平成14年4月17日判決言渡平成13年(ワ)第3510号調整手当金請求事件 主文 一被告は,原告Aに対し,292万円及びこれに対する平成13年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告Bに対し,84万4000円及びこれに対する平成13年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 二被告は,平成13年4月以降本判決確定の日まで,毎月25日限り,原告Aに対し,月額14万6000円の割合による金員を,原告Bに対し,月額5万2750円の割合による金員をそれぞれ支払え。 三原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は,これを20分し,その1を原告らの,その余を被告の各負担とする。 五この判決は,第一,二項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求一被告は,原告Aに対し,337万円及びこれに対する平成13年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を,平成13年4月から本判決確定の日まで毎月25日限り16万8500円をそれぞれ支払え。 二被告は,原告Bに対し,121万2000円及びこれに対する平成13年4月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を,平成13年4月から本判決確定の日まで毎月25日限り7万5750円をそれぞれ支払え。 第二事案の概要本件は,被告の教員である原告らが,被告に対し,被告から各原告らに支給されていた調整手当を減額ないし不支給としたことは不当であるとして,調整手当減額分ないし不支給分の支払を求める事案である。 一前提事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) 1 被告は,大阪府枚方市に本部を置く学校法人であり,昭和41年にC大学を設置した。 原告Aは,昭和42年 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) 1 被告は,大阪府枚方市に本部を置く学校法人であり,昭和41年にC大学を設置した。 原告Aは,昭和42年4月に助手として被告に雇用され,昭和46年4月に講師,昭和53年に助教授となり,平成2年4月から同大学の教授の地位にある。原告Aの専門は,体育である。 原告Bは,昭和55年に助教授として被告に雇用されて現在に至っている。原告Bの専門は,物理学である。 被告には,C学園教職員組合(以下「教職員組合」という。)があり,原告らはいずれもその組合員であったが,原告Aは,平成元年ころこれを脱退し,原告Bも,平成9年12月これを脱退した。原告Bは,同月ころ,共に教職員組合を脱退したDや原告Aほかの教員と新たにC大学教員組合(以下「教員組合」という。)を結成し,Dが執行委員長,原告Bが副執行委員長,原告Aが書記長となった。 2 昭和45年4月1日実施のC学園給与規程(以下「旧給与規程」という。)は,被告における賃金を以下のように規定していた(甲79)。 「第2条本規程に定める給与とは,基本給,家族手当,通勤手当,住宅手当,増担手当,超過勤務手当,日直手当,役職手当,夏期手当,年末手当,年度末手当,その他臨時に支給される手当のことをいう。」 3 被告は,昭和59年6月19日,教職員組合との団体交渉において,調整手当制度の導入を提案し,同年4月に遡ってこれを導入した(以下,この制度による調整手当を「本件調整手当」ともいう。)。 被告が,本件調整手当について説明している昭和59年6月22日付け学校法人C学園作成の「教職員の皆さんへ」と題する書面には,以下のような記載があった(甲67)。 「『調整手当』について再三説明しているように,本学の給与水準はかなり高く 昭和59年6月22日付け学校法人C学園作成の「教職員の皆さんへ」と題する書面には,以下のような記載があった(甲67)。 「『調整手当』について再三説明しているように,本学の給与水準はかなり高く,毎年ベア相当分を第二基本給に加算すると,年収の増加額はますます世間相場と離れて大きくなる。従って,今回は新たに調整手当を設けたい。これは,臨時給与,時間外勤務手当の計算基礎に算入しない。」 4 学校法人C大学給与規程(昭和45年4月1日施行。平成10年度改訂第7号。以下「給与規程」という。)には,以下の規定がある(甲1)。 「(総則)第1条 (1項省略)2.教職員の給与は,本人の能力,経験,年齢,職責を勘案の上,定める。 (給与の種類)第2条本規程に定める給与とは,基本給,諸手当,及び賞与をいう。 2.基本給とは,基本給及び第二基本給をいい,正規の勤務時間に対する報酬であって第3項の諸手当及び第4項の賞与を除いたものをいう。 3.諸手当とは,調整手当,家族手当,通勤手当,住宅手当,増担手当,超過勤務手当,日直手当,カウンセラー手当,2部担当手当及び役職手当をいう。 4.賞与とは,夏期,年末,年度末その他臨時に支給される給与をいう。」「(初任給の基準)第10条初任給は,新卒者の場合は下記の基準による。 新卒者以外で経歴のある者の場合は,年数,年齢,前職の給与額,職種,業績,能力,学力,現在職者との均衡等を勘案して等級号俸を定める。 1.教育職(一部略)調整手当150,000円を限度に支給2.行政職(1)(一部略)調整手当100,000円を限度に支給3.行政職(2)(省略)(調整手当)第11条研究業績並びに勤務成績,本学への貢献度,職務の責任度によって 職(1)(一部略)調整手当100,000円を限度に支給3.行政職(2)(省略)(調整手当)第11条研究業績並びに勤務成績,本学への貢献度,職務の責任度によって調整手当を支給する。」「附則1.給与表の適用を受けている教職員に対し,昭和59年4月より支給している「調整手当」については,給与表各等級の最高号俸に達した者には,その次年より支給しないものとする。 ただし,研究業績並びに勤務成績等が特に良好である者については,諸情勢を勘案して別途考慮する。 (2項省略)」 5 被告は,昭和59年11月12日,旧給与規程の改訂を行った(以下,同日付けの給与規程改訂を「給与規程改訂・」という。)。調整手当を明記した給与規程2条及び附則1(以下,この給与規程の附則1を,単に「附則1」という。)は,同改訂により新たに設けられたものである。給与規程改訂・による給与規程の変更については,同年12月22日にH労働基準監督署に届出が出された。 6 被告は,昭和60年5月23日,給与規程の改訂を行った(以下同日付けの給与規程改訂を「給与規程改訂・」という。)。給与規程11条は,同改訂により新たに設けられたものである。給与規程改訂・による給与規程の変更については,同年6月21日にH労働基準監督署に届出が出された。 7 昭和61年5月15日,教職員組合は,被告による不当労働行為等を理由として,大阪府地方労働委員会(以下「地労委」という。)に対し,不当労働行為救済を求める申立てをした(大阪府地方労働委員会昭和61年(不)第a号。以下「昭和61年地労委事件」という。)。 8 被告と教職員組合は,昭和61年地労委事件,大阪府地方労働委員会昭和61年(不)第b号及び昭和62年(不)第c号事件(以下地労委における3事件を合わせて「地労委事 61年地労委事件」という。)。 8 被告と教職員組合は,昭和61年地労委事件,大阪府地方労働委員会昭和61年(不)第b号及び昭和62年(不)第c号事件(以下地労委における3事件を合わせて「地労委事件」という。)において,昭和63年5月24日に協定を締結し,協定書を作成した。同日付け「協定書」(以下「昭和63年協定書」という。)には,以下のような記載がある(乙14)。 「3 組合は調整手当について妥結し,学園は組合員に調整手当を支給する。」 9 被告は,昭和63年9月2日付けで,学校法人C大学調整手当支給に関する内規(昭和63年9月2日施行。平成元年度改訂第4号。以下「内規」という。)を作成した(以下,同日付けの内規作成を「内規作成」といい,給与規程改訂(1)及び(2)と合わせて「本件改訂等」ともいう。)内規には,以下の規定がある(甲2)。 「(趣旨)第1条調整手当の支給については,この内規の定めるところによる。 (目的及び内容)第2条調整手当は,賃金水準の引き上げ,並びに各種の原因によって生じる教職員の給与の不均衡等を調整するための手当であり,その内容は次の4号に別けられる。 1.給与規程第11条に定める,専任教職員(高年中途採用事務職員を除く)の賃金水準の引上げを目的として支給する調整手当。 (1) 前年度における研究業績並びに勤務成績,本学への貢献度,職務の責任度を勘案し決定支給する。 (2) 支給の目的として公表している各年度毎の資格別支給基準は,当該年度のみを対象とするものである。 したがって,昇任昇格等によって資格が変更された場合は,従前当人が受けている調整手当に,当該年度の資格別支給基準に基づき決定された調整手当を加算したものを新調整手当とする。 2.新卒者以外で,経歴のある者を採用し初任給を決定する場合, 変更された場合は,従前当人が受けている調整手当に,当該年度の資格別支給基準に基づき決定された調整手当を加算したものを新調整手当とする。 2.新卒者以外で,経歴のある者を採用し初任給を決定する場合,現在職者との均衡を勘案して支給する調整手当。 3.就業規則第23条によって定年に達した教職員を,新たに再採用教職員として任用し,「再採用教員内規」「再採用職員内規」に基づき新給与を決定する場合,前職等を勘案し支給する調整手当。 4.その他の事情により,理事長が支給を承認した調整手当。」「附則1.この内規は,昭和63年9月2日から施行する。 平成2年4月1日施行(平成2年2月27日改訂)(2項省略)」10(一)原告Aは,平成10年8月1日に被告の給与表の最高号俸に達した。 被告は,原告Aに対し,平成11年7月分まで毎月16万8500円の調整手当を支給していたが,同年8月から,附則1本文を適用し,原告Aに対する調整手当を支給しなくなった。 (二) 原告Bは,平成10年12月に被告の給与表の最高号俸に達した。 被告は,原告Bに対し,平成11年11月分まで毎月15万1500円の調整手当を支給していたが,附則1ただし書を適用し,原告Bに対する調整手当を同年12月より7万5750円を支給するようになった。 11 被告における基本給及び超過勤務手当と日直手当を除く諸手当の締め日は毎月末日であり,基本給および諸手当の支給日は毎月25日である(甲1)。 12 C大学学則には,以下の規定がある(甲52)。 「第・条教授会は次の事項を審議する。 1.教授,助教授,講師,助手の人事に関する事項2.教授および研究に関する事項3.講義又は演習の担任および教育課程に関する事項4.学則,規程に関する事項5.学生の入学,退学,休学,留学および転学に関する事項6.課程 ,助手の人事に関する事項2.教授および研究に関する事項3.講義又は演習の担任および教育課程に関する事項4.学則,規程に関する事項5.学生の入学,退学,休学,留学および転学に関する事項6.課程修了および卒業認定に関する事項7.その他本学教授会において必要と認めた事項」 13 被告の職員就業規則には,以下の規定がある(乙46)。 「第6条職員は,本学の承認を得ないで本学外の業務に従事し,又は自ら事業を営んではならない。」「第74条次の各号の一に該当するときは,情状により譴責,減給,又は出勤停止に処する。 (1)ないし(8)省略(9) 就業規則又は本学の諸規則に違反したとき。 (10) 省略」二争点 1 本件改訂等の各効力の有無 2 本件改訂等がいずれも無効な場合における調整手当請求権の根拠 3 附則1の効力の有無 4 原告らに対する附則1の適用 5 原告らに支払われるべき金額の有無三原告らの主張 1 争点1,本件改訂等の各効力の有無(一) 本件改訂等は,いずれも無効である。 (1) 本件改訂等は,就業規則の不利益変更にあたる。 すなわち,そもそもの調整手当導入の目的は,教職員の年収や退職金の額を抑えることにあった。つまり,退職金や賞与の算定基準となる給与表をそのままにし,ベースアップ相当分を調整手当として支給することとして,暫定的に導入されたものであり,給与規程改訂・の時点でも,調整手当はベースアップ相当分としての性格を有した。 しかるところ,内規は,調整手当の内容を各種の原因によって生じる教職員の賃金の不均衡を調整するためのものとしてそれまでの調整手当の暫定的性格を一掃した。この実質は就業規則の変更に他ならない。 (2) また,被告は,内規作成により,調整手当の目的及びその性格を大きく変更したにもかかわらず,給与規程改訂(1 てそれまでの調整手当の暫定的性格を一掃した。この実質は就業規則の変更に他ならない。 (2) また,被告は,内規作成により,調整手当の目的及びその性格を大きく変更したにもかかわらず,給与規程改訂(1)の際に規定された附則1をそのまま残したため,各等級の最高号棒に達した者には次年度より調整手当を支給しないという取扱いが内規作成以降も行われることになった。そのため,調整手当は,10数年間のベースアップの累積であるにもかかわらず,被告の判断次第で一方的に打ち切られる結果となる事態が生じたが,これは本件改訂等がいずれも就業規則の不利益変更であることを示すものである。 (3) 被告は,再三調整手当はベースアップの機能を兼ね備えていると明言しており,本件調整手当がベースアップとしての性格を持つことは明らかで,本来ならこれは基本給に組み入れられるべきものである。それにもかかわらず,給与規程改訂(1)により,給与表の改訂を伴う本来のベースアップが調整手当に置き換えられ,その結果10数年前の給与表が一度も改訂されず,現在に至っており,被告ではこの低い給与表を基準に退職金や賞与が計算されている。 このように,給与水準を極端に低く抑える就業規則の不利益変更は何ら合理性もなく,無効である。 (二) また,本件改訂等は,いずれも適正な手続を履践しておらず,いずれも無効である。 本件改訂等は,いずれも就業規則の不利益変更にあたるところ,給与規程改訂(1)では,その改訂を行う3か月以上も前に教職員組合組合員以外の者に調整手当を支給していたし,給与規程改訂(2)では,労働者に対して説明会を行う前に給与規程を改訂して労働者の過半数の意見を聞くことはなかった。また,内規作成においては,労働者に対する説明会すら開催されず,労働基準監督署に対して変更届も提出されなかった。 に対して説明会を行う前に給与規程を改訂して労働者の過半数の意見を聞くことはなかった。また,内規作成においては,労働者に対する説明会すら開催されず,労働基準監督署に対して変更届も提出されなかった。 このような本件改訂等は,労働基準法89条及び90条1項に反するものであって,無効である。 (三) さらに,本件改訂等は,その改訂内容がいずれも不合理であるから無効である。 (1) 本件改訂等を総合すると,基本給の性質を有する調整手当が最高号俸に達したという理由のみで一方的に打ち切られるという内容であり,本件改訂等には合理性がない。最高号棒に達することによって調整手当をカットされることにより,同年齢でありながら,最高号俸に達した者の給与が,最高号棒に達しない者の給与を下回ったりする結果となったり,最高号俸に達した者の給与が調整手当がカットされなくとも据え置かれることにより,最高号俸に達しない者の賃金を下回ることがあり,このようなことからもその不合理性は明らかである。 (2) また,調整手当が能力給であるとしても,能力給はそもそも研究教育にはなじまず,また,すでに職務の責任度に応じて支払われる役職手当や昇任人事の制度があるから,調整手当を導入する必要は全くない。 (3) したがって,このように不合理な内容の就業規則の変更は無効というべきである。 2 争点2,調整手当請求権の根拠(一) 本件調整手当は,もともとその言葉本来の「調整」とは関係がない労働に対する対価たる本給,すなわち,基本給そのものである。被告は,昭和59年以降一切ベースアップをせず,その代わりとして同年以降調整手当を支給し,毎年その増額をしてきたものであり,原告らに調整手当として支給されていた金額はその実質は本棒である。 したがって,調整手当の支給根拠規程である給与規程の改訂が無効 りとして同年以降調整手当を支給し,毎年その増額をしてきたものであり,原告らに調整手当として支給されていた金額はその実質は本棒である。 したがって,調整手当の支給根拠規程である給与規程の改訂が無効であっても,その本棒たる性質は失われないから,当然にこれを賃金として請求できるものである。調整手当のうち資格給としての調整手当(内規2条1号(2))も一旦支給されると支給が継続されるものであり,能力給というよりベースアップを補う性格を有するものであるから,原告らにとっては労働の対価そのものである。 (二) また,賃金の増額は給与規程がなくても可能であり,労働者に有利に変更された賃金を労働者が異議なく受領することは,労働条件についての申込みと承諾であり,その変更が新しい賃金すなわち労働条件(契約内容)となるから,これが契約内容となった以上,契約当事者の一方である労働者の同意を得ることなく,これを使用者が一方的に減額したりあるいは打ち切るような労働者に不利益に変更することは許されない。したがって,本件改訂等が無効であっても,原告らは依然として賃金請求権を失うものではない。 (三) したがって,原告らは,被告に対し,本俸たる賃金として,調整手当として支払われていた金員を請求することができるものである。 3 争点3,附則1の効力の有無仮に,本件改訂等が有効であるとしても,附則1は,すでに獲得された本棒の性格を有する調整手当を一方的に打ち切ることを認めるものであって,不合理極まりないものであるから,無効である。 4 争点4,原告らに対する附則1の適用仮に,本件改訂等が附則1を含めていずれも有効であるとしても,被告が附則1を適用してなした原告らに対する調整手当の打ち切りないし削減は,不合理であり,かつ,不当労働行為であるから無効というべきである。 ま 件改訂等が附則1を含めていずれも有効であるとしても,被告が附則1を適用してなした原告らに対する調整手当の打ち切りないし削減は,不合理であり,かつ,不当労働行為であるから無効というべきである。 まず,附則1を適用するにあたってなした査定について,被告は,これを総務部人事課において行ったというが,大学の教員に対する人事考課は学問の自由の見地から教授会によって行われるべきものである。そして,現実に行われた査定についても,査定基準が査定前に存在したかどうか疑問である上,基準そのものも不合理である。 次に,原告らに対する評価についても,その研究発表などを正当に評価しておらず,過去に処分済の処分等を理由にしている点は不当である。 原告らはいずれも教員組合に所属し,原告Aは書記長,原告Bは執行委員長として積極的な組合活動をしてきた。 調整手当のカット率について,教員組合に所属していない教員の平均カット率は約15パーセントであるが,教員組合に所属する3名については,カット率100パーセントが2名(うち1名が原告A),カット率50パーセントが1名(原告B)で,全員がカットされており,組合員以外の者と比較して突出している。 原告Bが調整手当を50パーセントカットされた理由の一つは,教授会において学生に対してビラを配布してはならないとの決定があったにもかかわらず,学生にビラを配布したことであるが,ビラ配りは組合活動の一環として,学外で就業時間外に行ったことであるから,このことを理由として賃金を減額することは不当労働行為そのものである。 このように,原告らに対する調整手当の打ち切りないし削減は原告らが教員組合の組合員であることを理由とする不利益な取扱いであることは明らかであって,不当労働行為である。 5 争点5,原告らに支払われるべき金額(一) 以上 する調整手当の打ち切りないし削減は原告らが教員組合の組合員であることを理由とする不利益な取扱いであることは明らかであって,不当労働行為である。 5 争点5,原告らに支払われるべき金額(一) 以上のとおり,主位的に,本件改訂等はすべて無効であるから,賃金として,原告Aは,被告に対し,平成11年8月から平成13年3月までの毎月16万8500円の調整手当相当分合計337万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年4月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金並びに平成13年4月から本判決確定の日まで毎月25日限り16万8500円の割合による金員の,原告Bは,被告に対し,平成11年12月から平成13年3月までの調整手当差額相当分合計121万2000円(毎月7万5750円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年4月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金並びに平成13年4月から本判決確定の日まで毎月25日限り7万5750円の割合による金員の各支払を求める。 (二) 仮に上記・が認められない場合でも,附則1は無効であるから,原告らは,被告に対し,調整手当名目の賃金として,上記(一)と同額の金員の各支払を求める。 (三) 仮に上記(一)及び(二)が認められない場合は,附則1は無効であるから,原告らは,被告に対し,調整手当として,上記(一)と同額の金員の支払を求める。 (四) 仮に上記(一)ないし(三)が認められない場合は,原告らに対する調整手当打ち切りないし削減は著しく不合理な行為であるし,また,原告らに対する不当労働行為でもあることからも無効といえるから,原告らは,被告に対し,賃金もしくは調整手当として,上記(一)と同額の金員の各支払を求める。 四被告の主張 1 争点1,本件改訂等の各効 告らに対する不当労働行為でもあることからも無効といえるから,原告らは,被告に対し,賃金もしくは調整手当として,上記(一)と同額の金員の各支払を求める。 四被告の主張 1 争点1,本件改訂等の各効力の有無(一) 調整手当導入の理由昭和59年当時,日本の18歳人口は,昭和58年をピークとして減少し続け,昭和61年度から一時増加傾向を示したものの,昭和67年(平成4年)以降は減少傾向が続くという見通しであった。また,経済状況は全体としては右肩上がりの傾向ではあったが,その後いわゆるバブル経済へと突入し,さらに昭和45年から交付されていた私立大学経常補助金(私学助成)も昭和57年までは増加傾向であったのが,昭和58年は減少に転じ,その後は横ばいないし微増の状態であった。 私学は国庫助成の交付を受けながら,国公立大学に比較して給与水準が高く,私学の高賃金が批判されていた中,毎年学納金をアップせざるを得ないというのは本来あるべき姿ではなく,また,将来18歳人口の減少が明らかであるという長期的展望に立つと,被告において,給与体系の見直しは当然必要となった。被告は大学としては後発であり,学納金は低く抑制しながら特に教育環境の整備充実を諮ることが緊要であった。このような状況の中,長期的な展望に立って被告独自の給与体系に改めるという見地から導入したのが調整手当であった。 (二) 給与規程改訂(1)そこで,被告は,昭和59年11月12日に旧給与規程を改訂し(給与規程改訂(1)),調整手当を給与規程上明文化するとともに,附則1を設けた。附則1の趣意は,被告において,最高号俸に達した者の多くが引き続き勤務するという事態を迎え,該当者の最高号俸に達した後の待遇が問題となり,一般社会における賃金は,55歳をピークに横ばいないし下落の傾向にあることを考慮 告において,最高号俸に達した者の多くが引き続き勤務するという事態を迎え,該当者の最高号俸に達した後の待遇が問題となり,一般社会における賃金は,55歳をピークに横ばいないし下落の傾向にあることを考慮すると,被告の給与表の最高号俸の場合は,一般社会の給与水準よりも高いから,教職員が最高号俸に達した後1年間で調整手当の支給止めとすることを原則とし,例外的に教職員の能力評価によって支給及びその程度について措置を講ずるためにただし書を設けたものである。 なお,教職員が最高号俸に達した後1年間は調整手当の支給を保障した趣旨は,その後は賃金の上昇はなく横ばいもしくは下落しかないことになるから,生活設計上準備期間も必要であるとの配慮によるものである。 被告は,附則1ただし書適用にあたっては,過去5年間における明文化されている研究業績並びに勤務成績,大学への貢献度,職務の責任度を中心に,大学院授業科目の担当教員であるか,教員役職にあるかどうか,担当科目の履修者数,出勤日数,学生指導等の状況並びに年収,年齢,資格等の状況を勘案し,さらに支給基準については考課を6段階に分けて行いその支給率を決定している。 (三) 給与規程改訂(2)被告は,昭和60年5月23日に給与規程改訂・を行い,同規程に11条を設けた。 給与規程11条は,給与規程改訂・の附則1で本規程の条項として附則1の内容を改訂したもので,調整手当の性格を変更したものではない。 (四) 内規作成被告は,昭和63年9月2日に調整手当に関する内規を定めた。 内規は,昭和59年から存在する調整手当がその種類の1つであることを示したものである。内規は調整手当の目的を変更したものではなく,調整手当は定めた当初からその目的は賃金水準の引上げであった。 (五) 附則1の労働協約化被告と当時原告らが所 種類の1つであることを示したものである。内規は調整手当の目的を変更したものではなく,調整手当は定めた当初からその目的は賃金水準の引上げであった。 (五) 附則1の労働協約化被告と当時原告らが所属していた教職員組合とは,昭和63年5月24日,地労委において,昭和63年協定書を締結し,就業規則の内容である調整手当に関する給与規程2条,11条及び附則1のシステム全体について合意して労働協約を締結し,その内容とした。上記労働協約の規範的効力により,上記内容は労働契約の内容となった。 (六) 以上のとおりであって,内規作成は,就業規則の変更にはあたらないし,本件改訂等はいずれも就業規則の不利益変更にあたるものではない。 仮に,給与規程改訂(1)及び給与規程改訂(2)が就業規則の不利益変更の問題になったとして,上記各改訂はその当時の高度の必要性及び変更の内容の両面にわたり合理的なものであったことは上記のとおりであり,その各改訂の効力を否定すべき理由はない。 (七)(1) 各給与規程改訂には手続違反はない。 確かに,被告は,給与規程改訂・の3か月以上前に教職員組合の非組合員らに対して調整手当を支給したが,これは,当時被告は,教職員組合と春闘に関する団体交渉の継続中であったが,同組合が調整手当の支給に難色を示したので,労働者にとって有利な調整手当の導入の見込みのもとに上記導入を周知徹底した上で,非組合員らの要望に従い,支給することとなったものである。その後,労働者の代表者の意見の聴取及び労働基準監督署への届出などを履践して結果的には原告らの所属していた同組合の組合員も非組合員と同様に昭和59年4月分から遡って支給された。上記経緯を鑑みれば,原告ら主張の労働基準法の手続違反はない。 また,給与規程改訂・及び給与規程改訂・については,いずれも労働者の 組合の組合員も非組合員と同様に昭和59年4月分から遡って支給された。上記経緯を鑑みれば,原告ら主張の労働基準法の手続違反はない。 また,給与規程改訂・及び給与規程改訂・については,いずれも労働者の意見を聴取の上労働基準監督署に届出されており,何ら手続上問題はない。また,内規は,そもそも就業規則の変更ではない。 (2) 仮に給与規程改訂に至る経緯に手続違反があったとしても,原告らは給与規程改訂(1)及び給与規程改訂(2)後の調整手当をいずれも受給しているのであるから,これは各改訂を容認していたものである。 (3) 原告らは,その所属していた教職員組合が,被告との間で昭和63年に調整手当のシステムについて合意する昭和63年協定書を締結して和解をしたのに,その和解の無効をいう意思表示の瑕疵も主張せず,給与規程改訂(1)及び給与規程改訂(2)の無効並びに本件和解の要素となった附則1の無効を主張することはそもそも許されるものではない。昭和63年協定書による和解には意思表示の瑕疵はなく,給与規程改訂(1)及び給与規程改訂(2)に基づく調整手当のシステムについては,原告らの所属していた組合はこれに同意しており,調整手当については,教職員組合は,被告に一任しており,調整手当に関する問題はすでに解決しているのである。 本件における原告らの主張は実質的に本件和解に背反するもので,禁反言の原則にも反するものである。 2 争点2,調整手当請求権の根拠本件調整手当はベースアップ分の本俸ではなく賃金の一部である手当のうちの一つにすぎないから,調整手当相当額を本俸として請求するとの原告らの主張は理由がない。 調整手当の性質を如何と解しようとも,本件で問題となっている調整手当は,原告らの主張する各給与規程及び内規に基づいて支給されているものであり,その根拠である本 するとの原告らの主張は理由がない。 調整手当の性質を如何と解しようとも,本件で問題となっている調整手当は,原告らの主張する各給与規程及び内規に基づいて支給されているものであり,その根拠である本件改訂等が無効であれば,調整手当の支給根拠は失われ,これを賃金収入として得ることができなくなることは論を待たない。 3 争点3,附則1の効力の有無附則1についての趣意は,上記のとおりであり,その規定は不合理とはいえない。 原告らは,調整手当につき,遅くとも昭和59年度分以降歴年ごとに受給している。原告らのこうした受給はいずれも附則1の調整手当のシステムを容認しているものといえるから,原告らの本訴請求は労働協約の遵守義務に違反するものである。 4 争点4,原告らに対する附則1の適用(一) 原告Aは,平成10年8月1日に給与表最高号俸に達した。被告は,原告Aに対し,平成11年7月31日までの1年間附則1本文により調整手当を支給した。しかし,原告Aは,上記最高号俸に達した次年度の平成11年8月1日までの過去5年間,何ら研究業績はないことはもとより,服務規律違反等の懲戒処分も受けており,また,原告Aは,同処分に対する始末書の提出を拒絶するなど反省の色がみられず,人事考課,査定上配慮すべき点はなかった。 したがって,原告Aについては,附則1本文を適用し,平成11年8月に支給止めをした。 (二) 原告Bは,平成10年12月1日に給与表最高号俸に達した。被告は,原告Bに対し,平成11年11月30日までの1年間附則1本文により調整手当を支給した。原告Bについては,上記最高号俸に達した次年度の平成11年12月1日までの間の研究業績が認められたので,平成11年12月に附則1ただし書により,人事考課,査定の上,調整手当の支給継続及びその支給率を50パーセント は,上記最高号俸に達した次年度の平成11年12月1日までの間の研究業績が認められたので,平成11年12月に附則1ただし書により,人事考課,査定の上,調整手当の支給継続及びその支給率を50パーセントとして,調整手当を1か月7万5750円とした。なお,上記調整手当は,従来の調整手当を削減したものではない。 (三) 調整手当は,原告らが主張するように一方的に打ち切るものではない。 原告らは,附則1の適用について,最高号俸に達した者とそれに達していない者を比較して経済上の利益に不都合が生じる旨を主張するが,附則1は最高号俸に達した者について,さらに被告に貢献できる立場にあるかどうかを問題とする規定であるから,能力の格差によって差異が生じるのは当然である。 被告は,附則1の適用については,最高号俸に達した年の翌年から過去5年間の業績等を評価している。 (四) さらに,組合員と非組合員らとの間に何ら不合理な差別はない。原告らに対する調整手当の打ち切りもしくは削減については,適正な人事考課・査定により行ったものである。 附則1ただし書が適用された者は,平成13年4月現在7名おり,うち非組合員が4名,組合員が3名である。一方,附則1本文を適用された者は,平成13年4月現在6名おり,うち非組合員が2名,組合員が4名である。これは,該当者の組合所属の有無にかかわらず,研究業績等の貢献度を能力的に評価していることを示している。 5 争点5,原告らに支払われるべき金額原告らの主張は争う。 第三当裁判所の判断一証拠(甲1,2,3の1及び2,4の1及び2,5ないし8,9の1及び2,10の1及び2,11,12の1及び2,13,14の1及び2,15ないし36,37の1ないし3,48ないし54,60の1及び2,61ないし63,67ないし79,80の1ないし いし8,9の1及び2,10の1及び2,11,12の1及び2,13,14の1及び2,15ないし36,37の1ないし3,48ないし54,60の1及び2,61ないし63,67ないし79,80の1ないし31,81ないし83,乙1,2,4の1及び2,5の1及び2,7ないし11,12の1及び2,13ないし16,17の1及び2,18ないし25,26の1及び2,27の1ないし12,28,29の1及び2,30ないし34,36の1ないし4,37ないし39,40の1及び2,41ないし44,45の1及び2,46,48,証人D,証人E,証人F,証人G,原告B,原告A),前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 1 調整手当を巡る経緯について(一) 被告においては,昭和59年当時,旧給与規程に基づいて賃金の支給が行われており,旧給与規程における賃金の決定は,基本的には,基本給に各年ごとのベースアップを積み上げていくものであった。 しかし,昭和59年6月,被告は,当時原告らが所属していた教職員組合との団体交渉において,被告の賃金水準は他の大学と比較してかなり高く,毎年の賃上げ分(ベースアップ分)を旧給与規程における基本給に加算していくと,教職員の年収の増加額が大きくなり,ますます世間の相場と離れて高額になってしまうという理由で,新たに調整手当制度を設け,ベースアップ相当分を調整手当として支給するとの調整手当制度の新設を提言した。調整手当は,賞与や時間外労働賃金の対象とはならないものとされた。 これに対し,教職員組合は,同年7月,被告に対して調整手当についての再考を要請するとともに,あくまでもベースアップ分については調整手当としてではなく,ベースアップの形での支給をするように要求した。しかし,被告は,調整手当の支給は,被告の全職員を対象と 当についての再考を要請するとともに,あくまでもベースアップ分については調整手当としてではなく,ベースアップの形での支給をするように要求した。しかし,被告は,調整手当の支給は,被告の全職員を対象としたものであり,その支給を延期することはできないから,教職員組合の組合員でも支給を希望する者に対してはこれを支給すると回答し,同月31日,被告は,非組合員に対して調整手当を支給した。 (二) 同年11月12日,給与規程改訂(1)が行われ,同日から施行された。 同改訂により,調整手当が諸手当の一つとして給与規程上明記された他,合わせて,同規程に附則1が設けられた。 そのため,教職員組合は,同月17日に行われた団体交渉の席上において,調整手当の取扱いについては疑問があるが,今後のベースアップ交渉の中で検討していくこととし,すでに一部の者が調整手当の支給を受けていることから,今後調整手当についてどのように収拾するのかの判断を被告に委ねることとし,調整手当の支給については被告に一任すると回答した。 これを受けて,被告は,教職員組合に対し,同年12月4日付けで,教職員組合の昭和59年度賃上げ(ベースアップ)の要求に対して,被告がベースアップに代わるものとして回答した調整手当の支給については,被告に一任したので,原則として調整手当は対象者全員に支給すること,辞退する者には支給しないこと及びこれを同年4月1日に遡って実施するとの見解を明らかにした。 (三) 被告は,昭和60年3月19日付けで,教職員組合に対し,書面をもって,調整手当は,被告の給与水準が高いことを是正する意味からベースアップに代わるべきものとして客観情勢の推移を見ながら更に検討を要するものとして臨時的に支給しているもので,その性格はまだ極めて流動的なものである旨の見解を示した。 (四) 被告は する意味からベースアップに代わるべきものとして客観情勢の推移を見ながら更に検討を要するものとして臨時的に支給しているもので,その性格はまだ極めて流動的なものである旨の見解を示した。 (四) 被告は,昭和60年5月23日,給与規程改訂(2)を行った。 同改訂においては,11条が設けられた。 (五) 昭和60年7月1日,被告は,教職員組合に対し,昭和60年度の給与の取扱いについて,組合員でない教職員に対しては,被告が組合に回答した賃上げ案(調整手当,加重平均0.5パーセント)を昭和60年度新給与として取り扱い,昭和60年4月に遡り精算のうえ支給する,組合員のうち,上記と同様の受給を希望する者は,学園に申し出れば同様に支給するとし,その支給日を昭和60年7月25日とする旨を通知し,被告は,非組合員に対し,昭和60年度の調整手当を同年4月に遡って支給した。 (六) 昭和61年5月15日,教職員組合は,被告による不当労働行為等を理由として,地労委に,不当労働行為救済を求める昭和61年地労委事件の申立てをした。同事件は,調整手当については,被告が今後団体交渉継続中に,教職員組合所属の組合員に調整手当,一時金,ベースアップに相当する賃金部分の支給,支給の通知及び勧誘をしてはならないことを求める内容の申立てであり,同事件において,教職員組合は,被告が組合の弱体化をねらって調整手当を一方的に支給した旨を主張した。これに対し,被告は,調整手当の導入の背景として,私学の高賃金が厳しく批判され,昭和57年度以降被告に対する私学振興財団の補助金交付が漸減されている状況下で,賃金水準や定昇額等の社会整合性をも考慮し,調整手当等の導入による賃上げを回答した旨を述べ,また,当初,給与規程の超勤手当の算入項目に調整手当を明記しなかったのは,調整手当を暫定的な性格のも 下で,賃金水準や定昇額等の社会整合性をも考慮し,調整手当等の導入による賃上げを回答した旨を述べ,また,当初,給与規程の超勤手当の算入項目に調整手当を明記しなかったのは,調整手当を暫定的な性格のものと判断していたからであって,現実の支給計算では昭和60年1月以降のものについては算入していると述べた。 (七) また,被告は,昭和61年6月19日付けで,昭和61年度も賃金は定期昇給に重点を置き,従来から行ってきているように,今回もベースアップも含め調整手当を上積みする,調整手当は資格別基準を設け,昨年度より支給額を増やすことにした,当然のことながら学園給与規程に沿った評定を公平に行い,上積みすることもある,調整手当は前述のように,私学高賃金の社会的批判の高まりの中で導入したものである,従って,人事考課に基づき,研究業績,勤務成績,学園への貢献度,職務の責任度によって決定されるべきものである,努力した人と,そうでない人と同じ給与であるという不合理をなくすために新設したのであるから,廃止する考えはないとの見解を示した。 (八) 昭和62年3月9日,教職員組合は,被告に対し,昭和60年4月以降の調整手当を支給するように要求し,合わせて調整手当の制度,そのあり方については,さらに検討することを要求した。また,その際,教職員組合は,地労委事件の申立ては継続するが,被告が調整手当に関する申立て内容についてこれを確約し協定を結ぶのであれば,この点は地労委事件の申立てから削除してもよいとの意向を示した。 (九) このように,調整手当制度導入以降,調整手当を巡っては上記のような経緯があったものの,昭和63年5月24日,教職員組合と被告は,地労委において,昭和63年協定書の締結に至った。 なお,その後,昭和62年度の賃上げについては昭和63年6月6日に,昭和6 記のような経緯があったものの,昭和63年5月24日,教職員組合と被告は,地労委において,昭和63年協定書の締結に至った。 なお,その後,昭和62年度の賃上げについては昭和63年6月6日に,昭和63年度の賃上げについては同年7月20日に,それぞれ被告と教職員組合との間に「覚え書」が交わされ,昭和62年度賃上げ分については昭和63年6月25日に,昭和63年度賃上げ分については同年7月30日にそれぞれ精算が行われた。 また,それ以降,平成元年7月19日,平成2年7月7日,平成3年6月12日,平成4年7月15日,平成5年7月21日,平成6年7月19日,平成7年7月20日,平成8年7月8日,平成9年7月5日,平成10年7月28日に,それぞれ当該年度の賃上げについての「覚え書」が被告及び教職員組合の間で交わされた。 いずれの覚え書も,賃上げ分を調整手当として支給するとして,その支給基準を掲げ,ただし,研究業績,勤務成績,被告への貢献度,職務の責任度によって上積みすることがあるとの内容であった。 (一〇) 昭和63年9月2日,被告は,調整手当に関する内規を作成し,同内規の定めるところにより,調整手当の支給を行うこととした。なお,同内規は,就業規則のように,労働基準監督署には届け出られていない。 (一一) 被告は,平成2年度の春闘の団体交渉の際,調整手当は,給与の一律,画一的な支給方式を改め,賃金引上げに際しては,例年職階別に調整手当の最低額を明示したうえで,研究業績並びに勤務成績,学園への貢献度,職務の責任度等を厳正な人事考課に基づいて査定し,教職員の一人一人の日常の労に手厚く,きめ細かく報いるためのもので,公平に多様な機能を発揮できるものであるとの見解を明らかにした。 (一二) 平成6年5月18日付けで,被告は,「教職員の皆さんへ」と題する書面に 人の日常の労に手厚く,きめ細かく報いるためのもので,公平に多様な機能を発揮できるものであるとの見解を明らかにした。 (一二) 平成6年5月18日付けで,被告は,「教職員の皆さんへ」と題する書面において,調整手当は,研究業績,勤務成績,本学への貢献度,職務の責任度に基づき公正な考課を行い,教職員一人ひとりの日常の勤務に手厚く報いるために支給しているものであると同時に,賃金水準引上げをも目的とするベースアップ機能をも含んでいるとの見解を示した。 (一三) 平成9年12月ころ,教員組合が結成され,Dが執行委員長,原告Bが副執行委員長,原告Aが書記長となった。 (一四) 平成11年9月6日付けで,教員組合は,被告に対し,調整手当はベースアップ相当分であるから,資格給に基づく調整手当(内規2条1号(2))が本俸に組み入れられるべきであること及び資格別調整手当の導入は就業規則の不利益変更である旨を主張した。 また,教員組合は,平成12年5月11日,被告に対して「2000年度団体交渉要求書」を交付し,調整手当制度を廃止し,調整手当と第二基本給を本俸に繰り入れるように要求した。 (一五) 被告においては,昭和59年以降現在に至るまで,本俸のベースアップは行われていない。 なお,調整手当は,被告における退職金の算定の際には考慮されない。 2 原告らに対する調整手当削減について(一) 原告Aの,平成11年6月25日支給の賃金は,基本給50万4500円,第二基本給2万8500円,住宅手当1万0500円,調整手当・15万8500円,増担手当2万6000円及びカウンセラー手当8000円の合計73万6000円であった。また,同年9月24日支給の賃金は,基本給,第二基本給,住宅手当,増担手当,カウンセラー手当は6月25日支給分と同じで,この他に通勤手当2万527 ラー手当8000円の合計73万6000円であった。また,同年9月24日支給の賃金は,基本給,第二基本給,住宅手当,増担手当,カウンセラー手当は6月25日支給分と同じで,この他に通勤手当2万5270円が支給されているが,調整手当は支給されておらず,総支給額は,60万2770円であった。 原告Aの調整手当が,平成11年9月分以降上記のように支給されなくなった理由は,原告Aは,平成10年8月1日に給与表の最高号俸に達したが,平成11年7月までの過去5年間の研究業績としては,体育学会での発表が3件で,著書論文等はなく,年間の出勤日数は,平成6年度から平成10年までの5年間の通算では平均よりやや高めに推移しているが,大学への貢献度は,独善的で協調性が欠如しており,プラス評価できる事項は特にみあたらないこと,職務の責任度として大学院担当,役職のいずれにも該当せず,職責の重要度は高くないこと,サッカー部部長であるが,部員が4名退部するなど部長としての管理,指導面及び責任感等に問題があること,服務規律違反を受け,その懲戒処分通知の受領を拒否したこと,サッカー部の合宿において監督不行届きにより部員がけがをしたこと,平成7年10月に研究室において火気を使用して事故を起こし,被告から注意を受けていることから,原告Aが被告の教員としての資質に欠け,評価として最低であるとしてその評価が「C-~D」と判定され,調整手当全額カットが相当であるとされたためである。 (二) 原告Bの,平成11年11月25日支給の賃金は,基本給46万3200円,第二基本給2万5800円,家族手当1万1400円,住宅手当1万0500円,調整手当(1)15万1500円,カウンセラー手当8000円の総支給額67万0400円であったが,同年12月24日支払の賃金は,基本給,第二基本給,家族 手当1万1400円,住宅手当1万0500円,調整手当(1)15万1500円,カウンセラー手当8000円の総支給額67万0400円であったが,同年12月24日支払の賃金は,基本給,第二基本給,家族手当,住宅手当,カウンセラー手当は前月と同じであるが,調整手当(1)項目の支払はなく,調整手当(2)項目で7万5750円が支給されているため,総支給額は,59万4650円であった。 原告Bの調整手当が,平成11年12月分以降上記のように定められた理由は,原告Bは,平成10年12月1日に給与表の最高号俸に達したが,平成11年11月までの過去5年間の研究業績として,論文2,発表1,平成10年度に共著が1点予定されていること,勤務成績として,年間の出勤日数が,平成6年度ないし平成10年度において,いずれも平均以下で下位に位置していること,職務の責任度として,大学院担当,役職のいずれにも該当せず,職責の重要度が高くないこと,その他特筆すべき事由はなく,総合評価としては「C」程度であり,調整手当15万1500円については,全額カットするのが適当であると判断されるが,外国の大学での研究発表があり,専門誌への論文投稿などは一応評価できるとして,総合評価と支給基準とで不整合な点は特別に考慮して現行の50パーセント額を支給するとされたためである。 なお,被告は,上記評価判定については,支給基準として,評価A以上100パーセント,B+90パーセント,B80パーセント,B-60パーセント,C+50パーセント,C以下0パーセントとの基準を設けていた。 (三) 原告A及び原告Bは,いずれも最高号俸に達した以降とそれ以前において,資格及び職務内容について特段変更はなかった。 3 原告Aに対する処分について被告は,原告Aに対し,平成10年4月15日付けで,原告A 及び原告Bは,いずれも最高号俸に達した以降とそれ以前において,資格及び職務内容について特段変更はなかった。 3 原告Aに対する処分について被告は,原告Aに対し,平成10年4月15日付けで,原告Aが被告の承認を得ずに他大学の業務に従事したことは被告就業規則6条に反することを理由に,懲戒(譴責)処分をし,同月16日付けで,同月25日までに被告に始末書を提出するように命じた。 これに対し,原告A及び教員組合は,原告Aに対する処分は大学の自治に反し,また,手続違背があり,さらに,原告Aが他大学での講義についての届出を怠ったことはこれまでの被告における懲戒処分事由と比べて軽微であり,原告Aを懲戒処分に付すことは不当であって,不当労働行為である等の記載のある「抗議書」と題する書面を同月24日付けで被告に交付した。 4 資格給としての調整手当について調整手当項目で支給されている金員のうち,資格給としての調整手当(内規2条1号・)は,その額が毎年決定されて前年の支給額に加算されるが,その内訳は,昭和59年度は教授,助教授ともに2500円であり,平成10年度は,教授が2000円以上(累積14万6000円以上),助教授が2000円以上(累積12万8500円以上)と,資格毎に最低額を決められている。また,教職員組合との毎年の賃上げ交渉の際の「覚え書」にも,教授,助教授等の職務上の地位ないし資格ごとの調整手当支給額が明記されている。資格給としての調整手当における資格とは,教員であれば,教授,助教授,講師,助手の4種類に区別されるところの,教員としての職務上の地位をいうものである。 もっとも,被告において,調整手当支給の際,支給項目としては,「調整手当」として支給されており,資格給としての調整手当として金額を明記して別個に支給されているものではない。 地位をいうものである。 もっとも,被告において,調整手当支給の際,支給項目としては,「調整手当」として支給されており,資格給としての調整手当として金額を明記して別個に支給されているものではない。 二上記認定事実に基づき検討する。 1 争点1について(一) 上記認定事実によれば,被告が,新たに調整手当の制度を導入したのは,昭和59年当時,被告の賃金が他大学と比較して高水準であったとの認識から,18歳人口の減少も見込まれる中,そのまま従前からの賃金体系を今後も維持し続けていたのではますます賃金の増額傾向が続くことになるため,当時の被告の賃金体系を見直し,それまで毎年のベースアップ分についてはこれを基本給に加算していた方法を止め,新たに調整手当制度を新設し,ベースアップ相当分を手当の一つとして支給することにしたもので,賞与や退職金の基準となる基本給から外し,かつ,最高号俸に至った後にその支給を減額したり,打ち切ることを可能とすることによって,人件費を抑制することを目的としたものである。そして,その後も,被告は,教職員組合が求めるベースアップを拒否し,結局,教職員組合は,昭和59年11月に調整手当の支給について,被告にこれを一任し,また,昭和63年には,地労委において,被告と教職員組合は,調整手当に関する協定を締結し,その後給与規程に基づいて,教職員組合の組合員に対しても現在に至るまで調整手当が支給され続けている。最高号俸到達の1年後に調整手当の支給を打ち切る旨の規定は,調整手当制度が設けられた当初から存在した。そうすると,本件調整手当の導入は,賃金増額の方法として,手当という形をとって行われたもので,その手当の実質が何であれ,調整手当分の賃金が増額するだけで,給与規程改訂(1)によって,賃金が減額になるということはない。給与規程改訂( 賃金増額の方法として,手当という形をとって行われたもので,その手当の実質が何であれ,調整手当分の賃金が増額するだけで,給与規程改訂(1)によって,賃金が減額になるということはない。給与規程改訂(2)及び内規作成も,これによって賃金の減額を可能とするものではない。最高号俸到達後に調整手当が減額ないし不支給となる場合があり,これは賃金の減額に当たるものの,給与規程改訂(1)による調整手当導入時から規定されていたものであり,いわば期間限定の増額であったというにすぎず,給与規程改訂(2)及び内規作成によって,影響を受けるものではない。 なお,内規作成については,内規を特段就業規則と実質的に同一のものと解すべき理由はなく,むしろ,その記載内容及び給与規程の調整手当に関する規定の文言からすれば,内規は,給与規程に規定する調整手当の内容を整理したものにすぎないから,内規作成は,就業規則の変更の問題にはならない。 そうであれば,本件改訂等を就業規則の不利益変更であるという原告らの主張は理由がないというべきである。 (二) また,原告らは,本件改訂等の改訂手続に違法があると主張するが,上記認定のとおり,給与規程改訂(1)及び給与規程改訂(2)は,調整手当について明文の規定を設けるとともに,その適用方法について定めており,教職員組合から一任を受けたことを前提として,被告が各改訂に基づく変更を労働基準監督署に届け出たのであり,さらに,教職員組合は,昭和63年協定書において調整手当制度を容認し,その後,毎年,覚書を交わして調整手当支給を認めてきたのであって,上記各改訂の手続に瑕疵があったと認めることはできない。 (三) さらに,原告らは,本件調整手当が,最高号俸に到達後に一方的に打ち切ることができる内容となっている点について,その不合理故に無効となる旨 記各改訂の手続に瑕疵があったと認めることはできない。 (三) さらに,原告らは,本件調整手当が,最高号俸に到達後に一方的に打ち切ることができる内容となっている点について,その不合理故に無効となる旨主張する。 しかしながら,法律行為が効力を失うには,それ相応の理由が必要であり,内容が不合理であるというだけで,無効になるわけではない。確かに,本件調整手当については,その削減ないし支給打ち切りにより,教職員の年収が相当程度減少するということはできるが,これは制度が設けられた当初から予定されていたことであって,公序に反する程度に至っているとは言い難いし,他に,これを無効とする事情は認められない。 2 争点3について原告らは,本件改訂等が有効であっても,附則1の規定は無効であると主張する。しかし,この点については,前項(三)において説示のとおり,無効原因がないから,原告らの主張はこれを採用できない。 3 争点4について(一) 上記1及び2記載のとおり,附則1を含む給与規程の効力を妨げる事情はないから,原告らが被告に対して調整手当を請求する根拠は,給与規程に基づく調整手当となる。そして,原告らは,既に,最高号俸に達して1年を経過した者であるから,その調整手当を請求する根拠は,同附則1のただし書である。 (二) ところで,被告は,本件調整手当について,当初,これをベースアップ相当分と説明し,昭和60年の段階では,ベースアップに代わるものといい,昭和61年には,ベースアップを含め調整手当を上積みすると説明し,平成6年においても,本件調整手当はベースアップ機能を含むと説明している。調整手当は,毎年,前年度の調整手当に当年分を加算する方法で増額してきたものであるから,ベースアップに代わるものとかベースアップ相当分として加算され,累積してきた部分 アップ機能を含むと説明している。調整手当は,毎年,前年度の調整手当に当年分を加算する方法で増額してきたものであるから,ベースアップに代わるものとかベースアップ相当分として加算され,累積してきた部分は,ベースアップそのものではないが,ベースアップの対象すなわち基本給部分と性質を同じくするもので,ただ,これが賞与や退職金に反映せず,将来は削減されうるものとして増額されてきたものといえ,これが労働に対する対価としての性質を有することは否定できない。 被告は,その後,本件調整手当を各種原因によって生じる教職員の給与の不均衡を調整するための手当であると説明するものの,給与規程11条では,その内容を,研究業績並びに勤務成績,被告への貢献度,職務の責任度によって支給するとしており,これが,担当職務や責任と無関係でないことは明らかである。 そして,被告においては,調整手当のうち,内規2条1号(2)に定める資格給としての調整手当部分については,毎年,その内訳を明らかにして資格ごとに調整手当の最低額を示しており,また,教職員組合との毎年の賃上げ交渉の際の「覚え書」にも,教授,助教授等の職務上の地位ないし資格ごとの調整手当支給額を明記し,その額を前年の調整手当に加算してきた。そこで,教授,助教授等の職務上の地位ないし資格に基づいて支給されている部分については,その地位ないし資格に基づいて支給される労務対価性のある賃金としての性格を有するものである。この調整手当は,毎年,累積する運用となっていることから,賞与を除く賃金の2割程度の額となっている。 このような本件調整手当が労務対価性のある賃金であって,ベースアップに代わるものとかベースアップ相当分として支給され,しかも,賞与を除く賃金の約2割程度となっていることからすると,これを,最高号俸到 このような本件調整手当が労務対価性のある賃金であって,ベースアップに代わるものとかベースアップ相当分として支給され,しかも,賞与を除く賃金の約2割程度となっていることからすると,これを,最高号俸到達という労務提供と全く関係のない事実によって削減することは,論理的には合理性がない。地位や資格に基づいて支給される賃金については,その資格や職責に軽減がない限りは,これを減額する理由はない。 そうすると,本件調整手当のうち,地位や資格に基づいて支給される部分については,最高号俸に達した1年後も,その資格や職責に変更がない限りは,これによって行う労働の対価である賃金部分は減額されるべきではないのであって,就業規則の附則1がただし書を定めたのは,その趣旨と解するべきである。そこで,同附則1については,調整手当に労務対価性のある地位や資格に基づいて支給される部分を含む以上,本文の文言にかかわらず,その地位や資格が変更され,また,その労務内容が変化して職責に変更が生じ,あるいは労務提供そのものに著しい変化が生じた場合など合理性のある場合に減額できる趣旨の規定と解するのが合理的であり,最高号俸に達した1年後に一旦支給根拠を失い,被告において,査定の上で新たな支給を可能とする旨の規定と解するべきではない。 上記認定事実によれば,原告らのいずれも,資格及び職務内容については,最高号俸に達した1年後の前後で何ら変更がない。また,その前後で,原告らの労務提供の水準が著しく減退したという事情もない。したがって,原告らのいずれについても,調整手当のうち,資格給としての調整手当については,これを削減される合理的理由はないというべきである。 これに対し,被告は,原告らに附則1を適用し,支給率を50パーセントとし,あるいは不支給とした理由を縷々主張するが,その査 の調整手当については,これを削減される合理的理由はないというべきである。 これに対し,被告は,原告らに附則1を適用し,支給率を50パーセントとし,あるいは不支給とした理由を縷々主張するが,その査定は,学術論文を事務局においてその稿数だけで評価したり,研究業績を評価する態勢がないなど,評価が正当にされたかどうか疑問があり,過去の非違行為についても,既に処分済のものを再度評価する点で疑問があるだけでなく,原告らの労務内容に変更がないのに,これらの事情が労務対価性のある資格給としての調整手当部分を減額する理由とならないのは,上記のとおりである。 この点,証人Eは,資格を能力の一部として配慮した調整手当を資格給としての調整手当と呼んでいると供述し,また,被告の理事である証人Gは,資格も能力である旨を述べるが,通常は能力に伴って資格が付与されるのであり,被告における人事が適正に行われている限り,当該資格にみあった者が当該資格を有する地位にあるのであるから,資格ごとに定められた資格給としての調整手当は,当然その資格を考慮して定められていると推認されるのであって,これを支給するにあたって,さらに能力評価を行うことは,被告が資格給としての調整手当の額を資格ごとに定めていることと相容れないというべきであり,これらの供述を採用できない。 4 争点5についてそこで,原告らに削減前に支給されていた調整手当のうち,資格給としての調整手当の占める割合についてであるが,原告Aは,原告Aに支給されていた調整手当のうち,資格給としての調整手当は,月額16万0500円(原告A本人),原告Bは,原告Bに支給されていた調整手当のうち,資格給としての調整手当は,月額15万0500円である(原告B本人)旨それぞれ述べているが,他に原告らが述べている金額が各原告の資格給とし A本人),原告Bは,原告Bに支給されていた調整手当のうち,資格給としての調整手当は,月額15万0500円である(原告B本人)旨それぞれ述べているが,他に原告らが述べている金額が各原告の資格給としての調整手当であると認めるに足りる的確な証拠はなく,各原告らの資格給としての調整手当の金額は明らかではない。しかし,平成10年度において,資格給としての調整手当として,その累積(月額)は,教授の場合14万6000円以上,助教授の場合12万8500円以上とされているから(乙18),原告らについても,それぞれの資格に基づき,原告Aについては,少なくとも月額14万6000円以下に,原告Bについては,少なくとも12万8500円以下に減額される理由はないというべきである。 そうすると,被告は,原告Aに対し,原告Aが最高号俸に達した1年後以降も,調整手当として,月額14万6000円,原告Bについては,月額12万8500円を支払う義務があるというべきである。 三以上によれば,その余の判断をするまでもなく,原告らの請求は上記の範囲で理由があるから,その範囲でこれを認容し,その余の請求は棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部裁判長裁判官松本哲泓裁判官大島道代裁判官西森みゆきは,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官松本哲泓・
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