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昭和33(ネ)1546 不当利得返還請求事件

裁判所

昭和34年12月16日 大阪高等裁判所

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4,873 文字

主文 原判決中控訴人敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。事実 控訴人は主文同旨の判決を求め、被控訴人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の主張、証拠の提出、援用、認否は、以下に補充する外、原判決事実記載と同一であるから、ここにこれを引用する。被控訴人は、「(一) 被控訴人は、本件偽造手形を真正なものと信じて、本件真正手形を訴外会社専務取締役Aに返還した。被控訴人は、これによつて、本件真正手形の手形上の権利を喪失し、手形金額と同額の損失を受けた。(二) 訴外会社専務取締役Aは被控訴人より返還を受けた本件真正手形を控訴人に返還した。控訴人は、これによつて、被控訴人の損失において、本件真正手形の支払を免れ、手形金額と同額の不当利得をした。(三) 仮りにそうでないとしても、訴外会社専務取締役Aは被控訴人より返還を受けた本件真正手形を破棄した。控訴人は、これによつて、被控訴人の損失において、本件真正手形の支払を免れ、手形金額と同額の不当利得をした。(四) 仮りにそうでないとしても、本件真正手形の振出人の債務は時効により消滅した。控訴人は、これによつて被控訴人の損失において本件真正手形の支払を免れ、手形金額と同額の不当利得をした。」と述べ、控訴人は、「時効は、法律が当事者の意思に関係なく一定の事実の発生に付利得を生ぜしめるものであつて、本件真正手形の時効完成による控訴人の受益は、法律上の原因を有する。」と述べた。理由 控訴人が訴外極東貿易株式会社(訴外会社)のためのいわゆる融通手形として左記約束手形三通(以下本件真 成による控訴人の受益は、法律上の原因を有する。」と述べた。理由 控訴人が訴外極東貿易株式会社(訴外会社)のためのいわゆる融通手形として左記約束手形三通(以下本件真正手形(1)(2)(3)と略称する)を訴外会社に宛て振出したことは当事者間に争がない。 人の受益は、法律上の原因を有する。」と述べた。理由 控訴人が訴外極東貿易株式会社(訴外会社)のためのいわゆる融通手形として左記約束手形三通(以下本件真 成による控訴人の受益は、法律上の原因を有する。」と述べた。理由 控訴人が訴外極東貿易株式会社(訴外会社)のためのいわゆる融通手形として左記約束手形三通(以下本件真正手形(1)(2)(3)と略称する)を訴外会社に宛て振出したことは当事者間に争がない。(1) 金額五〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年四月三日支払地、振出地神戸市支払場所株式会社神戸銀行西郷支店振出日昭和二八年(月日不詳)振出人花木酒造株式会社取締役社長 B受取人極東貿易株式会社(原判決目録(9)の手形)(2) 金額五〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年四月二〇日その他(1)と同一記載(原判決目録(11)の手形)(3) 金額五〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年四月二〇日その他(1)と同一記載(原判決目録(12)の手形)原審証人C、同A(第一回)の各証言、原審における原告本人の供述によれば、訴外会社は本件真正手形(1)(2)(3)の三通を被控訴人に裏書譲渡し、被控訴人より割引金の交付を受け被控訴人は本件真正手形(1)(2)(3)の三通を所持していた事実を認めることができる。原審証人Aの証言(第二回)によりAの作成したものと認め得る甲第一号証の三ないし五、原審でのA(第二回)、Cの各証言及び被控訴人本人の供述の一部に本件口頭弁論の全趣旨(控訴人が振出したことを認める原判決末尾目録記載の額面五〇万円の手形で昭和二八年三月以降後記認定の手形交換の行われた頃満期の到来するものは前記(1)の 控訴人本人の供述の一部に本件口頭弁論の全趣旨(控訴人が振出したことを認める原判決末尾目録記載の額面五〇万円の手形で昭和二八年三月以降後記認定の手形交換の行われた頃満期の到来するものは前記(1)の手形以外にないこと)によれば、訴外会社専務取締役であつたAは、本件真正手形(1)(2)(3)の各支払期日直前、控訴人名義を冒用した左記約束手形三通(以下本件偽造手形(4)(5)(6)と略称)を作成した上、被控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)と本件偽造手形(4)(5)(6)との交換を求めたので、被控訴人は、本件偽造手形が真正に振出されたものと信じて、これに応じ、本件真正手形(1)を本件偽造手形(4)と引替に、本件真正手形(2)(3)を本件偽造手形(5)(6)と引替に訴外会社専務取締役Aに返還した事実(被控訴人主張の事実)を認めることができる。 件偽造手形(4)(5)(6)と略称)を作成した上、被控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)と本件偽造手形(4)(5)(6)との交換を求めたので、被控訴人は、本件偽造手形が真正に振出されたものと信じて、これに応じ、本件真正手形(1)を本件偽造手形(4)と引替に、本件真正手形(2)(3)を本件偽造手形(5)(6)と引替に訴外会社専務取締役Aに返還した事実(被控訴人主張の事実)を認めることができる。原審における証人A(第一回)の証言及び被控訴人本人の供述中右認定に反する部分は信用し離い。(4) 金額五〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年六月一八日支払地、振出地神戸市支払場所株式会社神戸銀行西郷支店振出日昭和二八年三月三日振出人花木酒造株式会社取締役社長 B受取人極東貿易株式会社第一裏書(白地式)裏書人極東貿易株式会社専務取締役 A(原判決目録(17)の手形甲第一号証の三)(5) 金額七〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年六月二六日振出日昭和二八年四月一五日その他(4)と同一記載(原判決目録(18)の手形、甲第一 〇〇円支払期日昭和二八年六月二六日振出日昭和二八年四月一五日その他(4)と同一記載(原判決目録(18)の手形、甲第一号証の四)(6) 金額五〇〇、〇〇〇円支払期日昭和二八年七月三日その他(5)と同一記載(原判決目録19の手形、甲第一号証の五)そこで、被控訴人が本件真正手形(1)(2)(3)を訴外会社専務取締役Aに交付することによつて、被控訴人が本件真正手形(1)(2)(3)の手形上の権利を喪失したか否かについて考える。満期に手形金の支払ができないため、手形債務者が満期を変更した新手形を発行して所持人に交付する、いわゆる手形書替において、新手形の交付と引替に旧手形の所持人が旧手形を返還するときは、代物弁済によつて、旧手形の所持人は旧手形上の権利を喪失する。しかし交付された新手形が偽造手形であるときは、代物弁済の効力を発生しないから、旧手形の所持人は、旧手形を返還することによつて直ちに、旧手形上の権利を喪失しない。従つて、本件の場合、被控訴人は、本件真正手形(1)(2)(3)を訴外会社専務取締役Aに交付したことによつて直ちに本件真正手形(1)(2)(3)の手形上の権利を喪失しない。被控訴人は「訴外会社専務取締役Aは被控訴人より交付を受けた本件真正手形を控訴人に返還した。」と主張する。 あるときは、代物弁済の効力を発生しないから、旧手形の所持人は、旧手形を返還することによつて直ちに、旧手形上の権利を喪失しない。従つて、本件の場合、被控訴人は、本件真正手形(1)(2)(3)を訴外会社専務取締役Aに交付したことによつて直ちに本件真正手形(1)(2)(3)の手形上の権利を喪失しない。被控訴人は「訴外会社専務取締役Aは被控訴人より交付を受けた本件真正手形を控訴人に返還した。」と主張する。しかし、この点に関する原審証人Aの証言(第二回)は原審証人D、同Eの各証言、原審における控訴人代表者本人の供述に照し信用し難く、他に右事実を認めるに足る証拠はない。 仮りに訴外会社専務取締役Aが本件真正手形(1)(2)(3)を控訴人に返還したとして、その場合の法律関係を考察するならば、(一) この場合、控 し信用し難く、他に右事実を認めるに足る証拠はない。 仮りに訴外会社専務取締役Aが本件真正手形(1)(2)(3)を控訴人に返還したとして、その場合の法律関係を考察するならば、(一) この場合、控訴人が、本件真正手形(1)(2)(3)振出の際の契約による融通手形返還義務の履行として、訴外会社より本件真正手形(1)(2)(3)の返還を受けたとすれば、前記のとおり訴外会社は本件真正手形(1)(2)(3)の権利者でないから、控訴人の本件真正手形(1)(2)(3)の手形債務は消滅せず、被控訴人は控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)の所持なくして、手形上の権利を行使し得る。従つて不当利得債権は発生しない。(二) この場合、控訴人が訴外会社に対し本件真正手形(1)(2)(3)の満期以後において悪意又は重大な過失なくして手形金の支払をなし訴外会社より本件真正手形(1)(2)(3)の返還を受けたとすれば、控訴人は手形法第四〇条により本件真正手形(1)(2)(3)の手形債務について免責を受けることになるが、この際控訴人は手形債務免責と同時に不当利得債務を負担するものではないことは明かである。つぎに、被控訴人は、「訴外会社専務取締役Aは被控訴人より交付を受けた本件真正手形(1)(2)(3)を破棄した」と主張する。しかし右事実を認めるに足る証拠はない。のみならず、仮りに、訴外会社専務取締役Aが本件真正手形(1)(2)(3)を破棄したとしても、その場合は、本件真正手形(1)(2)(3)の権利者である被控訴人は、除権判決を得た上、控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)の手形金の請求をなすべき筋合である。 は、「訴外会社専務取締役Aは被控訴人より交付を受けた本件真正手形(1)(2)(3)を破棄した」と主張する。しかし右事実を認めるに足る証拠はない。のみならず、仮りに、訴外会社専務取締役Aが本件真正手形(1)(2)(3)を破棄したとしても、その場合は、本件真正手形(1)(2)(3)の権利者である被控訴人は、除権判決を得た上、控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)の手形金の請求をなすべき筋合である。更に被控訴人は「控訴人は、本件真正手形(1)(2)(3)の時効による消滅によつて、被控訴人の損失において不当利得をした。」と主張する。形(1)(2)(3)の手形金の請求をなすべき筋合である。更に被控訴人は「控訴人は、本件真正手形(1)(2)(3)の時効による消滅によつて、被控訴人の損失において不当利得をした。」と主張する。<要旨>しかし、時効は永続せる一定の事実状態を尊重してこれを法律関係に高め、もつて社会の秩序を維持しよう</要旨>とする制度であるから、債務者の消滅時効による利得は法律上の原因がある。従つて、仮りに、本件真正手形(1)(2)(3)の振出人である控訴人の手形債務が時効により消滅し、右時効消滅時まで被控訴人が本件真正手形(1)(2)(3)の手形上の権利を喪失しなかつたとしても(善意取得者の不存在)被控訴人は控訴人に対し不当利得返還請求権を有しない。結局本件の場合(一) 訴外会社が本件真正手形(1)(2)(3)を所持しているならば、被控訴人は、訴外会社より本件真正手形(1)(2)(3)の返還を受けた上、(二) 訴外会社が本件真正手形(1)(2)(3)を紛失又は滅失したのであれば、被控訴人は、除権判決を得た上、被控訴人は控訴人に対し本件真正手形(1)(2)(3)の手形金の請求をなすべき筋合である。よつて被控訴人の不当利得を原因とする本訴請求は失当であるからこれを棄却すべく、これと同旨でない原判決中控訴人敗訴部分は取消を免れず、民事訴訟法第三八六条第八九条第九六条を適用し、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官石井末一裁判官小西勝裁判官井野口勤)

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