平成13(わ)1275 建造物侵入,公務執行妨害,強盗致傷,器物損壊,窃盗,道路交通法違反

裁判年月日・裁判所
平成14年10月22日 神戸地方裁判所
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判決文本文9,030 文字)

神戸地方裁判所平成14年10月22日判決平成13年(わ)第1275号,第1365号,第1452号,平成14年(わ)第114号,第148号,第372号建造物侵入,公務執行妨害,強盗致傷,器物損壊,窃盗,道路交通法違反被告事件 主文 被告人を判示第1及び第2の各罪について懲役2年に,判示第3ないし第11の各罪について懲役11年に処する。 未決勾留日数中260日を判示第3ないし第11の各罪の刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は第1 (平成13年12月14日付け起訴状記載の公訴事実)A,B,C及びDと共謀の上,金品窃取の目的で,平成12年8月2日午後4時14分ころ,神戸市L区Ma丁目b番地所在の「N質店」において,同店北側ショーウィンドーのガラスにコンクリートブロック片等を投げつけて叩き割り,O所有の器物を損壊(損害額合計69万5536円相当)するとともに,前記ショーウィンドー内に陳列していた同人所有の腕時計等合計74点(時価合計1772万円相当)を窃取した第2 (平成14年2月12日付け起訴状記載の公訴事実第1)E,F,G及びHと共謀の上,平成12年10月30日午後3時15分ころ,神戸市P区Qc丁目d番e号所在の質店「R商店」において,同店のショーウィンドー内から同店経営者S所有に係る腕時計10点(買取価格合計125万5000円相当)を窃取した第3 (平成14年2月12日付け起訴状記載の公訴事実第2)前記E,I,前記F及び同Gと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年1月30日午前1時47分ころ,兵庫県T市Uf番g号所在の株式会社V店舗運営部ブロック長 12日付け起訴状記載の公訴事実第2)前記E,I,前記F及び同Gと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年1月30日午前1時47分ころ,兵庫県T市Uf番g号所在の株式会社V店舗運営部ブロック長Wが看守する「AVAW店」店内に北側出入口から侵入し,同所において,同人管理に係るレジスター,ドリンク剤等266点(時価合計109万4412円相当)を窃取した第4 (平成13年12月26日付け起訴状記載の公訴事実)前記E及び同Gと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年2月7日午前4時18分ころ,徳島市Xh丁目i番地のj所在の有限会社Y代表取締役Zが看守する同店内に表出入口ドアをこじ開けて侵入し,同所において,同人管理に係る現金約4万円及びレジスター等合計78点(時価合計445万2410円相当)を窃取した第5 (平成14年2月19日付け起訴状記載の公訴事実第1)平成13年3月3日午前5時11分ころ,道路標識により,その最高速度が80キロメートル毎時と指定されている兵庫県宝塚市AAk丁目所在の中国縦貫自動車道下りlキロポスト付近道路において,その最高速度を57キロメートル超える137キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行した第6 (平成14年2月12日付け起訴状記載の公訴事実第3)前記F及び同Gと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年4月3日午前4時ころ,京都市AB区ACm番地所在の株式会社AD代表取締役AEが看守する同店内に正面出入口扉から侵入し,同所において,同人管理に係る現金2万円及び腕時計,指輪等197点(時価合計1120万9260円相当)を窃取した第7 (平成13年11月30日付け起訴状記載の公訴事実)Jと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年4月14日午前3時50分ころ,神戸市AF区AGn丁 合計1120万9260円相当)を窃取した第7 (平成13年11月30日付け起訴状記載の公訴事実)Jと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年4月14日午前3時50分ころ,神戸市AF区AGn丁目o番p号AHビルq階所在の「AI婦人服飾店」経営者AJが看守する同店内にその1階のシャッターをドライバーでこじ開けて侵入し,そのころから同日午前4時20分ころまでの間,同所において,同女所有に係る煙草約3110個ほか29点(時価合計113万9000円相当)を窃取したが,同時刻ころ,同店前路上において,警ら用自動二輪車に乗車して制服姿で警ら中の兵庫県生田警察署所属の司法巡査AK(当時32歳。以下「AK巡査」という。)に前記窃盗事件を発見され,同所に駐車中の普通乗用自動車に乗り込み逃走しようとしたところ,さらにAK巡査が被告人らに職務質問をするため同車の右前部付近に前記自動二輪車を停車させて降車するよう申し向けるや,逮捕を免れるため,やにわに前記普通乗用自動車を発進させ,同車右前部をAK巡査が乗車する前記自動二輪車の前輪に衝突させ,AK巡査を前記自動二輪車もろとも路上に転倒させる暴行を加え,その反抗を抑圧して逃走し,もってAK巡査の職務の執行を妨害するとともに,その際,前記暴行により,AK巡査に対し,加療約10日間を要する右肩捻挫,両手打撲の傷害を負わせた第8 (平成14年2月19日付け起訴状記載の公訴事実第2)平成13年4月17日午前7時48分ころ,道路標識により,その最高速度が80キロメートル毎時と指定されている同県赤穂市AL所在の山陽自動車道上りrキロポスト付近道路において,その最高速度を55キロメートル超える135キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行した第9 (平成14年3月19日付け起訴状記載の公訴事実第1) 道上りrキロポスト付近道路において,その最高速度を55キロメートル超える135キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行した第9 (平成14年3月19日付け起訴状記載の公訴事実第1)前記E,同F及びKと共謀の上,金品窃取の目的で,平成13年4月26日午前5時36分ころ,「AM福岡店」店長ANの看守する福岡市AO区APs丁目t番u号所在の同店内に出入口から侵入し,同所において,前記AN管理に係る腕時計等46点(価格合計57万2550円相当)を窃取した第10(平成14年3月12日付け起訴状記載の公訴事実)前記E,同F及び同Kと共謀の上,金品を強取しようと企て,平成13年4月26日午後4時15分ころ,福岡市AQ区ARv丁目w番x号所在の「AS質店」において,前記Fにおいて,同店店長AT(当時38歳)に対し,所携の催涙スプレーをその顔に吹き付ける暴行を加え,その反抗を抑圧した上,同人管理に係る腕時計等8点(時価合計30万800円相当)を強取し,その際,前記暴行により,同人に加療約3日間を要する両眼結膜びらん化学外傷の傷害を負わせた第11(平成14年3月19日付け起訴状記載の公訴事実第2)平成13年4月26日午後5時38分ころ,福岡県鞍手郡鞍手町AU所在の九州縦貫自動車道上りyキロポスト付近道路において,法定の最高速度100キロメートル毎時を54キロメートル超える154キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行したものである。 (証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―省略(補足説明) 1 弁護人は,判示第7につき,J運転の判示普通乗用自動車(以下,「セルシオ」という。)による判示暴行について,被告人は,暴行の故意がなく,Jとの共謀もない,AK巡査の判示傷害は判示暴行 補足説明) 1 弁護人は,判示第7につき,J運転の判示普通乗用自動車(以下,「セルシオ」という。)による判示暴行について,被告人は,暴行の故意がなく,Jとの共謀もない,AK巡査の判示傷害は判示暴行により生じたものではないとして,被告人との関係では強盗致傷罪は成立しない旨主張し,被告人も当公判廷でこれに沿う供述をする。当裁判所は,前掲関係各証拠によれば,判示のとおり強盗致傷罪が成立すると判断したのであるが,以下補足して説明を加える。 2 前掲関係各証拠及び司法警察員の捜査報告書(検察官請求証拠番号24)によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告人は,Jと共謀の上,判示のとおり,AI婦人服飾店内で金品を窃取し,これを同店東側路上に駐車中のセルシオに積み込んでいたところ,同店北側路上を判示自動二輪車(以下「本件バイク」という。)を運転して走行・通過した警ら中のAK巡査は,セルシオを不審車両と認め,Uターンしてセルシオの前に停車した。 (2) これに気付いたJから警察官が来た旨告げられた被告人は,セルシオの運転席に乗車したJに続いて同車助手席に乗り込んだ。AK巡査は,セルシオの発進を防ぐべく同車の右前方直近に前輪が係るように本件バイクにまたがったまま同車を停車させるとともに,被告人らに降車するよう申し向けるなどして職務質問を開始しようとした。 (3) Jは,逃走するため,セルシオのエンジンをかけて同車を低速で発進させ,同車右前部を本件バイクの前輪に二,三回軽く当てたが,AK巡査は避譲することなく前記の状態のまま動かなかったところ,さらに被告人からセルシオを発進させるよう促されたため,ハンドルを少し左に切りながら同車を発進させ,同車右前部を本件バイクの前輪付近に衝突させてAK巡査を本件バイクもろとも路上に転倒させた。 (4) AK巡査 らセルシオを発進させるよう促されたため,ハンドルを少し左に切りながら同車を発進させ,同車右前部を本件バイクの前輪付近に衝突させてAK巡査を本件バイクもろとも路上に転倒させた。 (4) AK巡査は,前記転倒の際,加療約10日間を要する右肩捻挫,両手打撲の傷害を負った。 3 AK巡査は,当公判廷で,要旨「職務質問をするため,本件バイクをその前輪がセルシオの右前部に係るように停車するとともに同人らに降車するよう申し向けたところ,同車が本件バイクに二,三回コツンコツンと衝突し,さらに助手席側から『かめへん,いてまえ,いてまえ。』という声が聞こえ,同車が急発進して本件バイクもろともはねられ転倒し,両手と右肩を路上に打ち付けた」旨供述し,Jの前掲検察官調書(検察官請求証拠番号37ないし39)中には「セルシオを本件バイクに二,三回軽く当てたが,AK巡査はその状態のまま動かず,被告人から『行くんやったら,行かんかい。はよ行け。』と言われたため,セルシオを急発進させて本件バイクもろともAK巡査を転倒させた」旨の記載部分があるところ,セルシオと本件バイクの接触状況の点は相互に符合しており,しかも,その供述内容は本件バイクやセルシオの各接触痕の状態とも概ね合致しこれと矛盾するとはいえないこと,セルシオを急発進させた状況に関しては,被告人がJに同車の発進を促したという点では相互に符合しており,被告人が,当公判廷で,セルシオが本件バイクに二,三回軽く当たった後,Jに「何しとん。行け。」と命じたところJがセルシオを急発進させた旨を自認してもいること等に照らすと,前記文言の差異はそのような趣旨の発言があったとの認定を妨げるものとはいえず,前記AK公判供述及びJ調書の記載部分はいずれも十分信用できる。 これに対し,被告人は,当公判廷で,Jに対し,セルシオを発進 言の差異はそのような趣旨の発言があったとの認定を妨げるものとはいえず,前記AK公判供述及びJ調書の記載部分はいずれも十分信用できる。 これに対し,被告人は,当公判廷で,Jに対し,セルシオを発進させるよう言ったことは事実であるが,「前に行くか後ろに行くか,どっちかにせんかい。」等と言っただけで,同車をAK巡査に衝突させることを指示しておらず,同車が本件バイクに衝突した際の衝撃もなかった旨供述するが,他方で,被告人は,直ぐに同車前方にいるAK巡査と面識があることに気が付き,以後顔を伏せるようにしていた,セルシオをどのように進行させるかはJに任せていたと供述しているのであって,被告人がAK巡査と面識があり,できるだけ早くその場から逃走したいと考えていたこと,前認定のセルシオと本件バイクとの位置関係,道幅等の犯行現場付近の状況,被告人がセルシオの後方を確認した様子は窺えないこと,セルシオの進路前方には本件バイク以外その進路を妨げるものはなかったこと,それまでのセルシオの挙動等に照らすと,被告人においてJがセルシオを前方に急発進させることのあることは当然に予想し,そのことを容認していたと認められるのであって,被告人が,捜査段階では,躊躇しているJに対し前に行くか後ろに行くかせいと怒鳴ったため,Jがセルシオを本件バイクに衝突させたものである旨自認する供述をしていたことをも併せ考慮すると,被告人の前記公判供述は信用できない。 4 そうすると,JがAK巡査に対し,セルシオを本件バイクに向け急発進させる暴行を加えることにつき,Jと被告人との間に共謀のあった事実その他判示第7の事実を認めるに十分である。 (確定裁判)被告人は,平成12年11月7日神戸地方裁判所で覚せい剤取締法違反の罪により懲役2年6月(4年間保護観察付き執行猶予)に処せられ,そ 実その他判示第7の事実を認めるに十分である。 (確定裁判)被告人は,平成12年11月7日神戸地方裁判所で覚せい剤取締法違反の罪により懲役2年6月(4年間保護観察付き執行猶予)に処せられ,その裁判は同月22日確定したものであって,この事実は検察事務官作成の前科調書(検察官請求証拠番号153)によって認める。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為のうち,器物損壊の点は刑法60条,261条に,窃盗の点は同法60条,235条に,判示第2の所為は同法60条,235条に,判示第3,第4,第6及び第9の各所為のうち,各建造物侵入の点はいずれも同法60条,130条前段に,各窃盗の点はいずれも同法60条,235条に,判示第5及び第8の各所為はいずれも平成13年法律第51号による改正前の道路交通法118条1項2号,22条1項,4条1項,道路交通法施行令1条の2第1項に,判示第7の所為のうち,建造物侵入の点は刑法60条,130条前段に,公務執行妨害の点は同法60条,95条1項に,強盗致傷の点は同法60条,240条前段(238条)に,判示第10の所為は同法60条,240条前段(236条1項)に,判示第11の所為は前記改正前の道路交通法118条1項2号,22条1項,道路交通法施行令27条1項1号に各該当するが,判示第1は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として重い窃盗罪の刑で,判示第3,第4,第6及び第9の各建造物侵入と各窃盗との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,同法54条1項後段,10条によりいずれも1罪として重い各窃盗罪の刑で,判示第7の公務執行妨害と強盗致傷は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,建造物侵入と強盗致傷との間には手段結果の関係があるから,同法54条1項前段,後段,10条に 罪として重い各窃盗罪の刑で,判示第7の公務執行妨害と強盗致傷は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,建造物侵入と強盗致傷との間には手段結果の関係があるから,同法54条1項前段,後段,10条により結局以上を1罪として最も重い強盗致傷罪の刑でそれぞれ処断することとし,各所定刑中判示第5,第8及び第11の各罪について懲役刑を,判示第7及び第10の各罪について有期懲役刑をそれぞれ選択し,判示第1,第2の各罪と前記確定裁判があった罪とは刑法45条後段の併合罪であるから,同法50条によりまだ確定裁判を経ていない判示第1,第2の各罪について更に処断することとし,これらの罪は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の重い判示第1の罪の刑に法定の加重をし,また判示第3ないし第11の各罪も同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第7の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をし,それぞれその刑期の範囲内で,被告人を判示第1及び第2の各罪について懲役2年に,判示第3ないし第11の各罪について懲役11年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中260日を判示第3ないし第11の各罪の刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由) 1 本件は,被告人が,(1)前記確定裁判前において,共犯者らと共謀の上,平成12年8月及び同年10月の2度にわたり,白昼,質屋のショーウィンドーガラスを損壊するなどして金品を窃取した器物損壊,窃盗の事案(判示第1,第2),(2)前記確定裁判後において,共犯者らと共謀の上,平成13年1月から同年4月にかけて,深夜あるいは未明に,前後4回にわたり,店舗内に侵入して金品を窃取した建造物侵入,窃盗の事案 判示第1,第2),(2)前記確定裁判後において,共犯者らと共謀の上,平成13年1月から同年4月にかけて,深夜あるいは未明に,前後4回にわたり,店舗内に侵入して金品を窃取した建造物侵入,窃盗の事案(判示第3,第4,第6,第9),その間,婦人服飾店に侵入して金品を窃取し,逮捕を免れるために,警ら中の警察官が乗車するバイクに自動車を衝突させて転倒させる暴行を加え,公務の執行を妨害するとともに傷害を負わせた建造物侵入,公務執行妨害,強盗致傷の事案(判示第7),共犯者らと共謀の上,貴金属店店長に催涙スプレーを吹きかける等して金品を強取した強盗致傷の事案(判示第10),前後3回にわたり高速道路で最高速度を超える速度で自動車を運転した道路交通法違反の事案(判示第5,第8,第11)である。 2 まず,前記各犯行のうち,器物損壊,窃盗,建造物侵入,公務執行妨害,強盗致傷の各犯行(判示第1ないし第4,第6,第7,第9,第10)は,犯罪者集団を形成する自分や共犯者らの生活費や遊興費を獲得するため,1府3県の広域にわたり共犯者らと共謀して敢行した職業的犯行であり,被告人はその犯罪者集団の主犯格的立場にあったこと,本件が高額商品を陳列している質屋等の店舗を狙った連続的犯行であり,その社会的影響も大きいことに照らすと,その犯情は極めて悪質であり,被告人の刑事責任は重大である。 3 前記確定裁判前の各罪の刑事責任を検討するに,いずれも動機に斟酌すべき事情は認められず,事前に下見したり,実行犯と見張りの役割分担をする等して犯行計画を立案した上,白昼堂々と営業中の質屋のショーウィンドーを破壊して瞬時に金品を略奪し,手際よく自動車で逃走しているのであって,大胆かつ粗暴な計画的犯行であり,誠に悪質であるというほかなく,器物損壊及び窃盗の財産的損害は極めて高額であるのに,同 ィンドーを破壊して瞬時に金品を略奪し,手際よく自動車で逃走しているのであって,大胆かつ粗暴な計画的犯行であり,誠に悪質であるというほかなく,器物損壊及び窃盗の財産的損害は極めて高額であるのに,同各犯行については被害弁償は全くなされておらず,被害者らが被告人に対する厳重処罰を望んでいること, 判示第1及び第2の各犯行が前記確定裁判に係る事件の公判手続中,その保釈中になされた犯行であることも併せ考慮すると,被告人の法秩序軽視の態度は深刻であって,その刑事責任は重いといわねばならない。 4 次に前記確定裁判後の罪に係る刑事責任を検討する。 まず,建造物侵入,窃盗,公務執行妨害,強盗致傷の点は,いずれも動機に酌むべき事情はなく,被告人は,主犯格として入念な下準備をした上,深夜から早朝にかけての時間帯に,前後5回にわたり,共犯者とともに手荒な方法で店舗内に侵入し,ほしいままに金品を略奪して逃走し(判示第3,第4,第6及び第9),うち1回は,金品略奪後,警ら中の制服警察官に見つかり,逮捕を免れるため同人を自動車で突き飛ばして逃走し,同人に傷害を負わせたものであり(判示第7),さらに,共犯者とともに白昼堂々と質屋に押し込むや,突如店長の顔面に催涙スプレーを吹きかける等して金品を強取し,同人に傷害を負わせた判示第10の犯行の悪質性をも併せ考慮すると,いずれも大胆かつ粗暴で犯行の態様も危険な計画的犯行というべきであり,誠に悪質であるといわざるを得ない。窃盗及び強盗致傷の財産的損害は極めて多額に上り,被告人らの被害弁償も十分になされていないこと,前記警察官及び店長に与えた傷害結果も軽視できないこと,警察官の適法な公務の執行を妨害したことの悪質性なども併せ考慮すると,前記各犯行の結果は重大である。 また,道路交通法違反(速度違反)の各犯行(判示第 及び店長に与えた傷害結果も軽視できないこと,警察官の適法な公務の執行を妨害したことの悪質性なども併せ考慮すると,前記各犯行の結果は重大である。 また,道路交通法違反(速度違反)の各犯行(判示第5,8,11)は,常習的な犯行で最高速度違反の程度も著しく,運転車両のナンバープレートを擬装するなどして敢行されており,無法かつ気ままな犯行というべく悪質である。 以上の諸点に加え,判示第3ないし第11の各罪がいずれも執行猶予期間中の再犯であることをも併せ考慮すると,その犯情もまた極めて悪質である。 5 そうすると,被告人の刑事責任は誠に重大であるというべきであって,一部の被害者に対し,被害弁償金の内金として合計450万円を送金したこと,判示第7及び第10の各罪につき,判示傷害がいずれも軽傷であり,特に後遺障害もないこと,判示第9や第10の被害品の全部又は一部が被害者に還付されていることのほか,前記確定裁判に係る刑の執行猶予が取り消され併せて服役すること,義理の母が当公判廷で被告人の帰りを待つ旨述べていること,被告人なりの反省悔悟の情など,被告人のために酌むべき事情を最大限に考慮しても,主文掲記の刑は免れない。 よって,主文のとおり判決する。 平成14年10月22日神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官橋本一 裁判官林史高 林史高

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