平成17(行ウ)47 政務調査費返還代位請求

裁判年月日・裁判所
平成19年3月22日 名古屋地方裁判所 その他
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判決文本文21,971 文字)

- 1 -平成19年3月22日判決言渡し平成17年(行ウ)第47号政務調査費返還代位請求事件口頭弁論終結日平成18年12月13日主文 被告は,自由民主党名古屋市会議員団に対し,2460万円及びこれに対する平成17年10月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,補助参加によって生じた分も含め,これを5分し,その1を原告らの負担とし,その余は被告及び被告補助参加人の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,自由民主党名古屋市会議員団及び新風自民に対し,連帯して2870万円及びこれに対する平成17年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2事案の概要本件は,名古屋市の住民である原告らが,名古屋市が被告補助参加人に交付した平成15年度及び平成16年度分の政務調査費のうち,被告補助参加人の共通経費に充てられたとする合計2870万円について,それが政務調査費の支出としては認められず,収支報告書の記載とも合致しないから,これを不当利得として同市に返還すべきものである旨主張し,被告に対し,被告補助参加人及び被告補助参加人の構成員の一部が脱退して結成した新風自民に対して地方自治法242条の2第1項4号に基づき,上記金員及びこれに対する平成17年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求めた住民訴訟である。 前提事実等(証拠等を摘示した事実のほかは争いがない。)- 2 -( ) 当事者等 ア原告らは,名古屋市内に居住する者である(弁論の全趣旨)。 イ被告は,地方自治法242条の2第1項4号所定の名古屋市の執行機関である。 ウ被告補助参加人(平成15年5月こ ( ) 当事者等 ア原告らは,名古屋市内に居住する者である(弁論の全趣旨)。 イ被告は,地方自治法242条の2第1項4号所定の名古屋市の執行機関である。 ウ被告補助参加人(平成15年5月ころから平成16年11月ころまでは自由民主党市民クラブ名古屋市会議員団)は,名古屋市会議員によって構成された権利能力なき社団である。 エ新風自民は,被告補助参加人の所属議員のうち9名が,平成18年10月ころ,被告補助参加人から脱退して別会派を結成した権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。 ( ) 条例等の抜粋 ア名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年名古屋市条例第1号(本件条例),甲4号証)(趣旨)1条この条例は,地方自治法(略)第100条第13項及び第14項の規定に基づき,名古屋市会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,議会における会派に対し,政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする。 (交付対象)2条政務調査費は,名古屋市会における会派(所属議員が1人の場合を含む。以下「会派」という。)に対して交付する。 (交付額及び交付の方法)3条1項政務調査費は,月額550,000円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額を会派に対し交付する。 2項前項の所属議員の数は,月の初日における各会派の所属議員数による。 - 3 -(使途基準)4条政務調査費は,議長が定める使途基準に従って使用するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない。 (収支報告書)5条1項政務調査費の交付を受けた会派の代表者は,政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,別記様式により議長に提出しなければならない。 2項収支報告書は,前年度の交付に係 項政務調査費の交付を受けた会派の代表者は,政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,別記様式により議長に提出しなければならない。 2項収支報告書は,前年度の交付に係る政務調査費について,毎年4月30日までに提出しなければならない。 (議長の調査)6条議長は,政務調査費の適正な運用を期すため,前条の規定により収支報告書が提出されたときは,必要に応じ調査を行うことができる。 (政務調査費の返還)7条市長は,政務調査費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派がその年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。 (収支報告書の保存及び閲覧)8条2項何人も,議長に対し,前項の収支報告書の閲覧を請求することができる。 イ名古屋市会政務調査費の交付に関する規則(平成13年名古屋市規則第11号(本件規則),甲5号証)(収支報告書の写しの送付)5条議長は,条例第5条第1項の規定により提出された収支報告書の写- 4 -しを市長に送付するものとする。 (会計帳簿等の整理保管等)6条1項会派は,政務調査費に関する経理責任者を置かなければならない。 2項政務調査費の交付を受けた会派の経理責任者は,政務調査費の支出について会計帳簿を調製するとともに,領収書等の証拠書類を整理し,これらの書類を当該政務調査費に係る収支報告書の提出期限の日から起算して5年を経過する日まで保管しなければならない。 ウ名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(本件規程,乙1号証)(使途基準)2条条例第4条に規定する政務調査費の使途基準は,別表に掲げる項目 保管しなければならない。 ウ名古屋市会政務調査費の使途基準及び収支報告書の閲覧に関する規程(本件規程,乙1号証)(使途基準)2条条例第4条に規定する政務調査費の使途基準は,別表に掲げる項目ごとに概ね右欄に掲げるとおりとする。(本判決末尾に上記別表を添付した。)( ) 平成15年度4月分の政務調査費の交付,収支報告書の提出,政務調査費 の返還被告補助参加人は,平成15年4月10日,平成15年度4月分の政務調査費として1320万円の交付を受けた。 被告補助参加人は,同年5月29日,名古屋市会議長に対し,平成15年度4月分の政務調査費収支報告書(収入合計1320万円,支出合計721万5182円,残余598万4818円)を提出し,同年7月4日,名古屋市長に対し,平成15年度4月分の政務調査費の残余額598万4818円を返還した。(甲1号証,8号証,弁論の全趣旨)( ) 平成15年度5月以降分の政務調査費の交付,収支報告書の提出,政務調 査費の返還被告補助参加人は,平成15年5月10日から平成16年3月10日まで- 5 -の間に,平成15年度5月以降分の政務調査費として合計1億4905万円の交付を受けた。 被告補助参加人は,平成16年4月20日,名古屋市会議長に対し,平成15年度5月以降分の政務調査費収支報告書(収入合計1億4905万0038円(利息38円を含む。),支出合計1億4758万3796円,残余146万6242円)を提出し,平成16年5月20日,名古屋市長に対し,平成15年度5月以降分の政務調査費の残余額146万6242円を返還した。(甲2号証,8号証,弁論の全趣旨)( ) 平成16年度分の政務調査費の交付,収支報告書の提出,政務調査費の返 還被告補助参加人は,平成16年4月10日から平成17年3月10日まで 返還した。(甲2号証,8号証,弁論の全趣旨)( ) 平成16年度分の政務調査費の交付,収支報告書の提出,政務調査費の返 還被告補助参加人は,平成16年4月10日から平成17年3月10日までの間に,平成16年度分の政務調査費として合計1億5345万円の交付を受けた。 被告補助参加人は,平成17年4月28日,名古屋市会議長に対し,平成16年度分の政務調査費収支報告書(収入合計1億5345万0037円(利息37円を含む。),支出合計1億4738万4320円,残余606万5717円)を提出し,平成17年5月26日,名古屋市長に対し,平成16年度分の政務調査費の残余額606万5717円を返還した(甲3号証,8号証,弁論の全趣旨)。 ( ) 被告補助参加人における政務調査費の処理方法 被告補助参加人は,名古屋市から交付を受けた政務調査費議員一人当たり月額55万円のうち,50万円を議員個人による調査研究活動に,残5万円を共通経費として被告補助参加人全体での調査研究活動に充てることにして別口座で保管していた。また,被告補助参加人所属議員は,調査研究活動の経費を証明する領収書等を被告補助参加人の会計責任者に対して渡すのと引き替えに,領収書等に見合う政務調査費を受け取っていた。もっとも議員が- 6 -月50万円(年600万円)を超える調査研究活動を行った場合,議員は政務調査費を月50万円(年600万円)の限度でしか受け取ることができないものの,領収書等は月50万円(年600万円)を超える分についても被告補助参加人の会計責任者に渡していた。 被告補助参加人は,被告補助参加人全体での調査研究活動に支出した際の領収書等と議員個人が行った調査研究活動に支出した際の領収書等をとりまとめて市会議長へ提出する収支報告書を作成した。その際,議員から年間6 加人は,被告補助参加人全体での調査研究活動に支出した際の領収書等と議員個人が行った調査研究活動に支出した際の領収書等をとりまとめて市会議長へ提出する収支報告書を作成した。その際,議員から年間600万円分を超える領収書等の提出を受けたときには,領収書等記載の金額全額を収支報告書の支出に含めることとしたため,領収書等記載の金額のうち年間600万円を超える部分に相当する金銭は名古屋市に返還されることなく,また議員にも支払われず,被告補助参加人のもとに保留された(この被告補助参加人のもとに保留された金員を「余剰金」という。)(丙1号証,2号証,証人A,弁論の全趣旨)。 ( ) 住民監査請求の経緯等 原告らは,平成17年6月15日,名古屋市監査委員に対し,被告において,被告補助参加人をして,平成15年度の政務調査費中1475万円(共通経費相当分)及び平成16年度の政務調査費中1395万円(共通経費相当分)の合計2870万円につき名古屋市に返還させるための必要な措置を講ずるように求めた(甲7号証)。 被告補助参加人は,平成17年8月1日,平成15年度5月以降分の政務調査費の支出に不適切と判断すべきものがあったことを理由として,市会議長に対し,平成15年度5月以降分政務調査費に係る収支報告書の訂正願を提出して,収入合計1億4905万0038円,支出合計1億4348万3796円,残余金556万6242円と報告した(甲8号証,乙2号証)。 被告は,これを受けて,平成17年8月3日,被告補助参加人に対して,410万円(訂正前の残余金額146万6242円と訂正後の残余金額55- 7 -6万6242円の差額)を返還するよう命令し,被告補助参加人は,同月4日,410万円を名古屋市に返還した(甲8号証,弁論の全趣旨)。 名古屋市監査委員は,同月10日付けで, の残余金額55- 7 -6万6242円の差額)を返還するよう命令し,被告補助参加人は,同月4日,410万円を名古屋市に返還した(甲8号証,弁論の全趣旨)。 名古屋市監査委員は,同月10日付けで,原告らに対し,平成15年度の政務調査費中410万円については措置の必要が認められず,平成16年度の政務調査費中150万円については不当利得の事実を確認することができなかった旨の監査結果を通知した。 ( ) 本訴提起 原告らは,平成17年9月2日,被告に対し,被告補助参加人を相手方とする不当利得返還請求をするよう求める本訴を提起した。 ( ) 新風自民の結成と訴えの変更 被告補助参加人に所属していた名古屋市会議員9名は,平成18年10月,被告補助参加人から脱退して新会派「新風自民」を結成した(弁論の全趣旨)。 原告らは,同月27日,被告に対し,新風自民を相手方とする不当利得返還請求をするよう求める訴えを追加した。 争点 被告補助参加人は,名古屋市から交付された平成15年度分及び平成16年度分の政務調査費中,共通経費相当額を,法律上の原因なく利得したか( ) 上記共通経費ないし余剰金が政務調査費の使途基準に適合するか ( ) 上記共通経費ないし余剰金が収支報告書の記載と合致せず,政務調査費の 適正な支出と認められないか( ) 被告補助参加人が名古屋市に対して410万円を返還したことが被告補助 参加人の本件の返還債務の一部消滅と評価できるか 争点等に関する当事者の主張( ) 被告補助参加人は,平成15年度分及び平成16年度分の政務調査費中共 通経費相当額を,法律上の原因なく利得したかについて- 8 -(原告らの主張)ア共通経費中の余剰金は政務調査費の使途基準に適合しないこと(ア) 共通経費ないし余剰金被告補助参加人の 中共 通経費相当額を,法律上の原因なく利得したかについて- 8 -(原告らの主張)ア共通経費中の余剰金は政務調査費の使途基準に適合しないこと(ア) 共通経費ないし余剰金被告補助参加人の団長は,共通経費の中から平成15年度分は410万円を預かり,平成16年度分は150万円を預かっていた。被告補助参加人においてこのような扱いは慣例となっており,かかる「預かり金」としての余剰金は,市会議員選挙の際に頭割りで均等に分配されていた。したがって,これらは政務調査費の使途基準に適合しない。 (イ) 共通経費分に余剰金が含まれることとその評価被告補助参加人では,所属議員が政務の調査研究活動を行い,その費用として年額600万円を超える金銭を支出した場合,その支出額に相当する領収書等に基づき収支報告書を作成するのに対し,当該議員には年額600万円しか支払わない。共通経費分には少なくともかかる余剰金が含まれている。 被告補助参加人の団長であったA市会議員は,被告補助参加人の団長は余剰金分の一部を積み立てて保管し,改選の年に均等割で所属議員に配分していたと述べているのであるから,余剰金を含む共通経費自体が政務調査費の使途基準に適合しない支出に用いられた可能性が極めて高い。それにもかかわらず,被告補助参加人は領収書の提出を拒むばかりか,余剰金の金額及び余剰金を含む共通経費が具体的に何に使われたかも明らかにしていない。 ところで,政務調査費について不当利得返還請求権の存在を主張する住民が,会派が政務調査費を調査研究活動以外の目的に費消したことを推認させる一般的,外形的な事実を主張立証した場合には,会派において支出した政務調査費が使途基準に適合していることを具体的に主張立証すべきである。本件では,このような一般的,外形的な事実を原告ら- 9 -に 般的,外形的な事実を主張立証した場合には,会派において支出した政務調査費が使途基準に適合していることを具体的に主張立証すべきである。本件では,このような一般的,外形的な事実を原告ら- 9 -において主張立証したのであり,被告補助参加人が共通経費から支出した部分が使途基準に適合していることを具体的に主張立証しない以上,共通経費全体が会派ないし議員の調査研究のために支出されたとはいえないと推認すべきである。 (ウ) 被告補助参加人の主張に対する反論被告補助参加人は,収支報告書や領収書に記載された内容どおりの政務調査活動が行われた以上,調査研究活動を行い,その費用を支払った議員に対して政務調査費を支払わなくても,それは会派内部の精算の問題に過ぎず,名古屋市との関係で不当利得の問題は生じないと主張する。 しかし,被告補助参加人の上記主張は,政務調査費が本来は会派の調査研究活動に対する補助金であることを没却した論理である。地方自治法100条13項は,政務調査費は「議員の調査研究に資するため必要な経費の一部」とするべきことを明示しており,同法2条14項が,地方自治体の執行機関に対し最少の経費で最大の効果を挙げるべきことを求め,地方財政法4条1項が,地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少の限度をこえてこれを支出してはならないと定めていることからすれば,補助金である政務調査費を使わなくとも調査研究活動をすることができる場合には,政務調査費を支出すること,あるいは利得として手元においておくことは許されない。そして,政務調査費は,いくらに相当する政務調査活動がなされたかではなく,政務調査活動に要した費用のうち,いくらを補助したかを基準としてそれを報告しなければならない。 したがって,本件条例5条は収支報告書や領収書の記載内容と実 に相当する政務調査活動がなされたかではなく,政務調査活動に要した費用のうち,いくらを補助したかを基準としてそれを報告しなければならない。 したがって,本件条例5条は収支報告書や領収書の記載内容と実際の政務調査費の支出が一致することを命じており,それらの記載の中に,政務調査費を実際に支出しないものがあった場合には,当該支払については本件条例7条により返還を要するのである。 - 10 -また,調査研究活動のために年間600万円を超える金額を支出した所属議員に対し被告補助参加人が政務調査費600万円を限度に支払うことをもって,被告補助参加人が当該議員に調査研究活動に要した金額全額を政務調査費として支払い,しかる後,同議員から調査研究活動に要した金額のうち600万円を超える部分を会派の経費として徴収したと同視することはできない。そう解釈しないと,会派が所属議員に政務調査費を渡した後,ただちに当該議員から同額の金員を徴収し,これを政務調査費の使途基準に適合しない使途に使用する(例えば会派の選挙費用に充てる)などの一種のマネーロンダリング(資金洗浄)を許容する結果となるからである。 イ収支報告書の記載と合致しないこと(ア) 収支報告書の記載と合致しないことと不当利得との関係各会派が支給された政務調査費を利得として最終的に保有できることとなるのは,当該会派が本件条例5条による適正な収支報告書を市会議長に提出し,これに基づいて被告が本件条例7条による返還請求権を行使しないことが確定した段階である。すなわち,実際の使途を正確に反映しない収支報告書が提出されている場合には,当該会派は不当な利得を得ていることとなる。 (イ) 下記の各事実に照らせば,被告補助参加人の収支報告書のうち共通経費に相当する部分は事実を反映せず,虚偽である。 a被告補助参 されている場合には,当該会派は不当な利得を得ていることとなる。 (イ) 下記の各事実に照らせば,被告補助参加人の収支報告書のうち共通経費に相当する部分は事実を反映せず,虚偽である。 a被告補助参加人の前団長であるA市議は,共通経費の中から平成15年度分は410万円を預かり,平成16年度分は150万円を預かっていたこと,被告補助参加人においてこのような扱いは慣例となっており,かかる「預かり金」は,市会議員選挙の際に均等割で分配していた旨説明している。したがって,平成15年度及び平成16年度の共通経費分に関する支出相当額は,収支報告とは別の使途に支出さ- 11 -れたのであって,平成15年度及び平成16年度の各収支報告書は事実に反している。 b被告補助参加人では,所属議員が市政に関する調査研究活動を行い,その費用として年額600万円を超える金銭を支出した場合,その支出額に相当する領収書に基づき収支報告書を作成するのに対し,当該議員には年額600万円しか支払わず,議員一人当たり年額660万円支払われる市政調査費の残額60万円は,被告補助参加人において共通経費として留保し,これを前記のとおり余剰金としている。 そのため,被告補助参加人は,実際に当該調査に支出された政務調査費は年額600万円にすぎないにもかかわらず,それを超える金額の政務調査費が支出された旨の記載がなされ,他面,実際には被告補助参加人において共通経費として留保し,余剰金としたのに,その旨を記載しない収支報告書を作成し,これを議長に提出しているのである。 本件規則6条2項は会派の経理責任者に対し,政務調査費の支出について会計帳簿を調製するとともに,領収書等の証拠書類を整理し,これらの書類を当該政務調査費に係る収支報告書の提出期限の日から起算して,5年を経過する日まで保管 経理責任者に対し,政務調査費の支出について会計帳簿を調製するとともに,領収書等の証拠書類を整理し,これらの書類を当該政務調査費に係る収支報告書の提出期限の日から起算して,5年を経過する日まで保管することを義務付けているところ,この規定は,収支報告書は支出の目的及び金額において会派所属の議員が提出した領収書に対応するものとして作成することを求めているにとどまり,保管する領収書と実際の政務調査費の使途とが食い違う結果を認める趣旨ではない。 したがって,被告補助参加人が名古屋市会議長に提出した収支報告書の記載は,少なくとも被告補助参加人の共通経費中の余剰金分においては,実際の政務調査費の支出と異なる支出がなされており,本件条例5条に違反する収支報告である。 - 12 -(ウ) 共通経費相当額全額を返還すべきであること平成15年度,平成16年度の被告補助参加人の共通経費分について,どの部分が収支報告と異なった支出がされたか判明しない以上,共通経費全体が政務調査費の使途として不適切な支出と言わざるを得ず,その全額が返還されなければならない。 その金額は平成15年度が1475万円,平成16年度が1395万円で合計2870万円である。 ウ410万円の返還金についてなお,被告補助参加人は,平成15年度の政務調査費の共通経費分の一部410万円を名古屋市に返還したと主張する。しかし,被告補助参加人は,当初これがA市議が主張するように共通経費からプールした資金であることを否定していたところ,その後,同市議個人の後援会旅行の領収書がこの410万円に充てられていたとして,同市議の不正流用を理由として同額を名古屋市に返還するに至ったものであり,その経過からは,この410万円がA市議に配分された分の不正流用なのか,共通経費分の不正流用であるかの特定が困難 いたとして,同市議の不正流用を理由として同額を名古屋市に返還するに至ったものであり,その経過からは,この410万円がA市議に配分された分の不正流用なのか,共通経費分の不正流用であるかの特定が困難である。したがって,この410万円はA市議個人の経費部分の不正流用である可能性があるから,共通経費分の不当利得返還請求を求める本訴においては,この410万円の返還を考慮する必要はない。 (被告の主張)被告補助参加人の主張を援用する。 (被告補助参加人の主張)ア共通経費からの支出が政務調査費の使途基準に適合すること(ア) 被告補助参加人の団長が,共通経費から金員を預かってきたことはない。 (イ) 被告補助参加人においては,所属の議員が調査研究活動の結果,年額- 13 -600万円を超える支出をした場合であっても,議員個人には600万円を上限として政務調査費を支払うこととしている。そして,収支報告書には議員個人から提出された領収書をもとに支出を記載するため,領収書記載金額の合計額から600万円を引いた額が,被告補助参加人に留保されることとなる。このように留保された余剰金は,あくまで被告補助参加人内部の精算の結果生じるものであり,個々の議員が調査研究活動をし,現実に収支報告書のもととなった領収書に対応する費用を支出した以上,名古屋市との関係で不当利得の問題は発生しない。被告補助参加人においては,これを共通経費として,会派控室における諸会議の経費,会派執行部による自民党本部・政令指定都市への政策・調査打合せのための経費,コピー機のリース代,パソコンの保守及びデータ管理のための経費,関連ソフトにかかる経費,機関紙「自由市民」作成のための取材活動・編集活動等に支出している。 政務調査費が目的以外に使われたことは,そのことを推認させる一般的,外形 保守及びデータ管理のための経費,関連ソフトにかかる経費,機関紙「自由市民」作成のための取材活動・編集活動等に支出している。 政務調査費が目的以外に使われたことは,そのことを推認させる一般的,外形的な事実をまず原告らが主張立証すべきであるが,かかる主張立証はない。 政務調査費の支給については,その使途の透明性確保の要請がある一方で,会派の結社の自由,言論の自由及び政治活動の自由を制限するおそれや,執行機関等からの干渉の防止及び会派間における独自性・優位性確保の必要性もあるので,この二つの要請を実現するため,名古屋市においては本件条例で収支報告書の提出を義務付けるものの,領収書等の提出は義務付けられていないのであり,したがって本訴でも領収書の提出はできない。しかし,平成15年度分及び平成16年度分の共通経費分の再調査を行ったところ,後述する平成15年度の410万円及び平成16年度の570万円以外は,領収書の発行者,日付,金額,ただし書等に不自然な点は見られなかったので共通経費分は使途基準に沿っ- 14 -た適正なものと判断した。 (ウ) 共通経費ないし余剰金の発生状況は次のとおりである。 平成15年度4月分は,支出総額721万5182円のうち,共通経費分は1万5182円で,余剰金は発生していない。 平成15年度5月以降翌年3月分までは,支出総額1億4758万3796円のうち,共通経費分は1258万3796円で,余剰金は発生していない。ただし,上記共通経費分のうち410万円は,A市議が政務調査活動とは認められない使途の領収書を提出していたことが後日判明したので,被告補助参加人において同額を名古屋市に返還した。 平成16年度分は,支出総額1億4738万4320円のうち,共通経費分は772万4539円で,議員個人が政務調査費として支出した 日判明したので,被告補助参加人において同額を名古屋市に返還した。 平成16年度分は,支出総額1億4738万4320円のうち,共通経費分は772万4539円で,議員個人が政務調査費として支出した1億3965万9781円のうち165万9781円が余剰金となった。 なお,原告らが指摘する平成15年度の410万円及び平成16年度の570万円は,A市議が不明朗な領収書を差し入れて持ち出したに過ぎず,ここにいう余剰金には当たらない。このうち平成15年度の410万円は上記のとおりすでに名古屋市に返還し,平成16年度の570万円については収支報告書提出前に発覚したため,支出に計上していない。 イ収支報告書の記載は実態と合致していること原告らは,被告補助参加人所属議員が調査研究活動を行い,その費用として年額600万円を超える金銭を支出し,その支出の領収書の提出と引き替えに被告補助参加人から年額600万円の支払を受けた場合に,上記領収書に基づいて収支報告書に支出金額を記載するのは,実際の政務調査費の支出を反映していないと主張する。しかし,議員個人が現実に年額600万円を超える金額を支出している以上,その金額を政務調査費として支出したとの報告は事実をそのまま報告している。被告補助参加人と議員- 15 -との精算関係は,被告補助参加人内部における処理の問題にすぎない。したがって,収支報告書の虚偽記載には当たらない。 ウ410万円の返還について被告補助参加人は,上記のとおり,平成15年度の共通経費分の1258万3796円のうちA市議提出の領収書にかかる合計410万円は,調査研究活動を証するものとしては不相当と判断し,平成15年度の収支報告書を訂正の上,名古屋市に410万円を返還した。 原告らのその余の主張は争う。 ( ) 新風自民が被告補助参加人の不当 0万円は,調査研究活動を証するものとしては不相当と判断し,平成15年度の収支報告書を訂正の上,名古屋市に410万円を返還した。 原告らのその余の主張は争う。 ( ) 新風自民が被告補助参加人の不当利得返還債務について連帯責任を負うと する原告らの主張は次のとおりである。 ア被告補助参加人に所属していた名古屋市会議員9名は,平成18年10月,被告補助参加人から離脱して新会派「新風自民」を結成した。 イ権利能力なき社団に対する債務の引き当てとなるのは社団の総有財産であるところ,新風自民は被告補助参加人から分離したものであるから,新風自民の財産は,分離前は被告補助参加人の総有財産の一部を構成していた。 ウしたがって,新風自民の総有財産も,本来は,本訴で問題となっている不当利得返還請求権の引き当てとなっていたものであるから,名古屋市長が不当利得返還請求訴訟を提訴するに当たっては,被告補助参加人及び新風自民の両会派を被告とすることが必要であり,公平にかなう。 第3当裁判所の判断 政務調査費に関する不当利得返還請求と主張立証責任など( ) 原告らは,被告補助参加人に交付された平成15年度及び平成16年度の 政務調査費のうち,被告補助参加人の共通経費分の使途が本件条例及び本件規程で定められた使途基準に違反しており,また被告補助参加人の提出した収支報告書の記載と合致せず違法であるから,これを名古屋市に返還すべき- 16 -であるとして,被告補助参加人に対する不当利得の返還請求をするよう被告に求めている。 ( ) 政務調査費は,地方自治法100条13項によって,普通地方公共団体が, 条例の定めるところにより,その議会における会派又は議員に対し,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付することが認められた経費である。同項の条 13項によって,普通地方公共団体が, 条例の定めるところにより,その議会における会派又は議員に対し,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付することが認められた経費である。同項の条例として政務調査費の交付対象や交付方法等を定めた本件条例は,名古屋市会の各会派に対して,月額55万円に所属議員の数を乗じた金額を交付する旨を定め(本件条例2条,3条),その使途基準を「政務調査費は,議長が定める使途基準に従って使用するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない。」(同4条)とし,会派の代表者は,所定の様式による前年度の収支報告書を,毎年4月30日までに議長に提出しなければならず(同5条),その提出を受けた議長は,政務調査費の適正な運用を期すため,必要な調査を行うことができ(同6条),政務調査費として交付された金員の返還について「市長は,政務調査費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派がその年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。」(同7条)と規定し,なお,何人も議長に対して,収支報告書の閲覧を請求することができる旨(同8条)定めている。そして,本件規則は,会派は,政務調査費に関する経理責任者を置いて,会計帳簿の調製と領収書等の証拠書類を整理して,これを所定の期間保管すべきことを定め(本件規則6条),また,本件規程は,本件条例4条に規定する使途基準を,別表に掲げる項目ごとに概ね(同表の)右欄に掲げるとおりとする旨(本件規程2条)定めている。 ( ) これらの各規定及び政務調査費の趣旨に照らすと,会派に交付された政務 調査費が使用 る使途基準を,別表に掲げる項目ごとに概ね(同表の)右欄に掲げるとおりとする旨(本件規程2条)定めている。 ( ) これらの各規定及び政務調査費の趣旨に照らすと,会派に交付された政務 調査費が使用されずに残余が生じた場合のほか,使用された政務調査費が,- 17 -その交付の趣旨及び使途基準に照らして,市政に関する調査研究に資するため必要な経費とは認められない場合も,当該部分の返還を要することは当然というべきである。 そして,本件条例その他の上記各規定が,交付される政務調査費の使途基準を定めた上,会派に経理責任者を置くことや,収支報告書の提出,会計帳簿の調製と領収書等の証拠書類の整理,保管を義務付け,議長の調査権を定めているのは,税金から支出される政務調査費の実際の使途が,上記使途基準に適合しており,市政に関する調査研究に資するため必要な経費として認められるものであることを担保し,その透明性を確保する趣旨目的によるものと解されるから,収支報告書の収支の記載内容が,実際の政務調査費の支出内容と大幅に相違していたり,その支出内容が使途基準に適合しているかどうかを確認することができないような場合は,収支報告書の作成を義務付けて政務調査費の適正な支出とその透明性を確保しようとしている上記各規定の趣旨目的を満たすものとはいえず,当該部分の支出は政務調査費の適正な支出と認めることはできないので,これは法律上の原因を欠く不当利得として市に返還すべきものと解される。 ( ) もっとも,上記の各規定も収支報告書に領収書等の証拠書類の添付を義務 付けてはおらず,会派の経理責任者に対して会計帳簿の調製と領収書等の証拠書類の整理保管を一定期間義務付けた上,収支報告書の提出を受けた議長はこれを調査することができるとするに止まり,領収書等裏付資料の一般的開示 ,会派の経理責任者に対して会計帳簿の調製と領収書等の証拠書類の整理保管を一定期間義務付けた上,収支報告書の提出を受けた議長はこれを調査することができるとするに止まり,領収書等裏付資料の一般的開示を予定するものではないが,これは政務調査費の支出内容の明細は,会派の政策意図や具体的な調査対象を推知させるなどして,調査目的の達成を妨げるおそれがあるので,これに対する配慮の必要性と,一方における政務調査費支出の透明性確保の必要性という相容れない要請の調整を図ったものであって,収支報告書の内容が実態と大幅に相違したり,その使途が使途基準に適合しているといえるかについて合理的な理解ができない内容のもので- 18 -あるなど,収支報告書が担うべき政務調査費の適正な支出及びその透明性の確保の担保としての機能を没却する運用を許す趣旨によるものではないことも明らかである。 ( ) 以上の諸事情を踏まえて勘案してみると,政務調査費に関する不当利得の 返還については,返還請求を求める側において,政務調査費の使途について相当な根拠をもって疑義が存することを主張,立証した場合には,会派ないし市側において,合理的な疑いを容れない程度にその疑義を解消するに足る主張と反証を行う必要があり,それがなされない場合には,政務調査費の適正な支出がなされなかったものと推認されるというべきである。 被告補助参加人における共通経費及び余剰金の取扱いと収支報告書の記載内容について( ) 原告らは,上記のとおり,被告補助参加人における共通経費の支出が政務 調査費として認められず,収支報告書の記載にも合致しない旨主張するので検討するに,被告補助参加人が,その共通経費及び余剰金について主張するところは次のとおりである。 ア被告補助参加人では,会派内部の取り決めとして,名古屋市 支報告書の記載にも合致しない旨主張するので検討するに,被告補助参加人が,その共通経費及び余剰金について主張するところは次のとおりである。 ア被告補助参加人では,会派内部の取り決めとして,名古屋市から毎月交付される所属議員一人当たり55万円(年額660万円)の政務調査費のうち50万円(年額600万円)はそれぞれ封筒に入れて金庫に保管し,残り5万円(年額60万円)は,被告補助参加人の共通経費として被告補助参加人の別口座に入金して保管し,個々の議員に対する支払は実際に政務調査活動に使用した金額が年額600万円を超える場合でも,600万円を限度に支払うことにしている。ただし,当該議員からは600万円を超える政務調査費の支出分についてもその領収書の提出を受け,その分を含めて,被告補助参加人としての収支報告をしている。 この個々の議員には支払わずに,被告補助参加人が保留する部分の金額が余剰金であるが,上記のとおり,この余剰金に相当する金額の支出- 19 -は,実際に個々の議員が政務調査活動に使用したもので,これに対応する領収書等も提出され,会派の会計責任者において保管しているから,これを含めて被告補助参加人が使用した政務調査費として収支報告書に記載する取扱いに問題はなく,それが不当利得返還の対象となるものではない。(被告補助参加人準備書面( ) ,同( ) 等) イ被告補助参加人の共通経費は,被告補助参加人が会派として行う政務調査活動のための費用であり,具体的には会派控室における諸会議の経費,会派執行部の自民党本部などへの政策・調査打合せのための経費,コピー機のリース代,パソコンの保守及びデータ管理や関連ソフトにかかる経費,機関紙「自由市民」の取材・編集活動費等であり,それらの領収書は,被告補助参加人の財務委員長等が確認している。 ための経費,コピー機のリース代,パソコンの保守及びデータ管理や関連ソフトにかかる経費,機関紙「自由市民」の取材・編集活動費等であり,それらの領収書は,被告補助参加人の財務委員長等が確認している。(同準備書面( )) ウ共通経費と余剰金の具体的な取扱いとしては,仮に調査旅費として700万円の領収書が議員から提出された例では,当該議員には600万円を支払い,残100万円については,上記の共通経費とした口座から100万円を出金して余剰金とした上,これを被告補助参加人が保有し,収支報告書では700万円全額を調査旅費として支出したものと記載する処理をしているというものである。(同上)エ被告補助参加人における共通経費及び余剰金の発生状況は次のとおりである。(同準備書面( ) ) (ア) 平成15年度4月分は,収支報告書記載の支出総額721万5182円のうち,議員個人分が720万円(なお,同月13日に市会議員選挙があり,その選挙活動を考慮して,被告補助参加人内部で当月の議員一人あたりの調査活動費の上限は30万円とした。),共通経費分が1万5182円で,余剰金は発生していない。 (イ) 平成15年度5月分から平成16年3月分までは,収支報告書記載- 20 -の支出総額1億4758万3796円のうち,議員個人分が1億3500万円,共通経費分は1258万3796円で,余剰金は発生していない。ただし,上記共通経費分のうち,410万円は,A議員が政務調査活動とは認められない領収書を差し入れていたことが判明したので,同額を名古屋市に返還した。 (ウ) 平成16年度分は,収支報告書記載の支出総額1億4738万4320円のうち,議員個人分が1億3965万9781円,共通経費分は772万4539円であったが,上記議員個人分のうち165万9781円 平成16年度分は,収支報告書記載の支出総額1億4738万4320円のうち,議員個人分が1億3965万9781円,共通経費分は772万4539円であったが,上記議員個人分のうち165万9781円は議員個人に支払わず余剰金とした。 ( ) 被告補助参加人の共通経費及び余剰金に関する上記( ) の主張にかかる説 明内容を検討してみると,その共通経費及び余剰金の実態並びにこれに関する収支報告の内容について,次のような疑義ないし問題があると解される。 ア被告補助参加人の説明による余剰金と共通経費の関係は必ずしも明確ではないが,余剰金が共通経費として使用されるものとは別個の,純然たる被告補助参加人の会派としての内部資金となるものとすれば,収支報告書上は,当該議員の領収書に基づいて,当該議員の使用にかかる政務調査費に含めて支払われたものと処理されているものが,実態としては,そのうち当該議員について年額600万円を超える余剰金部分は,被告補助参加人に余剰金として保留され,政務調査費とは関係のない被告補助参加人の内部資金となるというのであり,それが,一旦は当該議員に政務調査費として支払われた上,改めて当該議員個人から余剰金部分相当額が被告補助参加人に拠出されるものであるとの説明をするとしても,そのような資金の拠出を可能にさせるのは余剰金の原資となるべき部分を含めて政務調査費の交付を受けていることによるものである(そのことは,600万円を超える政務調査費の支出をしなければ,余剰金としての拠出ないし保留はあり得ないことを想起すれば明白である。また,それが会派という団体に- 21 -所属することに伴って負担すべき団体の維持費等,通常の経費に関する拠出ないし保留としても合理化できないことは,その金額が,600万円を超える部分という定額性を欠く金額 会派という団体に- 21 -所属することに伴って負担すべき団体の維持費等,通常の経費に関する拠出ないし保留としても合理化できないことは,その金額が,600万円を超える部分という定額性を欠く金額になることからしても明らかである。)のみならず,余剰金とされた部分を含めた金額が収支報告書に支出として計上されることは,結局,名古屋市へ返還できるはずの残余金を減少させることにも繋がっているのであるから,そのような余剰金に転化されることになる政務調査費の支払は,政務調査費の趣旨及び使途基準に反するものといわなければならない。 また,余剰金が被告補助参加人の共通経費として使用されているものであるというのであれば,個々の議員が政務調査費として使用した際の領収書と被告補助参加人が共通経費として使用した際の領収書が重複して提出され,重複した支出の収支報告がなされていることになり,収支報告の支出額に誤りが生じ,返還すべき残余金を減少させていることになる。 しかも,被告補助参加人の共通経費が余剰金によって充てられるという構造は,各議員が共通経費捻出のために,必ずしも必要不可欠とはいえない使途の政務調査費を支出して,600万円を超える支出部分を発生させる危険性をも内包するものというべきであって,なお,こうした余剰金部分をどの程度の金額とするかは,被告補助参加人内部において適宜に決めることが可能であるから,その収支報告の内容は実態と必ずしも符合しないことになる。 そうしてみると,いずれにしても,被告補助参加人の説明にかかる余剰金の取扱いは,政務調査費交付の趣旨目的及び使途基準に適合しないものであって,許容されないものというべきである。 イ次に,被告補助参加人の平成15年度4月分の収支報告書(甲1号証)の支出の内訳に関する上記の説明内容には以下のとおりの疑義 び使途基準に適合しないものであって,許容されないものというべきである。 イ次に,被告補助参加人の平成15年度4月分の収支報告書(甲1号証)の支出の内訳に関する上記の説明内容には以下のとおりの疑義がある。 すなわち,被告補助参加人によれば,平成15年度4月分の共通経費は- 22 -1万5182円であるというのであるが,これを平成15年度の5月分から平成16年3月分までの共通経費分が1258万3796円,平成16年度分のそれが772万4539円とする説明と対比してみると,上記平成15年度4月分の共通経費の金額は,それが1か月分であるとしても,いかにも少額に過ぎると解される上,その収支報告書記載の支出内容のうち,研修費(50万9210円),会議費(8万1239円),資料作成費(自由市民の作成費及び資料代など,146万6225円)など,一般に共通経費として支出される部分が多いと考えられる項目の各計上金額に照らしてみても,そのいずれとも整合し難い感を免れない。 しかも,被告補助参加人は,同月分の政務調査費については,同月13日に市会議員選挙があり,その選挙活動を考慮して,被告補助参加人内部で当月の議員一人あたりの調査活動費の上限は30万円とした旨の説明をしていることは上記のとおりであるところ,この説明内容と上記収支報告書の記載内容が整合するのかどうかも疑問である。 したがって,被告補助参加人の上記説明にかかる支出内訳に対応する政務調査費の支出がどのようになされたのか理解が困難であって,ひいては被告補助参加人の収支報告書の記載内容がどれほど実態と符合するものであるのかについて相当の疑問を抱かせるものというべきである。 ( ) 以上のとおり,被告補助参加人が行っている政務調査費の取扱いのうち, 共通経費及び余剰金の取扱いは,その部分の収支報告が るものであるのかについて相当の疑問を抱かせるものというべきである。 ( ) 以上のとおり,被告補助参加人が行っている政務調査費の取扱いのうち, 共通経費及び余剰金の取扱いは,その部分の収支報告が政務調査費の支出の実態と合致しているかどうかについて相当の根拠に基づく疑義があると認められるから,これについて被告補助参加人又は被告において,合理的な疑いを容れない程度の説明ないし反証を行って上記疑義を解消しない限り,その共通経費及び余剰金に関する支出は,政務調査費の適法な支出と認めることができず,政務調査費として交付を受けた当該部分に相当する額は,法律上の根拠を欠く不当利得と認められることになる。 - 23 -しかるところ,被告補助参加人らが本訴において提出した主張及び立証を検討してみても,上記疑義を解消するに足るほどの説明ないし反証がなされたとは認められないから,被告補助参加人は,平成15年度及び平成16年度に交付を受けた政務調査費のうち,その共通経費及び余剰金に関する部分に相当する額を不当利得として返還すべきものである。 ( ) 上記不当利得の金額は,平成15年度分が1475万円(被告補助参加人 が自由民主党市民クラブ名古屋市会議員団として交付を受けた1億4905万円と自由民主党名古屋市会議員団として交付を受けた1320万円について,それぞれ5万円/55万円に相当する額),平成16年度分が1395万円(交付を受けた1億5345万円について5万円/55万円に相当する額)の合計2870万円となる。 被告補助参加人から名古屋市へ返還された分の取扱い等被告補助参加人は,上記のとおり,平成15年度の共通経費分の1258万3796円のうちA市議提出の領収書にかかる合計410万円は,調査研究活動を証するものとしては不相当と判断し,平成15年度 扱い等被告補助参加人は,上記のとおり,平成15年度の共通経費分の1258万3796円のうちA市議提出の領収書にかかる合計410万円は,調査研究活動を証するものとしては不相当と判断し,平成15年度の収支報告書を訂正の上,名古屋市に410万円を返還した旨を主張し,その金額が被告補助参加人から名古屋市に返還された事実は当事者間に争いがない。 原告らは,上記の410万円が,共通経費分について返還されたのか,議員個人分について返還されたのか明らかでないから,これを本件で請求するよう求めている共通経費分の不当利得の一部返済とすることはできない旨主張するが,A市議から共通経費分として提出された領収書の金額について,返還がなされたとする被告補助参加人の主張と矛盾すべき証拠もないから,同金員は共通経費に関する不当利得の一部返還としてなされたものと認めるのが相当である。したがって,この410万円は上記2870万円から控除すべきであり,その残額は2460万円となる。 原告らは,本件の不当利得返還請求権について,同請求権が発生したことが- 24 -明白となった平成17年6月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求をするよう求めているが,不当利得返還債務は法律の規定により発生するもので,期限の定めのない債務であるから,債権者の請求を受けたときから遅滞に陥ることになる。本訴において,被告補助参加人が名古屋市から原告ら主張にかかる上記期日より前に本件不当利得返還の請求を受けたことを認めるに足る証拠はないが,本訴提起に伴い,名古屋市の代表者市長である被告から,被告補助参加人に対して本訴の訴訟告知が行われ,それが平成17年10月14日被告補助参加人に到達したことは本件記録上明らかである。 上記訴訟告知は訴訟手続上の通知を目的とするものであるが,被告 から,被告補助参加人に対して本訴の訴訟告知が行われ,それが平成17年10月14日被告補助参加人に到達したことは本件記録上明らかである。 上記訴訟告知は訴訟手続上の通知を目的とするものであるが,被告において被告補助参加人に対して不当利得返還請求をするよう求められている住民訴訟が認容される場合には,不当利得の返還を被告補助参加人に請求する趣旨が含まれているものと解することができるから,これによって被告補助参加人の不当利得返還債務は遅滞に付されたものと解するのが相当である。 新風自民に対する支払請求をするよう求める請求部分について検討するに,権利能力なき社団の債務は,社団に総有的に帰属し,社団の総有財産だけがその引き当てとなり,社団員個々人が責任を負うことはないと解される(最高裁判所昭和48年10月9日第三小法廷判決・民集27巻9号1129頁)。そうすると,権利能力なき社団(従前の社団)の一部の構成員が脱退し,その脱退構成員らが別の権利能力なき社団(新社団)を結成した場合,新社団が従前の社団から総有財産の一部を引き継いだり,あるいは,新社団が従前の社団と実質的に同一性を認め得る社団である場合などの特段の事情がある場合でない限り,新社団は従前の社団の債務について,その支払義務を承継したり責任を負うことはないと解すべきである。 本件について,被告補助参加人に所属していた名古屋市会議員9名が,平成18年10月に被告補助参加人から脱退した上,新たに新風自民を結成した際,被告補助参加人と新風自民との間で,被告補助参加人に帰属する財産の一部を- 25 -新風自民に引き継ぐことになった経緯や,新風自民が実質的に被告補助参加人と同一性を保った団体であるとの事情があるとはうかがわれず,上記特段の事情があるとは認められない。 そうすると,新風自民が被告補 新風自民に引き継ぐことになった経緯や,新風自民が実質的に被告補助参加人と同一性を保った団体であるとの事情があるとはうかがわれず,上記特段の事情があるとは認められない。 そうすると,新風自民が被告補助参加人の不当利得返還債務を承継したり責任を負うものとは解されないから,原告らの同部分に関する主張は理由がない。 第4結論よって,原告らの請求は,被告に対し,被告補助参加人に対して不当利得として2460万円の返還及びこれに対する被告補助参加人に対する訴訟告知書送達の日の翌日である平成17年10月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める限度で理由があるから認容し,その余の被告補助参加人に対する返還請求を求める部分及び新風自民に対する返還請求を求める部分の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条,64条本文,66条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部中村直文裁判長裁判官前田郁勝裁判官尾河吉久裁判官- 26 -別表項目内容調査費本市の事務及び地方行財政に関する調査研究活動並びに調査委託に要する経費(調査委託費,交通費,宿泊費等)研修費調査研究活動のために行う研修会・講演会の実施に必要な経費並びに他団体が開催する研修会・講演会等への所属議員及び会派の雇用する職員の参加に要する経費(会場費・機材借り上げ費,講師謝金,会費,交通費,宿泊費等)会議費調査研究活動のために行う各種会議に要する経費(会場費・機材借り上げ費,資料印刷費等)資料作成費調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費(印刷・製本代,原稿料等)資料購入費調査研究活動のために必要な図書・資料等の購入に要する経費 費(会場費・機材借り上げ費,資料印刷費等)資料作成費調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費(印刷・製本代,原稿料等)資料購入費調査研究活動のために必要な図書・資料等の購入に要する経費(書籍購入代,新聞雑誌購読料等)広報費調査研究活動,議会活動及び市政に関する政策等の広報活動に要する経費(広報紙・報告書等印刷費,会場費,送料,交通費等)事務費調査研究活動に係る事務遂行に必要な経費(事務用品・備品購入費,通信費等)人件費調査研究活動を補助する職員(臨時職員を含む。)を雇用する経費(給料,手当,社会保険料,賃金等)注()内は例示

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