが自然であるにもかかわらず,一律に建築工事と不可分一体の基礎打ち又は掘削等の概念が所与のものとして確定しているものとして「どのような工事でも,必要とされる建築工事」なるあいまいな概念をもって判断することは相当とはいい難い。 ( )以上を前提に本件工事が開発行為に該当するかを検討するに,前記前提 事実並びに証拠(甲3,7の1・2,9の1・2,12,19,乙1の1~12,2,4の1~4,5の1~4)及び弁論の全趣旨によると,次の事実- 16 -が認められる。 ア本件敷地本件敷地は,敷地面積1000.88mの第一種中高層住居専用地域 に指定された宅地で,準防火地域とされているほか,第二種高度地区に指定されている。本件工事前の本件敷地の状況は,別紙図面1記載のとおりであり,北側を上にした1辺が30mないし35mの菱形の形状で,南東(),側の境界から北西側に急な昇りの傾斜高低差約10mが約10m続きそれより北西側には緩い傾斜(高低差約0.1mないし1m)が続く土地である。本件敷地の北側には別紙図面1記載の建物が建てられていたが,。 . 既に解体され撤去された状態であった本件敷地の東側角部分が幅員約310mないし4.40mの東側私道と接しており,同部分から本件敷地内の南側境界に沿う形状で階段や敷地内道路が設けられ舗装されていた。なお,本件敷地の北西側の境界は,幅員約2.80mないし4.15mの西側私道と平行に接している。 イ事前相談建築物事前相談建築物は,別紙図 界に沿う形状で階段や敷地内道路が設けられ舗装されていた。なお,本件敷地の北西側の境界は,幅員約2.80mないし4.15mの西側私道と平行に接している。 イ事前相談建築物事前相談建築物は,別紙図面2及び3のとおりである。南西側に深さ3m,奥行4m,長さ17.3mのドライエリアが設けられ,南東側にも奥行2mないし4mのドライエリアが設けられることとなっていた。ドライエリアの床面は,基礎部分と結合し,擁壁も住居部分の擁壁と結合していた。 ウ本件建築物(ア)本件建築物は,別紙図面4のとおりである。本件建築物は,ほぼ本件敷地の形状に沿う形の地上5階,地下3階の建築物であり,その構造は複雑であるが,本件建築物の南東側と南西側にそれぞれに居室が設けられる構造で,北側に共用施設が設けられる構造となっているため,南東側部分,南西側部分及び北側部分が一体となって本件建築物を構成す- 17 -る構造となっている。また,本件建築物の地上,地下の区別は,本件敷地の傾斜の上段の地盤面を基準としている。本件建築物の南東側部分は地下3階までの構造であるものの,南西側部分は地下2階までの構造となっている。本件建築物の地下階部分は,地盤面を掘削するか,又は傾斜地を掘削することにより造成され,本件敷地の南東端部分の地盤面は傾斜の下段であり,上段部分よりも約9m低いことから,南東側部分の居室は地下3階部分までがすべて地上に現れている。他方,南西側部分の居室は,いずれも本件敷地の傾斜の上段部分に位置するため,地下階部分はすべて地上に現れておらず,ドライエリアを経なければ,採光等が得られない構造となっている。 (イ)本件建築物の南西側には,深さ6m,奥行4m,長さ17.3mのドライエリア(以下「南西側ドライエリア」という)が設けられる。 。 南西側ドライエリアは ,採光等が得られない構造となっている。 (イ)本件建築物の南西側には,深さ6m,奥行4m,長さ17.3mのドライエリア(以下「南西側ドライエリア」という)が設けられる。 。 南西側ドライエリアは,本件敷地の地盤面を掘削することにより造成され,南西側及び南東側は擁壁となっているほか,西側から北側に幅約2mの避難通路(階段)が設けられ,これを経て地上に出られる構造となっている。 また,本件建築物南東側の居所部分にも,奥行2mないし4mのドライエリア(以下「南東側ドライエリア」という)が設けられることと。 なっている。南東側ドライエリアの南東側端は地上に出ているため擁壁がないものの,南東側及び北東側には傾斜地の斜面を掘削したことによ,。 る壁があり同所にはコンクリート擁壁が設置されることとなっている(ウ)駐車場等本件建築物の計画戸数は,1階部分が13戸,2階部分が14戸,3階部分が11戸,4階部分が9戸,5階部分が5戸,地下1階部分が1,,。 3戸地下2階部分が13戸地下3階部分が7戸の合計85戸であるまた,本件建築物には,合計11台の駐車場,合計39台の駐輪場,合- 18 -計4台のバイク置場が設置されることとなっている。 ( )検討 上記( )の認定事実によれば,南西側ドライエリアは現況の地盤を掘削し て造成されるものであり,奥行4m,高さ6m,長さも17.3mに及ぶものであり,南東側ドライエリアもこれほどの規模ではないものの,現況の地盤を掘削して造成されるものである。 原告らの最も主要な主張は,本件工事のうち,上記各ドライエリアの造成工事が,平坦地であった本件敷地を掘り下げ,断がい状の土地を造成させることになるものであるから,土地の利用状況を変更するものであるとして,土地の形質の変更に当たり開発行為であるというも エリアの造成工事が,平坦地であった本件敷地を掘り下げ,断がい状の土地を造成させることになるものであるから,土地の利用状況を変更するものであるとして,土地の形質の変更に当たり開発行為であるというものである。 そこで検討するに,当該ドライエリアの造成工事が開発行為に該当するとみるべきか否かの前提としては,まず,当該ドライエリアが本件建築物といえるかが問題となる。 建築物とは,土地に定着する工作物のうち,屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む,これに附属する門若しくは塀,。),,観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所店舗興行場,倉庫その他これに類する施設等をいうものであり(建築基準法2条1号,屋根がないことや,単に擁壁により形成されるとしても,そのこと),,のみから建築物から除外されるものではなく建築基準法の趣旨を踏まえて構造上,外観上及び機能上の各面を総合的に判断して,建築物としての一体性があると認められるか否かによって判断すべきである。 そこで,南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアと本件建築物の居所部分との一体性を考慮するために,両者の結合状況について検討する。前記( )イ及びウの認定事実及び弁論の全趣旨によると,本件建築物と事前相談 建築物とでは,南東側ドライエリアの構造については変更がなかったこと,南西側ドライエリアは,本件建築物の南西側住居部分に地下2階部分が増設- 19 -されることとなり,ドライエリアの高さが3mほど高くなったものの,ドライエリアと本件建築物の基礎部分とが結合する部分の構造自体には変更ないことが認められる。これらの事実によれば,本件建築物の南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアは,いずれも,床面がコンクリートで整備され,これらが本件建築物 分とが結合する部分の構造自体には変更ないことが認められる。これらの事実によれば,本件建築物の南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアは,いずれも,床面がコンクリートで整備され,これらが本件建築物の居室部分の基礎部分と連結しているほか,ドライエリアの擁壁部分も本件建築物の擁壁部分と連結されることとなっていると認められる。また,証拠(乙3ないし5(枝番を含む)及び弁論の全趣旨に。)よれば,本件処分においても,本件建築物地階部分の土圧については,上記ドライエリア部分の擁壁が周辺の地盤と接することとなることから,同部分にかかる土圧を基礎として計算されていたことが認められる。これらの事実からすれば,南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアは,いずれも本件建築物の構造体と連結するものであり,また,構造計算上も本件建築物と一体として取り扱われることが想定されていたことが認められるから,構造的にも一体のものであると評価することができる。 また,上記各ドライエリアは,いずれも,本件建築物の南西側又は南東側の住居部分と隣接しており,外観上も本件建築物と別個の工作物であるとはいえない。 さらに,東京都建築安全条例19条1項2号ロにおいて,住戸等の床面積の合計が500mを超えるものについては,4m以上の幅員をもつ窓先空 地が必要となるところ,上記各ドライエリアは,いずれも採光,通気のための機能を有するほか,上記窓先空地としての機能を備えることを期待され,実際に約4mの奥行を有するものといえ,本件建築物の住居部分の採光,通気のための空堀のほか,窓先空地としての機能をも有し,本件建築物の住居部分と機能的にも一体として計画されたものであるといえる。 そうすると,南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアは,いずれも本件建築物として一体性があるといえるのであっ 機能をも有し,本件建築物の住居部分と機能的にも一体として計画されたものであるといえる。 そうすると,南西側ドライエリア及び南東側ドライエリアは,いずれも本件建築物として一体性があるといえるのであって,上記各ドライエリアの設- 20 -置により本件敷地が掘削等がされるとしても,ドライエリアというものの構造,傾斜地であるという本件敷地の形状等に照らし,そのような行為は,本件建築物の建築行為又は建築行為と密接不可分に行われるものということができ,本件敷地の区画形質の変更には当たらず,開発行為には該当しないと解するのが相当である。 ( )原告らのその余の主張の検討 ア原告らは,本件建築物が建築されるならば,上下水道の整備等という公共施設の整備が必要であり,この事情が本件工事が開発行為に該当することの根拠となると主張する。 確かに,開発行為に該当するような従前の土地利用と異なる形状の土地利用といえるかどうかを判断するに当たっては,当該土地に公共施設の整備を新たに要するかどうかも一事情として考慮する余地がある。しかし,本件建築物を住民が利用するに当たり,新たに上下水道の整備が必要となるという事情があるとしても,そのことのみから直ちに本件敷地の利用状況が従前とは異なる形状の土地利用となるわけではないところ,本件敷地が従前宅地として利用されていたことからすれば,必要とされる上下水道,,の整備によっても本件敷地が異なる形状の土地利用がされるとはいえず他に当該土地利用がされることを示す事情も認められないのであって,本件建築物の利用に当たり上下水道の整備が必要となるということをもって,本件工事が開発行為に該当するということはできない。 ,,,,イまた原告らは本件工事により開発許可制度で規制すべきがけ崩れ溢水及び防災上の危険が生 整備が必要となるということをもって,本件工事が開発行為に該当するということはできない。 ,,,,イまた原告らは本件工事により開発許可制度で規制すべきがけ崩れ溢水及び防災上の危険が生じる得ることが本件工事が開発工事を伴うことの事情になると主張する。 しかし,そもそも原告らも理解しているとおり,その主張する開発許可基準の各項目が開発行為該当性の直接的な判断基準になるわけではない。 そして,本件工事が開発行為に該当しないことは,既に上記( )でみたと - 21 -おりであるが,都市計画法において開発行為に知事等の許可を要することとした趣旨(前記( )ア参照)を没却することが明らかな特段の事情が存 在するか否かとの観点から(前記( )イ参照,その主張するところを吟 )味しておくこととする。 まず,がけ崩れの危険について検討すると,本件工事の先後における土地の客観的な状況から判断すべきところ,本件工事後には本件建築物が建築される以上,本件建築物の周囲にがけ地は生じないのであるから,がけ崩れ等の危険が生じるということはできない。すなわち,本件工事により掘削された部分は,本件工事後には本件建築物(ドライエリア部分を含む)によって置き換えられることとなるのであるから,そのような状態。 の本件敷地において掘削部分が崩落する危険というのは,いわゆるがけ崩れによる危険ではなく,本件建築物自体が崩壊する危険である。そして,本件建築物自体が崩壊する危険を審査するのは建築確認制度においてなされるべき事項であり,このような危険をもって開発許可制度による審査が必要となるとすることはできない。 また,溢水の危険についてみるに,原告らの主張は,本件敷地の地表面が土によって構成されていた部分が本件工事により本件建築物に変わることや土砂が搬出される よる審査が必要となるとすることはできない。 また,溢水の危険についてみるに,原告らの主張は,本件敷地の地表面が土によって構成されていた部分が本件工事により本件建築物に変わることや土砂が搬出されることによって保水量が減少するという抽象的な危険が生じることを指摘するにとどまり,本件工事の先後によって,本件建築物の周囲の本件敷地から溢水の具体的な危険が高まるという事情を示すものではなく,そのような事情をもって,本件工事において,開発許可制度による審査が必要であり,ひいては本件工事が開発行為に該当することを裏付けるものとはいえない。 さらに,本件建築物の住民が施設を利用することによって,既存の下水道施設を上回る使用量が予期できることや,本件工事段階における車両の通行,付近道路の通行の安全への影響については,いずれも,本件工事に- 22 -よって直接的に本件敷地に及ぼす物理的な影響ではなく,飽くまでも本件建築物が住民に利用されることによって生じる影響や工事の過程で生じる影響を指摘するものであって,そのような事情から,本件工事が開発行為に該当することを基礎付け得るということはできない。 ( )小括 以上からすれば,前記( )イの特段の事情があるとも認められず,本件工 事は開発行為に該当しないといえるから,都市計画法29条1項による知事等の許可を経ていないとしても,同条項に違反するとはいえず,他に本件処分が違法であることをうかがわせる事情も見受けられないことからすれば,本件処分は適法であるといえる。 第4 結論 よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,訴訟費用について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大門匡 がないから,これらを棄却することとし,訴訟費用について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大門匡裁判官倉地康弘裁判官小島清二
▼ クリックして全文を表示