令和4年7月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(行ウ)第298号障害年金不支給決定取消請求事件口頭弁論終結日令和4年5月12日判決主文 1 厚生労働大臣が平成29年3月31日付けで原告に対してした障害基礎年金を支給しない旨の処分を取り消す。 2 厚生労働大臣は、原告に対し、平成29年2月14日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金を支給する旨の裁定をせよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は、1型糖尿病患者である原告が、国民年金法による障害基礎年金の支 給を求める裁定請求を行ったところ、厚生労働大臣から、裁定請求日時点における原告の障害の状態が、国民年金法施行令別表に規定する障害等級2級以上に該当しないとして、障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため、本件処分の取消し及び障害等級2級相当の障害基礎年金の支給を内容とする裁定の義務付け(以下この訴えを「本件義務付けの訴 え」という。)を求める事案である。 1 関係法令等の定め 本件に関係する国民年金法(昭和34年法律第141号。以下「国年法」という。)の定めは別紙2-1、国民年金法施行令(昭和34年政令第184号。ただし、令和3年政令第303号による改正前のもの。以下「国年法 施行令」という。)の定めは別紙2-2、厚生年金保険法(昭和29年法律 第115号。以下「厚年法」という。)の定めは別紙2-3、厚生年金保険法施行令(昭和29年政令第110号。ただし、令和3年政令第303号による改正前のもの。以下「厚年法施行令」という。)の定めは別紙2-4、行政手続法(平成 という。)の定めは別紙2-3、厚生年金保険法施行令(昭和29年政令第110号。ただし、令和3年政令第303号による改正前のもの。以下「厚年法施行令」という。)の定めは別紙2-4、行政手続法(平成5年法律第88号。以下「行手法」という。)の定めは別紙2-5、国民年金・厚生年金保険障害認定基準(平成14年3月15日庁 保発第12号。ただし、平成28年6月1日改正を最後の改正とするもの。 以下「本件認定基準」という。乙1、2)のうち本件に関係する部分の概要は別紙2-6、特別児童手当の代謝疾患の認定基準は別紙2-7にそれぞれ記載したとおりである。 国年法における障害基礎年金制度の概要は、次のとおりである。 ア障害基礎年金は、障害により日常生活に支障を来したり、日常生活に著しい制限が加えられたりしている者に対し、所得保障をすることで、その生活の安定が損なわれるのを防止することを目的として、その権利を有する者の請求及び厚生労働大臣の裁定という手続を経て支給されるものである。その原則的な支給要件は、①疾病にかかり、又は負傷し、かつ、そ の疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において、国民年金の被保険者、あるいは国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満の者であること、②障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にあること及び ③一定の保険料納付要件を満たしていること、の3つを全て充足することである。 イただし、20歳到達前に初診日のある障害基礎年金については、①疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したとき 全て充足することである。 イただし、20歳到達前に初診日のある障害基礎年金については、①疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、初診日 から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合 においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)が20歳に達した日より後であるときはその障害認定日において、法定の障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に障害基礎年金が支給される制度(国年法30条の4第1項)と、②疾病にかかり、又は負傷し、その初診 日において20歳未満であった者(同日において被保険者でなかった者に限る。)が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日より後において、障害認定日が20歳に達した日より後であるときはその障害認定日より後において、その傷病により、65歳に達する日の前日までの間に、法定の障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場 合に障害基礎年金が支給される制度(国年法30条の4第2項。以下、同項に定める障害基礎年金を「20歳前事後重症の障害基礎年金」という。 本件で問題となっているのはこの②の方である。)があり、この場合には前記ア③の保険料納付要件を満たす必要はない。 ウ障害等級の認定について 国年法30条2項は、障害等級につき、障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし、各級の障害の状態は政令で定める旨規定しており、これを受けた国年法施行令4条の6は障害等級の1級及び2級(以下、単に「1級」などということがある。)について別表に定めるとおりとしている(うち本件に関 級の障害の状態は政令で定める旨規定しており、これを受けた国年法施行令4条の6は障害等級の1級及び2級(以下、単に「1級」などということがある。)について別表に定めるとおりとしている(うち本件に関係する部分の抜粋は別紙2-2のとおりで ある。)。また厚年法47条2項は障害厚生年金の支給の対象となる障害等級として1級から3級までを定めるところ、これを受けた厚年法施行令3条の8は1級及び2級については国年法施行令別表に定める1級及び2級の障害の状態とし、3級については厚年法施行令の別表第1に定めるとおりとしている(うち本件に関係する部分の抜粋は別紙2-4 のとおりである。)。 厚生労働省は、1級から3級までの具体的な障害の認定基準として、本件認定基準を定めている(うち本件に関係する部分の抜粋は別紙2-6のとおりである。)。 本件認定基準(以下、断らない限り代謝疾患・糖尿病に関する部分を指す。)は、概要、糖尿病による障害として、①内因性のインスリン(ブ ドウ糖の供給や代謝に不可欠のホルモンのこと。これが欠乏すると臓器や筋肉がブドウ糖を取り込めなくなるため、臓器内・細胞内ではブドウ糖が不足するが、血管内には余ったブドウ糖があふれ〔高血糖〕、腎臓から尿へ排出されることになる。甲13、乙10)の分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値(以下「Cペプチド値」 という。)が0.3ng/mL 未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの、②意識障害により自己回復ができない重症低血糖(以下「意識障害を伴う重症低血糖」という。)の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの、③インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス(極度のインスリン欠 血糖(以下「意識障害を伴う重症低血糖」という。)の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの、③インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス(極度のインスリン欠乏 などにより、ケトン体という神経毒が血中で著増して血液が酸性となること。口の渇き、多尿、倦怠感などが、悪化すると呼吸困難、嘔吐、意識障害などが起こる。乙22)又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの(以下、①から③までのうち一般状態区分表以外の指標を「3つの指 標」といい、これに一般状態区分表の要件を満たす場合を「3つの判定基準」という。)のいずれか一つに該当するものを3級とするが、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては更に上位等級に認定するとされていて、本件認定基準においては2級及び1級該当性を判定するための具体的指標は示されていない。 2 糖尿病に関する医学的知見(全体として甲13、乙8~10、その他各項末 尾掲記の証拠により認められる事実) 糖尿病糖尿病とは、インスリン作用の絶対的あるいは相対的不足に基づいて糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝の変動が持続する疾患である。 その基本的な特徴は、耐糖能の低下・慢性の高血糖である。り病期間が長 くなると、しばしば特有な合併症(網膜症、腎症、ニューロパチーなど)を合併し、また、動脈硬化が促進される。なお、1型糖尿病患者に関しては、合併症を伴わない者も多数存在する(甲13)。 糖尿病は、成因に基づき「1型」、「2型」、「その他の特定機序、疾患によるもの」及び「妊娠糖尿病」の4つに、治療にインスリンが必要か否か によって「インスリン依存状態」及び「インス 糖尿病は、成因に基づき「1型」、「2型」、「その他の特定機序、疾患によるもの」及び「妊娠糖尿病」の4つに、治療にインスリンが必要か否か によって「インスリン依存状態」及び「インスリン非依存状態」の2つに分類される。 1型糖尿病膵β細胞(体内でインスリンを産生する唯一の細胞)の破壊性病変によりインスリン欠乏が生じて起こる糖尿病であり、多くの場合インスリンの欠乏 が著明なため、発症時から「インスリン依存状態」となり、生命維持のためにはインスリン治療が必須である。ほとんどは自己免疫が原因で、若年期に生ずることが多い。インスリン治療が必須となるため、不足するインスリンを注射器やインスリンポンプ(体内に常時設置)から毎日数回補充する。 インスリンの量が多過ぎたり、食事量が少なかったり、運動量が多い場合 には低血糖が生ずる。これにより、自律神経症状(異常な空腹感、だるさ、冷汗など)、中枢神経症状(眠気、強い脱力、めまい、物が見えにくいなど)、大脳機能低下(けいれん、意識消失、昏睡など)の症状が生ずる。自覚症状がないと、いきなり意識障害を起こすこともあり、普段から血糖自己測定(指先を穿刺した少量の血液から、患者が自己の血糖値を測定すること。乙22) を行い、未然に低血糖を予防する対策をとる必要がある。 また、高度のインスリン作用不足によって起こる急性合併症、長年の高血糖によって起こる慢性合併症がある。急性合併症として糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧(循環不全を来した状態となること。脳の酸素欠乏による意識障害などを生起する。)、気管支炎、肺炎などの感染症(時に重症となることがある。なお、水虫、歯周病等にもかかりやすく、治りにくくな る。)があり、慢性合併症として糖尿病性網膜症 素欠乏による意識障害などを生起する。)、気管支炎、肺炎などの感染症(時に重症となることがある。なお、水虫、歯周病等にもかかりやすく、治りにくくな る。)があり、慢性合併症として糖尿病性網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害がある。 3 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠〔枝番があるものは枝番を含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) 原告は、昭和46年▲月▲日生まれの女性である。 原告は、平成29年2月14日、厚生労働大臣に対し、自身が20歳に到達した日である平成3年▲月▲日より前に初診日がある傷病により、障害の状態にあるとして、平成28年11月18日時点における現症が記載された診断書(以下「本件診断書」という。)を添付して、裁定請求日を受給権の発生日とする、20歳前事後重症の障害基礎年金の支給を求める旨の裁定請 求(以下「本件裁定請求」といい、その裁定請求日を「本件裁定請求日」という。)をした。 厚生労働大臣は、原告に対し、平成29年3月31日付けで、「請求のあった傷病(1型糖尿病)の請求日である平成29年2月14日現在の障害の状態は、障害年金1級又は2級の対象となる障害(国民年金法施行令別表に 規定)に該当しません。」として、障害基礎年金を支給しない旨の決定(本件処分。なお、そこで提示された上記理由を以下「本件処分理由」という。)をした(甲2)。 原告は、平成29年7月18日、本件処分を不服として、関東信越厚生局社会保険審査官に対し審査請求をしたが、同審査官は、平成30年1月30 日付けで、上記の審査請求を棄却する旨の決定をした。 原告は、平成30年7月27日、本件訴訟を提起した。 4 争点及び争点に関する当事者 査官は、平成30年1月30 日付けで、上記の審査請求を棄却する旨の決定をした。 原告は、平成30年7月27日、本件訴訟を提起した。 4 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は、①本件認定基準の合理性(争点)、②本件認定基準によっても原告の障害の程度が2級に該当するか(争点)、③理由付記の違法性(争点)、④本件義務付けの訴えの適法性及び本案要件充足性(争点)であり、 これらに関する当事者の主張の要旨は、別紙3記載のとおりである。なお、同別紙記載の略称は、本文中でも使用する。 第3 当裁判所の判断当裁判所は、本件認定基準は合理的なものと認められるものの、本件認定基準に沿って判断した場合、本件裁定請求日時点で原告の障害の状態については 障害等級2級に該当することから、これと異なる判断をして原告に障害基礎年金を支給しないとした本件処分は違法であって取り消されるべきであり、本件裁定請求日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金を受給する旨の裁定をする旨厚生労働大臣に命ずるべきであると判断する。その理由の詳細は、以下のとおりである。 1 争点(本件認定基準の合理性)について 本件認定基準の内容及び作成経緯ア本件認定基準は別紙2-6のとおりであるが、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、その具体的内容は以下のとおりであると認めることができる。 Cペプチドは、膵β細胞においてプロインスリンが分解され、インスリンが生成される際にできる物質であり、ほとんどが肝臓などで分解されないまま血液中を巡回する。このため、血液中のCペプチド値を測定することによって、間接的に内因性インスリンの分泌量を測定することができる。(乙14) にできる物質であり、ほとんどが肝臓などで分解されないまま血液中を巡回する。このため、血液中のCペプチド値を測定することによって、間接的に内因性インスリンの分泌量を測定することができる。(乙14) 日本糖尿病学会による1型糖尿病の診断基準では、内因性インスリン 分泌について、(空腹時)Cペプチド値が0.3ng/mL 未満である場合を内因性インスリンが枯渇した劇症1型糖尿病としている。この値が低いほど膵臓からのインスリン分泌量が欠乏しているため、インスリン治療における必要量が増え、血糖コントロールが難しくなる。(甲13、乙15、16) なお、Cペプチド値が基準値である0.3ng/mL よりも低い場合の評価として、Cペプチド値が0.2ng/mL 以下である1型糖尿病患者を、0.01ng/mL 以上群と0.01ng/mL 未満群に分けて病態比較を行った結果、この間に病型(劇症、緩徐進行、自己免疫性)、り病期間、年齢、性、HbA1c(過去1、2か月間の平均血糖値を反映する指標。乙2 2)の値、グリコアルブミン値及びグルコース値に差異は見いだせなかったという研究(平成20年大阪医科大学。乙17)がある一方、Cペプチド値は過去5年間のケトーシスによる入院、過去5年間の低血糖による入院、過去1 年間の重症低血糖、無自覚性低血糖、血糖日内変動と有意な負の相関があり、Cペプチド値0.1ng/mL 以下又は0.2ng/mL 以下が、重症度分類を考慮した「確実な」1型糖尿病診断基準となり得る(もっとも、今後更に多数例でこの値の妥当性を検証する必要がある、ともされる。)との研究(平成29年度厚生労働科学研究費補助金「1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に 更に多数例でこの値の妥当性を検証する必要がある、ともされる。)との研究(平成29年度厚生労働科学研究費補助金「1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究」班。甲46添付文献2、甲13)があ る。 インスリン療法で最も注意すべきことは低血糖の発生である。インスリン治療下では投与量の過多、食事時間の遅れ、食事量の不足、運動量、飲酒、入浴などによって低血糖症状を引き起こしやすいとされるが、低血糖になる原因や事情は患者ごとに異なる。低血糖の症状は、血糖値(正 常値は140~70mg/dL 程度)の低さの程度に応じて、「自律神経症 状(血糖70~55mg/dL 程度)」、「中枢神経症状(血糖50mg/dL 程度)」、「大脳機能低下(血糖30mg/dL 程度)」の順に進行する。(乙10、15) 糖尿病ケトアシドーシスは、1型糖尿病患者に主にみられ、インスリン注射を中断したときなど極端にインスリンの必要性が増加したときに 生ずる。また、高血糖高浸透圧症候群は、高齢の2型糖尿病患者が高血糖を来した場合に発症し、循環不全の状態になるものである。(乙9、10)イ本件認定基準の改定経緯(甲19、乙19) 改定前の基準 平成28年3月29日改正(同年6月1日施行。以下「平成28年改定」という。)前の障害認定基準によれば、血糖コントロールの良否については、インスリン治療時におけるHbA1c及び空腹時血糖値を参考とすることとされ、HbA1cが8.0%以上及び空腹時血糖値が140mg/dl 以上である場合は、インスリンを使用してもなお血糖コント ロールが不良なものであるとして3級と認定する旨定められていたが、上 され、HbA1cが8.0%以上及び空腹時血糖値が140mg/dl 以上である場合は、インスリンを使用してもなお血糖コント ロールが不良なものであるとして3級と認定する旨定められていたが、上位等級該当性を示唆する記載はなかった(乙2、19)。 平成28年改定時の議論の経過平成28年改定に当たり、平成27年9月から11月までにかけて専門家会合(障害年金の認定(糖尿病等)に関する専門家会合)が3回に わたって行われ、糖尿病における血糖コントロールの良否の判定基準をどのように見直すかという検討課題につき、血糖コントロールの良否の判定に引き続きHbA1cと血糖値の検査数値を用いることは適当か、これらを利用するとした場合に現行の基準で見直すべき点はあるか、これら以外に血糖コントロールが不良又は困難であることの判定に用いる 要素として考えられるものはあるかといった点が議論された。 その結果、血糖コントロールの良否を判定する指標として用いていたHbA1c値及び空腹時血糖値については、ある時点におけるHbA1c値や空腹時血糖値は、現在の障害の状態をダイレクトに反映しているものではないこと、HbA1c値を基準とすると、コントロールをしっかりやりながら不安定になっている者が除外されてしまうといった理由 から見直されることとされ、これらに代わって、①Cペプチド値及び②低血糖発作や急性合併症の所見を、インスリン治療下における血糖コントロールの困難さの判定の指標とすることが有用であるとされ、また、③平常時における日常生活の制限度合いも十分考慮して総合的に認定するとの観点から、一般状態区分表も踏まえて認定すべきとして、これら を用いた3級認定の基準が定められた。 一方、HbA1c値及び空腹時血 おける日常生活の制限度合いも十分考慮して総合的に認定するとの観点から、一般状態区分表も踏まえて認定すべきとして、これら を用いた3級認定の基準が定められた。 一方、HbA1c値及び空腹時血糖値については、診断基準からは外れたものの、診断書に記載がないのは違和感があり、また無自覚性低血糖の記述の信用性を判断するのに有意義であるという意見などがあり、引き続き診断書において記載すべき検査項目とされた。 また、専門家会合での議論においては、従来人工透析を受けている者を2級に該当しているとか、各内部疾患においては一般状態区分表のウ又はイが3級、エ又はウだと2級、オだと1級という例示をしているとの説明があった(いずれも別紙2-6の4項参照)上で、一般状態区分表のウ又はイが伴わないケースがあるとの意見も出たが、一般状態区分 があった方がより客観的に障害等級を評価しやすくなるとして一般状態区分が必要であるとの意見が出され、結果、一般状態区分表の位置付けも基準として用いることとされた。 さらに、2級及び1級といった上位等級該当性については、「症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認 定する。」とする部分が追加された。 (以上につき、甲19、24、38、39、乙1、13、20) 3つの指標の内容についてa 専門家会合では、認定の対象となる「必要なインスリン治療を行ってもなお血糖値のコントロールが困難」な状態にある糖尿病患者としては、内因性インスリンの分泌が枯渇している者、すなわち、Cペプ チド値については0.3ng/mL 未満の者が該当するとされ、3級認定の指標の1つとされた(乙13)。 b 専門家会合では、3級の基準として適当な低血糖症状の所 者、すなわち、Cペプ チド値については0.3ng/mL 未満の者が該当するとされ、3級認定の指標の1つとされた(乙13)。 b 専門家会合では、3級の基準として適当な低血糖症状の所見について、意識障害を伴う重症低血糖とした上で、頻度に関しては平均して月1回以上あれば、それは割と生活に支障を来すであろうと推定され るとの意見を踏まえ、意識障害を伴う重症低血糖の所見が月1回以上あることを3級認定の指標の1つとした(乙13)。 c 専門家会合では、適切なインスリン治療を行っているにもかかわらず、高血糖による急性合併症を十分に抑制できずに意識障害を繰り返すような場合には日常生活に支障を来すこと、糖尿病ケトアシドーシ スや高血糖高浸透圧症候群になると一般に入院加療を必要とするが、適切なインスリン治療下にあれば入院するような著しい高血糖症状が頻回には起こらないことから、これらによる入院が年1回以上ある場合を3級認定の指標の1つとした(乙13)。 本件認定基準の合理性について ア国年法施行令別表は、障害等級について定めているところ、中には障害等級該当の要件が比較的明確なもの(1級1号など)も存在するが、本件で問題になっている2級15号のように、その性質上具体的内容を明確にすることが困難であり、また、具体的な疾病の種類・性質や症状の具体的内容・程度、これらを判定するための具体的検査項目、基準、方法などに ついて定めがないものもある。そうすると、障害年金給付の客観性及び公 平性を確保するため、医学的知見に基づいて障害の認定等に関する統一的な基準を設ける必要があり、本件認定基準は、そのような観点から、専門家の意見を踏まえて作成されたものである。そして、本件認定基準の策定に当たって ため、医学的知見に基づいて障害の認定等に関する統一的な基準を設ける必要があり、本件認定基準は、そのような観点から、専門家の意見を踏まえて作成されたものである。そして、本件認定基準の策定に当たっては、様々な医学的知見が存在する中において、基準としての適合性・合理性を複数の専門家が専門的技術的に検討しており、その上で作 成された本件認定基準は、実際に障害認定において統一的な基準として用いられている。これらの点を考慮すれば、本件認定基準に具体的に不合理な点があるなど特段の事情がない限り、これに沿って障害等級該当性を判断すべきである。 イ前記のとおり、本件認定基準は、従来の血糖コントロールの困難性を 判断する上で、糖尿病学会等における所見や各種の研究結果を踏まえ、HbA1cや空腹時血糖値ではなく、Cペプチド値並びに重症低血糖及び急性合併症の頻度に着目して判定すべきという考えに加え、血糖コントロールが困難であったとしてもその具体的状況は患者によっても相当異なることなどから、上記指標だけではなく一般状態区分表をも利用することと したものであって、その考え方に不合理な点はない。A医師(B病院糖尿病内分泌代謝科・第三糖尿病科医長。以下「A医師」という。)の意見書(甲46)においても、3級該当性に関する指標についてはインスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患者の日常像と合致することを前提に、症状、検査成績及び具体的な日常生活によって等級が決定されるべきであり、3つ の指標のいずれかに該当するないしは該当しないことのみを根拠に自動的に等級が決定されたり、特定の等級から除外されたりする運用は合理的ではないと指摘されているところである(後記2キ)。 また、本件認定基準では、2級及び1級該当性についての具体的な指標 的に等級が決定されたり、特定の等級から除外されたりする運用は合理的ではないと指摘されているところである(後記2キ)。 また、本件認定基準では、2級及び1級該当性についての具体的な指標が設けられていないが、血糖コントロールがどの程度困難であるかどうか や、その場合に生ずる合併症を含む症状や日常生活の支障の程度等は様々 であり、これらに関係する事項も多種多様のものが考えられるから、上位等級該当性のための具体的な指標を定めることは困難であると解される一方、本件認定基準を見れば、具体的な状況によっては上位等級に該当する者がいることを当然の前提としていることが明らかである。本件認定基準自体からも、例えば、合併症が重篤である場合だけでなく、生活状況が 一般状態区分表上エやオに該当する場合には上位等級に該当することも容易に読み取れるものである。今後、研究等の進展によって、より具体的な指標を用いて上位等級該当性の判断ができるのであれば基準の明確性、客観性の観点からより望ましいことはいうまでもないが、本件証拠によっても、かかる具体的な指標を設けるまでの研究結果の蓄積や専門家による 議論が尽くされた事実は認められず、上位等級該当性を判断するためのより合理的な基準も見いだし難い。そうすると、本件認定基準に関して、上位等級該当性について基準としての一義性明確性を欠く部分があるとしても、諸般の事情を考慮しての総合的判断に委ねるべきという定め方をすることにも一定の合理性があるのであって、上位等級該当性を判断するた めの具体的な指標がないことをもって本件認定基準が直ちに合理性を欠くとはいい難いし、本件認定基準が上位等級該当性に関する基準を全く欠いているとか、上位等級該当性を想定していないということもできない。 な指標がないことをもって本件認定基準が直ちに合理性を欠くとはいい難いし、本件認定基準が上位等級該当性に関する基準を全く欠いているとか、上位等級該当性を想定していないということもできない。 そうすると、本件認定基準に合理性を欠く点はないというべきである。 原告の主張について ア原告は、本件認定基準は、社会内の障壁に対する支援の必要性について考慮されていない不合理なものであると主張する。 しかしながら、国年法は障害基礎年金の支給について「疾病にかかり、又は負傷し」との要件を定めており(30条1項等)、疾病や負傷の有無は、第一義的には医療的な観点から判断されることが想定されているもの と解され、国民年金法施行規則においても、裁定請求において医師又は歯 科医師の診断書を添付しなければならない(31条2項4号)とされている。一方、国年法、国年法施行令などの規定中には、社会的障壁の有無等を障害等級の判定において考慮することを想定した規定は見当たらない。 障害者基本法15条は、国に対して年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならないと定めているが、この規定が直ちに障害認定の基 準に社会的障壁の視点を取り入れることを要請しているものとは解されないから、本件認定基準がその障害等級該当性の指標として社会的障壁に関するものを取り入れていないとしても、法令に違反するものとはいえない。 また、上記のとおり、疾病や負傷という概念が第一義的には医療的観点から判断すべきものであることに加え、障害者の社会的障壁には障害の種 類や性質、年齢・性別・家族構成、障害を負った時期やそこからどの程度の年数が経過したかといった各障害者の個人的事情、地域・学校・職場の別やこれらによって異なる事物、制度、慣 障壁には障害の種 類や性質、年齢・性別・家族構成、障害を負った時期やそこからどの程度の年数が経過したかといった各障害者の個人的事情、地域・学校・職場の別やこれらによって異なる事物、制度、慣行、観念など様々な要素があり、その性質上、具体的な基準や指標を定めて評価・判断することになじまないものといわざるを得ないものである。そうすると、本件認定基準におい てこれらを考慮しないことが、憲法25条に反するとか合理性を欠くということはできない。 イ原告は、本件認定基準は、障害のある者が就労している状態にそぐわない時代錯誤の基準であると主張する。 しかしながら、国年法施行令4条の6、同別表は、1級9号の要件につ いて、「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であつて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」と定め、2級15号の要件については、「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認めら れる状態であつて、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著 しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定めており、本件認定基準はこれらの要件該当性を判断するための基準として定められているところ、上記法令上の要件に照らし、例えば、本件認定基準で用いられる一般状態区分表のオ又はエの内容が上記法令上の要件とかけ離れているとか不合理であるとは認められない。また、国年法施行令自体、障害等級 該当性について、機能障害(例えば視覚障害である1級1号や2級1号)のように日常生活の制約や就労への支障の有無を問わずに障害等級に該当すると定めているものもあり、障害の性 施行令自体、障害等級 該当性について、機能障害(例えば視覚障害である1級1号や2級1号)のように日常生活の制約や就労への支障の有無を問わずに障害等級に該当すると定めているものもあり、障害の性質によって法令上の要件自体も異なっているものであるから、他の障害者が障害認定を受けつつ就労ができているからといって、代謝障害に関する認定基準が不合理であるという ことにはならない。 ウ原告は、本件認定基準は、1級及び2級該当性の判断のために必要な基準を欠いていて、行政庁の恣意を許し、地域ごとの処分格差を生ぜしめる内容となっているから、憲法14条に反する不合理なものであると主張する。 しかしながら、上記で述べたとおり、本件認定基準は1級及び2級該当性に関する具体的な指標を欠いてはいるものの、1級及び2級該当性の基準を全く欠いているものではなく、また、具体的な指標を示すことが困難であることから、かかる定め方が不合理とはいえない。よって、本件認定基準が憲法14条に反する不合理なものということもできない。 エ原告は、代謝疾患に関する本件認定基準が、他の障害と異なり、区分ウに当たる場合について3級に該当するとしか規定していないため、区分ウに当たる場合に2級該当の認定をすることが極めて困難となっており、平等性・合理性を欠く、取り分け、てんかんに関する認定基準と意識障害の頻度において差異があることが不公平、不合理であると主張する。 しかしながら、本件認定基準は、糖尿病患者においてはインスリン治療 等による血糖コントロールによって日常生活に余り大きな影響が出ない者もいることなど、障害の性質の点も考慮して定められていることに加え、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては更に上位等級に認定す 血糖コントロールによって日常生活に余り大きな影響が出ない者もいることなど、障害の性質の点も考慮して定められていることに加え、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては更に上位等級に認定することとされていて、例えば一般状態区分表上の位置付けがウの場合であっても2級に該当され得ること、エやオの場合には上位等級に該当さ れ得ることが読み取れるから、本件認定基準の定めが不合理とまではいえない。また、糖尿病については血糖コントロールの困難度合いに着目してこれを障害等級の判定基準としており、外部の刺激なしに自発的に起こる発作を特徴とするてんかんとは病態が異なるのであり、単に意識障害の頻度等の差異をもって均衡を論ずるのは妥当ではない。 オ原告は、国年法施行令と特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令とは障害等級該当性に係る法令上の文言は同じであるにもかかわらず、両者の認定基準、特に一般状態区分表上の基準が異なることから、本件認定基準が不合理であると主張する。 しかしながら、特別児童扶養手当と障害基礎年金では支給目的や認定対 象が異なるところ、20歳未満の児童は同じ1型糖尿病であっても成人と比して血糖コントロールはより困難であることなどを考慮すれば、両者の認定基準の一般状態区分表上の位置付けを比較して、特別児童扶養手当の障害等級該当性が比較的緩やかなものに読める表現であり、実際に緩やかに認定している実態があったとしても必ずしも不当ではなく、障害等級該 当性に係る法令上の文言が同一であることなどから、直ちに特別児童扶養手当の2級と障害年金の2級の障害認定基準を全く同じにすべきであるとか、同程度のものと解釈すべきであるとはいえない。 カ原告は、1型糖尿病患者の特徴に鑑みると、同患者を一般状態区分表に 別児童扶養手当の2級と障害年金の2級の障害認定基準を全く同じにすべきであるとか、同程度のものと解釈すべきであるとはいえない。 カ原告は、1型糖尿病患者の特徴に鑑みると、同患者を一般状態区分表に定める特定の状態に固定化することは困難であり、一般状態区分表を用い ることを要求することに合理性がないと主張する。 しかしながら、一般状態区分表は、裁定請求者がその主張する障害によってどの程度日常生活に影響が出ているかをおおまかに区分するものであり、疾病の性質によっては検査の数値その他の医療的指標だけでは障害の程度を十分に把握しきれないものがあることからすれば、そのような場合に日常生活の影響等の状況を医師が評価して、判定の材料にすることは合 理的である。そして、1型糖尿病は、血糖コントロールが困難であることに着目して障害認定がされるものであるが、検査数値から直ちに日常生活への支障が把握できるものではないことからすると、障害による具体的な生活状況への影響を判断する上で、一般状態区分表を用いて判定をすることには合理性がある。また、特定の部位の欠損障害や機能障害のようなも のを除けば、症状の発現やそれによる日常生活の支障の程度には幅があるものであるが、これらの幅も含めてその支障の全体的概括的な程度を把握するためには、一般状態区分表を用いることはなお有用というべきである。 そうすると、症状の発現の有無・程度によって生活への支障に大きな幅があるから一般状態区分表を用いるのは不適当であるとの原告の指摘は、当 を得たものとはいえない。 小括よって、本件認定基準が不合理ということはできないから、原告の障害等級該当性については、本件認定基準に沿って判断すべきである。 2 争点(本件認定基準によっても原告の障害 えない。 小括よって、本件認定基準が不合理ということはできないから、原告の障害等級該当性については、本件認定基準に沿って判断すべきである。 2 争点(本件認定基準によっても原告の障害の程度が2級に該当するか)に ついて認定事実等前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア原告の生活歴(甲1の3、29、56) 原告は、昭和46年に新潟県内で出生した女性である。原告は、昭和 51年頃、水ぼうそうにり患した後、喉の渇きやだるさを感じて受診したところ、小児糖尿病と診断され、インスリン注射等を受けるようになった。 原告は、小学校に入学後、昼食前と就寝前にインスリンの注射を打ち、学校給食ではなく弁当を持参し、体育の授業は見学が多かった。2、3 年ごとに入院するほか、1か月に1回通院し、1日7回血糖値を測定していた。5年生の修学旅行時には、原告の親が現地に同行して注射を打ちに来た。一時、注射治療を中断した際には、すぐに体調を崩し注射治療を再開した。 原告は、高校に進学したが、医師から20歳まで生きられないといわ れており、勉強も何もする気がなく家出をし、東京に行きアルバイトで生活をしたが、給料日前にインスリンがなくなり、救急搬送されて1か月入院することになった。新潟県の自宅に戻って通院治療を再開したが、高校は1年で退学した。 原告は、高校退学後、新潟県内の衣料品店でアルバイトを始めた。接 客業のため食事時間が遅れることが多く、たびたび低血糖昏睡を起こした。病院から事務職を勧められたが同県内では見つからないため、再度上京して仕事を探した。病気があることを告げると事務職は不採用になることが続いたため、病気を隠して印刷会 、たびたび低血糖昏睡を起こした。病院から事務職を勧められたが同県内では見つからないため、再度上京して仕事を探した。病気があることを告げると事務職は不採用になることが続いたため、病気を隠して印刷会社に就職したが、病気のことが周囲に知られないように昼食前の注射が打てず、高血糖が続いた。そ のため、白目にいぼができ目が閉じられなくなったり、両足がつって歩けなくなったり、両手の指が固まったまま開けなくなるなどの神経障害が出て、就職6か月後には入院を勧められた。当初2週間の予定であったが長引いたため、退職せざるを得ず、地元に戻ることとなった。 原告は、地元のレンタルビデオ店でアルバイトをしたが、接客業のた め食事時間を固定することが難しかった。そこで、事務職として採用さ れるため、東京に上京して大学入学資格検定の取得を得ることとした。 原告は、23歳のとき婚姻し、妊娠したが流産した。当時の主治医の方針でHbA1cを低く抑えようとしたが、頻繁に低血糖昏睡を起こすようになった。会社勤めであった夫は、原告の介護のため自営業となったが、収入が激減し、医療費や生活費により借金が増えるなどして夫婦 間でのトラブルが絶えず、離婚するに至った。 原告は、平成13年にC(夫)と再婚した。その際、夫と話し合い、体力的な不安もあり、育児が困難であることから、子を持つことはしないこととした。原告は、再婚前からDクリニックでアルバイトをしていたが退職し、その後は市場調査会社の下請会社でアルバイトをしたが、 不規則な勤務で定期受診のキャンセルや予約の変更が続いた。このような生活を経て、平成18年に現在の職場であるNPO法人Oに就職した(仕事の状況や配慮については後記エのとおり)。(甲1の3、54、55、原告本人) 期受診のキャンセルや予約の変更が続いた。このような生活を経て、平成18年に現在の職場であるNPO法人Oに就職した(仕事の状況や配慮については後記エのとおり)。(甲1の3、54、55、原告本人)イ平成28年頃における原告の血糖コントロールの方法、対処 原告は、1日数回程度(起床時、食前、就寝前が多いがそれ以外のときもある。)、指に針を刺して出た血をチップに吸わせて血糖測定器にかけて血糖値を測定していた。その結果は、医師とも共有するため、e‐SMBG(判決注:SMBGは血糖自己測定と同義)というアプリを用いて記録されている。同アプリには血糖値のほかにも備忘のための記 録をすることができ、原告は、食事の内容、その食事の炭水化物の量をこのアプリを用いて記録していた。この記録は、原告が自ら測定した結果を反映したものであるから、低血糖によって原告の意識がない場合などには、記録が測定されないことがある。(甲35~37、44、50、乙22、原告本人) 原告は、平成14年頃から、インスリンポンプを利用してインスリン を体内に注入していた。これには、24時間恒常的に投与されるもの(ベーサル)とその他に高血糖の場合に追加で投与するもの(ボーラス)がある。インスリンポンプを利用することでインスリン製剤を注射よりも微小な単位で投与でき、血糖値の変異の予想をすることもできるというメリットがある一方で、カニューレが外れやすく、カニューレが外れる と直ちに高血糖の症状が出る。 また、血糖値の状態やインスリンの効果は、食事、運動、仕事などの外出の有無などその他の状況や生活環境、カニューレの交換などによって左右されることから、血糖値を十分にコントロールすることは困難で、インスリンの効き過ぎにより低血糖になるこ 、食事、運動、仕事などの外出の有無などその他の状況や生活環境、カニューレの交換などによって左右されることから、血糖値を十分にコントロールすることは困難で、インスリンの効き過ぎにより低血糖になることも多かった(その具体的 な回数等は後記オのとおり)。平成28年1年間において、高血糖値が測定されたことからインスリンの効きが悪いことを予測して行われたカニューレの交換は、月に1回もないこともあるが、多い時は6~7回(平成28年4月)に及ぶこともあるなど、ばらつきがある。 (以上につき、甲1、20、36、44、47、50、原告本人) 低血糖になると、原告はブドウ糖、角砂糖、ジュースなどを補食して血糖値を高くすることになるが、意識や体力の回復にはある程度の時間がかかる。また、重度の低血糖になると昏睡状態に陥るため、自ら補食等の措置をとることはできず、夫が補食させるなどの措置を取らないと命に関わる事態となる。実際、原告は、平成13年7月に病院に救急搬 送されたことがある。(甲1の4、44、47、50、54、証人C、原告本人)ウ日常生活(主に家庭)と食生活、外出等ができないこと 原告及び原告の夫はいずれも1型糖尿病の患者である。もっとも、原告の夫は体内で若干のインスリンを作ることができるため、体内でイン スリンを作ることが全くできない原告の方がより重度である。(甲54、 証人C) 原告の夫は週5~6日勤務をしているのに対し、原告は週2日勤務であることから、原則として原告が家事をすることとされているが、原告は朝に低血糖で調子が悪いことが多いほか、1日の大半を横になっていることもあるため、夫が食事その他の日用品を購入したり、コインラン ドリーを利用して洗濯をしたりするなど こととされているが、原告は朝に低血糖で調子が悪いことが多いほか、1日の大半を横になっていることもあるため、夫が食事その他の日用品を購入したり、コインラン ドリーを利用して洗濯をしたりするなどしている。ただ、原告の夫も1型糖尿病であることから家事全般をすることは負担が大きく、結果、掃除などは行き届いていない状況にある。また、原告夫婦は今後高齢になるに従い、負担が重くなることに大きな不安を抱いている。(甲1の3、47、54、証人C、原告本人) 上記のような状態にあるため、仕事以外の用事で外出が続くと体力面での負担が大きいことから、原告夫婦は仕事がない日であっても外出することはほとんどない。また、原告は仕事がない日でも食事の購入など必要最低限の外出しかせず、体力を損なわないように心掛けながら自宅で過ごしており、体力温存目的のものも含めると、1日の大半横になっ ている日が、多いときで月に10日前後に及ぶ。(甲47、54、証人C、原告本人)エ就労条件、状況、職場の特殊性、職場での配慮など 原告は、平成18年以降、Oの権利擁護センターの相談員として就労している。Oは、昭和▲年に正式発足したNPO法人で、障害者の権利 条約の完全実施、国内法整備に向けたビジョンの制定など障害者の権利擁護等に関する活動に取り組んでおり、原告を含め、期間の定めのない労働契約を締結する職員や相談員は全員障害者である。原告の仕事内容は、障害者からの相談業務である。契約書上の条件は週2日、午前10時から午後6時までの休憩1時間を挟む7時間勤務であり、給与は月1 0万円とされており、最近は一応水曜日と金曜日が出勤日となっている。 その後、原告は勤務先から勤務日を週2日より更に増やすことについての提案を受けたところ、 時間勤務であり、給与は月1 0万円とされており、最近は一応水曜日と金曜日が出勤日となっている。 その後、原告は勤務先から勤務日を週2日より更に増やすことについての提案を受けたところ、原告夫婦の経済状況から収入を増やす必要はあったものの、体力的に困難であることから、現在に至るまで週2日勤務を続けている。(甲9、31、32、55、証人E、原告本人) 原告は、早朝から体調が悪いことが多く、その回復を待ってから出勤 するため、大部分の勤務日では午後あるいは夕方から勤務をしていた。 また、体調がすぐれない日は休みとし、別の日に仕事をすることも多い。 原告は、仕事中に休憩をする場合や、仕事後帰宅することについて体力的に不安がある場合には、職場にある簡易ベッドを利用することが認められていることから、出勤が遅くなったために夜遅くに仕事をしたとき や疲労で帰宅できない可能性があるときに、職場で宿泊したことが平成28年1年間で少なくとも15回以上はあったほか、急に欠勤したり予定していた相談時間に遅れたりすることも頻繁にあった。(甲32、47、証人E、原告本人) 上記のような事情にかかわらず、原告が柔軟な働き方によって勤務を 継続することができる理由は、就労先であるOが障害者の権利擁護のために活動する組織であり、他の勤務している者も全員障害者であって、原告の障害についても理解があること、相談業務の相手方である相談者も障害者であり、相談者の理解が得やすいことによる(甲55、証人E)。 オ低血糖及び高血糖の発現状況、頻度 原告は、平成28年1月から平成29年3月までの間(測定期間)、平成28年1月17日、同月31日、同年4月11日、同月30日、同年5月6日、同月9日、同年7月10日、同月29日、同年 原告は、平成28年1月から平成29年3月までの間(測定期間)、平成28年1月17日、同月31日、同年4月11日、同月30日、同年5月6日、同月9日、同年7月10日、同月29日、同年10月3日、同月23日、同年11月14日、同年12月29日、平成29年1月6日、同月14日、同月22日、同年2月1日の合計16回、低血糖によ る昏睡状態に陥った(甲31、36、47)。上記のうち平成29年2 月1日については、血糖値の測定値(甲36)では重症低血糖(54以下)に至っていないが、e-SMBGのメモ(甲36)及びメール(甲31)の記載から昏睡があったと認められる。 に挙げた日のほか、原告が測定期間内に、血糖値の測定ができていないことなどの理由から、昏睡の裏付けまではないものの少なくとも血 糖値の異常により極度の体調不良に陥っていたものと推認される日が、平成28年2月6日、同月13日、同月16日、同年3月13日、同月28日、同年5月3日、同月5日、同年7月3日、同年8月22日、同月23日の合計10回ある(甲47)。 前記及びに挙げた日を含め、昏睡状態には陥っていないものの血 糖値が昏睡を生ずるほどの重症低血糖値とされる54以下の血糖値が測定された日は、測定期間内に84日ある(甲36、乙22)。 原告の血糖値が1型糖尿病でも重症の者が達するとされる300以上となった日が、測定期間内で81日ある(甲36、乙22)。 原告の1日の血糖値の変動が70を超える日は、少なくとも1日に2 回測定をした日だけで、測定期間内で243日に及ぶ(甲36)。 カ裁定請求時における診断書の記載内容本件裁定請求において、原告が提出した診断書(本件診断書)には、要旨、下記のよ 回測定をした日だけで、測定期間内で243日に及ぶ(甲36)。 カ裁定請求時における診断書の記載内容本件裁定請求において、原告が提出した診断書(本件診断書)には、要旨、下記のような記載がある(甲1の2、乙22)。 記 「① 障害の原因となった傷病名」 1型糖尿病 「② 傷病の発生年月日」 昭和51年 「③ ①のため初めて医師の診察を受けた日」 昭和51年 「④ 傷病の原因又は誘因」 不明 「⑤ 既存障害」 左上腕骨折 「⑥ 既往症」 糖尿病性昏睡、低血糖昏睡、右腎膿瘍、低血糖不感 受性 「⑦ 傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む。)かどうか。」「傷病が治っていない場合・・症状のよくなる見込」 無「⑧ 診断書作成医療機関における初診時所見初診年月日(平成1 3年11月20日)」H13年11月20日急性咽頭炎で初診。H14年3月19日 HbA1c(JDS)6.8% 血糖値95mg/dl 「⑨ 現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項」S51年多飲、ぐったりしていることでF病院受診し、即入院。1型 糖尿病ということでインスリン治療を開始継続。H6年G医大で、H13年よりH病院で1型糖尿病と診断され、インスリン強化療法を行った。 G医大時代は年に5~10回昏睡(低血糖、高血糖)で急救(判決注:原文ママ)搬送された。H14年よりI病院にてCSIIを開始、H15年3月より当院にてCSIIを管理、HbA1cは6.2~7.2% と良好も、低血糖時には動けず、御主人よりグルコース 判決注:原文ママ)搬送された。H14年よりI病院にてCSIIを開始、H15年3月より当院にてCSIIを管理、HbA1cは6.2~7.2% と良好も、低血糖時には動けず、御主人よりグルコースなどを口に入れてもらう状態である。 「⑪ 一般状態区分表(平成28年11月18日)」ウ歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているも の。 「⑭ 糖尿病(平成28年11月18日現症)」a 「病型」 1型糖尿病b 「検査成績」 検査日H28.5.27H28.9.21H28.11.18 検査項目 HbA1c(NGSP)(%)6.76.46.2空腹時又は食後血糖値(mg/dl)食後4 時間食後7 時間食後4 時間 各検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を実施している。 〇〇〇「空腹時又は随時血清Cペプチド値(ng/mL)」 随時<0.1(検査日H28.11.18)c 「治療状況」「インスリンによる(薬剤名)」CSII(ポンプ治療)(薬剤名ヒューマログ)23-35単位 /日,2-6回/日,0.42~0.64単位/㎏(体重)⒝ 「インスリン以外の治療による(具体的な治療)」なしd 「血糖コントロールの困難な状況」「意識障害により自己回復ができない重症低血糖」有(20回/年) ⒝ 「糖尿病ケトアシドーシスによる入院」 無⒞ 「高血糖高浸透圧症候群による入院」 無⒟ 「所見」①(判決注:)はS63年より有り。②(判決注:⒝)はS61年 20回/年) ⒝ 「糖尿病ケトアシドーシスによる入院」 無⒞ 「高血糖高浸透圧症候群による入院」 無⒟ 「所見」①(判決注:)はS63年より有り。②(判決注:⒝)はS61年より有り。H6年からのG医大の時には1年に5-10回①② で救急搬送された。H14年にCSIIが導入された後は救急車の利用をしなくてもすんでいる。但、現在も夫が起床時声をかけたり、 発汗状態を確認し、返事がない時にはブドウ糖を食べさせている。 e 「合併症」「眼の障害」 無(H25年7月は単純性網膜症(両)を認めた)⒝ 「神経系統の障害」 有(ATR-/-、低血糖症状が乏しい。 低血糖・高血糖時動けずボーとしている。睡眠が浅い一方、目ざま しを4つかけても起きれない。)⒞ 「肢体の障害」 無「⑮ その他の代謝疾患(平成28年11月18日現症)」糖尿病網膜症はH7年より単純性網膜症。H25年7月時点でも網膜福田分類AⅡであった。H28年では消失。H27年7月糖尿病性歯周 病、根尖性歯周炎、歯槽膿漏。腎膿瘍:H24年3月WBC(判決注:白血球数)12320、CRP(判決注:C多糖体反応性たんぱく)22、21を示し、J病院にて右腎膿瘍と診断され10日程で治ユした。 腋窩カンジダ症:H28年9月~10月「⑯ 現症時の日常生活活動能力及び労働能力」 HbA1cは良好であるが,日常生活での血糖動揺は著明。炭水化物量もチェックして食事療法を行っているが、それでも高血糖(250~400㎎/dl)となり、疲労感が強い。一方、洗濯などの家事労働でも低血糖気味(血糖35-55㎎/dl)となり、50g 程のブドウ糖が必要となることが多い。低血糖となると動けず、ボーとした状態が続き、独力 で起床できないことも 。一方、洗濯などの家事労働でも低血糖気味(血糖35-55㎎/dl)となり、50g 程のブドウ糖が必要となることが多い。低血糖となると動けず、ボーとした状態が続き、独力 で起床できないことも多々有り、定期通院(勤)が必要な職は難しい。 「⑰ 予後」HbA1c、一般的な合併症が良いわりに、低血糖、高血糖時の何もできなる(判決注:原文ママ)状態が多い。これは、若い時から多数の昏睡を経験したことから脳機能が低下していると考えられる。現在も日 常生活が乱れており、将来的には脳障害が前面に出てくる可能性が高い。 キ意見書等 原告の主治医であるK医師(Dクリニック。以下「K医師」という。)は、原告について、合併症等の症状が軽いのに比して、重症低血糖の回数が多く、昏睡に至ることが多いのが特徴である、原告は本件裁定請求時には連続血糖モニター(以下「CGM」という。)を利用していなか った、原告が長らくの1型糖尿病の影響から、低血糖時の自覚がなく、無自覚のまま低血糖上になるため対応ができず、重症低血糖になってしまうと考えられる、重症低血糖時に意識を失ったり、そこまで至らなくても倦怠感等から家事や通勤等の日常生活すら送れなくなり、そのような状態は一般状態区分表上のエやオに該当する、社会的にはこの ような不規則な状態で勤務する者を受け入れる余地はまずないとする(甲43、53)。 A医師は、①インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患者は日常生活において、医療的緊急症に陥る危険性とこれに対する不安を常に抱えている、②3つの判定基準は、インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患 者の日常像と合致する、③高血糖や低血糖が生ずれば、それぞれに対して時間をとって対処をする必要性が生じ、それ る不安を常に抱えている、②3つの判定基準は、インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患 者の日常像と合致する、③高血糖や低血糖が生ずれば、それぞれに対して時間をとって対処をする必要性が生じ、それら状態に随伴する症状は、高血糖や低血糖が解消してもすぐさまには消失せず、少なくとも時間の単位を要する、④インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患者でも、疾患と治療に伴う医療的緊急事態が発生する頻度やそれらが個々人の 日常生活にどれだけ影響を及ぼすかは異なるため、「症状、検査成績及び具体的な日常生活状況」によって等級が決定されるべきである、⑤インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患者の多くは日常的な状態の変化が大きく、その対処が日常生活に与える影響が大きいため、一般状態区分のウないしオに該当し、実際に重症低血糖に陥った場合にはエ又は オの状態にあるから、1型糖尿病患者の一般状態区分はウないしオの いずれかの状態に固定化されるものではなく、本件認定基準がそのどれかに特定することを要求するのであれば、本件認定基準は1型糖尿病患者に適合しない、などとする(甲46)。 L医師(M病院糖尿病センター長、元N大学医学部内科学講座糖尿病代謝内分泌内科学部門教授・診療科長。以下「L医師」という。)は、 ①1型糖尿病はインスリン治療により予後が大幅に改善し、主治医の指導のもとで適切なインスリン療法を実践すれば、合併症を抑えて、健康な者と遠くかけ離れない寿命と生活の質の向上を達成できる、②1型糖尿病患者の中には、日内変動の大きい血糖の微調整が奏功せず、高血糖や低血糖を繰り返す患者が一定数いるが、多くの1型糖尿病患者 は、自身の低血糖の症状を熟知し、低血糖の前兆があるとブドウ糖をとるなどして重症低血糖を回避しており、こうしたイン 奏功せず、高血糖や低血糖を繰り返す患者が一定数いるが、多くの1型糖尿病患者 は、自身の低血糖の症状を熟知し、低血糖の前兆があるとブドウ糖をとるなどして重症低血糖を回避しており、こうしたインスリン療法と血糖値測定の煩雑さや低血糖への応急対応を除けば、2型糖尿病患者や健常者と同様な日常生活を営んでいる、③重症な1型糖尿病患者は、血糖コントロールが極めて困難であり、血糖値が50以下や300以上 が一日の中で頻繁に認められ、合併症も多いが、こうした重症患者であっても、十分な自己管理の下で昏睡が起きなければ目立った自覚症状はないことから、日常生活上の活動能力が著しく制限されるようなことは少なく、おおむね就労は可能である、④原告は、CGMやインスリンポンプを使用し、適宜注入量を調節してインスリンを投入しており、 きめ細かい治療が施されている、⑤原告が主張する意識障害を伴う重症低血糖の中には血糖測定値で裏付けのないものがあり、これが年20回あることは確認できない、⑥原告の場合、低血糖になると、眠気や強い脱力、めまい、強い疲労感といった中枢神経症状が起こりやすいようであるが、ほとんどは補食等の自己対処によって回復できているか ら、更に進んで昏睡となり自己回復できない状態にまで至ることはそ う多くないと思われる、⑦血糖変動に伴う症状は長時間続くものではなく、血糖値の日内変動が大きいことが原因となって一日中体調不良を訴えることは少ないと思われ、低血糖に伴う眠気や強い脱力等は補食によりすぐに消え、血糖値が回復して中枢神経症状が回復する時間は長くても30分以内であって、適切に補食をしてもなお、こうした症 状が長く続き1日のほとんどを横になって過ごさなければならないとは通常考え難い、⑧原告のように適切な治療を受けている 復する時間は長くても30分以内であって、適切に補食をしてもなお、こうした症 状が長く続き1日のほとんどを横になって過ごさなければならないとは通常考え難い、⑧原告のように適切な治療を受けている者が、1日のほとんどを横になって過ごすなどということはまれであり、むしろ長年の糖尿病歴があることから自律神経失調症やうつ病などが合併したと考える方が原告の述べる状態に合致する、⑨1日のほとんどを横に なって過ごすとしても、身の回りのことが全く自力でできなくなるという状態ではない、などとする(乙22)。 原告の供述等の信用性についてア前記の認定に係る事実のうち、被告は、特に原告の日常生活の状況に関する供述部分の信用性を争っている。 イ上記のとおり、原告は、毎日数回にわたり血糖値を測定しe-SMBGを利用して記録をしていた上、血糖値の測定記録のほかに、主治医との情報共有のために食事の内容等を記録し、仕事に関しては出勤簿やメールなどの客観的資料が残っていたことからこれらの資料を基に記憶を喚起したと説明している(甲50)。その説明内容を踏まえて、陳述書(甲47) の説明と資料(甲31、32、36、39)を照合すると、原告の日常生活のパターンに基づいて記憶を喚起することは十分可能であると解されるから、原告の供述は血糖値の測定記録以外の裏付けを有しているといえる。また、その供述内容は、原告の生活状況や勤務状況などに関して、証人Eや証人Cの供述とも整合している。 加えて、原告の血糖値の変動が大きいことやそのコントロールが困難で あることは、測定記録そのものに加え、カニューレの交換回数が不規則であることや、出勤時間を遅くしたり、急に勤務を休みにしたりしている日があること(原告が、体調悪化と そのコントロールが困難で あることは、測定記録そのものに加え、カニューレの交換回数が不規則であることや、出勤時間を遅くしたり、急に勤務を休みにしたりしている日があること(原告が、体調悪化という理由もなく定められた出勤日や出勤時間を変える理由は見いだし難い。)などからも十分にうかがえるところである。このような血糖値の変動の大きさ、コントロールの困難さに加え、 昏睡に至らない程度の低血糖状態の回数や300を超える高血糖値を測定する回数の多さ(認定事実オ及び)に照らすと、上記認定に係る日時・回数程度の重度低血糖昏睡又はそれに準ずる体調不良が起きることは不自然とはいえない。 そして、被告が特に争う原告の日常生活の状況(例えば、一日の大半を 横になっているとする部分)に関する点について、原告は平成24年当時にテレビ東京のニュース番組で取材を受けた際にも同様の発言をしていた(甲34)し、原告が長らくの1型糖尿病の影響から、低血糖時の自覚がなく、無自覚のまま低血糖になる(なお、G医大糖尿病センターの調査においても、1型糖尿病患者の約52%が無自覚性低血糖を経験してお り、HbA1cが7%未満で血糖変動が大きく、診断時年齢の若い1型糖尿病患者で無自覚性低血糖のリスクが高いとされている。甲16)ため対応ができず、重症低血糖になってしまうと考えられ、重症低血糖時に意識を失ったり、そこまで至らなくても倦怠感等から家事や通勤等の日常生活が送れなくなるとの主治医であるK医師の説明(認定事実キ)や、高 血糖や低血糖が生ずれば、それぞれに対して時間をとって対処をする必要性が生じ、それら状態に随伴する症状は、高血糖や低血糖が解消してもすぐさまには消失せず、少なくとも時間の単位を要する旨のA医師の説明があること(同)に加え、 ぞれに対して時間をとって対処をする必要性が生じ、それら状態に随伴する症状は、高血糖や低血糖が解消してもすぐさまには消失せず、少なくとも時間の単位を要する旨のA医師の説明があること(同)に加え、実際、原告の血糖値の変動が激しいことに照らせば、なお信用することができるものというべきである。 ウこれに対し、L医師は、原告には無自覚性低血糖が少なく補食等による 血糖コントロールができている、血糖変動に伴う症状は長時間続くものではなく、血糖値の日内変動が大きいことが原因となって一日中体調不良を訴えることは少ないと思われ、低血糖に伴う眠気や強い脱力等は補食によりすぐに消え、血糖値が回復して中枢神経症状が回復する時間は長くても30分以内であり、適切に補食をしてもなおこうした症状が続き 1日のほとんどを横になって過ごさなければならないとは通常考え難いなどと指摘している。しかしながら、実際の測定値(特に低血糖の回数・頻度)を見る限り、原告が十分に血糖値をコントロールできていたとは考えられず、特に、原告の低血糖が意識的に血糖値をコントロールすることができない睡眠後(起床時)によくみられる(甲36)ことや、L医師は 原告本人を直接診断したものではなく、限定された情報からの意見にとどまること、L医師の意見はその前提とした原告の血糖測定方法(CGMの使用)についての認識に一部誤りがあること(認定事実キ)などを考慮すると、L医師の上記意見を踏まえても、原告の状態に関する前記認定は直ちには左右されないものというべきである。 以上の点を考慮すると、原告の陳述書の記載内容はおおむね信用できるものというべきであるから、少なくとも、上記の範囲ではこれに沿う認定をすることができる。 上記の認定事実を踏まえ、原告が2級 以上の点を考慮すると、原告の陳述書の記載内容はおおむね信用できるものというべきであるから、少なくとも、上記の範囲ではこれに沿う認定をすることができる。 上記の認定事実を踏まえ、原告が2級に該当するか否かについて検討する。 ア本件認定基準によれば、糖尿病を原因とした障害等級が2級に該当するためには、3つの指標のいずれかに該当し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当することをもって3級に該当するとした上で、①「症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によって」認定するか、②糖尿病により網膜症、壊疽、神経障害、腎疾の合併症が生じた場合において、それぞれ 各部位の障害の2級の基準に合致するときに認定するものとされる。 本件診断書(甲1の2)の記載及び弁論の全趣旨に照らせば、原告は3つの指標のうちCペプチド値及び意識障害を伴う重症低血糖の頻度の2つの指標を満たし、かつ、原告が一般状態区分表上少なくともウに該当することから、原告は3つの判断基準のうち2つを満たしていると認められる。 一方、原告が、上記②(個別の合併症による障害)によって2級に該当す るとは認められない。 よって、以下、原告の一般状態区分表上の評価を検討した上で、上記①の観点から上位等級に認定する可能性があるか否かを判断する。 イ一般状態区分表上の評価について前記ウ及びエで認定したとおり、原告は、週2日、障害者を相手とし た相談業務に従事しており、その他の日は横になっている日も多いが、買い物で外出をしたり家事をしたりする生活をしていることが認められる一方、平均すると月に1回程度は意識障害を伴う重症低血糖を起こし、それとほぼ同回数程度、低血糖による意識障害又はそれに準ずるほどの状態に陥るところ、そのような状態になると をしていることが認められる一方、平均すると月に1回程度は意識障害を伴う重症低血糖を起こし、それとほぼ同回数程度、低血糖による意識障害又はそれに準ずるほどの状態に陥るところ、そのような状態になると回復するのに時間を要することが ある。また、このような場合の補食等のほか、日常家事の相当部分について夫の補助を得ているところである。 これらを一般状態区分表に当てはめると、「身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要」であるに該当するが、「日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの」 には明らかに該当しないから、本件裁定請求時点における原告の状態は、一般状態区分表のエの状態にまでは至っておらず、ウにとどまるものというべきである。 ウ症状及び検査成績原告の日常の血糖値の推移及び意識障害を伴う重症低血糖の結果は認定 事実オのとおりであり、取り分け意識障害を伴う重症低血糖が平成28年 1月から平成29年3月までの間に16回、これに準ずるほどの体調不良が同期間に10回起き、血糖値が54以下の低血糖が上記を含めて84日に及び、逆に著しい高血糖(300以上)も81日に及び、それぞれ高頻度である。原告は、医師の指示に従い、毎日血糖値を測定しているほか、食事の内容などもこまめに記録し、高血糖の際には追加のインスリン(ボ ーラス)を投与したり、低血糖の場合には補食を行ったり、インスリンの効きが悪い時にはカニューレを交換するなど、必要かつ適切な血糖コントロールの措置を講じている(認定事実イ)。しかしながら、原告のCペプチド値が0.1ng/mL 未満でインスリンの分泌が全くできない状態であることや、インスリンの効きが食事、運動、仕事などの外出の有無やカニュ じている(認定事実イ)。しかしながら、原告のCペプチド値が0.1ng/mL 未満でインスリンの分泌が全くできない状態であることや、インスリンの効きが食事、運動、仕事などの外出の有無やカニュ ーレの交換によって影響される(認定事実イ)ことなどから血糖コントロールが非常に困難な状態にあり、医師の指示を踏まえてインスリン量を調整しても、前記のとおり、長期間にわたり血糖値の変動幅が大きく、血糖値が高くなったり、逆に重症低血糖が生じたりしている。また、障害等級に認定されるに至らない程度のものではあるが、過去には網膜症、歯周 病、腎膿瘍などにり患したことがある(認定事実カ)ほか、1型糖尿病を隠して仕事をし、インスリンを十分に投与していないときには高血糖による合併症等が出現したこともあった(認定事実ア)。 なお、原告の本件裁定請求直前期のHbA1cは6%台(認定事実カb)で1型糖尿病患者としては安定しているものと評価できるが、同値は 飽くまで1か月の平均値であり、血糖値の変動幅や血糖コントロールの困難さを直接示す指標ではなく、実際、改正された認定基準からも同値による判定はされないこととなっている(前記1イ)し、現実の血糖測定値を見る限り、HbA1cの値の相対的安定と原告の血糖値の変動の大きさは到底見合っていないということができるから、HbA1cの値をもっ て、原告の症状が軽微であるとか安定しているなどと評価することは相当 でない。 エ日常生活状況 原告は血糖値の変動幅が大きく、また、低血糖に陥ると補食をしても容易に体調が回復しないことから、必要最低限の外出しかせず、体力を損なわないように心掛けている(認定事実ウ)。そのため、血糖コン トロールの困難性により、検査結果及び具体的な症状 補食をしても容易に体調が回復しないことから、必要最低限の外出しかせず、体力を損なわないように心掛けている(認定事実ウ)。そのため、血糖コン トロールの困難性により、検査結果及び具体的な症状には表れていないところで、障害を有していない者と比較して大きな制約を受けている。 また、原告は、夫よりも勤務日が少ないため家事を行うこととしているものの、体力的に十分に家事をこなすことができず、夫に援助してもらうことが多い(認定事実ウ)。また、原告は体力的な不安等もあり、 夫と協議して子を持つことをあきらめており(認定事実ア)、これらの点も1型糖尿病による制約ということができる。 原告は平成18年以降Oの相談員として就労しているが、経済的な理由から収入を増やす必要はありつつも、週2日から更に勤務日を増やすことはできないなどの制限を受けている(認定事実エ)。また、原告 は週2日勤務を行い月10万円の収入を得ているが、欠勤や遅刻もあり、必ずしも定められた条件どおりに勤務ができているわけではない(同)。実際、原告は学校に通っていたころから様々な制約を受けていた上、Oで就労をする以前は他の様々な仕事を経験したが、勤務時間を柔軟に変更することができず、また、食事が不定期になったりして血糖コ ントロールができず、入院をしたり、病気のことを隠したり、そのため高血糖による合併症に苦しむなどして満足に仕事ができない時期も多く、現在就労が継続しているのは、勤務先の理解があることによるものである(認定事実ア、、及び、エ)。 オ総合評価 前記アのとおり、原告は3級該当性を判定する3つの指標のうち2つ を満たしている。本件認定基準は1つの指標を満たしていても3級に該当するとしているから、複数の指標を満たし 評価 前記アのとおり、原告は3級該当性を判定する3つの指標のうち2つ を満たしている。本件認定基準は1つの指標を満たしていても3級に該当するとしているから、複数の指標を満たしているということは、1つの指標を満たすだけの者よりその障害の状態は深刻であると評価することができる。すなわち、Cペプチド値が同じく0.3ng/mL 未満の者であれば、意識障害を伴う重症低血糖を全く起こさなくても3級に該当す ることを考えれば、原告の障害の状態はこれよりも重いといえる。また、意識障害を伴う重症低血糖の回数についても、3級該当性を満たすのは最低月1回ということであるが、原告の意識障害を伴う重症低血糖の回数は平成28年1年間で12回、平成29年1月から3月までの分を含めれば16回である(認定事実オ)から、3級の指標でいう月1回を 満たしている上に、昏睡かそれに準ずるほどの状態になったものが他に10回程度あり(認定事実オ)、その分、日常生活への影響及び生命の危険に瀕している回数も多いということができる。意識障害まで至らないものを含めれば、いつ意識障害を発症してもおかしくない程度の重症低血糖が84日(認定事実オ)、逆に放置すると急性合併症につな がるような高血糖が81日(認定事実オ)にも及び、1日の間での70以上血糖値が上下する日も多い(認定事実オ)。これだけ昏睡や重度の体調不良の回数が多いということは、それ自体が血糖コントロールを行うことによる測定、補食などに伴う制約を受けているものといえることに加え、これらに対する不安を抱えながら、重症低血糖や高血糖が 生じないように、常に、食事、行動、仕事などに関して慎重な配慮を要する生活を強いられるということでもあり、実際に仕事の前日や翌日にはできるだけ外出 する不安を抱えながら、重症低血糖や高血糖が 生じないように、常に、食事、行動、仕事などに関して慎重な配慮を要する生活を強いられるということでもあり、実際に仕事の前日や翌日にはできるだけ外出を避けるようにしていることからすると、これらを含めた生活への影響は、単に血糖値の測定やインスリン投与という制約にとどまらず、生活全般に及んでいるというべきであって、3級が想定す るものよりも大きいものと評価すべきである。このような状態にもかか わらず、原告は週2日就労しているが、原告の過去の就労歴に照らせば、その就労継続には、職場であるOが原告の体調に配慮して柔軟な働き方を認めているという点が大きく寄与しているものというべきであって、この就労の事実をもって原告の日常生活への制約が少ないと評価すべきではない。 原告が1型糖尿病の中でも重症度が高いことはL医師も意見書(乙22)において認めているところ、上位等級該当性を判断するための項目である原告の症状、検査成績及び具体的な日常生活に関する事情は前記ウ及びエのとおりであって、単に血糖コントロールが困難であるということを超えて、その日常生活への制限は著しいものということができる。 前記イのとおり、原告の一般状態区分表上の位置付けはウにとどまるものであるが、被告も本件認定基準を用いた判定において、一般状態区分表上のウの場合であっても2級に該当する場合があることを認めているほか、本件認定基準のうち腎疾患の障害認定においても一般状態区分表のエ又はウに該当するもの(別紙2-6の4項)を2級と定めている ことからも、本件認定基準においては一般状態区分表上の位置付けがエ以上の状態にあることは2級と判定するための必須の要件とまではいえず、一般状態区分表上の位置付けが の4項)を2級と定めている ことからも、本件認定基準においては一般状態区分表上の位置付けがエ以上の状態にあることは2級と判定するための必須の要件とまではいえず、一般状態区分表上の位置付けがウであることをもって直ちに2級該当性を否定することは相当ではない。 他方、原告には、その存在だけで障害等級を認定するに足りるような 個別の合併症はなく、合併症そのものによって日常生活等に支障が生じているということはできない。もっとも、個別の合併症がそれぞれの部位の障害等級に該当するのであれば、代謝障害による基準によらなくても当該障害により障害認定されることを考えれば、個別の合併症が部位ごとの障害等級に該当しないことを殊更に重視すべきではなく、血糖値 の変動やそのコントロールが困難であることそのものから生ずる日常生 活等への支障に着目してその障害等級を判断すべきである。 以上の点を総合考慮すると、原告の状態は一般状態区分表上のウの状態にとどまり、重篤な合併症も認められないものの、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等を考慮すれば、その状態は3級が想定している状態よりもかなり重篤であり、実際に日常生活に著しい制約を受けて いると認められることに照らせば、本件認定基準に即して判断しても、本件裁定請求日時点における原告の障害等級は、2級に該当すると認められる。 小括よって、本件裁定請求日時点における原告の障害の状態は2級に該当する から、これに該当しないとして原告に20歳前事後重症の障害基礎年金を支給しないとした本件処分は、その余の点を判断するまでもなく、違法である。 3 争点(本件義務付けの訴えの適法性及び本案要件充足性の有無)について 本件義務付けの訴えは、いわゆる申請型義務 支給しないとした本件処分は、その余の点を判断するまでもなく、違法である。 3 争点(本件義務付けの訴えの適法性及び本案要件充足性の有無)について 本件義務付けの訴えは、いわゆる申請型義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項2号)であるから、当該処分が取り消されるべきものである場合に 限り、当該処分の取消しの訴えと併合して提起することができるところ(行政事件訴訟法37条の3第1項2号、3項2号)、前記2のとおり、本件処分は違法であり取り消されるべきであるから、本件義務付けの訴えは適法である。 そして、前記2のとおり、本件裁定請求日である平成29年2月14日時 点において、原告の障害の程度は、障害等級2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったと認められるから、厚生労働大臣は、同日を受給権発生日として原告に障害等級2級に相当する20歳前事後重症の障害基礎年金を支給する旨の裁定をしなければならないことは明らかである(国年法30条の4第2項、16条)。よって、厚生労働大臣に対し、その旨の義務付け を求める本件義務付けの訴えは、理由がある。 第4 結論以上によれば、原告の請求にはいずれも理由があるからこれらを認容することとし、主文のとおり判決する。なお、原告は仮執行宣言を求めているが、処分の取消し及び義務付けはこれを認める判決が確定しなければ効力が生じないから、仮執行宣言を付することは相当ではない。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官横地大輔 裁判官 岡田幸人 裁判官横地大輔 裁判官中村陽菜 (別紙1)当事者目録は記載省略(別紙2-1) ○ 国民年金法 (給付の種類) 第十五条 この法律による給付(以下単に「給付」という。)は、次のとおりとする。 一 老齢基礎年金 二 障害基礎年金 三 遺族基礎年金 四 付加年金、寡婦年金及び死亡一時金 (裁定) 第十六条 給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する。 (支給要件) 第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を (以下「初診日」という。 )において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。 )とし、以下「障害認定日」という。 )において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。 ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。 一 被保険者であること。 二 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各 歳以上六十五歳未満であること。 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。 第三十条の二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、当該傷病に係る初診日において前条第一項各号のいずれかに該当した者であつて、障害認定日において同条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。 )に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害基礎年金の支給を請求することができる。 前条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。 第一項の請求があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その請求をした者に同項の障害基礎年金を支給する。 第一項の障害基礎年金と同一の支給事由に基づく厚生年金 求をした者に同項の障害基礎年金を支給する。 第一項の障害基礎年金と同一の支給事由に基づく厚生年金保険法第四十七条又は第四十七条の二の規定による障害厚生年金について、同法第五十二条の規定によりその額が改定されたときは、そのときに同項の請求があつたものとみなす。 第三十条の四 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者(同日において被保険者でなかつた者に限る。 )が、障害認(別紙2-1) 定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害 に二十歳に達したときは二十歳に達した日後において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日後において、その傷病により、六十五歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に前項の障害基礎年金の支給を請求することができる。 第三十条の二第三項の規定は、前項の場合に準用する。 (別紙2-2) ○ 国民年金法施行令 (障害等級) 第四条の六 法第三十条第二項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、別表に定めるとおりとする。 別表(第四条の六関係) 備考 略 一級 障害の程度 一〇 一一 九 八 四~七 三 二 一 略 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁 害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの 略 両上肢の機能に著しい障害を有するもの 耳の聴力レベルが一〇〇デシベル以上のもの 両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの 障害の状態 二級 障害の程度 一六 一七 一五 一四 四~ 一三 三 二 一 略 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの 略 平衡機能に著しい障害を有するもの 耳の聴力レベルが九〇デシベル以上のもの 両眼 害を有するもの 略 平衡機能に著しい障害を有するもの 耳の聴力レベルが九〇デシベル以上のもの 両眼の視力の和が〇・〇五以上〇・〇八以下のもの 障害の状態 (別紙2-3) ○ 厚生年金保険法 (保険給付の種類) 第三十二条 この法律による保険給付は、次のとおりとし、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く。第三十四条第一項、第四十条、第七十九条第一項及び第二項、第八十一条第一項、第八十四条の五第二項並びに第八十四条の六第二項並びに附則第二十三条の三において「政府等」という。)が行う。 一 老齢厚生年金 二 障害厚生年金及び障害手当金 三 遺族厚生年金 (障害厚生年金の受給権者) 第四十七条 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であった者が、 につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。 )において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。 以下同じ。 )があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。 )において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。 ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。 (別紙2-4) の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。 厚生年金保険法施行令 (障害等級) 第三条の八 法第四十七条第二項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、一級及び二級についてはそれぞれ国民年金法施行令別表に定める一級及び二級の障害の状態とし、三級については別表第一に定めるとおりとする。 別表第一(第三条の八関係) 一 両眼の視力が〇・一以下に減じたもの 二 両耳の聴力が、四〇センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの 三~十 略 十一 両下肢の十趾の用を廃したもの 十二 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの 十三 略 十四 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、 もの 十三 略 十四 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの (備考)略 (別紙2-5) ○ 行政手続法 (理由の提示) 第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。 処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。 (別紙2-6)国民年金・厚生年金保険障害認定基準 1 障害の程度本件認定基準は、障害の程度を認定する場合の基準となる国年法施行令別表、厚 年法施行令別表第1等における障害の状態の基本について、以下のとおり定めている(乙1・3頁)。 1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずること を不能ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。 例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範 囲がおおむね就床室内に限られるものである。 2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を 加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院 内の生活でいえば、 ない程度のものである。 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院 内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内 の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。 3級労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 以下略 2 代謝疾患による障害についての認定基準本件認定基準は、第3「障害認定に当たっての基準」において、障害の種類ごとに障害等級認定基準を定めている(第1章第1~19節)ところ、そのうち第15節「代謝疾患による障害」においては、代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生 活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾患の認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする症状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを 必要とする程度のものを3級に、それぞれ該当するものと認定することとしている。 また、本件認定基準の同節第2項「認定要領」では、代謝疾患は、「糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられるが、認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、糖尿病の基準を定めるものとされ、おおむね次のとおり記載されている。 糖尿病とは、その原因のいかんを問 の異常に分けられるが、認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、糖尿病の基準を定めるものとされ、おおむね次のとおり記載されている。 糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖である。 糖尿病患者の血糖コントロールの困難な状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等の慢性合併症が発症、進 展することとなる。 糖尿病の認定は、血糖コントロール状態そのものの認定もあるが、多くは糖尿病合併症に対する認定である。 糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する。 糖尿病による障害の程度を一般状態区分表(以下「一般状態区分表」という。)で示すと次のとおりである。 ア無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるものイ軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はでき るもの例えば、軽い家事、事務などウ歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているものエ身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの オ身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの 糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロ オ身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの 糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。 ただし、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行ってい ることについて、確認のできたものに限り、認定を行うものとする。 なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。 ア内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL 未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイ に該当するもの イ意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するものウインスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの 糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、「第1節眼の障害」の認定要領により認定する。 糖尿病性壊疽を合併したもので、運動障害を生じているものは、「第7節肢体の障害」の認定要領により認定する。 糖尿病性神経障害は、激痛、著名な知覚の障害、重度の自律神経症状等がある ものは、「第9節神経系統の障害」の認定要領により認定する。 糖尿病性腎症を発症したものによる障害の程度は、「第12節腎疾患による障害」の認定要領により認定する。 3 てんかんによる障害についての認定基準 てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん 腎症を発症したものによる障害の程度は、「第12節腎疾患による障害」の認定要領により認定する。 3 てんかんによる障害についての認定基準 てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類される が、具体的に出現する臨床症状は多彩である。また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々である。さらに、てんかん発作は、その重症度や発作頻度以外に、発作間欠期においても、それに起因する様々な程度の精神神経症状や認知障害などが、稀ならず出現することに留意する必要がある。 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 ア 1級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なものイ 2級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受け るもの ウ 3級十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、若しくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの(注1)発作のタイプは以下の通りA:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作 B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作以下略 4 腎疾患による障害 略 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 1級前記①(略)の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表 患による障害 略 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 1級前記①(略)の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの2級 1 前記①の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、 かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの 2 人工透析療法施行中のもの3級 1 前記①の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの 2 前記②(略)の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウの いずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの判決注:上記一般状態区分表は、代謝障害(前記2)と同じ内容である。 以下略以上 (別紙2-7)特別児童手当の代謝疾患の認定基準 1 認定基準代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール 状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと 認定する。 2 認定要領 代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられる。 糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治癒及び症状の経過、 代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられる。 糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治癒及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する。 糖尿病は、血糖が治療、一般生活状態の規制等によりコントロールされている場合には認定の対象とならない。但し、インスリン療法の自己管理が出来ない場 合は血糖のコントロール不良と認定する。 代謝疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。 ア歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているものイ身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の5 0%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの ウ身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの以上 (別紙3)当事者の主張の要旨 1 争点(本件認定基準の合理性)について(原告の主張の要旨) 本件認定基準は、以下のとおり、国年法施行令別表の趣旨に反し、不合理である。 ⑴ 医学モデルに基づく認定基準であること本件認定基準は、医学的な障害の状態に基づいて定められており、社会内の障壁に対する支援の必要性については考慮されていない。これは、障害者の社会内 の障壁に対する支援の必要性に着目する「社会モデル」の採用を宣明した障害者の権利に関する条約及び障害者基本法の趣旨に反し、ひいては憲法25条1項に違反する不合理なものである。 障害 の障壁に対する支援の必要性に着目する「社会モデル」の採用を宣明した障害者の権利に関する条約及び障害者基本法の趣旨に反し、ひいては憲法25条1項に違反する不合理なものである。 障害のある者が就労している状態にそぐわない時代錯誤の基準であること本件認定基準で用いられる一般状態区分表のエ及びオの基準は、昭和41年1 0月22日付け社会保険庁通知「国民年金障害等級認定基準について」(以下「昭和41年通知」という。)において、2級の例示として「家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである」とされているところと同趣旨であり、基本的に就労している者の障害基礎年金の受給可能性を排除するものである。しかしながら、平成27年10月16日に行われた厚生労働省主 催の「障害年金の認定(糖尿病等)に関する専門家会合」(以下「専門家会合」という。)において、厚生労働省年金局事業管理課給付事業室長は、就労をしている人も当然に障害年金(国民年金・厚生年金その他の種別を問わない概念として用いる。以下同じ。)の支給の対象となることを前提に発言をしているし、原告の職場でも障害年金を受給している者は多数いるのであり、活動の範囲がおお むね家屋内に限られるという昭和41年通知における2級の例示は不合理であ る。そうすると、一日の大半を就床していることを2級の考慮要素とする一般状態区分表の合理性もないこととなる。 実質的に3級該当性のみを判断するための基準であり、1級及び2級該当性判断の基準を欠いていることア本件認定基準は、1級及び2級該当性の判断に必要な基準を欠いており、行 政庁の恣意を許し、地域ごとの処分格差を生ぜしめる内容となっているから、憲法14条に反する不合理なものである ることア本件認定基準は、1級及び2級該当性の判断に必要な基準を欠いており、行 政庁の恣意を許し、地域ごとの処分格差を生ぜしめる内容となっているから、憲法14条に反する不合理なものである。 イ本件認定基準においてはCペプチド値が加わり、血糖コントロールを適切に行うことができるかという点が考慮されているところ、本件認定基準は3級該当性の具体的基準しか置いておらず、上記の趣旨が反映されていない。 ウ国年法施行令別表においては日常生活への著しい影響がある者を2級、厚年法施行令別表においては労働の制限を受ける場合を3級とする旨を規定している。本件認定基準によれば、一般状態区分表のウに該当する者が3級に該当することとなるが、そうすると、労働の制限にとどまらず、介助が必要であって日常生活に制限を伴う者も、本来の等級であるべき2級ではなく3級にとど まることになってしまう。また、場合によっては上位等級に認定するという定め方は、障害の重い場合から順に等級認定しなければいけないという大前提に反する不合理なものである。 エ他の障害や制度との差異 本件認定基準のうち、他の障害(例えば呼吸器の障害、心疾患による障害、 腎疾患による障害)に係る部分においては、一般状態区分表のウ又はイに当たる場合は3級に、エ又はウに当たる場合は2級にそれぞれ該当すると規定されている。一方、本件認定基準は、一般状態区分表のウに当たる場合について3級に該当するとしか規定していないため、この場合に2級該当の認定をすることが極めて困難となっている。このように、本件認定基準は、障害 認定基準のその他の部分に比して平等性を欠く不合理なものである。 糖尿病に関する特別児童扶養手当の認定基準においては、他の障 っている。このように、本件認定基準は、障害 認定基準のその他の部分に比して平等性を欠く不合理なものである。 糖尿病に関する特別児童扶養手当の認定基準においては、他の障害の規定から解釈すると、同基準における一般状態区分表のア又はイに当たる場合が2級、ウに当たる場合が1級に該当する。同基準における一般状態区分表のアは、本件認定基準における一般状態区分表のウと同一の記載であるが、後者は本件認定基準上3級該当の可能性しか明記されていない。しかしなが ら、特別児童扶養手当を受給していた者は、特別児童扶養手当を受ける際に提出した診断書を添付することで自動的に障害基礎年金を受給できることからもいえるとおり、特別児童扶養手当の2級と障害基礎年金の2級の障害程度は同程度であるにもかかわらず、上記認定基準の不一致により、処分に不均衡が生ずることとなる。 本件認定基準のうち、てんかんに係る認定基準は、「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」又は「意識障害の有無を問わず、転倒する発作」が月1回以上生ずる場合を1級、年に2回以上ある場合を2級に該当すると規定している。一方、本件認定基準は、同様の障害である「意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上ある」場 合を3級該当の認定にとどめている。原告は、年20回の意識障害を呈するから、てんかんの基準によれば1級に相当することからすると、糖尿病に関する本件認定基準は、憲法14条に反する不合理なものである。 一般状態区分表の特定の状態への該当性について1型糖尿病患者については、日常生活で高血糖や低血糖への対処に要する手間 や時間を要すること、医療的緊急事態である重症低血糖や糖尿病ケトアシドーシスに陥れば多くの場合入 の該当性について1型糖尿病患者については、日常生活で高血糖や低血糖への対処に要する手間 や時間を要すること、医療的緊急事態である重症低血糖や糖尿病ケトアシドーシスに陥れば多くの場合入院加療を必要とすることなどを踏まえると、その一般状態区分表上の位置付けはウないしオのいずれの状態に固定化されるものではなく、そのうちの一つに特定を要求するものであれば、本件認定基準自体が合理性を有しない。 以上のとおり、本件認定基準は憲法及びその他の法令の趣旨に反し不合理なも のであるから、本件認定基準に沿ってされた本件処分は違法である。 (被告の主張の要旨)本件認定基準が合理的なものであること糖尿病は、適切なインスリン治療を行うことで、基本的には血糖コントロールが可能で、健康な者と変わらない日常生活を送ることができる疾患であるから、 必要なインスリン治療を行ってもなお血糖コントロールが困難な状態として具体的な認定の指標を定め、これを3級と認定することとした上で、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を総合的に判断して上位等級へ認定される途を設けることが糖尿病患者の実態に即しているから、本件認定基準は合理的であるし、1級及び2級該当 性の判断基準を欠いているものでもない。 社会モデルの趣旨を踏まえていないとの原告の主張について障害者に対する年金の支給に関しては、今後、雇用・就業の促進に関する施策や福祉施策と連携を図りながら施策を講じていくべきものであって、年金制度のみ、直ちに障害認定基準に社会モデルを取り入れることは、他の施策や制度との 連携・バランスを欠くものとなりかねない上、障害の特性や個々人の生活実態等によって異なる社会的障壁を って、年金制度のみ、直ちに障害認定基準に社会モデルを取り入れることは、他の施策や制度との 連携・バランスを欠くものとなりかねない上、障害の特性や個々人の生活実態等によって異なる社会的障壁をどのように画一的かつ公平に認定判断するかなど、整理すべき課題もある中では、拙速であるといわざるを得ない。 ⑶ 障害認定基準のその他の部分との均衡を欠いているとはいえないことてんかんは、外部からの刺激なしに自発的に起こる発作を繰り返し起こすこと を特徴とし、発作の重症度や発生頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状等による社会的活動能力の損減を重視した観点から認定することとなっている。一方、糖尿病はインスリン作用の絶対的・相対的不測に基づいて糖代謝等の変動が持続する疾患であって、その基本的な特徴は耐糖能の低下・慢性の高血糖であるから、基本的には血糖コントロールの困難度合いに応じて障害の程度を判断すべきで あり、てんかんと「同じ意識障害を発現する」ということのみに着眼して、その 認定基準と比較して不公平ということはできない。 ⑷ 特別児童扶養手当に係る認定基準との均衡を欠いているとはいえないこと特別児童扶養手当等の支給に関する法律と国民年金法では、そもそも支給目的や認定対象が異なることから、各法令の趣旨に沿った認定基準が作成されてしかるべきであり、20歳未満の児童が認定対象である特別児童扶養手当において は、同じ1型糖尿病患者であっても、血糖コントロールの困難度合いが成人よりも高いと考えられることも踏まえれば、一概に「特別児童扶養手当の2級は障害年金の2級と同程度なのである」などとはいえないことは明らかである。 一般状態区分表の特定の状態への該当性について障害等級の認定は、障害を有する者の平常時に継 児童扶養手当の2級は障害年金の2級と同程度なのである」などとはいえないことは明らかである。 一般状態区分表の特定の状態への該当性について障害等級の認定は、障害を有する者の平常時に継続して存在する症状やそれに 伴う日常の制限度合い等を勘案して行われるべきである。そして、一般状態区分表とは、障害を有する者の平常時に継続して存在する症状やそれに伴う日常生活の制限度合いがそのアないしオのいずれに相当するかについて、医師が客観的に評価するものである。1型糖尿病については、インスリン療法による治療下にあっても、血糖値の日内変動や日々の変動が大きく、コントロールが困難であると いう特性の疾患であることからすれば、1日のうちに低血糖発作や急性合併症の所見があることを前提とした上で、経常的に存在している症状の有無と程度、それに伴う日常生活の制限度合いに応じて、一般状態区分表上のアないしオのいずれに相当するかについて判断されるべきである。 2 争点(本件認定基準によっても原告の障害の程度が2級に該当するか)につい て(原告の主張の要旨) 代謝のコントロールの状態についてア 1型糖尿病患者はインスリンを分泌する細胞が破壊されており、特にインスリン分泌が枯渇した患者は、血糖値が大きく変動し、血糖コントロールが専門 医をもってしても困難であり、インスリンの注射量が少しでも多かったり、食 事の摂取量が少なかったり、強度の運動を行ったりすると低血糖を起こす危険があるし、逆にインスリンが足りないと高血糖に陥り、ひどい場合には両者の場合とも昏睡を起こすことになる。低血糖の発作は、インスリンの種類と量、注射の摂取部位、気温、気圧、胃の運動機能及び自律神経障害などが原因となって生じ、患者自身によっ 糖に陥り、ひどい場合には両者の場合とも昏睡を起こすことになる。低血糖の発作は、インスリンの種類と量、注射の摂取部位、気温、気圧、胃の運動機能及び自律神経障害などが原因となって生じ、患者自身によってコントロールすることはできない。特に、Cペプ チド値が0.1ng/mL 未満というのは、インスリン分泌が枯渇していることを示すものとして、重症度分類を考慮した「確実な」1型糖尿病診断基準となる。 イ本件認定基準では、近年の研究等を踏まえ、合併症の程度ではなく、血糖コントロールの困難さに着目して年金を支給すべきであるとの考え方に基づき、判断指標の一つにCペプチド値が組み入れられた。これに対して、HbA1c 値についてはその判断指標としては採用されていない。 ウインスリン分泌の枯渇した1型糖尿病患者が低血糖や高血糖になった場合、それぞれに対して時間をとって対処しなければならず、それらに随伴する症状は低血糖や高血糖が解消してもすぐには消滅せず、解消に少なくとも時間単位が必要となり、血糖値が正常に戻っても、低血糖、高血糖に伴う倦怠感等の回 復には時間がかかる。血糖コントロールが困難であることから、1型糖尿病患者は、生命維持のため血糖値の観察に努め外出を控えるなど、日常生活に多くの制限を来している。 エ原告のCペプチド値は0.1ng/mL 未満であり、実際の血糖値をみても、①1日の高低差が70以上ある日が、本件裁定請求日付近の平成28年1月から 平成29年3月までの間(以下「測定期間」という。)では少なくとも月平均で16日あり、②意識障害を伴う重症低血糖に至った回数が年20回あるほか、意識障害を伴わないものを含め、血糖値が54mg/dl(以下、血糖値については、単位の記載を省略する。)以下の低血糖状態に陥った 16日あり、②意識障害を伴う重症低血糖に至った回数が年20回あるほか、意識障害を伴わないものを含め、血糖値が54mg/dl(以下、血糖値については、単位の記載を省略する。)以下の低血糖状態に陥った日が測定期間内で84日あり、③神経障害を有することによる無自覚性低血糖があり、④重症の 目安となる300の高血糖となったのが測定期間内に80回あり、⑤月ごと、 日ごとに、高血糖、低血糖の起きやすさが異なり、また、カニューレ交換によるインスリンの効きの良し悪しがあって、血糖コントロールが難しいといった事情が認められる。 オ意識障害を伴う重症低血糖の場合は、自力で補食が図れず命に関わるため、原告は、職場を含む外出先では意識障害を起こさないように細心の注意を図ら なければならない。また、原告の場合、低血糖状態に陥ると、すぐに普段どおりに動けることはないし、高血糖になると強い倦怠感などを感じ、動けない、話せないという状態になる。 カ以上のとおり、本件認定基準によれば、障害の程度を考える上で血糖コントロールの実態を重要視する必要があるが、原告の実態としては、インスリン分 泌の枯渇に加えて、低血糖の自覚さえ困難であることからも複雑な状態を呈し、血糖のコントロールは不可能であった。このことにより、本件裁定請求当時、激しい低血糖・高血糖が生じ、重症低血糖症状・高血糖症状も頻回に生じており、日常生活に多大な制限が生じていた。 治療及び症状の経過について ア原告は、1型糖尿病を発症してからインスリン療法を行い、平成14年頃からはインスリンポンプを用いてインスリンを継続的に投与していた。しかしながら、このポンプは体に針を刺して装着するものであるため、装着部位の皮膚に違和感を生じ、装着自体にも精神的 行い、平成14年頃からはインスリンポンプを用いてインスリンを継続的に投与していた。しかしながら、このポンプは体に針を刺して装着するものであるため、装着部位の皮膚に違和感を生じ、装着自体にも精神的な負担が生ずる。カニューレ(インスリンポンプを腹部に結合する管のこと。)の装着部位によってインスリンが入り にくいこと、逆に効き過ぎることもあった。また、インスリンの効き具合は、食事内容や活動量によっても異なるため、血糖値を安定化させることはほとんど不可能であり、例えば、平成28年10月27日の午後1時の血糖値は477と極めて高くなっていたため、カニューレ交換を行い、補正のインスリン投与を行ったところ、同日午後4時30分には血糖値は45まで下がるなど急激 に変化した。 イ原告の血糖値は極めて不安定で、かつ、無自覚性低血糖が多いことからも、意識を失って昏睡状態になることが月1、2回あったし、昏睡状態に至ると自力での意識回復は難しく、他人による糖分補給が必要不可欠である。また、原告は、昏睡に至るとそこからの回復にも時間や負担が伴い、意識が戻ったとしても一日中寝たきりになり、活動は著しく制限される。 原告の場合、一人で低血糖症状に対応することに限界があり、夫による補食や介助等を受けていたが、その負担は重い。 ウ原告の高血糖による症状は、強いだるさ、眠気、倦怠感などであるが、このような症状は、本件裁定請求時に複数回あった。原告は、糖尿病ケトアシドーシスやそれに近い症状の発現し得る血糖値300を超えることが毎月あり、実 際ケトアシドーシスにほとんど近い症状になった。 エ原告は、1型糖尿病を発症してから血糖自己測定やインスリン治療を行い、血糖測定値もアプリに入力してきたし、定期的な診察 が毎月あり、実 際ケトアシドーシスにほとんど近い症状になった。 エ原告は、1型糖尿病を発症してから血糖自己測定やインスリン治療を行い、血糖測定値もアプリに入力してきたし、定期的な診察を受けて医師の指示どおりにインスリンを投与してきた。原告は、インスリンポンプを利用するようになってからは救急車を呼ぶことはなかったが、これは救急車を呼んだとしても ブドウ糖補給で済まされることや入院による経済的影響を考慮したことによる。 オ上記のように、原告は、血糖自己測定を行い、食事のたびに炭水化物等を計算し、主治医の指示に従ってインスリン量を調整するなどの作業・治療を繰り返してきたが、現在まで血糖状態、症状は安定しておらず、無自覚性低血糖は 不可逆的な状態にあり、今後深刻になる危険もある。 カ以上のとおり、原告は、継続的・長期的な血糖自己測定、インスリンポンプを利用した治療方針をとってきたが、血糖状態が安定し、血糖変動による症状が改善することはなく、短期的に数値が回復しても血糖変動に伴う症状は強固に残存していた。 具体的な日常生活状況について ア原告は、血糖コントロールが困難であることにより、前記及びで挙げたとおり、血糖値の測定その他で日常生活に影響を受けていた。 イ原告は、本件処分当時、NPO法人O(以下「O」という。)において週2日相談員として就労していたが、これは、Oの職場環境の特徴として、障害を有する者がお互いに配慮しながら就労しており、一般企業と比べて細やかな配 慮がされていることによる。例えば、原告の勤務時間は契約上は午前10時から午後6時までとなっていたが、実際には午後3時前後から仕事を始めることが多かったし、帰宅時に低血糖症状になることが危惧される 慮がされていることによる。例えば、原告の勤務時間は契約上は午前10時から午後6時までとなっていたが、実際には午後3時前後から仕事を始めることが多かったし、帰宅時に低血糖症状になることが危惧される場合には職場に宿泊することもでき、勤務時間中に休憩スペースで休憩をとることもできた。 ウ原告は、夫と同居しており、家事は原告が負担することになっていたが、実 際には、体調の都合で、掃除はほとんどできず、夫が買い物に行ったりコインランドリーに行くなどしていた。原告は、勤務日以外は、体力を温存するために外出をすることもなく、寝て過ごすことが多かった。 合併症の有無及びその程度についてア専門家会合における議論を踏まえて、障害認定の申請時の診断書における合 併症の位置付けが血糖コントロールの困難な状況の欄よりも下にされたこと、本件認定基準において糖尿病で合併症を発症した場合には個別の認定要領によると記載されていること、3級該当性の基準において合併症の有無に触れられていないことからすれば、合併症の有無及びその程度は飽くまで参考にとどまり、合併症がないことは糖尿病の障害の程度が軽いことを意味しないものと いうべきである。 イ原告は、平成28年11月当時、合併症として糖尿病神経障害を有しており、この障害により意識がもうろうとすることが多かったし、単純網膜症との診断も受けていた。 症状について 前記エのとおり、本件裁定請求時、原告には血糖値が54以下を記録する重 症低血糖が毎月約5日もあり、意識障害を伴う重症低血糖に至った回数も年20回あり、3級該当性の指標である月1回の頻度より明らかに高頻度であるほか、前記のとおり、糖尿病神経障害の合併症により意識がもうろうとなることが多 あり、意識障害を伴う重症低血糖に至った回数も年20回あり、3級該当性の指標である月1回の頻度より明らかに高頻度であるほか、前記のとおり、糖尿病神経障害の合併症により意識がもうろうとなることが多かった。また、前記ウのとおり、血糖値300を超える日が毎月あり、これによる激しい倦怠感などを感じていた。これらの状況に照らすと、3つの指標の一 つである「意識障害により自己回復できない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの」よりも原告の症状は深刻であり、日常生活への著しい制限が生じているから、障害等級2級に該当する。 検査成績について原告のインスリン分泌は枯渇しており、Cペプチド値は0.1ng/mL 未満であ る。この結果は、3級の指標である0.3ng/mL を大きく下回っている。また、前記エのとおり、血糖値の変動は著明であって、検査成績の結果からも原告の障害の程度は2級相当である。 3級の基準との比較原告は、一つでも満たせば3級に該当するとされる3つの指標のうち2つを満 たしており、3級の状態よりも障害の程度、日常生活への支障の程度が上がっているといえる。また、Cペプチド値及び意識障害を伴う重症低血糖の頻度もそれぞれ3級で定める指標よりも大幅に悪い。また、争点(原告の主張)⑶エで指摘したとおり、糖尿病以外の障害において一般状態区分表が利用される場合にはウ又はエに当たる場合が2級とされること、特別児童扶養手当の認定基準におい ては本件認定基準上ウ又はエに相当するものが2級に該当するとされていること、てんかんの場合の発作発現頻度については年2回以上あれば2級に該当することとの均衡からしても、原告の障害等級は2級に該当する。 (被告の主張の要旨)基本的な考え方 ていること、てんかんの場合の発作発現頻度については年2回以上あれば2級に該当することとの均衡からしても、原告の障害等級は2級に該当する。 (被告の主張の要旨)基本的な考え方 本件認定基準は、各種障害に関する医学的知見に基づき、裁定機関の客観的か つ画一的、公平な認定判断をするために作成されたものであり、その内容は国年法の趣旨に沿った合理的なものといえることから、障害の程度の認定に当たっては、本件認定基準に依拠するのが相当である。 一般に、糖尿病患者は、1型であると2型であるとを問わず、インスリン投与等により適切に血糖コントロールをすることで、健康な者と変わらない生活を送 ることが可能であるとされており、障害認定に当たってもこのことを踏まえる必要がある。 本件認定基準においては、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖コントロールが困難な状態として具体的な認定の指標を定めてこれを3級としており、血糖コントロールが困難であることが前提となっている。本件処分はこれを踏まえ てされたものであり、原告の血糖コントロールの困難性を看過してされたものではない。 原告の障害の程度が3級にとどまり、2級には該当しないことア本件診断書によれば、原告については、①Cペプチド値が0.1ng/mL を下回る状態であること、②意識障害を伴う重症低血糖が生じた回数は年20回で あると記載されていること、③一般状態区分表上の位置付けがウ(歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの)であること等の事情が認められる。これらの事情に照らせば、原告は、本件認定基準上、3級に該当する障害の状態にあったと認められる。 イ上記①のC いが、日中の50%以上は起居しているもの)であること等の事情が認められる。これらの事情に照らせば、原告は、本件認定基準上、3級に該当する障害の状態にあったと認められる。 イ上記①のCペプチド値について、0.3ng/mL 未満であれば枯渇と評価されるため、0.3ng/mL からどれだけ低い値となっているかについては、評価の対象とならないというべきである。原告は、血糖コントロールを保つためにCSII(インスリン持続皮下注入療法のこと。)で治療を行っており、1日の必要量の40ないし60%を基礎分泌として自動で持続的に補充し、食事に伴 う分泌は手動で補充していた。また、血糖コントロールの指標として最重視さ れるHbA1c値については、3回の検査のいずれにおいても合併症予防の目標値である7%を下回っていたのであるから、血糖状態は適切に維持されていたものというべきである。なお、HbA1cが平成28年改定で本件認定基準から削除された理由は、ある時点におけるHbA1cは現在の障害をダイレクトに反映しておらず、Cペプチド値その他の項目を考慮することが適切という 意見によるものであるが、HbA1cは、基準改定後も診断書書式の記載事項にはなっており、障害認定上有用であることは変わらない。 ウ原告に年20回程度の意識障害があるとみることができるとしても、1型糖尿病患者は、血糖自己測定を行った上で、重症低血糖の発生を抑え、できるだけ正常値に近い血糖値を達成するよう、主治医と相談して患者一人一人の病 態、体質、生活状況等に合った治療方法等を選択し、食事や運動などの日常生活リズムと血糖値の変動に細心の注意を払うことが必要とされており、このようなことを行う結果、予測不能なものを含めて、重症低血糖の症状が頻回に起こること った治療方法等を選択し、食事や運動などの日常生活リズムと血糖値の変動に細心の注意を払うことが必要とされており、このようなことを行う結果、予測不能なものを含めて、重症低血糖の症状が頻回に起こることは極めて少ない。原告の場合は、血糖値変動が大きく、低血糖リスクが高い中にあっても、低血糖症状によって自己回復が困難な状況になるのは月 1回程度にとどまっているから、血糖コントロールがおおむねできているとみるべきである。 エ原告には、1型糖尿病の合併症として糖尿病性網膜症及び糖尿病性歯周病等が認められるが、網膜症は平成28年に消失したとされているし、歯周病も「そしゃく・嚥下機能の障害」に至るものとは認められない。原告は糖尿病性神経 障害があるとも主張するが、「神経系統の障害」に照らして障害認定できる程度のものとは認められない。 オ一般状態区分表の位置付けがウであっても具体的な症状等によっては2級に該当する場合はあり得るが、以下のとおり、原告はそうした場合には当たらず、一般状態区分表でウに該当する原告の障害の程度は2級に該当しない。 原告の主治医が記載した本件診断書には年20回の意識障害を伴う重症 低血糖があると記載されているが、それを踏まえても一般状態区分表ではウに該当する状態とされている。本件診断書の記載を見ても、日常生活に著しい制限が生じていることがうかがわれる事情はなく、労働能力という点では困難が伴い、日常生活活動能力については低血糖又は高血糖状態にあるときなどには介助を必要とすることがあったとしても、おおむね自立して活動す ることができ、日常生活に著しい制限があるとまではいえない状態であったと認められる。 原告本人や証人の供述によっても、原告は主治医の指示に基づいてインスリン投 、おおむね自立して活動す ることができ、日常生活に著しい制限があるとまではいえない状態であったと認められる。 原告本人や証人の供述によっても、原告は主治医の指示に基づいてインスリン投与を行っており、高血糖昏睡になったことはないし、意識障害を伴う重症低血糖になる時間も明け方や朝方などであって、夫が気付き補食させる ことができており、その他には自宅、外出先、勤務先で低血糖昏睡になって緊急搬送されるなどしたことはなかったというのであるから、原告が意識障害を伴う重症低血糖になるのは夜間の就寝時であり、昼間にあっては血糖値をコントロールすることができていたものと認められる。 原告は、日常生活に関して、一日のほとんどを横になって過ごして家事が できない旨の陳述書を提出し、また、本人尋問でもその旨供述する。しかしながら、その裏付けとなるのは、血糖値の記録(甲33、36)、勤務先へのメール(甲31)及び出勤簿(甲32)しかなく、陳述書の内容は主に原告の記憶に依拠するものといえるところ、事柄の性質上、数年前の日常生活のことを詳細に記憶しているとは考え難いから、信用性がない。また、L医 師の意見書(乙22)においても、原告が低血糖を自覚して補食するなどの対応をしていることや無自覚性低血糖が頻発していた形跡がないことなどからすると、原告が主張するほど頻回の無自覚性低血糖が生ずることはないと推察される、また、低血糖に陥っても、十分量の補食をすれば低血糖が遷延することはまれであり、補食しても一日のほとんどを横になって過ごさな ければならないといった状態になることは通常考え難いとされており、これ らを踏まえると、原告の供述を信用することはできない。 原告の供述を踏まえても、原告が一日のほとんどを横になって ければならないといった状態になることは通常考え難いとされており、これ らを踏まえると、原告の供述を信用することはできない。 原告の供述を踏まえても、原告が一日のほとんどを横になって過ごすのは、平均すると月に1、2日くらいであり、おおむね週2日は自力で公共交通機関を利用して就労することができた。原告が家事労働を十分にできなかったのは次の日の予定や仕事に備えて体力を温存するためであり、労働能力 という面では制約を受けるものの、日常生活活動能力については、低血糖昏睡時等には介助を要したにしても、常に周りのことが自力では全くできないといった状況にはなく、おおむね自立して活動することができ、日常生活に著しい制限があるとまではいえない。 以上の点を踏まえると、原告の状態は一般状態区分表上のエには当たら ず、ウにとどまる。 まとめ以上によれば、原告については、適切な血糖コントロールが行われ、障害認定できる程度の合併症もなく、一般状態区分表上の位置付けもウにとどまっており、日常生活に著しい制限が生じているとはいえず、2級に該当する障害の状態 にあったとは認められない。 3 争点(理由付記の違法性)について(原告の主張の要旨)本件処分に関しては国年法施行令別表によって2級の要件が定められ、さらに本件認定基準が公表されているところ、本件処分理由においては、原告がした具体的 な申請内容が、公表されている本件認定基準との関係で、どの部分を充足し、若しくは充足せず、又は、どの部分が考慮され、若しくは考慮されていないかが全く分からない。特に、原告の場合、本件診断書の記載から3級に該当することは明らかであり、更に上位等級である2級該当の可能性があったのであるから、本件処分において十分な理由が示さ 慮されていないかが全く分からない。特に、原告の場合、本件診断書の記載から3級に該当することは明らかであり、更に上位等級である2級該当の可能性があったのであるから、本件処分において十分な理由が示されるべきであったにもかかわらず、本件処分理由では結論 しか示しておらず、このような処分理由では行手法8条1項が要求する理由の提示 には当たらない。 (被告の主張の要旨)申請を拒否する処分をする際にどの程度の理由を提示するかは、行手法8条1項の趣旨に照らし、当該申請及び処分の根拠法令、当該申請に係る申請基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該申請及び処分の性質及び内容、当該申請及び処分の 原因となる事実関係の内容等を総合考慮して決定すべきであるところ、本件では、本件処分の根拠法令である国年法及び国年法施行令は、国年法施行令別表に定める障害等級に該当する障害の程度の障害の状態にあることを障害基礎年金の要件として定めて、審査基準として本件認定基準が定められ公表されており、うち本件処分が本件認定基準の糖尿病による障害に関する基準に係るものであることは容易 に判断し得る。そうすると、本件処分理由から、症状、検査成績及び日常生活状況等によれば原告の障害の状態が3級にとどまり、2級に該当しないという判断が示されたことは明らかである。 4 争点(本件義務付けの訴えの適法性及び本案要件充足性の有無)について(原告の主張の要旨) 原告の障害等級は2級に該当するところ、本件裁定請求については、障害基礎年金のその余の支給要件も満たしているから、被告は、本件裁定請求日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金の支給決定をしなければならない。 (被告の主張の要旨)本件義務付けの訴えは行政事件訴訟法 支給要件も満たしているから、被告は、本件裁定請求日を受給権発生日とする障害等級2級相当の障害基礎年金の支給決定をしなければならない。 (被告の主張の要旨)本件義務付けの訴えは行政事件訴訟法3条6項2号のいわゆる申請型の義務付 けの訴えであると解されるところ、申請型義務付けの訴えにおいては、併合して提起した取消訴訟に係る訴えが棄却されれば訴訟要件を欠くことになる。そして、本件処分は適法であり、本件処分の取消しを求める訴えは棄却されるべきであるから、本件義務付けの訴えは不適法である。 以上
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