平成27(行ケ)10047 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年7月16日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文16,869 文字)

- 1 -平成27年7月16日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(行ケ)第10047号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成27年6月18日判決 原告コスメディ製薬株式会社 訴訟代理人弁理士小川禎一郎 被告特許庁長官指定代理人本多誠一同橘崇生同根岸克弘 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2014-10393号事件について平成27年1月15日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は,平成24年12月28日,別紙審決書(写し)の「別紙第1」記載の意匠(以下「本願意匠」という。)につき,意匠に係る物品を「マイクロニードルパッチ」とする,物品の部分についての意匠登録出願(意願2012-32349号。以下「本願」という。)をしたが,平成26年2月1- 2 -3日付けで拒絶査定を受け,同年5月19日,拒絶査定不服審判を請求した。 (2) 特許庁は,これを不服2014-10393号事件として審理をした結果,平成27年1月15日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年2月9日原 特許庁は,これを不服2014-10393号事件として審理をした結果,平成27年1月15日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年2月9日原告に送達された。 (3) 原告は,平成27年3月9日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから,意匠法3条2項の規定に該当し,意匠登録を受けることができない,というものである。 (2) 本件審決が認定した本願意匠及び公知の形態ア本願意匠本願意匠は,別紙審決書(写し)の「別紙第1」に記載されたとおりのものであり,すなわち,薬剤や化粧剤を経皮吸収させるマイクロニードルパッチに係り,その形態は,(A)全体をシート状とした略曲玉形状であり,(B)裏面内側中央部に全体の輪郭形状より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイクロニードル部を設け,(C)マイクロニードル部周辺の残余の裏面縁部を接着領域とし,左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広としたものであって,そのうちの(B)のマイクロニードル部の外縁部を除いた略曲玉形状の内側部分を除いた,残余の部分(以下「本願部分」という。)である。 イ公知の形態- 3 -マイクロニードルパッチを含む理美容用品の分野において,顔面に貼るシートについては,以下の各形状は,いずれも本願の出願前に公然知られた形態である。 形態A全体の 態- 3 -マイクロニードルパッチを含む理美容用品の分野において,顔面に貼るシートについては,以下の各形状は,いずれも本願の出願前に公然知られた形態である。 形態A全体の態様を,目,鼻,口,耳等に近接した箇所に貼る形状として,その全体形状を略曲玉形状にすること(①特開2009-7373号公報(乙6。以下「乙6公報」という。)の【図6】,別紙審決書(写し)の「別紙第2」の「意匠1-1」参照。②特表2008-521785号公報(乙7。以下「乙7公報」という。)の【図1】,別紙審決書(写し)の「別紙第3」の「意匠1-2」参照。③雑誌「クロワッサン」(株式会社マガジンハウス発行)2010年9月10日号(同年8月25日発売第34巻第17号)の112頁及び113頁(乙8。以下「乙8文献」という。)に所載の美容用シート(製品名:ドリームマスク・ゴールド(目元シート)),別紙審決書(写し)の「別紙第4」の「意匠1-3」参照。以下「形態A」という。)。 形態B効能部材を,全体の中央部にその輪郭形状と略相似形状に設けること(④意匠登録第1419486号公報(乙11。以下「乙11公報」という。)の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第7」の「意匠3-1」参照。⑤意匠登録第1418317号公報(乙12。以下「乙12公報」という。)の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第8」の「意匠3-2」参照。⑥意匠登録第1363815号公報(乙13。以下「乙13公報」という。)の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第9」の「意匠4-1」参照。⑦意匠登録第1172298号公報(乙14。以下「乙14公報」という。)の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第10」の「意匠4-2」参照。以下「形態B」という。)。 - 4 - 形態C 匠登録第1172298号公報(乙14。以下「乙14公報」という。)の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第10」の「意匠4-2」参照。以下「形態B」という。)。 - 4 - 形態C接着領域を,効能部材の周囲に上下左右等幅にせず,はがれやすい方向を幅広にしたり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設けること(④乙11公報の意匠,別紙審決書(写し)の「別紙第7」の「意匠3-1」参照。⑥乙13公報の意匠,別紙審決書(写し)「別紙第9」の「意匠4-1」参照。以下「形態C」という。)。 第3 当事者の主張〔原告の主張〕本件審決は,本願意匠の構成の認定を誤り,本願意匠の創作容易性の判断を誤ったものであるから,違法であり,取り消されるべきである。 1 本願意匠の構成の認定について本願意匠は、鼻翼横から口元にかけてのほうれい線対策用として設計されたものであり,底面視(別紙図1参照)において、下部(鼻翼や口元に近い部分)の粘着部の幅はできるだけ狭く形成して鼻翼や口元に近く貼付できる一方、左右と上部の粘着部は幅広く形成してその粘着性を確保しているところに創作に係るポイントがある。 すなわち,マイクロニードルアレイの形状は、ほうれい線のカーブに合わせるため略曲玉形状となっているが(別紙図1参照),ほうれい線は鼻翼や口元にきわめて近い部分にあるため、ほうれい線にマイクロニードルパッチを貼付するためには、粘着部の鼻翼や口元に近い側の幅をできるだけ狭くする必要があることから(別紙図2参照),本願意匠においては,鼻翼や口元に近い側の粘着力が低下した分を補うために,左右両側と鼻翼や口元から遠い側の粘着部(粘着剤シートのうち基板外にはみ出している部分をいう。)の幅を広げて粘着性を補強しているのである。 したがっ 口元に近い側の粘着力が低下した分を補うために,左右両側と鼻翼や口元から遠い側の粘着部(粘着剤シートのうち基板外にはみ出している部分をいう。)の幅を広げて粘着性を補強しているのである。 したがって,本願意匠の構成として,「鼻翼や口元に近く貼付するため基板の形状を定め、粘着剤シートの粘着部の鼻翼や口元に近い部分を狭くし、左右- 5 -を広げた形状」である点が認定されるべきである。 本件審決は,上記の点を本願意匠の特徴的構成と認定しなかった点で誤りである。 2 創作容易性の判断について(1) 本件審決は,本願意匠の創作容易性について,マイクロニードルパッチを含む理美容用品の分野において,顔面に貼るシートについては,(A)形態Aは公然知られており,容易に想到できるものであり,(B)形態Bは公然知られており,特段の創意はなく,(C)形態Cは,通常行われている手法であり,特段の創意があるものとすることはできないから,本願意匠は,全体を,公然知られた形状である略曲玉形状のシート状の裏面中央部に,通常行われている手法で公然知られた全体の輪郭形状に沿ってマイクロニードル部を設け,マイクロニードル部周辺の裏面縁部を,単に通常行われている手法で接着領域とした程度のものであって,特段の創意は認められない旨判断した。 (2) しかしながら,本件審決における本願意匠の創作容易性の判断は,以下のとおり誤りである。 ア形態Cについて本件審決が認定した形態Cは,「接着領域を,効能部材の周囲に上下左右等幅にせず,はがれやすい方向を幅広にしたり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設けること」であるが,本願意匠においては,「はがれやすい方向」の粘着剤シートの粘着部は狭くなっており,粘着剤シートの粘着部が狭くなっているの したり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設けること」であるが,本願意匠においては,「はがれやすい方向」の粘着剤シートの粘着部は狭くなっており,粘着剤シートの粘着部が狭くなっているのは,効能部材を鼻翼や口元に近づけるためであって,効能部材を広く行き渡るようにするためではない。 したがって,形態Cをもって,本願意匠の創作容易性をいう本件審決の判断は誤りである。 イ引用意匠には本願意匠のモチーフについての示唆がないこと- 6 -本件審決が挙げる「意匠3-1」,「意匠3-2」,「意匠4-1」,「意匠4-2」のいずれにも,「粘着剤シートの粘着部について、ほうれい線の形状に合わせて鼻翼や口元に近い部分は幅を狭くし、粘着力を補うため左右部分と遠い部分は幅広くする」というモチーフは,記載も示唆もされていないから,本願意匠は,引用意匠をもとに容易に創作できたものではない。 ウ各引用意匠を組み合わせる動機付けがないこと本件審決が形態Aの引用意匠として挙げる「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,基板と粘着剤シートという構成を有しないから,本願意匠とは骨格において異なる。すなわち,「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,単なる略曲玉形状にすぎず,そこに基板が貼付されていることは記載も示唆もされていないから,基板と粘着部の形状との関係に特徴がある本願意匠の創作性を否定する根拠とはなり得ない。 本件審決が形態Cの引用意匠として挙げる「意匠3-1」には,ほうれい線対策であることは記載されておらず,また,「意匠4-1」は,そもそも顔面に貼付することを想定していない。 本願意匠の特徴的構成は,「全体が略曲玉状で,下部(鼻翼や口元に近い部分)の粘着部の幅はできるだけ狭く形成して鼻翼や口元に近く貼付できる一方,左 は,そもそも顔面に貼付することを想定していない。 本願意匠の特徴的構成は,「全体が略曲玉状で,下部(鼻翼や口元に近い部分)の粘着部の幅はできるだけ狭く形成して鼻翼や口元に近く貼付できる一方,左右と上部の粘着部は幅広く形成してその粘着性を確保している点」にあるが,本件審決が挙げるいずれの引用意匠にも,かかる特徴的構成についての記載や示唆はない。 本願意匠と各引用意匠とは,意匠創作の課題,機能,構造を異にするものであるから,そもそも各引用意匠を組み合わせる動機付けがないし,また,各引用意匠をいかように組み合わせても本願意匠を創作することはできない。 エ以上のとおり,本件審決における本願意匠の創作容易性の判断は誤りで- 7 -ある。 3 被告の主張について被告は,本願の願書における意匠に係る物品の説明や意匠の説明に本願意匠の創作の意図や本願意匠の特徴が記載されていなかったから,これらを本願意匠の構成の認定や本願意匠の創作容易性の判断において考慮しなかった点に誤りはない旨主張する。 しかしながら,意匠法6条は,意匠創作の意図や意匠の特徴を願書に記載すべきことを規定していないから,これらについての記載が願書にないとの点を問題にする被告の主張は失当である。 〔被告の主張〕 1 本願意匠の構成の認定の誤りについて(1) 原告は,本願意匠の構成として,「鼻翼や口元に近く貼付するため基板の形状を定め、粘着剤シートの粘着部の鼻翼や口元に近い部分を狭くし、左右を広げた形状」である点が認定されるべきであり,本件審決が,本願意匠の特徴的構成として上記の点を認定しなかった点に誤りがある旨主張する。 しかしながら,本願の願書における意匠に係る物品の説明や意匠の説明は,別紙審決書(写し)の「別紙第1」記載のとおりであり,原告が 特徴的構成として上記の点を認定しなかった点に誤りがある旨主張する。 しかしながら,本願の願書における意匠に係る物品の説明や意匠の説明は,別紙審決書(写し)の「別紙第1」記載のとおりであり,原告が主張する,鼻翼や口元近くなど使用部位に関する記載や粘着部の幅の相違と粘着力の確保についての記載はない。また,本願の願書には,本願意匠を使用する際に,その貼付する部位について,鼻翼や口元はおろか,顔面に貼付することも明示はされておらず,単に「薬剤や化粧剤を人体に供給する」との記載があるだけである。むしろ,「基板の大きさは1~10cm」と10倍もの差のある場合が示され,願書に添付した図面の記載においても,平面形状として略曲玉形状が下向きに凸の方向で表されているが,使用時の本願意匠の上下左右等の向きは不明であって,使用の状態を示す参考図もなく,願書及び願書に添付した図面には,鼻翼横から口元にかけてのほうれい線のみにしか使用- 8 -できない,という示唆はない。 (2) 本件審決は,本願の願書及び願書に添付された図面の記載内容に基づいて,本願意匠の形態を「(A)全体をシート状とした略曲玉形状であり,(B)裏面内側中央部に全体の輪郭形状より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイクロニードル部を設け,(C)マイクロニードル部周辺の残余の裏面縁部を接着領域とし,左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広としたものであって,本願部分は,そのうちの(B)のマイクロニードル部の外縁部を除いた略曲玉形状の内側部分を除いた,残余の部分である。」と認定したものであるが,ここでは,接着領域を含む全体と裏面のマイクロニードル部の2つの略相似形の略曲玉形状の曲線で形成される接着領域について,「全体の輪郭形状より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイク たものであるが,ここでは,接着領域を含む全体と裏面のマイクロニードル部の2つの略相似形の略曲玉形状の曲線で形成される接着領域について,「全体の輪郭形状より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイクロニードル部を設け」,「マイクロニードル部周辺の残余の裏面縁部を接着領域とし」と認定し,その上で,その態様について,大小の相似形で単純に形成された,いわゆる,縁取り的な等幅なものではない点を「左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広としたもの」と認定している。 本件審決における上記認定に誤りはない。 2 創作容易性の判断について(1) 形態Cに係る主張について原告は,本願意匠においては,「はがれやすい方向」の粘着剤シートの粘着部は狭くなっており,粘着剤シートの粘着部が狭くなっているのは,効能部材を鼻翼や口元に近づけるためであって,効能部材を広く行き渡るようにするためではないから,形態Cをもって,本願意匠の創作容易性をいう本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,薬剤等の効能が目的箇所まで行き届くようにできるだけ接着領域の幅を狭くし,かつ,その他の箇所において接着領域の幅を広げてパッチが剥がれにくくするなど,接着領域を等幅でない態様としたものが,本件- 9 -審決において例示した「意匠3-1」及び「意匠4-1」に表れており,その他同種物品として,例えば,乙1(特開2012-213586号公報の【図1】)なども本願の出願前に普通に見られることから,本件審決が「接着領域を,効能部材の周囲に上下左右等幅にせず,はがれやすい方向を幅広にしたり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設けることは・・・通常行われている手法であり,特段の創意があるものとすることはできない。」として,底面図において下 ,はがれやすい方向を幅広にしたり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設けることは・・・通常行われている手法であり,特段の創意があるものとすることはできない。」として,底面図において下側の接着領域の幅を最小にし,上側の領域を中程度,そして,左右の接着領域の幅を最大にした本願意匠の創作が容易であると判断した点に誤りはない。 本件審決が「はがれやすい方向を幅広にしたり」と述べたのは,全体に必要な一定の粘着力をできるだけ効果的に持たせようとすると,使用時の方向性や効能部材の形状等の関係から,より広く粘着領域を設けた方が良い方向,つまり,剥がれやすい方向を勘案した上で,その他の方向に粘着領域を広く設けるという意味であって,原告の主張する本願意匠の設計(創作)時の考え方と同じことである。 また,本件審決が「接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように設ける」と述べたのは,「効能が所望の位置に届くように,つまり効能部材を例えば目元や口元に近づけるようにするためである」ということについて,接着領域の観点からそれを「狭くする」と表現したものであって,これを効能部材の観点から表現すると,所望の特定の方向に向けて「効能部材の領域を広げて効能ができるだけ隅まで行き渡るようにする」こととなり,接着領域を狭くすることと効能部材を広く行き渡るように設けることとは同義である。 (2) 引用意匠には本願意匠のモチーフについての示唆がないとの主張について原告は,本件審決が挙げる「意匠3-1」,「意匠3-2」,「意匠4-- 10 -1」,「意匠4-2」のいずれにも,「粘着剤シートの粘着部について、ほうれい線の形状に合わせて鼻翼や口元に近い部分は幅を狭くし、粘着力を補うため左右部分と遠い部分は幅広くする」というモチーフは,記載も示唆 「意匠4-2」のいずれにも,「粘着剤シートの粘着部について、ほうれい線の形状に合わせて鼻翼や口元に近い部分は幅を狭くし、粘着力を補うため左右部分と遠い部分は幅広くする」というモチーフは,記載も示唆もされていないから,本願意匠は,引用意匠をもとに容易に創作できたものではない旨主張する。 しかしながら,創作容易性の判断において,基礎となる判断材料は,当該出願意匠と直接的な対比のみを行うためのものばかりではなく,当該出願意匠の着想の新しさや構成要素ごとの斬新さの有無を問うための判断材料としても提示されているものである。したがって,本願の出願前に公知の意匠の,意匠に係る物品や各部位の構成等について本願意匠と比較して相違するところがあるとしても,そのことが直ちに創作容易性を問うための判断材料として不適格ということにはならない。 本件審決が挙げた「意匠1-1」等により,全体形状を,略曲玉形状とすることを初め,略相似形状に一回り小さくした効能部材の周囲に不等幅の接着面を設けた態様が,「意匠3-1」や「意匠4-1」等に存することを勘案したときに,本願意匠に着想の新しさや独創性が認められ得るか否かによって本願意匠に対する創作の容易性を判断すべきである。 本件審決は上記の観点から本願意匠が容易に創作し得るものである旨判断したのであって,かかる判断に誤りはない。 (3) 各引用意匠を組み合わせる動機付けがないとの主張についてア原告は,本願意匠と各引用意匠とは,意匠創作の課題,機能,構造を異にするものであるから,そもそも各引用意匠を組み合わせる動機付けがないし,また,各引用意匠をいかように組み合わせても本願意匠を創作することはできない旨主張する。 しかしながら,①「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,本願意匠の形態のうち(A)について, がないし,また,各引用意匠をいかように組み合わせても本願意匠を創作することはできない旨主張する。 しかしながら,①「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,本願意匠の形態のうち(A)について,この種物品分野において全体形状を略曲玉形- 11 -状とすることが公然知られている例として示したものであり,②ほうれい線対策のものと限定していない「意匠3-1」及び顔面用と限定していない「意匠4-1」は,本願意匠の形態のうち(B)について,効能部材の輪郭形状をその全体の輪郭形状を略相似形状に一回り小さくして,全体の略中央に設けることが公然知られている例として示したものであり,③「意匠3-1」及び「意匠4-1」は,効能部材を目的箇所に近づけるため又は粘着性を確保するために粘着部の幅を適宜変更すること(本願意匠の形態のうちの(C))が通常行われている手法であるという根拠として示したものであって,前記(A)ないし(C)が相まって生じる全体の態様にも特段の創意は認められないから,これらの引用意匠を根拠に,本願意匠の創作が容易であったとした本件審決の判断に誤りはない。 イ原告は,本件審決が形態Aの引用意匠として挙げる「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,単なる略曲玉形状にすぎず,そこに基板が貼付されていることは記載も示唆もされていないから,基板と粘着部の形状との関係に特徴がある本願意匠の創作性を否定する根拠とはなり得ない旨主張する。 しかしながら,「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,基板と粘着材シートという構成ではないが,美容のために化粧剤等を含ませて顔面に貼付する用途,使用方法のものであって,本願意匠に係る物品とほぼ同種のものであるから,本願意匠と同種の物品において,全体の形状を略曲玉形状としたものが既に公知であることを示している を含ませて顔面に貼付する用途,使用方法のものであって,本願意匠に係る物品とほぼ同種のものであるから,本願意匠と同種の物品において,全体の形状を略曲玉形状としたものが既に公知であることを示しているといえ,本願意匠の創作が容易であることの根拠となり得るものである。 ウ原告は,本件審決が形態Cの引用意匠として挙げる「意匠3-1」には,ほうれい線対策であることは記載されておらず,「意匠4-1」は,そもそも顔面に貼付することを想定していないから,本願意匠の特徴的構成を示唆するものではない旨主張する。 - 12 -しかしながら,本件審決が「意匠3-1」及び「意匠4-1」を挙げたのは,ほうれい線対策用であることを示すためではなく,人体に貼付して薬剤や化粧剤の効能を発揮させる物品分野において,その効能部材の周縁に接着領域を設けるという点で,本願意匠のマイクロニードルパッチと同様であり,それ以前から見られる美容用のパック用シートや創傷被覆材などの物品において,それらが人体のどの部位に貼付されるものであれ,接着領域を効能部材の周囲に単純に上下左右等幅にせず,必要に応じてはがれやすい方向を幅広にしたり,接着領域を狭くして効能部材を広く行き渡るように適宜調整して設けることが多数公知であることを示すためである。 本件審決が,形態Cを含め,前記ア記載のとおり,本願意匠の創作容易性を判断したことに誤りはない。 (4) 以上のとおり,本件審決における本願意匠の創作容易性の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,原告主張の取消事由は理由がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 1 本願意匠の構成について(1) 本件審決は,本願意匠の形態を,前記第2の2(2)ア記載のとおり,(A)全体をシート状とした略曲玉形状 がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 1 本願意匠の構成について(1) 本件審決は,本願意匠の形態を,前記第2の2(2)ア記載のとおり,(A)全体をシート状とした略曲玉形状であり,(B)裏面内側中央部に全体の輪郭形状より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイクロニードル部を設け,(C)マイクロニードル部周辺の残余の裏面縁部を接着領域とし,左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広としたものであって,そのうちの(B)のマイクロニードル部の外縁部を除いた略曲玉形状の内側部分を除いた,残余の部分(本願部分)と認定した。 これに対し,原告は,本願意匠の構成として,「鼻翼や口元に近く貼付するため基板の形状を定め、粘着剤シートの粘着部の鼻翼や口元に近い部分を- 13 -狭くし、左右を広げた形状」である点が認定されるべきである旨主張するので,以下において検討する。 (2) 本願の願書(甲6)には,「意匠に係る物品」として「マイクロニードルパッチ」と,また,「意匠に係る物品の説明」として「本物品は,薬剤又は化粧剤を効果的に人体に供給する物品です。本物品は基板,基板上の多数のマイクロニードル及び粘着剤シート(高分子フィルム)から構成されています。基板の大きさは1~10㎝,厚みは0.01~2㎜です。マイクロニードルは薬剤又は化粧剤を含有し,その長さは10~1000μmです。本物品を皮膚に貼付しマイクロニードルを皮膚に刺入すると,含有されていた薬剤又は化粧剤が体内に吸収されます。また,粘着剤シートは皮膚に添付される際には曲げられ,本物品を皮膚に固定するのに用いられます。」と記載されている。 上記記載によれば,本願意匠に係る物品は,薬剤又は化粧剤を経皮吸収させる「マイクロニードルパッチ」であり,その使用部位 曲げられ,本物品を皮膚に固定するのに用いられます。」と記載されている。 上記記載によれば,本願意匠に係る物品は,薬剤又は化粧剤を経皮吸収させる「マイクロニードルパッチ」であり,その使用部位は顔面の特定の部位に限られないものであると認められる。 したがって,原告の上記主張のうち,「鼻翼や口元に近く貼付するため」,「鼻翼や口元に近い部分」といった,本願意匠に係る物品の使用部位が顔面の特定の部位に限られるものであることを前提に本願意匠の構成を認定すべきであるとする点は理由がない。 (3) 粘着剤シートの粘着部の形状(本願部分)について,本件審決は,「全体の輪郭形状(略曲玉形状)より一回り小さな略相似形の効能部材であるマイクロニードル部を設け」,「マイクロニードル部周辺の残余の裏面縁部を接着領域とし」とした上で,「左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広としたもの」であると認定している。 この「左右の接着領域の幅を上下の接着領域の幅よりやや幅広とした」というのは,「(底面図における)下側及び上側の接着領域の幅より,(底面- 14 -図における)左側及び右側の幅をやや広げた形状」というのに等しい。 そして,本願の願書に添付された図面(底面図)によれば,本願意匠は,下側の接着領域の幅と上側の接着領域の幅との比率をおおむね1対2,下側の接着領域の幅と左右の接着領域の幅との比率をおおむね1対3程度としたものであるから,「(底面図における)下側及び上側の接着領域の幅より,(底面図における)左側及び右側の幅をやや広げた形状」といい得るものである。 一方,前記(2)のとおり,「鼻翼や口元に近く貼付するため」,「鼻翼や口元に近い部分」といった,本願意匠に係る物品の使用部位が顔面の特定の部位に限られるものであることを前提に本 得るものである。 一方,前記(2)のとおり,「鼻翼や口元に近く貼付するため」,「鼻翼や口元に近い部分」といった,本願意匠に係る物品の使用部位が顔面の特定の部位に限られるものであることを前提に本願意匠の構成を認定すべきであるとはいえないから,かかる記述を除けば,原告が本願意匠の粘着剤シートの粘着部の特徴的形状として主張するのは,「(底面図における)下側の接着領域の幅を狭くし,(底面図における)左側及び右側の幅を広げた形状」であり,かかる特徴は本件審決における上記認定と大差のないものである。 (4) 以上によれば,本件審決における本願意匠の態様に係る認定は,本願の願書及び願書に添付された図面の記載内容に基づいて,その特徴的構成を認定したものであるというべきであって,上記認定に誤りはないから,この点にかかる原告の主張は理由がない。 2 創作容易性について(1) 公知の形態の認定についてア形態A文献の記載a 乙6公報には,「少なくとも1種の媒体及び該媒体によって担持された少なくとも1種の化粧用組成物を包含する化粧用または外皮適用用物品」に関し,腎臓様の輪郭をした媒体(クッション,マスク又はパッチ等)を有し,まぶたにメーキャップを施すことを意図されてい- 15 -る物品を示す平面図として略曲玉形状(図6)が記載されている。 b 乙7公報には,「肌の手入れのための美容パッチ」に関し,パッチが,ユーザの目又は口の下に配置され,ユーザの目又は口の周囲の皺及び/又は小皺をトリートメントするのに適すること,パッチの形状として三日月形(図1)が記載されている。 c 雑誌「クロワッサン」2010年9月10日号(乙8文献)には,スキンケア用品であるシリコン製マスクに関し,「ドリームマスク・ゴールド(目元シート)」という て三日月形(図1)が記載されている。 c 雑誌「クロワッサン」2010年9月10日号(乙8文献)には,スキンケア用品であるシリコン製マスクに関し,「ドリームマスク・ゴールド(目元シート)」という商品が掲載されており,同商品の形状として略曲玉形状が記載されている。 d 乙2(特開平11-130623号公報)には,「シート状パック」に関し,「そら豆型」の形状(図1)が記載されており,図1に示す高さAが50~80㎜,中心部の幅Bが20~30㎜,凹部の深さCが5~10㎜,凹部の幅Dが40㎜以上で,凹部中心の曲率半径Eが25~30㎜であるという所定の範囲内の寸法をとることにより,シート状パックを目の下や目尻部へ貼着したときのフィット性を改善するとともに,該シート状パックを目元ケア用のみならず鼻唇溝等他の部位にも適用可能としたものであることが記載されている(図2)。 上記各文献の記載によれば,理美容用品の分野において,顔面の目や口に近接した箇所に貼付するシートの形状を略曲玉形状とすることは,本願の出願前に公知の形態であったものと認められる。 イ形態B 文献の記載a 乙11公報には,口元や目元に使用され,真皮内に美容成分を浸透させるパック用シートであって,シートの貼付側内側中央部に無数のニードル状の固形美容成分が形成され,該ニードル部は全体の輪郭形状と略相似形状であるパック用シートが記載されている。 - 16 -b 乙12公報には,平板四角形状のシート部の貼付側内側に,該シート部の輪郭形状と略相似形状であるニードル部を備えた,薬剤を皮膚内に供給する貼付剤が記載されている。 c 乙13公報には,粘着層と患部接触層を備え,全体の輪郭の中央部に,該輪郭形状と略相似形状の患部接触層が配された,仙骨部の創傷 部を備えた,薬剤を皮膚内に供給する貼付剤が記載されている。 c 乙13公報には,粘着層と患部接触層を備え,全体の輪郭の中央部に,該輪郭形状と略相似形状の患部接触層が配された,仙骨部の創傷治療に適した創傷被覆材が記載されている。 d 乙14公報には,紙又は不織布等の基材の中央部に,該輪郭形状と略相似形状の化粧料が表面に塗布された不織布が貼付された,踵に貼付する化粧用パックシートが記載されている。 上記各文献の記載によれば,理美容用品である美容成分や薬剤を皮膚内に浸透させるパック用シート(貼付剤)において,効能部材を全体の中央部分内側に,全体の輪郭形状と略相似形状に設けることは,本願の出願前に公知の形態であったものと認められる。 ウ形態C 文献の記載a 乙11公報には,パック用シートにおいて,シート部のうち内側中央部のニードル部を除いた縁部の幅が,均一ではなく,底面図において,右側(ニードル部の上下幅が広い部分)の周辺部ではやや幅広となっており,左側(ニードル部の上下幅が狭い部分の周辺部)では狭くなっている形状(最大幅と最小幅の比率はおおむね3対1程度)が記載されている。 b 乙13公報には,仙骨部の創傷治療に適した創傷被覆材において,患部接触層の周辺に配された粘着部の幅が,均一ではなく,平面図において,下側ではやや幅広となっており(面積が大きく),上側では狭くなっている(面積が小さく)形状(平面図の下側の幅と上側の幅の比率はおおむね3対1程度)が記載されている。 - 17 -c 乙1(特開2012-213586号公報・平成24年11月8日公開)には,理美容用品である,目の下に貼付することを想定して設計されたマイクロニードルパッチの形状として,マイクロニードルアレイ11 乙1(特開2012-213586号公報・平成24年11月8日公開)には,理美容用品である,目の下に貼付することを想定して設計されたマイクロニードルパッチの形状として,マイクロニードルアレイ11の周辺に配された粘着シートの幅が,下側では狭くなっており,左側及び右側でやや幅広となっている形状(図1において,下側の接着領域の幅と上側の接着領域の幅との比率をおおむね1対2,下側の接着領域の幅と左右の接着領域の幅との比率をおおむね1対3程度としたもの)が記載されている。 上記各文献の記載によれば,理美容用品であるパック用シート(貼付剤)において,接着領域を,効能部材の周辺部に等幅に設けるのではなく,ある部分では狭くし(面積を小さくし),他の部分では幅広にする(面積を大きくする)ことは,本願の出願前に公知の形態であったものと認められる。 (2) 創作容易性について前記(1)記載のとおり,理美容用品の分野において,顔面の目や口に近接した箇所に貼付するシートの形状を略曲玉形状とすることは,本願の出願前に公知の形態であったものと認められ,また,理美容用品の分野において,美容成分や薬剤を皮膚内に浸透させるため,効能部材を全体の中央部分内側に,全体の輪郭形状と略相似形状に設けることも,本願の出願前に公知の形態であったものと認められる。さらに,パック用シート(貼付剤)において,接着領域を,効能部材の周辺部に等幅に設けるのではなく,ある部分では狭くし(面積を小さくし),他の部分では幅広にする(面積を大きくする)ことも,本願の出願前に公知の形態であったものと認められる。 これら公知の形態は,いずれも,顔面の美容成分や薬剤を浸透させたい箇所に貼付するパック用シート(貼付剤)についてのものであるから,本願意匠に係る物品の属する理美容用品であるパッ ものと認められる。 これら公知の形態は,いずれも,顔面の美容成分や薬剤を浸透させたい箇所に貼付するパック用シート(貼付剤)についてのものであるから,本願意匠に係る物品の属する理美容用品であるパック用シートの分野の当業者にお- 18 -いて,これら公知の形態を組み合わせることは容易であると認められる。 そして,本願意匠の形態は,前記第2の2(2)ア記載のとおりのものであって,全体を公知の形態である略曲玉形状のシートとし(形態A),シート裏面内側中央部に全体の輪郭形状と略相似形状のマイクロニードル部(効能部材)を設け(形態B),略曲玉形状のシート全体のうちマイクロニードル部を除いた残余の裏面縁部を接着領域とし,この際,本願の願書に添付された図面(底面図)における下側及び上側の接着領域の幅より,左側及び右側の幅をやや広げた形状とした(形態C)ものであり,下側の接着領域の幅と上側の接着領域の幅との比率をおおむね1対2,下側の接着領域の幅と左右の接着領域の幅との比率をおおむね1対3程度とした点も,前記(1)とおり,他の公知の意匠にも見られるありふれた比率にすぎないものである。 したがって,本願意匠は,前記公知の形態を当業者にとってありふれた手法により組み合わせたものにすぎず,前記公知の形態に基づいて容易に創作をすることができたものであるというべきである。 (3) 原告の主張についてア原告は,「意匠3-1」,「意匠3-2」,「意匠4-1」,「意匠4-2」のいずれにも,「粘着剤シートの粘着部について、ほうれい線の形状に合わせて鼻翼や口元に近い部分は幅を狭くし、粘着力を補うため左右部分と遠い部分は幅広くする」というモチーフは,記載も示唆もされていないから,本願意匠は,引用意匠をもとに容易に創作できたものではない旨主張する。 近い部分は幅を狭くし、粘着力を補うため左右部分と遠い部分は幅広くする」というモチーフは,記載も示唆もされていないから,本願意匠は,引用意匠をもとに容易に創作できたものではない旨主張する。 しかしながら,意匠法3条2項は,物品との関係を離れた抽象的なモチーフとして日本国内において広く知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を基準として,それから当業者が容易に創作することができる意匠でないことを登録要件としたものであって,そこでは,物品の同一又は類似という制限をはずし,社会的に広く知られたモチーフを基準として,- 19 -当業者の立場から見た意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものであるから,本願意匠の創作容易性の判断資料は,本願意匠に係る物品である「マイクロニードルパッチ」と同一又は類似の物品に係るものに限られず,「ほうれい線」対策という特定の使用部位に関する物品に係るものにも限られない。 また,そもそも,本願意匠に係る物品は,薬剤又は化粧剤を経皮吸収させる「マイクロニードルパッチ」であり,その使用部位は顔面の特定の部位に限られないものであるから,「ほうれい線」対策という特定の使用部位に関するモチーフをもって本願意匠の創作容易性を判断しなければならないものでもない。 以上によれば,原告の上記主張は理由がない。 イ原告は,「意匠1-1」ないし「意匠1-3」は,単なる略曲玉形状にすぎず,そこに基板が貼付されていることは記載も示唆もされていないから,基板と粘着部の形状との関係に特徴がある本願意匠の創作性を否定する根拠とはなり得ず,また,「意匠3-1」には,ほうれい線対策であることは記載されておらず,「意匠4-1」は,そもそも顔面に貼付することを想定していないから,本願意匠の創作性を否定す 創作性を否定する根拠とはなり得ず,また,「意匠3-1」には,ほうれい線対策であることは記載されておらず,「意匠4-1」は,そもそも顔面に貼付することを想定していないから,本願意匠の創作性を否定する根拠とはなり得ない旨主張する。 しかしながら,前記(1)ア記載のとおり,「意匠1-1」ないし「意匠1-3」(乙6ないし8)は,理美容用品の分野において,顔面の目や口に近接した箇所に貼付するシートの形状を略曲玉形状とすることが本願の出願前に公知の形態であったこと(形態A)を示すものであるが,本願意匠の創作容易性の判断資料が,それ自体が基板と粘着部という構成を備えるものに限られるとすべき理由はないから,原告の指摘は当たらない。 また,前記(1)ウ記載のとおり,「意匠3-1」及び「意匠4-1」(乙11及び乙13)は,理美容用品であるパック用シート(貼付剤)におい- 20 -て,接着領域を,効能部材の周辺部に等幅に設けるのではなく,ある部分では狭くし(面積を小さくし),他の部分では幅広にする(面積を大きくする)ことが本願の出願前に公知の形態であったこと(形態C)を示すものであるが,本願意匠の創作容易性の判断資料が,顔面に貼付することを想定したもの,あるいは,ほうれい線対策のものに限られるとすべき理由はないから,原告の指摘は当たらない。 そして,前記(1)記載の形態A,形態B及び形態Cは,いずれも顔面の美容成分や薬剤を浸透させたい箇所に貼付するパック用シート(貼付剤)についてのものであるから,本願意匠に係る物品の属する理美容用品であるパック用シートの分野の当業者において,これら公知の形態を組み合わせ,本願意匠を創作することは容易であると認められることは前記(2)記載のとおりである。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 用シートの分野の当業者において,これら公知の形態を組み合わせ,本願意匠を創作することは容易であると認められることは前記(2)記載のとおりである。したがって,原告の上記主張は理由がない。 (4) 以上によれば,本件審決における創作容易性の判断に誤りはないから,この点にかかる原告の主張は理由がない。 3 結論以上によれば,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。したがって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 裁判官田中芳樹 裁判官柵木澄子 (別紙)【図1】 (底面図) 【図2】 (模式図)

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