主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人小松正次郎の上告理由第一点、第三点、第四点について。原判決は、ゴシツク体で「FAMILIAR」のローマ字を横書きして成る上告会社の本願商標と、ゴシツク体で「フアミリー」の片仮名文字(「ア」はやや小さい)を左横書して成る被上告人補助参加人の引用商標とは、その称呼において、「ファ」「ミ」「リ」の三音が共通し、しかも、両者ともに、この「フアミリ」が冒頭の第一音から第三音までを占めて、発声上、双方ともに聴者に強い印象を与えること、引用商標「フアミリー」は英語の「family」の片仮名による表現で、この言葉はわが国においてよく知られ、親しまれており、そのため、ひいて「フアミリ」の三連音だけで一種の連想、印象を呼ぶものとなつていること等の諸点から考えると、右両商標の称呼は、尾音にわずかの差があるからといつて、簡易迅速を旨とする取引の実際においてつねに明瞭に区別されるものとは断じ難く、なお、右両商標の指定商品の性質からして、その購買者が一般家庭婦人である場合が少なくないと考えられることをも考慮すれば、右両商標は称呼上、相紛れるおそれのあるものと見るべく、familiarとfamilyの両者にはアクセントの差があるけれども、少なくとも本件の両商標については、通常そのアクセントの差の故に、称呼上、区別されうるものとは認められず、本願商標が上告会社の商号から採択されたものであるとしても、かかる事情は、それだけでは右商標の称呼を左右するものとはいえない、としたもので、右原判決の判断は正当として是認しうる。論旨は右の判断が先例に牴触する旨をいうが、商標の類否の判断は、取引の実情に照らして、具体的、個別的にするほかなく、その性質上 ものとはいえない、としたもので、右原判決の判断は正当として是認しうる。論旨は右の判断が先例に牴触する旨をいうが、商標の類否の判断は、取引の実情に照らして、具体的、個別的にするほかなく、その性質上、まず一般的基準を定めてこれを- 1 -機械的に適用することによつて、なしうるものではない。 断が先例に牴触する旨をいうが、商標の類否の判断は、取引の実情に照らして、具体的、個別的にするほかなく、その性質上 ものとはいえない、としたもので、右原判決の判断は正当として是認しうる。論旨は右の判断が先例に牴触する旨をいうが、商標の類否の判断は、取引の実情に照らして、具体的、個別的にするほかなく、その性質上、まず一般的基準を定めてこれを- 1 -機械的に適用することによつて、なしうるものではない。所論引用の判例は本件に適切でない。原判決には所論の違法はなく、諭旨は採用できない。同第二点について。原判決に理由齟齬があるというのは、論旨の独自の見解にすぎず、所論判断遺脱も法律にいう判断遺脱に該当しないことが、その主張自体に照らして明らかである。論旨は採用できない。同第五点について。所論甲五、六号証と同七号証については、後者の指定商品は再製ゴム製、ラテツクス製およびビニール製の手袋であつて、前者の指定商品と牴触するといえないものである(上告会社を出願人とする甲六号証の指定商品は、所論と異なり、一七類の被服および布製身回品で前記の手袋を含まない。)。次に、所論甲九号証と同一〇号証については、指定商品はおおむね共通であり、前者は「FAMILY」、後者は「FAMILIAR」と、いずれもローマ字を横書きして成る商標であるから、本件商標の登録を許されないものとした原判決および審決の見解によれば、右甲一〇号証の商標も登録を拒否されるべきものであつたように見える。しかし、甲一〇号証の出願人はほかならぬ上告会社自身であつて、上告会社は被上告人がその取扱いを二、三にしたため、他に対しては許されたところを、上告会社に限つて拒まれたというものではなく、原判決および審決の見解に従えば登録を受けえなかつた筈のものについて、誤つて登録を受けているというにとどまり、これが本件における商標の類否の判断を拘束するものでないことはいうまでもない。原判決には所論 よび審決の見解に従えば登録を受けえなかつた筈のものについて、誤つて登録を受けているというにとどまり、これが本件における商標の類否の判断を拘束するものでないことはいうまでもない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。同第六点について。- 2 -原判決は、審決において、上告会社の本願商標がその出願当時において被上告人補助参加人の引用商標に類似するものと認めたうえ、なお付加的に、審決時における引用商標の周知性に言及したのを是認したにとどまり、所論のように、称呼上類似しない商標が出願後に招来された一方の商標の周知性のみをもつて登録を拒否されるべきものとする判断を示し、あるいはかかる判断を是認したものではない。 ない。同第六点について。- 2 -原判決は、審決において、上告会社の本願商標がその出願当時において被上告人補助参加人の引用商標に類似するものと認めたうえ、なお付加的に、審決時における引用商標の周知性に言及したのを是認したにとどまり、所論のように、称呼上類似しない商標が出願後に招来された一方の商標の周知性のみをもつて登録を拒否されるべきものとする判断を示し、あるいはかかる判断を是認したものではない。原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官飯村義美- 3 -
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