【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求める裁判 原告は「被告が原告の昭和三七年四月一日から昭和三八年三月三一日までの事業年 度の法人税につき、昭和三
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判原告は「被告が原告の昭和三七年四月一日から昭和三八年三月三一日までの事業年度の法人税につき、昭和三九年六月三〇日付をもつてした更正処分および過少申告加算税賦課決定処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告は主文同旨の判決を求めた。 第二原告主張の請求の原因一原告は、貸ビル業等を目的とする株式会社であつて、旧商号を株式会社織物商館と称したが、その昭和三七年四月一日から昭和三八年三月三一日までの事業年度の法人税につき、昭和三八年四月一三日被告に対し青色申告書により欠損金額四六、〇二三、四一〇円、税額零円とする確定申告をしたところ、被告は昭和三九年六月三〇日付をもつてその所得金額な二、一八八、二九九円、法人税額を七三一、五一六円とする更正処分および過少申告加算税三六、五五〇円の賦課決定処分をした。 二原告は、右各処分を不服として昭和三九年七月三〇日被告に対し異議申立てをしたところ、右申立ては審査請求とみなされ、東京国税局長は昭和四〇年六月三〇日これを棄却する旨の裁決をなし、同裁決書謄本は同年七月一三日原告に送達された。 三しかしながら、右課税処分は左記の点に瑕疵がある。すなわち、(一) 原告は本件係争事業年度当時青色申告法人であつたが、本件更正通知書の理由欄には「貸倒金否認四八、二一〇、七〇九円」と加算項目を掲記したほか「山初印刷株式会社に対する仮払金二一、三八二、二〇二円及債務肩替り借入金見返りに計上した貸付金二七、二六四、一〇二円合計四八、六四六、三〇四円を山初印刷株式会社が返済能力なしの理由で債権放棄し、貸倒れ処理したが、山初印刷株式会社の借入金が株式会社織物商館の建物建設のために支出した理由で肩替りしている 四、一〇二円合計四八、六四六、三〇四円を山初印刷株式会社が返済能力なしの理由で債権放棄し、貸倒れ処理したが、山初印刷株式会社の借入金が株式会社織物商館の建物建設のために支出した理由で肩替りしているが、山初印刷株式会社の休業時に於ける借入金と肩替りした金額が一致しない上、建設のため支出した事実が認められない。仮払金も山初印刷株式会社がAを大株主とする同族会社で、何れも使途が明らかでないため、使途不明支出金として益金加算し、其の他流出とする。」と記載されているにすぎない。しかし、右記載では、原告において更正の具体的理由を理解することができず、その理由の記載がないのに等しいから、右更正処分は法人税法(昭和四〇年法律第三四号による改正前のもの。以下、旧法人税というのはこれを指す。)三二条に違反する。 (二) 右課税処分は、原告が本件係争事業年度における損金に計上した貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を否認し、これを益金に加算したものであるが、右貸倒損失を否認したのは違法である。 よつて、右課税処分の取消を求める。 第三被告の答弁および主張(請求原因に対する答弁)原告主張の請求原因一、二の事実は認める。同三(一)のうち、原告が本件係争事業年度当時青色申告法人であつたこと、本件更正通知書の理由欄に原告主張の記載しかなかつたこと、同三(二)のうち、原告主張の理由で本件課税処分がなされたものであることは認めるが、その余は争う。 (被告の主張-処分の適法性)一更正の理由附記について(一) 一般に法が行政処分に理由を附記すべきものとしているのは、処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであるから、その記載を欠くにおいては、処分自体の取消を免れないものといわなけれ 慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであるから、その記載を欠くにおいては、処分自体の取消を免れないものといわなければならないが、どの程度の記載をなすべぎかは、処分の性質と、理由附記を命じた各法律の規定の趣旨目的に照らしてこれを決すべきである。 しかるところ、青色申告者に対する更正処分は、誠実かつ信頼性のある帳簿書類を完備している納税者を対象とし、その帳簿書類に基づいてなされた所得計算の是非にかかわるものであるから、その帳簿書類の個々の科目、数額と直接関連させながら更正の具体的理由を明示しなければならないが、旧法人税法三二条が青色申告者に対する更正処分に理由の附記を命じた目的は、処分庁の恣意を抑制し、その慎重、公正を担保し、あわせて納税者に不服申立ての便宜を与えるなど、その行政の適正化と納税者の権利の救済に資せんとするがためのものにほかならないから、処分の理由が更正通知書の記載からしか了知しえない場合であれば、もとよりその通知書に具体的理由を明らかにしなければならないであろうが、その通知書の記載内容が他の諸事情と相まつて更正処分の具体的理由を了知しうる場合、すなわち、その事案の全体との関連でその記載内容が法の要求する附記の要件を充たしていると認められる場合には、更正の具体的理由を詳しく記載しなかつたとしても、なんら理由附記を命じた法の目的を没却するものではないと解すべきである。そして、更正処分は、各事案毎に個別になされるものであるから、その更正の理由は、当該事案との関係において当該納税者において理解しうる程度に記載されていれば足りるものと解すべきである。 右の見地から本件更正の理由附記についてみるに、本件更正通知書に附記される理由の記載は前記のとおりであり の関係において当該納税者において理解しうる程度に記載されていれば足りるものと解すべきである。 右の見地から本件更正の理由附記についてみるに、本件更正通知書に附記される理由の記載は前記のとおりであり、更正処分の対象となつた勘定科目を貸倒損失金、その金額を四八、二一〇、七〇九円とし、その債権は山初印刷株式会社(以下、山初印刷ともいう。)に対する債権であると特定したうえ、原告会社および山初印刷はともにAを中心とする同族会社であつて、山初印刷に対する右債権はいずれもその発生過程が不分明であるから、その貸倒金の損金処理を否認したとして、本件更正の具体的理由を明記してあり、これにより原告は十分その処分内容を理解しうる筈であるから、右附記理由に違法はない。 (二) 仮に、本件更正通知書の理由附記の措辞に不備な点があるとしても、そのかしは、審査裁決書によつて治ゆされたものと解すべきである。 すなわち、一般に更正の理由の記載が当該処分自体を無効とする程度のかしを有する場合は別として、単にその表現に足りないところがあるにすぎないときは、その行政救済手続における訴願裁決(異議決定、審査決定等)によりその理由が補完され明確にされれば、納税者はそれにより更正の理由を十分理解できるわけであり、また、行政庁の判断の合理性を担保しえたことにもなり、結局のところ、理由附記を命じた法の目的は十分達しえたことになるから、かような場合は、行政処分の無用の取消を避けて法的安定を図る趣旨をも考慮し、更正の理由不備によるかしは治ゆされたと解すべきであり、また、少くともそのかしは取消に値いしない程に軽微化したと解すべきである。 しかるところ、本件の審査裁決書には「請求人が前期末昭和三七年三月二三日に無財産、休業状態にある山初印刷株式会社の有する債務二七、二六四、一〇二円を受入れるとと い程に軽微化したと解すべきである。 しかるところ、本件の審査裁決書には「請求人が前期末昭和三七年三月二三日に無財産、休業状態にある山初印刷株式会社の有する債務二七、二六四、一〇二円を受入れるとともに同額を同社に対する貸付金として経理し、当期末日において上記貸付金相当額を貸倒れとして処理したことは、通常の経済取引に照してきわめて異常な取引であり、また、右山初印刷株式会社に対する当期末日における仮払金の累積額一四、一二六、五二七円および仮払金の支出の日から昭和三三年三月三一日までの間における未収利息相当額七、二五五、六七五円についても、当初から回収見込みのない仮払支出金である点において同様の事情が認められる。請求人が前記債権は山初印刷株式会社がもつぱら当社ビル建設のため奔走していた事情にもとづくものであるという点については、山初印刷株式会社の事業は請求人と関係がないものであり、かつ、当該ビルの建設のために要した費用およびこれに要した負債の額は請求人会社の財産目録に記載されているものであつて、上記債権は当社正規の帳簿外における支出金であるという請求人の不服は認め難い。以上の点を検討すると、請求人の行為または計算は法人税法第三〇条第一項所定の事由に該当すると認められるから、原処分は相当であり、請求人の不服には理由がない。」と記載されており、更正の理由をふえんして説明し、更正の理由を補完しているから、仮に、本件更正通知書の理由附記の点に不備があつたとしても、そのかしは右審査裁決書によつて十分補完され、かしは治ゆされたか、もしくは取消に値いしない程に軽微化したものというべきである。 二貸倒損失否認の理由について被告が貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を否認した理由は次のとおりである。すなわち、原告会社はその発行済株式総数の九〇パーセントを、また 化したものというべきである。 二貸倒損失否認の理由について被告が貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を否認した理由は次のとおりである。すなわち、原告会社はその発行済株式総数の九〇パーセントを、また、山初印刷はその発行済株式総数の六五パーセントをいずれもAが所有し、同人が支配する同族会社であるところ、原告は山初印刷に対し別紙1ないし5記載のとおり債務引受および金員の貸付(以下、債務引受等ともいう。)をなし、これにつき、別紙1ないし5の各表記載のとおり処理し、右引受額等に見合う金額(債務引受相当額合計二七、二四四、一〇二円、貸付金相当額合計一四、一四六、五二七円)をいずれも山初印刷に対する仮払金として計上するとともに、右仮払金に対する仮払発生の日から昭和三四年三月までの利息として別紙6記載の金額を未収金として計上したが、昭和三七年六月一日山初印刷との間で右仮払金および未収利息の合計四八、六四六、三〇四円を一括し、これを既存債務とする準消費貸借契約を締結し、右未収利息を仮払金に振替えたのち、昭和三八年三月一二日右仮払金合計四八、六四六、三〇四円につぎ、その金額を債務免除し、本件係争事業年度末においてこれを貸倒れとして貸倒準備金四三五、五九五円を取崩し、その残額四八、二一〇、七〇九円を貸倒損失として償却処理した。 しかしながら、右債務引受等の当時、山初印刷はすでに莫大な累積欠損と多額の借入金債務を抱え、倒産寸前の状態にあり、同会社の資産としても僅かに東京都中央区<以下略>所在の木造二階建建物二棟とその敷地八九・八八坪に対する借地権しかなく、しかも右建物はいずれも株式会社大益商店および白鳳産業株式会社に賃貸されていたうえ、債権者Bら四名のために抵当権が設定されていたのであるから、かかる状態にある会社に対し与信はもとより、債務引受をすることも、正 物はいずれも株式会社大益商店および白鳳産業株式会社に賃貸されていたうえ、債権者Bら四名のために抵当権が設定されていたのであるから、かかる状態にある会社に対し与信はもとより、債務引受をすることも、正常な経済取引においては通常考えられないところであつた。 それにもかかわらず、原告が右のように債務引受等をしたのは、原告会社および山初印刷がともにAの支配する同族会社であるが故になしえた異常かつ不合理なものといわざるをえない。 したがつて、右債務引受等につき、原告がそれをその都度損金に計上していたら、その時点においてその行為計算は当然同族会社の行為計算として否認されるところであつたが、原告は右引受額等に見合う金額を山初印刷に対する仮払金等に計上し、損益計算には関係せしめない会計処理をしていたため、被告としても所得の計算上影響がない以上、それをそのまま是認するより仕方なかつたのである。しかしながら、原告は、本件係争事業年度においてこれを貸倒処理したのであつて、これをそのまま容認すれば、原告の本件係争事業年度の課税標準は右仮払金相当額だけ減少し、原告の法人税の負担を不当に減少させる結果となるから、かかる場合には、右仮払金が損益計算に現われた本件係争事業年度において否認されるのもやむをえないものというべきである。 以上の理由により、被告は原告の右行為計算を否認したのであるから、被告が本件処分において原告計上の貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を否認した点に違法はない。 第四被告の主張(貸倒損失否認の点に関するもの)に対する原告の答弁および反論一貸倒損失否認に関する被告主張の事実中、原告会社および山初印刷がともに被告主張の株式数をAが所有する同旅会社であること、原告会社が被告主張のとおり債務引受等をなし、被告主張のとおりの会計処理をしたうえ貸倒損失四八 関する被告主張の事実中、原告会社および山初印刷がともに被告主張の株式数をAが所有する同旅会社であること、原告会社が被告主張のとおり債務引受等をなし、被告主張のとおりの会計処理をしたうえ貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を計上したこと、山初印刷の資産としては被告主張の建物およびその敷地に対する借地権しかなかつたこと、右建物が被告主張の者らに賃貸され、同建物に被告主張の者らのために抵当権が設定されていたことは認めるが、その余は争う。 二同族会社の行為計算否認の規定は、同族会社が少数の同族関係者によつて完全に支配され、非同族会社では通常なしえないような行為計算でも、同族会社においては恣意になされるおそれがあり、かかる行為計算をそのまま容認した場合に、法人税の負担を不当に減少させる結果となる場合を規制したものである。したがつて、形式的には一応その類型に入る行為計算、すなわち、一方においては同族関係者の利益となり、他方において同族会社の利益減少となる行為計算であつても、その実情からして、非同族会社においても同じような行為計算が行なわれることが予想される場合や不当な税金回避といえない場合まで否認することは、非同族会社より不利益な取扱をすることとなり、妥当でない。 しかるところ、原告がした右債務引受等から貸倒処理に至る一連の行為計算は、Aによる会社支配が全くない状況の下で行なわれたものであり、原告の租税負担を不当に免れる意図をもつてなされたものではない。すなわち、 1 原告は、そのビル建設資金の融資を千代田生命保険相互会社(以下、千代田生命ともいう。)から受けたため、昭和二九年これまで代表取締役であつたAは取締役の地位を退き、以後代表取締役には千代田生命派遣のCがなり、他の取締役および監査役はすべて千代田生命の関係者によつて占められ、しかも、A所有の原 たため、昭和二九年これまで代表取締役であつたAは取締役の地位を退き、以後代表取締役には千代田生命派遣のCがなり、他の取締役および監査役はすべて千代田生命の関係者によつて占められ、しかも、A所有の原告会社の株式も担保として千代田生命に預託されたため、原告会社は完全に千代田生命の管理下に入り、Aは原告会社に対しなんら口出しすることができなかつた。 2 右のような状況の下で債務引受等一連の行為計算がなされたのであるが、その間の事情は次のとおりである。 山初印刷はAのいわゆる個人会社であり、その債務についてはすべてAが個人保証をしていた。ところが、昭和三一年一〇月以降山初印刷は支払不能となつたため、債権者らはAに対し強硬にその債務の返済を迫り、同人の唯一の財産であつた原告会社の株式に対して執行する事態にたち至つた。しかし、この原告会社の株式が他人の手に渡ることは、すなわち原告会社が他人の手に渡ることであつて、Aが原告会社を設立した経済的目的は失われ、実質的には原告会社の存在が危くなることであつて、Aは勿論原告会社の経営者にとつても耐え難いことである。そこで、原告会社の存立を維持するため、原告会社において山初印刷の債務を引受けたのである。 そして、右債務引受当時、山初印刷の経営状態は不良であつたが、その資産である前記建物および借地権は相当の価値があり、これを処分すれば、本件仮払金は原告において十分回収できる見込があつたものである。 ところが、右建物に抵当権設定および停止条件付代物弁済契約による抵当権設定登記および所有権移転請求権保全仮登記をえていたBはこれを楯にとつて右建物の所有権を主張する訴えを提起し、山初印刷は一審で敗訴となつたので、同人に対し一五、〇〇〇、〇〇〇円を支払うことで和解せざるをえなくなり、その結果、原告の右仮払金が回収不能となつ を楯にとつて右建物の所有権を主張する訴えを提起し、山初印刷は一審で敗訴となつたので、同人に対し一五、〇〇〇、〇〇〇円を支払うことで和解せざるをえなくなり、その結果、原告の右仮払金が回収不能となつたのである。そこで、原告は昭和三八年三月一二日仮払金四八、六四六、三〇四円につき、金額債務免除し、これを貸倒償却したのである。 3 以上の次第であるから、原告の右一連の行為計算は、非同族においても通常なすことが予想される行為計算であるというべく、およそ法の予想する行為計算の否認の実質的根拠を欠くものというべきである。したがつて、原告の右行為計算を旧法人税法三〇条一項の規定により否認するのは誤りもはなはだしいというべきである。 三なお、原告は本件と同種の山初印刷に対する未収利息一、四〇一、二三五円につき、本件係争事業年度の翌事業年度において回収不能として貸倒処理したところ、被告はこれを是認しているところからみても、被告が本件において貸倒処理を否認すべきいわれはないのである。 第五証拠関係(省略)○ 理由一原告主張の請求原因一、二の事実は当事者間に争いがない。 二そこで、被告のした本件課税処分の適否について判断する。 (一) 本件更正通知書の理由附記の点について原告が本件係争事業年度当時青色申告法人であつたこと、本件更正通知書には更正の理由として原告主張のとおりの記載がなされていたことは当事者間に争いがない。 右記載によれば、本件更正は原告が山初印刷に対する債権四八、六四六、三〇四円についてした貸倒処理を否認し、これを益金に加算したことによるものであることは明らかであり、また、右貸倒処理の否認の理由が同族会社の行為計算の否認によるものであることは、原告において読みとれない訳ではないから、右記載は旧法人税法三二条所定の附記理由の要件に欠ける あることは明らかであり、また、右貸倒処理の否認の理由が同族会社の行為計算の否認によるものであることは、原告において読みとれない訳ではないから、右記載は旧法人税法三二条所定の附記理由の要件に欠けるところはないといわなければならない。 したがつて、この点に関する原告の主張は採用できない。 (二) 貸倒損失否認の点について 1 原告会社はその発行済株式総数の九〇パーセントを、また、山初印刷はその発行済株式総数の六五パーセントをいずれもAが所有する同族会社であること、原告が山初印刷に対し別紙1ないし5記載のとおり債務引受等をなし、これにつき、別紙1ないし5の各表記載のとおり処理し、右引受額等に見合う金額(債務引受相当額合計二七、二四四、一〇二円、貸付金相当額合計一四、一四六、五二七円)をいずれも山初印刷に対する仮払金として計上するとともに、右仮払金に対する仮払発生の日から昭和三四年三月までの利息として別紙6記載の金額を未収金として計上したこと、原告が昭和三七年六月一日山初印刷と右仮払金および未収利息の合計四八、六四六、三〇四円を一括し、これを既存債務とする準消費貸借契約を締結し、右未収利息を仮払金勘定に振替えたこと、ところが、昭和三八年三月一二日原告は右山初印刷に対する仮払金の合計四八、六四六、三〇四円につきその全額を免除し、これを貸倒れとして貸倒準備金四三五、五九五円を取崩し、その残額四八、二一〇、七〇九円を貸倒損失として本件係争事業年度における損金に計上したことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第四号証の一、二、第七号証、原本の存在ならびに成立とも争いのない乙第一ないし第四号証、証人Dの証言により真正に成立したものと認める乙第八号証、同証人、証人C、同A(ただし、後記措信しない部分を除く。)、同Eの各証言および弁論の全趣旨によれば、 成立とも争いのない乙第一ないし第四号証、証人Dの証言により真正に成立したものと認める乙第八号証、同証人、証人C、同A(ただし、後記措信しない部分を除く。)、同Eの各証言および弁論の全趣旨によれば、山初印刷は昭和二六年以降極度の経営不振に陥り、その頃からすでにその営業を継続することが不可能な状態にあつたこと、原告が別紙1記載のFに対する三、五〇〇、〇〇〇円の借入債務を引受けた昭和三〇年一一月当時における山初印刷の累積赤字は一、九〇〇万円を超え、また、その借入金債務は約三〇、〇〇〇、〇〇〇円にも達していたし、同会社の唯一の資産であつた東京都中央区<以下略>所在の木造二階建建物(借地権付)には債権者Bのために抵当権設定および停止条件付代物弁済契約による抵当権設定登記および所有権移転請求権保全仮登記がなされていたうえ、右建物の一部につき白鳳産業株式会社が賃借権を有していたこと、山初印刷は昭和三一年五月不渡処分を受け、銀行取引を停止されるに及び、その営業を廃止したものであり、原告が右以外の別紙1ないし4の各債務引受をした当時はすでに事実上倒産していたものであること、右のような状態にあつた山初印刷の債務を原告において引受けるに至つたのは、原告会社および山初印刷がともにAの支配するいわゆる個人会社であり、別紙1ないし4の各借入債務がいずれもAの個人的に親しい間柄にある者からの借入金であつて、Aが保証人となつていたためであつたこと、以上の事実が認められ、証人Aの証言中右認定に反する部分は前掲各証拠に照らしたやすく信用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 右事実よりすれば、原告が山初印刷のためにした右債務引受等の行為は、正常な経済取引においては通常考えられない極めて不自然、不合理なものであり、原告会社および山初印刷がともにAの支配 りる証拠はない。 右事実よりすれば、原告が山初印刷のためにした右債務引受等の行為は、正常な経済取引においては通常考えられない極めて不自然、不合理なものであり、原告会社および山初印刷がともにAの支配する同族会社なるが故になしえたものといわざるをえない。したがつて、右債務引受等の行為計算は、本来、旧法人税法三〇条一項(同族会社の行為計算の否認)の規定により否認されるべき性質のものというべきである。しかしながら、原告は、前示のとおり、右債務引受等につき、引受額等に見合う金額を山初印刷に対する仮払金として計上するとともに、これに対する利息をも未収金勘定に計上し、有償債務引受および有償貸付として会計処理したため、その時点においては、右行為計算の結果、損益に不当な変動を生ずることはなく、したがつてまた、原告の法人税を不当に減少させることもないから、かかる場合には、右行為計算の結果が損益計算に現われ、租税の負担を不当に減少させる結果の生じた時点において、一連の行為計算を一体のものと観念し、これを否認するのが相当である。しかるところ、原告が本件係争事業年度において右債務引受等にかかわる仮払金(四八、六四六、三〇四円)全額を債務免除して貸倒処理したことは前示のとおりであり、これをそのまま容認すれば、右仮払金相当額(ただし、本件においては、貸倒準備金四三五、五七五円があるので、実際にはこれを差引いた四八、二一〇、七〇九円ということになる。)は原告の本件係争事業年度における課税標準から控除されて課税を免れる結果となるから、原告の右債務引受等から貸倒処理に至る一連の行為計算は、本件係争事業年度において旧法人税法三〇条一項の規定により否認されうべきものといわなければならない。 してみると、被告が本件処分において、原告が本件係争事業年度における損金として計上した 行為計算は、本件係争事業年度において旧法人税法三〇条一項の規定により否認されうべきものといわなければならない。 してみると、被告が本件処分において、原告が本件係争事業年度における損金として計上した右山初印刷に対する仮払金の貸倒損失四八、二一〇、七〇九円を否認したのは正当であるといわなければならない。 2 原告は、右債務引受等から貸倒処理に至る一連の行為は原告会社が千代田生命の管理下にあり、Aによる会社支配のない状況の下でなされたものである旨主張するが、前掲乙第一、第三、第八号証、証人C、向A(ただし、後記措信しない部分を除く。)、同D、同Eの各証言によれば、千代田生命は原告会社に監査役および会計事務員各一名を派遣していたが、取締役を派遣した事実はなく、原告主張のCにしても、原告会社がビル建設資金の融資を千代田生命から受けるにあたつて、その仲介の労をとつたことから、Aの要請により原告会社に迎えられたものであり、千代田生命から派遣されたものではないこと、A所有の原告会社の株式が昭和三一年五月三一日千代田生命に預託されたが、これは千代田生命の融資債権六一、〇〇〇、〇〇〇円の担保のため、右株式に質権設定契約がなされたことに基づき交付されたものであること、したがつて、右事実から原告会社が千代田生命の管理下にあつたとは認められないこと、他方、Aは設立以来代表取締役として業務執行の実権を握り、取締役辞任後も自己が大株主であつたことを利用し、原告会社の取締役六名中四名を自己の親戚、友人等で占め、これらの者を通じて実質上原告会社の業務執行権を支配していたものであること、現に別紙1ないし3の債務引受はいずれもAが代表取締役であつたときになされたものであり、また、別紙4の債務引受はAの送り込んだ取締役の賛成票決によつて決定されたものであることが認められ、証 ること、現に別紙1ないし3の債務引受はいずれもAが代表取締役であつたときになされたものであり、また、別紙4の債務引受はAの送り込んだ取締役の賛成票決によつて決定されたものであることが認められ、証人Aの証言中右認定に反する供述部分はたやすく信用することができず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。してみると、原告の右主張は採用できないといわなければならない。 また、原告は、右債務引受当時山初印刷の前記建物および借地権は相当の価値があり、これを処分すれば本件仮払金は回収可能であつた旨主張するが、その当時、すでに山初印刷は莫大な累積欠損と多額の借入金債務を抱え、本件引受債務以外にも多額の債務を負担していたこと、右建物には当時賃借権および抵当権等が設定されていたことは前示のとおりであるから、右建物等を処分したところで、本件仮払金が回収される見込のなかつたことは明らかであり、現に、前掲甲第七号証によれば、右建物等の処分額は三五、二八八、六〇〇円にすぎず、本件仮払金の弁済に充てるまでに至らない金額であつたことが認められるから、原告の右主張は採用できない(なお、この点に関連し、原告は、本件仮払金が回収不能となつたのはBに対し和解金一五、〇〇〇、○○○円を支払わなければならなくなつたためであるとも主張しているが、成立に争いのない甲第五号証によれば、右和解の成立したのは本件係争事業年度後の昭和三八年五月一四日であることは明らかであるから、右主張は採用のかぎりでない。)。 さらに、原告は、本件と同種の山初印刷に対する未収利息一、四〇一、二三五円を本件係争事業年度の翌事業年度において回収不能として貸倒処理したところ、被告はこれを是認したところからしても、本件貸倒処理を否認すべきいわれはないと主張するが、たとえ原告主張の事実があつたとしても、これをもつて本件 の翌事業年度において回収不能として貸倒処理したところ、被告はこれを是認したところからしても、本件貸倒処理を否認すべきいわれはないと主張するが、たとえ原告主張の事実があつたとしても、これをもつて本件係争事業年度についてした被告の右否認の措置までも違法としなければならない法的根拠は全くないから、原告の右主張は採用できない。 三以上の次第であるから、被告のした本件課税処分に原告主張のような違法はなく、したがつて、本件課税処分は正当なものといわざるをえない。 よつて、原告の本訴請求は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官高津環佐藤繁海保寛)別紙 1 債権者F関係の債務引受分原告は、山初印刷がFから借受けた借入金のうち三、五〇〇、〇〇〇円につき昭和三〇年一一月八日に、二、八五〇、〇〇〇円につき昭和三一年七月一八日にそれぞれ債務引受をなし、これを左表記載のとおり処理した。 2 債権者G関係の債務引受分原告は、山初印刷がGから借受けた二、五〇〇、〇〇〇円につき、昭和三一年八月頃債務引受をなし、これを左表記載のとおり処理した。 3 債権者H関係の債務引受分原告は、山初印刷がHから借受けた三、五〇〇、〇〇〇円につき、昭和三一年八月頃債務引受をなし、これを左表記載のとおり処理した。 4 債権者I外七名に関する債務引受分原告は、山初印刷がI外七名から借受けた左記借入金につき、昭和三七年三月三一日債務引受をなし、同日これにつき、右引受額を借入金として計上するとともに、その同額を山初印刷に対する仮払金として計上した。 以上1ないし4の仮払金合計額は二七、二四四、一〇二円である。 5 原告が山初印刷に対し金員を貸付け、仮払金勘定に計上したもの右仮払金合計一四、一四六、五二七円 する仮払金として計上した。 以上1ないし4の仮払金合計額は二七、二四四、一〇二円である。 5 原告が山初印刷に対し金員を貸付け、仮払金勘定に計上したもの右仮払金合計一四、一四六、五二七円 6 原告が未収金に計上した山初印刷に対する右1ないし5の仮払金に対する利息分
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