平成13(行ウ)423 不当利得返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年7月16日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文36,781 文字)

主文 1 被告国は、原告に対し、金38万3000円並びにこれに対する平成11年3月26日から同年12月31日まで年7.3パーセント、同12年1月1日から同13年12月31日まで年4.5パーセント、及び同14年1月1日から支払済みまで年4.1パーセントの各割合による金員を支払え。 2 被告東京都は、原告に対し、金3万8300円及びこれに対する平成11年9月1日から同年12月31日まで年7.3パーセント、同12年1月1日から同13年12月31日まで年4.5パーセント、及び同14年1月1日から支払済みまで年4.1パーセントの各割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は、原告と被告国との間で生じた分は、これを3分し、その1を原告の負担とし、その余を被告国の負担とし、原告と被告東京都との間で生じた分は、これを5分し、その2を原告の負担とし、その余を被告東京都の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告国は、原告に対し、金56万6900円及びこれに対する平成11年3月26日から支払済みに至るまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 2 被告東京都は、原告に対し、金5万8500円及びこれに対する平成11年3月26日から支払済みに至るまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告は、弁護士業を営む者であり、その妻D(以下「訴外D」という。)は税理士業を営んでいるところ、平成7年から平成9年までの間、同人との間で、顧問税理士契約を締結し税理士報酬等を支払ったため、上記各年分に係る原告の税務申告の際、同報酬を弁護士報酬を得るための経費として申告した。これに対し、足立税務署長は、原告が、訴外Dに支払った報酬は、所得税法56条の規定する「生計を一にする配偶者」に対して支払ったものに該当するから 際、同報酬を弁護士報酬を得るための経費として申告した。これに対し、足立税務署長は、原告が、訴外Dに支払った報酬は、所得税法56条の規定する「生計を一にする配偶者」に対して支払ったものに該当するから、経費として認められないこと等を理由として各更正の決定(以下「本件各更正決定」という。)をした。そこで、原告は、これを不服として審査請求をした上、これに対する各裁決により経費と認められ一部取り消された後の本件各更正決定は違憲又は違法であるとして、被告国に対し、訴外Dに支払った報酬を原告の経費として認められないことにより、原告が負担させられた金額について誤納金として返還するよう請求するとともに、被告東京都に対し、同様の理由により、平成7年分から平成9年分の事業所得に係る個人事業税賦課決定処分により原告が負担させられた税額の一部について、誤納金の返還を請求している事案である。 1 所得税法及び地方税法の定め(なお、所得税法56条の改正経緯については、別紙1参照。)(1) 現行所得税法(以下「法」という。)56条は、「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上ないものとみなす」旨を規定している。 所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上ないものとみなす」旨を規定している。 (2) 地方税法72条の50第1項本文は、「個人の行う事業に対し事業税を課する場合においては、第4項に規定する場合を除き、道府県知事は、当該個人の当該年度の初日の属する年の前年中の所得税の課税標準である所得のうち第72条の17第1項においてその計算の例によるものとされる所得税法第26条及び第27条に規定する不動産所得及び事業所得について当該個人が税務官署に申告し、若しくは修正申告し、又は税務官署が更正し、若しくは決定した課税標準を基準として、事業税を課する」旨を規定している。 2 前提となる事実(括弧内に認定根拠を掲げた事実のほかは当事者間に争いのない事実か、弁論の全趣旨により容易に認定できる事実である。)(1) 原告は弁護士であり、原告の妻である訴外Dは税理士であって、それぞれ平成6年4月以降独立の事務所を開設して業務を行っている。 (2) 原告は、船木芳信弁護士とともに東京あおば法律事務所を経営しているところ、平成6年4月7日、船木弁護士とともに訴外Dとの間で、原告及び船木弁護士の弁護士業務に係る所得税等の税務代理及び税務相談、会計業務についての顧問及び記帳代行を委嘱内容とする顧問契約を締結し、同契約に基づき、平成7年から平成9年にかけて、訴外Dに対し、同人による税理士業務に対する対価として、以下の顧問税理士報酬及び税務申告手数料(以下「本件税理士報酬等」という。)を支払った(甲1)。 ア平成7年分 72万1000円イ平成8年分 113万3500円ウ平成9年分 105万9000円(3) 原告は、上記(2)アないしウの本件税理士報酬 報酬等」という。)を支払った(甲1)。 ア平成7年分 72万1000円イ平成8年分 113万3500円ウ平成9年分 105万9000円(3) 原告は、上記(2)アないしウの本件税理士報酬等を、原告の各年分の所得税の申告の際、弁護士報酬を受けるための必要経費に算入して申告した(以下「本件各申告」という。甲2)。 (4) 足立税務署長は、平成11年2月26日付けで、原告に対し、原告が訴外Dに対して支払った本件税理士報酬等は、法56条に規定する「生計を一にする配偶者」に対して支払われたものであり必要経費に算入することができないとして、平成7年分ないし平成9年分の各申告につき本件各更正処分をするとともに、各過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい、本件各更正処分と本件各賦課決定処分とをあわせて「本件各処分」という。)をした(甲2)。 (5) 原告は、平成11年3月25日、被告国に対し、本件各処分により新たに負担させられた税額(延滞税を含む。)を支払った。 (6) 原告は、平成11年4月8日付けで、国税不服審判所長に対し、本件各処分を不服として審査請求を行った(甲3)ところ、国税不服審判所長は、平成12年5月15日付けで、原告の所得についての必要経費を算定するに当たっては、原告と生計を一にする訴外Dが対価として得た収入のために要した費用の限度で、原告の所得についての必要経費に算入されるべきであるとして、平成7年分及び平成8年分の各処分につきその一部を、平成9年分の各処分につき、その全部を取り消す旨の裁決をした(甲7)。 (7) 被告国は、上記裁決により平成9年分の各処分の全部が取り消されたため、原告に対し、上記更正処分により新たに納付された額及び過少申告加算税額を還付し、延滞税についても全額還付した。 (8) 被告東京 被告国は、上記裁決により平成9年分の各処分の全部が取り消されたため、原告に対し、上記更正処分により新たに納付された額及び過少申告加算税額を還付し、延滞税についても全額還付した。 (8) 被告東京都は、平成11年8月10日、原告に対し、原告に係る平成8年度ないし平成10年度の個人事業税につき、各増額賦課決定処分(以下「本件各事業税増額決定処分」という。)をした(乙5、11、17)。 (9) 原告は、平成11年8月31日、被告東京都に対し、本件各事業税増額決定処分に基づき、差引不足額を納付した(乙6、12、18)。 (10) 足立都税事務所長は、平成12年6月28日、原告に対し、平成8年度ないし平成10年度の個人事業税減額賦課決定処分(以下「本件各事業税減額賦課決定処分」という。)を行い、同年8月7日、原告に対し、誤納額を還付した(乙7、8、13、14、19、20)。 3 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 争点ア原告の所得の算定に関し法56条の適用があるか(ア) 法56条の「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」の意義(以下「争点1」という。)(イ) 法56条の「生計を一にする」の意義(予備的主張。以下「争点2」という。)イ法56条並びに本件各処分及び本件各事業税増額決定処分の合憲性(以下「争点3」という。)(2) 争点1(法56条の「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」の意義)についてア原告の主張(ア) 合算課税が例外的な措置であることについてシャウプ勧告は、合算課税の問題点を挙げ、これを廃止して各納税者が独立の申告書を提出し、他の所得と合算することなく各人の所得額に対する税額を別々に納めるように勧告しているが、これによって生じることがあり得る「要領のよい納税者」の出現を防止するた 止して各納税者が独立の申告書を提出し、他の所得と合算することなく各人の所得額に対する税額を別々に納めるように勧告しているが、これによって生じることがあり得る「要領のよい納税者」の出現を防止するために、財産等から生じる所得を譲渡することで税負担を免れることや、妻子を同族の事業に雇用して、これに賃金を払う等の抜け道を防止するために、合算することを例外的な措置として提言している。 (イ) シャウプ勧告の代償措置の提言個人単位課税に対する例外的な措置として合算課税を行った場合には、その限りでその配偶者等は経済的な独立性を喪失することになるから、合算課税されるような場合には、妻子等は事業を営む者の扶養家族として取り扱わなければ、他の者と比較して高額な税率を負担しなければならなくなり不都合を生じる。 そこで、この不都合を回避するため、シャウプ勧告は、納税者がその課税所得と同人が扶養控除を申告する者の受け取る所得とを合算しなければならないという条件で、納税者から生活費の半額以上を受ける者に対しても扶養控除を認めるべきであることを提言していた。 (ウ) シャウプ勧告の合算課税の対象したがって、仮に、シャウプ勧告が指摘するような前記立法事実があり、生計を一にする親族の所得を合算する必要が認められるとしても、個別課税を否定し、合算課税をするためには、その合算課税の対象となる親族がその事業者の扶養家族としてその事業者が扶養家族控除を受けられることが前提となっている。このことは、合算課税の対象となる親族が独立した事業を営んでおらず、その者の所得が扶養家族としての対象となり得る程度の少額の所得であることを前提としていたと考えることができる。したがって、そもそも「その家族が独立した事業を営み、その事業の存在がその所得を支払う事業主の存在とは別に事業としての独立性 となり得る程度の少額の所得であることを前提としていたと考えることができる。したがって、そもそも「その家族が独立した事業を営み、その事業の存在がその所得を支払う事業主の存在とは別に事業としての独立性を有している」ような場合には、合算課税の前提としての事業者の事業との密接な関連性を欠いているというべきである。このような親族の事業が独立性を有している場合には、シャウプ勧告はそもそも合算課税の対象とならないということを暗黙の了解事項としていたと解される。 (エ) 昭和25年2月24日衆議院委員会での個別課税等についてのE大蔵大臣の提案理由について同委員会においては、合算課税が廃止された理由については詳細に述べられていないが、これによる合算課税の範囲はシャウプ勧告及び大蔵省主税局の見解と基本的に同一であると解される。そうすると、上記提案理由においては、「納税者と生計を一にする配偶者その他の親族が当該納税義務者の経営する事業から所得を受けた場合には」と述べられているが、シャウプ勧告の趣旨、すなわち、合算課税の対象を当該納税者に当該親族が雇用されている場合を前提とするとの趣旨をそのまま引き継いだものであり、従前の合算課税の対象を拡大したものではないと解するのが相当である。 (オ) 法57条からの規定から判明する法56条の適用範囲法57条により青色申告書を提出する納税義務者について、いわゆる専従者控除を認める規定であるところ、法57条が規定されるまで、法56条の適用対象者については、事業者から配偶者等に対する給与の支払は経費と認定されず、合算課税されていた代わりに、実際上は扶養控除の適用があった。したがって、みなし事業所得の規定の適用がある場合には、扶養控除の対象になるべきであり、これが認められない場合には、合算課税はその根拠を欠くものといわざる た代わりに、実際上は扶養控除の適用があった。したがって、みなし事業所得の規定の適用がある場合には、扶養控除の対象になるべきであり、これが認められない場合には、合算課税はその根拠を欠くものといわざるを得ない。また、法57条は、法56条の「みなし事業所得」の不合理性を解消するために規定されたものであると解され、このことにかんがみれば、法56条の規定は、極めて限定的に解釈されなければならないというべきである。 さらに、昭和36年改正では、白色申告者にも専従者控除を認めるとともに、その適用範囲を配偶者にも拡大しているのであって、その改正理由も専従配偶者の実情、法人の負担とのバランスを挙げ、実際に給与を支払っている場合に生じる不都合を回避しようとするものであるから、法56条による不都合を回避する目的がうかがわれるのであって、このような点にかんがみても、法56条の適用対象は限定的に解釈されるべきものである。 (カ) また、法56条は、「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」と規定するが、そもそも同条の「その他の」の意義は、雇用契約により給与の支払を受ける場合(「従事した」場合)以外の一切の対価の支払を受ける場合を指すものではなく、むしろ、従事したと評価し得るか否かが契約自体からは明らかでないが実態関係からすると従事すると判断できる場合を想定したものというべきである。 (キ) 以上によれば、その家族が独立した事業を営み、その事業の存在がその所得を支払う事業主の存在とは別に事業としての独立性を有しているような場合は、法56条の「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」に該当しないものというべきである。 イ被告の主張(ア) 法56条の文理この要件は、同条に定める各事業との対価性を意味するものであり、それ以上に、例えば給 他の事由により対価の支払を受ける場合」に該当しないものというべきである。 イ被告の主張(ア) 法56条の文理この要件は、同条に定める各事業との対価性を意味するものであり、それ以上に、例えば給与として支払われたことを要する等の限定を付する必要はない。このことは、法57条が「専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合」というように限定的な要件を定めているのに対し、法56条が「事業に従事したことその他の事由により」と規定し、対価の発生事由に何ら限定を付していないことからも明らかである。 また、法56条は、配偶者等に支払われた対価に相当する金額を必要経費に算入しないことを規定したものであるから、当該対価は仮にそれが「生計を一にする」関係にない者に支払われたとすれば必要経費と認められるような事由によって支払われたものでなければならないであろうが、それ以上に限定を加える必要はないのであり、このような同条の立法趣旨に照らしても、「その他の事由により」という要件は、対価が「生計を一にする」関係にない者に支払われたとすれば必要経費と認められるような事由によって支払われたものを広く含む概念と解すべきである。 (イ) 法改正の経緯からみた法56条の解釈について法は昭和40年に全文改正されたものであって、これは、昭和38年12月に税制調査会から出された「所得税法及び法人税法の整備に関する答申」に基づき、①税法の体系的な整備、② 表現の平明化、③ 規定の整備合理化の3点を基本方針としてされたものであるが、法56条については、その実質的内容ないし要件の変更を伴うものではない。このことは、以下のことから裏付 の体系的な整備、② 表現の平明化、③ 規定の整備合理化の3点を基本方針としてされたものであるが、法56条については、その実質的内容ないし要件の変更を伴うものではない。このことは、以下のことから裏付けられる。 a 昭和40年の全文改正は、前記に述べた税制の整備合理化によるものを除き、税法の体系的な整備及び表現の平明化を目的としてされたものであり、法条の実質的内容に変更を加えるものではない。 そして、旧所得税法(以下「旧法」という。)法11条の2に関する事項のうち整備合理化が図られたのは、同条2項及び3項に規定されていた事業専従者控除に関する部分のみであり、同条1項の規定について、整備合理化という趣旨に基づく改正はされていない。 b また、法56条は、居住者の所得金額の計算方法を規定する一方、これに併せて、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が支払を受けた対価に係る各種所得の金額の計算方法を規定するものである。 ところで、法56条の「事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」というのが、同条の定める事業に従事したことにより対価の支払を受ける場合又は「従事したこと」に準じる事由により対価の支払を受ける場合のみに限定され、独立した事業を営み、その事業活動の対価として支払を受けた場合を含まないと解するのであれば、同条がその金額の計算方法を規定する「その親族のその対価に係る各種所得」の中に事業所得は含まれないことになるはずである。 しかし、法上、「各種所得」とは、法2条1項21号で定義されているのであって、法56条の「各種所得」の解釈に限って事業所得を除外する理由はない。 そうすると、法56条は、その文理上も、親族が居住者から支払を受けた対価に係る所得の種類について何ら限定していないことを意味し、したがって、法56条の 得」の解釈に限って事業所得を除外する理由はない。 そうすると、法56条は、その文理上も、親族が居住者から支払を受けた対価に係る所得の種類について何ら限定していないことを意味し、したがって、法56条の定める「事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」につき何らかの限定が付されることも予定されていないといわざるを得ないのであるから、居住者が生計を一にする親族に対し支払った対価に相当する金額は一律に必要経費に算入されないと解すべきである。 c さらに、改正前後の文言を比較してみても、要件解釈に変更があったことをうかがわせる事情は存しない。旧法11条の2第1項においては、「納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべきものから所得を受ける場合においては」と規定しており、納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が当該納税義務者から「所得」を受ける場合である限りは一律に必要経費算入を認めていないことが文理上明らかである。 これに対し、法56条は、「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には」と規定しているところ、法文上用いられる「その他の」という文言は、通常前に置かれた名詞又は名詞句が、後に続く一層意味内容の広い言葉の一部をなすものとしてその中に包含される場合に用いられるものであり、「その他の」に続く名詞又は名詞句が、「その他の」前に置かれた名詞又は名詞句に準じる場合に限定されることを意味するものではない。 d そもそも、旧法11条の2第2項は、「青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(略)でもっぱら の他の」前に置かれた名詞又は名詞句に準じる場合に限定されることを意味するものではない。 d そもそも、旧法11条の2第2項は、「青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(略)でもっぱら当該納税義務者の経営する前項に規定する事業に従事するもの」と規定され、文言の体裁上、同条項の要件に該当すると規定され、文言の体裁上、同条項の要件に該当する「(生計を一にする親族が従事すべき)事業」の種類ないし性質が「前項」に定められている旨の規定になっていた。 しかるに、当該「前項」である同条1項においては、引用の対象となるべき「事業」という文言が示された後に、当該事業の種類ないし性質を限定する文言が置かれる体裁になっているため、同条2項の要件に該当する「事業」が端的に表現されていないきらいがあった。 そこで、表現の平明化という趣旨を重視した昭和40年改正においては、端的に旧法11条の2第2項の要件に該当する事業の種類ないし性質を理解できるようにし、同条1項と2項の対応関係ないし原則・例外の関係を明確化するため、法57条1項における「その居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの」との文言を前条である同法56条の文言中に取り込むこととし、改められたものと解すべきである。 (ウ) 裁判例について各裁判例(東京地裁平成2年11月28日判決・税務訴訟資料181号417頁)、名古屋高裁平成5年10月25日判決・税務訴訟資料224号1179頁)によれば、法56条が、個別事情のいかんにかかわりなく一律に適用されることが予定されている規定であることは明らかであり、同条は、給与所得ないしこれに準ずる所得となる金員を配偶者等が受ける場合に限って適用されるものではない。 (エ) 法56条と法57条の関係について原告は、法57条は、法56条の不合理を解消するために 同条は、給与所得ないしこれに準ずる所得となる金員を配偶者等が受ける場合に限って適用されるものではない。 (エ) 法56条と法57条の関係について原告は、法57条は、法56条の不合理を解消するために規定されたとの理解を前提に、法57条の趣旨からすれば、法56条の範囲は極めて限定的に解釈されなければならないと主張するが、以下のとおり失当である。 a 法57条の立法趣旨青色申告制度は、昭和25年、シャウプ勧告に基づき、納税者の正しい記帳による適正申告の基盤を築くために設けられたものである。 そして、法57条1項に規定する青色事業専従者給与の前身である青色専従者控除は、昭和27年に創設されたものであるが、これが創設された理由は、主として青色申告の普及育成という政策的な目的によるものである。すなわち、青色申告制度が導入された当初において、個人事業者の青色申告の普及率が極端に低く、また、納税者の間でも、青色申告に対する税法上の特典が少なく、しかも、小規模の事業者が利用できる特典はほとんど存在しないという不満があったことから、青色申告の普及育成という目的を達成するため、多くの青色申告者が利用できる特典として、青色専従者控除を認めたのである。 その後、青色専従者控除は、導入当初は認められていなかった配偶者も受けられるようになり、また、控除限度額が徐々に引き上げられ、昭和42年の改正により、事前届出制を採用するとともに、控除限度額方式を廃止し、専従者に対して支払った給与の全額を必要経費に算入できるいわゆる完全給与性に移行した(なお、従事内容等に照らして相当と認められる範囲内であることは当然必要とされた。)。 そして、青色専従者給与制度は、現在においても、青色申告の特典として位置づけられており、青色申告者の団体である青色申告会においても、青色申告の主な特典 られる範囲内であることは当然必要とされた。)。 そして、青色専従者給与制度は、現在においても、青色申告の特典として位置づけられており、青色申告者の団体である青色申告会においても、青色申告の主な特典として位置づけており、その位置づけは、立法当初から現在まで変わっていない。 また、昭和36年には、青色申告者以外の事業者(いわゆる白色申告者)においても、一定の外形的な基準の基に事業専従者を認定し、その専従者について一定の控除を定額で行うことが適当であろうとの考えにより、現実に給与を支払ったか否かに関わらず、当該事業者が専従者を有する場合には、一定額を控除する規定が設けられた。 b 法57条と法56条との関係前記のように、青色申告者について認められた青色事業専従者給与は、青色申告の普及育成という政策的なものとして理解されるものであり、また、いわゆる白色申告者について認められた事業専従者控除は、青色申告者とのバランスを図るという政策的意味合いから、必ずしも必要経費として認められないものについてまでも、一定額を控除するという方法により控除を認めた制度であるから、法57条の規定と法56条の規定はその立法目的を異にするものである。 (3) 争点2(法56条の「生計を一にする」の意義)についてア原告の主張(ア) 仮に法56条が違憲無効でないとしても、原告と訴外Dとは「居住者と生計を一に」しておらず、本件では法56条の適用がない。 「居住者と生計を一にする」の解釈については、一般的な社会通念に従い、個々のケース毎に判断せざるを得ないと考えられつつも、場合を分けて検討されている(昭和52年6月27日付け国税速報第2997号。)。このうち、独立して生計を維持するに足りる程度の収入がある場合であり、かつ、同居している場合の基準は、①その者の所有する資産及び収入 討されている(昭和52年6月27日付け国税速報第2997号。)。このうち、独立して生計を維持するに足りる程度の収入がある場合であり、かつ、同居している場合の基準は、①その者の所有する資産及び収入を独自に管理し、処分しているか否か、②食事を別にしているか、③食事を共にする場合には、実費の精算が行われているか否か、④水道光熱費等の共通経費について実費の精算が行われているか否か、⑤専用する居室について家賃、部屋代の支払いがあるか否か、⑥その他家事上の支出に関して親族間における債権債務の発生、決済の状況が明確にされているか否か、である。 (イ) これを本件について検討すると、以下のようになる。 a 訴外Dの平成7年度ないし平成9年度の総収入及び所得は、以下のとおりであり、独立して生計を維持するのに十分なものである。 平成7年度総収入848万9590円所得 519万2560円平成8年度総収入999万5070円所得 288万5144円平成9年度総収入1096万3030円所得 405万2487円b そして、原告と訴外Dは同居しているものの、訴外Dは、住所地である足立区ab番c号においてD税理士事務所を経営しており、原告とは独立に仕事をしている。そして、訴外Dの35社の税務顧問中、原告から紹介を受けたのはわずかであり、それ以外は原告とは関係がない。 訴外Dの報酬は、同人の報酬口座に一括して入金され、同人が自ら管理・処分しており、原告の収入が訴外D名義の口座に入金されたり、原告の経費が訴外D名義の報酬口座から支出されることは一切ない。 原告と訴外Dは、食事を共にしているが、おおよそ原告が6、訴外Dが4の割合で実費精算をしている。 その他、子供の学費や旅行の費用等についても、上記の割合で実費精算をしている。 原告の住宅は、区分所有形態となってい 、食事を共にしているが、おおよそ原告が6、訴外Dが4の割合で実費精算をしている。 その他、子供の学費や旅行の費用等についても、上記の割合で実費精算をしている。 原告の住宅は、区分所有形態となっているところ、D税理士事務所部分は、訴外Dの単独名義であり、建築費に関するローン、水道光熱費、コンピューターのリース代等の経費は、訴外D名義の銀行預金口座から自動引き落としにより支払われている。現況も、自宅の玄関とD税理士事務所の玄関とでは全く別になっている。 (ウ) 以上からすると、訴外Dは、「居住者と生計を一にする」に該当しないことが明らかである。 イ被告らの主張(ア) 法56条が、配偶者等に対する対価の支払を必要経費に算入しないこととしたのは、前記のとおり、当該支払が所得から支出すべき生計維持費用の分担としての性質を有し、総収入金額中の当該支払に充てる部分が担税力を生ずるからであるから、同条にいう「生計を一にする」というためには、配偶者等に対する対価の支払が事業者の生計維持費用の支出を軽減させる効果を生ずる関係になければならないはずであり、このような関係は、裁判例(最高裁判所昭和51年3月18日第一小法廷判決・訟務月報22巻6号1659頁参照、同平成10年11月27日第二小法廷判決・税務訴訟資料239号139頁等)に見られるように「日常生活の糧を共通にしている関係」、すなわち、「消費段階において同一の財布のもとで生活していること」という関係にほかならない。 (イ) 原告の主張について原告は、予備的主張として、原告の配偶者は原告と生計を一にしていないから、法56条の適用はない旨を主張する。 しかし、原告がその根拠として主張する事実は、原告が営む事業と原告の配偶者の事業の区分の問題、あるいは、原告の配偶者の事業と家計との区別の問題にすぎず、い から、法56条の適用はない旨を主張する。 しかし、原告がその根拠として主張する事実は、原告が営む事業と原告の配偶者の事業の区分の問題、あるいは、原告の配偶者の事業と家計との区別の問題にすぎず、いずれも消費生活における区分を述べるものではない。また、原告は費用を実額精算しているとも主張するが、実額精算とは、利益を取得するに当たり実際に要した費用を当該利得の帰属割合に応じて精算することを意味するものである以上、精算の前提として、個々が取得した利益ごとに、実際に要した費用がどれほどであったかが問題にされなければないのであって、すべて一律の割合をもって分担する等という主張は、およそここにいう実額精算に該当しないものといわざるを得ない。結局のところ、原告が挙げる個々の事情については、原告と原告の配偶者の婚姻費用(家計費)の分担割合を述べているにすぎず、2つの家計の独立性を意味するものとはいえない。 なお、上記予備的主張に係る事実をもってしても、被告の課税処分を無効ならしめる程度に重大かつ明白な瑕疵があるということはできないから、この点においても原告の主張は失当である。 (4) 争点3(法56条並びに本件各処分及び本件各事業税増額決定処分の合憲性)についてア原告の主張(ア) 法56条の違憲性について法56条は、親族・配偶者という一事をもって不利益な取扱いをする点で憲法14条に違反し、立法目的との関係で過度に広汎な規制であって立法目的の合理性及び規制手段の相当性を欠き、仮に制定当初には立法事実が存在したとしても、それは既に消滅しているから、違憲無効といわざるを得ない。 (イ) 合憲限定解釈の必要性また、仮に法56条が一般的に違憲無効な規定であるといえないとしても、同条は、個人の独立を定めた現行憲法からすれば弊害防止のためにやむを得ず規定され いわざるを得ない。 (イ) 合憲限定解釈の必要性また、仮に法56条が一般的に違憲無効な規定であるといえないとしても、同条は、個人の独立を定めた現行憲法からすれば弊害防止のためにやむを得ず規定されたものであり、必要な規制ができれば十分であるから、憲法に合致するように限定的な解釈が妥当するというべきである。すなわち、夫婦・親族間であっても正当な労働の対価であって、不当な課税逃れがない場合には、同条の適用はないと解すべきである。 イ被告の主張(ア) 法56条の立法趣旨a 法56条の立法趣旨は、事業者が当該事業から自己と生計を一にする配偶者等に対価を支払うことによって税負担を軽減することを防止する点にある。すなわち、昭和25年の旧法改正においては、上記シャウプ勧告を受けて、世帯単位課税制度に代えて個人単位課税制度を導入する一方、その例外として、納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合、当該所得は当該納税義務者の事業所得とみなすという「みなし事業所得」の規定(旧法11条の2)をはじめ、「納税義務者と扶養親族と所得合算」の規定が設けられた。そして、上記「みなし事業所得」の規定は、昭和27年、同32年及び同36年の旧法の各改正を経て、現在の法56条及び57条と同様に規定となり、それが昭和40年の新所得税法において、現行法と同じ条文に移された。 このような立法の経緯に照らすと、法56条は、不動産所得、事業所得又は山林所得(以下これらの各所得を合わせて、単に「各所得」という。)を生ずべき事業を営む者(以下「事業者」という。)が、当該事業から、自己と生計を一にする配偶者その他の親族(以下「配偶者等」という。)に対価を支払うことによって「税負担を軽減」することを防止する点にあることは疑いない。 (以下「事業者」という。)が、当該事業から、自己と生計を一にする配偶者その他の親族(以下「配偶者等」という。)に対価を支払うことによって「税負担を軽減」することを防止する点にあることは疑いない。 b もっとも、事業者が自己と生計を一にしない者に対して当該事業から対価を支払った場合には必要経費(法37条)に該当するものとして、各所得の計算上、総収入金額から控除され(法26条2項、27条2項、32条3項)、事業者の所得を構成しないのであるから、このこととの比較上、法56条が配偶者等に対する対価の支払による税負担の軽減を防止する立法趣旨については、さらに説明を要する。 (a) そもそも、各種所得の計算上、必要経費の控除が認められているのは、投下資本の回収部分に課税が及ぶことを避けるためにほかならず、これは原資を維持しつつ拡大再生産を図るという資本主義経済の要請に沿うゆえんである。すなわち、総収入金額のうち投下資本の回収に相当する部分は担税力を生じないのである。 (b) これに対し、事業者の配偶者等に対する対価の支払は、事業者が所得の中から支出すべき家族の生計を維持するための費用(以下「生計維持費用」という。)の分担としての性質を有する。けだし、親族が生計を一にする場合、その構成員は共同で生計を営み、それぞれの所得から生計を維持するための費用を分担するとともに、その生計からの支出によって共同の消費生活を営んでいるのであり、この関係は各構成員が一つの財布を持つ関係になぞらえることができる。そして、この場合、事業者が配偶者に対して対価を支払うならば、配偶者等は当該対価を原資として生計維持費用を支出し、あるいは、個人的消費を行うことになり、これによって家計の収入が増え、あるいは支出が減少することになるから、いずれにしても、事業者の所得からの生計維持 は当該対価を原資として生計維持費用を支出し、あるいは、個人的消費を行うことになり、これによって家計の収入が増え、あるいは支出が減少することになるから、いずれにしても、事業者の所得からの生計維持費用の支出は軽減されるのであり、これを事業者の担税力という観点から見た場合、事業者が配偶者等に対価を支払うことは、事業者が自らの所得から直接生計維持費用の支出をすることと何ら変わるところがないのである。 (c) このように、事業者の総収入金額のうち、配偶者等に対する対価の支払いに充てられる部分には担税力が認められるのであり、仮にこれを必要経費に算入して、所得の計算上、総収入金額から控除するものとすれば、むしろ、配偶者等以外の者に対して対価を支払い、かつ、自己の所得から生計維持費用を支出する事業者との間に著しい租税負担の不公平を生ずることとなる。そこで、法56条は、配偶者等に対する対価の支払に相当する費用については、それ以外の者に対する対価の支払に相当する費用と区別して、必要経費に算入しないこととしたのである。 したがって、同条は、租税公平主義に基づく所得の金額の計算規定であって、単なる租税回避行為の個別否認規定ではないとみるべきである。このことは、同条が法の「第二章課税標準及びその計算並びに所得控除」の「第二節各種所得の金額の計算」の中に置かれていることからも明らかである。原告は、同条の立法趣旨につき、「同居の親族に給与を支払ったことにする等して税負担を一部免れるといった抜け道を封じるために、親族への支払金額につき経費と認めない扱いを定めたと考えられる。」と主張するが、このような理解は、同条の立法趣旨を矮小化して捉えるものであり誤りである。 c(a) 原告は、あたかも現在社会においては、シャウプ勧告がされた当時と異なり、法56条の立法事実が存 る。」と主張するが、このような理解は、同条の立法趣旨を矮小化して捉えるものであり誤りである。 c(a) 原告は、あたかも現在社会においては、シャウプ勧告がされた当時と異なり、法56条の立法事実が存在しないか著しく減少しているかのように主張する。 しかしながら、いかに夫婦の独立性が強まろうとも、それが配偶者等の職業生活すなわち収入面の独立にとどまり、消費生活すなわち支出面の独立に及ばない限りは、いわば夫婦の財布は一つであり、上記のとおり、事業者の配偶者等に対する対価の支払が自己の所得からの生計維持費用の支出を軽減させる効果を有することには変わりがないから、当該支払は事業者が自己の所得の中から支出すべき生計維持費用としての性質を有するのであり、法56条の立法事実は妥当する。これに対し、夫婦の独立性がさらに進行して、消費生活すなわち支出面に及び、もはや夫婦が一つの財布を有するとはいえない状態に至ったものについては、もはや法56条の立法趣旨が妥当するとはいえないが、その場合は夫婦が「生計を一にする」という同条の要件を満たさないから、そもそも同条は適用されない。したがって、「生計を一にする」という要件の下、配偶者等に対する対価の支払を必要経費に算入しないことは現代においてもそのまま妥当するものということができる。 (b) また、原告は、法56条があるために女性が他の家族と独立した職業に就くことを迫られるというのは不合理である旨等を主張するが、仮に配偶者等に対する対価の支払が必要経費と認められれば、事業者は他人に対価を支払うより配偶者等に対価を支払う方が有利であるから、配偶者等はかえって他の家族と独立した職業に就くことを迫られることになりかねない。また、原告は、法56条の規定は、今や各個人に対する正当な分配を阻害する機能を有するに至っている旨も主張 利であるから、配偶者等はかえって他の家族と独立した職業に就くことを迫られることになりかねない。また、原告は、法56条の規定は、今や各個人に対する正当な分配を阻害する機能を有するに至っている旨も主張するが、事業者は配偶者等に対する対価の支払が必要経費に算入されない反面、自己の所得から生計維持費用の支出が軽減されるメリットがあるから、同条が各個人に対する正当な分配を阻害する機能を有することはあり得ない。したがって、原告が法56条の弊害が増大しているかのように主張する点はいずれも失当である。 イ法56条の採用する区別態様の合理性a 法56条は、上記の立法目的を達成するため、夫婦や家族等の個人を超える消費生活上の単位を課税単位とする方式(以下「消費単位課税」という。)を採用するものであるが、これは、個人を課税単位とする方式(以下「個人単位課税」という。)の欠陥を補正するものであり、同条の目的との関係において合理性を有するものである。 b すなわち、租税負担は各人の担税力に即して配分されなければならないのが公平負担の原則であるところ、夫婦ないし同一の生計の家族は経済生活の基本単位であり、それは一個の消費単位としてその構成員の所得をプールしシェアしているのが常態であって、この社会的現実に照らしてみると、その構成員の一人一人の所得の大きさを基準としてではなく、消費単位そのものの所得の大きさを基準として担税力を測定することは公平の要請に沿うものである。もとより、現行法においては個人単位課税が原則形態であることは疑いのないところであり、これはおそらく、一つには家族制度の廃止という社会経済現象に対応するものであり、また、他方では個人単位課税の方が近代的個人主義の理念に合致すると考えられたためであると思われるが、各種の課税単位にはそれぞれ一長一短があ には家族制度の廃止という社会経済現象に対応するものであり、また、他方では個人単位課税の方が近代的個人主義の理念に合致すると考えられたためであると思われるが、各種の課税単位にはそれぞれ一長一短があるのであり、個人単位課税の原則を採ることがそれ以外の課税単位の方式を排斥することを直ちに意味するものでないことはいうまでもなく、諸々の要因を勘案し、政策的に複数の課税単位を組み合わせることは何ら不合理ではないのである。 c このように、法56条の採用する所得単位課税が、租税公平主義の実現等の同条の目的に照らして著しく不合理であることが明らかであるとはいえないのである。また、現行法は、個人単位課税を原則として、法56条及び57条以外にも、多数の条項(2条1項31号、同号の2、同項33、34号、72ないし74条、77条、83条の2)において「生計を一にする親族」という概念を用いているところ、これらはいずれも租税負担の公平という観点から担税力を測定する上で消費単位に着目し、規定されたものであり、所得税額の算出プロセスにおいて、個人のみならず当該個人と「生計を一にする親族」というファクターを含めることは、現行法の基盤であるとさえいうことができる。 (ウ) 以上によれば、法56条の立法目的は正当なものであり、具体的に採用された区別の態様と立法目的との関連において合理的なものであるから、同条の合憲性を疑うべき理由は何ら存しないのであり、同条は憲法14条1項に違反するものではない。 なお、原告は、「婚姻関係にあること」が「社会的身分」(憲法14条1項後段)に当たるとの見解を前提としつつ、①立法目的が重要かどうか、②立法目的と手段との間に実質的な関連性があるかどうかの2点によって憲法適合性を判断すべきである旨主張するが、このような違憲審査基準が租税法の分野にお の見解を前提としつつ、①立法目的が重要かどうか、②立法目的と手段との間に実質的な関連性があるかどうかの2点によって憲法適合性を判断すべきである旨主張するが、このような違憲審査基準が租税法の分野における課税上の取扱いの区別に関する基準として適当であるか否かはさておき、そもそも親子・兄弟・夫婦等は社会的に生ずる身分というよりは、親族的すなわち血のつながりから生ずる自然の関係であり、また人類に普遍的な身分であって特殊な者の身分ではないから、憲法14条1項後段にいう社会的身分ではないのであって、前提において失当である。 第3 争点に対する判断 1 争点1(法56条の「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」の意義)について(1) 本件では、原告の配偶者である訴外Dが、原告との間で締結した顧問契約(前記前提となる事実参照)に基づき税理士報酬等を得ることが、法56条に規定する「居住者の営む事業所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」に該当するか否かが問題となる。 この点について、原告は、要件の前半部分である「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと」とは、雇用契約に基づいて労務を提供する場合をいい、後半部分の「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」とは契約自体からは明らかでないものの実態関係からして「従事した」と評価できる場合をいうから、全体として雇用又はそれに準ずる法律関係による労務の提供に対する対価のみが経費性を否認されるのであって、訴外Dのように独立した事業を営む配偶者との間の契約関係に基づく役務の提供に対する対価については、法56条の適用はなく、経費として認められるべきであると主張する。 これに対して、被告らは、要件の後半部分が前半 うに独立した事業を営む配偶者との間の契約関係に基づく役務の提供に対する対価については、法56条の適用はなく、経費として認められるべきであると主張する。 これに対して、被告らは、要件の後半部分が前半部分に類似するものなどに限定される根拠はなく、事業者が生計を一にする親族に対して支払った対価に相当する金額は一律に必要経費に算入されない趣旨であると主張する。 (2) まず、要件の前半部分である「居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと」の意義については、被告も原告の主張を明示的には否定していないところであるが、念のため検討するに、「従事する」との用語は、法律用語として定まった意義を有するものではないこと、国語的にも「仕事に従う」「仕事にたずさわる」「仕事としてその事に関係する」等やや漠然とした意義に解されているものの、自ら事業の中心となって行う活動には用いないと考えられること、旧法11条の2第2項及び法57条がいわゆる青色事業専従者の活動を指す用語として用いていることからすると、事業の一員として参加し又は事業に雇用される等従たる立場で当該事業に関係していることを指すと解すべきである。 そうすると、納税者たる事業者とは別個独立の事業を行う者が、自己の事業の一環として、前記納税者たる事業者からの委任に基づいてその事務を処理して対価を得る場合は、当該納税者たる事業者の事業に従たる立場で関係したということはできないから、たとえ対価を受けた者が納税者たる事業者の配偶者であったとしても、前記要件の前半部分には該当しないというべきである。 (3) 次に、要件の後半部分である「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」の意義について検討する。 ア被告らは、前記の主張の根拠として、一般に法令において「Aその他のB」と る。 (3) 次に、要件の後半部分である「その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」の意義について検討する。 ア被告らは、前記の主張の根拠として、一般に法令において「Aその他のB」という表現を用いる場合は、Aはより広い意味を有するBに包含される関係にある旨を示し、BがAに準じるものに限定されることを意味しないと指摘する。 確かに、上記のような用例においてAがより広い意味を有するBに包含される関係にあることは、法令用語に関する文献等が一致して説くところである(前田正道編「ワークブック法制執務〈全訂〉」620頁、林修三「法令用語の常識」17頁、田島信威「最新法令用語の基礎知識改訂版」29頁)が、AがBの例示であることもまた上記文献が一致して認めるところである。そうである以上、Bの部分の意味内容がそれ自体から明確でない場合には、その例示であるAの部分の意味内容に照らしてBの部分のそれを解釈するほかなく、その限度でBの内容がAの内容によって限定されたものとなることは避けられないのであって、現に他の法令の解釈において、このような解釈が所管官庁やその関係者等によって採用されている場合がある。すなわち、地方税法6条1項は、「地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。」旨を定め、公益等による課税免除を規定するところ、同項にいう「公益上の事由」とは、課税対象に対し課税しないことが直接公益(広く社会一般の利益)を増進し、又は課税することが直接公益を阻害する場合をいい、また、「その他の事由」とは、課税を不適当とする場合全般を指すものではなく、課税を不適当とする場合のうち、「その他の事由」の直前に記載された「『公益』に準ずる事由をいうもの」として限定的に解されている(当時の自治省税務局企画課 税を不適当とする場合全般を指すものではなく、課税を不適当とする場合のうち、「その他の事由」の直前に記載された「『公益』に準ずる事由をいうもの」として限定的に解されている(当時の自治省税務局企画課員等の執筆にかかる財団法人地方財務協会「地方税法総則逐条解説」31頁以下)。また、同法343条は固定資産税の納税義務者等について規定するところ、同条4項は、「市町村は、固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由によって不明である場合においては、その使用者を所有者とみなして、これを固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる」旨を規定し、同項の「その他の事由」とは、固定資産の所有者の所在が不明である場合全般を指すものではなく、「所有者(中略)の所在が(同項に列記された)震災、風水害等のいわば不可抗力的な事由によって不明であ」る場合に限定して適用される旨の解釈がされている(自治省税務局固定資産税課「固定資産税逐条解説」58頁)。 以上によれば、要件の後半部分の「その他の事由」については、被告らが主張するように全く無限定のものと解することは法令用語の常識にも反するものであり、その例示である要件の前半部分に関する前記の解釈や、その立法趣旨等を参酌して検討すべきものである。 イそこで以下、法56条の立法経緯及び立法趣旨について検討する。 (ア) 我が国では、近代所得税制の創設以来、世帯単位課税制度(同居する家族の所得をすべて合算し、これに累進税率を適用する課税方法)が採用されており、同制度は、戦後「家」制度の廃止に伴い、税法から「戸主」や「家族」等の用語が削除された後も、「同居親族」(配偶者及び三親等内の親族)の所得合算制度が創設されたことにより、実質的に維持されていた。 しかしながら、昭和24年8月のシャウプ勧告を受け 「戸主」や「家族」等の用語が削除された後も、「同居親族」(配偶者及び三親等内の親族)の所得合算制度が創設されたことにより、実質的に維持されていた。 しかしながら、昭和24年8月のシャウプ勧告を受けて、昭和25年の旧法改正の際には、原則として所得合算制度が廃止され、個人単位課税制度が採用されるとともに、法56条の前身である旧法11条の2が制定された。 そして、旧法11条の2は、その後昭和27年改正、同32年改正、同36年改正を経て、昭和40年には法の全文が改正され、現行の法56条が制定されるに至った(各改正の経過については、別紙1参照。)。 (イ) 以上の同条の立法ないし改正経緯にかんがみれば、法56条のように「従事したことその他の事由により」との文言が取り入れられたのは、昭和40年改正によるものと認められるところ、昭和40年における法の全文改正の際の資料を検討しても、同条の改正の趣旨が具体的に記載され検討された形跡は見当たらない(丙3)。かえって、当時の改正資料によれば、昭和40年改正の大要は、①税法の体系的な整備、②表現の平明化、③規定の整備合理化の3点であることが明らかであり、このうち①及び②の趣旨に基づき改正された条文については、その法条の実質的内容に変更が加えられることなく、同一の立法趣旨を維持したままで、文言上の整備が行われたにすぎないものと解されるのである。そして、③の規定の整備合理化の趣旨で改正された条文については、改正に関する資料の中に、その整備理由や経緯についての言及が残っているところ(丙3)、旧法11条の2第1項について、何らかの検討及び説明がされた旨の形跡は認めることができない。 そうすると、旧法11条の2第1項(昭和36年改正後のもの)については、①ないし②の趣旨から、その立法趣旨や内容に変更が加えられることはな らかの検討及び説明がされた旨の形跡は認めることができない。 そうすると、旧法11条の2第1項(昭和36年改正後のもの)については、①ないし②の趣旨から、その立法趣旨や内容に変更が加えられることはなく、文言上のみの改正が加えられて、法56条として規定されるに至ったものと解するのが相当である。 (ウ) そこで、法56条にいう「従事したことその他の事由により対価の支払を受ける場合」の解釈をするに当たっては、同条の文言のみならず、これと同趣旨の規定である旧法11条の2の立法趣旨及び改正経緯を検討する必要がある。 ところで、前記のとおり、旧法11条の2が立法された昭和25年の旧法改正では、昭和24年のシャウプ勧告に基づき、所得合算課税が原則廃止されるに至っているが、当時の立法資料からは、同改正の趣旨について以下の事実が認められる。 a シャウプ勧告(甲9ないし13、丙1)は、昭和24年8月、所得合算課税について「所得額を合算すると生活水準、同一の擔税力水準にある納税者に適用される税率よりも高い税率で課税されることになる。それが税負擔の不公平な分配であることは廣くみとめられているところである。納税者は不滿を感じ納税道徳は悪化する」等の問題点を指摘した上、「同居親族の所得合算は、これを廃止して各納税者が獨立の申告書を提出し、他の所得と合算することなく各人の所得額に對する税額を別々に納めさせるように勸告する。」とする一方、「この個別申告制にある程度の制限を設けておかないと、要領のよい納税者は、配偶者又は子供に財産およびこれから生ずる所得を譲渡することによって税負擔を輕減しようとするから、相當の問題の起こることが豫想される。同様にして、彼等は、妻子を同族の事業に雇傭して、これに賃金を支拂うという抜け道を講ずるであろう。納税者と同居する配偶者および未成年者 擔を輕減しようとするから、相當の問題の起こることが豫想される。同様にして、彼等は、妻子を同族の事業に雇傭して、これに賃金を支拂うという抜け道を講ずるであろう。納税者と同居する配偶者および未成年者の資産所得はいかなる場合にも納税者の申告書に記載させ課税することによってこの種の問題は避けられるのであるが、これは個人申告の原則を大して犠牲にするものとはいえまい。同様にして、納税者の經營する事業に雇傭されている配偶者及び未成年者の給與所得は、納税者の所得に合算させるようにすべきである。」旨を勧告して、世帯単位での所得合算課税を廃止する一方で、個人単位課税を貫いた場合の弊害を避けるため、個人単位課税にも例外を設けるべき場合があることを指摘していた。 b 昭和25年2月24日衆議院大蔵委員会における会議録(丙5)によれば、旧法11条の2を含む所得税の一部を改正する法律案の提案理由について、当時の国務大臣が「シャウプ税制使節団の勧告は、御承知の通り税制全般にわたる画期的改正を提案しておるのでありまして、政府といたしましては、おおむねシャウプ勧告の基本原則に即応し、さらにわが国現下の財政経済諸事情に適合するよう、これに適切と認められる調整を加えて、現行税制の全般にわたり改正を行わんとするものであります。」と述べた上、所得税の改正の大要の第2として、「所得合算制の縮小であります。すなわち原則として同居親族の所得合算制はこれを廃止し、各所得者ごとに課税することといたしました。(中略)なお、納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合には、当該所得をその納税義務者の所得として課税することといたしました。」と述べていることが認められ、同年3月15日の衆議院会議録によれば、同日所得税法の一部を改正する法案が一括して可決されたことが認められる(丙6)。 なお 務者の所得として課税することといたしました。」と述べていることが認められ、同年3月15日の衆議院会議録によれば、同日所得税法の一部を改正する法案が一括して可決されたことが認められる(丙6)。 なお、当時の立法資料からは、新たに採用された個人単位課税の例外を定めるにつき、シャウプ勧告の指摘内容をことさらに拡大したり、あるいは「我が国現下の財政経済諸事情」から、シャウプ勧告とは異なる内容の改正を提案する旨の指摘は何らされていない。 c 昭和27年改正の際の大蔵委員会議事録(丙7)によれば、当時の国務大臣は、所得税法の一部を改正する法律案の大要を述べるものの、その中に旧法11条の2の改正に関する点としては、第2項として付加された青色申告書を提出する場合の必要経費算入の提案理由を述べるにとどまり、それ以外には何ら言及した旨の記載は見当たらない。 (エ) もっとも、このようなシャウプ勧告を受けて規定された旧法11条の2は、別紙1記載のとおり、「当該納税義務者の経営する事業(中略)から所得を受ける場合」と規定されており、その文言からは「所得」の範囲を限定していないようにも読み取れるし、その制定後まもない昭和28年に当時の東京国税局直税部長が編集した旧法の注釈書には、同条の趣旨について、親族が、その納税義務者の経営する事業に労務又は役務を提供している場合に、それに対して支払われる金額は、「名義の如何にかかわらず」原則としてその納税義務者の事業所得の計算上必要経費に算入しない旨を規定した趣旨であるとの記載がされている(甲20)。 しかしながら、上記注釈書は、同条に「親族たる従業者が事業から所得を受ける場合の事業所得の計算の特例」との見出しを付した上(この見出しは、旧法自体の内容をなすものではないが、後記の基本通達の記載にも類似の見出しが用いられているこ に「親族たる従業者が事業から所得を受ける場合の事業所得の計算の特例」との見出しを付した上(この見出しは、旧法自体の内容をなすものではないが、後記の基本通達の記載にも類似の見出しが用いられていることからすると、当時の所管官庁の同条に対する理解の内容を示すものと考えられる。)、前記の記載に続いて「家族労働の対価を納税義務者の事業所得の計算上必要経費としない理由は、個人の事業においては事業の合計と家計との分離計算が至難であり、しかも、事業所得の計算は家計費排除主義をとる税法の根本原則に基づいて計算されるからである。」との記載をしており、双方の記載を併せると、同条の記載は全体として「事業者が家族労働の対価として親族に支払った金額は名義の如何にかかわらず」原則として必要経費に算入しないという趣旨に理解できるところであり、その限度で親族等が受ける所得の範囲を限定的にとらえているものということができる。 また、旧法に関する基本通達(所得税法に関する基本通達について〔昭和26・1・1 直所1-1国税庁長官・国税局長〕第11条の2関係・324)もまた、「法第11條の2の『当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける』とは、給料、手当等の形式により受ける場合はもちろん、共同経営による利益の分配の形式を採っている場合についても、適用があるものとする。」としており、経費に算入しない金額の意義を納税者たる事業者の親族が、当該事業に雇用又は共同経営の形で労務を提供した場合や生産手段又は資本を提供した場合等当該事業自体に参加したことによって得た対価と理解しているものと認められる(仮に、親族等が事業から支払われる金額は一切経費とは認めないと考えているならば、通達においては、その旨端的に表現するのが通達の性質にかなうものである。)。 以上によると、旧法11条の2は、 められる(仮に、親族等が事業から支払われる金額は一切経費とは認めないと考えているならば、通達においては、その旨端的に表現するのが通達の性質にかなうものである。)。 以上によると、旧法11条の2は、シャウプ勧告のいう「要領のよい納税者」の行う租税回避的な行為を封ずるものであるが、それにとどまらず、本来必要経費と認めるべき労務の対価等についても、それが家計費、すなわち法45条にいう家事関連費との区別が困難であることを理由に、一律に経費に算入しないこととしたものであって、その限度でシャウプ勧告の内容とは異なるものを含むものであり、被告らの主張もこの限度で正当である。 しかし、同条のうちシャウプ勧告と異なる部分については、当時の所管官庁の理解からしても親族等が事業自体に参加又は雇用されて得た対価に限定されるものと解すべきであるし、その立法理由もそれらの支払は家事関連費との区別が困難であるという点に尽きるのである(前記注釈書においても、前記各記載に続いて、「然し、この制度は、通常ならば他に勤務して独立した所得者として納税しうる者が、たまたま自己の親族の経営する事業に従事するためにこれから受ける所得がその親族の所得に事実上合算されるという不合理な結果を生ずることとなるので、記帳によって事業会計と家計とが明確に分離できる青色申告者については、この点を是正する意味も含めて専従者に対する給与の一定額を、納税義務者の必要経費として認容することとしているのである。」との記載がある。)。そうであるとすると、納税者たる事業者の親族等が、自らも独立に事業を営み、その事業の一環として納税者たる事業者と取引をして何らかの対価を得る場合には、上記の所管官庁が想定している場合には含まれないし、納税者たる事業者の家事関連費との区別が困難であるという事情もないのであるから の一環として納税者たる事業者と取引をして何らかの対価を得る場合には、上記の所管官庁が想定している場合には含まれないし、納税者たる事業者の家事関連費との区別が困難であるという事情もないのであるから、同条が想定しているものとは認められず、これを受け継いだ法56条の適用もないというべきである。 ウ以上の検討によれば、法56条の「従事したことその他の事由により(中略)対価の支払を受ける場合」とは、親族が、事業自体に何らかの形で従たる立場で参加するか、又は事業者に雇用され、従業員としてあくまでも従属的な立場で労務又は役務の提供を行う場合や、これらに準ずるような場合を指し、親族が、独立の事業者として、その事業の一環として納税者たる事業者との取引に基づき役務を提供して対価の支払を受ける場合については、同条の上記要件に該当しないものというべきである。 エなお、被告らは、事業者の配偶者等に対する対価の支払は、事業者が所得の中から支出すべき家族の生計維持費用の分担としての性質を有するのであり、事業者の総収入金額のうち、配偶者等に対する対価の支払に充てられる部分には担税力が認められるから、仮にこれを必要経費に算入して、所得の計算上総収入金額から控除するものとすれば、かえって租税負担の不公平を生じる旨を主張し、法56条の立法趣旨はこの点にも認められる旨を主張する。 しかし、ある支出が必要経費であるか否かは、それが客観的にみて事業活動と直接の関連を持つものか否か、事業遂行上必要なものか否かといった観点から定められるべきものであって、その支払を受けた者がそれをいかなる用途に用いるかは、上記のような客観的な観点からの検討をする際に経費性を否定する方向の間接事実(事業者とその用途との関係からして不必要又は不相当な支出がされたと疑われる場合など)として考慮されるべ 用途に用いるかは、上記のような客観的な観点からの検討をする際に経費性を否定する方向の間接事実(事業者とその用途との関係からして不必要又は不相当な支出がされたと疑われる場合など)として考慮されるべき場合があるのにとどまり、そのこと自体が経費性を否定するものとはなり得ないというべきである。また、被告らの主張は、配偶者等が支払を受けた対価から自己の経費を控除した残額のすべてを生計維持費用に充てることを前提としなければ理解し得ないものであるが、配偶者等の所得の大半が当該事業者からの支払によって占められ、その額も僅かな場合は格別、訴外Dのように配偶者等が当該事業者以外からもかなりの収入を得ており所得額自体も相当額に及ぶ場合には、配偶者等が生計維持費用として負担する額はその所得の一部分にすぎないのであって、配偶者等は当該事業者からの支払がなくても自己の分担すべき生計維持費用の全部又は一部を負担できるのであるから、当該事業者が配偶者等に対価を支払ったことが、当該事業者の生計維持費用の分担額を減じるものか否か、また、減じたとしてその額がいかなるものかは容易に判断できない問題であって、被告らの主張するように支払額全額につき担税力を肯定する考え方はあまりに短絡的であり、むしろ担税力の有無及び範囲が容易に定め難いものについては、法令上明示の定めがない限り、担税力は認め難いものとして取り扱うべきである。その上、被告らは、租税負担の公平という観点も指摘するが、事業者が同様の支出をその親族以外の者に支出した場合にその経費性を肯定する以上、親族等への支払についても経費性を肯定することが租税負担の公平にかなうところであり、不十分な根拠によって両者の取扱いを異にする被告らの主張こそが租税負担の公平を損なうものといわざるを得ない。よって、被告らの上記主張は採用し得 性を肯定することが租税負担の公平にかなうところであり、不十分な根拠によって両者の取扱いを異にする被告らの主張こそが租税負担の公平を損なうものといわざるを得ない。よって、被告らの上記主張は採用し得ない。 また、被告らは、法56条にいう「当該事業から対価の支払を受ける場合」を限定的に解釈し、親族等が独立した事業を営み、その事業の対価として支払を受けた場合を含まないとすると、同条にいう「各種所得」とは事業所得が含まれないこととなり、「各種所得」を定義した法2条1項21号の定めと齟齬を来すから、そのような解釈は採用できない旨主張する。 しかし、法56条を上記のように限定的に解釈しても、納税者たる事業者の親族が、従たる立場で共同で事業を行う場合や、形式的には独立の事業者かのような外観を作出しつつ実質的には納税者たる事業者に雇用されて当該事業に従事した場合には、その受ける対価については同条の適用があることとなり、これらの者の所得は少なくとも形式上は事業所得といわざるを得ない場合が生ずる余地もあることから、同条はこのような場合を想定して「各種所得」との用語を用いているとみるのが相当である。 したがって、被告らの主張は、上記のような限定的な解釈を採ると、法56条にいう「各種所得」に事業所得が含まれなくなるとしている点に誤りがあり、採用できない。 (4) そこで、本件に法56条の適用が認められるかについて、以下検討する。 ア本件では、前記前提となる事実記載のとおり、訴外Dは原告とは別個独立に税理士業を営んでおり、原告は、訴外Dとの間で、法人税、所得税等に関する税理士法2条第1項に定める業務のうち税務代理及び税務相談、原告の事業に係る税理士法2条第2項に定める会計業務についての顧問及び記帳代行を委嘱内容とする顧問契約を締結したことが認められ(甲1)、訴外 理士法2条第1項に定める業務のうち税務代理及び税務相談、原告の事業に係る税理士法2条第2項に定める会計業務についての顧問及び記帳代行を委嘱内容とする顧問契約を締結したことが認められ(甲1)、訴外Dの税理士報酬等は、上記委嘱に基づく税理士業務に対する報酬として支払われたものであることが明らかである。 イところで、税理士法1条は、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定し、税理士が、税務の専門家として、独立した立場に立ち業務を行うことを明らかにした上、税理士という資格を国家の資格として公認し、法の定める者にのみその資格を与えるとともに(同法3条)、これに税理士事務を独占させている(同法52条)。そうすると、税理士は、依頼者からの依頼に応じ、依頼者の指揮監督に基づかず、独立した立場で、その意思と能力に基づき裁量を持って独占的に業務を行うものと解されるのである。このような業務の性質や、甲第18、19号証によると、同人の業務の形態が前記第2、3(3)ア(イ)における原告の主張のとおりであることが認められることに照らすと、訴外Dは、原告とは別個独立の事業者として、その事業の一環として原告と取引を行い、その対価を取得したものと認めることができ、法56条の適用を受けるものではないと解するべきである。 ウ以上によれば、本件では、原告の所得の算定に関し、法56条の規定の適用はないものと解されるから、これに反して同条を適用して、訴外Dに対する報酬を原告の弁護士業務のための経費と認めなかった本件各決定(ただし、各裁決により一部取り消された後のもの。)及び本件各個人事業税賦課決定(ただし、各減額決定 れに反して同条を適用して、訴外Dに対する報酬を原告の弁護士業務のための経費と認めなかった本件各決定(ただし、各裁決により一部取り消された後のもの。)及び本件各個人事業税賦課決定(ただし、各減額決定により一部取り消された後のもの。)には、いずれも違法があるものといわざるを得ない(なお、被告らは、訴外Dに対して支払われた本件税理士報酬等の金額が、その業務内容に照らし不当に高額である等の主張は一切していない。)。 2(1) 以上によれば、本件各決定及び本件各個人事業税賦課決定には、いずれも現行法の根幹をなす個人単位課税の原則を採用する法の解釈適用を誤ったという点で重大な瑕疵が認められるというべきであり、課税処分については、更正についての期間制限等が規定されていること、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として、その不利益を納税者に甘受させることは著しく不当と解されるから、上記各処分は、いずれも当然に無効なものというべきであり、原告は、上記各処分の取消しを求めることなく、各処分の無効を主張して直ちに誤納金の返還を求めることができるものと解される。 (2) 以上を前提として、まず被告国に対する請求について検討すると、前記前提となる事実記載のとおり、本件各処分のうち、平成9年分の所得税の申告に係る更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分は、これに対する裁決により全部取り消され、これにより延滞税額も含めて原告に還付されていることが認められるから、原告が当該部分について誤納金の返還及び還付加算金の支払を求める部分については理由がない。平成7年分及び平成8年分所得税については、別紙2ないし4のとおり、それぞれ20万7500円(内訳は、本税額17万6400円、過少申告加算税額1万7000円、 支払を求める部分については理由がない。平成7年分及び平成8年分所得税については、別紙2ないし4のとおり、それぞれ20万7500円(内訳は、本税額17万6400円、過少申告加算税額1万7000円、延滞税額1万4100円)及び17万9300円(内訳は、本税額15万1600円、過少申告加算税額1万6000円、延滞税額1万1700円)の合計38万6700円の誤納金があると認められるところ、原告はこのうちのそれぞれ20万6300円(内訳は、本税額17万6400円、過少申告加算税額1万6000円、延滞税額1万3900円)及び17万6700円(内訳は、本税額15万1400円、過少申告加算税額1万5000円、延滞税額1万0300円)の合計金38万3000円の誤納金と年7.3パーセントの割合による還付加算金の支払を求めているところ、還付加算金の割合は、租税特別措置法95条、93条1項により各年の特例基準割合(各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法15条1項1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4パーセントの割合を加算した割合をいう。)が年7.3パーセントに満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に0.1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)と規定されているから、原告の被告国に対する本訴請求は誤納金38万3000円及びこれに対する平成11年3月26日から同年12月31日までは年7.3パーセントの、同12年1月1日から同13年12月31日までは年4.5パーセントの、同14年1月1日から支払済みまでは年4.1パーセントの割合による還付加算金の支払を求める限度で理由があることとなる。 (3) 次に、被告東京都に対する請求について検討するに、原告は、平成7年ないし平成9年所得分の個人 支払済みまでは年4.1パーセントの割合による還付加算金の支払を求める限度で理由があることとなる。 (3) 次に、被告東京都に対する請求について検討するに、原告は、平成7年ないし平成9年所得分の個人事業税増額賦課決定処分により、本件税理士報酬等の支払を経費と認められなかったことにより新たに負担させられた税額の還付を求めるものであるところ、具体的には平成7年分2万2000円、平成8年分1万6600円、平成9年分1万9900円の合計5万8500円の誤納金がある旨主張するが、平成9年分については、前記のとおり減額決定処分により誤納金全額が還付されていることが認められるから、その還付と還付加算金の支払を求める部分は理由がないこととなる。また、その余の誤納金の額は、別紙5のとおり、平成7年分については2万2000円、平成8年分については1万6300円の合計3万8300円であると認められるから、原告の被告東京都に対する誤納金返還請求については、その限度で理由があることとなる。また、還付加算金の支払請求については、前記認定によれば、原告が各誤納金を納付したのは平成11年8月31日であるから、還付加算金の請求をする部分については、同年9月1日を起算の初日とする限度において理由があるものと認められる。さらに、原告は、還付加算金の割合を年7.3パーセントと主張するが、地方税法附則3条の2第3項、同条1項の規定により、平成11年9月1日から同年12月31日までは年7.3パーセントの、同12年1月1日から同13年12月31日までは年4.5パーセントの、同14年1月1日から支払済みまでは年4.1パーセントの割合による額の金員の支払を求める限度で理由があることとなる。 第4 結論以上の次第であるから、その余の争点について判断するまでもなく、本件請求は から支払済みまでは年4.1パーセントの割合による額の金員の支払を求める限度で理由があることとなる。 第4 結論以上の次第であるから、その余の争点について判断するまでもなく、本件請求は主文第1項及び第2項記載の限度で理由があるから認容することとし、その余は棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、64条本文、65条1項ただし書きを適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官鶴岡稔彦裁判官加藤晴子・所得税法56条の改正経緯一覧所得税法56条の改正経緯(文中下線を引いた箇所が主な改正部分。なお、旧漢字は適宜現代のものに改めた。)。 1 昭和25年改正による所得税法第11条の2納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合においては、当該所得は、これを当該納税義務者の有する事業所得とみなす。この場合においては、第8条第1項の規定の適用については、当該親族は、当該納税義務者の経営する事業から所得を受けていないものとみなす。 2 昭和27年改正による所得税法第11条の2納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合においては、当該所得の収入金額は、当該納税義務者の事業所得の金額の計算上これを必要な経費に算入せず、当該親族の当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、当該納税義務者の事業所得の金額の計算上必要な経費に算入するものとする。この場合において、当該親族の所得の金額の計算については、当該事業から受けた所得の収入金額及び当該所得の金額の計算上 き金額は、当該納税義務者の事業所得の金額の計算上必要な経費に算入するものとする。この場合において、当該親族の所得の金額の計算については、当該事業から受けた所得の収入金額及び当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、いずれもないものとみなす。 前項の規定は、青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(当該納税義務者の配偶者及びその年1月1日現在において年令18才未満である者を除く。)で専ら当該納税義務者の経営する事業に従事するものが当該事業から支給を受ける給与の金額(その額がその年を通じて5万円をこえる場合においては、5万円)については、これを適用しない。但し、その給与の金額が、労務に従事した期間、労務の提供の程度、労務の性質並びに当該事業の種類及び分量等に応じ通常受くべき給与の金額に比して著しく多額と認められるときは、その著しく多額と認められる部分の金額については、この限りでない。 3 昭和32年改正による所得税法第11条の2納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべきものから所得を受ける場合においては、当該所得の収入金額は、当該納税義務者の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上これを必要な経費に算入せず、当該親族の当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、当該納税義務者の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上必要な経費に算入するものとする。この場合において、当該親族の所得の金額の計算については、当該事業から受けた所得の収入金額及び当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、いずれもないものとみなす。 前項の規定は、青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(当該納税義務者の配偶者及びその年1 入金額及び当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、いずれもないものとみなす。 前項の規定は、青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(当該納税義務者の配偶者及びその年1月1日現在において年令18才未満である者を除く。)で専ら当該納税義務者の経営する同項に規定する事業に従事するものが当該事業から支給を受ける給与の金額(その額がその年を通じて5万円をこえる場合においては、5万円)については、これを適用しない。但し、その給与の金額が、労務に従事した期間、労務の提供の程度、労務の性質並びに当該事業の種類及び分量等に応じ通常受くべき給与の額に比して著しく多額と認められるときは、その著しく多額と認められる部分の金額については、この限りでない。 4 昭和36年改正による所得税法第11条の2納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべきものから所得を受ける場合においては、当該所得の収入金額は、当該納税義務者の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上これを必要な経費に算入せず、当該親族の当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、当該納税義務者の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上必要な経費に算入するものとする。この場合において、当該親族の所得の金額の計算については、当該事業から受けた所得の収入金額及び当該所得の金額の計算上必要な経費に算入すべき金額は、いずれもないものとみなす。 青色申告書を提出する納税義務者と生計を一にする親族(年齢15歳未満である者を除く。)でもっぱら当該納税義務者の経営する前項に規定する事業に従事するもの(以下青色事業専従者という。)が当該事業から支給を受ける給与の金額で、その者の労務に従事した期間、 齢15歳未満である者を除く。)でもっぱら当該納税義務者の経営する前項に規定する事業に従事するもの(以下青色事業専従者という。)が当該事業から支給を受ける給与の金額で、その者の労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、当該事業の種類及び規模その他の状況に応じて通常受けるべき給与の金額として相当であると認められるものは、同項の規定にかかわらず、これを当該事業に係る不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上必要な経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の受ける給与所得の収入金額とする。ただし、各青色事業専従者の当該給与の金額が左に掲げる金額のうちいずれか低い金額をこえる場合には、そのこえる部分の金額については、この限りではない。(本項の規定により必要な経費に算入される給与の金額を青色専従者給与額という。)一 12万円(青色事業専従者の年齢が25歳未満であるときは、9万円)二当該事業に係る不動産所得、事業所得又は山林所得の金額(青色事業専従者が当該事業から支給を受ける給与の金額を必要な経費に算入しないで計算した金額とする。)を青色事業専従者の数に一を加えた数で除して得た金額納税義務者(前項の規定に該当する者を除く。)が第1項に規定する事業を経営している場合において、その者と生計を一にする親族(年齢15歳未満である者及びその他の親族で命令で定めるところにより当該納税義務者又は他の納税義務者の控除対象配偶者又は扶養親族とされるものを除く。)でもっぱら当該事業に従事するもの(以下事業専従者という。)があるときは、各事業専従者につき、左に掲げる金額のうちいずれか低い金額を当該事業に係る不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上控除する。(本項の規定による控除額を事業専従者控除額という。)一 7万円二当該事業に係る不動産所得 る金額のうちいずれか低い金額を当該事業に係る不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上控除する。(本項の規定による控除額を事業専従者控除額という。)一 7万円二当該事業に係る不動産所得、事業所得又は山林所得の金額(本項の規定を適用しないで計算した金額とする。)を事業専従者の数に一を加えた数で除して得た金額前項の事業専従者控除額に相当する金額は、これを事業専従者の給与所得の収入金額とみなす。 第2項又は第3項の場合において、これらの規定に規定する親族又は青色事業専従者の年齢が15歳未満又は25歳未満であるかどうかは、毎年12月31日(年の中途においてこれらの者又は納税義務者が死亡した場合には、死亡当時)の現況によるものとする。 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目その他第2項及び第3項の規定の適用に関し必要な事項は、命令でこれを定める。 5 昭和40年改正について(1) 所得税法56条居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。 (2) 所得税法57条青色申告書を提出することにつき税務署 価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。 (2) 所得税法57条青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者を除く。)でもっぱらその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から給与の支給を受ける場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模その他の状況に応じて通常支給されるべき給与として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。ただし、各青色事業専従者がその年において当該事業から支給を受ける給与の金額が次に掲げる金額のうちいずれか低い金額をこえる場合は、そのこえる部分の金額については、この限りでない。 一 18万円(当該青色事業専従者の年齢が20歳未満である場合には、15万円)二当該年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(当該事業に係る青色事業専従者が当該事業から支給を受ける給与の金額を必要経費に算入しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る青色事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額 2 居住者(前項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者及びいずれかの居住者の控除対象配偶者又は扶養親族とされるものを除く。)でもっぱらその居住者の営む前条 居住者(前項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者及びいずれかの居住者の控除対象配偶者又は扶養親族とされるものを除く。)でもっぱらその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの (以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。 一 12万円二その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額 3 前項の規定の適用があった場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。 4 第2項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。 5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があった場合においても、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第2項の規定を適用することができる。 6 第1項又は第2項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が15歳未満であるかどうか及び青色事業専従者の年齢が20歳未満であるかどうかの判定は、その年12月31日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族又は青色事業専従者がその当時既に死亡し 定は、その年12月31日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族又は青色事業専従者がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。 7 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目その他第1項又は第2項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

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