平成26(ワ)15673等 使用妨害禁止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年11月20日 東京地方裁判所
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判決文本文38,137 文字)

- 1 -平成27年11月20日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第15673号使用妨害禁止等請求本訴事件平成27年(ワ)第12246号預託金返還等請求反訴事件口頭弁論終結日平成27年9月18日判決東京都渋谷区<以下略>本訴原告・反訴被告有限会社ルセーヌ館(以下「原告」という。)原告訴訟代理人弁護士髙井章光同秋葉健志同野口徹晴東京都豊島区<以下略>本訴被告・反訴原告株式会社オーエン(以下「被告」という。)被告訴訟代理人弁護士深沢隆之同山田竜顕同関 由起子同関根 究 主文 1 被告は,実力をもって,別紙物件目録記載の建物に立ち入り,その他原告の別紙物件目録記載の建物に対する使用を妨害してはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載の建物における結婚式場及びレストランの運営に関する営業について,「有限会社ルセーヌ館」との商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」との名称を使用してはならない。 3 被告は,原告に対し,1836万2693円及びこれに対する平 - 2 -成26年8月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 被告の反訴請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,本訴反訴 - 2 -成26年8月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 被告の反訴請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,本訴反訴を通じてこれを4分し,その1を原告の,その余を被告の負担とする。 7 この判決は,第1項ないし第3項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 本訴(1) 主文第1項,第2項と同旨。 (2) 被告は,原告に対し,2483万1050円及びこれに対する平成26年8月7日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 仮執行宣言 2 反訴(1) 原告は,被告に対し,2000万円及びこれに対する平成27年4月3日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (2) 原告は,被告に対し,1239万9885円及びこれに対する平成26年4月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本訴原告は,別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を賃借し,「有限会社ルセーヌ館」との商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」との名称 - 3 -を使用して,結婚式場,レストラン事業を運営してきたところ,原告と被告は,平成25年11月26日付け業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。 甲5)を締結し,平成25年12月1日から有効期間を3年間(5条)とし,保証金として平成25年10月末までに1000万円,同年12月末日までに1000万円の合計2000万円を支払うこと(3条),商標,施設等の使用の対価として売上額の6%(4条),仕入代,外注費,人件費,地代家賃等の経費を被告が負担す に1000万円,同年12月末日までに1000万円の合計2000万円を支払うこと(3条),商標,施設等の使用の対価として売上額の6%(4条),仕入代,外注費,人件費,地代家賃等の経費を被告が負担すること(2条6項),予約台帳,月次の試算表,預金通帳の写しを提出し(同条7項),原告が必要と認めるときにはこれらを原告に閲覧させること(同条8項)等を約したが,被告において,(1)保証金の支払遅延,(2)賃料等経費不払(平成26年1月24日に99万円の支払がされて以後不足分の経費の補填を行わず),(3)商標権等使用対価の不払(平成25年12月分~平成26年3月分),(4)帳簿等の閲覧・開示を拒絶する等の債務不履行があったことを理由として,原告は,平成26年3月24日付けで本件業務委託契約を解除(甲9)した。 しかし,被告は,本件建物への立入りを繰り返し,本件業務委託契約により許諾された原告の商号,名称の使用を不正の目的をもって継続しているばかりか,被告の原告に対する平成25年11月分ないし平成26年5月分の支払債務合計2483万1050円が未払いであるとして,原告は,被告に対し,実力をもって,本件建物に立ち入り,その他原告による建物使用の妨害の禁止(請求の趣旨第1項),本件建物における結婚式場及びレストランの運営に関する営業について,「有限会社ルセーヌ館」との商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」との名称の使用の差止め(請求の趣旨第2項),被告が原告に対し支払うべき未払金合計2483万1050円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成26年8月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を付加して支払うことを求めた事案である。 2 反訴 - 4 -原告と被告とは,前記平成25年11月26日付 7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を付加して支払うことを求めた事案である。 2 反訴 - 4 -原告と被告とは,前記平成25年11月26日付け本件業務委託契約を締結した上で,(1)本件業務委託契約3条に基づき,被告は,株式会社テレサ(以下「テレサ」という。)名義で原告に対し保証金2000万円を預託したところ,本件業務委託契約は終了し,かつ,保証金の不返還を定めた平成25年11月26日付け「業務委託契約についての覚書」(以下「本件覚書」という。 甲6)は法的効力を有しない(被告との間で有効に成立していない)から,同額の返還及び被告が原告に対しその返還を求めた日(保証金として預託した2000万円の返還を求める旨が記載された平成27年4月6日付け被告準備書面4を原告が受領した日)の後の日である平成27年4月3日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払と,(2)本件業務委託契約に基づく結婚式・レストラン運営により平成26年3月末時点で剰余金1239万9885円が発生しているところ,本件業務委託契約に基づく支払請求ないし不当利得返還請求として,同額及びこれに対する平成26年4月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めた事案である。 3 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。以下,証拠番号の枝番の記載を省略することがある。)(1) 当事者等原告は,平成14年12月26日に設立された結婚式場の経営等を業とする特例有限会社であり,平成16年2月1日から頭書所在地に本店をおいている。〔弁論の全趣旨〕被告は,平成25年5月20日に設立された,国内外のホテル,レストラン,結婚式場の運営等を主たる業とする株 特例有限会社であり,平成16年2月1日から頭書所在地に本店をおいている。〔弁論の全趣旨〕被告は,平成25年5月20日に設立された,国内外のホテル,レストラン,結婚式場の運営等を主たる業とする株式会社である。その代表取締役は,平成26年2月12日まではAであったが,同日Bが代表取締役に就任した。 〔甲13〕テレサは,平成19年5月18日に設立された,国内外のホテル,レスト - 5 -ラン,結婚式場の運営等を主たる業とする株式会社であり,その代表取締役はC(以下「C」という。)である。〔甲8〕(2) 原告の本件建物についての賃貸借契約とその更新ア原告は,平成14年ころから本件建物を賃借していたが,平成24年2月29日,D(以下「D」という)との間で,本件建物を目的物とする下記約定の賃貸借契約を締結し(以下「本件賃貸借契約」という。甲1),同年4月1日,Dから,本件建物を借り受けた。 ・賃貸借期間平成24年4月1日から平成26年3月31日まで。但し,期間満了の6か月前までに原告及びDの双方において別段の意思表示がない場合は,本契約は賃貸借契約期間満了と同時に自動的に2年間を契約期間として更新されるものとし,その後の期間満了に際しても同様とする(本件賃貸借契約3条1項及び3項)・月額賃料 236万3288円(本件賃貸借契約4条)なお,原告及びDは,平成24年5月28日,覚書を締結し,本件建物の月額賃料について,236万3288円から,212万6960円に減額する旨を合意した。〔甲4〕イ原告とDは,平成25年9月末日までに,別段の意思表示を行わなかったため,平成26年4月1日をもって,本件賃貸借契約は更新された。 (3) 本件業務委託契約の締結原告は,本件賃貸借契約締結後,本件建 とDは,平成25年9月末日までに,別段の意思表示を行わなかったため,平成26年4月1日をもって,本件賃貸借契約は更新された。 (3) 本件業務委託契約の締結原告は,本件賃貸借契約締結後,本件建物において,「有限会社ルセーヌ館」との商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」との名称を使用して,結婚式場及びレストランの運営事業を行ってきたところ,原告(甲)と被告(乙)は,平成25年11月26日,下記内容の本件業務委託契約を締結した。〔甲5〕記 - 6 -「第1条(目的)甲は平成25年12月1日をもって甲が下記施設で運営する業務の運営を乙に委託し,乙はこれを受託する。 施設:ルセーヌⅠ号館・Ⅱ号館及び関連施設所在地:東京都渋谷区<以下略>ほか商号:ジャルダン・ド・ルセーヌなお,委託業務遂行に関する事務取扱の細目については,本契約の各条項で定めるほか,甲乙協議の上,平成25年12月31日までに業務委託細則契約書を締結する。」「第2条(委託業務の内容)甲が乙に委託する業務(以下『委託業務』という)の範囲・内容は以下に定める通り。 1 甲が当該施設にて行う結婚式場及びレストランの運営業務全般 2 乙は,甲の受注残を引継,甲が受注している顧客に対して,従前甲が提供していた業務の全部を提供する。(但し,甲がすでに顧客から受領した申込金について,甲は乙に対し精算義務を負わないものとする) 3 乙は,必要とする従業員及び取引先その他を甲から引継ぐ。 4 甲は,乙が委託業務遂行のため甲の商標(ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ)を使用することを認める。 5 甲は,当該施設及び とする従業員及び取引先その他を甲から引継ぐ。 4 甲は,乙が委託業務遂行のため甲の商標(ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ)を使用することを認める。 5 甲は,当該施設及び施設内の什器備品を乙に貸与する。 6 『委託業務』にかかわる仕入,外注費,人件費,地代家賃,リース料等,一切の経費の支払は乙が負担する。 7 乙は,毎月月末に,甲に対して,売上金,婚礼の予約状況に関する報告をする。その際,乙は,甲に対し,関連の資料(予約台帳,月次の試算表,売上を管理する預金通帳の写し等)を提出する。 - 7 - 8 乙は,経営に必要な諸帳簿を整備し,甲が必要と認めるときは,関係帳簿や通帳の閲覧をさせなければならない。 9 乙は,使用施設の賃貸借契約,利用リース契約を維持継続する。 10 甲は,本契約の終了について甲乙合意した場合は,『委託業務』に係る営業権を乙に譲渡する。 11 甲は,乙が使用施設の賃貸借契約を締結出来るように努力する。 但し,乙が使用施設の賃貸借契約を締結出来ることを保証するものでは無い。 また,乙が使用施設の賃貸借契約を締結する際は,甲の差入保証金は引き継がず,甲が貸主より返還を受け,乙が改めて差入保証金を提供する。」「第3条(保証金)本契約の締結に当たり,保証金として乙は甲に2000万円を支払う。 支払方法は,10月末日までに1000万円,12月末日までに1000万円を甲の指定する銀行口座に振込みにて支払う。なお,本保証金は,本契約締結後においては理由の如何を問わず,乙は甲に対して支払わなければならず,また,第2条10項により営業権を譲渡する場合にはその対価の一部に充当するものとする。」「第4条(商標等使用の対価)乙は,甲に対し,商標, 如何を問わず,乙は甲に対して支払わなければならず,また,第2条10項により営業権を譲渡する場合にはその対価の一部に充当するものとする。」「第4条(商標等使用の対価)乙は,甲に対し,商標,施設等使用の対価(以下『商標等使用の対価』という)として,毎月,売上額の6%(消費税別)を支払う。 なお,9月1日から翌年8月末日までの年間売上高が4億円(消費税別)を超えた場合は,乙は,甲に対し,4億円を超えた部分の金額について,当該超過部分の金額に一定利率を掛けた金額を商標等使用の対価として支払う。その場合の利率については甲及び乙が協議して決定する。」 - 8 -「第5条(契約期間)本契約の有効期間は平成25年12月1日から3年とし,契約期間満了の6ヶ月前までに甲乙は本契約の終了又は更新及び終了時期について協議することとし,合意に至らない場合は,期間満了後も同条件にて1年間契約は更新されるものとし,以後も同様の扱いとする。」「第6条(解除)1.甲は,乙又は丙において次の各号に該当する事由があるときは,なんらの通知催告の手続きを要しないで,即時本契約を解除することができる。 (1) 本契約の各条項の一に違反したとき(2) 甲に何ら通知することなく,営業を14日間以上しなかったとき(3) 正当な理由無く,保証金又は商標等使用の対価を支払わなかったとき(4) 乙の使用人により室内を著しく毀損したとき(5) 乙の事業内容が法令に違反したとき(6) 本項各号に準ずる事由により,甲が契約を継続し難いと認めたとき(7) 反社会的勢力に属するもしくは深く関係する事実が認められたとき(8) 倒産,会社更生,民事再生,任意整理,清算等の手続が行われたとき(商法上の関連会社においても同様 難いと認めたとき(7) 反社会的勢力に属するもしくは深く関係する事実が認められたとき(8) 倒産,会社更生,民事再生,任意整理,清算等の手続が行われたとき(商法上の関連会社においても同様に取り扱う)(9) 差押え,仮差押え,売掛金もしくは売上や家賃等の担保提供をしたと認められるとき2.乙および丙は,本契約の解除権を有しない。」「第7条(その他) - 9 -甲及び乙並びに丙は,お互いに信頼関係を深め,双方の経営実績向上のため誠意をもって努力するものとする。 また,本契約に定めの無い事項,または本契約の条項についての疑義は本契約の趣旨及び信義誠実の原則に従い甲及び乙並びに丙が協議して解決する。 以上」(4) 本件覚書の締結(効力に争いがある)原告と被告は,本件業務委託契約の締結と同日の平成25年11月26日,下記の内容の本件覚書に記名ないし署名押印し,C(丙)は連帯保証人として署名押印した。なお,被告(乙)の欄には,「東京都新宿区<以下略> 代表取締役 A」と記載があり,「株式会社オーエン」との記載が欠落している。本件覚書の内容は,下記のとおりである。〔甲6。なお,判決の便宜のため,本件覚書の定めである各条項につき,順に「本件覚書1条」ないし「本件覚書8条」という。〕記「有限会社ルセーヌ館(以下,甲という。)と株式会社オーエン(以下乙という)及び連帯保証人 C(以下丙という)は,平成25年11月26日付業務委託(以下『本契約』という)に関して以下の事項について合意したので,ここに覚書を作成する。なお,本覚書の定めは,甲乙丙間の平成25年11月26日付業務委託契約書の定めに優先するものとする。 記1.『本契約』第2条10項の 関して以下の事項について合意したので,ここに覚書を作成する。なお,本覚書の定めは,甲乙丙間の平成25年11月26日付業務委託契約書の定めに優先するものとする。 記1.『本契約』第2条10項の『委託業務』の営業権譲渡の対価は8000万円とする。(判決注;本件覚書1条)1.『本契約』第5条において,契約期間満了の前提条件は,『本契約』第3条における保証金として支払われたもの及び同第4条の『商標等使用の対価』の支払累計額合計が,第1項の営業権の対価である8000万円を上回っていることとする。(判決注;本件覚書2条) - 10 -1.乙及び丙は,『本契約』が解除された場合であっても,『本契約』第3条及び第4条により既に支払った代金については,甲に対して返還を請求することは出来ない。(判決注;本件覚書3条)1.『本契約』第4条における『商標権等使用の対価』は,月額100万円(消費税別)を下回らないこととする。(判決注;本件覚書4条)1.乙は,『本契約』の期間中は『委託業務』を第三者に委託させること又は本契約における乙の契約上の地位を第三者に譲渡することは出来ないものとする。(判決注;本件覚書5条) 1 乙及び丙は,『本契約』第2条4項により,商標,屋号等(ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ等)を使用することにより甲が損害を被った場合は,乙及び丙が責任をもって補償する。(判決注;本件覚書6条)1.『丙』は,乙の連帯保証人として『本契約』に基づき,契約の履行及び一切の債務につき乙と連帯して保証し,その履行と弁済の責めを負う。(判決注;本件覚書7条)1.その他乙の受託業務運営にあったっては(判決注;ママ),営業・企画等において,甲よりEGMが出向するほか,Fが誠意をもって協力するものとし と弁済の責めを負う。(判決注;本件覚書7条)1.その他乙の受託業務運営にあったっては(判決注;ママ),営業・企画等において,甲よりEGMが出向するほか,Fが誠意をもって協力するものとし,乙はこれを了承する。(判決注;本件覚書8条)以上」(5) 被告による本件業務委託契約に基づく事業の開始被告は,平成25年12月1日より,本件建物の占有を開始するとともに,本件業務委託契約に基づく結婚式場及びレストランの運営事業(以下「本件事業」という。)を開始した。 なお,本件業務委託契約の締結に伴い,原告の従業員は,平成25年1 - 11 -1月末日をもって,被告に転籍することとなり(本件業務委託契約2条3項),原告の取締役であるEも,被告に出向した(本件覚書8条)。 (6) 被告による保証金の支払被告は,本件業務委託契約3条に基づく保証金の趣旨で,平成25年6月28日に既に支払済みの500万円をその支払に充当したほか,同年11月5日,同年12月27日に各500万円の支払を,いずれもテレサ名義による銀行振込みで行った。〔甲7の1ないし7の3。いずれも被告による保証金の支払であることにつき当事者間に争いがない。〕その後,被告は,平成26年1月24日に500万円の支払をしたことによって,合計2000万円の保証金の支払いを完了した。〔甲7の4〕(7) 被告による保証金及び賃料経費の支払状況等ア保証金の支払状況本件業務委託契約3条によれば,平成25年12月末日までにそれまでに支払われていない保証金1000万円を支払うこととなっていたところ,被告は同日までに500万円を支払ったが,残額500万円については,上記(6)のとおり平成26年1月2 年12月末日までにそれまでに支払われていない保証金1000万円を支払うこととなっていたところ,被告は同日までに500万円を支払ったが,残額500万円については,上記(6)のとおり平成26年1月24日に支払った。 イ賃料等経費の支払状況被告は,本件建物における本件事業を「ルセーヌ館」の商号をもって行い,本件事業に必要な仕入れ,外注費,家賃及びリース料等の支払いなどを原告の銀行口座を利用して行っていたため,預金口座に入金される売上については,原告が事実上管理していた。また,本件事業における現金の売上分についても,平成26年2月11日までは,原告が管理していた。 そのため,原告は,本件事業の売上から,優先的に地代家賃,リース料,外注費,人件費などを支払い,被告は,売上額が経費の支払額に満たない場合には,原告に対し,不足金額を支払うこととしていた。不足金額の支払については,平成26年1月24日にC名義で99万円(実際の振込金 - 12 -額100万円との差額1万円は,保証金の不足額として保証金に充当された)が支払われた。〔甲12〕(8) 原告による本件覚書原本の提出催促前記(4)のとおり,本件覚書には被告の会社名の記載が欠落していたため,原告は,本件覚書の原本を被告代表者に交付していたにもかかわらず返還されないとして,平成26年3月12日付けで,被告(代表取締役B)に対し,本件覚書につき,「平成25年11月26日付締結『業務委託契約についての覚書』原本については,記名捺印個所についての不備(会社名欠落)訂正のためお貸出ししておりますが,B様,C様に口頭で何回かお願いいたしておりますが未だ返却されておりません。重要な書類ですので返却下さいますようよろしくお願いいたします。」とする通知をした。〔甲15 のためお貸出ししておりますが,B様,C様に口頭で何回かお願いいたしておりますが未だ返却されておりません。重要な書類ですので返却下さいますようよろしくお願いいたします。」とする通知をした。〔甲15〕(9) 原告による本件業務委託契約の解除原告は,代理人弁護士を通じ,被告に対し,平成26年3月24日付けで,①前記(7)アのとおりの保証金の支払遅延,②平成25年12月以降売上金等の報告をしなかったこと,③家賃,リース料等の経費の支払をしなかったことは本件業務委託契約の債務不履行に当たるとして,本件業務委託契約2条6項,同条7項,3条,6条1項1号,同項3号に基づき,本件業務委託契約を直ちに解除し,同契約に基づき利用している本件建物等の速やかな返還を求める通知(以下「本件解除通知」という。)をし,同通知は平成26年3月25日に被告に到達した。〔甲9,10〕本件業務委託契約が本件解除通知に基づく解除により終了したことについては当事者間に争いがない(平成27年5月7日付け反訴状3頁)。 (10) 原告による仮処分申立て原告は,平成26年4月16日付けで,当庁に,被告及びCを債務者として,仮処分申立てをした(平成26年(ヨ)第22031号仮処分命令申立事件。その後,Cに対する申し立ては取下げ。)。 - 13 -当庁は,同年6月23日,債権者である原告に80万円の担保を立てさせた上で,債務者である被告に対し,「債務者は,実力をもって,別紙物件目録記載の建物に立ち入り,その他債権者の別紙物件目録記載の建物に対する使用を妨害してはならない。」,「債務者は,別紙物件目録記載の建物における結婚式場及びレストランの運営に関する営業について,『有限会社ルセーヌ館』との商号及び『ジャルダン・ド・ルセーヌ』 物に対する使用を妨害してはならない。」,「債務者は,別紙物件目録記載の建物における結婚式場及びレストランの運営に関する営業について,『有限会社ルセーヌ館』との商号及び『ジャルダン・ド・ルセーヌ』との名称を使用してはならない。」との内容を主文とする仮処分決定をした。〔甲63。主文中の別紙物件目録は本件と同じ。〕(11) 原告による本訴訴えの提起原告は,平成26年6月20日,本訴を提起した。 (12) 原告による相殺の意思表示原告は,平成27年4月6日の弁論準備手続期日において,被告に対し有すると主張する債権額9627万3072円と,被告からの既受領額であると主張する原告管理に係る売上金等7144万2023円とにつき,対当額で相殺する旨の意思表示をした。 (13) 被告による反訴提起被告は,平成27年5月7日に,反訴を提起した。 4 争点(1) 本訴ア原告の被告に対する本件建物についての妨害排除請求権の有無イ原告の被告に対する商号等使用禁止請求権の有無ウ原告の被告に対する未払金の支払請求権の有無(2) 反訴ア原告の被告に対する保証金返還義務の有無(本件覚書の効力)イ被告の原告に対する本件業務委託契約に基づく支払請求権ないし不当利得返還請求権の有無 - 14 -第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(原告の被告に対する本件建物についての妨害排除請求権の有無)について〔原告の主張〕原告は,本件解除通知により本件業務委託契約を解除するとともに,平成26年3月末日までに,本件建物を返還するよう通知し,同通知は同月25日に被告のもとに到達した(甲10)。したがって,本件業務委託契約は同日解除されており,以後,原告 託契約を解除するとともに,平成26年3月末日までに,本件建物を返還するよう通知し,同通知は同月25日に被告のもとに到達した(甲10)。したがって,本件業務委託契約は同日解除されており,以後,原告は本件建物における業務を行う権限を有し,他方,被告は,本件建物を占有する何らの権原も有しない。 ところが,被告は,本件業務委託契約が債務不履行により解除された後も,解除することに合意していないなどとして,関係者以外立入りを禁止されている本件建物の従業員控室や事務室などに立入り,売上金を渡すように要求するなどしている。 原告は,平成24年4月1日,Dから本件建物を借り受け,引渡しを受けており,対抗力のある不動産賃借権を有するところ(借地借家法31条1項),不動産賃借権が対抗力を備えた場合には,賃借権に基づく第三者に対する妨害排除請求権が認められる。 そうすると,原告は,本件建物への立入りを繰り返している被告に対し,対抗力ある賃借権に基づく妨害排除請求権として,本件建物への立入りの禁止及び原告の本件建物に対する使用妨害を排除する権限を有する。 〔被告の主張〕否認ないし争う。なお,現在,被告及びその関係者は,本件建物に全く立ち入っておらず,本件建物の使用を妨害していない。 2 争点(1)イ(原告の被告に対する商号等使用禁止請求権の有無)について〔原告の主張〕原告は,本件業務委託契約に基づき,被告に対し,「有限会社ルセーヌ館」 - 15 -との商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」との名称(以下「本件商号等」という。)の使用を許諾したところ,被告は,Cに対し,「有限会社ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ社 COO(最高執行責任者)」,「ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ COO(最高執行責任者)」及び「 。)の使用を許諾したところ,被告は,Cに対し,「有限会社ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ社 COO(最高執行責任者)」,「ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ COO(最高執行責任者)」及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ営業部支配人」との名刺(甲11。以下「本件各名刺」という。)を使用させていた。 しかし,本件業務委託契約を解除されたことに伴い,被告は,本件各商号等を使用する権限を失ったため,原告は,被告に対し,以後,本件商号等を使用しないよう求めた。 しかし,被告は,Cに対して,本件各名刺の使用継続を許諾しているため,Cは,本件業務委託契約が解除された後の平成26年4月2日,原告に対し,今後も,本件建物で開店しているレストランを自分が運営していることを示すために本件各名刺を使用する旨明言している。そして,Cは,実際に,同日,原告に無断で,同月3日及び5日のレストランの予約を取り,しかも,予約客に対して,自分が本件事業のオーナーであるかのように振舞い,原告の役職員しか入室を認めていないキッチンや従業員控え室に出入りし,食事代金についても原告に無断で50パーセント減額し,かつ,全額をいわゆる「掛け」にしている。 また,被告の役職員も,本件建物内に原告の承諾なく,出入りしている。 このように,被告は,一般公衆に自己の営業・事業を本件商号等によって表示される他人(原告)の営業・事業と誤認させようという意図をもって,本件商号等と同一の商号・名称を使用し続けているのであるから,被告に「不正の目的」(商法12条1項)があることは明らかである。 したがって,原告は,被告に対し,商法12条2項に基づく営業上の利益侵害を停止するよう請求する権利を有する。 〔被告の主張〕 - 16 -否認ないし争う。なお,現在,被 したがって,原告は,被告に対し,商法12条2項に基づく営業上の利益侵害を停止するよう請求する権利を有する。 〔被告の主張〕 - 16 -否認ないし争う。なお,現在,被告及びその関係者は,「有限会社ルセーヌ館」及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」の名称を全く使用していない。 3 争点(1)ウ(原告の被告に対する未払金の支払請求権の有無)について〔原告の主張〕被告は原告に対し,次のとおり,数々の未払金債務を負担している。 (1) 平成25年11月分ア 11月末棚卸資産譲渡代金 103万5629円原告は,被告に対し,本件事業の開始にあたり,調理材料,調理仕掛品及び飲料(ワイン,ソフトドリンク,リカー,コーヒー及び紅茶等)など,本件建物内に保管されていた在庫品を,103万5629円で譲渡したが(甲28),その譲渡代金が未払いである(なお,「原告支払一覧表」と題する書面(甲12)には,その譲渡代金の金額が103万5630円と記載されている。)。 イ 11月末貯蔵品(販促用)譲渡代金 20万6980円原告は,被告に対し,本件事業の開始にあたり,オリジナル封筒及びプリペイドカードなど,本件事業に必要な貯蔵品を,20万6980円で譲渡したが(甲29),その譲渡代金が未払いである。 ウ C売掛金請求合計97万6359円これは,被告が本件事業を開始する前の平成25年8月から同年11月までの間のCによるレストラン利用代金である(甲30)。 すなわち,当時,Cは,原告との間で,本件事業の業務委託について話合いを行っていたところ,被告における営業活動の一環であるとして,自らの関係者にレストランを利用させていたが,その利用代金は未払いになっていた。しかし,本件業務委託契約を締結した被告はCが ついて話合いを行っていたところ,被告における営業活動の一環であるとして,自らの関係者にレストランを利用させていたが,その利用代金は未払いになっていた。しかし,本件業務委託契約を締結した被告はCが実質的に経営に関与している会社であり,原告としてはCの言を信用して本件事業を被告に委託した経緯から,平成26年1月ころ,原告の取締役であるGと被 - 17 -告の代表取締役であるBとの話し合いにおいて,Cによるレストラン利用代金合計97万6359円は,被告が支払うこととなったものである。 エ施設利用料(前家賃) 合計462万7692円被告が本件事業のために利用していた下記施設利用料が未払いである。 記① 「ルセーヌ館 Ⅰ号館」の月額賃料228万0232円(甲31。ただし,賃貸借契約書記載の月額賃料は253万3592円であるが,原告及び賃貸人との合意により賃料が1割減額されており,当該減額後の金額。)② 「ルセーヌ館 Ⅱ号館」の月額賃料212万6960円(甲1及び4)③ 船場マンション101号室の月額賃料22万0500円(甲32)オ平成25年11月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計684万6661円の支払請求権を有する。 (2) 平成25年12月分ア買掛金支払 4万0980円原告は,平成25年12月30日,被告が本件事業のために負担すべき買掛金4万0980円を,原告名義の三菱東京UFJ銀行原宿支店の普通預金口座(以下「本件原告口座」という。)から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2013.12.01-2013.12.31)」と題する書面〔甲20〕の「買掛金」欄記載の金額のうち「オーエン」欄に記 いう。)から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2013.12.01-2013.12.31)」と題する書面〔甲20〕の「買掛金」欄記載の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲20は,本件原告口座における平成25年12月の出金項目だけを抜き出したものであり,甲62の2が買掛金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 イ未払金支払 89万3788円 - 18 -原告は,平成25年12月,被告が本件事業のために負担すべき未払金89万3788円を,本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払った(甲20の「未払金」欄の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の1及び2が上記未払金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 ウ小口現金(現金支払い) 55万1072円原告は,平成25年12月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき55万1072円を支払った(「現金出納帳平成25年 12月分」と題する書面〔甲34〕のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額。ただし「仮払金」欄に計上されている支払金額は,アルバイトに対する給与であるところ,これは「給与・雑給立替分」にて計上しているため,同金額を控除した残金部分が55万1072円となる。)。 エその他(手数料他)原告は,平成25年12月,被告が本件事業のために負担すべき金員を立替払するにあたり,振込手数料等6万2790円を支払った(甲20の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の1及び2が上記手数料等 員を立替払するにあたり,振込手数料等6万2790円を支払った(甲20の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の1及び2が上記手数料等の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 オ婚礼衣装レンタル料他 79万7730円原告は,平成25年12月,被告に対し,婚礼用の衣装をレンタルしており,そのレンタル料79万7730円が未払いである(甲35)。 カ出向料(3名) 41万円被告が本件事業を行うにあたり,原告は,本件覚書8条に従い,被告に対し,Eを出向させたほか,H及びIを出向させており,原告は,被告に対し,上記3名の出向料として41万円の支払請求権を有する(甲36)。 - 19 -キ施設利用料(前家賃) 462万7692円前記(1)エと同様に,平成25年12月分の月額賃料は合計額462万7692円である(甲33)。 ク給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 297万4030円本件業務委託契約2条3項に基づき,被告は,平成25年12月1日より,本件事業の遂行に必要な人員として原告から従業員・アルバイトの雇用を引き継いだところ,原告は,被告が給与等の支払を行わないため,従業員・アルバイトに対する給与を立替払している(甲20「12月25日」欄及び甲62の2)。かかる従業員・アルバイトに対する平成25年12月1日から同月15日までの給与は合計274万5450円であり,会社負担社会保険料は22万8580円であって,その合計額は297万4030円となる(甲37)。 ケ平成25年12月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計1035万8081円の支払請求権を有する。 80円であって,その合計額は297万4030円となる(甲37)。 ケ平成25年12月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計1035万8081円の支払請求権を有する。 (3) 平成26年1月分についてア買掛金支払 101万4787円原告は,平成26年1月,被告が本件事業のために負担すべき買掛金101万4787円を本件原告口座から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.01.01-2014. 01.31)」と題する書面〔甲21〕の「買掛金」欄記載の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲21は,本件原告口座における平成26年1月の出金項目だけを抜き出したものであり,甲62の2ないし4が上記買掛金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 イ未払金支払 255万2270円 - 20 -原告は,平成26年1月,被告が本件事業のために負担すべき未払金255万2270円を,本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払った(甲21の「未払金」欄の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の2ないし4が上記未払金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 ウ小口現金(現金支払い) 25万1798円原告は,平成26年1月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき25万1798円を支払った(「現金出納帳平成26年 1月分」と題する書面〔甲38〕のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額。ただし「仮払金」欄に計上されている支払金額は,アルバイトに対する給与等であるところ,これは「給与・雑給立 平成26年 1月分」と題する書面〔甲38〕のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額。ただし「仮払金」欄に計上されている支払金額は,アルバイトに対する給与等であるところ,これは「給与・雑給立替分」にて計上しているため,同金額を控除した残金部分が25万1798円となる。)。 エその他(手数料他) 85万0434円原告は,平成26年1月,被告が本件事業のために負担すべき金員を立替払するにあたり,振込手数料等85万0434円を支払った(甲21の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の2ないし4が上記手数料等の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 オロイヤリティ(売上高の6%) 129万6918円被告は,本件業務委託契約第4条に基づき,売上高の6%(消費税別)を,商標,施設等使用の対価(以下「ロイヤリティ」という。)として支払うことになっていたところ(甲5。なお,ロイヤリティは,月額金100万(税別)を下回ることはない。甲6。),被告が平成26年1月に支払うべき平成25年12月分のロイヤリティは,129万6918円である(甲39)。 カ婚礼衣装レンタル料他 38万7735円 - 21 -原告は,平成26年1月,被告に対し,婚礼用の衣装をレンタルしており,そのレンタル料は,38万7735円である(甲40)。 キ出向料(3名) 82万円前記(2)カと同様に,原告は,被告に対し,平成26年1月分の3名の出向料として82万円の支払請求権を有する(甲41)。 ク施設利用料(前家賃) 462万7692円前記(1)エと同様に,平成26年1月分の月額賃料は合計額462万7692円である(甲42)。 料として82万円の支払請求権を有する(甲41)。 ク施設利用料(前家賃) 462万7692円前記(1)エと同様に,平成26年1月分の月額賃料は合計額462万7692円である(甲42)。 ケ給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 594万4471円前記(2)クと同様に,原告は,従業員・アルバイトに対する平成26年1月分の給与も立替払しているところ(甲21「1月24日欄」及び甲62の3),その合計額に,会社負担社会保険料46万2881円を加えた立替総合計額は594万4471円である(甲43)。 コ平成26年1月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計1817万0951円の支払請求権を有する。 (4) 平成26年2月分についてア買掛金支払 607万1741円原告は,平成26年2月,被告が本件事業のために負担すべき買掛金607万1741円を本件原告口座から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.01.01-2014. 01.31)」と題する書面〔甲22〕の「買掛金」欄記載の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲22は,本件原告口座における平成26年2月の出金項目だけを抜き出したものであり,甲62の4及び5が上記買掛金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 - 22 -イ未払金支払 140万5906円原告は,平成26年2月,被告が本件事業のために負担すべき未払金140万5906円を,本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払った(甲22の「未払金」欄の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の4及び5が上記未払金の支出が記帳されている 6円を,本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払った(甲22の「未払金」欄の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の4及び5が上記未払金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 ウ小口現金(現金支払い) 34万2699円原告は,平成26年2月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき34万2699円を支払った(「現金出納帳 2月分」と題する書面〔甲44〕のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額。ただし「仮払金」欄に計上されている支払金額は,アルバイトに対する給与等であるところ,これは「給与・雑給立替分」にて計上しているため,同金額を控除した残金部分が34万2699円となる。)。 エその他(手数料他) 3万2865円原告は,平成26年2月,被告が本件事業のために負担すべき金員を立替払するにあたり,振込手数料等3万2865円を支払った(甲22の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の2ないし4が上記手数料等の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 オ被告への送金 268万円原告は,被告からの要請に応じて,被告に対し,平成26年2月25日に170万円を交付し,同月28日には98万円を送金しているが(甲22),その合計額は,268万円である。 カロイヤリティ(売上高の6%) 105万円前記(3)オと同様に,被告が平成26年2月に支払うべき平成26年1月 - 23 -分のロイヤリティは,105万円である(甲45)。 キ婚礼衣装レンタル料他 190万8510円原告は,平成26年2 26年2月に支払うべき平成26年1月 - 23 -分のロイヤリティは,105万円である(甲45)。 キ婚礼衣装レンタル料他 190万8510円原告は,平成26年2月,被告に対し,婚礼用の衣装をレンタルしており,そのレンタル料は,190万8510円である(甲46)。 ク出向料(3名) 82万円前記(2)カと同様に,原告は,被告に対し,平成26年2月分の3名の出向料として82万円の支払請求権を有する(甲47)。 ケ施設利用料(前家賃) 462万7692円前記(1)エと同様に,平成26年2月分の月額賃料は合計額462万7692円である(甲48)。 コ給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 95万2788円前記(2)クのとおり,被告は原告から従業員・アルバイトの雇用を引き継いだところ,被告は,従業員・アルバイトに対する平成26年2月分の給与を支払ったものの,原告に対し,源泉所得税や社会保険料の会社負担分等を精算しない。その金額は,従業員からの控除預り分が59万0308円であり,会社負担社会保険料が金36万2480円であって,その合計額は95万2788円である(甲49)。 サ平成26年2月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計1989万2201円の支払請求権を有する。 (5) 平成26年3月分についてア買掛金支払 100万5312円原告は,平成26年3月,被告が本件事業のために負担すべき買掛金100万5312円を本件原告口座から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.03.01-2014. 03.31)」と題する書面〔甲23〕の「買掛金」欄記載の金額のうち - 24 -「オーエ より支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.03.01-2014. 03.31)」と題する書面〔甲23〕の「買掛金」欄記載の金額のうち - 24 -「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲23は,本件原告口座における平成26年2月の出金項目だけを抜き出したものであり,甲62の5及び6が上記買掛金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 イ未払金支払 254万6552円原告は,平成26年3月,被告が本件事業のために負担すべき未払金254万6552円を,本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払った(甲23の「未払金」欄の金額のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の5及び6が上記未払金の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 ウ小口現金(現金支払い) 51万9332円原告は,平成26年3月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき51万9332円を支払った(「現金出納帳平成26年 3月分」と題する書面〔甲50〕のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額。ただし「仮払金」欄に計上されている支払金額は,アルバイトに対する給与等であるところ,これは「給与・雑給立替分」にて計上しているため,同金額を控除した残金部分が51万9332円となる。)。 エその他(手数料他) 3万8631円原告は,平成26年3月,被告が本件事業のために負担すべき金員を立替払するにあたり,振込手数料等3万8631円を支払った(甲23の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の5及び6が上記手数料等の支出が 払するにあたり,振込手数料等3万8631円を支払った(甲23の「買掛金」もしくは「未払金」欄以外の項目のうち「オーエン」欄に記載されている支払金額)。なお,甲62の5及び6が上記手数料等の支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 オ被告への送金 330万円原告は,被告からの要請に応じて,被告に対し,平成26年3月11日に - 25 -150万円を,同月24日には180万円をそれぞれ送金しており(甲23),その合計額は,330万円である。 カロイヤリティ(売上高の6%) 127万0209円前記(3)オと同様に,被告が平成26年3月に支払うべき平成26年2月分のロイヤリティは,127万0209円である(甲51)。 キ婚礼衣装レンタル料他 195万3804円原告は,平成26年3月,被告に対し,婚礼用の衣装をレンタルしており,そのレンタル料は,195万3804円である(甲52)。 ク出向料(3名) 80万5000円前記(2)カと同様に,原告は,被告に対し,平成26年3月分の3名の出向料として80万5000円の支払請求権を有する(甲53)。 ケ施設利用料(前家賃) 462万7692円前記(1)エと同様に,平成26年3月分の月額賃料は合計額462万7692円である(甲54)。 コ給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 91万2368円前記(4)コと同様に,被告は,従業員・アルバイトに対する平成26年3月分の給与を支払ったものの,原告に対し,源泉所得税や社会保険料の会社負担分等を精算しない。その金額は,従業員からの控除預り分が53万2147円であり,会社負担社会保険料が38万0221円であって,その合計額は91万2368円である(甲55)。 社会保険料の会社負担分等を精算しない。その金額は,従業員からの控除預り分が53万2147円であり,会社負担社会保険料が38万0221円であって,その合計額は91万2368円である(甲55)。 サ平成26年3月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計1241万4718円の支払請求権を有する。 (6) 平成26年4月分についてア買掛金支払,未払金支払,その他(手数料等) 1833万5123円原告は,平成26年4月,被告が本件事業のために負担すべき買掛金, - 26 -未払金及びその他(手数料等)として,合計1833万5123円を本件原告口座から振込送金する方法により支払った(請求書〔甲56〕。同請求書に添付された「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.04. 01-2014.04.30)」と題する書面は,本件原告口座からの平成26年4月分の出金のうち被告が負担すべき本件事業のための支払金額のみを記載したものである。)。なお,甲62の6ないし8が,上記支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 イ小口現金(現金支払い) 171万8637円原告は,平成26年4月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき171万8637円を支払った(甲57)。 ウロイヤリティ(売上高の6%) 108万1649円前記(3)オと同様に,被告が平成26年4月に支払うべき平成26年3月分のロイヤリティは,108万1649円である(甲58)。 エ給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 183万0803円前記(4)コと同様に,被告は,従業員・アルバイトに対する平成26年4月分の給与を支払わなかったため である(甲58)。 エ給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 183万0803円前記(4)コと同様に,被告は,従業員・アルバイトに対する平成26年4月分の給与を支払わなかったため,原告は,従業員・アルバイトに対し,合計402万3336円の給与(交通費27万0936円を含む。)を支給している(甲59)。 上記給与総額のうち,被告が負担すべき金額である平成26年3月16日から同月25日までに相当する金額は,168万0190円となる(甲59)。 また,会社負担の社会保険料が15万0613円であるから,その合計額は,183万0803円となる。 オ平成26年4月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計2296万6212円の支払 - 27 -請求権を有する。 (7) 平成26年5月分についてア買掛金支払,未払金支払,その他(手数料等) 544万8200円原告は,平成26年5月,被告が本件事業のために負担すべき買掛金,未払金及びその他(手数料等)として,合計544万8200円を本件原告口座から振込送金する方法により支払った(「三菱東京UFJ/原宿支払明細(2014.05.01-2014.05.31)」と題する書面〔甲60〕。なお,同書面は,本件原告口座からの平成26年4月分の出金のうち被告が負担すべき本件事業のための支払金額のみを記載したものである。)。なお,甲62の8及び9が上記支出が記帳されている本件原告口座の通帳の該当部分である。 イ小口現金(現金支払い) 17万6048円原告は,平成26年5月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき17万6048円を支払った(甲61)。 ウ平 ) 17万6048円原告は,平成26年5月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき17万6048円を支払った(甲61)。 ウ平成26年5月分のまとめ以上のとおり,原告は,被告に対し,合計562万4248円の支払請求権を有する。 (8) まとめよって,平成25年11月から平成26年5月までの間における原告の被告に対する請求権の合計額は,9627万3072円となる。 (9) 被告からの反対債権等と原告による請求額これに対し,原告は,被告の本件事業の売上金を一部管理しており,その合計額は,「原告支払一覧表」と題する書面(甲12)の「原告が管理していた被告の売上金」欄のとおり,6342万7449円である。 さらに,原告は,被告から,前記(8)の原告の被告に対する請求権(962 - 28 -7万3072円)に充当する趣旨で,平成26年2月12日から同年3月27日までの間に,合計801万4574円を受領していたことが判明した。 以上の結果,原告は,被告から,7144万2023円(前記6342万7449円と801万4574円との合計額)を受領していることとなる。 前記第2,3(12)記載のとおり,原告は,被告に対する債権額9627万3072円と,被告からの既受領額7144万2023円とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。 よって,原告の被告に対する請求額は,2483万1049円となるところ,原告は,被告に対し,2483万1050円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成26年8月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 〔被告の主張〕(1) 原告が平成25年12月1日以降においてもル 対する本訴状送達の日の翌日である平成26年8月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 〔被告の主張〕(1) 原告が平成25年12月1日以降においてもルセーヌ館の売上金の管理及び諸費用の支払を継続していた以上,本件業務委託契約に基づく被告の支払債務は発生しない。 (2) 仮に被告に費用負担の義務があると仮定しても,平成25年12月分の支払は,同年11月までに発生していた原告の負担すべき買掛金及び未払金がほとんどであり,これらを正しく調整すれば被告に対する立替金債権などは発生する余地はない。 ア甲20は,原告と三菱東京UFJ銀行原宿支店の本件原告口座との銀行取引のうち,平成25年12月2日から同月30日までの間になされた支払の明細である。甲20の4枚目の末尾に記載された支払金額合計の個別欄をみると,演奏者の分を含めた買掛金の支払が1265万8654円,長期未払金及びガス代等を含む未払金の支払合計額が464万7487円であり,買掛金と未払金の支払だけで合計1730万6141円の高額に達している。 - 29 -イルセーヌ館の対外取引においては,注文あるいは仕入れから1か月ないし3か月後に支払をしていた実態に照らせば,上記買掛金及び未払金は平成25年11月までに発生していたものであり,もともと原告が全額負担すべき支払債務である。 ウ社会保険料,所得税,住民税,消費税等合計324万3648円は,そのすべてを原告が負担すべき性質の諸税である。12月だけの営業に対し,被告に諸税等が課税されることはない。 エ上記アないしウに記載した合計2054万9789円は,平成25年11月末日までに発生していた,もともと原告が負担すべき債務であり,被告には支払義務がない。被告 に諸税等が課税されることはない。 エ上記アないしウに記載した合計2054万9789円は,平成25年11月末日までに発生していた,もともと原告が負担すべき債務であり,被告には支払義務がない。被告にとっては無関係な上記金額が,被告に無断で原告によって支払われたため,原告の主張する立替金等が発生する結果となったが,これらの立替金等は,平成25年11月までに発生していた買掛金等がそのまま引きずられていただけのことである。 (3) 不明瞭な資金移動あるいは小口現金について甲20(平成25年12月分)に記帳された資金移動については使途が必ずしも明瞭ではない。資金移動590万7192円の内,平成25年12月12日に移動した440万7192円は賃料と思われるが,同月24日の150万円は不明である。同様に小口現金合計130万円についても使途が不明である。 甲21(平成26年1月分)に記帳されている資金移動60万円及び小口現金75万円,甲22(同年2月分)に記帳されている資金移動160万円,小口現金75万5000円,甲23(同年3月分)に記帳されている資金移動800万7192円の内,被告に振り替えられた330万円を除く残余の470万7192円,小口現金40万円の使途についても不明である。 上記資金移動合計1611万4384円の内1281万4384円は原告の別口座に振り替えられている。月々の必要経費等の支払であれば,本件原 - 30 -告口座から行えば足りるところ,わざわざ原告の別銀行口座に振り替えていることに不審を抱かざるを得ない。 (4) 原告が被告に対し,立替金ないし未払金があると主張する理由の不合理性について原告が被告に対し,本訴請求の趣旨第3項記載金額の立替金等の債権があると主張するのは,前記(2)のアな ない。 (4) 原告が被告に対し,立替金ないし未払金があると主張する理由の不合理性について原告が被告に対し,本訴請求の趣旨第3項記載金額の立替金等の債権があると主張するのは,前記(2)のアないしウ記載の買掛金等合計2054万9789円につき,本来,原告が負担すべきものを被告の負担として計算していることに原因がある。 「三菱東京UFJ/原宿入金明細(2013.11.01-2013. 11.30)」と題する書面(甲16)によれば,平成25年12月1日から同月27日までの売上高は2253万2171円である(12月27日に入金された500万円は保証金の残金であるから控除する。)。 この金額は,2014年(平成26年)4月17日作成の「収支計算表(支払ベース)」と題する書面(乙2。以下「乙2書面」という。)の12月分売上金と一致する。 そして,乙2書面に示された12月発生の諸経費は合計1167万9056円であり,差引1085万7094円の黒字となる。この収支が平成25年12月分のほぼ正確な内容である。 甲20に記帳された12月分の支払金額合計は3540万9792円の高額に達しており,平成26年1月ないし3月の間の平均支出額(約1700万円)を大きく超えている。そして,甲20に記帳された12月分の支払金額合計から乙2書面に記載された諸経費の支出額を差し引くと約2300万円となり,原告が負担すべき平成25年11月末日までの買掛金,未払金等のうち,12月に支払った合計額2054万9789円に近似する。 ルセーヌ館の経営(本件事業)は,平成25年12月分の売上金から上記平成25年11月までに原告が抱えていた買掛金等の支払を優先して実行し - 31 -たために,ほぼ同月をもって実質的に破綻したといえる。 原告は,正 2月分の売上金から上記平成25年11月までに原告が抱えていた買掛金等の支払を優先して実行し - 31 -たために,ほぼ同月をもって実質的に破綻したといえる。 原告は,正確な経理の検討もしないまま平成26年1月以降の営業を継続したため,諸経費の支払いが不可能になったにすぎない。原告が請求する立替金等は,平成25年11月末日をもって正確に収支を区分しておけば,およそ発生する余地のなかった金銭であるというほかない。 4 争点(2)ア(原告の被告に対する保証金返還義務の有無〔本件覚書の効力〕)について〔被告の主張〕前記第2,3(6)のとおり,被告はテレサ名義で,原告に対し,本件業務委託契約3条に基づく保証金として2000万円を支払っている。 しかし,本件業務委託契約は業務委託契約であるにもかかわらず原告が支払うべき報酬に関する定めがなく,業務委託契約の中核をなす要素を欠き,効力を生じ得ない無効な契約である。 仮に同契約が部分的に有効であるとしても,被告が売上金の全てを管理できることを停止条件とする合意として有効である。 本件業務委託契約書は無効であるほか,保証金の不返還を定める本件覚書は真正に成立しておらず,効力も生じていないから,原告は,被告に対し保証金2000万円の返還義務がある。 〔原告の主張〕否認ないし争う。本件覚書は真正に成立していて有効であるところ,本件覚書3条によれば,本件業務委託契約3条に基づき支払われた保証金については返還しないものと定められており,原告は被告に対し,保証金の返還義務を負わないことは明らかである。 5 争点(2)イ(被告の原告に対する本件業務委託契約に基づく支払請求権ないし不当利得返還請求権の有無)について〔被告の主張〕 - を負わないことは明らかである。 5 争点(2)イ(被告の原告に対する本件業務委託契約に基づく支払請求権ないし不当利得返還請求権の有無)について〔被告の主張〕 - 32 -平成25年12月1日から平成26年3月末日までの時点で,本件事業に基づく収益は,1239万9885円の黒字である(乙2)。この黒字額は剰余金であり,原告は本件業務委託契約が有効であると主張するものであるから,原告は,被告に対し,本件業務委託契約に基づき,あるいは不当利得の返還として,支払義務がある。 よって,被告は,原告に対し,1239万9885円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める。 〔原告の主張〕否認ないし争う。前記3〔原告の主張〕のとおり,被告は原告に対し多額の未払金がある状態であり,原告が被告に対し支払うべき剰余金などは存在しないことが明らかである。 第4 争点に対する判断 1 証拠(甲1~73,乙1~5,証人G,証人C,被告代表者。なお,甲6については,後記5のとおり成立の真正が認められる。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (1) 原告は,本件賃貸借契約締結後,本件建物において,「有限会社ルセーヌ館」の商号及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」の名称を使用して,結婚式場及びレストランの運営事業を行ってきた。 Cは原告代表者のFの知人であるところ,平成25年3月頃,Cは本件建物等における結婚式場及びレストランの事業につき,Cにおける共済関係の仕事上の繋がりを通じ,結婚式の受注等を増加させることができるとの見込みのもと,将来的にCが本件事業を譲り受けることを前提として,原告とCが実質的に経営する会社との間で業務委託契約を締結することとした。 (2) 同年11月頃 の受注等を増加させることができるとの見込みのもと,将来的にCが本件事業を譲り受けることを前提として,原告とCが実質的に経営する会社との間で業務委託契約を締結することとした。 (2) 同年11月頃には,原告とCとの間で業務委託契約の素案がやりとりされるに至っていたところ,Cは,金融機関に提示する業務委託契約とは別に覚書を締結することを希望し,これについての素案も原告とCとの間でやりと - 33 -りがされていた。〔甲71~73〕同月7日に原告からCに提示された業務委託契約の案においては,Cを連帯保証人とし,「第7条(連帯保証人)」として「丙は,乙の連帯保証人として本契約に基づき,契約の履行及び一切の債務につき乙と連帯して保証し,その履行と弁済の責めを負う。」との条項が入っており,また,その「第3条(契約金)」には,「本契約の締結に当たり,契約金として乙は甲に2000万円を支払う。・・・なお,本契約金は,本契約締結後においては理由の如何を問わず,乙は甲に対して支払わなければならず,また,甲は乙に返金しないものとする。」とされていた。また,「第4条(商標等使用の対価)」として,月額180万円を被告は原告に支払うこと,年間売上高が3億6000万円を超えた場合等には超過額の6%をさらに対価として支払うこと等が定められ,原告と業務委託契約を締結すべき相手方には「株式会社テレサ関連会社(以下乙という)」とのみ記載されていた。〔甲71〕また,同月7日に原告からCに提示された覚書案には本件覚書7条に記載されている連帯保証人に関する条項はなく,商標等使用の対価の条項には具体的な金額を空欄として,商標等使用の対価の最低額の定め(月額)が記載されていたところ,Cは,これにつき月額の売上げの6%を支払うものとし,契約当事者の する条項はなく,商標等使用の対価の条項には具体的な金額を空欄として,商標等使用の対価の最低額の定め(月額)が記載されていたところ,Cは,これにつき月額の売上げの6%を支払うものとし,契約当事者の「乙」欄は「(株)オーエン A」とすべきことをいずれも朱書きして,原告に返還した。なお,同覚書案(甲73)にも,不動文字で「1.乙及び丙は,『本契約』が解除された場合であっても,『本契約』第3条及び第4条により既に支払った代金については,甲に対して返還を請求することは出来ない。」との,本件覚書4条と同内容の条文が記載されている。〔甲73〕その後,Cは,原告に対し,本件業務委託契約の連帯保証人からCを外すよう求めたため,原告は,本件業務委託契約から連帯保証人を外すとともに,本件覚書7条の方に連帯保証人に関する条項を加え,Cを連帯保証人と - 34 -した。〔証人G尋問調書6頁〕原告と被告は同月26日付けで本件業務委託契約を締結し,同日,原告と被告及びCは,本件覚書を締結した。 (3) 被告は,本件建物において,本件業務委託契約に基づく委託業務である本件事業を開始した。 その後,原告は,本件覚書の当事者欄(乙欄)に被告の会社名の記載がないのに気付き,平成26年12月に,覚書の写しを手元に残した上で,被告代表者のBに対し本件覚書の原本を渡し,会社名の補充記載を求めた。 〔証人G尋問調書1頁,甲6〕平成26年1月頃,原告取締役のGと被告代表者との話合いにおいて,平成25年8月ないし同年11月までのCの関係者のレストラン利用代金97万6359円について,被告が債務を引き受けることが合意された。〔甲64〕本件事業における現金の売上分について,平成26年2月11日までは,原告が管理し,その後も,被告が管理していたの 代金97万6359円について,被告が債務を引き受けることが合意された。〔甲64〕本件事業における現金の売上分について,平成26年2月11日までは,原告が管理し,その後も,被告が管理していたのは,レストランの売上金のうちの現金のみであり,婚礼売上,レストランのカード支払及び送金支払分は,原告が管理を続けた。〔甲18,19〕同年3月2日,Gは,被告代表者に対し,同年2月末から売上も請求書も被告に渡しているが,本件建物家賃等が支払われていないとして,同年2月分の家賃等を支払うよう連絡した。〔甲24〕その後,同年3月24日付け本件解除通知が同月25日に被告に到達し,本件業務委託契約は解除された。 (4) Cは,「COO(最高執行責任者) 有限会社ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ社」,「COO(最高執行責任者) ルセーヌ館,ジャルダン・ド・ルセーヌ」及び「営業部支配人ジャルダン・ド・ルセーヌ」などと記載された本件各名刺を使用していた。このうち「営業部支配人ジャルダ - 35 -ン・ド・ルセーヌ」については平成26年3月4日に作成されたものである。 〔甲11〕(5) 被告代表者,C及び被告従業員のJは,平成26年3月31日に本件建物内のレストランに立ち入って売上金をレジから持ち出すなどし,また被告代表者及びCは,同年4月2日には,被告が同意していないから本件業務委託契約は有効に存しているなどと本件建物で大声を出し,その後も本件建物内において机を叩いたりするなどした。 また,同日,Cは本件建物におけるレストランの予約を受け,同月3日及び5日にも,Cは本件建物に立ち入り,予約客の食事代金を半額に減額するなどした。〔甲27〕(6) 被告は,本訴において,乙2書面を書証として提出するほか,被告代表者 ランの予約を受け,同月3日及び5日にも,Cは本件建物に立ち入り,予約客の食事代金を半額に減額するなどした。〔甲27〕(6) 被告は,本訴において,乙2書面を書証として提出するほか,被告代表者本人作成の平成26年10月10日付け反論書にもこれを添付しているところ,同書面に記載された平成26年1月分の売上額は978万1706円であるが,同月分の「販売手数料(ルセーヌ館様ロイヤリティー)」は105万円である。〔乙2〕(7) 原告は,被告から,原告の被告に対する請求権(9627万3072円)に充当する趣旨で,平成26年2月12日から同年3月27日までの間に,合計801万4574円を受領し,総合計で原告は,被告から,7144万2023円を受領している。〔弁論の全趣旨〕 2 争点(1)ア(原告の被告に対する本件建物についての妨害排除請求権の有無)について前記第2,3記載の前提事実及び前記1で認定した事実によれば,原告は本件建物の賃借人であり,引き渡しを受けているから,その占有使用の妨害に対してはこれを排除する請求権を有するというべきである(最高裁第二小法廷昭和28年12月18日判決・民集7巻12号1515頁,最高裁第二小法廷昭和29年2月5日判決・民集8巻2号390頁等参照)。 - 36 -これを本件についてみると,被告は,本件業務委託契約の解除によって本件建物の使用権限を失った後の平成26年4月2日から同月5日にかけて,本件建物に立ち入り,ときにはCらにおいて大声を上げて机を叩いたりし,さらには勝手に予約客の食事代金を半額に減額するなどの行為をした事実が認められるから,今後もそのおそれがないとはいえず,原告は,被告に対し,本件建物に対する立入り及びその使用の妨害の禁止を求めることができるという 予約客の食事代金を半額に減額するなどの行為をした事実が認められるから,今後もそのおそれがないとはいえず,原告は,被告に対し,本件建物に対する立入り及びその使用の妨害の禁止を求めることができるというべきである。 3 争点(1)イ(原告の被告に対する商号等使用禁止請求権の有無)について前記1で認定した事実によれば,被告は,本件業務委託契約の解除後においても,本件各名刺を所持するCにおいて本件建物内におけるレストランの予約等を受け,その営業等を行っている事実が認められるから,被告は,今後も本件建物における結婚式場及びレストランの運営に関する営業について,「ルセーヌ館」及び「ジャルダン・ド・ルセーヌ」の名称を使用するおそれがあり,被告によるこれら本件各商号等の使用には不正の目的があるものと認められ,原告はこれにより営業上の利益を害されるおそれがある。 そうすると,原告は,被告に対し,商法12条2項に基づき,それらの使用の差止めを求めることができると認めるのが相当である。 4 争点(1)ウ(原告の被告に対する未払金の支払請求権の有無)について被告が原告に支払うべき立替金等は次のとおりである。 (1) 棚卸資産譲渡代金 103万5629円平成25年11月分の棚卸資産譲渡代金は,①調理材料在庫譲渡代金30万3881円,②調理仕掛品譲渡代金11万3331円,③ワイン等の飲料在庫譲渡代金56万9352円,④コーヒー等の飲料在庫譲渡代金4万9065円の合計103万5629円であるとされているところ(甲28),乙2書面の12月分の支払には,①につき11月棚卸30万3882円として,②につき仕入れその他11万3331円(調理仕掛金譲渡)として,③及び - 37 -④については,仕入食材(飲料)61万8417 ,①につき11月棚卸30万3882円として,②につき仕入れその他11万3331円(調理仕掛金譲渡)として,③及び - 37 -④については,仕入食材(飲料)61万8417円(56万9352円+4万9065円)として,それぞれ記載されているとおりである。 そうすると,平成25年11月分の棚卸資産譲渡代金として,調理材料在庫譲渡代金30万3881円(乙2書面よりも1円少ない原告主張金額を採用する。),調理仕掛品譲渡代金11万3331円,ワイン等の飲料在庫譲渡代金56万9352円及びコーヒー等の飲料在庫譲渡代金4万9065円の合計103万5629円について,被告に支払義務があるものと認められる。 (2) 貯蔵品(販促用)譲渡代金 20万6980円平成25年11月分の貯蔵品(販促用)については,①オリジナル封筒7万0980円,②プリペイドカード13万6000円の合計20万6980円であるとされているところ(甲29),いずれも乙2書面の12月分の支払には,①につきいずれも販売促進費(封筒)7万0980円として,②につき販売促進費(Pカード)13万6000円として,それぞれ記載されているとおりである。 そうすると,平成25年11月分の貯蔵品(販促用)譲渡代金として,合計20万6980円について,被告に支払義務があるものと認められる。 (3) Cへの売掛金 97万6359円平成25年8月9日ないし同年11月29日までの被告による本件業務開始以前におけるCに関連する本件建物におけるレストラン関連の売掛金の額は97万6359円であると認められるところ(甲30),乙2書面の12月分に,買掛金(現金)として「8~11月テレサ」として金額97万6359円が記載されており,これによれば,被告において, 金の額は97万6359円であると認められるところ(甲30),乙2書面の12月分に,買掛金(現金)として「8~11月テレサ」として金額97万6359円が記載されており,これによれば,被告において,テレサの債務を引き受けたものと認められる。 したがって,被告には同額の支払義務があるものと認められる。 (4) 施設利用料(前家賃) 1851万0768円 - 38 -被告が本件事業のため本件建物等を利用していた平成25年12月ないし平成26年3月分の施設利用料である前払家賃については,本件業務委託契約2条6項に基づき被告において原告に対する支払義務があるところ,その金額は,①「ルセーヌ館 Ⅰ号館」の月額賃料228万0232円(甲31。 同契約書記載の月額賃料により減額された後の金額。),②「ルセーヌ館Ⅱ号館」(本件建物)の月額賃料212万6960円(甲1及び4)及び③船場マンション101号室の月額賃料22万0500円(甲32),の合計462万7692円である(甲33,42,48,54)。この点に関しては,乙2書面にも,平成25年12月分ないし平成26年3月分に,①,②に係る地代家賃合計440万7192円,③に係る「地代家賃101」として22万0500円の記載があることからも裏付けられる。 したがって,上記4か月分の合計額は,1851万0768円であり,同額につき被告に支払義務がある。 なお,原告は,平成25年11月から平成26年3月までの5か月分を請求しているが,そもそも本件業務委託契約によれば,被告が負担すべき経費の支払は「委託業務」にかかわる経費についてのみであるところ(第2条6項),被告による委託業務の開始日は平成15年12月1日からとされているのであって(第1条),実際にも,被告による本 担すべき経費の支払は「委託業務」にかかわる経費についてのみであるところ(第2条6項),被告による委託業務の開始日は平成15年12月1日からとされているのであって(第1条),実際にも,被告による本件建物等の利用は平成25年12月ないし平成26年3月までであるから(甲12参照),原告には平成25年11月分を請求する根拠はないというべきである。 したがって,上記原告の請求部分は理由がない。 (5) 買掛金等支払 3191万6143円原告は,平成25年12月30日,被告が本件事業のために負担すべき買掛金4万0980円を(「J」名義への振込。甲20,62の2),平成26年1月に同じく101万4787円を(甲12,21,62の2ないし4),同年2月に607万1741円を(甲12,22,62の4,5), - 39 -同年3月に100万5312円を(甲12,23,62の5,6),同年4月に買掛金・未払金・その他手数料等の支払として合計1833万5123円を(甲56,62の6ないし8),同年5月に買掛金・未払金・その他手数料等の支払として合計544万8200円を(甲60,62の8,9。いずれも同年2,3月発生分。),それぞれ本件原告口座から振込送金する方法により支払ったものと認められ,その合計額は3191万6143円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (6) 未払金支払 739万8516円原告は,平成25年12月に被告が本件事業のために負担すべき未払金89万3788円を(甲12,20,62の1,2),平成26年1月に同じく255万2270円を(甲12,21,62の2ないし4),同年2月に140万5906円を(甲12,22,62の4,5),同年3月に254万655 甲12,20,62の1,2),平成26年1月に同じく255万2270円を(甲12,21,62の2ないし4),同年2月に140万5906円を(甲12,22,62の4,5),同年3月に254万6552円を(甲12,23,62の5,6),それぞれ本件原告口座から振込送金・口座振替の方法により支払ったものと認められる。その合計額は,739万8516円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (7) 小口現金(現金支払い) 355万9586円原告は,平成25年12月,本件原告口座から引き出して小口現金として管理していた金員から,被告が本件事業のために負担すべき55万1072円の支払を(甲12,34,64),平成26年1月に同じく25万1798円の支払を(甲12,38,64),同年2月に34万2699円の支払を(甲12,44,64),同年3月に51万9332円の支払を(甲12,50,64),同年4月に171万8637円の支払を(甲12,57,64),同年5月に17万6048円の支払を(甲12,61,64),それぞれ行ったものと認められる。その合計額は,355万 - 40 -9586円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (8) その他(手数料他) 98万4720円原告は,平成25年12月,被告が本件事業のために負担すべき金員を立替払するにあたり,振込手数料等6万2790円の支払を(甲12,20,62の1,2),平成26年1月に同じく85万0434円の支払を(甲12,21,62の2ないし4),同年2月に3万2865円の支払を(甲12,22,62の2ないし4),同年3月に3万8631円の支払を(甲12,23,62の5,6),それぞれ行ったも 円の支払を(甲12,21,62の2ないし4),同年2月に3万2865円の支払を(甲12,22,62の2ないし4),同年3月に3万8631円の支払を(甲12,23,62の5,6),それぞれ行ったものと認められる。 その合計額は,98万4720円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (9) ロイヤリティ 469万8776円被告は,本件業務委託契約4条に基づき売上高の6%(消費税別)をロイヤリティとして支払うべきところ,被告が平成26年1月に支払うべき平成25年12月分のロイヤリティは129万6918円(甲39),同年2月に支払うべき同年1月分のロイヤリティは105万円(甲45,乙2。なお,本件覚書4条によりロイヤリティの最低月額は100万円〔税別〕となるところ,本件覚書の成立の真正及び効力を有することについては後記5のとおおりであるが,被告も反論書〔乙2書面を添付〕において同月のロイヤリティが105万円であることを認めている。),同年3月に支払うべき同年2月分のロイヤリティは127万0209円(甲51),同年4月に支払うべき同年3月分のロイヤリティは108万1649円(甲58)であることがそれぞれ認められる。その合計額は,469万8776円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (10) 婚礼衣装レンタル料他 504万7779円原告は,平成25年12月,被告に対し,婚礼用の衣装をレンタルして - 41 -おり,その金額は79万7730円である(甲35)ほか,平成26年1月の同金額は38万7735円(甲40),同年2月の同金額は190万8510円(甲46),同年3月の同金額は195万3804円(甲52)であることがそれぞれ認められる る(甲35)ほか,平成26年1月の同金額は38万7735円(甲40),同年2月の同金額は190万8510円(甲46),同年3月の同金額は195万3804円(甲52)であることがそれぞれ認められる。その合計額は,504万7779円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (11) 出向料 285万5000円被告が本件事業を行うにあたり,原告は,本件覚書8条に従い,被告に対し,Eを出向させたほか,H及びIを出向させており,原告は,本件業務委託契約2条6項に基づき,被告に対し,上記3名の出向料として平成25年12月分として41万円の(甲36),平成26年1月分及び同年2月分の出向料として各82万円の合計164万円の(甲41,47),同年3月分の出向料として80万5000円の(甲53),各支払請求権を有する。その合計額は,285万5000円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (12) 給与・雑給立替分及び会社負担社会保険料立替分 1261万4460円被告は,本件業務委託契約2条3項に基づき,本件事業の遂行のため原告から従業員・アルバイトの雇用を引き継いだところ,原告が立替払をした従業員・アルバイトに対する給与及び会社負担社会保険料の額は,平成25年12月分の給与合計274万5450円,会社負担社会保険料22万8580円の同月分合計297万4030円と(甲12,20,37,62の2),平成26年1月分がそれぞれ548万1590円,46万2881円の合計594万4471円と(甲21,43,62の3),同年2月分については,未精算の従業員からの控除預かり分が59万0308円,会社負担社会保険料が36万2480円の合計95万2788円と - 1円と(甲21,43,62の3),同年2月分については,未精算の従業員からの控除預かり分が59万0308円,会社負担社会保険料が36万2480円の合計95万2788円と - 42 -(甲49),同年3月分の控除預かり分が53万2147円,会社負担社会保険料が38万0221円の合計91万2368円と(甲55),同年4月分の給与のうち,被告が負担すべき同年3月16日ないし同月25日までの分に対応する金額は168万0190円,会社負担社会保険料が15万0613円の合計183万0803円(甲59)となる。その合計額は,1261万4460円である。 したがって,被告は原告に対して上記合計額を支払う義務がある。 (13) 被告への送金原告は,被告に対し,平成26年2月25日に170万円を交付し,同月28日には98万円(甲22),同年3月11日に150万円(甲23),同月24日に180万円(甲23)を各送金しているところ,これらは被告により精算されるべきと主張する。 しかし,平成26年2月25日に本件原告口座から,支払機により170万円が引き下ろされたこと(甲22),同月28日に98万円(甲22),同年3月11日に150万円(甲23)及び同月24日に180万円(甲23)を被告に各送金した事実については認められるものの,これらについては,原告作成の「原告支払一覧表」(甲12)には「売上金付替」とされているから,本来原告はこの売上金を被告に交付することにより前記(9)のロイヤリティを請求できるにすぎず,これら売上金付替とされる金員を被告からの精算対象とすべき根拠を本件業務委託契約ないし本件覚書に見出すことができない。 したがって,これら被告への送金については被告に支払義務のある金員と認めることはできない。 される金員を被告からの精算対象とすべき根拠を本件業務委託契約ないし本件覚書に見出すことができない。 したがって,これら被告への送金については被告に支払義務のある金員と認めることはできない。 (14) 小括以上の検討によれば,被告が原告に支払うべき立替金等の合計額(上記(1)ないし(12)の合計額は,8980万4716円となる。 - 43 -(15) 相殺原告は被告の本件事業の売上金の一部を管理しており,この合計額は6342万7449円と認められる。〔甲12〕さらに,原告は,被告から合計801万4574円の金員を受領したことを認めている。 したがって,上記合計は7144万2023円である。 前記第2,3(12)記載の前提事実のとおり,原告は,被告に対する未払代金請求権と,被告からの既受領額上記7144万2023円とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。 (16) 上記相殺後の被告が支払うべき金員原告の相殺の意思表示によって,前記(14)の合計金額から前記(15)の金額を控除した額は1836万2693円となるから,被告には,原告に対し,同額及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成26年8月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による金員の支払義務がある(主文第3項)。 (17) 被告の主張に対する判断ア被告は,本件業務委託契約に基づく売上金等の管理を被告による本件事業の開始後も原告が続けて行っていたことから,本件業務委託契約に基づく被告の支払債務は発生しない旨主張する。 被告の上記主張の趣旨は判然としないものの,前記認定の事実によれば,被告は平成25年12月1日から本件業務委託契約に基づく本件事業を開始し,その後本件業務委託契約の解除に至るま 主張する。 被告の上記主張の趣旨は判然としないものの,前記認定の事実によれば,被告は平成25年12月1日から本件業務委託契約に基づく本件事業を開始し,その後本件業務委託契約の解除に至るまでこれを継続していたことが認められるから,本件業務委託契約に基づく債務は当然に発生しているものというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 イ被告は,原告の請求する金員のうち買掛金・未払金等はいずれも平成2 - 44 -5年11月までに発生していたものが大半であるから,被告にその支払義務がない旨主張する。 しかし,前記(1)ないし(12)で認定した被告が原告に対し支払うべき金員は,いずれも平成25年12月以降の本件事業に係るものないし本件業務委託契約に基づき支払義務があると認められるものである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 ウ被告は,原告が本件原告口座を通じて不明瞭な資金移動等を行っている旨主張する。 被告の上記主張については,証拠(証人G尋問調書19頁)によれば,本件原告口座から,本件事業以外の原告に係る営業等の支払に充てるため資金が移動されたものであるとされ,一応の説明がされているものの,上記被告の主張によっても,本件原告口座における不明瞭な資金移動が被告における未払金の算定と具体的にどのような関係にあるのか判然とせず,前記(1)ないし(12)で検討した未払金の算定の当否に関する具体的な根拠を示すものではないから,その認定を左右するものではない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 エ被告は,乙2書面には正確な収支が記載されている一方,原告の算定は誤りであり,本件事業は黒字であって原告の請求は認められない旨 い。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 エ被告は,乙2書面には正確な収支が記載されている一方,原告の算定は誤りであり,本件事業は黒字であって原告の請求は認められない旨主張する。 しかし,乙2書面には,少なくとも平成26年4月以降に原告が立替払をした経費等が参入されておらず(証人G尋問調書11頁),本件事業の正確な収支を反映したものとは到底認められない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 5 争点(2)ア(原告の被告に対する保証金返還義務の有無〔本件覚書の効力〕)について(1) 本件覚書の乙欄に押印された印影が被告の代表者印であり,本店所在地の - 45 -記載及び署名が当時の被告代表者の自署によるものであることにつき当事者間に争いがないところ,前記1で認定した事実によれば,本件覚書には連帯保証人として被告の実質的経営者であるCも署名押印していること,被告は,自ら計算し作成した乙2書面において,平成26年1月分の売上金額を978万1706円としているところ,仮に本件業務委託契約のみが有効であるとすれば同契約4条に基づく商標等使用の対価はその6%である58万6902円(これに消費税を付加)となるが,被告は本件覚書4条に基づく最低金額である100万円(これに消費税を付加して105万円)を記載しており,被告自ら本件覚書が有効であることを前提としていることが認められる。 これらの事実によれば,本件覚書についてはその成立の真正が認められ,その作成日において有効に成立したものと認めるのが相当である。 (2) この点に関して被告は,本件覚書には被告の会社名の記載がないこと等から有効に成立していない旨主張する。 しかし,前記1で認定した事実によれば,本件覚 立したものと認めるのが相当である。 (2) この点に関して被告は,本件覚書には被告の会社名の記載がないこと等から有効に成立していない旨主張する。 しかし,前記1で認定した事実によれば,本件覚書は原告代表者,被告代表者,Cらにおいて署名(ないし記名)押印がされ,有効に成立した後,被告代表者に被告会社名の記載の補充を求めるため手交したが,その後返還されなかったにすぎないものと認められ,本件覚書に被告会社名の記載がないことは,その真正な成立ないし本件覚書の効力に影響を及ぼすものではない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上の検討によれば,本件覚書は有効に成立したものと認められる。そして,本件覚書3条によれば,本件業務委託契約3条に定められた保証金で既に支払ったものについては返還を請求することができないものとされているから,被告は,原告に対し,保証金の返還請求権を有しない。 以上のとおり,被告の保証金の返還に係る反訴請求は理由がない。 6 争点(2)イ(被告の原告に対する本件業務委託契約に基づく支払請求権ないし不当利得返還請求権の有無)について - 46 -前記4で検討した結果によれば,原告は,被告に対し未払金の請求権を有するものであるところ,これに対して,本件全証拠を精査しても,被告の原告に対する本件業務委託契約に基づく支払請求権ないし不当利得返還請求権を根拠とする剰余金の発生の事実は認められない。被告が根拠とする乙2書面が正確な収支を反映したものではないことについては前記4(17)エで検討したとおりである。 そうすると,被告が主張するところの本件業務委託契約に基づく支払請求ないし不当利得返還請求はいずれも理由がない。 7 結語以上によれば,原告の本訴 記4(17)エで検討したとおりである。そうすると,被告が主張するところの本件業務委託契約に基づく支払請求ないし不当利得返還請求はいずれも理由がない。 7 結語以上によれば,原告の本訴請求は主文掲記の限度で理由があるからその範囲で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,他方,被告の反訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 勝又来未子 (別紙物件目録省略)

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