主文 被告人を懲役2年及び罰金200万円に処する。 その罰金を完納することができないときは、1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 被告人から1039万4000円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、平成22年11月19日から令和2年11月26日までの間、株式会社A(以下「A」という。)が開設する有価証券市場に株券を上場しているB株式会社(以下「B」という。)の代表取締役社長としてBの業務を統括していたものであり、平成29年7月23日頃、その職務に関し、Bの業務執行を決定する機関として、株式会社C(令和2年10月1日、株式会社Dに商号変更)との業務上の提携を行うことについての決定をし、これにより、その旨のBに係る業務等に関する重要事実を知ったものであるが、分離前の相被告人E(以下「E」という。)と共謀の上、法定の除外事由がないのに、前記重要事実の公表前である平成29年8月9日から同月21日までの間、株式会社Fを介し、東京都中央区a町b番c号所在のAにおいて、Eが代表取締役を務める株式会社G名義で、B株券合計5万株を代金合計581万4000円で買い付けた。 (証拠の標目)【略】(法令の適用)罰条包括して刑法60条、令和元年法律第71号第124条による改正前の金融商品取引法197条の2第13号、166条1項1号、同条2項1号ヨ、令和3年政令21号による改正前の同法施行令28条1号 刑種の選択懲役刑及び罰金刑を選択労役場留置刑法18条刑の執行猶予刑法25条1項(懲役刑につき)追徴金融商品取引法198条の2第2項、1項2号(量刑の 種の選択懲役刑及び罰金刑を選択労役場留置刑法18条刑の執行猶予刑法25条1項(懲役刑につき)追徴金融商品取引法198条の2第2項、1項2号(量刑の理由)本件は、Bの代表取締役であった被告人が、同社と他社との業務上の提携という重要事実の公表前に、共犯者が代表取締役を務める会社名義でB株を購入したというインサイダー取引による金融商品取引法違反の事案である。 被告人は、Bの代表取締役として業務を統括していたものであり、自ら重要事項を決定し重要事実を知り得る立場にありながら、自己の利益を得るため本件犯行に及んでいるのであって、その動機に酌むべき余地はない。また、被告人は、B株5万株を581万4000円で買い付け、全株を1039万4000円で売り抜けたことにより、458万円の利益を得ているのであって、本件インサイダー取引の規模や利益額は小規模とはいえない。そして、本件犯行は、証券市場の公正性や健全性を害し、証券市場に対する一般投資家の信頼を損なったものである。 以上によれば、被告人の刑事責任は相応に重い。 しかしながら、他方、事実を認めて反省の態度を示していること、Bの代表取締役を退任した上で退職慰労金を辞退し、新聞報道されるなど一定の社会的制裁を受けたといえること、前科はないことなどの酌むべき事情を考慮し、懲役刑についてはその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。また、没収すべき金額は、株券の売却価格である1039万4000円となるが、すでに特定性を欠いて没収することができないから、その価額を追徴する。 (求刑懲役2年及び罰金200万円、主文同旨の追徴)令和4年10月6日大阪地方裁判所第9刑事部裁判官行方美和 を追徴する。 (求刑懲役2年及び罰金200万円、主文同旨の追徴)令和4年10月6日大阪地方裁判所第9刑事部裁判官行方美和
▼ クリックして全文を表示