昭和28(う)2154 強制猥褻致傷被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年5月31日 大阪高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人A及び同Bを各懲役弐年に      被告人C、同D及び同Eを各懲役壱年六月に処する。      各被告人に対し本裁判確定の日から壱年間右刑の

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判決文本文4,199 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人A及び同Bを各懲役弐年に被告人C、同D及び同Eを各懲役壱年六月に処する。 各被告人に対し本裁判確定の日から壱年間右刑の執行を猶余する。 訴訟費用は全部被告人等の連帯負担とする。 理由 控訴理由は記録に綴つてある各被告人の弁護人小西寿賀一名義及び弁護人佐伯千仭外二名名義、被告人Cの弁護人鈴木正一名義の各控訴趣意書記載の通りであるから、これを引用し、これに対する当裁判所の判断は次の通りである。 弁護人小西寿賀一並に佐伯千仭外二名の論旨各第一点について、原審第三回公判調書の記載によれば、証人Fの尋問供述に先ち原審裁判所は裁判官全員一致で公の秩序善良の風俗を害する虞ありと決し、審判の公開を停止する旨の決定を言渡し、傍聴人を退廷せしめ同証人の尋問供述終了後公開禁止解除決定を言渡し傍聴人を入廷せしめたことが認められ、又検察官よりなした右証人の申請理由尋問事項よりすれば同証人の尋問供述が直ちに公の秩序善良の風俗に反することもないようにも思はれ、その尋問の最初より公開を禁止したのはいささか早計の憾がないでもないが、更につぶさに本件公訴事実の内容、証人がその被害者であること、尋問事項も右公訴事実に関連したものであること等に徴すれば、証人に対する尋問供述が自ら公秩良俗に反するに至ることあるは訴訟上経験するところであるから、証人尋問の冒頭より原審が裁判官一致の意見を以て公の秩序善良の風俗に反する虞ありとしたことにあへて違法はない。現に同証人に対する尋問調書の記載によれば、検祭官は冒頭より証人は本件悪戯をせられたことがあるかと発問し、裁判長も亦公訴事実の内容につき尋問している次第であるから、原審が最初より公開を禁止したことを違憲の処置であるとす 調書の記載によれば、検祭官は冒頭より証人は本件悪戯をせられたことがあるかと発問し、裁判長も亦公訴事実の内容につき尋問している次第であるから、原審が最初より公開を禁止したことを違憲の処置であるとすることはできない。よつて本論旨は理由がない。 弁護人佐伯千仭外二名の論旨第二点について。 原判決は第一事実に於て「交互に陰部に手指を挿入し、更に被告人Cは同女の陰毛約十本位を右手で引き抜き或は引きちぎり、因て同女の健康状態に不良の変更を加へ約二日間病臥を要したる傷害を蒙らせ」と認定しているが、これに照応する起訴状記載の公訴事実では「交互に陰部に手指を挿入して猥褻行為をなしたる上、被告人Cに於て陰毛約十本位を右手を以て引き抜き、因て同女をして陰毛脱去による身体の安全性を害して傷害を与へ」となつていること所論の通りである。然らば原判決も起訴状も共に、陰毛脱去により健康状態に不良の変更を加へたことを法律上傷害を与へたものとしているのであつて、原判決が「約二日間病臥を要した」としたのは、右傷害の程度を表示したもので、右傷害の外に更に約二日間の病臥を要した傷害を認定した趣旨でないことは判文自体によりて明白である。かくの如く傷害の程度は起訴状に記載かない場合でも、裁判所は訴因の変更追加を命ずることなくして、これを認定判示し得べきものである。論旨は主として原判示を正解しないことに基くものであつて理由がない。 同論旨第三点について。 原判決第一事実に於て陰毛脱去による傷害を認定していることは前点で認定した通りであり、且被告人等が共謀の上判示所為に及び、判示Fの陰毛約十本位を引き抜き或は引きちぎつたことは、原判決挙示の証拠によりて認定し得るところである。しかし原判決は右陰毛約十本位の内引き抜いたのが何本で引きちぎつたのが何本であるかはこれを確定していない 毛約十本位を引き抜き或は引きちぎつたことは、原判決挙示の証拠によりて認定し得るところである。しかし原判決は右陰毛約十本位の内引き抜いたのが何本で引きちぎつたのが何本であるかはこれを確定していないけれども、引用の証拠によれば、陰毛の一端に毛根が附着していて引き抜いたものと認められるものが数本あつたことはこれを認められる。 而して刑法にいわゆる傷害とは、人の体躯の生活機能を毀損することをいひ、身体に於ける生理状態を不良に変更する一切の場合を汎称するものであるところ、陰毛の毛根部分を残し毛幹部分のみを截取するいわゆる単に引きちぎるだけでは生理状態に不良の変更がないから傷害とはいえない。(大審院明治四十五年六月二十日判決、十八輯八九六頁、抄録五十二巻五八七頁、大審院刑事判例要旨集刑法四八九頁)。 <要旨>しかしこれと異なり、陰毛の毛根の部分から脱取してなすいわゆる引き抜く場合は傷害となるものと解すべ</要旨>きものである。けだし人の毛髪の毛根部分は毛嚢に包まれて深く皮膚の真皮内にはいり込み、下端の乳頭は膨大して毛球をなし内腔を有し、血管、神経を容れているのであるから、これを引き抜くときはこの血管神経を破壊し表皮を損傷すること明らかで、これ身体に於ける生理状態を不良に変更し、生活機能を毀損するものというべきであるからである。 然らば原判決が陰毛を引き抜き健康状態に不良の変更を加えたことを認定している以上、これを以て傷害と断定したことに誤はない。しかし原判決はこの傷害の程度を前示の通り約二日間病臥を要したものと認定して居り、この認定の証拠としては論旨摘録の如く証人Fの原審の証言(記録第二四一頁)、同人の検察官に対する第一回供述調書(同第一一九頁)によつたものと思はれる。 これによれば被害者Fは本件被害後二日位寝込んだことは認められるが、これ 旨摘録の如く証人Fの原審の証言(記録第二四一頁)、同人の検察官に対する第一回供述調書(同第一一九頁)によつたものと思はれる。 これによれば被害者Fは本件被害後二日位寝込んだことは認められるが、これが本件陰毛引き抜きによる傷害に基因したものとにわかに断定することはできない。 けだし陰毛数本の引き抜きによりては特別の事情のない限り、二日の病臥を必要とするものでないことは医学上顕著な事実であるところ、Fは若干痛みがあり頭痛かしたと供述しているが、この痛みや頭痛が陰毛引き抜きに基く特別の事情によるものであることについては何等供述していない。Fの右供述を始め記録に徴してみても、右特別の事情のあつたことはこれを認められないからである。然らば原判決が傷害の程度を約二日間病臥を要したものと認定した点については事実を誤認したものといわなければならないが、これは傷害の程度に関するものであつて、しかも右程度の誤認は判決に影響を及ぼさないものであるから、この誤認は原判決破棄の理由とするに足らない。 次に被告人等が交互にFの陰部に手指を挿入したことは引用の証拠によりて認められ、記録によりても、この点に誤認はない。 更に又原判示第二事実殊に被告人A及びBの両名が犯意を共通して判示の如を暴行をしたことに基因して判示傷害を与えた事実は引用の証拠によりてこれを認め得べく、記録に徴してもこの認定に誤があるとは思はれない。 よつて本論旨はすべて理由がない。 弁護人鈴木正一の論旨第一点について。 原判示第一の犯行が料亭一室に於ける酒席で行はれ、被害者はその料亭の仲居で、被告人等と平素眠懇であつて、酒席で猥褻な言葉を交はす間柄であり、本件犯行当時料亭の女将もこれを問題にしていなかつたことを始め、本件犯行が酒席の悪戯の程度を超えたものであつたことは所論の通りであるけれども、 と平素眠懇であつて、酒席で猥褻な言葉を交はす間柄であり、本件犯行当時料亭の女将もこれを問題にしていなかつたことを始め、本件犯行が酒席の悪戯の程度を超えたものであつたことは所論の通りであるけれども、判示所為は婦女の自由身体に障害を与へ、公秩良俗に反するもので、刑法所定の犯罪を構成すること勿論であつて、違法性を阻却し罪とならないものということはできない。所論は独自の見解に基くもので採用できない。 同論旨第二、三点について。 本論旨の理由のないこと佐伯千仭外二名の論旨第三点について説示するところと同一である。 弁護人小西寿賀一の論旨第二点、佐伯千仭外二名の論旨第四点、鈴木正一の論旨第四点について。 本論旨はすべて原判決の量刑不当を主張するものであるから、所論を考慮し、記録を精査して明らかな本件は被告人等がいずれも相当飲酒の上の犯行なること、犯行の態様、被害者との示和の状況、被告人等の経歴性行等各般の事情を参酌するときは、被告人等に対して実刑を科するよりは、今回に限り相当期間刑の執行を猶予し、本件の如き行為の不法なることを感銘し、将来の行動につき自肅自戒せしむる方が刑政の大目的に合致するものと思われるから、実刑を科した原判決は重きに失し、本論旨は理由がある。 故に刑事訴訟法第三百九十七条第一項第三百八十一条により原判決を破棄し、同法第四百条但書により直ちに判決するに、原判決が証拠により認定した判示事実(但弁護人佐伯千仭外二名の論旨第三点に対する判断について説示した通り判示第一事実中「約二日間病臥を要し」とある部分を除く)に法律を適用するに、被告人等の各所為は刑法第百八十一条第百七十六条前段第六十条に該当するところ、いずれも有期懲役刑を選択し、尚被告人A、同Bの以上の所為は刑法第四十五条前段の併合罪だから刑法第四十七条第十条第十四条に 告人等の各所為は刑法第百八十一条第百七十六条前段第六十条に該当するところ、いずれも有期懲役刑を選択し、尚被告人A、同Bの以上の所為は刑法第四十五条前段の併合罪だから刑法第四十七条第十条第十四条により犯情の重い判示第二の罪の刑に加重し、且被告人全部につき犯情宥恕すべきものがあるから刑法第六十六条第七十一条第六十八条第三号により減軽した刑期範囲内に於て、被告人A、同Bを各懲役二年に、他の三名を各懲役一年六月に処し、尚前説示の事由により、刑法第二十五条第一項を適用し、被告人等に対し一年間右刑の執行を猶予し、原審の訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文第百八十二条により被告人等の連帯負担とする。 よつて主文の通りの判決をしたのである。 (裁判長判事岡利裕判事国政真男判事石丸弘衛)

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