主文 1 本件訴えのうち,別紙出張一覧表記載の番号1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27の各出張に係る旅費の支出についてaに対し賠償命令をすることを被告大阪府知事に求める部分をいずれも却下する。 2 被告大阪府教育委員会教育長は,別紙出張一覧表の各出張に関し,同表「被告主張額」欄の「不足額」欄記載の金額のうち,同表「裁判所認定額」欄の「不足額」欄記載の金額を超える金額の支出命令をしてはならない。 3 被告大阪府知事は,bに対し,807円及びこれに対する平成25年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告らの負担とし,その余を被告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告大阪府教育委員会教育長は,別紙出張一覧表の各出張に関し,同表「被告主張額」欄の「不足額」欄記載の金額の支出命令をしてはならない。 2 被告大阪府知事は,aに対し,bと連帯して2万5413円及びこれに対する平成25年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 3 被告大阪府知事は,bに対し,aと連帯して2万5413円及びこれに対する平成25年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,大阪府の住民である原告らが,別紙出張一覧表の各出張(以下「本件各出張」といい,個々の出張については,同表の番号に従い,「本件出張1」などという。)につき,(1)被告大阪府知事(以下「被告知事」という。)に 対し,①c小学校の校長であったbは,本件各出張の旅行命令簿兼旅行明細書に実際の旅行と異なる内容を記載する 出張1」などという。)につき,(1)被告大阪府知事(以下「被告知事」という。)に 対し,①c小学校の校長であったbは,本件各出張の旅行命令簿兼旅行明細書に実際の旅行と異なる内容を記載するよう指示するなどして違法な旅費請求をさせ大阪府に損害を生じさせたから大阪府はbに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているのにその行使を怠っているとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,bに対して本件各出張に係る旅費の支出額(同表「既払額」欄記載の金額。以下,この支出を「本件各支出」という。)から適正旅費額(同表「原告主張額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額)を控除した金額(同表「原告主張額」欄の「損害額(過払額)」欄記載の金額)である2万5413円及びこれに対する不法行為の日の後である平成25年11月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求するよう求めるとともに,②本件各支出の支出負担行為の専決権者であるaは,重過失により違法に本件各支出の支出決定をしたとして,同号に基づき,aに対して同額の賠償命令をすることを求め,更に,(2)被告大阪府教育委員会教育長(以下「被告教育長」という。)に対し,同項1号に基づき,本件各出張について同表「被告主張額」欄の「不足額」欄記載の金額の支出命令をすること(以下「本件追加支出命令」という。)の差止めを求める事案であると解される。 1 職員の旅費に関する条例(昭和40年大阪府条例第37号〔ただし,平成27年条例第90号による改正前のもの〕。以下「旅費条例」という。)の概要(甲2)(1) 旅費条例は,地方公務員法(平成26年法律第34号による改正前のもの)24条6項及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律(同号による改 もの〕。以下「旅費条例」という。)の概要(甲2)(1) 旅費条例は,地方公務員法(平成26年法律第34号による改正前のもの)24条6項及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律(同号による改正前のもの)42条の規定に基づき,公務のため旅行する市町村立学校職員給与負担法(平成27年法律第46号による改正前のもの)1条及び2条に規定する職員(以下「市町村立学校教職員」という。)の旅費に関し必要な事項を定めるものとする(1条)。 (2) 市町村立学校教職員が出張(職員が公務のため一時その在勤公署を離れて旅行することをいう〔2条1項3号〕。)した場合には,当該職員に対し旅費を支給する(3条1項)。 (3) 旅行は,任命権者若しくはその委任を受けた者又は旅行依頼を行う者(以下,これらの者を併せて「旅行命令権者」という。)の発する旅行命令によって行われなければならない(4条1項)。そして,旅行命令権者は,旅行命令を発するには,旅行命令簿に,当該旅行に関し必要な事項を記載し,これを当該旅行者に提示して行わなければならないが,これを提示するいとまがない場合には,口頭により旅行命令を発することができる(同条4項)。 (4) 旅費の種類は,鉄道賃,船賃,航空賃,車賃,日当,宿泊料,食卓料,移転料,扶養親族移転料,旅行雑費,渡航雑費及び死亡手当とする(6条1項)。 (5) 旅費は,経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する(8条)。 (6) 車賃は,陸路旅行について,路程に応じ1㎞当たりの定額又は実費額により支給し(6条5項),内国旅行の車賃の額は1㎞につき37円とし,公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により定額の車賃で旅行の実費を支弁することができない場合には実費額とする(16条1項)。また,車賃は全 5項),内国旅行の車賃の額は1㎞につき37円とし,公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により定額の車賃で旅行の実費を支弁することができない場合には実費額とする(16条1項)。また,車賃は全路程を通算して計算し,路程に1㎞未満の端数を生じたときはこれを切り捨てる(同条2項及び3項)。 2 前提となる事実等以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 (1) 当事者等ア原告らは,大阪府の住民であり,原告dは,平成24年及び平成25年当時,高槻市議会議員であった者である。 イ被告知事は,大阪府の執行機関である。 ウ被告教育長は,市町村立学校教職員の旅費の支出負担行為及び支出命令について,被告知事の委任を受けた大阪府教育委員会から更に委任を受けた者である(大阪府財務規則3条,別表第1,大阪府教育委員会の財務事務の委任に関する規則2条2号及び3号。乙1~4)。 エ aは,平成22年2月17日から平成25年3月31日まで大阪府教育委員会学校総務サービス課(以下「学校総務サービス課」という。)の課長(以下「学校総務サービス課長」という。)であった者である。学校総務サービス課長は,市町村立学校教職員の旅費の支出負担行為を専決することができるとされている(大阪府教育委員会事務局事務決裁規程4条1項。乙5)。 オ bは,平成23年4月1日から平成25年3月31日までc小学校の校長であった者である。市町村立学校教職員の出張に係る旅行命令権者は市町村教育委員会であるが,各市町村の規則により校長の専決事項とされており,高槻市立の小学校では,高槻市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則5条1項1号により校長の専決事項とされている。(乙6,8)(2) 大阪府教育委 村の規則により校長の専決事項とされており,高槻市立の小学校では,高槻市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則5条1項1号により校長の専決事項とされている。(乙6,8)(2) 大阪府教育委員会における旅費の取扱い(乙9,14)大阪府教育委員会は,「旅費事務の手引き(抜粋)」又は「小中旅費事務の手引き」(以下,これらを併せて「旅費手引」という。)により,職員の旅費支給に関する取扱いを定めているところ,旅費手引を踏まえた同委員会における職員の実際の旅費支給手続の概要は,次のとおりである。 ア旅費の支給手続(ア) 市町村立学校教職員が旅費条例所定の管内に出張する場合には,旅費の計算は旅行者の申告に基づいて行う。旅行者は,旅行命令簿兼旅行明細書に,①旅行年月日,②用務,③用務先,④自家用車使用の有無,⑤交通機関の利用経路,⑥宅発(自宅から直ちに用務先に旅行する場合) 又は宅着(用務先から直ちに帰着する場合)の有無などを記入して,旅行命令の専決権者である校長の決裁を受ける。 (イ) 市町村立学校教職員の旅費の支出事務は,総務サービス事務システム(以下「旅費システム」という。)により処理されており,出張する市町村立学校教職員の属する学校の事務担当者は,校長の決裁を受けた旅行命令簿兼旅行明細書の内容を確認した上,旅行命令簿兼旅行明細書等に基づいて旅費システムに必要事項を入力する方法により旅費請求を行う。校長は,上記の旅費請求に当たり,旅費システムによる旅費請求の内容が旅行命令簿兼旅行明細書と一致しているかを確認して決裁する。 (ウ) 旅費システムにより行われた旅費請求は,1か月ごとに翌月の5日から8日頃の一定の日に学校総務サービス課によって集計処理され,学校総務サービス課長により旅費支給の決 認して決裁する。 (ウ) 旅費システムにより行われた旅費請求は,1か月ごとに翌月の5日から8日頃の一定の日に学校総務サービス課によって集計処理され,学校総務サービス課長により旅費支給の決定がされる。そして,給与の支給日である毎月17日に旅費が支給される。 イ自家用車を利用した場合の旅費の算定方法自家用車の利用による出張は特別に校長が緊急やむを得ないと認めた場合に限り許され,その場合,旅行命令簿兼旅行明細書に「自家用自動車使用」と記入する。自家用車の利用による出張においても1㎞当たり37円で旅費を計算するが,学校から用務先に出張し直接帰宅する場合には学校から用務先を往復した場合と同様に取り扱う。 (3) 本件各出張に係る旅費の支出ア c小学校の校長であったbは,市町村立学校教職員である別紙出張一覧表「旅行者」欄記載のc小学校の教職員に対し,口頭により同表「用務先」欄記載の場所(いずれも旅費条例所定の管内)に同表「経路」欄記載の方法及び経路で出張する旨の旅行命令を専決する一方,交通機関の利用経路等として同表「旅行命令簿兼旅行明細書上の経路」欄記載の方法及び経路が記載された旅行命令簿兼旅行明細書を決裁した。(乙21の1) イ別紙出張一覧表「旅行者」欄記載のc小学校の教職員は,上記アの旅行命令に基づき,同表「旅行年月日」欄記載の日に,同表「経路」欄記載の方法及び経路により同表「用務先」欄記載の場所まで出張し直接帰宅した(本件各出張)。なお,同表「旅行者」欄記載のc小学校の教職員は自動車の利用による通勤手当の支給を受けていた。 ウ c小学校の旅費支給の事務担当者は,本件各出張につき,bの決裁を受けた旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて所定の事項を旅費システムに入力して旅費を請求した。その際 よる通勤手当の支給を受けていた。 ウ c小学校の旅費支給の事務担当者は,本件各出張につき,bの決裁を受けた旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて所定の事項を旅費システムに入力して旅費を請求した。その際,bは,事務担当者による旅費請求の内容が旅行命令簿兼旅行明細書と一致することを確認して決裁した。(乙21の2)エ本件各出張当時,学校総務サービス課長であったaは,c小学校からの旅費請求の内容を確認した上,本件各出張に係る旅費の支出決定をし,これに基づき,同表「旅行年月日」欄記載の月の翌月17日に同表「既払額」欄記載の金額が支払われた(本件各支出)。 (4) 原告dによる公文書公開請求原告dは,平成24年3月6日,高槻市教育委員会に対し,平成22年度及び平成23年度におけるc小学校等に勤務する者の出張に係る内容・経路・費用が分かる文書の公開請求をしたところ(以下「本件公開請求①」という。),同年4月4日を公開日時として旅行命令簿兼旅行明細書を公開する旨の決定がされ,同日付けでその旨の通知を受けた。その後,原告dは,上記決定に基づき,同年8月までの間に,平成22年4月2日から平成24年7月2日までの間におけるc小学校の教職員による合計305回の出張(以下「前回請求分」という。)に係る旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けた。 なお,前回請求分には,本件各出張中の同日までの出張である本件出張1~27のうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27は含まれていたが,その余のものは含まれていなかった。(甲15, 乙12,13,15)(5) 原告dによる前回の監査請求(甲14,乙12)原告dは,平成25年3月29日,大阪府監査委員に対し,前回請求分に係る旅費の支出について,c小学校の教員が実際には自 乙12,13,15)(5) 原告dによる前回の監査請求(甲14,乙12)原告dは,平成25年3月29日,大阪府監査委員に対し,前回請求分に係る旅費の支出について,c小学校の教員が実際には自家用車を利用して出張したにもかかわらず旅行命令簿兼旅行明細書には電車及びバスを利用したと記載して旅費を詐取した疑いがあるなどと主張して住民監査請求をした(以下「前回d監査請求」という。)。 大阪府監査委員は,同年5月17日,前回d監査請求のうち平成23年5月17日の出張に係る旅費の支出を除く部分については,個別の旅行について違法性・不当性を具体的に指摘していないとして監査請求を不適法却下した。他方,前回d監査請求のうち同日の出張に係る旅費の支出に関する部分については,c小学校の校長が,口頭において,自家用車の利用によるc小学校から高槻市教育会館を経由して自宅までの経路での旅行命令を発しつつ,出張者にバス及び電車の利用による経路での旅行命令簿兼旅行明細書を作成させ,この旅行命令簿兼旅行明細書の記載に基づいて旅費が支出されており,同日の出張に係る旅費の支出は旅費条例に違反したものと認められるが,旅費の支給に関する運用によれば,自家用車を利用してc小学校から用務先に出張し直接帰宅する経路で出張した場合の旅費は,c小学校から用務先までの往復距離に1㎞当たり37円を乗じて計算された額となり,このような計算方法も不合理ではないから,同日の出張に係る旅費の支出について過払いがあったとはいえないとして監査請求を棄却した。 (6) 原告eによる前回の住民監査請求(甲15,16)原告eは,平成25年5月27日,大阪府監査委員に対し,前回請求分に係る旅費の支出につき,前回d監査請求とほぼ同様の理由により住民監査請求をした(以下「前回e監査請求」という。)。 甲15,16)原告eは,平成25年5月27日,大阪府監査委員に対し,前回請求分に係る旅費の支出につき,前回d監査請求とほぼ同様の理由により住民監査請求をした(以下「前回e監査請求」という。)。大阪府監査委員は,同年6月28日,前回請求分に係る旅費の支出のうち,平成23年5月17日の出 張に係る旅費の支出を除くものについては個別の旅行について違法性・不当性を個別具体的に指摘しておらず,同日の出張に係る旅費の支出については前回d監査請求において既に請求を棄却する旨の判断がされているなどとして,原告eの住民監査請求を不適法却下した。 (7) 前回請求分に係る住民訴訟の提起原告dは,平成25年6月21日,被告知事に対し,前回請求分に係る旅費の支給を受けたc小学校の教員に対して旅費相当額の返還等を請求するよう求める住民訴訟を提起し,原告eが同訴訟に共同訴訟参加した。しかし,原告らは,平成26年5月9日,上記訴訟を取り下げ,被告知事はこれに同意した。(顕著な事実)(8) 前回d監査請求に対する監査結果が出た後の状況(甲1,4~9,乙12)ア大阪府監査委員は,前回d監査請求に対する監査結果において,c小学校で他にも口頭による旅行命令の内容と旅行命令簿兼旅行明細書に記載された事項が異なっていた事実がないかを大阪府教育委員会において調査し必要な措置を講じられたいとする意見を付した。そこで,学校総務サービス課は,平成25年6月6日付けで,高槻市教育委員会に対し,平成23年度及び平成24年度の旅行命令及び旅行命令簿兼旅行明細書の状況の調査を依頼した。 イ高槻市教育委員会は,同月13日付けで,学校総務サービス課長に対し,平成23年度のc小学校の教職員の出張に係る旅費の支出のうち既払額が正規支給額を下回っているものが203件あ 査を依頼した。 イ高槻市教育委員会は,同月13日付けで,学校総務サービス課長に対し,平成23年度のc小学校の教職員の出張に係る旅費の支出のうち既払額が正規支給額を下回っているものが203件あり,その差額の合計は7万8022円である旨の回答をした。また,高槻市教育委員会は,同年7月18日付けで,学校総務サービス課長に対し,平成24年度のc小学校の教職員の出張に係る旅費の支出のうち既払額が正規支給額を下回っているものが169件あり,その差額の合計は6万5886円である旨の回答をし た(以下,上記2つの回答を併せて「本件各回答」という。)。 ウ c小学校の校長は,学校総務サービス課長に対し,同年6月13日付けで,上記イの平成23年度の旅費の支給不足分合計7万8022円の旅費の支出を依頼し,同月19日付けで,上記イの平成24年度の旅費の支給不足分合計6万5886円の旅費の支出を依頼した(以下,上記2つの支出依頼を併せて「本件各依頼」という。)。 (9) 原告dによる情報公開請求(甲11)原告dは,同月13日付けで,大阪府教育委員会に対し,c小学校の教職員の旅費に関する調査の内容と結果が分かる文書の公開を請求したところ(以下「本件公開請求②」という。),本件各回答に係る文書及びその添付書類を公開する旨の決定がされ,同月26日付けでその旨の通知を受けた。その後,原告dは,上記決定に基づき,本件各回答に係る文書及び本件各依頼に係る文書の写しの交付を受けた。 (10) 原告らによる今回の住民監査請求(甲1)ア原告らは,同年8月21日,大阪府監査委員に対し,①本件各回答及び本件各依頼に係る372件の出張(以下「今回請求分」という。)に係る旅費の支出は,実際には自家用車を利用したにもかかわらずバス及び電車を利用したとの内容虚 日,大阪府監査委員に対し,①本件各回答及び本件各依頼に係る372件の出張(以下「今回請求分」という。)に係る旅費の支出は,実際には自家用車を利用したにもかかわらずバス及び電車を利用したとの内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書による旅費請求に基づくものであるから違法であるとして関係教職員に対する返還ないし賠償の請求を勧告することを求めるとともに,②大阪府教育委員会は今回請求分に係る旅費の支出に不足があったとしてその追加支出の手続を進めているが,これは,c小学校から用務先に出張し直接帰宅した場合の旅費を学校と用務先を往復した場合の旅費として計算して旅費の追加支出をしようとするものであり,上記の旅費の算定方法は違法であるから,その支出の差止めを勧告することを求める旨の住民監査請求をした(以下「本件監査請求」という。)。 イ大阪府監査委員は,同年10月11日,次のとおり判断して,本件監査請求を棄却し,その頃,監査結果が原告らに通知された。 c小学校から用務先に出張し直接帰宅した場合の旅費をc小学校と用務先を往復した場合の旅費とすることは,事務の煩雑化を避け旅費事務の誤りを防止するという点で一定の合理性が認められるから,今回請求分に係る旅費の正規支給額は上記の計算方法により算定した金額であり,その額は49万0607円である。そうすると,今回請求分に係る旅費の既払額34万6699円は上記金額の範囲内にあるから今回請求分に係る旅費の支出によって大阪府に損害が発生しているとはいえないし,大阪府教育委員会による今回請求分に係る旅費の追加支出は正規支給額と既払額との差額を支給するものであるからこれを差し止める理由はない。 ウなお,本件各出張のうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27は,今回請求 出は正規支給額と既払額との差額を支給するものであるからこれを差し止める理由はない。 ウなお,本件各出張のうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27は,今回請求分及び前回請求分の双方に含まれているが,前回d監査請求及び前回e監査請求のうち上記各出張に係る部分はいずれも不適法却下されているから,本件監査請求のうち上記各出張に係る部分が再度の監査請求として不適法であるということはできない(最高裁平成10年12月18日第三小法廷判決・民集52巻9号2039頁参照)。 (11) 自家用車を利用して旅行した場合の車賃の算定方法の改訂(甲10)学校総務サービス課長は,平成25年9月26日付けで,市町村立学校の校長に対し,従前の車賃の算定方法(学校と用務先の往復距離をもって車賃を算定する方法)を改訂する旨を通知した。この改訂により,自家用車を利用して自宅から直ちに目的地に旅行する場合又は目的地から直ちに自宅に帰着する場合には全路程から通勤手当の算定基礎となっている自動車の使用距離を減じた距離をもって車賃の額を算定することとなったが,この改訂後の算定方法は同年10月1日以降に出発する旅行について適用されるものとさ れていた。 (12) 本件訴訟の提起等(顕著な事実)ア原告らは,同年11月13日,大阪府知事を被告として,今回請求分に係る旅費の追加支出の差止めを求めるとともに,bに対し34万6699円及びこれに対する遅延損害金の賠償命令をすることを求める本件訴訟を提起した。 イ原告らは,平成26年3月28日,本件訴えのうち旅費の追加支出の差止めを求める部分について,行政事件訴訟法15条1項に基づき,被告を大阪府教育委員会教育長に変更することの許可を求める旨の申立てをし,同年4月2 成26年3月28日,本件訴えのうち旅費の追加支出の差止めを求める部分について,行政事件訴訟法15条1項に基づき,被告を大阪府教育委員会教育長に変更することの許可を求める旨の申立てをし,同年4月21日,上記の被告の変更が許可された。 ウ原告らは,同年8月27日,本件訴えのうちbに対して賠償命令をすることを求める請求をbに対して同額の損害賠償を請求することを求める請求に交換的に変更するとともに,aに対し34万6699円及びこれに対する遅延損害金の賠償命令をすることを被告知事に求める請求を追加した(以下「本件訴え変更」という。)。 エ原告らは,平成28年1月13日,本件訴えのうち本件各出張に係る部分を除く部分を取り下げ,同年2月3日をもって被告らにおいて同意したものとみなされた。 3 争点及び当事者の主張本件の争点は,①本件監査請求のうち本件出張1~28に係る部分が監査請求期間を徒過したことにつき法242条2項ただし書にいう正当な理由があるか(争点1),②本件各支出に関するbの不法行為責任の有無(争点2),③本件各支出に関するaの法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任の有無(争点3),④本件各支出による大阪府の損害額(争点4),⑤本件追加支出命令の違法性(争点5)であり,これらの点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (1) 争点1(監査請求期間徒過に係る正当な理由)(原告らの主張)原告dは,平成25年6月13日付けで本件公開請求②をし,同月26日の開示決定により,本件各回答に係る文書及び本件各依頼に係る文書が開示されているところ,上記各文書を入手するまでは相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件各出張に係る旅費の支出の存在及び内容を知ることができ 頼に係る文書が開示されているところ,上記各文書を入手するまでは相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件各出張に係る旅費の支出の存在及び内容を知ることができなかった。原告らは,同日ないし同年7月18日以降に上記各文書の開示を受けて初めて本件各出張に係る旅費の支出の事実を知ることができたのであり,同年8月21日には本件監査請求をしているから,原告らは相当な期間内に住民監査請求をしたということができる。 以上によれば,原告らが本件出張1~28に係る旅費の支出について支出の日から1年を経過した後に本件監査請求をしたことには法242条2項ただし書にいう正当な理由があるというべきである。 (被告知事の主張)原告らは,平成24年4月4日,本件公開請求①により,平成23年度のc小学校の教職員の出張に係る旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受け,その後,c小学校の保護者に対する調査等を行っている。そして,原告dは現職の高槻市議会議員であり,原告らは高槻市に関する情報については一般の住民よりも高い情報収集能力を有しているといえる。そうすると,原告らは,上記の旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けたのに続けて,速やかに平成24年度の4月分ないし7月分の旅行命令簿兼旅行明細書の写しを入手し,これに関連する調査を行うことも可能であったといえる。 以上のことからすると,原告らは,本件出張1~28に係る旅費の支出については,本件出張28に係る旅費の支出日(平成24年8月17日)から2か月程度で,支出日,支出額等を知ることができ,それから2か月程度後 である同年11月までに監査請求をすることができたというべきである。したがって,本件出張1~28に係る旅費の支出について住民監査請求期間を徒過したことに法 とができ,それから2か月程度後 である同年11月までに監査請求をすることができたというべきである。したがって,本件出張1~28に係る旅費の支出について住民監査請求期間を徒過したことに法242条2項ただし書にいう正当な理由があるとは認められないというべきである。 (2) 争点2(bの責任)(原告らの主張)bは,c小学校の教職員に対し,自家用車を利用して出張する場合にもバス又は電車を利用する旅行命令簿兼旅行明細書を作成するよう指示した上,内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書を決裁するとともに,本件各出張に係る旅費の請求において,上記の旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて作成された旅費請求の一覧を決裁している。このようなbの行為は大阪府に対する不法行為を構成するというべきであり,bは上記行為による大阪府の損害につき不法行為責任を負う。 (被告知事の主張)否認ないし争う。 (3) 争点3(aの責任)(原告らの主張)ア本件各支出におけるaの支出負担行為は,本件各出張に係る旅費の支出決定であるところ,本件出張1~27・31については,自家用車を利用して出張したにもかかわらず,バス及び電車を利用する旅行命令簿兼旅行明細書が作成されており,この内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書に基づく旅費請求により旅費の支出決定がされている。したがって,上記の支出決定は,実際の方法及び経路と異なる方法及び経路に基づく旅費を支出するものであり,違法である。 イ通勤手当の支給を受けている教職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合には自家用車を利用した路程の車賃を当該路 程の距離から通勤手当の算定基礎となっている距離を減じた距離に相当する車賃の額として旅費を算定すべきである(以下,この旅費の算定方法を「通勤手 合には自家用車を利用した路程の車賃を当該路 程の距離から通勤手当の算定基礎となっている距離を減じた距離に相当する車賃の額として旅費を算定すべきである(以下,この旅費の算定方法を「通勤手当分減額法」という。)。ところが,本件出張28~30・32~39に係る旅費の支出決定は上記の算定方法によらずに自家用車を利用した路程の車賃を算定しており,違法である。 ウ aは,本件各支出の支出決定をするに当たり,c小学校からの旅費請求の内容に誤りがないかを確認する義務があった。ところが,aは,上記ア,イの各点で本件各支出に係る旅費請求の内容に誤りがあったにもかかわらず,これを漫然と看過して本件各支出の支出決定をしたから,重大な過失により違法な本件各支出の支出決定をしたというべきである。 (被告知事の主張)学校総務サービス課長は,校長に対し,1年度の市町村立学校教職員の旅費予算の配当額を上期(4月分から9月分)と下期(10月分から翌年3月分)の2回に分けて通知しており,かかる通知が市町村立学校教職員の旅費の支出負担行為であって,aは,学校総務サービス課長として,平成23年度は同年4月1日付け及び同年10月3日付けで,平成24年度は同年4月2日付け及び同年10月1日付けで,市立小学校教職員の旅費予算の配当額を校長に通知している。このように学校総務サービス課長は,具体的な旅費の支給手続において支出負担行為を行わないのであるから,本件各出張に係る旅費の請求内容に誤りがあったとしても,aが故意又は重過失により違法に本件各支出の支出負担行為をしたということはできない。 なお,通勤手当の支給を受けている教職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合には通勤手当分減額法により旅費を算定すべきものということはできず,後出の たということはできない。 なお,通勤手当の支給を受けている教職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合には通勤手当分減額法により旅費を算定すべきものということはできず,後出の往復距離分算定法によることが相当である。 (4) 争点4(損害額) (原告らの主張)前記(2)(原告らの主張)のbの不法行為及び前記(3)(原告らの主張)の違法な支出決定により大阪府には,本件各支出の金額から本件各出張に係る旅費の適正額を控除した金額の損害が発生した。そして,自家用車を利用してc小学校から用務先に出張し直接帰宅した場合の旅費の適正額は通勤手当分減額法によって算定した額であり,その額は別紙出張一覧表「原告主張額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額である。したがって,本件各支出の金額と本件各出張に係る旅費の適正額の差額は2万5413円(同表「原告主張額」欄の「損害額(過払額)」欄の合計額)であり,前記(2)(原告らの主張)のbの不法行為及び前記(3)(原告らの主張)の違法な支出決定により大阪府に同額の損害が生じたというべきである(上記損害額の算定過程の詳細は別紙1のとおりである。)。 (被告知事の主張)ア大阪府教育委員会における教職員の旅費の算定方法を定めた旅費手引における自家用車を利用した場合の旅費の定め(前記前提となる事実等(2)イ)によれば,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合には,自家用車を利用した路程の車賃を学校と用務先(用務先と自家用車の目的地が異なる場合は自家用車の目的地。以下「用務先等」という。)を往復した場合の車賃として旅費を算定すべきである(以下,この算定方法を「往復距離分算定法」という。)。したがって,本件各出張に係る旅費の適正額は往復距離分算定 の目的地。以下「用務先等」という。)を往復した場合の車賃として旅費を算定すべきである(以下,この算定方法を「往復距離分算定法」という。)。したがって,本件各出張に係る旅費の適正額は往復距離分算定法によって算定した金額であり,その額は,別紙出張一覧表「被告主張額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額となる(その算定過程の詳細は別紙2のとおりである。)。そうすると,本件各出張に係る旅費の適正額は本件各支出の金額を上回るから,仮に原告ら主張のbの不法行為が成立しaによる支出決定が違法であるとしても大阪府にはこれらによる損害が生じていないというべきである。 イそして,以下のとおり,往復距離分算定法により旅費を算定することは合理的なものである。すなわち,①往復距離分算定法は,旅費手引に明文で定められているところ,旅費手引は法規範性を有しており,大阪府教育委員会の旅費支給事務は旅費手引に従って行われてきた。また,②自家用車を利用する出張は,旅行命令権者である校長が緊急やむを得ないと判断した場合に認められるものであり,このような場合には復命又は荷物の返却などのために帰校させる必要が多いから往復距離分算定法により旅費を算定することも許容されるというべきである。さらに,③学校によっては自家用車を利用する出張が年間約500件に上るのであり,学校から用務先に出張し直接帰宅した場合の旅費をその経路に従って算定することになると学校から用務先を経由して自宅に至る路程を手作業で計測しなければならなくなり,旅費支給事務が非常に煩瑣になる(なお,被告大阪教育委員会教育長は,平成25年10月1日以降に出発する旅行の旅費の算定方法を前記前提となる事実等(11)のとおり改訂しているが,これは,パソコン等の情報処理環境が整備されたことにより路程の測定が容易に行え 会教育長は,平成25年10月1日以降に出発する旅行の旅費の算定方法を前記前提となる事実等(11)のとおり改訂しているが,これは,パソコン等の情報処理環境が整備されたことにより路程の測定が容易に行えるようになってきたことによるものである。)。加えて,④出張した教職員の自宅と用務先等の距離によっては,実際に要した旅費の金額よりも少ない金額を支給する場合もある。以上の①~④の諸事情を総合すると,往復距離分算定法により旅費を算定することも合理的なものであるといえる。 (5) 争点5(本件追加支出命令の違法性)(原告らの主張)前記(4)(原告らの主張)のとおり,本件各出張に係る旅費の適正額は別紙出張一覧表「原告主張額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額であるから,これを超える旅費を支出することとなる本件追加支出命令は違法である。 (被告教育長の主張)前記(4)の(被告知事の主張)のとおり,本件各出張に係る旅費の適正額は 別紙出張一覧表「被告主張額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額であるから,本件各支出の金額との差額を支出することとなる本件追加支出命令は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 本件追加支出命令の差止めの訴えの適法性について法242条の2第1項1号に基づく訴えを提起するためには,差止めの対象となる行為が現に存在するか又はその行為がされることが相当な確実さをもって予測されることを要するところ(同法242条1項括弧書き参照),①高槻市教育委員会は,本件各出張の方法及び経路を調査した上,平成23年度及び平成24年度の旅費の不足額を具体的に算定して学校総務サービス課にこれを回答し(本件各回答),c小学校の校長は,平成25年6月,学校総務サービス課長に上記不足額の支払を依頼している(本件各依 度及び平成24年度の旅費の不足額を具体的に算定して学校総務サービス課にこれを回答し(本件各回答),c小学校の校長は,平成25年6月,学校総務サービス課長に上記不足額の支払を依頼している(本件各依頼)こと(前記前提となる事実等(8)ア~ウ),②大阪府教育委員会では,本件各回答及び本件各依頼の内容を精査した後,学校総務サービス課長の決裁を経て,同年9月頃に支給する意向であったこと(甲1),③大阪府教育委員会は,本件訴訟においても,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合の旅費の算定においては自家用車を利用した路程の車賃を学校と用務先等を往復した場合の車賃とすべきである旨主張していることからすれば,今後も大阪府教育委員会において本件追加支出命令を行うことが相当程度の確実性をもって予測されるというべきである。したがって,本件追加支出命令の差止めの訴えは適法である。 2 本件訴えのうち本件訴え変更に係る部分(bに対して賠償請求をすることを求める訴え及びaに対して賠償命令をすることを求める訴え)の出訴期間の遵守の有無について(1) 本件訴えのうち本件訴え変更に係る部分は,本件訴え変更により訴えが交換的ないし追加的に変更されたものであるから,本件監査請求の監査の結果に不服がある場合に新たに提起された訴えとして法242条の2第2項1号 の出訴期間の制限に服すると解されるところ,訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,上記訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,出訴期間の遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解 前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,上記訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきである(最高裁昭和61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁参照)。 そして,本件訴え変更は,本件監査請求の通知があった平成25年10月11日頃から30日を経過した後である平成26年8月27日にされたものであるところ,法242条の2第2項1号の出訴期間を経過した後にされたものであり,bに対して賠償命令をすることを求める訴えとbに対して損害賠償を請求することを求める訴えは訴訟物を異にするものである上,aに対して賠償命令をすることを求める訴えは新たに追加されたものであるから,本件訴えのうち本件訴え変更に係る部分につき出訴期間の遵守があったというためには,上記の特段の事情が認められなければならないことになる。 (2) そこで,上記の特段の事情の存否について検討するに,前記前提となる事実等(10)及び(12)並びに当裁判所に顕著な事実によれば,本件訴え変更に至る経緯等に関し,次の事実が認められる。 ア原告らは,平成25年10月11日頃,本件監査請求の監査結果の通知を受け,同年11月13日,大阪府知事を被告として,今回請求分に係る旅費の追加支出の差止めを求めるとともに,bに対し34万6699円及びこれに対する遅延損害金の賠償命令をすることを求める本件訴訟を提起した。本件訴訟の訴状には,bに対する賠償命令をすることを求める請求につき,「c小学校の教職員が,出張に係る旅費の請求に当たり,校長の指示により,内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書を作成して大阪府から当 。本件訴訟の訴状には,bに対する賠償命令をすることを求める請求につき,「c小学校の教職員が,出張に係る旅費の請求に当たり,校長の指示により,内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書を作成して大阪府から当 該旅費を詐取していたことから,法242条の2第1項4号に基づき,校長の地位にあって専決により旅費支給を行った教職員を相手方として,賠償命令をすることを求めるものである」旨の記載がされていた。 イ被告知事は,当裁判所からの釈明を受けて,学校長が法243条の2第1項後段の規定する職員に該当するかについて検討し,平成26年6月25日付け準備書面において,旅費の支給手順を説明した上,学校長は法243条の2第1項後段に規定する職員に該当せず,今回請求分に係る旅費の支出において支出負担行為を行ったのは学校総務サービス課長である旨を主張した。 ウ原告ら訴訟代理人は,被告ら訴訟代理人から,同年7月18日付け第5準備書面により,平成23年度及び平成24年度当時の学校サービス課長がaである旨の教示を受け,平成26年8月27日,本件訴え変更をした。 (3) 以上の認定事実によれば,原告らの損害賠償に関する訴えは,本件訴え変更の前後を通じ,c小学校の校長が同校の教職員に対して内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書の作成を指示しこれに基づいて旅費の請求をさせ大阪府に旅費の支出をさせたことが違法であるとして,上記の違法な旅費の支出に関与した職員の責任を追及するというものであり,bに関する請求内容が変更され,aに関する請求が追加されたのは,大阪府教育委員会における旅費の支出に関する手続や権限関係が明らかでなかったために旅費の支出の支出負担行為をbが専決していると考えていたからにすぎないということができる。 これらの事情に照らせば,本件訴え変更の前後に おける旅費の支出に関する手続や権限関係が明らかでなかったために旅費の支出の支出負担行為をbが専決していると考えていたからにすぎないということができる。 これらの事情に照らせば,本件訴え変更の前後において,基本となる事実関係,違法行為の内容,損害賠償責任を負うべき職員の範囲に変更はないというべきであり,本件においては,上記の特段の事情があったと解するのが相当である。そうすると,本件訴えのうち本件訴え変更に係る部分は,出訴期間の遵守に欠けるところはないというべきである。 3 市町村立学校教職員の旅費の支出における支出負担行為について (1) 本件監査請求は今回請求分に係る旅費の支出を対象とするものであり,本件訴えは,このうち本件各出張に係る旅費の支出が違法である旨を主張するものであるところ,市町村立学校教職員の出張に係る旅費の支出における支出負担行為の内容について争いがあるので,本件各支出の監査請求期間,違法性等を判断する前提として上記の点について検討する。 (2) 支出負担行為とは,地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為をいい(法232条の3),支出負担行為には地方公共団体の支出の原因となる一切の行為が含まれる。もっとも,支出負担行為は,全ての支出に先立ってその原因となる行為を債務の第1段階として捉え,その債務の限度を明らかにするとともに予算を超過する支出義務の発生を未然に防止し,予算執行の適正化を図ることを目的とするものであって,支出を何時の段階で捉えるか,その捉え方の経理上の約束にすぎないものである。そうすると,支出に係る行為のどの時点を捉えて支出負担行為とするかは,一律の基準で定めることは困難であり,上記のような支出負担行為の目的に照らし,債務負担をしたものとして適当と判断される時期をもって支出負担 ,支出に係る行為のどの時点を捉えて支出負担行為とするかは,一律の基準で定めることは困難であり,上記のような支出負担行為の目的に照らし,債務負担をしたものとして適当と判断される時期をもって支出負担行為として整理するのが相当である。 これを市町村立学校教職員の出張に係る旅費の支出についてみると,旅費は,実費弁償の一種であり,具体的な旅行の事実に対して支出されるものであるから,その支払義務は旅費の支出決定によって直接かつ具体的に生ずるものと解される。そうすると,市町村立学校教職員の出張に係る旅費の支出については,上記の支出負担行為の目的に照らし,その支出決定をもって支出負担行為とするのが相当である。会計法においても国の予算執行の適正化を図ることを目的として支出負担行為制度が定められているところ(会計法11条),旅費について支出負担行為として整理する時期は支出決定のときとされており(支出負担行為等取扱規則14条1項,別表甲号区分6),上記と同趣旨の見解に基づくものと理解できる。 (3) この点,被告知事は,大阪府では,学校総務サービス課長が校長に対し上期(4月分から9月分)及び下期(10月分から3月分)における市町村立学校教職員の旅費予算の配当額を通知しており,この通知が市町村立学校教職員の旅費の支出における支出負担行為であると主張する。しかし,上記の通知は,一定期間の旅費予算の総額を校長に通知するものにすぎず,これにより大阪府に直ちに個々の旅費に係る具体的支出義務が生ずるものではないから,上記の通知を支出負担行為とすることは地方公共団体の支出義務を規制することにより予算執行の適正化を図るという支出負担行為制度の目的に沿わないというべきである。被告知事の上記主張は採用することができない。 4 争点1(監査請求期間徒過に 方公共団体の支出義務を規制することにより予算執行の適正化を図るという支出負担行為制度の目的に沿わないというべきである。被告知事の上記主張は採用することができない。 4 争点1(監査請求期間徒過に係る正当な理由)について(1) 前記3のとおり,市町村立学校教職員の旅費の支出における支出負担行為は当該旅費の支出決定であると解されるところ,本件監査請求の内容(前記前提となる事実等(10))に照らせば,本件監査請求の対象とする本件各支出に関する財務会計上の行為は,①bがc小学校の教職員に対して旅行命令簿兼旅行明細書に実際の出張と異なる記載をするよう指示するなどした不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実及び②aによる本件各支出の支出決定であると認められる。 そして,上記怠る事実に関する監査請求については,大阪府監査委員が上記怠る事実の監査を遂げるためには,bが旅行命令簿兼旅行明細書に実際の出張と異なる記載をするよう指示するなどしたことが不法行為に該当するか否かを明らかにすれば足り,本件各支出が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはないということができるから,上記怠る事実に関する監査請求については,法242条2項の規定は適用されないと解するのが相当である(最高裁平成14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。したがって,上記怠る事実に関する監査請求については監査請求期間の遵守を問題とする余地はない。 これに対して,本件各支出の支出決定に関する監査請求については,同項が適用され,本件各支出の支出決定がされた日から1年を経過した場合には監査請求をすることができない。そして,前記前提となる事実等(3)によれば,本件出張1~28に係る旅費の支出決定は本件出 は,同項が適用され,本件各支出の支出決定がされた日から1年を経過した場合には監査請求をすることができない。そして,前記前提となる事実等(3)によれば,本件出張1~28に係る旅費の支出決定は本件出張28に係る旅費が支給された平成24年8月17日までにされたと認められるから,平成25年8月21日にされた本件監査請求のうち本件出張1~28に係る旅費の支出決定に関する部分は,監査請求期間を経過した後にされたものといわざるを得ない。そうすると,本件監査請求のうち本件出張1~28に係る旅費の支出決定に関する部分は,監査請求期間を経過した後にされたことについて同項ただし書にいう正当な理由がない限り,不適法なものとなる。 (2) そこで,本件監査請求のうち本件出張1~28に係る旅費の支出決定に関する部分につき監査請求期間を経過した後にされたことに同項ただし書にいう正当な理由があるかについて検討する。 法242条2項本文は,普通地方公共団体の執行機関,職員の財務会計上の行為は,たとえそれが違法,不当なものであったとしても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとしておくことが法定安定性を損ない好ましくないとして,監査請求の期間を定めている。しかし,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができなかった場合等にもその趣旨を貫くのが相当でないことから,同項ただし書は,「正当な理由」があるときは,例外として,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した後であっても,普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。したがって,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請 1年を経過した後であっても,普通地方公共団体の住民が監査請求をすることができるようにしているのである。したがって,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができなかった場合には,法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情 のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査をすれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。そして,同項ただし書が,財務会計上の行為について法的安定性を図るために監査請求期間を設けた例外であることに鑑みれば,住民が相当な注意力をもってする調査については,マスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報だけに注意を払っていれば足りるものではなく,住民であれば誰でもいつでも閲覧等をすることができる情報等については,それが閲覧等をすることができる状態に置かれれば,その頃には住民が相当な注意力をもって調査すれば客観的にみて知ることができるものというべきである。 (3) これを本件についてみると,①原告dは,平成24年3月6日に平成22年度及び平成23年度におけるc小学校等に勤務する者の出張に係る内容・経路・費用が分かる文書の公開請求(本件公開請求①)をし,同年8月までの間に,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27を含む前回請求分の旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けていること(前記前提となる事実等(4)),②原告dは,前回d監査請求において,「平成24年12月4日の高槻市議会本 20・22・23・27を含む前回請求分の旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けていること(前記前提となる事実等(4)),②原告dは,前回d監査請求において,「平成24年12月4日の高槻市議会本会議での他の高槻市議会議員の質問等を契機にc小学校の教職員の旅費について調査しようと考え,c小学校の教職員の旅費に関する文書を情報公開請求により取得して調査したところ,平成25年2月頃に前回請求分に係る旅費の支出が内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書によるものであることが分かった」旨を陳述していること(乙12)などの事情を総合すると,原告dは,前回請求分の旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けた平成24年8月から原告dが実際の調査に要した3か月が経過した同年11月頃には,監査請求をするに足りる程度に 本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27に係る旅費の支出の存在及び内容を知ることができたというべきである。そして,上記の原告dによる調査が高槻市議会議員でなければできないものであることを認めるに足りる証拠はないから,同月頃には,原告eにおいても,同様の手続を採るなど相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記各支出の存在及び内容を知ることができたというべきである。そうすると,そのころから約9か月が経過した平成25年8月21日にされた本件監査請求のうち,上記各支出に係る部分は前記の相当な期間内にされたものということはできない。したがって,本件監査請求のうち上記各支出に係る部分に法242条2項ただし書にいう正当な理由があるということはできない。 他方,前回請求分には本件出張6・8・10・14~18・21・24~26・28は含まれておらず,原告らは本件公開請求①により上記各出張に係る旅行命令簿兼旅行明細書の写し ということはできない。 他方,前回請求分には本件出張6・8・10・14~18・21・24~26・28は含まれておらず,原告らは本件公開請求①により上記各出張に係る旅行命令簿兼旅行明細書の写しの交付を受けていないのであるから (前記前提となる事実等(4)),原告らが平成24年11月頃に監査請求をするに足りる程度に上記各出張に係る旅費の支出の存在及び内容を知ることができたということはできない(本件公開請求①により同年7月2日までのものが開示されながら,その中に上記各出張に係る旅行命令簿兼旅行明細書は含まれていなかったのであるから,それらが存在することを前提にその開示を請求して上記出張に係る旅費の支出の存在を知るべきであったということもできない。)。そして,前記前提となる事実等(5),(6)及び(9)並びに弁論の全趣旨によれば,原告らは,原告dにおいては平成25年3月29日,原告eにおいては同年5月27日,前回請求分に係る旅費の支出が内容虚偽の旅行命令簿兼旅行明細書による違法なものであるなどとして監査請求をし,その後,同年6月26日付けの本件公開請求②に対する公開決定がされ,本件各回答及び本件各依頼に係る文書のうち平成23年度のものについては同日に,平成24年度のものについては同年7月18日以降にそれぞれ文書の写 しの交付を受けたことが認められる。そうすると,原告らは,上記各出張のうち,平成23年度のものについては同年6月26日に,平成24年度のものについては同年7月18日頃以降にそれぞれ監査請求をするに足りる程度に当該出張に係る旅費の支出の存在及び内容を知ることができたというべきである。したがって,それから約1か月が経過した同年8月21日にされた本件監査請求のうち,上記各支出に係る部分は前記の相当な期間内にされたものと 旅費の支出の存在及び内容を知ることができたというべきである。したがって,それから約1か月が経過した同年8月21日にされた本件監査請求のうち,上記各支出に係る部分は前記の相当な期間内にされたものというべきであり,本件監査請求のうち上記各支出に関する部分には同項ただし書にいう正当な理由があるというべきである。 (4) 以上によれば,本件訴え中,本件出張1~28に係る旅費の支出決定に関する部分のうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27に関する部分は,適法な住民監査請求を経ていないから不適法であり,その余の部分は,適法な住民監査請求を経ているから適法である。 5 争点2(bの責任)について(1) 証拠(甲1,4~9)及び弁論の全趣旨によれば,今回請求分に係る旅費の支出には,①bが,口頭で旅行命令を専決し,自家用車を利用してc小学校から用務先に出張し直接帰宅する経路で出張が行われたが,旅行命令簿兼旅行明細書にはバス及び電車を利用してc小学校から用務先に出張して直接帰宅する経路が記載されていたもの(以下「A類型」という。)と②bによる旅行命令に基づく実際の出張が自家用車を利用してc小学校から用務先に出張し直接帰宅する経路で行われ,旅行命令簿兼旅行明細書にも同様の記載がされていたもの(以下「B類型」という。)があり,本件各出張では,本件出張1~27・31がA類型に該当し,その余のものがB類型に該当することが認められる。 (2) 前記前提となる事実等(3)及び証拠(甲1,乙12,21の1)並びに弁論の全趣旨によれば,本件各出張のうちA類型に該当するものについて,①bは,c小学校の教員が研修に行く際,研修時間に間に合わないため,口頭 で当該教員に自家用車の利用による旅行命令を専決したが,自家用車の利 ,本件各出張のうちA類型に該当するものについて,①bは,c小学校の教員が研修に行く際,研修時間に間に合わないため,口頭 で当該教員に自家用車の利用による旅行命令を専決したが,自家用車の利用による旅費が請求できるのは広範囲に及ぶ家庭訪問等の場合であって研修時間に間に合わないために自家用車を利用する場合には,旅行命令を発することはできても旅費の請求はできないと考え,出張する教員に対して旅行命令簿兼旅行明細書は公共交通機関を利用する経路を記載するよう指導し,自らが出張する場合にもそのように記載していたこと,②bは,上記のとおり実際の出張と異なる記載がされた旅行命令簿兼旅行明細書を決裁するとともに,上記の旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて旅費システムにより旅費請求がされた際にも旅費請求の内容と旅行命令簿兼旅行明細書の記載が一致することを確認して決裁していることなどが認められる。 前記前提となる事実等(2)のとおり,大阪府教育委員会においては,市町村立学校教職員の旅費を旅行者の申告により計算することとしつつ,旅行者は,旅行命令簿兼旅行明細書に旅行経路,運賃等を記載した上,旅行命令を専決する校長の決裁を受けるものとされており,旅費請求は,学校の事務担当者が旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて所定の事項を旅費システムに入力する方法により行われ,旅費システムによる旅費請求の内容が旅行命令簿兼旅行明細書と一致するか否かを校長が確認して決裁するものとされている。このように市町村立学校教職員の旅費の請求手続が校長の決裁を受けた旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて行うものとされているのは,校長の審査を通じて公金である旅費の適正な支出を図るためであると解されるのであり,c小学校の校長であったbとしては,旅行命令簿兼旅行明細書の記載が実際の出張と異なる場合 て行うものとされているのは,校長の審査を通じて公金である旅費の適正な支出を図るためであると解されるのであり,c小学校の校長であったbとしては,旅行命令簿兼旅行明細書の記載が実際の出張と異なる場合には,旅費の適正な支出を図るため,これを是正する義務があったというべきである。ところが,上記のとおり,bは,本件各出張のうちA類型に該当するものについては,上記の義務に違反し,出張した教員に対して旅行命令簿兼旅行明細書に実際の出張と異なる経路及び方法を記載するよう指示するとともに,そのような記載がされた旅行命令簿兼旅行明細書を 決裁した上,旅費請求の内容が旅行命令簿兼旅行明細書と一致していることを確認して決裁しているのであって,このようなbの行為は,実際の出張と異なる方法及び経路に基づく旅費の請求をさせることにより本来支出されるべき額とは異なる旅費を支出させたものとして大阪府に対する不法行為を構成するというべきである。したがって,A類型に該当する出張については,bは不法行為に基づく損害賠償責任を負うというべきである。 これに対して,本件各出張のうちB類型に該当するものについては,旅行命令簿兼旅行明細書が実際の出張と異なるところはないのであるから,bが上記の義務に違反したということはできず,本件各出張のうちB類型に該当するものについてbが大阪府に対する不法行為責任を負うということはできない。 (3) 以上によれば,bは,本件各出張のうち本件出張1~27・31に係る旅費の支出について不法行為に基づく損害賠償責任を負うが,その余のものに係る旅費の支出については不法行為に基づく損害賠償責任を負わないというべきである。 6 争点3(aの責任)について(1) 前記4において検討したとおり,本件訴えのうち,本件出張1~5・7・9・ る旅費の支出については不法行為に基づく損害賠償責任を負わないというべきである。 6 争点3(aの責任)について(1) 前記4において検討したとおり,本件訴えのうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27に係る旅費の支出決定に関する部分は不適法であるから,本件各主張のうち上記各出張を除くものについてaが法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負うかについて検討することになる。 (2) そこで,まず,A類型に該当する出張のうち上記各出張を除く部分(以下「A類型適法部分」という。)に係る旅費の支出についてaが法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負うかについて検討する。 旅費は,公務のため旅行する職員に対して旅行中に必要とされる費用に充てるために支給される実費弁償の一種であり(旅費条例41条1項が,特別 の事情により又は当該旅行の性質上,その実費を超えることとなる部分の旅費又はその必要としない部分の旅費を支給しないことができる旨規定していることは上記のことを間接的に表現している。),旅費条例が車賃等の特定の旅費種目について定額を支給するものとしているのは,行政事務の簡素化等を考慮して標準的な実費額を基礎とした定額を支給する方式を採用しているからであって,それによって旅費の上記実費弁償としての性格が否定されるものではない。このような旅費条例の趣旨に照らすと,市町村立学校教職員の出張に係る旅費の支出決定が実際の出張の方法及び経路を基礎としないものである場合は,上記支出決定は違法になるというべきである。そうであるところ,前記5のとおり,本件各出張のうちA類型に該当するものに係る旅費の支出においては,旅行命令簿兼旅行明細書に実際の出張と異なる旅行の方法及び経路が記載され,上記の旅 いうべきである。そうであるところ,前記5のとおり,本件各出張のうちA類型に該当するものに係る旅費の支出においては,旅行命令簿兼旅行明細書に実際の出張と異なる旅行の方法及び経路が記載され,上記の旅行命令簿兼旅行明細書に基づく旅費請求により旅費の支出決定がされているのであるから,A類型適法部分に係る旅費の支出決定は,実際の出張と異なる方法及び経路を基礎とするものとして違法であるといわざるを得ない。 もっとも,前記前提となる事実等(2)及び前記5に説示したところによれば,市町村立学校教職員が旅行する場合には,公金である旅費の適正な支出を図るため,旅行命令簿兼旅行明細書に校長の決裁を受けるものとされており,校長の決裁を受けた旅行命令簿兼旅行明細書に基づいて旅費システムに入力する方法により旅費請求が行われ,学校総務サービス課長は,旅費システムによる旅費請求に基づき旅費の支出決定をすることが認められる。このような市町村立学校教職員の旅費の支出決定の仕組みに照らすと,同決定に際しての学校総務サービス課長の審査は原則として旅費請求の形式審査で足りるものと解されるところ,旅費システムによる旅費請求上,A類型適法部分に係る旅費の請求が実際の出張の方法及び経路によるものではないことをうかがわせる事情は見当たらない(乙21の2)。そうすると,A類型適法部分 に係る旅費の請求が実際の出張の方法及び経路によるものではないことについて,aが著しくその注意義務を怠ったということはできず,aに重大な過失があったとまでは認められない。したがって,A類型適法部分に係る旅費の支出につきaが大阪府に対し法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負うものということはできない。 (3) 次に,B類型に該当する出張に係る旅費の支出についてaが法243条の2 る旅費の支出につきaが大阪府に対し法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負うものということはできない。 (3) 次に,B類型に該当する出張に係る旅費の支出についてaが法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負うかについて検討するに,原告らは,B類型に該当する出張に係る旅費を通勤手当分減額法によらずに算定した上記旅費の支出決定は違法であると主張している。 旅費条例は,市町村立学校教職員の給与その他の勤務条件については都道府県の条例で定める旨の地方教育行政の組織及び運営に関する法律42条に基づいて定められたものであるところ,上記のように旅費を含む勤務条件を条例で定めるべきものとされているのは,市町村立学校教職員の旅費等の勤務条件に対する民主的統制を図るとともに,市町村立学校教職員の旅費等を条例によって保障する趣旨に出たものと解される。そうすると,市町村立学校教職員が旅行した場合には旅費条例の規定による旅費が支給されるべきであり,B類型に該当する出張に係る旅費の算定において通勤手当分減額法によらないことが違法であるか否かは,そのような算定方法が旅費条例に反するか否かの観点から判断されるべきことになる。この点,旅費条例は,車賃について,陸路旅行に関し路程に応じ1㎞当たりの定額又は実費額により支給するものとした上(6条5項),内国旅行については,車賃の額は,原則として1㎞当たり37円とし,公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により定額の車賃で旅行の実費を支弁することができない場合には実費額とするとしており(16条1項),自家用車利用による通勤手当の支給を受けていることを考慮して車賃を算定すべき旨を定めた明文の規定はない。しかしながら,旅費条例は,旅費が実費弁償の一種であることを考慮し,定額 を 1項),自家用車利用による通勤手当の支給を受けていることを考慮して車賃を算定すべき旨を定めた明文の規定はない。しかしながら,旅費条例は,旅費が実費弁償の一種であることを考慮し,定額 を支給する場合であってもできるだけ旅行の実態に即した旅費を支給することとするため,旅費の調整の規定を置き,当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上,旅費条例の規定による旅費を支給すると不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することとなる場合には,その実費を超えることとなる部分の旅費を支給しないことができるものとしている(41条1項)。 そして,旅費条例41条1項は,同項により支給しないことができる旅費の額を旅費条例の規定による旅費と旅費の実費の差額とせず,「当該旅行における特別の事情により…不当」に旅行の実費を超えた部分と規定しており,同項は,その文言上,同項により支給しないことができる旅費の算定について任命権者に一定の裁量を認めたものと理解することができる。また,旅費は実費弁償であるものの,当該旅費の支給が実費弁償として相当であるか否かは,当該旅行の用務内容,社会一般の旅行上の慣行,他の方法による経費支弁の有無等の当該旅行に関する諸般の事情を総合考慮して判断せざるを得ない。以上の諸点に照らすと,同項に基づいて旅費条例の規定による旅費の一部を支給しないこととするか否かは,任命権者の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。そこで,通勤手当の支給を受けている職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の車賃の算定において通勤手当の支給を受けていることを考慮しないことが任命権者の裁量権の逸脱又は濫用となるかについて検討する。 通勤手当は,職員の通勤に要する経費を補助することを目的とする手当であって実費弁償的な性 て通勤手当の支給を受けていることを考慮しないことが任命権者の裁量権の逸脱又は濫用となるかについて検討する。 通勤手当は,職員の通勤に要する経費を補助することを目的とする手当であって実費弁償的な性格を有するものであり,自家用車利用による通勤手当は,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の経費負担の実質を持つものといえる。そうすると,通勤手当の支給を受けている職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の車賃の算定において通勤手当の支給を受けていることを考慮して旅費条例の規定による車賃の一部を支給しないという取扱いも一定の合理性を有するというこ とができる。しかしながら,通勤手当は,実費弁償的な性質とともに給料を補完する性質をも有している上,大阪府においては,自家用車の通勤手当は,使用距離の区分に応じた定額を支給するものとされており(職員の給与に関する条例〔昭和40年大阪府条例第35号〕14条),通勤のための経費負担との厳密な対応関係は求められていないものである。また,自家用車を利用して学校から用務先を経由して直接帰宅した場合の経路が,自家用車の利用による通勤手当の算定基礎とされている経路と必ずしも一致するわけではないから,形式的には,自家用車の利用による通勤手当が,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の経費に対応するものということはできない。これらの諸点に鑑みれば,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の車賃の算定において,自家用車の利用による通勤手当の支給を考慮せずに旅費条例の規定による車賃を支給することにより「不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することとなる」とはいえないとすることが直ちに不合理であるということはできない。そうすると,通勤手当の を考慮せずに旅費条例の規定による車賃を支給することにより「不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することとなる」とはいえないとすることが直ちに不合理であるということはできない。そうすると,通勤手当の支給を受けている職員が自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合の車賃の算定において通勤手当の支給を受けていることを考慮せずに旅費条例の規定による車賃を支給することが任命権者の裁量権の逸脱又は濫用となるということはできないというべきである。したがって,B類型に該当する出張に係る旅費を通勤手当分減額法によらずに算定した学校総務サービス課長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるということはできず,上記の旅費算定が旅費条例に反するということはできない。 以上のとおり,B類型に該当する出張に係る旅費の支出決定に違法はなく,原告らの上記主張は採用することができない。 (4) 以上のとおりであるから,aは,A類型適法部分に係る旅費及びB類型に該当する出張に係る旅費の支出決定につき,法243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負わないというべきである。 7 争点4(損害額)について(1) 以上のとおり,bは,本件各支出のうちA類型に該当する出張に係る旅費の支出について不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになる。しかし,A類型に該当する出張はbによる旅行命令に基づくものであるから大阪府は上記出張をした教員に対して旅費の支払義務を負担しており,A類型に該当する出張に係る旅費の支出のうち,大阪府が本来負担すべき旅費相当額を控除した部分のみが大阪府の損害額ということができる。そこで,本件各出張のうちA類型に該当するものに係る旅費を検討する。 (2) A類型に該当する出張の方法及び経路は,別紙出張一覧表「類型」欄にAと記載 た部分のみが大阪府の損害額ということができる。そこで,本件各出張のうちA類型に該当するものに係る旅費を検討する。 (2) A類型に該当する出張の方法及び経路は,別紙出張一覧表「類型」欄にAと記載されたものに対応する「経路」欄記載のとおりであり(前記前提となる事実等(3)イ),学校から自家用車利用の目的地(用務先等)までの距離及び自家用車利用の目的地から出張者の自宅までの距離が,それぞれ別紙3の「学校から自家用車目的地までの距離」欄及び「自家用車目的地から自宅までの距離」欄のとおりであることは当事者間に争いがない。そして,前記6に説示したところによれば,A類型に該当する出張に係る旅費についても,通勤手当分減額法により算定するか否かは学校総務サービス課長の合理的な裁量に委ねられていると解されるところ,A類型に該当する出張とB類型に該当する出張とは,旅行命令簿兼旅行明細書に実際の経路及び方法が記載されていたか否かが異なるにすぎず,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅するという点は同一であって,他に旅費の算定に影響を及ぼすべき事情の相違があったことは認められない。そうすると,A類型に該当する出張に係る旅費の算定においても,B類型に該当する出張に係る旅費と同様,通勤手当分減額法によらずに算定すべきであると解するのが相当である。以上を前提にA類型に該当する出張に係る車賃を算定すると,別紙3の「車賃」欄記載の金額のとおりであると認められ,弁論の全趣旨によれば,A類型に該当する出張のうち,自家用車に加えて電車を利用したもの(本件 出張6・8・10・16~18・24・25・31)の鉄道賃が1120円であることは当事者間に争いがないから,A類型に該当する出張に係る旅費は,別紙3「類型」欄にAと記載されたものに対応する「適正旅費額 張6・8・10・16~18・24・25・31)の鉄道賃が1120円であることは当事者間に争いがないから,A類型に該当する出張に係る旅費は,別紙3「類型」欄にAと記載されたものに対応する「適正旅費額」欄記載の金額(別紙出張一覧表「類型」欄にAと記載されたものに対応する「裁判所認定額」欄の「適正旅費額」欄記載の金額)であると認められる。したがって,大阪府の損害額は,別紙出張一覧表「既払額」欄の金額と比較して過払いになっている額,すなわち,本件出張6・8・10・16・18・25につき各84円,本件出張26につき303円(別紙出張一覧表「裁判所認定額」欄の「過払額」欄記載の金額)の合計807円となる。 (3) 以上に対して,被告らは,自家用車を利用して学校から用務先に出張して直接帰宅する場合の旅費については往復距離分算定法によるべきであると主張する。 しかし,前記6(2)で説示したとおり,自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合には旅費条例の規定による旅費が支給されるべきであり,旅費条例上,車賃については,路程に応じ1㎞当たりの定額又は実費額を支給するものとされ(6条5項,16条1項),当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上,旅費条例の規定による旅費を支給すると不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することとなる場合に,その実費を超えることとなる部分の旅費を支給しないこととされるにすぎない(41条)。そして,往復距離分算定法は,旅費条例の規定による車賃の算定方法とは異なる上,往復距離分算定法は,実際の経路と異なり,学校と用務先等を往復したものとして車賃を算定する方法であるから,この方法によらなければ不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することになるとはいえず,むしろ,上記のような方法によることは,旅費の実費弁 校と用務先等を往復したものとして車賃を算定する方法であるから,この方法によらなければ不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することになるとはいえず,むしろ,上記のような方法によることは,旅費の実費弁償としての性格に反するものであるといえる。 そうすると,往復距離分算定法による旅費の算定は旅費条例に反するものであって,自家用車を利用して学校から用務先に出 張して直接帰宅する場合の旅費については往復距離分算定法によるべきであるということはできない。 この点,被告らは,往復距離分算定法は旅費手引に記載されており,旅費手引は法規範性を有するものであると主張するが,旅費手引は,大阪府教育委員会における内部的な旅費支給の取扱いを定めたものにすぎず,被告らの上記主張は採用することができない。 また,被告らは,往復距離分算定法が許されるべき理由として,①自家用車を利用する出張では復命又は荷物の返却などのために帰校させる必要が多いから自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅した場合にも学校と用務先等を往復した場合の車賃を支出することは許容されるというべきであること,②自家用車を利用して学校から用務先に出張し直接帰宅する場合に実際の路程を手作業で計測することは事務的に煩瑣であること,③出張した教員の自宅と用務先等との距離によっては往復距離分算定法による旅費の方が実際の路程による旅費よりも少額となる場合もあることなどを主張する。 しかし,①については,旅費は実費弁償の一種であり,個別の旅行の事実に対応して支給されるものであるから,自家用車を利用する出張において用務先から帰校させる必要が多いという他の出張に関する事情ないし自家用車を利用する出張の一般的な傾向をもって,実際の経路と異なる経路を基礎に旅費を算定すべき理由とする 自家用車を利用する出張において用務先から帰校させる必要が多いという他の出張に関する事情ないし自家用車を利用する出張の一般的な傾向をもって,実際の経路と異なる経路を基礎に旅費を算定すべき理由とすることはできない。また,②については,現在のインターネットやコンピュータソフトウェアの進展及び普及の状況に照らせば,学校から用務先を経由して自宅に至る路程を測定することが著しく煩瑣であるとは考え難く,現に平成25年10月1日以後に出発する旅行についての車賃の取扱い(前記前提となる事実等(11))は上記の路程を計測することができることを前提としている(被告らは,上記の取扱いにつき,パソコン等の情報機器が整備されたことによるものである旨主張するが,本件各支 出がされた平成23年度及び平成24年度における情報機器の環境が平成25年当時と異なることを認めるに足りる証拠はない。)。さらに,③については,前記のとおり,往復距離分算定法による旅費が実際の路程による旅費よりも少額になる場合であっても,当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上,旅費条例の規定による旅費を支給すると不当に旅行の実費を超えた旅費を支給することとなる場合に,その実費を超えることとなる部分の旅費を支給しないものとされるにすぎないのであり,往復距離分算定法による旅費が実際の路程による旅費よりも少額になることをもって直ちに往復距離分算定法が旅費条例上許容されるものということはできない。 以上のとおりであるから,仮に,市町村立学校教職員の旅費算定を旅費条例と異なる算定方法によることが許容される余地があるとしても,被告らの主張する事情をもって,旅費条例の定めに反して往復距離分算定法による旅費の算定が許容されるべきであるとはいえない。 8 争点5(本件追加支出命令の よることが許容される余地があるとしても,被告らの主張する事情をもって,旅費条例の定めに反して往復距離分算定法による旅費の算定が許容されるべきであるとはいえない。 8 争点5(本件追加支出命令の違法性)前記7に説示したところによれば,本件各出張につき大阪府が本来負担すべき旅費相当額は,別紙出張一覧表の「裁判所認定額」欄の「適正旅費額」欄記載のとおりであるから,被告教育長は同額を超えて旅費を支出することは許されず,被告教育長が,本件各出張につき,同表「被告主張額」欄の「不足額」欄記載の金額のうち,同表「裁判所認定額」欄の「不足額」欄記載の金額を超えて旅費を追加で支出する旨の支出命令をすることは違法である。 9 結論以上のとおり,本件訴え中,aに対する賠償命令をすることを求める部分のうち,本件出張1~5・7・9・11~13・19・20・22・23・27に係る旅費の支出に関する部分は不適法であるから却下し,その余の部分は棄却し,bに対する損害賠償を請求することを求める部分のうち,807円及びこれに対する平成25年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金 員の支払を求める部分は認容し,その余の部分は棄却し,本件追加支出命令の差止めを求める部分は,「裁判所認定額」欄の「不足額」欄の金額を超える金額を支出する旨の支出命令をすることの差止めを求める限度で認容し,その余の部分は棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 裁判官角谷昌毅 裁判官松原平学 昌毅 裁判官松原平学
▼ クリックして全文を表示