平成23(行ケ)10014 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年10月5日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
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判決文本文52,389 文字)

平成23年10月5日判決言渡 平成23年(行ケ)第10014号審決取消請求事件(特許) 口頭弁論終結日平成23年9月28日 原告ノキアコーポレイション 訴訟代理人弁理士川守田光紀 被告特許庁長官 指定代理人宮田繁仁 同田中庸介 同樋口信宏 同田村正明 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2009-19504号事件について平成22年9月8日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,名称を「無線電話」とする発明につき特許出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした上,平成21年10月13日付けでも特許請求の範囲の変更を内容とする手続補正(以下「本件補正」という。)をしたが,特許庁が上記補正を却下した上,請求不成立の審決をしたことから,その取消しを求めた事案である。 2 争点は,①本件補正が平成14年法律第24号による改正前の特許法17条の2第4項の補正要 許庁が上記補正を却下した上,請求不成立の審決をしたことから,その取消しを求めた事案である。 - 2 - 2 争点は,①本件補正が平成14年法律第24号による改正前の特許法17条の2第4項の補正要件(減縮等)を満たすか,②同補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が下記各引用例との間で独立特許要件(進歩性,特許法29条2項)を有するか,等である。 記引用例1:特開平7-297891号公報(発明の名称「通信端末」,公開日平成7年11月10日,甲1。以下,これに記載された発明を「引用発明」という。)引用例2:特開平3-66249号公報(発明の名称「ボタン電話機」,公開日平成3年3月20日,甲2)第3 当事者の主張 1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯原告は,1996年(平成8年)2月23日の優先権(英国)を主張し,平成9年2月21日の原出願(特願平9-529916号)からの分割出願として,平成19年3月7日,新たな特許出願(特願2007-57377号。公開特許公報は特開2007-151190号)をし,平成21年6月11日付けで手続補正(第1次補正,請求項の数4。甲9)をしたが,拒絶査定を受けたので,同年10月13日付けでこれに対する不服の審判請求をすると共に,特許請求の範囲の変更を内容とする本件補正(第2次補正,請求項の数4。甲8)をした。 特許庁は,上記請求を不服2009-19504号事件として審理した上,平成22年9月8日,本件補正を却下した上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年9月22日原告に送達された。 (2) 発明の内容ア本件補正前(第1次補正後)のもの(請求項の数4,甲9)- 3 -・【請求項1】(本願 求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年9月22日原告に送達された。 (2) 発明の内容ア本件補正前(第1次補正後)のもの(請求項の数4,甲9)- 3 -・【請求項1】(本願補正前発明)無線電話が所定の条件の下で復帰するところのユーザ選択可能な少なくとも第1及び第2のデフォルトモードを有する無線電話であって,上記所定の条件は,上記無線電話が通話を終了することであり,プロセッサと,ソフトキーを備えるユーザ入力手段と,前記第1及び第2のモードのうち選択されたモードにおいて,前記ソフトキーに関連せしめられる機能を表示するための機能表示とを備え,前記プロセッサは,前記選択されたモードにおいて前記ソフトキーに関連せしめられる機能を,前記キーの操作に応答して実行するように構成される,無線電話において,前記第2のデフォルトモードは,前記第1のデフォルトモードとは,前記プロセッサによって前記ソフトキーに割り当てられる機能が異なるモードであり,前記無線電話が前記第2のデフォルトモードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記第1のデフォルトモードにおける機能へと一時的に変更するように構成される,無線電話。 ・【請求項2】前記第2のデフォルトモードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,特定の電話番号に発信する機能である,請求項1に記載の無線電話。 ・【請求項3】前記第1のデフォルトモードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,前記無線電話が前記所定の条件の下で復帰するところのモードを変更するための機能へのアクセスを含む,請求項1又は2に記載の無線- 4 -電話。 ・【請求項4】前記プロセッサは,前記所定の条件が 記無線電話が前記所定の条件の下で復帰するところのモードを変更するための機能へのアクセスを含む,請求項1又は2に記載の無線- 4 -電話。 ・【請求項4】前記プロセッサは,前記所定の条件が満たされるとモードフラグをチェックし,該チェックの結果に基づいて,前記無線電話を前記第1及び第2のデフォルトモードのいずれかのモードで動作させうるように構成される,請求項1から3のいずれかに記載の無線電話。 イ本件補正(第2次補正)後のもの(請求項の数4,甲8,下線部分は補正箇所)・【請求項1】(本願補正発明)無線電話が所定の条件の下で復帰するところのユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モードを有する携帯型無線電話であって,上記所定の条件は,上記無線電話が通話を終了することであり,プロセッサと,ソフトキーを備えるユーザ入力手段と,前記通常モード及び簡易操作モードのうち選択されたモードにおいて,前記ソフトキーに関連せしめられる機能を表示するための機能表示とを備え,前記プロセッサは,前記選択されたモードにおいて前記ソフトキーに関連せしめられる機能を,前記キーの操作に応答して実行するように構成される,無線電話において,前記簡易操作モードは,前記通常モードとは,前記プロセッサによって前記ソフトキーに割り当てられる機能が異なるモードであり,前記通常モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し,前記簡易操作モードおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,特定の機能を実行することに関し,前記無線電話が前記簡易操作モードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記通常モー- 5 -ドにおける機能へと一時的に変更 行することに関し,前記無線電話が前記簡易操作モードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記通常モー- 5 -ドにおける機能へと一時的に変更するように構成される,携帯型無線電話。 ・【請求項2】前記簡易操作モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,特定の電話番号に発信する機能である,請求項1に記載の携帯型無線電話。 ・【請求項3】前記通常モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,前記無線電話が前記所定の条件の下で復帰するところのモードを変更するための機能へのアクセスを含む,請求項1又は2に記載の携帯型無線電話。 ・【請求項4】前記プロセッサは,前記所定の条件が満たされるとモードフラグをチェックし,該チェックの結果に基づいて,前記無線電話を前記第1及び簡易操作モードのいずれかのモードで動作させうるように構成される,請求項1から3のいずれかに記載の携帯型無線電話。 (3) 審決の内容ア審決の内容は,別添審決写しのとおりである。その要点は,①本件補正は,請求項の削除・特許請求の範囲の減縮・誤記の訂正・明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない,②本願補正発明は,引用例1・引用例2及び周知技術に基づいて当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が容易に発明することができたから独立して特許を受けることができない,③本願補正前発明も,同様の理由により当業者が容易に発明をすることができた,というものである。 イなお,審決が認定した引用発明の内容,本願補正発明及び本願補正前発明と引用発明との一致点及び相違点は前記審決写し記載のとおりである。 (4) 審決の取消事由- 6 -しかしながら,審決には,以下のとおり 認定した引用発明の内容,本願補正発明及び本願補正前発明と引用発明との一致点及び相違点は前記審決写し記載のとおりである。 (4) 審決の取消事由- 6 -しかしながら,審決には,以下のとおり誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 ア取消事由1(補正要件についての判断の誤り)本件補正は,補正前の「無線電話」を「携帯型無線電話」と具体化し,補正前の「第1(のデフォルトモード)」「第2のデフォルトモード」を「通常モード」「簡易操作モード」と具体化することにより,また,「通常モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し,前記簡易操作モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,特定の機能を実行することに関」すると具体的な構成を付加することにより,その構成を限定することを目的とするものであり,平成14年法律第24号による改正前の特許法17条の2第4項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。 審決は,「本件補正により,一部が『携帯型無線電話』に変更され,請求項1中には,『無線電話』と『携帯型無線電話』の2種類が存在することになった。しかし,これらの使い分けが明細書のどの記載に該当しているのか不明な上,技術的意味の違いも不明であるから,本件補正により,発明の内容はかえって不明りょうとなった。」(3頁1行~5行)と判断しているが,本件補正後の請求項1中の「無線電話」は,「上記無線電話」と記載されているように,直前に記載の「携帯型無線電話」を指していることが文脈上明らかであり,あえて「携帯型」を付していない理由は,記載を簡潔にしたいがためであるにすぎない。 審決で認定されているように,「本件補正前の請求項4には,補正前の請求項1の『第1』を引用する 脈上明らかであり,あえて「携帯型」を付していない理由は,記載を簡潔にしたいがためであるにすぎない。 審決で認定されているように,「本件補正前の請求項4には,補正前の請求項1の『第1』を引用する形式で『前記第1』との記載がなされていたが,本件補正によって,補正前の請求項1の『第1』は,『通常モード』と変更されたにもかかわらず,『前記第1』との記載がそのまま残され」た(3頁5行~9行)。しかし,これは誤記にすぎず,補正が誤記を含ん- 7 -でいたとしても,誤記を含ませることを目的として補正をしたわけではなく,補正の意図は,あくまでも,補正前の「第1のモード」を「通常モード」と減縮することであった。 なお,審決には,「本件補正によれば,補正前の『無線電話』は『携帯型無線電話』と具体化されることにより・・・その構成が限定されたということもできる」(3頁14行~21行)との判断が記載されている。また,「本願補正発明中の『無線電話』は・・・実質的に『携帯型無線電話』のことを指し示している」(審決3頁27行~29行)と正しく理解し,審決3頁25行以降における引用発明との対比検討においても,本件補正後の請求項1の構成の認定に何ら困難を生じておらず,被告が反論するように意味が不明ということはない。 したがって,本件補正は,前記特許法17条の2第4項2号に掲げる事項を目的とした補正であって,同項の規定に違反することを理由として本件補正を却下したことは誤りである。 イ取消事由2(本願補正発明と引用発明との相違点5の判断の誤り)(ア) 審決による引用発明の認定(6頁34行~7頁10行参照)には,メニューキーに該当する構成が含まれていない。また,引用例2の「技術事項1,2」においても,「メニューキー」は「技術事項1,2」に含まれていない( 引用発明の認定(6頁34行~7頁10行参照)には,メニューキーに該当する構成が含まれていない。また,引用例2の「技術事項1,2」においても,「メニューキー」は「技術事項1,2」に含まれていない(8頁5行~19行参照)。 審決10頁28~31行には,引用例2(特開平3-66249号公報,甲2)にメニューキー(15)が開示され,特開平8-46677号公報(甲5,以下「甲5公報」という。)や特開平6-152720号公報(甲6,以下「甲6公報」という。)にも,所定キーを用いて通常モードを呼び出すことが記載されていると認定されている。 しかし,引用例2には「メニュー画面の表示を指定するメニューキー15」(2頁右上欄2行~3行),「メニューボタン15を押すと,マ- 8 -イクロコンピュータ1はデータ記憶回路6からメニュー選択画面(同図イ)のファイルを読み出し,これを表示器12に表示させる」(2頁左下欄8行~12行)と記載されているのみであり,特に何らかのモードへ変更するとは記載されていない。このように,引用例2には「メニュー選択画面」を表示させることが記載されているのみであり,審決にいう「通常モードを呼び出す」などとは何ら記載されていない。また同様に,甲5公報には「メニューキー44」の記載があり(段落【0004】),甲6公報には「メニューキー13M」を押すとメニューが表示される旨が記載されている(段落【0053】)が,「通常モードを呼び出す」キーであるとは記載も示唆もされていない。 引用例2や甲6公報の開示事項からみて,「メニューキー」とは,読んで字の如く,「メニューを呼び出すためのキー」と解釈するのが適当であり,引用例2のメニューキー(15)も,「メニュー画面の表示を指定するメニューキー15」(2頁右上欄2行~3行)と記載される ,読んで字の如く,「メニューを呼び出すためのキー」と解釈するのが適当であり,引用例2のメニューキー(15)も,「メニュー画面の表示を指定するメニューキー15」(2頁右上欄2行~3行)と記載されるように,そのようなキーである。してみると,引用発明に「メニューキー」を適用しても,「メニュー画面が表示される」という機能が追加されるにすぎない。 審決は,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項にすぎ」ないと判断する(10頁37行~39行)が,前述のように,「メニューキー」とはメニュー画面を表示するキーにすぎず,「通常モードにおける機能へと変更する」キーではない。 さらに,引用発明の「通常モード」とは「メニュー画面」ではない。 「通常モード」は,審決中の認定では「デフォルトモード」と称されており(6頁23行~27行及び35行),引用例1中では「デフォルト状態」と記載されている。このモードは,所定時間以上キー操作がなさ- 9 -れない場合は自動的に復帰するモードであり(引用例1の段落【0015】,【0022】),ソフトキーに最も頻繁に使われる機能が割り当てられているモードである(引用例1の段落【0006】,【0007】,【0021】,【0022】)。「最も頻繁に使用される機能」の例としては,「センド機能,エンド機能,クリア機能」が記載され(段落【0021】),メニュー画面の呼び出しなどではなく,特定の機能を実行することであることが理解できる。かかる構成によって,「ユーザーにとってスクロールつまみ4の操作が必要となる場合は最小限とすることができ,操作簡易性は向上されている」(段落【0021】),「使用時には,常に使用される・・・機能等が かる構成によって,「ユーザーにとってスクロールつまみ4の操作が必要となる場合は最小限とすることができ,操作簡易性は向上されている」(段落【0021】),「使用時には,常に使用される・・・機能等が優先的にソフトキー1,2,3に設定されているため,より使い勝手は向上する」(段落【0022】)という効果が得られる。 このように,引用発明の「通常モード」とは「メニュー画面」ではないから,引用発明に「メニューキー」を追加したところで,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成する」(審決10頁37行~38行)ようにはならず,単にメニュー画面が表示されるようになるにすぎない。 なお,審決が摘記事項(ア)に関連して認定した,オン・フック時にメニュー画面が表示される電話は,引用例1における「従来の技術」に含まれる構成であるのに対し,審決が摘記事項(イ)の中に挙げた「メニューボタン15」は,引用例2が開示している発明の実施形態の構成要素である。 このメニューボタン15と,上記「従来の技術」における「オン・フック時にメニュー画面が表示される」との構成は,互いに何ら関連していない。 また,そもそも引用例2が開示する発明は,「オン・フック時には既- 10 -に特定の画面,例えばメニュー画面がデフォルトとして表示されるため・・・煩わしさが伴う」という課題(1頁右下欄8行~18行)を解決するための発明である。オン・フック時にメニュー画面が表示される形態は,「煩わしい」とされている形態であり,「発明が解決しようとする問題点」と記載されている形態である。 したがって,引用例2記載の発明の実施形態として,オン・フック時にメニュー画面が表示される形態は存在し得ない。 このほか,引用発明の課題の1つは,「入力キー 題点」と記載されている形態である。 したがって,引用例2記載の発明の実施形態として,オン・フック時にメニュー画面が表示される形態は存在し得ない。 このほか,引用発明の課題の1つは,「入力キー等の操作入力手段の数を削減」することであり(審決3頁34行~35行),この観点からすれば,引用発明に新たな操作キーを加えることについて当業者は慎重になるものであり,何らかの技術的課題が存在しなければ,引用例1に接した当業者の思考は,新たな操作キーを加えるのではなしに,操作キーの数を削減する方向に向けられたものと解される。 したがって,審決の「引用例2に記載された・・・技術事項1,2を導入する際に,簡易操作モードにあるときに,メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用文献2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項にすぎ」ない(10頁35行~39行)との判断は妥当ではなく,かかる判断に基づいて相違点5を容易想到であると結論づけることも根拠がない。 (イ) 審決は,「変更を『一時的』とすることも,実際に採用される簡易操作モードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」(10頁39行~11頁3行)と判断しているが,その根拠は全く示されていない。 「変更を一時的とすること」は,引用例1や引用例2のみならず,審決で周知例として挙げられた甲5公報や甲6公報にも記載されていな- 11 -い。また,引用例1や引用例2の中に,「ソフトキーの機能を前記通常モードにおける機能へと一時的に変更する」との構成に当業者を導く技術的課題のようなものも,何ら発見されない。 なお,被告が提出した乙1~乙3には,確かにキ 例2の中に,「ソフトキーの機能を前記通常モードにおける機能へと一時的に変更する」との構成に当業者を導く技術的課題のようなものも,何ら発見されない。 なお,被告が提出した乙1~乙3には,確かにキーの機能を一時的に変更するという構成は記載されているものの,一般的に,どのような技術的課題に対して「一時的」という構成が用いられるべきであるのか,どのような効果が期待できるのかまでは把握できないため,「端末のキーの機能や設定を『一時的』に変更することは周知のもの」とはいえない。 したがって,「変更を一時的とすることも,実際に採用される簡易操作モードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」(審決10頁39行~11頁3行)という理由では,相違点5を容易想到であると結論づけることはできない。 (ウ) してみると,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができた発明であるから,本件補正を却下したことは誤りである。 ウ取消事由3(本願補正発明と引用発明との相違点1の判断の誤り)(ア) 引用発明において,「通常モード」は,審決中の認定では「デフォルトモード」と称されており(審決6頁23行~27行,35行),引用例1中では「デフォルト状態」と記載されている。このモードは,所定時間以上キー操作がなされない場合は自動的に復帰するモードである(引用例1の段落【0015】,【0022】)。したがって,無線電話が所定の条件の下で復帰するところのモードである本願補正発明の「通常モード」と,同様の意義を有するモードであるといえる。 一方,引用発明の「通常モード」すなわち「デフォルトモード,デフォルト状態」は,最も簡易に操作できるモードであるという, 本願補正発明の「通常モード」と,同様の意義を有するモードであるといえる。 一方,引用発明の「通常モード」すなわち「デフォルトモード,デフォルト状態」は,最も簡易に操作できるモードであるという,本願補正- 12 -発明の「通常モード」とは異なる意義も有している(引用例1の段落【0005】~【0007】参照)。 すなわち,引用発明の「通常モード」(デフォルトモード,デフォルト状態)は,そのソフトキー(引用例1中では「操作入力手段」)が,使用頻度の最も高い機能に割り当てられているモードであり,したがって「選択操作手段」等を操作して他の機能を呼び出す回数が最小限で済むモードであるため,操作は最も簡易であり,いわば「簡易操作モード」とも称しうるモードである(引用例1の段落【0021】,【0022】参照)。 このように,引用発明は,キー操作がない状態で自動的に復帰するモードである「通常モード」(デフォルトモード,デフォルト状態)が,操作が最も簡単なモードになるように設定することにより,入力キー等の数を削減しつつ使い勝手の向上を図る発明である。 したがって,引用発明に関連して,「通常モード」の他に「簡易操作モード」を設けたり,所定の条件の下で復帰するところのモードとして「通常モード」の他のモードを設けたりすることの,技術的課題は存在しない。 (イ) 引用例2には,「メニュー選択操作を不要とした」と記載され(2頁左上欄12行目),使用性の向上という効果が理解し得るものの,引用発明の他の課題である入力キー等の操作入力手段の数の削減や,機械の小型化といった課題が達成されうるかは記載されていない。引用例2の第2図には,極めて多くのボタンを備える大型の業務用電話機が描かれており,入力キー等の削減や機械の小型化といった課題を解決しうるよ 小型化といった課題が達成されうるかは記載されていない。引用例2の第2図には,極めて多くのボタンを備える大型の業務用電話機が描かれており,入力キー等の削減や機械の小型化といった課題を解決しうるような技術思想は開示されていないため,引用例2の技術事項を引用発明に適用する動機は乏しい。 なお,引用例2の技術事項1とは,引用例2において「煩わしい」,- 13 -すなわち使用性が悪いとされている従来技術構成を抽出したものであるところ,その「煩わしい」構成を廃して別の構成を設けることによって,使用性の向上を図るという発明を開示しているのが引用例2であって,使用性の向上という効果を得ようとして技術事項1を引用発明に付加するというのは,引用例2の教示に全く反している。 また,引用例2の技術事項2は,「電話が所定の条件の下で復帰するところの種々のモードを有する電話であって,上記所定の条件は,上記電話が通話を終了することである電話」というものであるが,これは引用例2が開示する「使用性の向上」という効果を提供するための構成に関連し,この「種々のモード」をユーザが選択可能とすることによって,使用性の向上を図っている(引用例2の2頁)。 これに対して,引用発明の課題解決手段には,所定時間以上キー操作がなされない場合は,ソフトキーの機能を最も頻繁に使われる機能に自動的に復帰させるという事項が含まれ(引用例1の段落【0021】,【0022】),これは,オン・フック時に復帰するモードをユーザが選択可能とするという解決手段とは異なる手段である。 すると,引用例2の技術事項2を引用発明に適用するということは,引用例1の中で有用な発明であると提示している課題解決思想を変更するものであり,引用例1の中に,自らの技術思想を否定して別の技術思想を導入する 引用例2の技術事項2を引用発明に適用するということは,引用例1の中で有用な発明であると提示している課題解決思想を変更するものであり,引用例1の中に,自らの技術思想を否定して別の技術思想を導入することに当業者を導き得る動機となる記載は存在しない。 (ウ) 以上からすれば,審決の相違点1の判断における「引用発明において,この技術事項1,2を適宜加味して,『ユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モード』とする程度のことは容易になし得る技術的事項にすぎない。」との判断は誤っており,引用発明にかかる設計変更を加えることは,当業者に容易想到であったと結論づけることはできない。 - 14 -してみると,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができた発明であるから,本件補正を却下したことは誤りである。 エ取消事由4(本願補正発明と引用発明との相違点3の判断の誤り)審決は,相違点3について,「簡易操作モードとして,例えば,特定キーに特定の電話番号に発信する機能を与えることは,例えば,原審の拒絶理由通知で引用された特開平4-211551号公報(甲3)あるいは特開平7-288617号公報(甲4)に開示されたワンタッチダイヤルキーなどの名称で周知技術であるから,引用発明の特定モードを,より具体的に,簡易操作モードとする程度のことは,単なる周知技術の選択にすぎない。」と判断する(10頁8行~14行)。 しかし,引用発明は,その通常モード(デフォルトモード,デフォルト状態)において,最も操作が簡易になるようにソフトキー(操作入力手段)を設定し,その特定モード(例えば段落【0021】記載の状態B)においては,ソフトキーに使用頻度の少ない機能を割り当てることにより,入力キー等の操作入力手段の数を削減して機械の小型化を図りつ 手段)を設定し,その特定モード(例えば段落【0021】記載の状態B)においては,ソフトキーに使用頻度の少ない機能を割り当てることにより,入力キー等の操作入力手段の数を削減して機械の小型化を図りつつ,使用性の向上,使い勝手の向上を実現するという発明である(引用例1の段落【0005】~【0007】,【0021】,【0022】参照)。 このため,引用発明において,その「通常モード」(デフォルトモード,デフォルト状態)を「簡易操作モード」と称することは可能としても,その「特定モード」(例えば段落【0021】記載の状態B)を「簡易操作モード」とするような設計変更は,引用発明の課題解決のための技術思想とは相容れない。かかる設計変更によっても,引用発明が同等の効果を提供できるかどうかは定かではなく,そのような設計変更に当業者を導く何らかの技術的課題も発見できない。 してみると,引用発明において,その「特定モード」を「簡易操作モード」とすることは,当業者が容易に想到し得たこととはいえず,本願補正- 15 -発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができた発明であるから,本件補正を却下したことは誤りである。 オ取消事由5(本願補正発明と引用発明との相違点4の判断の誤り)審決は,相違点4について,「携帯型無線電話は大きさに一定の限界があるから,携帯電話表面の備えることができるキーの数には物理的限界があり,その一方で,多機能化が進行していることもよく知られているところであるから,その結果として,ユーザにとって利用性の低い機能をソフトキーに割り当てることは,当然の技術的方向性である。してみると,『ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し』とすることも,それを『通常モード』において組み込むことも,ユーザ り当てることは,当然の技術的方向性である。してみると,『ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し』とすることも,それを『通常モード』において組み込むことも,ユーザにとっての利便性を適宜考慮して適宜なし得る程度のことで,格別な創意工夫を要することは認められない。」と判断する(10頁15行~24行)。 しかし,引用例1の用語では「デフォルト状態」であり,審決の用語では「デフォルトモード」において,最も頻繁に使われる機能,常に使用される機能がソフトキーに割り当てられなければならない(段落【0005】~【0007】,【0021】,【0022】参照)。審決がいう「使用可能な他の機能を選択すること」は,最も頻繁に使われる機能,常に使用される機能であるか否かは明らかではなく,引用例1(甲1)の段落【0021】を参照すると,最も頻繁に使用される機能は他の機能を選択することではなく,「センド機能,エンド機能,クリア機能」などの,特定の機能を実行することであるものと解される。 してみると,審決のいう「使用可能な他の機能を選択すること」を,引用発明の「通常モード」(デフォルト状態,デフォルトモード)に組み込むことは,引用例1に開示される技術思想に導かれるならば,正に審決がいう「ユーザにとっての利便性を適宜考慮して」採用しない構成であり,- 16 -かかる構成を引用発明に具備させることは,当業者が行わなかったであろう設計変更であると解される。 なお,引用例1において「使用頻度」は極めて重要な要素であって,使用頻度に関係なく機能割り当てを行ってもよいなどとは引用例1には記載も示唆もされていない(引用例1の段落【0005】~【0007】,【0021】,【0022】参照)。 したがって,本願補正発明は,特許出願の なく機能割り当てを行ってもよいなどとは引用例1には記載も示唆もされていない(引用例1の段落【0005】~【0007】,【0021】,【0022】参照)。 したがって,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができた発明であるから,本件補正を却下したことは誤りである。 カ取消事由6(本願補正前発明と引用発明との相違点3の判断の誤り)(ア) 前述のとおり,本件補正が却下されたことは誤りであるが,仮に誤りでないとしても,本願補正前発明は,引用発明や「技術事項1,2」及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 (イ) 本願補正前発明と引用発明との「相違点3」は,本願補正前発明には「前記無線電話が前記第2のデフォルトモードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記第1のデフォルトモードにおける機能へと一時的に変更するように構成」されているが,引用発明にはないという点である(審決12頁30行~34行参照)。 この「相違点3」につき,審決は,「引用例2に記載された・・・技術事項1,2を導入する際に,第2のデフォルトモードにあるときに,メニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項にすぎず,変更を『一時的』とすることも,実際に採用される第2のデフォルトモードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知技- 17 -術を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」と判断した(13頁19行~26行)。 しかし,審決において認定された「引用発明」や「技術事項1,2」には,「メニューキー」が含まれておら 17 -術を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」と判断した(13頁19行~26行)。 しかし,審決において認定された「引用発明」や「技術事項1,2」には,「メニューキー」が含まれておらず,上記判断において何故「メニューキー」が突然現れたか,なぜ引用発明を「メニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成」することに当業者が導かれ得たのか明らかでない。また,「変更を一時的とすること」が,なぜ「実際に採用される簡易操作モードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある」のか,全く明らかにしていない。したがって,上記判断をもって,本願補正前発明と引用発明との「相違点3」に想到することが容易であったと結論付けることはできない。 (ウ) 前述のように,審決において認定された「引用発明」や「技術事項1,2」には「メニューキー」が含まれていない。また,前記イのとおり,引用例2や甲6公報には,メニュー画面を表示するメニューキーが開示されるのみで,「操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成」されるメニューキーは開示されておらず,引用発明に「メニューキー」を適用しても,「メニュー画面が表示される」という機能が追加されるにすぎない。 そして,引用例2は,第3図(イ)のメニューをオン・フック時(通常モード・第1のデフォルトモード)に表示することは記載しておらず,それどころか,そのような構成は「煩わしい」もので「発明が解決しようとする問題点」であって,引用例2記載の発明の実施形態に,オン・フック時にメニュー画面が表示される形態は存在し得ない。 また,前記イのとおり,引用発明において「通 わしい」もので「発明が解決しようとする問題点」であって,引用例2記載の発明の実施形態に,オン・フック時にメニュー画面が表示される形態は存在し得ない。 また,前記イのとおり,引用発明において「通常モード」とは,「メ- 18 -ニュー画面」ではない。引用発明の「通常モード」(引用例1中では「デフォルト状態」)は,所定時間以上キー操作がなされない場合は自動的に復帰するモードであり,最も頻繁に使用される機能がソフトキーに割り当てられるモードであって,最も操作が簡易なモードである(引用例1の段落【0006】,【0007】,【0021】,【0022】)。 かかるモードが「メニュー画面」と称されうるとは,引用例1からは理解できないことである。 さらに,引用発明の課題の1つは,「入力キー等の操作入力手段の数を削減」することである。そうであれば,特段の技術的課題の把握なしに引用発明に新たなメニューキーを加えることは,当業者の忌避するところであったと解される(審決3頁34行~36行参照)。 したがって,「引用例2に記載された・・・技術事項1,2を導入する際に,第2のデフォルトモードにあるときに,メニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項」(審決13頁19行~23行)などではなく,何の示唆もない事項である。 加えて,「変更を一時的とすること」が,なぜ「実際に採用される第2のデフォルトモードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない」のか,「周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある」のか,その根拠は全く不明である。 前述のように,乙1~乙3をもってしても,端末のキーの機能や設定を「一時的」 単なる設計的事項でしかない」のか,「周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある」のか,その根拠は全く不明である。 前述のように,乙1~乙3をもってしても,端末のキーの機能や設定を「一時的」に変更するとの構成に関する一般的な課題や効果が把握できないため,引用発明のどの構成にどのように適用すべきであるのか全く明らかではなく,「端末のキーの機能や設定を『一時的』に変更することは周知のもの」とはいえない。 - 19 -したがって,本願補正前発明と引用発明との「相違点3」に想到することが容易であったと結論付けることはできず,審決は,上記「相違点3」についての判断を誤っているから,取り消されるべきである。 キ取消事由7(本願補正前発明と引用発明との「相違点1」の判断の誤り)本願補正前発明と引用発明との「相違点1」につき,審決は,「引用例2の技術事項2において,種々のモードとして,具体的に『第1のデフォルトモード』及び『第2のデフォルトモード』を選択することは,単なる選択の域を出ない。してみると,引用発明において,この技術事項2を適宜加味して,『ユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モード』とする程度のことは容易になし得る技術的事項にすぎない。」と判断している(12頁37行~13頁3行)。 上記判断中,「通常モード及び簡易操作モード」は,「第1及び第2のデフォルトモード」であると解されるが,引用例2の技術事項2から「第1のデフォルトモード」及び「第2のデフォルトモード」が教示されるにしても,これを引用発明に適用することは,当業者が容易に想到できたことではない。引用発明は,キー操作がない状態で自動的に復帰するモードである「デフォルトモード」(デフォルト状態)が,操作が最も簡単なモードになるように設定することを特徴と 当業者が容易に想到できたことではない。引用発明は,キー操作がない状態で自動的に復帰するモードである「デフォルトモード」(デフォルト状態)が,操作が最も簡単なモードになるように設定することを特徴とし,それによって使い勝手の向上を図る発明である(段落【0005】~【0007】,【0021】,【0022】)。引用例1の中には,上記のような「デフォルトモード」以外に「第2のデフォルトモード」を設けることについて何ら言及はなく,「第2のデフォルトモード」を設けた場合に,「入力キー等の操作入力手段の数を削減することができ,機器の小型化及び使用性の向上を実現する」(引用例1の段落【0005】)という課題を解決しうるかも,明らかではない。 引用例2には,「メニュー選択操作を不要とした」と記載され(2頁左- 20 -上欄12行目),使用性の向上,使い勝手の向上という効果が得られうると理解され得るものの,引用発明の他の課題である入力キー等の操作入力手段の数の削減や,機械の小型化といった課題が達成されうるかは記載されていない。引用例2の第2図には,極めて多くのボタンを備える大型の業務用電話機が描かれており,入力キー等の削減や機械の小型化は特に問題にならないと解され,引用例2の技術事項を引用発明に適用する動機は乏しい。 また,前記ウのとおり,引用例2において技術事項1は「煩わしい」とされている事項であるから,「使用性の向上」という効果を得るために技術事項1を適用することは考えられない。 このほか,前記ウのとおり,引用例2の技術事項2を引用発明に適用するということは,引用例1の中で有用な発明であると提示している課題解決思想を変更するということであるところ,そのような変更の動機付けとなりうるような記載は引用例1の中には存在しない。 したがっ るということは,引用例1の中で有用な発明であると提示している課題解決思想を変更するということであるところ,そのような変更の動機付けとなりうるような記載は引用例1の中には存在しない。 したがって,被告の「引用例2の技術事項1,2を引用発明に適用する動機付けは十分であるといえる」との主張は失当である。 以上から,審決の「相違点1」の判断における「引用発明において,この技術事項1,2を適宜加味して,『ユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モード』とする程度のことは容易になし得る技術的事項にすぎない。」との判断は誤っており,引用発明にかかる設計変更を加えることは,当業者が容易になし得なかった技術的事項であると解される。 したがって,本願補正前発明と引用発明との「相違点1」に想到することが容易であったと結論付けることはできず,審決は,上記「相違点1」についての判断を誤っている。 2 請求原因に対する認否請求の原因(1)ないし(3)の各事実は認めるが,(4)は争う。 - 21 - 3 被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 (1) 取消事由1に対しア本件補正後の請求項1(本願補正発明)について,原告は,「本件補正後の請求項1中の『無線電話』は,『上記無線電話』と記載されているように,直前に記載の『携帯型無線電話』を指していることが文脈上明らかであり」と主張する。 しかし,本件補正後の請求項1では,「上記無線電話」との記載よりも前に,「無線電話」も,「携帯型無線電話」も記載されているところ,むしろ「上記無線電話」との記載は「無線電話」を指していると解釈することが自然であり,「携帯型無線電話」を指していることが文脈上明らかとする原告の主張は失当である。このように,本件 れているところ,むしろ「上記無線電話」との記載は「無線電話」を指していると解釈することが自然であり,「携帯型無線電話」を指していることが文脈上明らかとする原告の主張は失当である。このように,本件補正後の請求項1は,「無線電話」が明らかに「携帯型無線電話」を指しているといえるものではなく,「無線電話」と「携帯型無線電話」の2種類の用語が存在するから,これらをどのように使い分けているのか,また,それぞれが本願明細書のどの記載に対応しているのかが不明であり,さらに,技術的意味の違いも不明である。 イまた,「前記第1」との記載がそのまま残された点については原告も認めるところであるが,仮に,これが原告主張のとおり「誤記にすぎ」ないとしても,「前記第1」に対応する「第1」との構成が存在せず,本件補正により意味不明の記載となったことは明らかである。 ウ以上のとおりであるから,本件補正は,原告が主張するように「特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である」ということはできず,「本件補正は,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明のいずれも目的としていない」とした審決の判断に誤りはない。 - 22 -(2) 取消事由2に対しアメニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更される点(ア) 原告は,「メニューキー」とはメニュー画面を表示するキーにすぎず,「通常モードにおける機能へと変更するキー」ではないと主張する。 しかしながら,審決において,引用例2に関して,「上記摘記事項(ア)の『メニュー画面』はオンフック時にこの画面が表示される旨記載されているから,通常モードの表示であり」(8頁5行~6行)と認定しているとおり,「メニュー画面」は「通常モードの表示」であり,この点は,原告も「認める 』はオンフック時にこの画面が表示される旨記載されているから,通常モードの表示であり」(8頁5行~6行)と認定しているとおり,「メニュー画面」は「通常モードの表示」であり,この点は,原告も「認める」としている。そして,「オンフック時」とは,いわゆる受話器を置いた,電話機を操作していない通常の状態であるから,このような通常の状態において表示される「メニュー画面」が,「通常モードの表示」と呼べるものであることは明らかである。 そうすると,引用例2の「メニューキー」は,「メニュー画面」すなわち「通常モードの表示」に戻るためのキーであり,さらに,「通常モードの表示」を行うことは「通常モードにおける機能へと変更する」ことといえるから,「メニューキー」が「通常モードにおける機能へと変更する」キーであることも明らかである。 (イ) 原告は,引用発明の「通常モード」とは「メニュー画面」ではないから,メニューキーを追加したところで,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成する」ようにはならない旨主張するが,前述のとおり,「メニュー画面」は「通常モードの表示」といえるものであるから,引用発明に「メニューキー」を追加した場合には,「通常モードにおける機能へと変更する」構成となることは明らかである。 (ウ) 原告は,何らかの技術的課題が存在しなければ,引用例1に接した当- 23 -業者の思考は,新たな操作キーを加えるのではなしに,操作キーの数を削減する方向に向けられたものと解される旨主張する。 しかし,一例として,引用例1の携帯型無線電話は,全てのキーがソフトキーに設定されるものではなく,また,数字キー,「*」,「#」などのキーは削減されることはなく,端末上に物理的に配置されているように,操作キーの数の削減は 例1の携帯型無線電話は,全てのキーがソフトキーに設定されるものではなく,また,数字キー,「*」,「#」などのキーは削減されることはなく,端末上に物理的に配置されているように,操作キーの数の削減は,あくまでも物理的制限や,ユーザの操作性との兼ね合いで,適宜採用され得るものである。 ユーザーの操作性の向上は,携帯型無線電話において極めて一般的な技術的課題であるから,引用例1が操作入力手段の数を削減するという技術的課題を有しているとしても,ユーザーの操作性の向上のために必要と思われるキーを物理的に端末上に配置することは,当業者が当然に考慮すべきことであり,引用発明に必要と思われる新たな操作キーを加えることの動機付けを左右するものではない。 (エ) 原告は,審決は「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項にすぎない」と判断するが,その根拠は全く示されていないと主張する。 しかし,審決で判断したとおり(10頁26行~28行),「通常モード」は初期値としての基本的なモードであり,同「通常モード」に戻るためのキー(操作手段)はほとんど必須なものである。したがって,前記(ア)のとおり,引用例2の記載から参酌できる「メニュー画面」が「通常モードの表示」であり,「メニューキー」が「メニュー画面」すなわち「通常モードの表示」に戻るためのキーであることは明らかであって,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成すること」は当然に考慮されることであるから,根拠が全く示されていないとの主張は当を得ないものである。 - 24 -(オ) 原告は,何故「メニューキー」が突然現れたか,なぜ引用発明を「メニューキーが操作されると に考慮されることであるから,根拠が全く示されていないとの主張は当を得ないものである。 - 24 -(オ) 原告は,何故「メニューキー」が突然現れたか,なぜ引用発明を「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成」することに当業者が導かれ得たのか明らかでないと主張する。 しかし,「メニューキー」は「メニュー画面」を表示するためのキーとして,例えば引用例2に記載されているように周知のものであり,また,前記(エ)のとおり,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成すること」は当然に考慮される事項といえるのであるから,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項にすぎ」ないとした審決の判断に誤りはない。 イ変更を一時的とすることにつき(ア) 携帯型無線電話に限らず,様々な用途の端末において,端末のキーの機能や設定を「一時的」に変更することは,乙1(特開昭63-4315号公報,1頁右欄2行~2頁左上欄10行),乙2(特開平6-301504号公報,段落【0028】,図2),乙3(特開平6-52147号公報,要約,段落【0017】,【0021】,【0028】,図2)に記載されるように周知のものであって,「一時的」とするか否かは,簡易操作モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性などを考慮して,当業者が適宜採用できることは明らかである。 したがって,「変更を『一時的』とすることも,実際に採用される簡易モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知事項を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」とした審決の判断に誤りはない。 際に採用される簡易モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知事項を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」とした審決の判断に誤りはない。 (イ) また,原告は,「引用例1や2の中に,当業者が導く技術的課題のようなものも,何ら発見されない」とも主張するが,上記のように,キー- 25 -の機能を「一時的」に変更することが周知である以上,当業者であれば必要により容易に採用できる構成であるから,引用例1や2の中に,当業者が導く技術的課題のようなものが直接的に記載されていないとしても,簡易操作モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性などを考慮して,変更を「一時的」とすることが当然に導かれることは明らかである。 ウ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも失当であり,審決における本願補正発明と引用発明との相違点5の判断に誤りはない。 (3) 取消事由3に対しア「簡易操作モード」を設けることにつき(ア) 本願補正発明における「簡易操作」モードは,スピードダイヤルなどの機能により,「通常」モードに比して簡易に発信操作が可能となるモードを意図するものと認められる(段落【0003】,【0026】参照)。 (イ) 原告は,引用発明の「通常モード」が「操作が最も簡単なモードである」と主張する。 しかしながら,引用例1の記載に従って解釈すると,例えば,引用発明の「特定モード」(本願補正発明の「簡易操作モード」に対応)のソフトキーに設定されている「REDIAL」キーを操作するよりも,「通常モード」のソフトキーに設定されている「SEND」キーを操作することの方が,スクロールつまみ4の操作が不要となるため操作は簡単であるから,「操作が最も簡単なモードである」といえるものである。し 通常モード」のソフトキーに設定されている「SEND」キーを操作することの方が,スクロールつまみ4の操作が不要となるため操作は簡単であるから,「操作が最も簡単なモードである」といえるものである。したがって,発信操作についてみれば,引用発明における「通常モード」が「操作が最も簡単なモードである」ということはできないから,原告の主張は,「通常モード」が「操作が最も簡単なモードである」と,「簡易操作」の意味を誤って解釈したことによるものであり,失当である。 - 26 -(ウ) また,引用例1では,「通常モード」(デフォルトモード,デフォルト状態)においてユーザーがダイヤル発信を行おうとする場合には,ソフトキー1に発呼操作を意味する「SEND」が割り当てられていることから明らかなように,数字/アルファベットキー5を用いて相手先電話番号をダイヤルした後に,ソフトキー1の「SEND」を押下することで,ダイヤル発信を行っているものと認められる。一方,「特定モード」では,ソフトキー3にリダイヤル操作を意味する「REDIAL」が割り当てられているが,これはソフトキー3の「REDIAL」を押下することで,数字/アルファベットキー5を用いて相手先電話番号をダイヤルすることなく,ダイヤル発信を行うことが可能であるものと認められる。すなわち,ダイヤル発信という機能に着目すれば,「通常モード」が,「操作が最も簡単なモードである」ということができないのは,この点からも明らかである。 イ引用例2の技術事項を引用発明に適用する動機につき(ア) 引用例2が「使用性の向上」という効果を有することは原告も認めるところであるが,引用発明の「使用性の向上を実現する」(引用例1,段落【0005】)という目的からみて,当該効果は,引用発明も有することは明らかである。さ 向上」という効果を有することは原告も認めるところであるが,引用発明の「使用性の向上を実現する」(引用例1,段落【0005】)という目的からみて,当該効果は,引用発明も有することは明らかである。さらに,両者はともに通信端末に関するものであるから,引用例2の技術事項1,2を引用発明に適用する動機付けは十分であるといえる。 (イ) また,原告が主張する「入力キー等の操作入力手段の数の削減や,機械の小型化といった課題」は,「ソフトキー」を設けることで解決しているのであって,「通常モード」の他に「簡易操作モード」を設けたり,所定の条件の下で復帰するモードとして「通常モード」以外のモードを設けることで解決しているわけではない。そうすると,原告の主張する課題が引用例2に記載されていないからといって,引用例2の技術事項- 27 -1,2を引用発明に適用することについて動機付けを欠くことにはならない。 ウ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも失当であり,審決における本願補正発明と引用発明との相違点1の判断に誤りはない。 (4) 取消事由4に対し前記(3)のとおり,原告の主張は,「簡易操作」の意味を誤って解釈したことに基づくものであるから,引用発明において,その「特定モード」を「簡易操作モード」とするような設計変更は,引用発明の技術解決のための技術思想と相容れないという主張は当を得ないものである。 また,引用例1では,「特定モード」のソフトキーに「REDIAL」(リダイヤル)が設定されているが,リダイヤルも相手先電話番号の入力を省略できることから,簡易操作の一種であることを考慮すると,リダイヤルに代えて,簡易操作として周知の「ワンタッチダイヤルキー」等を採用することも,おのずと想到し得ることである。したがって,「特定モード」を「 ることから,簡易操作の一種であることを考慮すると,リダイヤルに代えて,簡易操作として周知の「ワンタッチダイヤルキー」等を採用することも,おのずと想到し得ることである。したがって,「特定モード」を「簡易操作モード」とすることに当業者を導く技術的課題は存在しており,かかる設計変更によって引用発明が同等の効果を提供できることは明らかである。 以上のとおりであるから,「引用発明の特定モードを,より具体的に,簡易操作モードとする程度のことは,単なる周知技術の選択にすぎない」とした審決における本願補正発明と引用発明との相違点3の判断に誤りはない。 (5) 取消事由5に対し引用例1には,「ソフトキーに設定される機能や使用頻度に基づく設定仕様も実施例に例示したものに限られず,機器の使用方式,搭載機能などに応じて決められればよい。」(段落【0024】)と記載されているから,引用発明では,使用頻度には関係なく,使用可能な他の機能を選択する機能をソフトキーに割り当てることも,さらに通常モードとして組み込むことについても,選択肢の一つとなり得ることは明らかである。 - 28 -したがって,「ユーザーにとっての利便性を適宜考慮して適宜なし得る程度のことで,格別な創意工夫を要することとは認められない」とした審決における本願補正発明と引用発明との相違点4の判断に誤りはない。 (6) 取消事由6に対しアメニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更される点(ア) 前記(2)アのとおり,まず,審決で,引用例2に関して,「上記摘記事項(ア)の『メニュー画面』はオンフック時にこの画面が表示される旨記載されているから,通常モードの表示であり」(8頁5行~6行)と認定しているとおり,「メニュー画面」は「通常モードの表示」であり, 事項(ア)の『メニュー画面』はオンフック時にこの画面が表示される旨記載されているから,通常モードの表示であり」(8頁5行~6行)と認定しているとおり,「メニュー画面」は「通常モードの表示」であり,この点は,原告も「認める」としているところではある。そして,「オンフック時」とは,いわゆる受話器を置いた,電話機を操作していない通常の状態であるから,このような通常の状態において表示される「メニュー画面」が,「通常モードの表示」と呼べるものであることは明らかである。したがって,「メニューキー」は,「通常モードにおける機能へと変更する」キー,すなわち「第1のデフォルトモードへと変更する」キーであるといえる。 (イ) そして,引用発明の「通常モード」(本願補正前発明の「第1のデフォルトモード」に対応)が初期値としての基本的なモードであり,同「通常モード」(第1のデフォルトモード)に戻るための操作手段はほとんど必須なものであること,及び「メニューキー」は「第1のデフォルトモードへと変更する」キーであることから,「メニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成すること」が導かれることは明らかである。 (ウ) また,ユーザーの操作性の向上は,極めて一般的な技術的課題であるから,引用例1が操作入力手段の数を削減するという技術的課題を有し- 29 -ているとしても,ユーザーの操作性の向上のために必要と思われるキーを物理的に端末上に配置することは,当業者が当然に考慮すべきことであり,引用発明に必要と思われる新たな操作キーを加えることの動機付けを左右するものではない。 (エ) 以上のとおりであるから,「引用例2に記載された・・・技術事項1,2を導入する際に,第2のデフォルトモードにあるときに,メニューキーが操作 を加えることの動機付けを左右するものではない。 (エ) 以上のとおりであるから,「引用例2に記載された・・・技術事項1,2を導入する際に,第2のデフォルトモードにあるときに,メニューキーが操作されると,第1のデフォルトモードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項」とした審決の判断に誤りはない。 イ変更を一時的とすることにつき前記(2)イのとおり,携帯型無線電話に限らず,様々な用途の端末において,端末のキーの機能や設定を「一時的」に変更することは,前記乙1~乙3に記載されるように周知のものであって,「一時的」とするか否かは,簡易操作モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性などを考慮して,当業者が適宜採用できることは明らかであるから,「変更を『一時的』とすることも,実際に採用される簡易モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項でしかない。また,周知事項を加味すれば,当然導かれる事項でもある。」とした審決の判断に誤りはない。そして,上記のとおり,キーの機能を「一時的」に変更することが周知である以上,当業者であれば必要により容易に採用できる構成であるから,引用例1や2の中に,当業者が導く技術的課題のようなものが直接的に記載されていないとしても,簡易操作モードの具体的内容や,ユーザーにとっての利便性などを考慮して,変更を「一時的」とすることが当然に導かれることは明らかである。 ウ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも失当であり,審決による本願補正前発明と引用発明との相違点3の判断に誤りはない。 - 30 -(7) 取消事由7に対しア引用例1の記載事項に関して,審決6頁37行~7頁1行では「デフォルトモード及び特定 決による本願補正前発明と引用発明との相違点3の判断に誤りはない。 - 30 -(7) 取消事由7に対しア引用例1の記載事項に関して,審決6頁37行~7頁1行では「デフォルトモード及び特定モード」と,また,審決12頁2行~3行では「引用発明の『デフォルトモード』『特定モード』を第1のデフォルトモード,第2のデフォルトモードと称することは任意である。」と認定しているが,これらの認定については,原告も争いのないところであるから,「引用例1の中には,『デフォルトモード』以外に『第2のデフォルトモード』を設けることについて何ら言及していない」との原告の主張は失当である。 また,引用例1には,「入力キー等を削減することができ,これによって通信端末としての高機能化と小型化を同時に実現することができるという効果があり」(段落【0025】)と記載されているから,引用発明が「入力キー等の操作入力手段の数を削減することができ,機器の小型化及び使用性の向上を実現する」という課題を解決し得ることは明らかである。 イ引用例2が「使用性の向上」という効果を有することは,原告も認めるところであるが,引用発明の「使用性の向上を実現する」(引用例1,段落【0005】)という目的からみて,当該効果は,引用発明も有することは明らかである。さらに,両者はともに通信端末に関するものであるから,引用例2の技術事項1,2を引用発明に適用する動機付けは十分であるといえる。 ウ原告の主張する「入力キー等の操作入力手段の数の削減や,機械の小型化といった課題」は,「ソフトキー」を設けることで解決しているのであって,「通常モード」の他に「簡易操作モード」を設けたり,所定の条件の下で復帰するモードとして「通常モード」以外のモードを設けることで解決しているわけではない。そうす 設けることで解決しているのであって,「通常モード」の他に「簡易操作モード」を設けたり,所定の条件の下で復帰するモードとして「通常モード」以外のモードを設けることで解決しているわけではない。そうすると,原告の主張する課題が引用例2に記載されていないからといって,引用例2の技術事項1,2を引用発明- 31 -に適用することについて動機付けを欠くことにはならない。 エ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも失当であり,審決による本願補正前発明と引用発明との「相違点1」の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 請求の原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審決の内容)の各事実は,当事者間に争いがない。 2 補正要件についての判断の誤り(取消事由1)の有無審決は,原告が平成21年10月13日付けでなした本件補正は,請求項の削除・特許請求の範囲の減縮・誤記の訂正・明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的としていないからその要件を満たしていないと判断し,一方,原告はこれを誤りとするので,以下,検討する。 (1) 本件において適用される平成14年法律第24号による改正前の特許法17条の2第4項は,次のとおりである。 「4項:前項に規定するもののほか,第1項第2号及び第3号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正は,次に掲げる事項を目的とするものに限る。 1:第36条第5項に規定する請求項の削除2:特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)3:誤記の訂正 を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)3:誤記の訂正4:明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」(2) ところで,本件補正は,特許請求の範囲の記載を前記第3,1(2)アから- 32 -同第3,1(2)イに変更するものであって,補正前の「第1のデフォルトモード」,「第2のデフォルトモード」及び「無線電話」を,それぞれ「通常モード」,「簡易操作モード」及び「携帯型無線電話」に変更する補正事項,及び請求項1に「通常モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し,前記簡易操作モードおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,特定の機能を実行することに関し,」との記載を追加する補正事項を含むものである。 アこれにつき審決は,本件補正により,「無線電話」の一部が「携帯型無線電話」に変更された結果,請求項1に記載された発明には「無線電話」と「携帯型無線電話」の2種類が存在することになるところ,明細書の記載を参酌しても「無線電話」と「携帯型無線電話」の使い分け及び技術的意味の違いが不明であるから,本件補正により,発明の内容はかえって不明りょうとなったと判断している。 しかし,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には,「無線電話が所定の条件の下で復帰するところのユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モードを有する携帯型無線電話であって」と記載されていることから,「無線電話」は,「所定の条件の下で復帰するところのユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モードを有する携帯型無線電話」であるこ を有する携帯型無線電話であって」と記載されていることから,「無線電話」は,「所定の条件の下で復帰するところのユーザ選択可能な少なくとも通常モード及び簡易操作モードを有する携帯型無線電話」であることが特定されており,「無線電話」が,上記「携帯型無線電話」を意味することは,本願明細書の記載を参酌するまでもなく,文理解釈上自明というべきである。そして,特許請求の範囲の記載から,「無線電話」と「携帯型無線電話」とが別異のものを意味すると解釈する余地はない。 イまた,審決は,本件補正により,補正前の請求項1の「第1(のデフォルトモード)」は「通常モード」と変更されたにもかかわらず,請求項1を引用する請求項4には「前記第1」との記載がそのまま残っており,こ- 33 -の結果,補正後の請求項4は意味不明となった旨判断している。 しかし,本件補正前の特許請求の範囲の記載において,請求項4の「前記第1及び第2のデフォルトモード」が請求項1の「第1のデフォルトモード」及び「第2のデフォルトモード」を指すことは明らかであり,本件補正が,請求項1の「第1のデフォルトモード」及び「第2のデフォルトモード」を,それぞれ「通常モード」及び「簡易操作モード」に補正する補正事項を含むことに鑑みれば,本件補正後の請求項4における「前記第1及び簡易操作モード」が「前記通常モード及び簡易操作モード」を意味し,「前記第1」との記載が誤記であることは,本件補正の全趣旨から明らかというべきである。また,上記のとおり,補正後の請求項4における「第1」との記載が「通常モード」を意味するものと正しく解釈することができるのであるから,本件補正によって,請求項4が意味不明になったということもできない。 ウなお,審決における「本件補正によって,補正前の請求項1の『第1』は, 味するものと正しく解釈することができるのであるから,本件補正によって,請求項4が意味不明になったということもできない。 ウなお,審決における「本件補正によって,補正前の請求項1の『第1』は,『通常モード』と変更されたにもかかわらず,『前記第1』との記載がそのまま残され,結果として意味不明の記載となった。」との記載は,本件補正後の請求項4における「前記第1」との記載が「通常モード」を指すことを前提とした認定であり,審決も「前記第1」との記載が誤記であることを認識していたことを裏付けている。 エしたがって,本件補正につき,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもないから平成14年法律第24号による改正前の特許法17条の2第4項の規定に違反するとして却下すべきとした審決の判断は誤りというべきである。 オ被告の主張に対する判断(ア) 被告は,本件補正後の請求項1では,「上記無線電話」との記載より- 34 -も前に「無線電話」及び「携帯型無線電話」の記載があり,「上記無線電話」が明らかに「携帯型無線電話」を指しているとはいえないと主張する。 しかし,「上記無線電話」との記載よりも前に「無線電話」及び「携帯型無線電話」の記載があるとしても,前記のとおり,「無線電話」が「携帯型無線電話」を意味することは自明というべきであるから,「上記無線電話」が「携帯型無線電話」を指すことは明らかである。 (イ) また,被告は,「前記第1」との記載が誤記にすぎないとしても,「前記第1」に対応する「第1」との構成が存在せず,本件補正により,請求項4の記載は意味不明となったと主張する。 しかし,前記のとおり,本件補正後の請求項4における「前記第1」との記載が誤記であることは明らかで 応する「第1」との構成が存在せず,本件補正により,請求項4の記載は意味不明となったと主張する。 しかし,前記のとおり,本件補正後の請求項4における「前記第1」との記載が誤記であることは明らかであり,このことは,請求項1ないし3には,本件補正後の請求項4に記載された「前記第1」に対応する記載が存在しないことによっても裏付けられているというべきである。 (ウ) よって,本件補正により,発明の内容が不明りょうになったとも,請求項4の記載が意味不明となったともいえず,被告の主張は理由がない。 カ小括以上のとおり,本件補正を却下すべきとした審決の判断は誤りである。 もっとも,審決は,本件補正却下の理由として本願補正発明が独立特許要件(特許法29条2項)を満たしていないことも挙げているから,進んで,上記独立特許要件(前記改正前特許法17条の2第5項,126条4項)の有無について検討する。 3 本願補正発明の独立特許要件についての判断の誤り(取消事由2,3,4,5)の有無審決は,本願補正発明は引用発明,引用例2及び周知技術に基づいて当業者- 35 -が容易に想到できたから,本件補正は独立特許要件を満たさないとし,一方,原告はこれを争うので,以下検討する。 (1) 本願補正発明の意義ア本願明細書(出願明細書[甲7],第1次補正書[甲9],第2次補正(本件補正)書[甲8])には,次の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲本件補正前は前記第3,1(2)アのとおりであり,本件補正後は前記第3,1(2)イのとおりである。 (イ) 発明の詳細な説明・【技術分野】「本発明は,無線電話に係り,より詳細には,優勢な関連機能を示すための関連する表題(操作説明)を伴うキーを含むユーザ入力手段と,キーの操作に応答して各関連機能 発明の詳細な説明・【技術分野】「本発明は,無線電話に係り,より詳細には,優勢な関連機能を示すための関連する表題(操作説明)を伴うキーを含むユーザ入力手段と,キーの操作に応答して各関連機能を遂行するためのプロセッサとを備えた無線電話に係る。」(段落【0001】)・【背景技術】「無線電話は,技術的な進歩に慎重なユーザにとって敬遠しがちな複雑な技術的装置となっている。無線電話の設計者の1つの問題は,基本的ユーザのニーズに適合するように電話をいかに簡単化するかである。・・・」(段落【0002】)・「特殊な短縮ダイヤルメモリの所定の位置に記憶された電話番号を最小数のキー操作を用いてユーザがコールできるようにするスピードダイヤル機能を含む電話が既に知られている。・・・」(段落【0003】)・「他の市販の無線電話は,いわゆるスーパースピードダイヤルのための多数の専用のキーを有する。これら専用のキーは,選択された番号を記憶するためにユーザがプログラムすることができ,次いで,単一- 36 -のキー操作のみを用いてそれらをダイヤルすることができる。・・・」(段落【0004】)・「スーパースピードダイヤルは,コールを開始するのに単一のキー操作しか必要としないという利点を有するが,電話キーパッド上に特殊な付加的なキーを必要とするという欠点もある。これは,キーパッドの見掛けを複雑なものにし,ユーザに馴染み難い傾向がある。又,専用キーの使用は,小さなコンパクトな電話ハンドセットに適合しない大きなキーパッド領域を必要とする。」(段落【0005】)・【発明の開示】「本発明によれば,無線電話が所定の条件のもとで復帰するところのユーザ選択可能な各デフォルトモードで動作できる無線電話であって,プロセッサと,関連する優勢な機能を指示す 5】)・【発明の開示】「本発明によれば,無線電話が所定の条件のもとで復帰するところのユーザ選択可能な各デフォルトモードで動作できる無線電話であって,プロセッサと,関連する優勢な機能を指示するための関連する表題を伴うキーを有するユーザ入力手段とを備え,上記プロセッサがキーの操作に応答して各関連する機能を各デフォルトモードで実行できるような無線電話が提供される。」(段落【0006】)・「本発明は,異なるユーザがそれらのニーズに合わせたデフォルトモードを有することができるという効果を発揮する。デフォルトモードは,各々簡単な使い方及び複雑な使い方を許す。」(段落【0007】)・「ユーザは,デフォルトモードにおいてプログラム可能なキーに関連した機能を選択できるのが好ましい。これは,メニュー環境における機能に到達するのに多数のキー操作が必要とされるために実行が困難であるいかなる特徴も単一のキー操作で行えるようにする。ユーザにより機能を選択できるので,ユーザは,自分の個人的なニーズ及び優先順位をかなえるように電話をカスタマイズすることができる。・・・」(段落【0008】)・「ユーザが特定のデフォルトモードの特定の機能を選択できるプログ- 37 -ラム可能なキーを設けることにより,ユーザは,そのプログラム可能なキーを操作することによりその特定の機能が遂行されるモードに電話をセットすることができる。」(段落【0009】)・「個々のユーザに高い優先順位が与えられる機能は,多数のキー押圧を必要とせずに,又はサイズ,重量,コスト,ユーザインターフェイスにより生じる混乱した見掛け及び脅威を増大する付加的なボタンを設けることなく,アクセスすることができ,これらは,全て,無線電話の設計者が回避するために骨折っていたことである。」(段落【0 ーフェイスにより生じる混乱した見掛け及び脅威を増大する付加的なボタンを設けることなく,アクセスすることができ,これらは,全て,無線電話の設計者が回避するために骨折っていたことである。」(段落【0010】)・「デフォルトモードとは,ハンドセットが電話の動作の他のモードから退出する際に入るモードである。デフォルトモードは,電話をパワーアップするとき及び電話コールを終了するときに適当に入るものである。」(段落【0011】)・「図1及び2に示す本発明の実施形態による無線電話は,無線電話の電子回路の実質的に全体を包囲するハウジング1を含む。無線電話は,アンテナ2と,トランシーバ3と,ベースステーション(図2)との通信チャンネルを選択するように動作するアルゴリズムでプログラムされた処理手段4とを有する。液晶ディスプレイ5(LCD)には情報が表示される。」(段落【0019】)・「ハウジングに含まれるのは,キーパッド9であり,これは,通常そうであるように3列及び4行のアレーに配列された0-9,*及び#と示された第1グループのキー即ちボタン10を含む。数字0,1,・・・9と,キャラクタ*及び#は,電話番号をダイヤルするためのものであるが,アルファニューメリックデータを電話番号記憶装置に入力するのに使用することもできる。種々の機能を選択するための第2グループの制御キー即ちボタンは,コール開始キー11(例えば『S- 38 -END』と示された)と,コール終了キー12(例えば『END』と示された)と,スクロールキー13と,無線電話の動作状態に基づいて異なる関連機能を有する第1ソフトキー14及び第2ソフトキー15と,クリアキー16と,第1グループのキーからの入力を数字キーとアルファニューメリックキーとの間でトグルするアルファニューメリック て異なる関連機能を有する第1ソフトキー14及び第2ソフトキー15と,クリアキー16と,第1グループのキーからの入力を数字キーとアルファニューメリックキーとの間でトグルするアルファニューメリックキー17とを含む。・・・」(段落【0020】)・「本発明のこの実施形態の無線電話は,『アイドル』状態を有する。 これは,パワーアップ時に無線電話がとる状態であり,コールが終了するか又は他の動作が完了したために使用中でないときにこれに復帰する。」(段落【0023】)・「アイドル状態におけるソフトキーの機能は,アイドル状態に採用された動作モード,即ちデフォルトモードにより指令される。例えば,簡易操作(EASYOPERATION)モードと称する第2の動作モードにおいては,ソフトキーがスピードダイヤルキーとして機能するように構成される。・・・」(段落【0024】)・「本発明のこの実施形態のアイドル状態において考えられる2つの動作モードを参照してハンドセットの動作を以下に説明する。これらは,アイドル状態にあるときに2つのソフトキーが各々メニューを選択しそして無線電話のメモリをアクセスするという機能を実行する『通常』モードと,アイドル状態において2つのソフトキーがユーザにより選択された各番号をスピードダイヤルするという機能を実行する『簡易操作』モードである。・・・」(段落【0026】)・「ユーザは,メニューから『簡易操作』モードに入ることができる。 ソフトキーがプログラムされていないときに『簡易操作』モードが選択された場合には,ユーザは,スピードダイヤル番号でソフトキーをプログラムするよう促される(図7)。又,各ソフトキーに関連した- 39 -電話番号は,メニューを介してプログラムすることもできる。」(段落【0027】)・「・・・無線 ヤル番号でソフトキーをプログラムするよう促される(図7)。又,各ソフトキーに関連した- 39 -電話番号は,メニューを介してプログラムすることもできる。」(段落【0027】)・「・・・無線電話がアイドル状態にあるときに(60),ディスプレイは動作モードを反映する。選択されたデフォルトモードが『通常』の場合には,この例では第1ソフトキーの上の表題が『MENU』となり,そして第2ソフトキーの上の表題が『MEMORY』となる。 現在のデフォルトモードが『通常』であると決定された場合には(61),第1のソフトキーが押圧された場合に(62),ハンドセットは,メニューモードに入る(63)。このモードでは,上記で簡単に述べたように,ユーザは,使用可能な機能をスクロールし,そして電話の動作状態を変更することができる。メモリモードにおいてユーザが実行できる1つの機能は,アイドル状態での動作モードを変更することである。ユーザは,通常又は簡易操作の選択が見つかるまで使用可能な選択肢を経てスクロールすることができる。選択肢の間をスクロールし,そして適当なモードが強調されたときに表題『選択』を伴うソフトキーを押すことにより,ユーザは,もし必要ならば,アイドル動作モードを変更することができる。・・・」(段落【0031】)・「・・・『簡易操作』モードの動作について説明する。ハンドセットが『通常』モードにない場合には(61,図5),それが『簡易操作』モードにあると決定される(70)。・・・『簡易操作』モードにおいて(70),第1ソフトキー14が押された場合には(71),プロセッサ4は,ソフトキーに関連した電話番号があるかどうかチェックする(72)。」(段落【0043】)・「もしそうであれば,その番号がダイヤルされる(73)。・・・コールが終了すると 71),プロセッサ4は,ソフトキーに関連した電話番号があるかどうかチェックする(72)。」(段落【0043】)・「もしそうであれば,その番号がダイヤルされる(73)。・・・コールが終了すると,無線電話は再びアイドル状態に復帰する(60)。」(段落【0044】)- 40 -・「クリアキー16は,この実施形態では,アイドル状態において,『簡易操作』モードから『通常』動作モードへと動作モードを一時的に変更するために使用される。或いは又,これは,『通常』モードにおけるソフトキーに関連した機能を模擬するように,『簡易操作』モードにおけるソフトキーに関連した機能を一時的に変更するものとして考えることもできる。」(段落【0046】)・「クリアキー16を押すことにより『通常』動作モードに一時的に入ったときには,『通常』モードにおいてソフトキー14,15に関連する表題が各キーの上の第1及び第2領域28,29に表示される(79)。これらの表題は,ソフトキーに現在関連した機能を指示する。アイドル状態における動作モードはこの点では変更されない。この段階でメニュー又はメモリキーを操作することにより,ハンドセットは,あたかも『通常』モードにあるかのように動作するが,ハンドセットが次にアイドル状態に入るときには(61),ハンドセットは,『通常』モードフラグがセットされていない(61)ので,依然『簡易操作』モードにあることになる。」(段落【0047】~【0048】)イ上記記載によれば,無線電話(携帯型無線電話)において,従来,ユーザーのニーズに適合するように操作を簡単化する技術として,電話ハンドセットのキーパッド上に特定の機能,例えばスピードダイヤル機能を実行する専用キーを備えた電話が知られているが,この場合,キーパッドが複雑になり,また, るように操作を簡単化する技術として,電話ハンドセットのキーパッド上に特定の機能,例えばスピードダイヤル機能を実行する専用キーを備えた電話が知られているが,この場合,キーパッドが複雑になり,また,大きなキーパッド領域を必要とするという課題があったところ,本願補正発明は,上記課題を解決するために,特許請求の範囲の請求項1に記載された構成とし,無線電話は,アイドル状態となったとき復帰する動作モード(デフォルトモード)として,通常モード又は簡易操作モードを選択することができ,選択されたモードに応じた機能をソフト- 41 -キーに割り当て,キー操作により,ソフトキーに関連する機能を実行するように構成したものである。 ここで,通常モードは,使用可能な機能を選択可能な状態であり,簡易操作モードは,特定の機能,例えばスピードダイヤル機能を実行可能な状態である。さらに,簡易操作モードにあるときに,ソフトキーの機能を一時的に通常モードにおける機能に変更することができるように構成されている。 (2) 引用発明の意義ア引用例1(甲1)には,以下の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲・【請求項1】「複数の状態を選択する選択操作手段と,該選択操作手段によって選択された状態に応じて機能の変化する操作入力手段とを備えたことを特徴とする通信端末。」(イ) 発明の詳細な説明・【産業上の利用分野】「本発明は通信端末に関し,特に携帯性が重視される移動体通信端末に好適なものである。」(段落【0001】)・【従来の技術】「近年携帯電話などの携帯性が重視される通信端末が広く用いられているが,通常,このような通信端末には1つの入力キーに対して1つの機能が割り当てられている。・・・」(段落【0002】)・【発明が解決しようとする課題】 が重視される通信端末が広く用いられているが,通常,このような通信端末には1つの入力キーに対して1つの機能が割り当てられている。・・・」(段落【0002】)・【発明が解決しようとする課題】「ところが,このように1つの入力キーに1つの機能を固定的に割り当てるようにすると,通信端末の多機能化が進むにつれて必然的に入力キーの数は増加せざるを得ない。・・・」(段落【0003】)- 42 -・「そして,移動体通信端末などで機器の小型化が重視されるものについては,入力キーの増加は即ち機器の大型化につながり,携帯性を著しく損ねてしまうという問題が発生する。また,入力キーの数が増えれば,使用者にとって操作すべきキーの選択が難しくなり,使いこなすことが難しいという印象を与えるとともに,キーの押し間違えなども発生しやすいという問題も生ずる。」(段落【0004】)・【課題を解決するための手段】「本発明はこのような問題点に鑑みて,多機能化された通信端末においても入力キー等の操作入力手段の数を削減することができ,機器の小型化及び使用性の向上を実現することを目的とする。」(段落【0005】)・「このため通信端末として,複数の状態を選択する選択操作手段と,この選択操作手段によって選択された状態に応じて機能の変化する操作入力手段とを備えるようにする。またこのとき,複数の状態としては,選択操作手段の未操作状態で設定されるデフォルト状態と,選択操作手段の1段階からn段階の操作でそれぞれ設定される第1の状態から第nの状態が用意されるとともに,操作入力手段における状態に応じた機能としては,デフォルト状態を含めて選択操作手段のより少ない操作段階で設定される状態の順に,使用頻度の高い機能から設定されているようにする。・・・」(段落【0006】)・【 おける状態に応じた機能としては,デフォルト状態を含めて選択操作手段のより少ない操作段階で設定される状態の順に,使用頻度の高い機能から設定されているようにする。・・・」(段落【0006】)・【作用】「選択操作手段によって選択された状態に応じて機能の変化する操作入力手段を1又は複数個設けることにより,多数の機能を少数の操作入力手段に割り当てることができ,入力キー等を削減することができる。また,デフォルト状態,第1の状態・・・・第nの状態について,操作入力手段に使用頻度の高い機能から順に割り当てていくこと- 43 -により,選択操作手段の操作回数は少なくてすみ,操作をより簡易なものとすることができる。」(段落【0007】)・【実施例】「・・・図1は実施例の通信端末の要部のブロック図であり,10は通信端末全体を示す。11は端末制御プログラムを実行するCPUである。また12は端末筺体上に設けられる液晶表示部(LCD),13は液晶ドライバであり,液晶ドライバ13に対してCPU11から表示データが供給されることによって,液晶ドライバ13はLCD12における表示動作を実行する。」(段落【0008】)・「14は端末筺体上に設けられる各種操作部を示し,その操作情報はCPU11に供給される。CPU11は供給された操作情報に基づいて通信動作や表示制御などの各種動作制御を実行する。・・・」(段落【0009】)・「この通信端末10の外観は例えば図2のようになる。即ち筺体平面上にLCD12が配されてユーザーに対する各種表示がなされるとともに,上記操作部14に相当する操作キーとして,ソフトキー1,ソフトキー2,ソフトキー3,スクロールつまみ4,及びダイヤル発信や文字入力に用いる数字/アルファベットキー5が設けられている。」(段落【001 記操作部14に相当する操作キーとして,ソフトキー1,ソフトキー2,ソフトキー3,スクロールつまみ4,及びダイヤル発信や文字入力に用いる数字/アルファベットキー5が設けられている。」(段落【0010】)・「ソフトキー1,ソフトキー2,ソフトキー3はスクロールつまみ4によって設定される状態により操作機能が変化されるものであり,各ソフトキー1,2,3の現在の機能がLCD12におけるソフトキー機能表示領域12aに表示される。・・・」(段落【0011】)・「図2はユーザーがスクロールつまみ4を操作していないデフォルト状態を示しており,ソフトキー機能表示領域12aには,ソフトキー1に対応して発呼操作を意味する『SEND』,ソフトキー2に対応- 44 -して通信終了操作を意味する『END』,ソフトキー3に対応して入力した数字等をクリアする操作を意味する『CLEAR』という文字が表示され,各ソフトキー1,2,3の機能が示される。」(段落【0012】)・「ここで,スクロールつまみ4をダウン方向に回動させると,CPU11は,デフォルト状態から次の状態に移行したとし(仮に『状態A』とする),ソフトキー1,2,3の機能が変化されたものとする。そして図3に示すように,ソフトキー機能表示領域12aにおいて,ソフトキー1に対応してミュート操作を意味する『MUTE』,ソフトキー2に対応してキーロック操作を意味する『LOCK』,ソフトキー3に対応してリダイヤル操作を意味する『REDIAL』という文字を表示させ,状態Aにおける各ソフトキー1,2,3の機能を示す。」(段落【0013】)・「またこの状態Aにあるときにさらにスクロールつまみ4をダウン方向に回動させると,CPU11は,状態Aから次の状態に移行したとし(仮に『状態B』とする),ソフトキー1, 」(段落【0013】)・「またこの状態Aにあるときにさらにスクロールつまみ4をダウン方向に回動させると,CPU11は,状態Aから次の状態に移行したとし(仮に『状態B』とする),ソフトキー1,2,3の機能がさらに変化されたものとする。そして図4に示すように,ソフトキー機能表示領域12aにおいて,ソフトキー1に対応してアルファベット入力呼出操作を意味する『ALPHA』,ソフトキー2に対応してメモリー呼出操作を意味する『MEM』,ソフトキー3に対応してバックライト操作を意味する『LIGHT』という文字を表示せ,状態Bにおける各ソフトキー1,2,3の機能を示す。」(段落【0014】)・「この図4の状態Bにあるときにスクロールつまみ4をアップ方向へ1段階回動させれば図3の状態Aに戻り,またさらにスクロールつまみ4をアップ方向へ回動させれば図2のデフォルト状態に戻るように,CPU11はスクロールつまみ4の操作に対応する制御を行な- 45 -う。またCPU11は,状態A,又は状態Bとされたまま所定時間以上何の操作もされなかった場合は,自動的に図2のデフォルト状態に戻るように制御する。」(段落【0015】)・「このようにスクロールつまみ4によって3つの状態が選択され,各ソフトキー1,2,3の機能が変化されることにより,各ソフトキー1,2,3はそれぞれ3つの機能に対応した操作キーとなる。そして,CPU11はこのようなソフトキー1,2,3の操作に応じて所定の動作制御を実行する・・・。」(段落【0016】)・「以上のように,ソフトキー1,2,3の操作機能についてスクロールつまみ4でユーザーが選択できるようにするとともに,ソフトキー1,2,3が押された場合は,CPU11はそのときの状態に応じて設定されている機能動作の制御を行なうことで, の操作機能についてスクロールつまみ4でユーザーが選択できるようにするとともに,ソフトキー1,2,3が押された場合は,CPU11はそのときの状態に応じて設定されている機能動作の制御を行なうことで,少ないキー数で多様な操作を行なうことができるようになり,機器の高機能化と小型化を同時に実現できる。」(段落【0020】)・「さらに,センド機能,エンド機能,クリア機能などの最も頻繁に使われる機能についてはデフォルト状態において設定されるようにし,アルファベット入力機能,メモリー呼出機能,バックライト機能などの比較的使用頻度の少ない機能については状態Bにおいて設定されるようにしているため,ユーザーにとってスクロールつまみ4の操作が必要となる場合は最小限とすることができ,操作簡易性は向上されている。」(段落【0021】)・「なお,本発明は実施例に限定されることなく各種変更可能である。 ・・・ソフトキーに設定される機能や使用頻度に基づく設定仕様も実施例に例示したものに限られず,機器の使用方式,搭載機能などに応じて決められればよい。・・・」(段落【0024】)・【発明の効果】- 46 -「以上説明したように本発明の通信端末は,選択操作手段によって選択された状態に応じて機能の変化する操作入力手段を1又は複数個設けることにより,多数の機能を少数の操作入力手段に割り当てることができ,入力キー等を削減することができ,これによって通信端末としての高機能化と小型化を同時に実現することができるという効果があり,特に携帯用通信端末に好適である。」(段落【0025】)イ上記記載によれば,引用例1には,携帯型の移動体通信端末において,入力キー等の操作入力手段の数を削減し,機器の小型化及び使用性の向上を実現するという課題を解決するために,以下の内容の 25】)イ上記記載によれば,引用例1には,携帯型の移動体通信端末において,入力キー等の操作入力手段の数を削減し,機器の小型化及び使用性の向上を実現するという課題を解決するために,以下の内容の引用発明が記載されているものと認められる。 すなわち,引用発明の移動体通信端末は,デフォルト状態(通常モード),状態A及び状態B(特定モード)を有し,ユーザーがスクロールつまみ(選択操作手段)を操作することにより,デフォルト状態から状態A又は状態Bに移行し,各状態において,ソフトキー1ないし3(操作入力手段)に特定の機能を割り当てる構成としたものであり,これにより,多数の機能を少数の操作入力手段に割り当てることができ,入力キー等を削減し,通信端末の高機能化と小型化を同時に実現することができるものである。 (3) その他の文献に記載された技術内容ア引用例2(特開平3-66249号公報,発明の名称「ボタン電話機」,公開日平成3年3月20日,甲2)には,以下の記載がある。 ・【産業上の利用分野】「本発明は,複数の画面を構成する情報の一つをオン・フック時に表示するボタン電話装置に関する。」(1頁左下欄15行~17行)・【従来の技術】「複数行のデータを表示することができる表示パネルを備えたボタン電話装置は,通常オン・フック時には特定の画面,例えばメニュー画面- 47 -を表示させておき,所望の情報画面を表示させたいときにはメニュー画面から選択するように構成されている。」(1頁左下欄19行~右下欄4行)・【発明が解決しようとする問題点】「しかしながら,オン・フック時には常に特定の画面,例えばメニュー画面がデフォルトとして表示されるため,操作に慣れた者にとってもいちいちメニュー選択操作を必要とし,煩わしさが伴うという不都合が 】「しかしながら,オン・フック時には常に特定の画面,例えばメニュー画面がデフォルトとして表示されるため,操作に慣れた者にとってもいちいちメニュー選択操作を必要とし,煩わしさが伴うという不都合がある。 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって,その目的とするところは,メニュー選択操作を必要とすることなく,特定の情報をオン・フック時に表示させることができるボタン電話装置を提供することにある。」(1頁右下欄9行~18行)・【実施例】「第2図は,本発明が適用されたボタン電話機の一実施例を示すものであって,図中符号10は,電話機本体11に一体的に組込まれた情報処理部で,複数行の情報を表示することができる液晶表示パネル等の表示器12と,情報の入力や選択を行うためのキーボード部13を備え,データ入力用キー14やメニュー画面の表示を指定するメニューキー15や,画面スクロールキー16,17,メニュー画面に基づいて表示させたい情報を指定する選択キー18などが設けられている。」(2頁左上欄16行~右上欄5行)・「この実施例において,オン・フック時においては特定の画面,例えば機能説明画面が表示されている。この段階で,例えば電話番号簿画面(第3図ハ)を表示させたい場合に,メニューボタン15を押すと,マイクロコンピュータ1はデータ記憶回路5からメニュー選択画面(同図イ)のファイルを読み出し,これを表示器12に表示させる。この状態で選- 48 -択ボタン18により電話番号簿画面を選択する。マイクロコンピュータ1は,データ記憶回路5から電話番号簿画面のファイルを読み出し,電話番号の索引を表示器12に表示させる。これにより,相手の電話番号を検索することが可能となる。」(2頁左下欄5行~17行)・「一方,使用者によっては,上述のメニ 番号簿画面のファイルを読み出し,電話番号の索引を表示器12に表示させる。これにより,相手の電話番号を検索することが可能となる。」(2頁左下欄5行~17行)・「一方,使用者によっては,上述のメニュー選択,電話番号薄選択等の2段階の操作を経ることなく,オン・フック時に目的とする特定の画面,例えば電話番号簿画面を表示させておきたい場合がある。 このようなときには,メニュー画面の状態で選択キー18により『初期画面設定』を指定する。ついで電子電話番号簿を選択すると,マイクロコンピュータ1は,電話番号簿を収めたデータ記憶回路5のファイル名等を初期画面指定データ記憶回路6に格納する。 この状態で,オン・フック状態にすると,マイクロコンピュータ1は,オン・フック検出回路22からの信号により初期画面指定データ記憶回路6にアクセスし,ここに格納されているファイル名により指定されたデータをデータ記憶回路5から読み出す。 これにより,マイクロコンピュータ1は,特別なキー操作を待つことなく,電話番号簿画面を表示器12に表示することになる。」(2頁左下欄18行~右下欄17行)・【発明の効果】「・・・ユーザが必要とする画面を特定するデータを格納しておくだけで,メニュー選択操作を経ることなく,ユーザが必要とする情報をオン・フック時に表示させることができて使い勝手の向上を図ることができる。」(3頁左上欄6行~11行)イ乙1(特開昭63-4315号公報,発明の名称「キー入力装置」,公開日昭和63年1月9日)には,以下の記載がある。 ・〔従来の技術〕- 49 -「電子式卓上計算機,コンピュータのキーボード,無線機の操作部等では,限られたスペースを有効に使うために各キーの入力機能を多重化するのが一般的である。例えば第5図に示す従来の 技術〕- 49 -「電子式卓上計算機,コンピュータのキーボード,無線機の操作部等では,限られたスペースを有効に使うために各キーの入力機能を多重化するのが一般的である。例えば第5図に示す従来のキーボードでは,複数の入力キー1のそれぞれに通常の入力機能(第1機能と呼ぶ)としてA1,B1,C1,……を与え,またモード切換用のシフトキー2(ファンクションキー等とも呼ばれる)を押したときはこれらの入力キー1が別の入力機能(第2機能)A2.B2.C2,……に切換わるようにしている。」(1頁右下欄3行~13行)・〔発明が解決しようとする問題点〕「・・・一般にはシフトキー2を押したら次にいずれかの入力キー1を押すことでシフト状態が自動的に解除される方式が多い・・・」(1頁右下欄17行~19行)ウ乙2(特開平6-301504号公報,発明の名称「最少数のキー押下で選択用メニューオプションを表示する方法および装置」,公開日平成6年10月28日)には,以下の記載がある。 ・【産業上の利用分野】「本発明は,一般に,計算機およびそれと等価な計算装置に関し,特に,選択のための限られた画面エリア内に多数のメニューオプションを最少数のキー押下で表示するための新規な技術に関する。」(段落【0001】)・【実施例】「・・・ユーザは,左矢印コントロールキー31を用いる(72)か,または『NXT』と印されたコントロールキー74を『UNITS』と印されたメニューキーと組み合わせて操作することにより,メイン単位アレイ50に切り換えることができる。一般的には,ユーザが左矢印キー31を押した際(72)に,以前のアレイに戻る(73)ようにプロ- 50 -セッサをプログラムすることができる。」(段落【0027】)・「NXTキー74等のコントロールキ は,ユーザが左矢印キー31を押した際(72)に,以前のアレイに戻る(73)ようにプロ- 50 -セッサをプログラムすることができる。」(段落【0027】)・「NXTキー74等のコントロールキーの押下に応じて,プロセッサ14は,メニューラベル行に新しいメニューオプションの行を一時的に表示するように表示装置16に命令し,これにより,メニューキーは,別のメニューオプションを提供することができるようになる。NXTキー74等の各コントロールキーに関してプログラムされているメニューオプションの数に依存して,ユーザは,メニューオプションのアレイ50,66で提供されるものに加えて多数のオプションを参照し選択することができる。これに応じて,プロセッサは,表示のために適当なオプションの配置を行い,対応するメニューキーをユーザが押した際にそれらのオプションを実行する。」(段落【0028】)エ乙3(特開平6-52147号公報,発明の名称「文書処理装置」,公開日平成6年2月25日)には,以下の記載がある。 ・【産業上の利用分野】「本発明は,ワープロ,テープライタ等に代表される文書処理装置に関する。」(段落【0001】)・【従来の技術】「また,文書編集手段としては,入力可能なキャラクタを多様化させるため,第一入力モード以外に,第二入力モードを有するものも知られていた。・・・」(段落【0003】)・「更に,このように第一及び第二入力モードを有する文書編集手段は,・・・入力手段により文書編集指示としてモード切替・復帰指示を入力することができ,このモード切替・復帰指示が入力されたとき,第一入力モードから第二入力モードに切り替わり,この第二入力モードにて文書を編集した後自動的に第一入力モードに切り替わり,第一入力モードにて文書を編集する機 のモード切替・復帰指示が入力されたとき,第一入力モードから第二入力モードに切り替わり,この第二入力モードにて文書を編集した後自動的に第一入力モードに切り替わり,第一入力モードにて文書を編集する機能・・・を有していた。」(段落【0004】)- 51 -・【実施例】「本実施例の一つの特徴は,文字種切替キー11により設定された入力方式を記号キー17により記号入力に切り替えたとき,一時的に記号入力により入力を行った後自動的に元の入力方式に切り替わる選択キー19と,継続して記号入力により入力を行う継続キー20とを選択設定することができるという点にある。・・・」(段落【0028】)(4) 原告主張の取消事由2~5についてア本願補正発明と引用発明との相違点5の判断の誤り(取消事由2)の有無(ア)「メニューキー」につきa 前記(3)アのとおり,引用例2には,従来,電話装置において,オン・フック時にメニュー画面をデフォルトとして表示させておき,使用者(ユーザー)がメニュー画面から目的とする画面を選択し表示させる技術が知られていたこと,及びメニューキーによりメニュー画面を表示し,目的とする画面(例えば電話番号簿画面)を選択し表示させる構成に加え,オン・フック時にメニュー選択操作を経ることなく直接目的とする画面を表示させるために,ユーザーが,オン・フック時に表示される画面を選択し設定できる構成としたことが記載されている。 他方で,前記(1)のとおり,本願補正発明は,ユーザーが,アイドル状態となったとき復帰する動作モード(デフォルトモード)として,使用可能な機能を選択可能な状態である通常モード,又は特定の機能を実行可能な状態である簡易操作モードを選択できる構成を有するところ,上記のとおり,引用例2には,ユーザーが,オン・フック ド)として,使用可能な機能を選択可能な状態である通常モード,又は特定の機能を実行可能な状態である簡易操作モードを選択できる構成を有するところ,上記のとおり,引用例2には,ユーザーが,オン・フック時のデフォルト状態として,メニュー画面から目的とする画面を選択し表示させる構成,又はメニュー選択操作を経ることなく直接目的とす- 52 -る画面を表示させる構成を選択できることが記載されており,ここで,メニュー画面,すなわち目的とする画面を選択するための画面は,使用可能な機能を選択するための画面ということができ,また,目的とする画面,例えば電話番号簿画面は,電話番号の索引を表示させ,相手の電話番号を検索するための画面であるから,特定の機能を実行可能な画面ということができる。 そうすると,上記引用例2に記載されたメニュー画面が表示された状態,及び目的とする画面が表示された状態は,それぞれ,本願補正発明における「通常モード」及び「簡易操作モード」に相当する状態ということができる。 b 原告は,引用例2には「メニューキー」によりメニュー選択画面を表示させることは記載されているが,「通常モードを呼び出す」ことは記載も示唆もされていないと主張する。 しかし,引用例2に記載された「メニューキー(メニューボタン)」を押すことにより,電話装置においてメニュー画面が表示された状態となり,ユーザーは,目的とする画面を選択し表示させることができるのであるから,同キーは本願補正発明における「通常モード」を呼び出すキーに相当し,審決において,「メニューキーが操作されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項」にすぎないと判断したことに誤りはない。 c 原告は,引用発明の「通常モ されると,通常モードにおける機能へと変更するように構成することは,引用例2の記載を参酌して当然に考慮されるべき技術的事項」にすぎないと判断したことに誤りはない。 c 原告は,引用発明の「通常モード」とは「メニュー画面」ではないから,引用発明に「メニューキー」を追加したとしても,単にメニュー画面が表示されるようになるにすぎず,「通常モードにおける機能へと変更する」ことにはならないと主張する。 しかし,前記(2)のとおり,引用発明における「通常モード」(デ- 53 -フォルト状態)は,ユーザーの操作により,「特定モード」(状態A及び状態B)に移行することができる状態であり,他方で,前記bのとおり,引用例2に記載された「メニューキー」は,電話装置を,メニュー画面が表示され,ユーザーが目的とする画面を選択することができる状態,すなわち「通常モード」に変更するキーであるから,引用発明において,引用例2に記載された「メニューキー」に係る構成を適用すれば,メニューキーを操作することにより,移動体通信端末が「通常モード」に変更されることは自明である。 d 原告は,引用例2における「オン・フック時にメニュー画面が表示される」構成は「従来の技術」であり,メニューキーとは互いに何ら関連していないから,引用例2記載の発明の実施形態としてオン・フック時にメニュー画面が表示される形態は存在しない旨主張する。 しかし,引用例2の記載からすれば,オン・フック時に表示される画面を選択する構成は,従来技術である,オン・フック時にメニュー画面を表示する技術における課題を解決したものであるから,オン・フック時に表示させる画面としてメニュー画面を選択することは,引用例2に明示されていないとしても,当業者にとって自明というべきである。 e 原告は,引用発明の 課題を解決したものであるから,オン・フック時に表示させる画面としてメニュー画面を選択することは,引用例2に明示されていないとしても,当業者にとって自明というべきである。 e 原告は,引用発明の課題は,「入力キー等の操作入力手段の数を削減」することであり,新たな操作キー(メニューキー)を加えることについて当業者は慎重になる旨主張する。 しかし,引用発明において,入力キー等の操作入力手段の数を削減するそもそもの目的は,「機器の小型化及び使用性の向上を実現すること」(段落【0005】)にあり,入力キー等の数は,機器の物理的制限や使用性の向上を考慮して決定できる設計的事項というべきである。また,引用例1における,「選択操作手段によって選択され- 54 -た状態に応じて機能の変化する操作入力手段を1又は複数個設けることにより,多数の機能を少数の操作入力手段に割り当てることができ,入力キー等を削減することができる。」(段落【0007】)との記載からすれば,「入力キー等の操作入力手段の数を削減」するために新たな入力キー等を設けることを排除するものではなく,かえって,引用発明の上記課題は,メニュー画面を表示させるためにメニューキーを設けることの動機付けともなり得るものである。 (イ) 「一時的に変更」につき原告は,審決が「変更を一時的とすること」が,「実際に採用される簡易操作モードの具体的内容や,ユーザにとっての利便性等から定めうる単なる設計的事項」であり,「周知技術を加味すれば,当然導かれる事項でもある」とする根拠を示していないと主張する。 a 「一時的に変更」の意義本願補正発明は,「前記無線電話が前記簡易操作モードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記通常モードにおける 。 a 「一時的に変更」の意義本願補正発明は,「前記無線電話が前記簡易操作モードにあるときに,前記無線電話に備えられる所定のキーが操作されると,前記ソフトキーの機能を前記通常モードにおける機能へと一時的に変更する」ように構成され,無線電話が簡易操作モードにあるときに,クリアキーが操作されると,動作モードは,簡易操作モードから通常モードに一時的に変更され,この結果,ソフトキーの機能は,通常モードにおける機能,すなわち,使用可能な機能を選択する機能に変更され,無線電話は,あたかも通常モードにあるかのように動作し,無線電話が次にアイドル状態に移行した場合は,簡易操作モードに戻るものである(本願明細書の段落【0047】,【0048】参照)。 すなわち,「一時的に変更」とは,選択されたモード自体を変更することなく,一時的に,別のモードにおける機能を実行可能にすることと理解できる。 - 55 -b 周知技術及び判断乙1(特開昭63-4315号公報)には,前記(3)イの記載があり,同記載からすれば,乙1には,電子式卓上計算機,コンピュータのキーボード,無線機の操作部等において,限られたスペースを有効に使うために,キーボードの通常の入力機能(第1機能)を,モード切換用のキーを押すことにより別の入力機能(第2機能)に切り換え,次にいずれかの入力キーを押すことにより自動的に切換え前の入力機能(第1機能)に戻る構成としたことが記載されていると認められる。 また,乙2(特開平6-301504号公報)には,前記(3)ウの記載があり,同記載からすれば,乙2には,計算機等において,限られた画面エリア内に多数のメニューオプションを表示するために,コントロールキーを押下することにより,メニューラベル行に新しいメニューオプションの行を一時的 らすれば,乙2には,計算機等において,限られた画面エリア内に多数のメニューオプションを表示するために,コントロールキーを押下することにより,メニューラベル行に新しいメニューオプションの行を一時的に表示して別のメニューオプションを提供し,一方,ユーザーが左矢印キーを押下することにより,以前のメニューに戻る構成としたことが記載されていると認められる。 さらに,乙3(特開平6-52147号公報)には,前記(3)エの記載があり,同記載からすれば,乙3には,文書処理装置において,入力可能なキャラクタを多様化させるために,モード切替・復帰指示が入力されたとき,第一入力モードから第二入力モードに切り替わり,第二入力モードにて文書を編集した後自動的に第一入力モードに切り替わる技術(段落【0004】),及び記号キーにより入力方式を記号入力に一時的に切り換え,記号入力による入力を行った後自動的に元の入力方式に切り替わる技術(段落【0028】)が記載されている。 以上からすれば,選択可能な複数のモードを有する端末装置におい- 56 -て,選択されたモード自体を変更することなく,一時的に,別のモードにおける機能を実行可能とする技術は,本願出願前,周知の技術であったと認められる。 他方で,引用発明の移動体通信端末は,デフォルト状態,状態A及び状態Bを有し,ユーザーの操作により,いずれかの状態(モード)を選択可能な端末であり,上記のとおり,選択可能な複数のモードを有する端末装置において,選択されたモード自体を変更することなく,一時的に,別のモードにおける機能を実行可能とする技術が周知であったことに鑑みれば,引用発明の移動体通信端末が特定の状態にある場合に,一時的に他のいずれかの状態における機能を実行可能とすることは,当業者が容易に想到し得たも る機能を実行可能とする技術が周知であったことに鑑みれば,引用発明の移動体通信端末が特定の状態にある場合に,一時的に他のいずれかの状態における機能を実行可能とすることは,当業者が容易に想到し得たものと認められる。 よって,審決における判断に誤りはない。 c 原告の主張につき原告は,乙1ないし乙3からは,端末のキーの機能や設定を一時的に変更することの技術的意義(課題,効果)が明らかでなく,相違点5に係る構成とする動機付けがないと主張する。 しかし,本願明細書の記載を参照しても,簡易操作モードにおいて,一時的に通常モードに変更する構成としたことの技術的意義は明示されていないものの,合理的に解釈すると,簡易操作モードにおいて通常モードの機能が選択可能になり,装置の利便性が向上するという一般的な作用効果を奏する点にあると解されるところ,上記周知技術においても同様の作用効果を奏することは自明であり,また,上記周知技術に係る構成は,選択可能な複数のモードを有する端末装置一般において採用し得る構成といえるから,引用例1に端末のキーの機能や設定を「一時的に変更」することやその動機付けが明示されていないとしても,引用発明において上記周知技術に係る構成を採用するこ- 57 -とは,当業者が,一般的な利便性の向上等の観点から,必要に応じて適宜なし得ることと認められる。 (ウ) 小括以上のとおり,無線電話が「簡易操作モード」にあるときに,所定のキー(メニューキー)が操作されると,ソフトキーの機能が通常モードにおける機能へと「一時的に」変更するように構成することは,引用例2及び周知技術に基づいて容易想到であるといえるから,審決における相違点5についての容易想到性の判断に誤りはない。 イ本願補正発明と引用発明との相違点1,3の判断の誤 ように構成することは,引用例2及び周知技術に基づいて容易想到であるといえるから,審決における相違点5についての容易想到性の判断に誤りはない。 イ本願補正発明と引用発明との相違点1,3の判断の誤り(取消事由3,4)の有無(ア) 原告は,引用発明における「通常モード」は,最も簡易に操作できるモードであって,使用頻度の最も高い機能に割り当てられるモードであるから,本願補正発明の「簡易操作モード」に相当するモードであり,このモードの他に「簡易操作モード」を設けるような技術的課題は存在しないと主張する。 原告の上記主張は,本願補正発明における簡易操作モードが,操作が最も簡単なモードであって,使用頻度の最も高い機能に割り当てられるモードであることを前提とするものであるが,本願明細書には,簡易操作モードにおける機能として,スピードダイヤル機能が例示されているものの,簡易操作モードが,操作が最も簡単なモードであって,使用頻度の最も高い機能に割り当てられるモードであることは構成要件とされておらず,むしろ,前記(1),前記ア(ア)aのとおり,通常モードは「使用可能な機能を選択可能な状態」であるのに対し,簡易操作モードは「特定の機能を実行可能な状態」と解すべきである。 そうすると,引用発明の移動体通信端末は,デフォルト状態(通常モード),状態A及び状態Bを有し,ユーザーがスクロールつまみを操作- 58 -することにより,デフォルト状態から状態A及び状態Bに移行し,各状態において,ソフトキー1ないし3に特定の機能を割り当てる構成としたものであるから,状態A及び状態B,すなわち「特定モード」は,特定の機能を実行可能な状態ということができ,これは本願補正発明における「簡易操作モード」に相当するものである。 したがって,引用発明において,デ ら,状態A及び状態B,すなわち「特定モード」は,特定の機能を実行可能な状態ということができ,これは本願補正発明における「簡易操作モード」に相当するものである。 したがって,引用発明において,デフォルト状態(通常モード)の他に「簡易操作モード」を設けるような技術的課題は存在しないとの原告の主張は,前提において誤りである。 (イ) 原告は,引用発明は,所定時間以上キー操作がなされない場合は,ソフトキーの機能を最も頻繁に使われる機能に自動的に復帰させるものであり,引用例2のオン・フック時に復帰するモードをユーザーが選択可能とするという解決手段とは異なる手段であるから,引用例2の技術事項を引用発明に適用する動機付けがないと主張する。 そこで検討するに,引用発明のそもそもの課題が,使用性の向上にあることに鑑みれば,引用発明において,ユーザーが,オン・フック時に表示される画面を選択し設定できる構成とすれば,メニュー選択操作を経ることなく目的とする画面を表示させたいユーザーにとっては「使用性の向上」につながるものであるから,むしろ,引用例2に記載された構成を引用発明に適用することの動機付けとなり得るものである。 また,引用発明が,所定時間以上キー操作がなされない場合にソフトキーの機能を自動的に復帰させる機能を有するとしても,この機能とオン・フック時に表示される画面との間に格別の技術的関連性はないから,引用発明に引用例2記載の構成を採用することを妨げるものではない。 なお,引用発明において,所定時間以上キー操作がなされない場合に復帰するデフォルト状態(通常モード)におけるソフトキーの機能が,- 59 -最も頻繁に使われる機能に限定されるものでないことは,後記ウ(ア)のとおりであり,原告の主張は,この点においても誤りである。 (ウ ォルト状態(通常モード)におけるソフトキーの機能が,- 59 -最も頻繁に使われる機能に限定されるものでないことは,後記ウ(ア)のとおりであり,原告の主張は,この点においても誤りである。 (ウ) 小括以上からすれば,引用発明において「通常モード」の他の「特定モード」を「簡易操作モード」と特定すること,及び,所定の条件の下で復帰するモードにつき「ユーザーが選択可能な少なくとも通常モードないし簡易操作モード」と構成することは,引用例2及び周知技術に基づいて容易想到であるといえるから,相違点1及び相違点3についての審決の判断に誤りはない。 ウ本願補正発明と引用発明との相違点4の判断の誤り(取消事由5)の有無(ア)a 相違点4は,「本願補正発明では,『前記通常モードにおいて前記ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し』ているのに対し,引用発明には『他の機能を選択する』構成はない」点である。 b 前記(2)のとおり,引用発明は,移動体通信端末(無線電話)において,デフォルト状態(通常モード),状態A及び状態Bを有し,ユーザーがスクロールつまみを操作することにより,デフォルト状態から状態A又は状態Bに移行し,各状態において,ソフトキー1ないし3(操作入力手段)に特定の機能を割り当てる構成としたものであり,他方で,前記(3)アのとおり,引用例2には,従来,電話装置において,オン・フック時にメニュー画面をデフォルトとして表示させておき,ユーザーがメニュー画面から目的とする画面を選択し表示させる技術が知られていたことが記載されている。 そして,引用発明の課題は,移動体通信端末(無線電話)において,入力キー等の操作入力手段の数を削減し,機器の小型化及び使用性の- 60 -向上を実現することであり ていたことが記載されている。 そして,引用発明の課題は,移動体通信端末(無線電話)において,入力キー等の操作入力手段の数を削減し,機器の小型化及び使用性の- 60 -向上を実現することであり,引用例1には,「ソフトキーに設定される機能や使用頻度に基づく設定仕様も実施例に例示したものに限られず,機器の使用方式,搭載機能などに応じて決められればよい。」(段落【0024】)と記載されていることからすれば,引用発明における,デフォルト状態(通常モード)においてソフトキーに割り当てる機能は,最も頻繁に使われる機能に限定されるものではなく,上記課題を解決できる限りにおいて,当業者が適宜選択できる事項ということができる上,従来から,デフォルト状態において,使用可能な機能を選択する機能を達成するための画面であるメニュー画面を表示することが知られていたことからすれば,引用発明におけるデフォルト状態(通常モード)として,ソフトキーに使用可能な機能を選択する機能を割り当てることは,当業者が容易に想到し得たことと認められる。 したがって,「『ソフトキーに割り当てられる機能は,使用可能な他の機能を選択することに関し』とすることも,それを『通常モード』において組み込むことも,ユーザにとっての利便性を適宜考慮して適宜なし得る程度のことで,格別な創意工夫を要することとは認められない」とした審決の判断に誤りはない。 (イ) 原告の主張につき原告は,審決は,ユーザーにとって利用性の低い機能をソフトキーに割り当てることが当然の技術的方向性であるとしているが,引用発明の技術思想は,最も頻繁に使われる機能についてソフトキーに割り当てることであり,「使用可能な他の機能を選択すること」は最も頻繁に使われる機能ではないから,当業者が「使用可能な他の機能を選択す 用発明の技術思想は,最も頻繁に使われる機能についてソフトキーに割り当てることであり,「使用可能な他の機能を選択すること」は最も頻繁に使われる機能ではないから,当業者が「使用可能な他の機能を選択すること」を引用発明のソフトキーに割り当てることはないと主張する。 そこで検討するに,引用例1には前記(2)アの記載があり,そのうち- 61 -段落【0006】,【0007】,【0021】には,デフォルト状態,状態A,状態Bにおけるソフトキー1ないし3の機能を,使用頻度の高い機能から順に割り当てていくことが記載されており,必ずしも,「ユーザーにとって利用性の低い機能をソフトキーに割り当てることは,当然の技術的方向性である。」ことを裏付けるものではない。 しかし,仮に審決の「技術的方向性」に関する上記認定に誤りがあるとしても,前記(ア)のとおり,ソフトキーに割り当てる機能は,当業者が適宜選択できる事項であることに変わりなく,相違点4についての審決の判断に影響を及ぼすものではない。 エ小括以上のとおりであるから,審決による本願補正発明の容易想到性の判断及び独立特許要件の判断は,その結論において誤りはないことになる。 4 本願補正前発明の容易想到性判断の誤り(取消事由6,7)の有無原告は,審決における本願補正前発明と引用発明との相違点1及び相違点3の判断についても,前記3(4)ア,イと同様に誤りであると主張する。 しかし,本願補正前発明と引用発明との相違点1及び相違点3は,「通常モード」及び「簡易操作モード」が,それぞれ「第1のデフォルトモード」及び「第2のデフォルトモード」である点を除き,本願補正発明と引用発明との相違点1及び相違点5と差異はなく,また各相違点についての審決の判断及び原告の取消事由も実質的に同一である。 ルトモード」及び「第2のデフォルトモード」である点を除き,本願補正発明と引用発明との相違点1及び相違点5と差異はなく,また各相違点についての審決の判断及び原告の取消事由も実質的に同一である。 本願補正発明は本願補正前発明を減縮したものであり,本願補正発明における「通常モード」及び「簡易操作モード」は,本願補正前発明における「第1のデフォルトモード」及び「第2のデフォルトモード」を限定したものであるから,原告の本願補正前発明に係る主張は,前記3(4)ア,イ同様,理由がない。 5 結論以上のとおり,審決には取消事由1のとおりの誤りがあるが,原告主張のそ- 62 -の余の取消事由はいずれも理由がないので,審決は結論において誤りはないことになる。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官中野哲弘 裁判官東海林 保 裁判官矢口俊哉

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