平成16(ワ)25179 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成18年7月28日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文26,735 文字)

平成18年7月28日判決言渡平成16年第25179号損害賠償請求事件( )ワ判決主文 被告は、原告に対し、金1970万3853円及びこれに対する平成14年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを4分し、その1を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告は、原告に対し、金9018万5199円及びこれに対する平成14年11月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 事案の概要本件は、原告が、被告の設置・運営するA病院において、左眼につき黄斑部網膜上膜形成症と診断され、黄斑部網膜上膜形成症に対する黄斑上膜手術(硝子体切除術・膜処理を含む)並びに白内障に対する超音波水晶体乳化吸引術及び人工レンズ挿入術を受けたところ、同手術においては、担当医師が、誤って薬剤を眼内に混入させる等の過失があり、それにより、原告の左眼に視力低下等の症状を発生させたとして、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償の請求をした事案である。 前提となる事実(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号を〔〕内に示す。以下同じ)。 当事者( )ア原告は、昭和12年4月11日生まれの男性であり、平成17年6月までは年商約530億円であるB株式会社の代表取締役社長の地位にあったが、現在は同社の代表取締役会長の地位にある(争いのない事実、甲A1〔2、甲C1、甲C12〔1、原告〔1。 〕〕〕)イ被告は、A病院(以下「被告病院」という)を設置・運営する学校法。 人である(争いのない事実。 ) 診療経過等 (争いのない事実、甲A1〔2、甲C1、甲C12〔1、原告〔1。 〕〕〕)イ被告は、A病院(以下「被告病院」という)を設置・運営する学校法。 人である(争いのない事実。 ) 診療経過等( )ア原告は、平成14年8月31日に、C医院の紹介により、被告病院を受診し、被告病院の眼科部長であるD医師(以下「D医師」という)及び。 E医師(以下「E医師」という)の診察を受けたところ、D医師は、左。 眼の黄斑部網膜上膜形成症について網膜の上に形成された膜を取る手術を行い、これにより視機能回復を図る必要があるとの診断をした(争いのない事実、甲A3〔1、4、甲C12〔2。 〕〕)イ原告は被告との間で、同年10月ころ、原告の視機能回復のための左眼の黄斑部網膜上膜形成症に対する黄斑上膜手術(硝子体切除術・膜処理を含む)並びに白内障に対する超音波水晶体乳化吸引術(PEA)及び人工レンズ挿入術(以下「本件手術」という)を行う旨の診療・手術・入院。 契約を締結した(争いのない事実。 )ウ原告は、同年10月31日、被告病院に入院し、同年11月1日、D医師の執刀のもと、本件手術が実施された(甲A1〔27ないし29、6 。 〕)原告は、同月13日に、被告病院を退院したが、原告の左眼の視力は、術前は1.2であったのに対し、術後は0.04にまで低下し、角膜には 浮腫が見られた(甲A3〔40、42。 」〕)エ原告は、平成15年1月29日、F総合病院(以下「F総合病院」という)を受診し、G医師(以下「G医師」という)の診察を受け、角膜。 、。 移植を受けることとした。原告は、同年3月4日、F総合病院に入院し、同月6日、G医師の執刀により、左眼の角膜移植手術を受け(以下「再手術」という、同月14日、退院した(甲A7〔10、42、67 。 移植を受けることとした。原告は、同年3月4日、F総合病院に入院し、同月6日、G医師の執刀により、左眼の角膜移植手術を受け(以下「再手術」という、同月14日、退院した(甲A7〔10、42、67ないし。) 。 〕)オ原告は、同年5月24日、被告病院を受診し、D医師の診察を受けたところ、D医師は、網膜の増殖が予想以上に進んでおり、除去手術が必要であると診断した。そこで、原告は、同年6月12日、被告病院に入院し、同月13日、D医師の執刀により、左眼の硝子体切除術(膜処理を含む)。 。 (以下「再々手術」という)を受け、同月20日に被告病院を退院した(甲A2〔15ないし18、甲C12〔5。 〕〕)カ原告は、同年3月19日、H病院(以下「H病院」という)を受診し。 たところ、右眼の視力は1.2であるが、左眼の視力は0.08で矯正不能となっていると診断された(甲A4。 )また、原告は、同年4月12日、H病院を受診したところ、左眼は黄斑部機能障害であり、視力は0.09でそれ以上の矯正は不能である、ゴールドマン動的視野検査で中心から鼻側への暗点及びphotopicERGでα波の減弱を認める状況であると診断された(甲A5。 ) 争点 被告病院担当医師の過失の有無( )(2)原告の症状と被告の過失との因果関係(3)損害額 争点についての当事者の主張(1)争点(1)(被告病院担当医師の過失の有無)について (原告の主張)被告は、網膜や血管等を損傷しないように慎重に手技を行い、使用薬剤等の種類、濃度、分量や使用器具について用法上の注意を厳守するなどして、眼に損傷を与えないよう本件手術を行う債務があるにもかかわらず、被告病院担当医師であるD医師又はE医師には、手技の誤りにより黄斑上膜を剥がす際に網膜に器具が接 ついて用法上の注意を厳守するなどして、眼に損傷を与えないよう本件手術を行う債務があるにもかかわらず、被告病院担当医師であるD医師又はE医師には、手技の誤りにより黄斑上膜を剥がす際に網膜に器具が接触するなどして網膜又は血管を損傷し、局所麻酔薬であるマーカインその他の混入させてはならない薬剤等を眼内灌流液あるいは眼内充填物質に混入させ、また散瞳薬であるボスミンその他の薬剤等の濃度あるいは分量を誤って眼内灌流液あるいは眼内充填物質に混入させ、過度の光を照射したという3点のいずれか、あるいはこれらの複合した過失がある。 (被告の主張)争う。 術後における、原告の視力の低下の原因は現在も不明である。しかし、被告としては、手術の経過自体は極めて通常のものであり、術中に明らかな異常も認めていなかったので、後から原因を検討すると、眼内に局所麻酔薬などを誤って混入させた可能性がある。 (2)争点(2)(原告の症状と被告の過失との因果関係)について(原告の主張)原告の左目の状態は、本件手術後に急激に悪化し、視力も急激に低下している。また、眼内に局所麻酔薬などを誤って混入させれば、網膜に異常が生じることは明らかである。さらに、D医師は、視力回復が望めない原因について「見えない点」であることを原告に説明しているところ、この「見えない点」は本件手術前には存在せず、本件手術直後に左眼の状態の急激な悪化と視力低下があったことからすれば、この「見えない点」は被告の本件手術における医療過誤によって生じたものであり、したがって視力低下が遷延している原因も被告の本件手術における医療過誤であることは明らかであると いえる。 加えて、黄斑部網膜上膜形成症によっては、原告の現在の症状は起こらず、網膜の急激かつ異常な増殖自体が本件手術における医療過誤によるものである。 ける医療過誤であることは明らかであると いえる。 加えて、黄斑部網膜上膜形成症によっては、原告の現在の症状は起こらず、網膜の急激かつ異常な増殖自体が本件手術における医療過誤によるものである。 (被告の主張)麻酔薬により角膜の混濁が生じ、これにより原告の視力低下が生じた可能性がある。 もっとも、網膜については当初異常を認めておらず、また、現在の状況である網膜の増殖が麻酔の混入などにより生じるといったデータもない。 かつ、そもそも原病の再発として、現在の症状は起こり得る。 現在視力の低下が遷延していることは、被告病院の手術とは無関係である。 争点(3)(原告の損害及び因果関係)について(原告の主張)原告は、本件手術の過誤により、以下のとおり合計9018万5199円円の損害を被った。 (1)治療費自己負担分1571万3583円ア手術・入院(169万6733円)(ア)本件手術・入院60万円(概算)(イ)再手術・入院65万9163円(ウ)再々手術・入院43万7570円イ通院(8万9800円(概算))(ア)平成14年の被告病院での本件手術に伴う入院期間終了後の通院治療費(薬代含む)1万8000円(イ)平成15年の被告病院への通院治療費3万9000円 (ウ)平成15年のF総合病院への通院治療費(薬代含む)2万0800円(エ)平成16年10月末日までの被告病院への通院治療費(薬代含む)1万2000円ウ鍼灸、カイロプラクティック、指圧費用206万1000円原告は、本件手術後、頑固な頭痛等に悩まされるようになっており、鍼灸、カイロプラクティック、指圧等に通って頭痛等を緩和することによってようやくその業務や日常生活を不十分ながらも行うことができている。また、カイロプラクティックに行った後一定期間は になっており、鍼灸、カイロプラクティック、指圧等に通って頭痛等を緩和することによってようやくその業務や日常生活を不十分ながらも行うことができている。また、カイロプラクティックに行った後一定期間は視野が明るくなるという効果もある。このように、原告は本件手術により、鍼灸、カイロプラクティック、指圧に通わざるを得なくなっており、このことによる損害も賠償されるべきである。 (ア)平成15年112万5000円(イ)平成16年1月から9月末日まで93万6000円エ将来の治療費1186万6050円(ア)将来の鍼灸、カイロプラクティック、指圧費用平成16年11月以降同年12月末日まで18万9000円(イ)平成17年以降平成31年まで(平均余命15年の期間)1年当たり112万5000円ライプニッツ係数15年10.3796112万5000円×10.3796=1167万7050円(2)入院雑費4万5000円 ア本件手術入院期間14日間のうち外泊期間2日間を除く12日間1500円×12日=1万8000円イ再手術入院期間9日間1500円×9日=1万3500円ウ再々手術入院期間9日間1500円×9日=1万3500円(3)通院交通費56万4824円ア被告病院への交通費(入退院の交通費含む)片道820円820円×2(往復)×26回=4万2640円イF総合病院への交通費片道1500円1500円×2(往復)×9回=2万7000円ウ鍼灸、カイロプラクティック、指圧等への交通費片道160円(ア)平成16年10月末日まで160円×2(往復)×229回=7万3280円(イ)平成16年11月以降12月末日まで160円×2(往復)×21回=6720円(ウ)平成17年以降平成31年まで1年当たり 0月末日まで160円×2(往復)×229回=7万3280円(イ)平成16年11月以降12月末日まで160円×2(往復)×21回=6720円(ウ)平成17年以降平成31年まで1年当たり160円×2(往復)×125回=4万円ライプニッツ係数15年10.3796 4万円×10.3796=41万5184円(4)後遺障害による逸失利益4886万1792円原告の年収は2700万円。 原告の後遺障害は、後記のとおり自賠責の後遺障害等級表の第7級に相当し、本来労働能力喪失率は56パーセントとして逸失利益を算出すべきものである。ただし、現時点では、原告の懸命な努力によりその職位を保持しているために、外面的には収入の減少が生じていない。このような場合には、逸失利益を算定しなかったり、あるいは現在の職位に関係ない収入基礎額をもって算定するべきではなく、現在の収入額を基礎として相当な金額を算定すべきである。少なくとも就労可能年数8年間は現在の年収額を基礎とし、ただ労働能力喪失率を上記の半分の28%としてライプニッツ係数により逸失利益額を算定する。 2700万円×0.28×6.4632=4886万1792円(5)慰謝料2000万円ア入通院慰謝料500万円自己の責によらない本件手術の過誤の結果、本来は必要がなかった再手術、再々手術を含め繰り返し3回に及ぶ大手術(うち2回は眼球の深部の網膜、他の1回は角膜移植)を繰り返し、その結果の症状好転もはかばかしくない中を長期にわたり通院し続けている。このことによる苦痛を慰謝すべき金額は、平成16年1月までの間として控え目に算出したとしても500万円を下らない。 イ後遺障害慰謝料1500万円左眼は、診断書類上の表現としては視力が僅かばかりあることになってはいるものの、本件手術の結果生じ 1月までの間として控え目に算出したとしても500万円を下らない。 イ後遺障害慰謝料1500万円左眼は、診断書類上の表現としては視力が僅かばかりあることになってはいるものの、本件手術の結果生じた網膜損傷が激しく、字も読めず、また人の判別もつかない程度の視力となっている。ほとんど右眼に頼ってこれに過度の負担をかけなければ業務はおろか、日常生活も困難であ る。左眼は実質的には失明状態、少なくとも1眼の視力が0.02以下になったものといえ、この点は自賠責の後遺障害等級で言えば第8級相当となる。また、本件手術過誤の結果、頑固な頭痛等の症状に苦しめられており、これについても自賠責後遺障害等級でいえば控え目に見ても12級相当の障害があるので、結局同等級では、繰上げ7級に相当する。 これをもって、後遺障害慰謝料の一応の基礎額とする。 加えて、その慰謝料増額事由として、第1に、原告の左眼には本件手術の過誤により網膜が異常に増殖するという状態が発生し、放置すれば視力のさらなる悪化もあり得るので再手術の必要性がある旨の指摘を受けており、本来はこの網膜除去手術のための将来の手術・入院費用の請求を行うところであるが、他方既に左眼について3回もの手術を行っていることから、さらに手術を行えば網膜が破れる可能性もある旨の指摘もあり、結局本件手術の過誤に起因して発生した網膜の増殖という異常を防ごうとすれば、網膜が破れるという危険性が極めて高い手術というリスクをとらなければならないという進退窮まった状況にある。これについても十分斟酌し、慰謝料を増額する必要がある。 第2に、原告は、本件手術の過誤により、角膜移植(再手術)を余儀なくされたが、この角膜移植により、原告は終生にわたり拒絶反応の発生、さらには再移植手術の可能性に怯え続けなければならない状況に陥った。ま に、原告は、本件手術の過誤により、角膜移植(再手術)を余儀なくされたが、この角膜移植により、原告は終生にわたり拒絶反応の発生、さらには再移植手術の可能性に怯え続けなければならない状況に陥った。また、角膜移植による左眼の外見上の変化も原告の職務遂行上のハンディとなっている。これらによる精神的苦痛も斟酌される必要がある。 第3に、原告は左眼の視力を失って実質隻眼となったことにより、前記の頑固な頭痛を少しでも軽減するため、また少しでも視機能の状態を良好に保つため鍼灸院やカイロプラクティックへの通院、加療を続けなければならないことに加え、ゴルフ、自動車運転等の種々の愉しみを奪 われ、これにより、平成4年に入会金1236万円で購入した社団法人保土ヶ谷カントリー倶楽部の入会金が入会金の返還制度や会員たる地位の譲渡の制度がないため無に帰するなど、様々な損失を蒙っており、これらについても慰謝料算定に当たって十分斟酌し、慰謝料を増額する必要がある。 (6)弁護士費用500万円原告本人は本件医療過誤による左眼の傷害により書類の精査等が極めて困難な状況にあること、また本件は医事訴訟であり本件訴訟において主張立証のためには専門家である弁護を依頼するほかないところ、その弁護士報酬として少なくとも500万円を支払う旨を約した。 (被告の主張)争う。 第3当裁判所の判断 事実関係証拠によれば、次の事実が認められる。 、(1)原告は、平成4年ころから、左眼の視界のゆがみを感じるようになり医師の診察を受けたところ、網膜の上に膜が付着しているため視界にゆがみが生じているが、まだ手術が必要な状態ではないため経過観察とするとの診断を受けた(甲C12〔1。 〕)(2)原告は、平成14年8月ころ、左眼の視界のゆがみが原因で疲れやすくなったため、同月 みが生じているが、まだ手術が必要な状態ではないため経過観察とするとの診断を受けた(甲C12〔1。 〕)(2)原告は、平成14年8月ころ、左眼の視界のゆがみが原因で疲れやすくなったため、同月28日に、左眼の視力低下を訴えてC医院にて診察を受け、視力は右の1.2に対して左は0.9であり、左眼の黄斑部網膜上膜形成症が進行していると診断され、網膜の上に形成された膜を除去する手術を行うために、被告病院の眼科部長であるD医師を紹介された(甲A3〔4、甲C12〔2。 〕〕)(3)原告は、同月31日に、被告病院を受診し、D医師及びE医師の診察 を受けたところ、視力は左右ともに1.2であったが、D医師は、左眼の黄斑部網膜上膜形成症について網膜の上に形成された膜を取る手術を行い、これにより視機能回復を図ること、ただし、この手術をすると白内障が術後進行しやすいので白内障の手術もした方が良い旨の診断をした(争いのない事実、甲A3〔2、3、13、甲C12〔2。 〕〕)(4)原告は被告との間で、同年10月ころ、本件手術を行う旨の診療・手術・入院契約を締結した(争いのない事実。 )(5)原告は、同年10月31日、入院期間約1週間の予定で被告病院に入院し、同年11月1日、D医師の執刀のもと、本件手術が実施された(争いのない事実、甲A1〔20、27ないし29、61。 〕)(6)本件手術の翌日である同月2日、原告が眼帯をとると、原告の左眼はかすんで殆ど見えず、視界は常に薄暗い状態になった。また、原告の虹彩は手術前は茶色であったのが、手術後には灰色に変色していた(甲C1。 2〔2、3。 〕)同月5日、D医師は、原告に対し、角膜が濁っており、濁りがある間は眼が見えない、角膜の内皮が痛んでしまっていて、ポンプ作用がうまくいかず角膜に水が 色に変色していた(甲C1。 2〔2、3。 〕)同月5日、D医師は、原告に対し、角膜が濁っており、濁りがある間は眼が見えない、角膜の内皮が痛んでしまっていて、ポンプ作用がうまくいかず角膜に水がたまっている、その症状は機械的な刺激で起こることもあるが、原因は分からない旨を説明した(甲A1〔12。 〕)(7)原告は、同月13日に、被告病院を退院したが、退院時は視力は測定されておらず、入院中の左眼の状態にはそれほど変化はなかった(甲A1〔9ないし11、13ないし19、82ないし87。 〕)(8)原告は、退院後も被告病院に通院し、D医師の診察を受けていたが、左眼の視力は回復しなかった。そこで、D医師は、原告に対し、視力回復のため、角膜移植を受けることを勧め、その実績があるというF総合病院のG医師を紹介した(甲A3〔29、32、34、36、38、40。 〕)平成15年1月21日付けの、D医師からG医師にあてた「紹介状・診療 情報提供書」には「平成14年11月1日に左眼黄斑上膜に対し、Tripl、e手術を施行。術翌日より、角膜テスメ膜皺襞(++ 、角膜浮腫(+)で角)膜内障害が著名でした。ステロイドの内服、点眼etcで一時軽快するかと思われましたが、本日の検査では、角膜全体に浮腫、混濁があります。原因としては、術中の機械的刺激や薬剤etcの迷入などが考えられますが、確証はありません。しかしながら、術前視力は、1.2ありましたので、少しでも良効な視力の回復が望まれます。角膜移植の話も一応しておりまママすが、御高診のうえ、今後の方針、加療につき御指示をお願いしたく存じ〕)。 ます。現在U.S=0.04(n.c)です」との記載がある(甲A3〔42(9)原告は、同月29日、F総合病院を受診し、G医師の診察を受け、角膜移植を 針、加療につき御指示をお願いしたく存じ〕)。 ます。現在U.S=0.04(n.c)です」との記載がある(甲A3〔42(9)原告は、同月29日、F総合病院を受診し、G医師の診察を受け、角膜移植を受けることとした。原告は、同年3月4日、F総合病院に入院し、同月6日、G医師の執刀により、左眼の角膜移植手術を受け(以下「角膜移植手術」という、手術経過自体は良好であったものの、視力の回復は。)思わしくないまま、同月14日に退院した(甲A7〔10、24、42、67ないし69。 〕)(10)原告は、同年4月5日、D医師による診察を受けた。この際、D医師は、角膜移植手術によって角膜が透明になって奥の網膜の状態が見えるようになったが、左眼の網膜には本件手術中に生じた何らかの異常な刺激が原因で再び膜が生ずるなどしており、再々手術が必要であることが判明した、また再々手術は、数か月は待つ必要がある等の説明をした(争いのない事実、甲A3〔44、46、甲C12〔4。 〕〕)(11)原告は、同年5月24日、被告病院を受診し、D医師の診察を受けたところ、D医師は、網膜の増殖が予想以上に進んでおり、除去手術が必要であるとの診断を受けた。そこで、原告は、同年6月12日、被告病院に入院し、同月13日、D医師の執刀により、左眼の硝子体切除術(膜処理を含む(以下「再々手術」という)を受けたが、左眼の状況は、光は明)。 るく感じるようになったものの、見えづらさには変化がないまま、同月20日に退院した(甲A2〔15ないし18、51ないし53、甲A3。 〕〔49、甲C12〔5。 〕〕)(12)再々手術の結果、左眼の薄暗さは改善されたものの、物が薄ぼんやりとしか見えず、字は全く読めないという状態であった。原告は、同年6月28日、D医師による診察 49、甲C12〔5。 〕〕)(12)再々手術の結果、左眼の薄暗さは改善されたものの、物が薄ぼんやりとしか見えず、字は全く読めないという状態であった。原告は、同年6月28日、D医師による診察を受けたところ、D医師は、網膜の増殖は、本件手術の際の刺激によるものである可能性がある、予定どおり網膜の増殖は除去できたが、網膜に皺がよっており、この皺が伸びれば左眼は見えてくると思われる、今後も網膜の増殖は再発する可能性があり、放置すると黄斑部の上にこびりついてしまうので、将来、再度、除去手術が必要である旨を説明した(争いのない事実、甲C12〔6。 〕)(13)原告は、平成16年1月13日、被告病院を受診したところ、D医師は、左眼の視力の回復は望めない、左眼の黄斑部に見えない点がかかっているので見えない、視界のゆがみは更なる手術でとれるかもしれないが、この見えない部分が問題である旨を説明した。そして、D医師は、原告の症状の原因としては、本件手術における薬の間違い、膜外しの失敗及び強烈な光を眼に当てすぎたことが考えられるが、消去法で考えると、薬の間違いだと思う旨を説明した(争いのない事実、甲C12〔7。 〕)(14)原告は、同年3月19日、H病院を受診したところ、右眼の視力は1. 2であるが、左眼の視力は0.08で矯正不能となっていると診断された(甲A4、乙A2〔3ないし7。 〕)また、原告は、同年4月12日、H病院を受診したところ、左眼は黄斑部機能障害であり、視力は0.09でそれ以上の矯正は不能である、ゴールドマン動的視野検査で中心から鼻側への暗点及びphotopicERGでα波の減弱を認める状況であると診断された(甲A5、乙A2〔9。 〕)(15)原告は、本件手術後、平成14年中に6回、平成15年中に15回、 平成 鼻側への暗点及びphotopicERGでα波の減弱を認める状況であると診断された(甲A5、乙A2〔9。 〕)(15)原告は、本件手術後、平成14年中に6回、平成15年中に15回、 平成16年中のうち上記診断を受けるまでに4回の合計25回、被告病院を外来で受診をした。また、平成16年4月27日に、被告病院を外来受診した(甲A3。 )また、原告は、本件手術後に合計10回、F総合病院を外来で受診した(甲A7〔1ないし39。 〕) 争点(1)(被告病院担当医師の過失の有無)について上記1(3)、(6)及び(8)のとおり、原告は、本件手術を受けたところ、その翌日には、原告の左眼はかすんでほとんど見えず、視界は常に薄暗い状態になり、また、手術前には茶色であった虹彩が、手術後には灰色に変色したこと、また、原告の左眼の視力が術前は1.2であったのに対し、術後は視力が0.04程度に低下し、角膜に浮腫が生じたことが認められる。このように、術後すぐに、手術を受けた左眼に大きな異常が生じていることは、術前に合併症として予想されていた症状が術後に発生したなどの特段の事情がない限り、手術の際に、何らかの不手際があったことを推認させるものである。そして、本件の場合、上記のような特段の事情は認められない。 また、上記1(8)のとおり、本件手術の執刀に当たったD医師自身も、F総合病院に宛てた紹介状・診療情報提供書の中で、原告の症状の原因としては、術中の機械的刺激や薬剤の迷入などが考えられると記載し、また、1(13)のとおり、原告の症状の原因としては、本件手術における薬の間違い、膜外しの失敗及び強烈な光を眼に当てすぎたことが考えられるが、消去法で考えると、薬の間違いだと思う旨を原告に説明しており、術中の何らかの過失を認めている。 さらに、被告も、本件 における薬の間違い、膜外しの失敗及び強烈な光を眼に当てすぎたことが考えられるが、消去法で考えると、薬の間違いだと思う旨を原告に説明しており、術中の何らかの過失を認めている。 さらに、被告も、本件訴訟の中で、過失の存否について積極的に争わないばかりか、眼内に局所麻酔薬などを誤って混入させた可能性があると認めており、このような被告の態度も考え合わせると、本件においては、過失の態様を特定するのは困難であるものの、被告担当医師には、上記D医師が説明 する3点のいずれかの過失があると認められる。 争点(2)(原告の症状と被告の過失との因果関係)について(1)上記1(14)のとおり、原告は、同年4月12日、H病院を受診し、左眼は黄斑部機能障害であり、視力は0.09でそれ以上の矯正は不能である、ゴールドマン動的視野検査で中心から鼻側への暗点及びphotopicERGでα波の減弱を認める状況であると診断されている。 また、原告の自覚症状としては、左眼について、中央から右にかけて黒い見えない点があり、その他の部分はかなり白っぽく歪んだ画像に見え、文字については歪んで見えるために読むことはできず、両眼で見ても、白い霧の中にいるような状態であり、遠近感がない状態であることが認められる。また、これらの症状により、長時間の会議に耐えられない、書類やパソコンのメールを長時間読むことができない、また、人の顔も判別できない等の不都合が生じていることが認められる(原告〔7、8、30、31。 。 〕)また、上記1(10)及び(11)のとおり、左眼の網膜上には、本件手術後に再び膜が形成され、それについては、除去手術が行われている。 (2)これらの原告の症状が、被告の過失によって生じたものであるかについて検討するに、上記1(6)のとおり、手術翌日から、原告の 手術後に再び膜が形成され、それについては、除去手術が行われている。 (2)これらの原告の症状が、被告の過失によって生じたものであるかについて検討するに、上記1(6)のとおり、手術翌日から、原告の左眼はかすんでほとんど見えず、視界は常に薄暗い状態になり、手術前は茶色であった虹彩が、手術後には灰色に変色しており、また、上記1(3)及び(8)のとおり、被告病院退院時には、術前が1.2であった視力が0.04に低下し、角膜に浮腫が生じている。術前においては、原告の左眼の視力は1.2であり、視界にゆがみがあったものの、日常生活をほぼ不自由なく送っていたことからすると(甲C12〔1、原告〔1、2、本件手術を契機として、原告の〕〕)左眼の状態は急激に悪化したと認められ、また、その症状は、術前に生じていた症状とは大きく異なるものである。 さらに、上記1(10)のとおり、本件手術の執刀にあたったD医師自身も、 再手術後に、原告に対し、左眼の網膜には本件手術中に生じた何らかの異常な刺激が原因で再び膜が生じるなどしている旨述べており、D医師も、原告の症状の原因が本件手術が原因であることを認めている。 以上の点からすれば、原告の症状は、本件手術における被告の過失を原因として生じたものであると認められる。 (3)これに対し、被告は、網膜については当初異常を認めていなかったと主張するが、網膜の状態を確認できたのが、角膜移植を行った再手術後であり、それ以前は、角膜が濁っていて網膜全部の状態を確認できなかったことは、被告も認めるところである。被告の主張するところは、本件手術の翌日に混濁した角膜の端よりわずかに網膜を確認したところ、その部分には異常が認められなかったとするものであり、仮に、被告の主張どおりの事実が認められるにしても、原告の網膜の症状が、被告 、本件手術の翌日に混濁した角膜の端よりわずかに網膜を確認したところ、その部分には異常が認められなかったとするものであり、仮に、被告の主張どおりの事実が認められるにしても、原告の網膜の症状が、被告の過失と因果関係がないとすることの理由とはならない。 また、被告は、原病の再発としても現在の症状は起こり得ると主張する。 確かに、一般論としては、原告の原病である黄斑部網膜上膜形成症については、その出現頻度等は明らかではないものの、再発が起こり得る可能性があることは認められる(乙B1。 )しかしながら、上記1(1)のとおり、原告は、平成4年にはすでに網膜上の膜の付着を診断されているところ、上記1(2)のとおり、被告が左眼に異常を感じて病院を受診し、被告病院において硝子体切除術が必要と判断されたのは、それから約10年が経過した平成14年であり、原告の左眼に生じた黄斑部網膜上膜形成症は、その間の約10年間に緩徐に進行したものと見ることができる。これに対し、上記1(10)のとおり、本件手術後においては、平成15年4月5日には、再度の硝子体切除術が必要であると診断されており、この間のわずか約5ヶ月間において、再度の手術が必要になるほど急激に原告の症状が進行したものと見ることができる。 このように、原告の症状が本件手術を契機として、突如として急激に進行していることからすれば、原告の原病とは別個の要因によって、再度の網膜上の膜形成が進行したとみるべきであって、この点についての被告の主張には理由がないというべきである。 (4)以上より、原告の症状と被告の過失との因果関係は認められる。 争点(3)(損害額)について(1)治療費ア被告病院第1回入院及び本件手術上記1(5)のとおり、原告は、平成14年10月31日に被告病院に入院し、同年11月1 との因果関係は認められる。 争点(3)(損害額)について(1)治療費ア被告病院第1回入院及び本件手術上記1(5)のとおり、原告は、平成14年10月31日に被告病院に入院し、同年11月1日に本件手術を受けたことが認められる。原告は、この入院及び手術に際して、概算60万円の治療費を支出し、それが損害となると主張する。 しかしながら、上記2及び3のとおり、本件手術には被告病院担当医師の過失があり、それによって原告には後遺症が残存したことは認められるものの、上記1(4)のとおり、原告は、被告と本件手術に関する診療契約を締結しており、この診療契約には、原告が治療費を支払う旨の内容が当然に含まれる。そして、診療契約は準委任契約であるところ、この治療費については、診療行為の内容が契約当初に予定された範囲に属する限りは原告が支払うべきものであって、診療行為に違法な点があったことにより増加した部分についてのみ、当該違法行為によって生じた損害と評価すべきものである。 この点につき、原告は、本件過失により入院期間が長引いたと主張しているので検討するに、前記1(5)のとおり、当初から入院期間は約1週間と予定されていたことのほか、現に入院8日目の11月7日には、院内を歩き回れるまでに回復し、同月9日及び10日には外泊許可を得て帰宅して いること、術後の左眼の状態がよくないことを踏まえてD医師が同月5日に「いろいろ調べてみましょう」と述べたことが認められることなどか。 らすると(甲A1〔13、84、86、本件手術によって本来必要な入〕)院期間は約1週間であり、現に入院期間が2週間に及んだのは、左眼の後遺症の原因を検索するためのものであるから、被告の過失により少なくとも6日は入院期間が延びたと認められる。そして、弁論の全趣旨によると、この 1週間であり、現に入院期間が2週間に及んだのは、左眼の後遺症の原因を検索するためのものであるから、被告の過失により少なくとも6日は入院期間が延びたと認められる。そして、弁論の全趣旨によると、この入院全部に要した治療費は60万円であると認められ、その内訳は明らかでないものの、入院期間からすると、その少なくとも3分の1は延長された入院期間に要したものと推認でき、これを左右するに足りる事情は見当たらない。また、原告は入院期間を通じて個室を利用しているところ、この個室料を損害から除外すべきではないことは後述のとおりである。 したがって、この点についての原告の主張は、損害額20万円の限度で理由がある。 イF総合病院入院・再手術上記1(9)のとおり、原告は、平成15年3月4日にF総合病院に入院し、同月6日に再手術を受け、これに対して65万9163円を支払ったことが認められる(甲C2。 )この再手術は、本件手術によって濁りの生じた角膜を移植するものであり、この入院及び手術について支払った費用は、被告の過失と因果関係ある損害と認めることができる。 これに対し、被告は、上記金額のうちの室料負担額50万円については、個室管理の必要性が明らかではなく、損害とは認められないと主張する。 そこで検討するに、上記金額のうちのF総合病院では、海外からの角膜輸入に要する費用を室料に含めて請求していること、角膜移植に際しては、国内の角膜を移植する場合と、海外からの輸入の角膜を使用する場合があるところ、国内における角膜の調達が困難であることから、これを用いよ うとすると4年以上の順番待ちを強いられるのに対し、輸入角膜を使用すると、早期にかつ予定した時期に手術を行うことができ、この事情の下に、F総合病院では国内の角膜を使用するか、輸入角膜を使用するかを患者の選択 4年以上の順番待ちを強いられるのに対し、輸入角膜を使用すると、早期にかつ予定した時期に手術を行うことができ、この事情の下に、F総合病院では国内の角膜を使用するか、輸入角膜を使用するかを患者の選択に委ねていることが認められる(甲C2、甲C17〔4、原告〔2〕7、28。このような事情に加え、大学病院である被告病院においてこ〕)れを行わなかったことからも明らかなように、我が国では角膜移植を行う医療機関が限定されていること、原告のように突然に視力が大幅に低下し、その回復には角膜移植が必要とされた患者としては、1日も早く移植術を受けることを希望することは無理からぬことであり、その希望を実現するには、輸入角膜の使用を選択し、これに伴って高額の室料負担という病院側の示す条件を受け入れざるを得なくなるのが通常の事態であると評価できる(なお、被告は、このように評価することについて医療保険制度上の問題点を指摘するが、損害賠償義務の範囲を定めるに当たっては、そのような公的制度の内容にかかわらず、それが被害者にとって通常の出費である以上、そのような出費をすることが公序良俗に反する事情が認められない限り、これを損害の範囲と認めるべきであり、本件において上記室料の負担が公序良俗に反するような事情は見当たらない)。 もっとも、電話料1200円はF総合病院における診療内容と関係があると認めるに足りる証拠はなく、被告の過失と因果関係のある損害であるとは認められない。 したがって、F総合病院入院及び再手術にかかる損害としては、65万7963円を認めるのが相当である。 ウ被告病院第2回入院・再々手術上記1(11)認定のとおり、原告は、平成15年6月12日に被告病院に入院し、本件手術を受け、これに対して43万7570円を支払ったことが認められる(甲C3。 ) ウ被告病院第2回入院・再々手術上記1(11)認定のとおり、原告は、平成15年6月12日に被告病院に入院し、本件手術を受け、これに対して43万7570円を支払ったことが認められる(甲C3。 ) この再々手術は、異常増殖した網膜を除去するものであり、上記3のとおり、この異常増殖は、手術の際の過失によって生じたと認められるのであるから、この入院及び手術について支払った費用は、被告の過失と因果関係ある損害と認めることができる。 なお、被告は、室料27万9000円について、個室管理の必要性が明らかではなく、被告の過失と因果関係のある損害とは認められない。 と主張する。 そこで検討するに、この第2回入院は、他ならぬ被告病院担当医師の過失によって原告に生じた損害回復のための措置として必要になったものであり、加害者の立場にある被告病院としては、医療機関として、患者の回復に必要なできる限りの給付をすべきであって、このような目的での入院にかかった費用については、被告が負担すべきものである。また、上記第2・2(1)のような原告の社会的地位に鑑みても、入院時に個室に入室することは必要であると認められ、しかも、本件手術当時、被告病院が原告の社会的地位を認識していたことも考え併せると、その費用は相当な範囲の損害というべきである。したがって、上記の被告の主張には理由がない。 以上より、被告病院入院及び再々手術にかかる損害としては、43万7570円を認めるのが相当である。 エ平成14年度被告病院通院上記1(15)のとおり、原告は、本件手術後、平成14年度中に、被告病院に6回通院したことが認められる。この通院についての治療費を支払ったことを認める直接の証拠はないものの、何らの費用負担なしに病院を受診することはおよそ考え難く、毎回の受診時に治療費を支払っていた 院に6回通院したことが認められる。この通院についての治療費を支払ったことを認める直接の証拠はないものの、何らの費用負担なしに病院を受診することはおよそ考え難く、毎回の受診時に治療費を支払っていたと認められる。その薬代を含む治療費の額については、毎回の診療内容及び投薬内容等に鑑み、1回当たり1500円と認めるのが相当である。 したがって、平成14年度被告病院通院にかかる損害としては、900 0円を認めるのが相当である。 オ平成15年度被告病院通院上記1(15)のとおり、原告は、平成15年度中に、被告病院に15回通院したことが認められる。この通院についての治療費を支払ったことを認める直接の証拠はないものの、上記エと同じく、1回当たりの薬代を含む治療費の額は、1500円と認めるのが相当である。なお、この点についての甲C19号証の記載については、後述のとおり信用できない。 したがって、平成15年度被告病院通院にかかる損害としては、2万2500円を認めるのが相当である。 カ平成15年度F総合病院通院上記1(15)のとおり、原告は、平成15年度中に、F総合病院に10回通院したことが認められる。この通院について治療費を支払ったことを認める証拠は、同年4月、6月、7月及び9月の診療報酬明細書(甲A7〔76ないし79)のみであるが、これらの証拠及び各受診時における〕診療内容等を考慮すると、平成15年度中の10回の通院に要した治療費としては、合計2万円を認めるのが相当である。 キ平成16年度被告病院通院上記1(15)のとおり、原告は、平成16年度のうち、同年4月12日にH病院における診断を受けるまで、被告病院に4回通院したことが認められる。この通院についての治療費を支払ったことを認める直接の証拠はないが、上記エと同じく、1回当たりの薬代を うち、同年4月12日にH病院における診断を受けるまで、被告病院に4回通院したことが認められる。この通院についての治療費を支払ったことを認める直接の証拠はないが、上記エと同じく、1回当たりの薬代を含む治療費の額は、1500円と認めるのが相当である。なお、後述のとおり、原告の症状については、同日の診断をもって、症状固定と評価すべきであり、それ以降の通院に要した費用については、後遺症にかかる損害の中で評価すべきものである。 したがって、平成16年度被告病院通院にかかる損害としては、6000円を認めるのが相当である。 ク鍼灸、カイロプラクティック、指圧費用(ア)原告は、本件手術後、頑固な頭痛が生じており、鍼灸、カイロプラクティック、指圧等の施術を受けて頭痛を緩和することにより、その業務や日常生活を送ることが可能な状態であるから、鍼灸、カイロプラクティック、指圧費用は、被告の過失と相当因果関係のある損害であると主張する。 そこで、まず、原告に生じたとする頭痛の存否及びその内容について検討する。 原告は、頭痛の症状につき、会議等の後には非常に目が疲れ、頭が重くなって、何も考えられないような状態になると供述する(原告〔8。原告は、被告病院や他の医療機関を受診し、複数回にわたり、〕)同様の頭重感を一貫して症状として訴えていることからすれば(甲A6〔11、15、乙A1〔14、かかる原告の供述は信用でき、供述〕〕)どおりの症状が原告に生じていると認められる。 (イ)この原告に生じた頭痛の原因について検討するに、原告は平成17年3月3日にH病院神経内科を受診しており、診察に当たったI医師(以下「I医師」という)は、原告の症状について、左弱視に伴う緊。 張型頭痛の疑いと診断している(乙A1〔13。この診断について、〕)I医師は、 病院神経内科を受診しており、診察に当たったI医師(以下「I医師」という)は、原告の症状について、左弱視に伴う緊。 張型頭痛の疑いと診断している(乙A1〔13。この診断について、〕)I医師は、左弱視による眼精疲労又は精神的ストレスが誘因となっている可能性のある緊張型頭痛という趣旨であると回答する(証人Iの書面尋問回答書(以下「I回答書」という〔2。このように診察に当た。)〕)った医師が視力低下との関係を認めていることは、原告の症状と本件手術に伴う視力低下との関係を認める大きな根拠となり得るものである。 また、原告自身もその症状につき、書類を見ながらの会議等があると、終わった後で非常に目が疲れて頭が重くなると供述しており(原告〔8、原告の頭痛が眼精疲労に由来するものであることがうかがわれ〕) る。 もっとも、I医師は、左弱視が頭痛の誘因になっている可能性は否定できないが、緊張型頭痛の原因が全て左弱視によるものであるとはいえないと回答し(I回答書〔1、また、被告病院脳神経外科においても、〕)頸椎症並びに眼精疲労による筋緊張性頭痛と考えられると診断されており(甲A6〔13、原告の頭痛が、目の症状に由来するものであるこ〕)とは肯定しつつも、それが原因の全てではない旨の診断がされている。 しかしながら、原告の頭痛の症状が、後述のように本件手術後に新たに発症したものであること、また、その症状も、左眼の視力低下に由来することを強くうかがわせるものであることからすれば、その主たる原因は、左眼の視力低下にあるというべきであり、原告の頭痛と、本件手術による視力低下との因果関係は認められる。 これに対し、被告は、本件手術前から原告は頭痛の症状を有していたのであるから、原告の症状は本件手術とは無関係である旨を主張するので、この点に 痛と、本件手術による視力低下との因果関係は認められる。 これに対し、被告は、本件手術前から原告は頭痛の症状を有していたのであるから、原告の症状は本件手術とは無関係である旨を主張するので、この点について検討するに、本件手術直後の平成14年11月19日、半年前からの頭痛を症状として訴えて、被告病院脳神経外科を受診したことが認められる。もっとも、この診察時に原告が訴えた症状は、寝入り端に激痛が左後頭部に突然、一瞬出現するというものであり(甲A6〔8、原告〔9、上記のように本件手術後に原告に生じたと認〕〕)められる頭重感というべき症状とは異質のものであるといえる。したがって、本件手術後に、この症状とは別個に新たに頭痛の症状が生じたと考えられ、本件手術前から頭痛が生じていたことを理由に、本件手術と原告に生じた頭痛の症状の因果関係を否定することはできない。 I医師も、手術前後で頭痛の性質や程度が異なるということであれば、左弱視との関連は否定できなくなると回答しており(I回答書〔3、〕)この回答も、本件手術による視力の低下と原告の頭痛の因果関係を裏付 けるものである。 なお、I医師作成の診断書は、原告が本件訴訟の証拠とする目的を有していたにもかかわらず、それを秘して診察を受け、発行されたものであることが認められる(原告〔23。しかしながら、診断書は、診察〕)にあたった医師が、診察によって得た情報に基づき医学的知見をもってした判断を記載するものであり、その使用目的の如何により医師の判断の内容は異なるものではない。本件においても、診断書を記載したI医師は、書面尋問において、その判断の根拠について詳細に回答しており、診断書の使用目的を告げなかったことにより診断書の記載内容が異なったとは認められない。 したがって、診断書発行の際の事情 載したI医師は、書面尋問において、その判断の根拠について詳細に回答しており、診断書の使用目的を告げなかったことにより診断書の記載内容が異なったとは認められない。 したがって、診断書発行の際の事情は、上記の判断に影響を及ぼすものではない。 (ウ)上記の判断を前提に、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧が、原告の頭痛の症状に対して有効であるのかにつき検討する。 上記のI医師作成の診断書においては、その有効性につき、左弱視に伴う緊張型頭痛に対して、マッサージ、鍼灸、カイロプラクティックが有効であると考えられるとされている(甲C10、乙A1〔13。 〕)この診断書の記載につき、I医師は、書面尋問において、緊張型頭痛で精神的ストレスなどが関与するものであれば、緩和される可能性があると考えたと回答する(I回答書〔4。また、原告自身も、その効果〕)について、長時間の会議の後等に、目がかすみ、頭が重くなり、何も考えられないような状態になるのが、カイロプラクティック等の施術を受けると、元の状態に戻るなどとして、その有効性について供述する(原告〔29。この原告の供述は、その症状との関係で自然なものであり、〕)また、原告はその有効性について感じるからこそ、業務に支障をきたしつつも(原告〔11)頻繁に上記の施術を受けていると考えられ、上〕 記の施術の有効性についての原告の供述は信用できる。 これらの点からすれば、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧が、原告の頭痛の症状に対して有効であると認められる。 なお、頭痛に対する各種の非薬物療法の有効性について検討した文献(慢性頭痛の診療ガイドライン・乙B4)においては、指圧については、頸部指圧に限定して、行うよう勧められるとされており、鍼灸については、行うよう勧めるだけの根拠が明確でないとされている。 討した文献(慢性頭痛の診療ガイドライン・乙B4)においては、指圧については、頸部指圧に限定して、行うよう勧められるとされており、鍼灸については、行うよう勧めるだけの根拠が明確でないとされている。また、カイロプラクティックについては言及されていない。 しかし、実際に診察に当たったI医師は、これらの施術の有効性について認めており、書面尋問においては、その根拠となる文献も摘示している(I回答書〔4。また、鍼灸等のいわゆる東洋医学については、〕)その根拠等が必ずしも明らかではないこともあり、根拠が明確でないことは、その有効性を否定する事情とは必ずしもなり得ないというべきである。さらに、原告自身もその有効性について詳細に供述しており、少なくとも原告に対しては、上記施術は、一定の有効性を有するといえ、上記の文献をもってしても、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧の、原告の症状に対する有効性は否定できないというべきである。 以上より、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧の有効性は認められる。 (エ)以上のように、原告の頭痛の症状が、被告病院担当医師の過失による視力低下を原因として生じており、その頭痛の緩和に鍼灸、カイロプラクティック及び指圧は有効であるといえる。また、これらの施術を受けた後は、目のかすみがとれ、ややものが見やすくなるという効果を原告は感じている(原告〔9、26。 〕)原告は、この頭痛により、何も考えられないような状態になると供述しており、このような状態は、原告の生活の質を著しく害し、また、そ の業務にも支障を生じさせるものといえ、このような症状の緩和は必要なものと認められるのであるから、原告の症状に有効な、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧に係る費用は、被告病院担当医師の過失と因果関係のある損害であるというべきである。 、このような症状の緩和は必要なものと認められるのであるから、原告の症状に有効な、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧に係る費用は、被告病院担当医師の過失と因果関係のある損害であるというべきである。 (オ)もっとも、これらの治療については、一般に長期間継続しても効果が期待できるとは考えられておらず、I医師もその旨回答していることからすると、損害の範囲としては術後2年程度に限定するのが相当であるところ、原告は、実際に施術を受けた証拠として、平成17年度分については、J治療院、K治療室、L治療室及びMの領収書を提出するが(甲C13の1ないし17、甲C14の1ないし28、甲C15の1ないし35、甲C16の1ないし45、平成15年度及び平成16年度)分については、J治療院、L治療室及び有限会社Nの各1回分領収書を提出するほか(甲C4ないし6、同年度の確定申告に利用したとされ)る医療費控除申請のための医療費の明細書が、原告本人尋問終了後に至って提出されたのみである(甲C19、20。 )この明細書については、その裏付けになる領収書等が存在せず、実際に確定申告に当たって提出されたものであるかについても証拠上明らかではない。また、被告病院及びF総合病院についての診療費の内容も、本件における原告の請求とは異なるにもかかわらず、それについての合理的な説明はされておらず、その記載内容についてはなお、疑問を払拭しきることはできないというべきである。 したがって、この医療費の明細書の記載内容については、信用できず、平成15年度及び平成16年度における上記の施術を受けるのに要した費用全体については、これを直接証明し得る証拠はないと言わざるを得ない。 もっとも、上記のわずかに残された領収書(甲C4ないし6)と弁論 の全趣旨からすると、原告は、本件手術後 受けるのに要した費用全体については、これを直接証明し得る証拠はないと言わざるを得ない。 もっとも、上記のわずかに残された領収書(甲C4ないし6)と弁論 の全趣旨からすると、原告は、本件手術後2年間のうちに、これらの費用として、通院交通費を含めて、少なくとも100万円を超える支出をしたものと推認でき、これを左右するに足りる事情は見当たらないから、鍼灸、カイロプラクティック及び指圧費用並びにそれに伴う通院交通費については、100万円の限度で、被告の過失と因果関係のある損害と認めるべきである。 ケ将来の鍼灸、カイロプラクティック及び指圧費用上記クで述べたとおり、現在においては、原告の頭痛の緩和のために鍼灸、カイロプラクティック及び指圧が有効であるが、これらの施術が、将来に渡っても有効であるのかについては、証拠上明らかではない。 かえって、I医師は、原告の頭痛に対するこれらの施術の有効性を認めつつも、長期的な効果については疑問な点が多いとしており(I回答書〔4、将来にわたる有効性については否定的に考えざるを得ない。 〕)したがって、将来の鍼灸、カイロプラクティック及び指圧費用については、被告の過失と因果関係ある損害とは認められない。 (2)入院雑費ア原告は、本件手術に係る入院期間である12日間についての入院雑費を請求している。しかし、前記(1)アのとおり、このうち8日分の入院雑費は、本件手術に被告病院担当医師の過失があるか否かにかかわらず必要であったものであるから、4日分に限って被告病院担当医師の過失と相当因果関係のある損害と認めるべきである。 イこれに対し、上記1(9)のとおり、原告は、再手術のため、F総合病院に、平成15年3月4日から同月14日までの合計11日間入院したことが認められる。この入院は、被告病院担当医師の過失 きである。 イこれに対し、上記1(9)のとおり、原告は、再手術のため、F総合病院に、平成15年3月4日から同月14日までの合計11日間入院したことが認められる。この入院は、被告病院担当医師の過失によって必要となったものである。また、上記1(11)のとおり、原告は、再々手術のため、被告病院に同年6月12日から20日までの9日間入院したことが認められ る。 この入院雑費としては、1日当たり1500円を認めるのが相当である。 以上によれば、24日間×1500円=3万6000円となるから、本件における入院雑費としては、3万6000円を認めるのが相当である。 (3)通院交通費ア被告病院への入通院交通費上記1(5)、(11)及び(15)のとおり、原告は、本件手術後、被告病院に合計2回入院し、また、平成16年4月12日にH病院で診断を受けるまでに、被告病院に合計25回通院したことが認められる。 この入通院についての交通費として、原告は、片道820円であると主張し、これはタクシー代金相当額であると解される。原告は、視力の低下により、電車等の利用に一定の不自由が生じていることが認められるものの(原告〔13、鍼灸等への通院については実際に地下鉄を利用してお〕)り(原告〔18、原告の症状からして、電車等の利用が不可能であると〕)はいえず、タクシーの利用が相当であるとはいえない。 したがって、交通費としては、電車代金相当額である片道150円を認めるのが相当である(顕著な事実。 )以上からすると、150円×2×27回=8100円となるから、被告病院への入通院交通費としては、8100円を認めるのが相当である。 イF総合病院への入通院交通費上記1(9)及び(15)のとおり、原告は、本件手術後、F総合病院に1回入院し、また、合計10回通院 病院への入通院交通費としては、8100円を認めるのが相当である。 イF総合病院への入通院交通費上記1(9)及び(15)のとおり、原告は、本件手術後、F総合病院に1回入院し、また、合計10回通院したことが認められる。 この入通院についての交通費として、原告は、片道1500円であると主張し、原告は、同院へは自己が代表取締役を務めていた会社の社用車を利用するか、電車とタクシーを利用して通院していたと供述する(原告〔18。会社の社用車は、原告の会社役員としての地位に付随して利用〕)が可能となっているものであり、いわばその報酬ともいうべき位置づけにあるものであるから、会社の社用車を利用する場合においても、原告の経済的負担を観念することができるが、その具体的金額は電車等利用時と同等と評価できる。また、原告の症状からしてタクシーの利用が必要であるとはいえず、他に入通院に当たってタクシーを利用することが相当であると認めるに足りる証拠はない。したがって、交通費としては、電車及びバ)。 ス代金相当額である片道660円を認めるのが相当である(顕著な事実以上からすると、660円×2×11回=1万4520円となるから、被告病院への入通院交通費としては、1万4520円を認めるのが相当である。 (4)後遺障害による逸失利益上記1(14)のとおり、原告は、同年4月12日、H病院において、左眼は黄斑部機能障害であり、視力は0.09でそれ以上の矯正は不能である、ゴールドマン動的視野検査で中心から鼻側への暗点及びphotopicERGでα波の減弱を認める状況であると診断された。 また、原告の自覚症状としては、左眼について、中央から右にかけて黒い見えない点があり、その他の部分はかなり白っぽく歪んだ画像に見え、文字については歪んで見えるために読むことはで であると診断された。 また、原告の自覚症状としては、左眼について、中央から右にかけて黒い見えない点があり、その他の部分はかなり白っぽく歪んだ画像に見え、文字については歪んで見えるために読むことはできず、両眼で見ても、白い霧の中にいるような状態であり、遠近感がない状態であることが認められる。また、これらの症状により、長時間の会議に耐えられない、書類やパソコンのメールを長時間読むことができない、また、人の顔も判別できない等の不都 合が生じていることが認められる。さらに、上述のように、これらの左眼の症状により、頭重感ともいうべき頭痛が生じていることが認められる(原告7、8、30、31。 )原告は、これらの症状により、取締役としての対外的活動が困難になった〕〕)、等の不都合が生じたことが認められ(甲C12〔7、原告〔10、11一定程度の労働能力を喪失したものと認められる。また、原告がこれらの症状の下、会社役員としての職務を遂行するために、多大な努力を必要とするであろうことも想像に難くない。 これらによると、原告の後遺障害の程度は、少なくとも労働者災害補償保険法施行規則の別表「後遺障害別等級表」の10級に該当し、通常ならば、労働能力を27パーセント喪失したものとして逸失利益を算出するのが相当であるが、原告は、本件手術前後を通じて、B株式会社の代表取締役社長の地位にあり、平成17年6月28日に退任して、代表取締役会長の地位に移動するまでは、報酬が年額2700万円で変化がなく、社長退任に伴い報酬年額が2520万円に減額されることとなったことが認められる(甲C12〔7、8、原告〔9、10、18。 〕〕)このように、本件手術後も報酬に変化がなかったことは、勤務会社が、原告の地位の特殊性、それまでの実績や本件手術後における原告の努力などを られる(甲C12〔7、8、原告〔9、10、18。 〕〕)このように、本件手術後も報酬に変化がなかったことは、勤務会社が、原告の地位の特殊性、それまでの実績や本件手術後における原告の努力などを評価し、原告の労働能力の低下にかかわらず、同情的かつ恩恵的な措置を行ったことによるものと推認できるが、原告が勤務会社の代表者として自己の収入についても決定権を有するという特殊な地位にあり、その収入額も一般人と比べてかなり高額なものであるという事件の特殊な事情も考慮すると、現に従来どおりの報酬を受けている以上、その間については、逸失利益はないものと評価せざるを得ず、原告の逸失利益としては、平成17年から原告が社長として在職する予定であったとする72歳に至る平成21年までの5年間に上記減額分年額180万円の減収が生じたものとし、これから中間利 息を控除した額と評価するのが相当である。 以上より、180万円×4.329(5年ライプニッツ係数)=779万2200円となるから、後遺症による逸失利益は、779万2200円と評価するのが相当である。 なお、被告は、会長から社長への移行は、本件手術や視力低下と無関係であると主張する。しかし、原告の労働能力が客観的にみて低下していることは上記のとおりであり、そうである以上、いかに原告が会社の代表者であって会社が原告の努力を評価しているとしても、長期にわたって従前どおりの報酬を支払うことは不合理であり、早晩是正せざるを得ない状況にあったと考えられるところ、本件手術から約2年半経過した時点で原告が社長を退任して報酬が減額されたこともまた、このような状況に対応したものとみるのが相当であるから、これらもまた本件手術による視力低下と相当因果関係のある事態と評価できる。 (5)慰謝料ア入通院慰謝料上記1( 酬が減額されたこともまた、このような状況に対応したものとみるのが相当であるから、これらもまた本件手術による視力低下と相当因果関係のある事態と評価できる。 (5)慰謝料ア入通院慰謝料上記1(9)及び(11)のとおり、原告は、F総合病院に、平成15年3月4日から同月14日までの11日間及び被告病院に同年6月12日から同月20日までの9日間、それぞれ入院したことが認められる。また、原告は、本件手術以降、平成16年4月12日に、H病院において、診断を受けるまで、被告病院、F総合病院及びH病院に通院したことが認められる。 また、原告は、この間に、局部麻酔の意識のある状態下での左眼の手術という肉体的、精神的に負担の大きい手術を、2度にわたり受けている。 以上のような入通院期間及びこれについての原告の負担を考慮すると、入通院についての慰謝料としては、200万円を認めるのが相当である。 イ後遺症慰謝料原告には、上記のような後遺症が生じているところ、原告の左眼については、単に視力の低下の他に、画像が歪む、白くぼやけるという症状が加わっており、単純にその視力のみをもって、その後遺症を評価するのでは足りないというべきである。さらに、この視力の低下を原因として生じた頭痛については、独自に後遺症として評価すべきかは措くとしても、それによって日常生活に重大な影響が生じていることが認められる(原告〔10、11。 〕)また、本件再手術及び再々手術については、被告病院に何らかの過失があったことによって行わざるを得なくなったものであることにつき、被告においても当初から認識していたと認められるから(弁論の全趣旨、こ)れらの手術費用は直ちに被告において負担すべきであるのに、被告は原告からの要求にもかかわらず(甲B4、5、これらを今日に至るまで支払)っ 当初から認識していたと認められるから(弁論の全趣旨、こ)れらの手術費用は直ちに被告において負担すべきであるのに、被告は原告からの要求にもかかわらず(甲B4、5、これらを今日に至るまで支払)っていないのであって、このような被告の不誠実な対応も原告の精神的苦痛を高めているものと評価できる。 以上の諸事情を考慮すると、原告の後遺症に対する慰謝料としては、600万円を認めるのが相当である。 (6)弁護士費用弁論の全趣旨によれば、原告と同訴訟代理人間の本件訴訟に関する委任契約の存在を認めることができるところ、本件事案の内容、審理経過、認容額、その他の事情からすると、被告の過失と相当因果関係にある弁護士費用としては、150万円を認めるのが相当である。 (7)遅延損害金について原告は、遅延損害金につき年6分を請求するが、この利率を基礎付ける事実は何ら主張及び立証されておらず、民法所定の年5分の遅延損害金のみを認めるのが相当である。 以上によれば、原告の請求は、1970万3853円及び不法行為の日である平成14年11月1日からから支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから、その限度で認容し、原告のその余の請求は理由がないから、それらを棄却し、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官藤山雅行裁判官大嶋洋志裁判官岡田安世

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