主文 被告人を懲役1年10月及び罰金100万円に処する。 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判確定の日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は,A,B及びC(これら3名を併せて「共犯者ら」という)と共謀の上,法定の除外事由がなく,かつ,著作権者の許諾を受けないで,平成29年5月11日頃,B方(東京都中野区ab丁目c番d号ef号)で,パーソナルコンピューターを使用し,インターネットを介して,Dが著作権を有する著作物である漫画「E」の516話「F」の画像データ1ページから8ページまでを,インターネットに接続されたサーバーコンピューターの記録装置に記録保存し,その頃から同月17日までの間,インターネットを利用する不特定多数の者に自動的に公衆送信し得る状態にし,もって上記著作権を侵害した。 第2 被告人は,共犯者らと共謀の上,法定の除外事由がなく,かつ,著作権者及び出版権者の許諾を受けないで,平成29年5月29日頃,第1のB方で,パーソナルコンピューターを使用し,インターネットを介して,Gが著作権を有し,株式会社Hが出版権を有する著作物である漫画「I」の866話「J」の画像データを,インターネットに接続されたサーバーコンピューターの記録装置に記録保存し,その頃から同月31日までの間,インターネットを利用する不特定多数の者に自動的に公衆送信し得る状態にし,もって上記著作権及び出版権を侵害した。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用) 罰条第1の行為刑法60条,著作権法119条1項,23条1項第2の行為著作権侵害の点 もって上記著作権及び出版権を侵害した。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用) 罰条第1の行為刑法60条,著作権法119条1項,23条1項第2の行為著作権侵害の点刑法60条,著作権法119条1項,23条1項出版権侵害の点刑法60条,著作権法119条1項,80条1項2号科刑上の一罪の処理刑法54条1項前段,10条(犯情の重い著作権侵害の罪の刑により処断)刑種の選択いずれも懲役刑及び罰金刑併合罪の処理刑法45条前段,懲役刑につき刑法47条本文,10条(犯情の重い第1の罪の刑に法定の加重),罰金刑につき刑法48条2項労役場留置刑法18条刑の全部執行猶予懲役刑につき刑法25条1項訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件各犯行は,被告人と共犯者らが,他のウェブサイト上に違法にアップロードされていた多数の漫画や雑誌の画像データをインターネットを通じて収集し,Aが開設した「K」と称するウェブサイト上に,いわゆるアフィリエイトによる収益を目的として,その画像データを対価なく閲覧する目的でKにアクセスする者が目当ての著作物を検索しやすいように体系化して,権利者に無断でアップロードすることを反復継続する中で敢行された。著作物やその出版等により権利者が収益を上げる構造が破壊されることで,著作者の創作意欲や,不特定多数人が著作物に触れる機会を生み出す意義を有する出版等の企業活動が減退し,ひいては優れた著作物が広く社会に共有されることによる文化の発展が阻害されるという社会的悪影響を招くおそれが大きい犯行であり,その悪質性は軽視できない。 被告人は,自身の勤務する店舗の経営者等として交流のあったAから,Kの運営 に携わるよう依頼さ 発展が阻害されるという社会的悪影響を招くおそれが大きい犯行であり,その悪質性は軽視できない。 被告人は,自身の勤務する店舗の経営者等として交流のあったAから,Kの運営 に携わるよう依頼され,その違法性を認識しながら結局は応じ,Aとともに他のウェブサイトから漫画のデータを収集してK上にアップロードするようになり,更にはこれらの具体的方法を,趣味等を通じて交流のあったBやその交際相手であるCに指導し,同人らに行わせたりする中で,本件各犯行についても,Bに指示するなどして同人又はCに実行させるなど,主犯であるAには及ばないとはいえ,本件各犯行で重要な役割を果たした。被告人がKの運営に携わることで自身も200万円を超える利益を得たことも,その果たした役割の大きさを示すものであり,その刑事責任は軽視できない。 もっとも,本件では,Kに係る一連の著作権等侵害行為のうち2話分の漫画データの違法アップロード行為に対する処罰が求められたにとどまるから,上記のKを巡る背景事情やその社会への悪影響を量刑上考慮するには,自ずと限界がある。その上で,被告人が当公判廷でいずれの罪も認め,本件各犯行の被害者らに対する謝罪の弁とともに,社会復帰後は被告人の身を案じる母の住む郷里に戻り,再犯しないで生活する旨を述べていること,犯罪歴がないことなどの事情を考慮すると,被告人を主文の懲役刑及び罰金刑に処した上,懲役刑について主文の期間その全部の執行を猶予するのが相当と判断した。 (求刑-懲役3年及び罰金300万円)令和2年3月18日福岡地方裁判所第2刑事部裁判官蜷川省吾 判官 蜷川省吾
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