平成20(く)450

裁判年月日・裁判所
平成20年9月10日 東京高等裁判所 棄却
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判決文本文2,089 文字)

20く450東京高裁平成20・9・10316条の15第1項1号,3号棄却 主文 本件即時抗告を棄却する。 理由 本件抗告の趣意は,弁護人C,同D,同E及び同F作成の即時抗告申立書に記載されたとおりであるから,これを引用する。 論旨は,要するに,弁護人らの刑訴法316条の15第1項1号及び3号に基づく類型証拠の開示命令請求を認めなかった原決定は,同項1号及び3号の解釈適用を誤ったものであるから,その取消しと類型証拠の開示を命じる決定を求めるというのである(なお,原審においては,開示命令請求の対象が平成19年3月1日から同年8月末日までの証拠とされていたが,本件即時抗告においては,これが同年5月31日から同年6月6日までの証拠と限定された。)。 そこで,所論にかんがみ,以下検討する。 本件類型証拠開示命令請求の概要(1)一件記録によれば,本件公訴事実の要旨は,被告人が,①共犯者3名と共謀の上,平成19年5月31日午後7時30分ころ,東京都G区内のコーポの一室において,被害者に対し,殺意をもって同人の頸部をひも様の物で締めつけ,同人を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害し,②上記共犯者3名他1名と共謀の上,同日,被害者の死体を同室から運び出し,同年6月6日,同死体をA県H郡の雑木林に運び入れた上,同日午前2時30分ころ,同所の土中に同死体を埋めたという殺人及び死体遺棄の事案である。 (2)検察官は,公判前整理手続において,証明予定事実を証明するため,甲第1ないし第27号証及び乙第1ないし第72号証の取調べを請求した。 (3)弁護人は,上記甲第9ないし第27号証及び乙第2ないし第71号証に記載されている被告人及び各共犯者らが運転ないし所有していた自動車等の移動等に関する供述の証明力を判断するためには,平 。 (3)弁護人は,上記甲第9ないし第27号証及び乙第2ないし第71号証に記載されている被告人及び各共犯者らが運転ないし所有していた自動車等の移動等に関する供述の証明力を判断するためには,平成19年3月1日から同年8月末日までの被告人及び各共犯者らが運転ないし所有していた自動車等に係る自動車ナンバー自動読取装置の記録(以下「Nシステムの記録」という。)並びにその解析報告書及び一覧表等(以下「解析報告書等」という。)の開示が必要であり,Nシステムの記録は刑訴法316条の15第1項1号に,解析報告書等は同項3号にそれぞれ該当すると主張して,裁判所に対し,同法316条の26第1項に基づき,これらの類型証拠開示命令を請求した。 (4)原審裁判所は,Nシステムの記録自体は証拠開示命令の対象とならず,また,解析報告書等は証拠開示の必要性がないとして上記証拠開示命令を棄却した。そのため,弁護人は,本件即時抗告を申し立てたものである。 当裁判所の判断証明予定事実記載書によれば,検察官は,被告人らが,平成19年5月31日に被害者を殺害した後,その死体を軽トラックに積載して殺害現場から運び出し,A県B市内まで移動させたものの,いったん同死体を東京都内に持ち帰り,I区内のマンションなどに保管した後,同年6月6日,再びレンタカーに同死体を積載してA県まで運び,同県内の雑木林に埋めた旨主張し,これを証明する証拠として,弁護人が証明力を判断する必要があると主張している共犯者らの供述調書等を請求している。 しかしながら,証明予定事実記載書によれば,検察官の主張の中心は,被告人が主導して被害者の殺害及びその死体遺棄を共犯者らとともに行いあるいは指示したというものであるところ,被告人及び各共犯者らが運転ないしは所有していた自動車等の高速道路における具体的経 中心は,被告人が主導して被害者の殺害及びその死体遺棄を共犯者らとともに行いあるいは指示したというものであるところ,被告人及び各共犯者らが運転ないしは所有していた自動車等の高速道路における具体的経路が上記検察官の主張の根幹部分にかかわるものとは認められないから,Nシステムの記録及び解析報告書等は,検察官請求証拠の証明力を判断するための資料として必ずしも重要性が高いものとはいえない。他方で,検察官は,上記経路に関する供述の証明力を判断するための資料として高速道路通行券等を開示しているところであり,こうした事情の下では被告人の防御の準備のためにNシステムの記録及び解析報告書等を開示することの必要性は,必ずしも高いものとはいえない。 以上によれば,Nシステムの記録が事情のいかんを問わず一律に証拠開示命令の対象にならないか否かはともかくとして,いずれにしても,本件においては,Nシステムの記録及び解析報告書等を開示することの相当性は認められず,したがって,本件類型証拠開示命令請求を棄却した原決定の結論に誤りはない。論旨は理由がない。 よって,刑訴法426条1項により,本件即時抗告を棄却することとし,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・永井敏雄,裁判官・稗田雅洋,裁判官・矢数昌雄)

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