令和2(ワ)3862 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年9月9日 大阪地方裁判所
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判決文本文27,418 文字)

令和3年9月9日判決言渡同日原本受領裁判所書記官令和2年(ワ)第3862号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和3年7月9日判決 原告 P1 被告株式会社クオリティファースト同代表者代表取締役同訴訟代理人弁護士岡田春夫 同瓜生嘉子同訴訟代理人弁理士井 澤 眞樹子主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 被告は,原告に対し,300万円を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形さ れた包装袋及び包装用積層フィルムの製造方法。」とする特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が,被告が別紙「被告製品目録」記載の製品を販売することは,本件特許権の侵害にあたると主張して,被告に対し,特許法102条3項に基づく損害賠償として300万円の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げていない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨 により容易に認められる事実である。)(1) 当事者原告は,本件特許の発明者であり,本件特許の特許権者である。 被告は,化粧品販売等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権 本件特許権の内容は次のとおりである。また,本件特許権の特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,明細書及び図面を「本 る。 被告は,化粧品販売等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権 本件特許権の内容は次のとおりである。また,本件特許権の特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,明細書及び図面を「本件明細書」という。)の記載は,本判決添付の特許公報のとおりである(甲2。以下,請求項1記載の発明を「本件発明1」,請求項2記載の発明を「本件発明2」といい,これらを併せて「本件各発明」という。)。 登録番号特許第6422064号発明の名称包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋及び包装用積層フィルムの製造方法。 出願日平成29年3月27日登録日平成30年10月26日 (3) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明の構成要件は,次のとおり分説される。 ア本件発明1A 表層の基材フィルムに絵柄の印刷が施され,B 前記基材フィルムには,前記絵柄に対応した, B1 略円形又は略四角形の形状のミシン目B2 又は基材フィルムを貫通する溝B3 若しくは前記略円形又は前記略四角形の中央部で二分された形状のミシン目B4 又は基材フィルムを貫通する溝が設けられ, C 前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層されて, D 非シール部に前記ミシン目又は溝部が設けられE 該ミシン目又は溝部が開封により取出口になるF ことを特徴とする包装袋イ本件発明2G 請求項1に記載の包装袋であって, G1 袋形状がピロー包装袋でG2 該ピロー包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が設けられている,G3 又は袋形状がスタンドパック包装袋でG4 該スタンドパック包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口 袋でG2 該ピロー包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が設けられている,G3 又は袋形状がスタンドパック包装袋でG4 該スタンドパック包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が設 けられているH ことを特徴とする包装袋(4) 被告の行為等被告は,別紙「被告製品目録」記載の製品(以下「被告製品」という。)を,各販売開始時期欄記載の日から販売した(乙1~6)。 (5) 被告包装袋の構成等(甲8,22,36,41,42及び弁論の全趣旨)ア被告製品の構成,外観及び取出口の概略は,別紙概略図(ただし,略四角形内部の略M字状の切込み線は,二本の対角線の両端に存する。)のとおりである。 イ被告製品の内容物は,美容液に浸したシートマスクであり,シートマスクは,上方に開口した箱状の透明な樹脂製容器に収納され,樹脂製容器の開口部は,透明 な樹脂フィルム及び封止シールにより密封されている。 ウ樹脂製容器は,積層フィルムをヒートシール方式によりピロー状に成形した包装袋(以下「被告包装袋」という。)に収納されている。 エ被告包装袋の上面には,樹脂製容器の開口部に対応する位置に,略四角形のミシン目(断続的に形成された切込み線)が施され,略四角形の四隅部分には,円 弧状(R状)の切込み線が施されていて,消費者は,これらを破ることで取出口を 開封することができる。 略四角形の内部には,二本の対角線上にミシン目が施され,対角線の両端には略M字状の切込み線が施されていて,これらは上記開封を補助するためのものである。 オ被告包装袋の上面には,縞状の模様が印刷されているほか,略四角形の四隅部分の円弧状の切込み線に一致する位置に,円弧状の細線が印刷され,また対角線 上に施されたミシン するためのものである。 オ被告包装袋の上面には,縞状の模様が印刷されているほか,略四角形の四隅部分の円弧状の切込み線に一致する位置に,円弧状の細線が印刷され,また対角線 上に施されたミシン目のうち一本の両端に近い部分に,矢印の記号が印刷されている。 カ被告包装袋の上面には,略四角形のミシン目による取出口に対応する形状の,樹脂製の蓋付き取出口が接着されている。 消費者は,被告製品を最初に使用する際,樹脂製の蓋を開き,被告包装袋の対角 線上のミシン目及び矢印を利用して,略四角形のミシン目に沿って被告包装袋の上面の一部を取り除いて取出口を開き,その中にある透明な樹脂製容器の開口部の封止シールをはがしてシートマスクを取り出し,その後は封止シールの開閉及び樹脂製容器蓋の開閉のみを行うことができる。 キ原告は,被告製品のうち,被告包装袋の構成が,本件各発明の技術的範囲に 属する旨を主張するところ,被告包装袋が,本件各発明の構成要件のうちA,D,E,F,G1及びHを充足することは,当事者間に争いがない。 2 争点(1) 被告包装袋は本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 「絵柄に対応した」(構成要件B,B1,G2)の意義(争点1-1) イ 「シーラント層」(構成要件C)の意義(争点1-2)(2) 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(争点2)アサポート要件違反の有無(争点2-1)イ乙14による新規性欠如の有無(争点2-2)ウ乙25による新規性欠如の有無(争点2-3) エ乙35及び周知技術による進歩性欠如の有無(争点2-4) (3) 損害の発生及びその額(争点3)第3 争点についての当事者の主張 1 被告包装袋は本件各発明の技術的範囲 エ乙35及び周知技術による進歩性欠如の有無(争点2-4) (3) 損害の発生及びその額(争点3)第3 争点についての当事者の主張 1 被告包装袋は本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)(原告の主張)(1) 「絵柄に対応した」(構成要件B,B1,G2)の意義(争点1-1) ア 「対応」とは,二つの物事が一定の関係にあることを意味するから,「絵柄に対応した」とは,積層フィルム上において,絵柄とミシン目が一定の位置関係にあることを指す。 被告包装袋は,その基材フィルムにストライプや製品名等の絵柄のほか,取出口には矢印やその四隅にR状の絵柄等が施されており,これらの絵柄と一定の位置関 係になるようにミシン目が設けられている。 したがって,被告包装袋は,構成要件B,B1及びG2を充足する。 イ被告は,「絵柄に対応した」とは「絵柄に見当を合わせ」と解釈すべきであり,「絵柄に見当を合わせ」形成されたミシン目とは,絵柄で位置合わせをして設けられたミシン目を意味する旨を主張する。しかし,「見当を合わせ」とは,位置 精度を合わせることを意味し,絵柄とミシン目が一定の位置関係にあることを指すことに変わりはなく,「絵柄に対応した」と同義である。また,「見当」とは,あくまで位置精度の良否を表す言葉であり,位置を合わせるための目印等を指すものではないから,「絵柄に対応した」を「絵柄で見当を合わせる」と解釈することは誤りである。 (2) 「シーラント層」(構成要件C)の意義(争点1-2)ア本件明細書上,「シーラント層」について,ミシン目や溝を貫通させない旨の記載はない以上,基材フィルム以外の積層フィルムのどこまでミシン目等を設けるかは,積層フィルムの積層構造に応じて,任意に選 ア本件明細書上,「シーラント層」について,ミシン目や溝を貫通させない旨の記載はない以上,基材フィルム以外の積層フィルムのどこまでミシン目等を設けるかは,積層フィルムの積層構造に応じて,任意に選択することができる事項である。したがって,「シーラント層」とは,ミシン目等が貫通していないものに限定 されるものではなく,単にシーラント層であれば足りる。 被告包装袋は,基材フィルムの印刷面側にシーラント層が積層されているから,構成要件Cを充足する。 イ被告は,「シーラント層」とは,これにミシン目や溝を貫通させず,完全密封性を実現するための機能を持たせた層であると解釈すべきである旨を主張する。 しかしながら,本件発明1の内容説明に完全密封という言葉は使用されていないし, 本件明細書には,基材フィルムと隣接するフィルム層又は樹脂層の全部又は一部を除去する方法として,レーザー加工によりミシン目又は溝を形成することができる旨等が記載されており(【0017】),ミシン目がシーラント層を貫通することを記述しているから,被告の主張は,本件明細書の記載に反する。また,被告が指摘する本件明細書の実施例及び図面は,本件特許の請求項4に関するものであり, 本件発明1の解釈に影響を与えるものではない。 (被告の主張)(1) 「絵柄に対応した」(構成要件B,B1,G2)の意義(争点1-1)ア原告は,本件特許権の出願過程において,旧請求項中の「絵柄に見当を合わせ」との文言を「絵柄に対応した」との文言に変更する補正を行ったうえで,「絵 柄に対応した」とは,「絵柄に見当を合わせ」と同義である旨の意見を述べた(乙8)。したがって,「絵柄に対応した」とは「絵柄に見当を合わせ」と解釈すべきであり,「絵柄に見当を合わせ」形成 「絵 柄に対応した」とは,「絵柄に見当を合わせ」と同義である旨の意見を述べた(乙8)。したがって,「絵柄に対応した」とは「絵柄に見当を合わせ」と解釈すべきであり,「絵柄に見当を合わせ」形成されたミシン目とは,絵柄で位置合わせをして設けられたミシン目を意味する。 通常,製袋をするに当たってフィルムをカットするなどの加工をする場合,予め フィルム上に印刷された光電管マーク(長方形のマーク)を基準として正確な位置を特定して加工する。このため,絵柄に光電管マークなどの位置合わせの基準となるマークが含まれるとすると,「絵柄に対応した」との文言は発明特定事項として特段の意味を持たないことになる。したがって,「絵柄」には,光電管マークなどの一般に位置合わせの基準として用いられるマークは含まれず,視覚的なデザイン として印刷された模様や,情報として表される文字等を意味すると解すべきである。 イ被告包装袋を加工する際は,ヒートシール部に印刷された光電管マークを基準にミシン目の刃型の位置合わせをしているのであって,被告包装袋の上面に印刷された円弧状の細線や矢印により位置合わせをしてミシン目を施しているのではないから,ミシン目が絵柄に対応しているとはいえず,被告包装袋は構成要件B,B1及びG2を充足しない。 (2) 「シーラント層」(構成要件C)の意義(争点1-2)ア本件明細書では,「シーラント層」についての明確な定義や説明はないが,本件各発明の技術的意義や特徴,本件明細書全体の記載内容,さらには本件特許の出願経過に照らすと,「シーラント層」とは,包装袋に用いる積層フィルムにおいて,袋状にするために熱でシールするための層であるのみならず,これにミシン目 や溝を貫通させることなく,完全密封性を実現 願経過に照らすと,「シーラント層」とは,包装袋に用いる積層フィルムにおいて,袋状にするために熱でシールするための層であるのみならず,これにミシン目 や溝を貫通させることなく,完全密封性を実現するための機能を持たせた層であると解釈すべきである。 すなわち,本件明細書によれば,従来技術は,ウェットティッシュなどの包装製品における完全密封性やバージン性に課題がある旨の指摘がされており,かかる課題を解決するための手段として本件各発明がなされた。そして,本件明細書には, 本件各発明の特徴として密封性のある包装袋であることが記載されており,実施例においても,積層フィルムに形成されたミシン目あるいはレーザー加工による溝は,いずれもシーラント層には入っていない。 さらに,原告は,本件特許の出願過程において,審査官に対し,文献1(材料のどの層にミシン目が設けられているのか不明であるもの)に文献2や3(基材層の みにミシン目を設けてシーラント層には設けていないもの)を組み合わせるのは容易か否かを問い合わせていることに照らすと,原告は,本件各発明は,シーラント層にミシン目が入っていないことに技術的特徴があり,そこが主引例(文献1)との相違点であることを認識していたと考えられる。 イ被告包装袋は,積層フィルムを袋状にするために,いわゆるヒートシールフ ィルムが積層されているが,そこには取出口となる略四角形の形状のミシン目が貫 通して設けられており,包装袋の密封性は全く実現されていない。 したがって,被告包装袋は,構成要件Cを充足しない。 2 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(争点2)(1) サポート要件違反の有無(争点2-1)(被告の主張) 本件各発明には,本件明細書に記 件Cを充足しない。 2 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか(争点2)(1) サポート要件違反の有無(争点2-1)(被告の主張) 本件各発明には,本件明細書に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,本件各発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えて特許がなされている。 すなわち,本件明細書に明記された本件各発明の課題はいずれも不合理なものであるから,本件明細書全体や図面の記載,出願時の技術常識を考慮してこれを把握 する必要があり,その場合,従来技術には,密封性やバージン性の課題があったと解される。そうであるところ,本件明細書には,これらの課題を解決するための手段として,ミシン目又は溝の加工が施された基材フィルムとシーラント層が貼り合わされて「密封性」のある包装袋が得られる旨等が記載されており,実施例には,基材フィルムにはミシン目又は溝を貫通させるが,シーラント層には敢えてミシン 目や溝を設けないもののみが記載されている。これらの事情に照らすと,本件各発明は,ミシン目又は溝が貫通していないシーラント層によって「密封性」及び「バージン性」を確保し,これによって従来技術の課題を解決しているものといえる。 一方,本件各発明の特許請求の範囲において,基材フィルムには,ミシン目又は基材フィルムを貫通する溝が形成されているが,かかるミシン目又は溝がシーラント 層も貫通するか否かについては何ら限定がなく,ミシン目又は溝が貫通しないシーラント層のみならず,ミシン目又は溝が貫通するシーラント層も含まれていることになる。その場合,もはや密封性やバージン性を確保するという本件各発明の課題を解決することはできず,本件各発明には,本件明細書に記載された発明 ,ミシン目又は溝が貫通するシーラント層も含まれていることになる。その場合,もはや密封性やバージン性を確保するという本件各発明の課題を解決することはできず,本件各発明には,本件明細書に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。 したがって,本件特許は,サポート要件(特許法36条6項1号)を満たしてお らず,無効とされるべきものである(同法123条1項4号)。 (原告の主張)本件各発明における課題は,非シール部に略円形等の形状のミシン目又は溝を設け,その部位を指(手)で開封し内容物の取出口とすることによって,封止シールを不要とし安価に包装袋を製造すると共に,取出口が脱落しないようにして安定し た製品を供給することである。そして,この課題を解決するための手段は,本件各発明の特許請求の範囲に記載のとおり,非シール部に楕円形等の形状のミシン目等を設け,その部位を指(手)で開封し,内容物の取出口とすることであり,前記課題と対応している。 したがって,当業者が,出願時の技術常識に照らし,特許請求の範囲及び発明の 詳細な説明の記載から,本件各発明の課題を解決できることを認識可能であるから,サポート要件を満たしている。 (2) 乙14による新規性欠如の有無(争点2-2)(被告の主張)ア本件各発明は,昭和紙工株式会社が,遅くとも平成28年4月21日に製造 し,同月27日に日本国内で販売していた「おしりふきタオル」の包装袋(乙14。 以下「乙14製品」という。)と同一の発明であるから,本件特許の出願前に日本国内で公然実施された発明である(特許法29条1項2号)。 イ乙14製品の構成乙14製品の構成は次のとおりである。 A′ 包装袋の最表面の基材フ あるから,本件特許の出願前に日本国内で公然実施された発明である(特許法29条1項2号)。 イ乙14製品の構成乙14製品の構成は次のとおりである。 A′ 包装袋の最表面の基材フィルムには文字や図形等の絵柄の印刷が施され,B′ 前記基材フィルムには,絵柄に対応した位置に,長円形状の包装袋フィルムの最表面層のフィルムを貫通するカットが設けられ,C′ 容器本体を構成する積層フィルムの最表面の基材フィルムの印刷層側にはポリプロピレン(CPP)フィルム層が積層され, D′ 非シール部に前記カットが設けられ, E′ 容器本体に貼りつけられているシート片を剥がすことで,カットに囲まれた部分のフィルムが切り取られ,内部に収容されたおしりふきタオルの取出口になる,F′ ピロー包装袋G′ 構成A’からF’を備える包装袋であって, G2′袋形状がピロー包装袋で,その非シール部の絵柄に対応した位置に前記取出口が設けられているピロー包装袋である,H′ 包装袋ウ本件発明1と乙14製品との同一性まず,乙14製品の構成A′,E′及びF′が,本件発明1の構成要件A,E及 びFと一致することは明らかである。また,構成D′の「カット」が構成要件Dの「溝部」に相当し,構成B′の「長円形状の包装袋フィルムの最表面層のフィルムを貫通するカット」が構成要件Bの「略円形の形状の溝」に相当することから,構成B′及びD′が構成要件B及びDと一致することも明らかである。 次に,構成要件Cの「シーラント層」は,本件明細書の記載によれば,ヒートシ ール性を有する材質からなるものと考えられるところ,構成C′の「CPPフィルム層」は,ヒートシール性のよい樹脂であり,ヒートシールするために用 ラント層」は,本件明細書の記載によれば,ヒートシ ール性を有する材質からなるものと考えられるところ,構成C′の「CPPフィルム層」は,ヒートシール性のよい樹脂であり,ヒートシールするために用いられることは当業者において周知の技術常識である。よって,構成C′は構成要件Cと一致する。 そして,構成E′の「取出口」は,「シート片を剥がすことで,カットに囲まれ た部分のフィルムが切り取られ」ることで開封され,「内部に収容されたおしりふきタオルの取出口」になることから,構成要件Eの「開封により取出口になる」ものである。よって,構成E′は構成要件Eと一致する。 以上のとおり,乙14製品の各構成は,本件発明1の各構成要件と一致するから,両発明は,同一発明である。 エ本件発明2と乙14製品の同一性 前記ウで前述したとおり,乙14製品の構成G′は,本件発明2の構成要件Gと一致する。そして,構成G2′は,構成要件G2と一致する。 以上のとおり,乙14製品の各構成は,本件発明2の各構成要件と一致するから,両発明は,同一発明である。 オしたがって,本件特許は,新規性が欠如しており,無効とされるべきもので ある(特許法123条1項2号)。 (原告の主張)ア乙14製品の構成のうち,A′からD′及びF′は認め,E′は否認する。 イ乙14製品は,粘着加工された封止シールが,包装袋に設けたカット(溝)部の上部に貼られ,該カット部を該封止シールに接着させ,該封止シールを剥がし 該カット部を包装袋より分離し取出口にすること,及び封止シールを完全に剥がせないように歯止めが設けられており,封止シールを包装袋に貼ることで再封できることを特徴としており,構成E′はこのように解すべきである。これに対し り分離し取出口にすること,及び封止シールを完全に剥がせないように歯止めが設けられており,封止シールを包装袋に貼ることで再封できることを特徴としており,構成E′はこのように解すべきである。これに対し,本件発明1は,該ミシン目又は溝部を指で摘み,開封,除去することで取出口にすることを特徴としている。 したがって,構成要件Eと構成E′は明らかに異なっており,本件特許は新規性を有する。 (3) 乙25による新規性欠如の有無(争点2-3)(被告の主張)ア本件各発明は,平成10年2月24日に頒布された刊行物(乙25)に記載 された発明(以下「乙25発明」という。)と同一の発明であり,特許出願前に日本国内で頒布された刊行物に記載された発明である(特許法29条1項3号)。 イ乙25発明の構成乙25発明の構成は次のとおりである。 A″ 包装体を構成する最表面のPETフィルムの裏面には絵柄の印刷層が設け られ, B″ 絵柄が設けられた積層フィルムには,長円形状のミシン目又は切込みが設けられ,C″ 最表面のPETフィルムの印刷層が設けられた側にはCPPからなるヒートシール層が積層され,D″ 非シール部に前記ミシン目又は切込みが設けられ, E″ ミシン目又は切込みが切り取られることで開口部となる,F″ ピロー包装体G″ 構成A″からF″を備える包装体であって,G2″袋形状がピロー包装袋で,その非シール部の絵柄に対応した位置に前記取出口が設けられている, H″ 包装体ウ本件発明1と乙25発明の同一性乙25発明の構成A″からF″は,本件発明1の構成要件AからFと一致する。 原告は,構成要件Eと構成E″は,取出口の設け方が明らかに異なっ H″ 包装体ウ本件発明1と乙25発明の同一性乙25発明の構成A″からF″は,本件発明1の構成要件AからFと一致する。 原告は,構成要件Eと構成E″は,取出口の設け方が明らかに異なっており相違する旨を主張する。しかし,乙25発明のように,開口部を覆う蓋材を剥がすこと で開口部(取出口)になるような構成E″が「溝部が開封により取出口となる」ことに違いなく,構成E″と構成要件Eは一致する。 以上のとおり,乙25発明の各構成は,本件発明1の各構成要件と一致するから,両発明は,同一発明である。 エ本件発明2と乙25発明の同一性 前記ウで前述したとおり,乙25発明の構成G″は,本件発明2の構成要件Gと一致する。そして,構成G2″は,構成要件G2と一致する。 以上のとおり,乙25発明の各構成は,本件発明2の各構成要件と一致するから,両発明は,同一発明である。 オしたがって,本件特許は,新規性が欠如しており,無効とされるべきもので ある(特許法123条1項2号)。 (原告の主張)ア乙25発明の構成のうち,A″からD″及びF″は認め,E″は否認する。 イ乙25発明は,開口部を覆う蓋材があり,これが封止シールの役割を果たし,これを剥がすことで取出口になることを特徴としており,構成E″はこのように解すべきである。一方,本件発明1の構成要件Eは,該ミシン目又は溝部が開封によ り取出口となる。 したがって,構成要件Eと構成E″は,取出口の設け方が明らかに異なっており,本件特許は新規性を有する。 (4) 乙35及び周知技術による進歩性欠如の有無(争点2-4)(被告の主張) ア本件各発明は,平成20年7月3日に頒布された刊行物(乙35)に記載された発 は新規性を有する。 (4) 乙35及び周知技術による進歩性欠如の有無(争点2-4)(被告の主張) ア本件各発明は,平成20年7月3日に頒布された刊行物(乙35)に記載された発明(以下「乙35発明」という。)に,周知技術を適用して,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 イ乙35発明の構成 乙35発明の構成は次のとおりである。 A’’’ 包装を構成する積層フィルムに図形の印刷が施され,B’’’ 図形の設けられた積層フィルムには開口となる楕円形状のミシン目や切込み等の弱い線が形成されており,C’’’ 包装を構成する積層フィルムはポリエチレンフィルムが積層されて, D’’’ 非シール部に前記弱い線が設けられ,E’’’ 弱い線で包装が切り取られることで取出口が開口する,F’’’ ピロー包装袋G’’’ 構成A’’’から構成F’’’を備える包装袋であって,G2’’’ 袋形状がピロー包装袋で,その非シール部の絵柄に対応した位置に前記 取出口が設けられている, H’’’ 包装袋ウ本件発明1と乙35発明の同一性等乙35発明の構成B’’’からF’’’は,本件発明1の構成要件BからFと一致し,構成A’’’の「図形」は構成要件Aの「絵柄」に相当する。 一方,構成要件Aでは表層の基材フィルムに絵柄印刷が施されているのに対し, 構成A’’’では積層フィルムのどの層に図形の印刷層が設けられているのか特定されていない。しかし,最表層フィルムの裏面に印刷を施すこと,また,最表層フィルム,印刷層,最内面シーラント層という積層構造をとることは周知技術である。と どの層に図形の印刷層が設けられているのか特定されていない。しかし,最表層フィルムの裏面に印刷を施すこと,また,最表層フィルム,印刷層,最内面シーラント層という積層構造をとることは周知技術である。とりわけ,包装袋用の積層フィルムに印刷面を設ける場合に,表面から認識できるように,かつ,印刷面を保護するために,透明な表層フィルムの裏面側に印刷面を設 けることは周知事項である。したがって,乙35発明においても,印刷面を表層面の裏面側に設けることは周知技術を採用することであり,当業者が適宜なし得る設計事項である。よって,当業者は,乙35発明に周知技術を適用して本件発明1の構成に容易に至ることができる。 エ本件発明2と乙35発明の同一性等 乙35発明の構成G2’’’は,本件発明2の構成要件G2と一致する。 一方,前記ウで前述したとおり,構成G’’’と構成要件Gは,構成要件Aでは表層の基材フィルムに絵柄印刷が施されているのに対し,構成A’’’では積層フィルムのどの層に図形の印刷層が設けられているのか特定されていない点でのみ相違する。しかし,当業者は,乙35発明に,周知技術を適用して,本件発明2の構成に容易に 至ることができる。 オ以上から,本件特許は,進歩性が欠如しており,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号)。 (原告の主張)ア乙35発明の構成のうち,D’’’及びF’’’は認め,その余は否認する。 イ本件各発明の包装袋に使用する積層フィルムとは,表層に基材フィルムを, 最内層にシーラントフィルムを用いて数種類のフィルムを貼り合わせた積層フィルムをいう。一方,乙35発明の可撓性包装に使用するフィルム積層体は,表裏共にポリオレフィン樹脂であり材料の貼合わせ加工を行う 最内層にシーラントフィルムを用いて数種類のフィルムを貼り合わせた積層フィルムをいう。一方,乙35発明の可撓性包装に使用するフィルム積層体は,表裏共にポリオレフィン樹脂であり材料の貼合わせ加工を行うことなくフィルム積層体の表面に図形の印刷が施される。したがって,本件各発明の積層フィルムと乙35発明の積層フィルムは,①使用する素材,②素材のシール方法,③印刷層の位置及び印 刷可能領域,④弱い線がない場合の開封方法,⑤ミシン目付与方法で異なっている。 よって,本件特許は,周知技術に基づいて当業者が容易に発明できるものではないから,進歩性を有する。 3 損害の発生及びその額(争点3)(原告の主張) 被告は,平成29年7月頃から,被告製品の販売を開始し,その後,3年間のうちに,販売価格500円で被告製品を20万個販売しているから,本件各特許権の実施料率を3%とすると,原告には,300万円の損害が発生している(特許法102条3項)。 (被告の主張) 否認し,又は争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載本件明細書には次の記載がある。 (1) 技術分野 【0001】本発明は,消費者の利便性を高めるための,包装袋の開封性の付与方法,内容物の取り出し易さの付与方法,及び開封後の保管を容易にする再封性の付与方法を向上する包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋及び包装用積層フィルムの製造方法に関する。 (2) 背景技術 【0002】積層フィルムからなる包装袋の開封方法は,充填時のシール部付近を破る,ハサミで切る,シール部を引っ張りシール部から開く,などが一般的であるが,開封性を良くするため,種々の方法が工夫されている。主たる方 層フィルムからなる包装袋の開封方法は,充填時のシール部付近を破る,ハサミで切る,シール部を引っ張りシール部から開く,などが一般的であるが,開封性を良くするため,種々の方法が工夫されている。主たる方法は,積層された軟包装材にダイカッターなどでミシン目を入れる方法,レーザー光でミシン目や溝を付与 する方法により開封性を高めた軟包装製品もある。しかし,その方法は,包装袋のシール部分を含めて開封を容易にするためのものであり,一度開封すると再密封できない包装袋である。 【0003】ウェットティッシュなどの包装製品においては,取出口を設け粘着剤を設けた封 止シールを貼る方法が用いられているものもある。この包装製品の製造方法は,包装用積層フィルムに予め粘着剤を設けた封止シールを包装用積層フィルムの外表面に貼り合わせ,次に包装用積層フィルムの裏面より取出口の形状で包装用積層フィルムに粘着剤層まで切り刃を入れることにより,切り離した取出口部としているものである。 【0004】従って,予め包装材と分離した取出口の包装材の一部が封印シールの粘着剤で付いている状態であるため,開封時に,取出口を破るという感触はなく,完全密封性,バージン性のないものとなる。 【0005】 消費者のニーズとして,包装袋の開封性,取り出し易さ,リシール性,内容物の保存性などは,包装袋の使い易さという点で大きなものであり,この点についての研究は包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋に係る人たちの大きなテーマとなっている。 (3) 発明が解決しようとする課題 【0007】 包装袋の開封方法が,熱シール部から開封するのではなく,非シール部に略円形又は略四角形等の形状のミシン目又は溝を設け,該 (3) 発明が解決しようとする課題 【0007】 包装袋の開封方法が,熱シール部から開封するのではなく,非シール部に略円形又は略四角形等の形状のミシン目又は溝を設け,該部位を開封し内容物の取出口とし内容物を取り出せる利便性を向上した開封方法を一つ目の課題とし,さらには,包装袋の取出口となるミシン目又は溝を含む周囲の領域に封印シールを貼付し,封印シールを捲ることで取出口を形成し,内容物を取り出した後は,封止シールを包 装袋に貼り合わせ,再封性,内容物の保護性を有する包装袋とすることを二つ目の課題とし,これらの課題を満足する包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋を安価に安定して供給することを課題とする。 (4) 課題を解決するための手段【0008】 本発明の包装袋は,表層の基材フィルムに絵柄の印刷が施され,前記基材フィルムには,前記絵柄に対応した,略円形又は略四角形の形状のミシン目又は基材フィルムを貫通する溝若しくは前記略円形又は前記略四角形の中央部で二分された形状のミシン目又は基材フィルムを貫通する溝が設けられ,前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層されて,非シール部に前記ミシン目又は溝部 が設けられ該ミシン目又は溝部が開封により取出口になることを特徴とする。 【0009】また,上記の包装袋であって,袋形状がピロー包装袋で該ピロー包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が設けられていること,又は袋形状がスタンドパック包装袋で該スタンドパック包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が 設けられていることを特徴とする。 【0010】本発明の包装袋に用いる包装用積層フィルムは,表層の基材フィルムに絵柄の印刷が施され,前記 包装袋の非シール部の絵柄に対応した前記取出口が 設けられていることを特徴とする。 【0010】本発明の包装袋に用いる包装用積層フィルムは,表層の基材フィルムに絵柄の印刷が施され,前記基材フィルムには,前記絵柄に対応した,略円形又は略四角形の形状のミシン目若しくは前記略円形又は前記略四角形の中央部で二分された形状の ミシン目が設けられ,前記基材フィルムの印刷両面には少なくともシーラント層が 積層されて,非シール部に前記ミシン目部が設けられ,包装袋にあっては該ミシン目部が開封により取出口になることを特徴とする。 【0011】本発明の基材フィルムの絵柄に対応したミシン目が設けられ,絵柄の印刷が施された包装用積層フィルムの製造方法は,次のような特徴を有する方法である。 【0012】本発明の包装用積層フィルムの製造方法にあっては,前記包装用積層フィルムの1層を成す基材フィルムにグラビア印刷機で絵柄を印刷し,後段のユニットでミシン目切り刃が施されたダイカッターロールと自己粘着層を外周に設けたアンビルロールで圧接して前記絵柄に見当を合わせて取出口となるミシン目を形成したのち少 なくともシーラント層を積層する,又は,前記包装用積層フィルムの1層を成す基材フィルムにグラビア印刷機で絵柄を印刷し,少なくともシーラント層を積層したのち包装用積層フィルムの絵柄に見当を合わせてレーザー加工により基材フィルムを貫通する取出口となる溝を形成する,ことを特徴とする。 【0014】 本発明の包装用積層フィルムで成形された包装袋は,包装用積層フィルムの1層を成す基材フィルムには,グラビア印刷機で絵柄の印刷が施されており,次いで該基材フィルムの絵柄に見当を合わせ,略円形又は略四角形等の形状にミシン目の切 で成形された包装袋は,包装用積層フィルムの1層を成す基材フィルムには,グラビア印刷機で絵柄の印刷が施されており,次いで該基材フィルムの絵柄に見当を合わせ,略円形又は略四角形等の形状にミシン目の切り刃が施されたダイカッターと自己粘着層を外周に設けたアンビルロールにより,前記基材シートの非シール該当部に前記ミシン目状の取出口が形成されており,さ らに前記基材フィルムの印刷面側に少なくともシーラント層が設けられて,前記ミシン目部分が開封されれば前記取出口にすることができる。 【0016】本発明の包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形された包装袋は,アルミ箔又はアルミ蒸着層を含む中間層及びシーラント層を有し,さらに前記包装 用積層フィルムの1層を成す表面層の基材フィルムの非シール該当部には,レーザ ー加工により略円形又は略四角形等の形状に基材フィルムを貫通する溝又はミシン目が設けられており,該溝又はミシン目部分が開封されれば前記取出口にすることができる。 【0017】このように,本発明の包装用積層フィルム又は該包装用積層フィルムで成形され た包装袋は,基材フィルムにミシン目状の刃物で貫通部を設け破断し易くするだけでなく,基材フィルムと隣接するフィルム層又は樹脂層の全部又は一部を除去する方法として,レーザー加工によりミシン目又は溝を形成することができる。また,レーザー加工を行う包装用積層フィルムとしては,アルミ箔又はアルミ蒸着層が中間層にあることで,光を反射し,また,アルミ箔においては熱を拡散し安定した溝 深さを得ることができる。従って,本発明の包装袋においては,非シール部に広い範囲で溝又はミシン目を設けるため,中間層にアルミ箔又はアルミ蒸着層を設ければよい。 【0018】本発 た溝 深さを得ることができる。従って,本発明の包装袋においては,非シール部に広い範囲で溝又はミシン目を設けるため,中間層にアルミ箔又はアルミ蒸着層を設ければよい。 【0018】本発明の包装袋は,基材フィルムに印刷絵柄とミシン目状の貫通孔若しくは溝が 設けられ,絵柄面側に少なくともシーラント層が積層されることで包装用積層フィルムとし,シーラント層の熱シール性をもって成形するものである。 【0029】本発明の包装袋には特徴が2点あり,1点は取出口となるミシン目又は溝の加工が施された基材フィルム若しくは基材フィルムにシーラントフィルムなどが貼り合 わされており密封性のある包装袋である点と,前記取出口となる前記ミシン目又は溝の加工を施した領域を含む周囲の領域に封止シールを貼付し,該封止シールを捲ることで取出口を開口させ,再封することで取出口を閉口させることができる点とである。 【0035】 このように,包装袋の形状に関わらず,グラビア印刷による絵柄と取出口となる ミシン目加工が施された基材フィルムにシーラントフィルムなどが貼り合わされた密封性のある包装用積層フィルムを使用すること,包装用積層フィルムにレーザー加工が施された包装用積層フィルムを使用することで,バージン性,開封性,内容物の取り出し易さ,リシール性を兼ね備えた包装袋とすることができる。 【0038】 このように,表層の基材フィルムに絵柄の印刷が施された包装用積層フィルムにおいて,前記基材フィルムには,前記絵柄に対応した,略円形又は略四角形の形状のミシン目若しくは前記略円形又は前記略四角形の中央部で二分された形状のミシン目が設けられ,前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層されて,前記ミシン目部分 円形又は略四角形の形状のミシン目若しくは前記略円形又は前記略四角形の中央部で二分された形状のミシン目が設けられ,前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層されて,前記ミシン目部分が開封されれば取出口になる本発明の包装用積層フィル ムは,包装用積層フィルムの1層を成す基材フィルムに,グラビア印刷機で絵柄を印刷し,次いで後段の印刷ユニットにおいて,前記基材フィルムの絵柄に見当を合わせて,ミシン目切り刃が施されたダイカッターロールと自己粘着層を外周に設けたアンビルロールで圧接して,略円形又は略四角形の取出口となるミシン目,若しくは前記ミシン目の中央部に更にミシン目を付加した形状の取出口となるミシン目 を形成し,次いで前記基材フィルムの印刷面側に,少なくともシーラント層を積層することにより包装用積層フィルムの製造方法とすることができる。 (5) 発明の効果【0039】本発明の内容物を取り出すための取出口を備える包装用積層フィルムを用い,ピ ロー包装袋やスタンドパック包装袋とし,内容物に応じ任意の取出口とすることができ,包装袋のバージン性,新たな方法での開封,内容物の取出し易さなどを備えた包装袋とすることができた。 2 争点1(被告包装袋は本件各発明の技術的範囲に属するか)について(1) 被告包装袋の構成 ア被告包装袋の構成 被告包装袋の構成,外観は,前記前提事実(5)のウないしオで認定したとおりである。 イ被告包装袋の構造証拠(甲22,41,42,乙10,11)及び弁論の全趣旨によれば,被告包装袋を形成する積層フィルムの構造は,以下のとおりと認められる。 (ア) 被告包装袋の積層フィルムは,最も外側にOPP20のフィルム層があり,その層の内側に印刷が 弁論の全趣旨によれば,被告包装袋を形成する積層フィルムの構造は,以下のとおりと認められる。 (ア) 被告包装袋の積層フィルムは,最も外側にOPP20のフィルム層があり,その層の内側に印刷が施され,その印刷層に,PETフィルムの外側にアルミ蒸着を施したVMPET層を接着剤で貼り合わせ,VMPET層の内側にLL60のフィルム層を接着剤で貼り合わせたものであり,外側のOPP20層と内側のLL60層は,熱シール性のあるヒートシール層である。 (イ) 被告包装袋の積層フィルムは,前記(ア)の層をすべて積層した後,大阪シーリング印刷株式会社に依頼して,ダイロールという刃を押し当て,略四角形のミシン目,対角線上のミシン目,略四角形の四隅の円弧状の切込み及び対角線両端の略M字状の切込みを入れる加工を行わせているが,その際に,ミシン目の切込み,円弧状の切込み及び略M字状の切込みについては,積層フィルムの全層を貫通するよ う加工が施されている。 ウ被告包装袋の分説前記ア及びイで認定した被告包装袋の構成等,及び前記前提事実(5)キのとおり,被告包装袋が本件各発明の構成要件のうちA,D,E,F,G1及びHを充足することは当事者間に争いがないことを前提とし,被告包装袋の構成を前記構成要件と 対比して分説すると,以下のとおりとなる。 a 表層の基材フィルムの略四角形の取出口部分の四隅に円弧状(R状)の細線が,また略四角形の対角線のうち一本の両端に矢印記号が印刷され,b 基材フィルムには,円弧状の細線及び矢印記号に一致するようにb1 略四角形の形状のミシン目と b3 略四角形の二本の対角線上のミシン目とが設けられ c 基材フィルムの印刷面側には,VMPET層及びヒートシール層が接着され,略四角 b1 略四角形の形状のミシン目と b3 略四角形の二本の対角線上のミシン目とが設けられ c 基材フィルムの印刷面側には,VMPET層及びヒートシール層が接着され,略四角形の四隅の切込み及びミシン目の切込みは,ヒートシール層までを貫通するよう加工され,d 前記ミシン目は,ヒートシール部以外に設けられe 略四角形のミシン目が開封により取出口になる f ピロー包装袋g 前記aないしfの特徴をもった包装袋であってg1 袋形状がピロー包装袋であってg2 ピロー包装袋の非シール部に印刷された円弧状の細線に一致する位置に,前記取出口が設けられている h ことを特徴とする包装袋(2) 「絵柄に対応した」(構成要件B,B1,G2)の意義(争点1-1)ア 「絵柄」とは「絵のがら。模様。構図。」を意味するものであり,「対応」とは「①互いに向かい合っていること。②二つの物事が互いに一定の関係にあること。③互いに釣り合うこと。④相手に応じて物事をすること。」を意味するもので ある(甲17)。 また,本件明細書の発明が解決しようとする課題等に関する記載をみても,「絵柄に対応した」ミシン目等であることが,これらの課題等の解決にどう寄与するかを述べたものはない。 そうすると,「絵柄に対応した」とは,その字義どおり解釈する以外になく,線 や円弧状の細線,あるいは矢印のような記号も「絵柄」に含まれると解されるし,「絵柄に対応した」についても,絵柄と一定の位置関係にあること,すなわち,絵の柄や模様とミシン目等が一定の位置関係にあることを意味すると解するのが相当である。 イ前提事実(5)記載のとおり,被告包装袋の取出口部分には,略四角形及びその 対角線上にミシン目が,略四角形の 模様とミシン目等が一定の位置関係にあることを意味すると解するのが相当である。 イ前提事実(5)記載のとおり,被告包装袋の取出口部分には,略四角形及びその 対角線上にミシン目が,略四角形の角部分には円弧状の細線の印刷とこれに一致す る切込み線がそれぞれ施され,略四角形の角のうち対向する2つにつき,略M字状の切込み線部分を始点として,対角線上に施されたミシン目に沿って対角方向へ矢印の記号が印刷されている。また,証拠(甲22,41,42)及び弁論の全趣旨によれば,略四角形部分の中央に「矢印の方向(対角線)に指で摘んで剥がしてください。」と印字されていることが認められる。 これらの事実関係に照らすと,被告包装袋の取出口の加工は,消費者が,円弧状の細線又はM字状の切込み線部分を指先で摘み,略四角形の対角線上に施されたミシン目に沿って,矢印の方向に力を加える方法により略四角形のミシン目を切り取り,取出口を開封することを想定しているのであり,略四角形のミシン目の四隅の円弧状の細線と円弧状の切込みを一致させることで,開封箇所を明示しているもの と解される。 そうすると,被告包装袋において,略四角形の四隅の円弧状の細線と略四角形のミシン目は一定の位置関係にあり,矢印の記号と略四角形の対角線上のミシン目も一定の位置関係にあるから,基材フィルムには,絵柄に対応したミシン目が施されているということができる。 ウ被告は,原告が本件特許の出願過程において,「絵柄に対応した」は,「絵柄に見当を合わせ」と同じ内容である旨を述べており,両者は同義と解されるところ,光電管マーク等の位置合わせの基準となるマークを利用して見当合わせをすることは周知技術そのものであるから,構成要件B,B1,G2を充足するといえるのは,一般的な ており,両者は同義と解されるところ,光電管マーク等の位置合わせの基準となるマークを利用して見当合わせをすることは周知技術そのものであるから,構成要件B,B1,G2を充足するといえるのは,一般的な光電管マーク等ではなく,絵柄そのものを位置合わせの基準として, ミシン目等を設ける場合に限られる旨を主張する。 前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告包装袋においては,基材フィルムに円弧状の細線や矢印を印刷すると同時に,これとは離れた位置に光電管マークが印刷されており,これを基準に位置合わせすることによって,円弧状の細線に一致するように,略四角形のミシン目を入れていると認められるのであり,円弧状の細 線を位置合わせの基準として用いているわけではない。 しかしながら,「絵柄に対応した」が「絵柄に見当を合わせ」と同義であるとしても,「見当合わせ」それ自体は印刷等において位置合わせをすることを指すにとどまり,何を基準として位置合わせを行うかまでを限定するものではなく(甲15),前記検討のとおり,本件明細書の記載を総合しても,構成要件B,B1,G2が,他に印刷された光電管マークを利用して,基材フィルムに印刷された絵柄とミシン 目の位置合わせを行うことを除外していると解することはできず,被告の主張は採用できない。 エ以上によれば,被告包装袋は,本件各発明の構成要件B,B1若しくはB3及びG2を充足する。 (3) 「シーラント層」(構成要件C)の意義(争点1-2) ア本件発明1の特許請求の範囲の記載は,「表層の基材フィルムに…略円形又は略四角形の形状のミシン目又は基材フィルムを貫通する溝…が設けられ,前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層され」というものである。 これによれば,表層 の基材フィルムに…略円形又は略四角形の形状のミシン目又は基材フィルムを貫通する溝…が設けられ,前記基材フィルムの印刷面側には少なくともシーラント層が積層され」というものである。 これによれば,表層の基材フィルムに断続的に切込みを入れるミシン目又は基材フィルムを貫通する溝が設けられることは明らかである一方,シーラント層について は,ミシン目等が設けられた基材フィルムの印刷面側に積層されることが示されているのみであり,シーラント層にはミシン目等は設けられていないと解するのが自然である。 イ本件明細書の発明の詳細としても,前述のとおり,本件各発明の背景技術として,積層フィルムからなる包装袋の開封性を良くするための方法のうち,ミシン 目や溝を入れる方法は,一度開封すると再密封できないこと,取出口に粘着剤を設けた封止シールを貼る方法は,予め包装材と分離した取出口の包装材の一部が封止シールの粘着剤で付いている状態であるため,開封時に,取出口を破るという感触はなく,完全密封性,バージン性のないものとなることといった課題があること,一方,消費者のニーズとして,包装袋の開封性,取り出し易さ,リシール性,内容 物の保存性などがあることが記載され(【0002】~【0004】),本件各発 明の特徴については,取出口となるミシン目又は溝の加工が施された基材フィルム若しくは基材フィルムにシーラントフィルムなどが貼り合わされており密封性のある包装袋である点と,前記取出口となるミシン目又は溝の加工を施した領域を含む周囲の領域に封止シールを貼付し,該封止シールを捲ることで取出口を開口させ,再封することで,取出口を閉口させることができる点であることや(【0029】), 包装袋の形状に関わらず,絵柄と取出口となるミシン目加工が施され 貼付し,該封止シールを捲ることで取出口を開口させ,再封することで,取出口を閉口させることができる点であることや(【0029】), 包装袋の形状に関わらず,絵柄と取出口となるミシン目加工が施された基材フィルムにシーラントフィルムなどが貼り合わされた密封性のある包装用積層フィルムを使用すること等により,バージン性,開封性,内容物の取り出し易さ,リシール性を兼ね備えた包装袋とすることができることが記載されている(【0035】)。 また,本件各発明の効果として,内容物に応じ任意の取出口とすることができ,包 装袋のバージン性,新たな方法での開封,内容物の取出し易さなどを備えた包装袋とすることができることも記載されている(【0039】)。 上記のとおり,取出口の包装材の一部が封止シールの粘着剤で付いている状態が背景技術として紹介されており,この場合に,取出口を形成する包装材の一部が予め包装材より分離されていると説明されているということは,取出口を形成するた めのミシン目又は溝の加工が,積層フィルムの全層を貫通していると考えられ,このような背景技術については,密封性,バージン性のないことが課題であるとされている。 そして,本件各発明において,基材フィルムにミシン目又は溝の加工を施し,基材フィルムにシーラント層を積層することによって,開封性,バージン性,密封性 のある包装袋とすることができるとされているのであるから,シーラント層にはミシン目又は溝の加工は及ばず,密封性を有していると解するのが相当である。 ウ本件明細書には,本発明の積層フィルムの製造方法として,基材フィルムに絵柄を印刷し,取出口となるミシン目を形成したのち,少なくともシーラント層を積層する,又は,基材フィルムに絵柄を印刷し,少なくともシーラント層を形成し の積層フィルムの製造方法として,基材フィルムに絵柄を印刷し,取出口となるミシン目を形成したのち,少なくともシーラント層を積層する,又は,基材フィルムに絵柄を印刷し,少なくともシーラント層を形成し たのち,レーザー加工により基材フィルムを貫通する溝を形成するとの記載(【0 012】)がある。 また,本件明細書には,発明を実施するための形態として,実施例1ないし5が記載されているが,これらは,最外層の1層又は2層のフィルムの内側に絵柄を印刷し,これを反転して外側からミシン目加工を行い,印刷面より内側にポリエチレンやポリエステルのフィルム,アルミ箔,あるいはアルミ蒸着フィルムを1層ない し2層積層することを内容とするものであり,この場合に,印刷面より内側の層にミシン目の加工が及ぶことはないと考えられ,前記実施例の材質構成を示す【図11】ないし【図15】もこれを示す内容となっている。 さらに,実施例6では,ポリプロピレンフィルムに絵柄印刷を行い,その内側にポリエチレン,アルミ箔,ポリエチレンを積層して包装用積層フィルムを作成した 後に,レーザー加工により溝を設けたところ,溝はポリプロピレンフィルムを貫通し,ポリエチレン層の途中まで達するにとどまったとされ,その材質構成を示す【図16】においても,アルミ箔とその内側のポリエチレンフィルムには,レーザー加工による溝は形成されていない。 以上のとおり,本件明細書においては,基材フィルムの外側よりミシン目又は溝 を設ける加工が行われ,基材フィルムについてはミシン目又は溝の切込みが貫通するものの,印刷面又は印刷面の内側に積層されたアルミ箔より内側に,ミシン目又は溝の加工は及ばず,密封性を有する層が存在する例のみが開示されており,ミシン目又は溝の切込みが積層フ は溝の切込みが貫通するものの,印刷面又は印刷面の内側に積層されたアルミ箔より内側に,ミシン目又は溝の加工は及ばず,密封性を有する層が存在する例のみが開示されており,ミシン目又は溝の切込みが積層フィルムの全層に及ぶ例は開示されていないということができる。 エ原告は,前記実施例の記載及びその構成図である【図11】ないし【図16】は,本件特許の請求項4に関するものである旨を主張する。 しかしながら,前記実施例の記載及び図は,いずれも本発明を実施するための形態として特段の限定なく記載されている。また,本件特許の請求項4は,「ミシン目を形成した『のち』少なくともシーラント層を積層する」と経時的に記載された 包装用積層フィルムの製造方法であって,包装袋という物の発明である本件発明1 とは位置付けが異なるが,請求項4に係る発明自体,「請求項3に記載の包装用積層フィルムの製造方法」に関するものであり,請求項3は,「請求項1~2の何れかに記載の包装袋に用いる包装用積層フィルム」の発明とされるのであるから,本件発明1(構成要件C)のシーラント層と,本件特許請求項4のシーラント層とを別異のものと解することはできない。 また,原告は,本件明細書(【0017】)に,レーザー加工により基材フィルムと隣接するフィルム層又は樹脂層の全部又は一部を除去するとの記載があることを指摘して,本件明細書にも,積層フィルムの全層を貫通する例が開示されており,この場合であってもシーラント層に当たる旨を主張する。しかしながら,ここでいう「全部又は一部」とは,基材フィルムに隣接するフィルム層又は樹脂層について 述べたものであることに加え,前記ウの実施例6においても,レーザー加工により全部又は一部が除去されているのは,基材フィルムであ は一部」とは,基材フィルムに隣接するフィルム層又は樹脂層について 述べたものであることに加え,前記ウの実施例6においても,レーザー加工により全部又は一部が除去されているのは,基材フィルムであるポリプロピレンと隣接するポリエチレンフィルムであり,その内側にあるアルミ箔やポリエチレンフィルムにはレーザー加工は及ばず,積層フィルムが全層にわたって貫通することは開示されていない。 オ以上によれば,本件発明1の構成要件Cのシーラント層とは,基材層の印刷面側に積層された密封性のある層をいうと解するのが相当である。 カ前記(1)のイ及びウで述べたとおり,被告包装袋は,外側から基材層,印刷層,アルミ蒸着の中間層,内側ヒートシール層からなり,これらを全て積層した後に,刃型を圧接することで略四角形及びその対角線のミシン目や円弧状及び略M字状の 切込み線が積層フィルムを貫通するよう,大阪シーリング印刷株式会社に発注している。 これに対し,原告は,写真等(甲29~31,35,36)を提出して,被告包装袋のミシン目や切込みは,被告包装袋の積層フィルムを貫通していないと主張する。 原告が提出する写真等を見る限り,ミシン目や切り目を施した部分に,貫通して いない箇所があることがうかがわれる。しかし,ミシン目や切り目の全範囲,全周にわたって積層フィルムが全く貫通されていないというのであれば,密封性があるとしてシーラント層にあたるということもできるが,一か所でも貫通していれば,密封性はないことになる。原告が主張,立証しようとするところは,貫通していない部分が存することをいうにとどまると解され,原告が提出する写真等から,被告 包装袋のミシン目や切れ目が全範囲,全周にわたって全く貫通していないと認めることはで ようとするところは,貫通していない部分が存することをいうにとどまると解され,原告が提出する写真等から,被告 包装袋のミシン目や切れ目が全範囲,全周にわたって全く貫通していないと認めることはできない。被告が依頼した製作会社は被告包装袋を製作するにあたって,前記略四角形の四隅の円弧状の切込みや略M字状の切込みについては「ズボ抜き」としてこれを行っており(乙10),ミシン目についても切れ性は良いかを点検項目としているのであるから(乙11),被告包装袋のミシン目,切込みについては, 基本的に積層フィルムを貫通するよう加工され,刃の圧接等により一部貫通が不良となる箇所が存するにすぎないと認めるのが相当である。 したがって,原告の上記主張は採用できない。 キ以上から,被告包装袋は,構成要件Cを充足せず,したがって,構成要件Gも充足しない。 (4) よって,被告包装袋は,本件各発明の技術的範囲に属するとは認められないこととなる。 3 争点2-2(乙14に基づく新規性欠如の有無)(1) 前記2で前述したとおり,被告包装袋は構成要件Cを充足しないから,本件各発明の技術的範囲に属しないが,この点を措くとしても,本件特許は,少なくと も新規性が欠如しているから,特許無効審判により無効にされるべきものである。 以下,本件事案に鑑み,争点2-2(乙14に基づく新規性欠如の有無)から検討する。 (2) 乙14製品の構成証拠(乙14,15)及び弁論の全趣旨によれば,乙14製品は,次のとおり分 説することができる。このうち,構成A′,B′,D′及びF′が構成要件A,B, B2,D及びFと一致することは当事者間に争いがない。 A′ 包装袋の最表面の基材フィルムには文字や図形等の絵柄の印刷が施され, うち,構成A′,B′,D′及びF′が構成要件A,B, B2,D及びFと一致することは当事者間に争いがない。 A′ 包装袋の最表面の基材フィルムには文字や図形等の絵柄の印刷が施され,B′ 前記基材フィルムには,絵柄に対応した位置に,長円形状の包装袋フィルムの最表面層のフィルムを貫通するカットが設けられ,C′ 容器本体を構成する積層フィルムの最表面の基材フィルムの印刷層側には ポリプロピレン(CPP)フィルム層が積層され,D′ 非シール部に前記カットが設けられ,E′ 容器本体に貼りつけられている粘着加工が施された封止シールを剥がすことで,カットに囲まれた部分のフィルムが切り取られ,内部に収容されたおしりふきタオルの取出口になる, F′ ピロー包装袋G′ 構成A’からF’を備える包装袋であって,G2′袋形状がピロー包装袋で,その非シール部の絵柄に対応した位置に前記取出口が設けられているピロー包装袋である,H′ 包装袋 (3) 構成要件Eと構成E′との同一性について原告は,本件各発明は該ミシン目又は溝部を指で摘み,開封,除去することで取出口にすることを特徴としているが,乙14製品は粘着加工が施された封止シールを剥がしカット部を包装袋から分離し取出口にすること,さらには封止シールを完全に剥がせないように歯止めが設けられており,封止シールを包装袋に貼ることで 再封できることを特徴としており,両者には同一性がない旨を主張する。 しかし,本件発明1に係る特許請求の範囲請求項1には,「該ミシン目又は溝部が開封により取出口になる」と記載されているのみであり,ミシン目等を指で摘み,開封,除去することに限定するものではない。また,本件明細書を見ても,取出口の開封方法につ 項1には,「該ミシン目又は溝部が開封により取出口になる」と記載されているのみであり,ミシン目等を指で摘み,開封,除去することに限定するものではない。また,本件明細書を見ても,取出口の開封方法について特定の方法に限定するような記載はない。そして,本件各発明 の特徴として,前記取出口となるミシン目又は溝の加工を施した領域を含む周囲の 領域に封止シールを貼付し,該封止シールを捲ることで取出口を開口させ,再封することで,取出口を閉口させることができる点であるとの記載(【0029】)があるほか,封止シールを用いた本件各発明の実施例(【図7】)では,封止シールに関し,取っ手部としての粘着剤非塗工部と,封印及び再封印のための粘着剤塗工部とからなり,塗工部には完全剥離を防止するための,ストップ切込みが設けられ ているとの記載(【0031】)がある。これらによれば,本件各発明において,乙14製品のように,封止シールを剥がしてカット部を包装袋から分離して取出口とすることはもとより,封止シールを完全に剥離することを防止するために加工することも当然想定しているものと解される。 したがって,原告の上記主張は採用できず,構成要件Eと構成E′は一致するも のと認められる。 (4) 構成要件Cと構成C′との同一性について構成要件Cと構成C′の同一性については,当事者間で争いがないものの,前記2(3)で述べたとおり,構成要件Cの「シーラント層」とは,これにミシン目や溝を貫通させず,密封性を維持した層であると解されることから,この点について検討 する。 証拠(乙15~17)及び弁論の全趣旨によれば,乙14製品は,外側からPET層,印刷層,接着剤層及びCPP層が積層されていること,乙14製品の取出口部分の加工方法は,積層 て検討 する。 証拠(乙15~17)及び弁論の全趣旨によれば,乙14製品は,外側からPET層,印刷層,接着剤層及びCPP層が積層されていること,乙14製品の取出口部分の加工方法は,積層フィルムの全てが貫通して切り離されてしまわない程度の圧力で刃型を圧接し,切り目を入れる仕様であること,乙14製品の取出口部分の 断面図の拡大写真によれば,取出口部分の溝は基材層であるPET層は貫通しているものの,積層フィルムの全てを貫通してはいないことが認められる。これらの事実関係に照らすと,乙14製品の積層フィルムのうち,少なくともCPP層は密封性を維持するシーラント層としての機能を有していると認められる。 したがって,構成要件Cと構成C′は一致するものと認められる。 (5) 以上から,本件発明1は乙14製品と同一であると認められる。また,同様 に,構成G′,G2′及びH′は構成要件G,G2及びHと一致するから,本件発明2も乙14製品と同一であると認められる。 そして,証拠(乙18~24)及び弁論の全趣旨によれば,乙14製品は,遅くとも平成28年4月21日に製造され,同月27日には日本国内で販売されていたものと認められるから,本件各発明は,本件特許の出願前に日本国内で公然実施さ れた発明と同一と認められる。 したがって,本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものであるから(特許法29条1項2号,123条1項2号),原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない(同法104条の3第1項)。 4 結論 以上から,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 4 結論 以上から、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 谷有恒 裁判官 杉浦一輝 裁判官 峯健一郎 (別紙)被告製品目録 1 オールインワンシートマスクモイストEX(50枚)BOX販売開始時期 平成29年8月23日 2 オールインワンシートマスクホワイトEX(30枚)BOX販売開始時期 平成29年8月23日 3 オールインワンシートマスクザ・ベストEX(30枚)BOX販売開始時期 平成29年8月23日 4 オールインワンシートマスク超時短スキンケアシート(32枚)BOX販売開始時期 平成30年8月6日 5 オールインワンシートマスクプレミアムEX(30枚)BOX販売開始時期 平成30年11月1日 6 クオリティグランモイスト(32枚)BOX販売開始時期 平成31年3月11日 7 クオリティグランホワイト(32枚)BOX販売開始時期 平成31年3月11日 8 クオリティグランエイジングケア(32枚)BOX販売開始時期 平成31年3月11日以上 (公報省略) 販売開始時期平成31年3月11日 クオリティグランエイジングケア(32枚)BOX販売開始時期平成31年3月11日以上 (公報省略) (別紙概略図省略)

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