平成24(ワ)30904 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年9月29日 東京地方裁判所
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判決文本文31,752 文字)

平成26年9月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(ワ)第30904号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成26年7月9日判決東京都豊島区<以下略>原告有限会社東洋総医研(以下「原告会社」という。)富山市<以下略>原告甲(以下「原告甲」という。)上記2名訴訟代理人弁護士笠原健司同上庄野 信東京都台東区<以下略>被告株式会社クレテック(以下「被告クレテック」という。)東京都台東区<以下略>被告株式会社東洋総医研(以下「被告会社」という。)東京都豊島区<以下略>被告一般社団法人全国整体療術師協会(以下「被告協会」という。)東京都豊島区<以下略>被告 A(以下「被告A」という。)東京都荒川区<以下略>被告 B (以下「被告B」という。)東京都荒川区<以下略>被告 C(以下「被告C」という。)上記6名訴訟代理人弁護士戸舘正憲主文 1 原告らの 告 C(以下「被告C」という。)上記6名訴訟代理人弁護士戸舘正憲主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 原告会社の請求(1)ア被告会社は,法人名として「東洋総医研」を含む商号を使用してはならない。 イ被告会社は,平成22年12月14日付けをもってされた設立登記中,「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続をせよ。 (2)ア被告らは,別紙1「名簿目録」記載の名簿情報(以下「本件名簿情報」という。)をその営業上の活動に使用し又は第三者に開示してはならない。 イ被告らは,本件名簿情報を記録した紙その他の媒体(以下「本件名簿」という。)を廃棄せよ。 (3) 被告らは,原告会社に対し,連帯して300万円及びこれに対する訴状送達の日(被告Aにつき平成24年12月11日,被告クレテック及び被告会社につき同月13日,被告協会につき平成25年2月18日,被告Bにつき同年3月21日,被告Cにつき同年5月22日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告甲の請求 (1)ア被告協会は,法人名として「全国整体療術師協会」を含む名称を使用してはならない。 イ被告協会は,平成23年1月20日付けをもってされた設立登記中,「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続をせよ。 (2) 被告らは,原告甲に対し,連帯して300万円及びこれに対する訴状送達の日(被告Aにつき平成24年12月11日,被告クレテック及び被告会社につき同月13日,被告協会につき平成25年2月18日,被告Bにつき同年 原告甲に対し,連帯して300万円及びこれに対する訴状送達の日(被告Aにつき平成24年12月11日,被告クレテック及び被告会社につき同月13日,被告協会につき平成25年2月18日,被告Bにつき同年3月21日,被告Cにつき同年5月22日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,(1)原告会社が,①被告会社に対し,不正競争防止法2条1項1号及び3条,又は会社法8条若しくは商法12条に基づき,「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め,並びに「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続を求める(前記第1の1(1)ア及びイ。以下「本件請求1(1)」という。)とともに,②被告らそれぞれに対し,不正競争防止法2条1項4号及び3条に基づき,本件名簿情報の使用及び開示の差止め,並びに本件名簿の廃棄を求め(前記第1の1(2)ア及びイ。以下「本件請求1(2)」という。),③被告らに対し,不正競争防止法2条1項1号及び4条,又は民法709条(一般不法行為)に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め(前記第1の1(3)。以下「本件請求1(3)」という。),(2)原告甲が,①被告協会に対し,不正競争防止法2条1項1号及び3条,又は民法709条(一般不法行為)に基づき,「全国整体療術師協会」を含む名称の使用の差止め,並びに「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続を求めるとともに(前記第1の2(1)ア及びイ。以下「本件請求2(1)」という。),②被告らに対し,民法709条(一般不法行為)に基づき,損害賠償金30 0万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める( いう。),②被告らに対し,民法709条(一般不法行為)に基づき,損害賠償金30 0万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める(前記第1の2(2)。以下「本件請求2(2)」という。)事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠等により容易に認められる事実)(1)ア原告会社は,昭和63年6月16日,会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号。以下「整備法」という。)1条3号の規定による廃止前の有限会社法(昭和13年法律第74号。 以下「旧有限会社法」という。)の規定による有限会社として設立された後,平成3年4月1日,商号を「有限会社東洋総医研東京整体」から「有限会社東洋総医研」に変更するとともに,本店を「東京都豊島区東池袋二丁目56番7号」に移転し,平成14年11月8日,本店を同所から「東京都豊島区東池袋二丁目57番1号」に移転するとともに,目的を別紙2のとおり変更した(同月28日登記)。原告会社は,整備法2条1項の規定により,会社法(平成17年法律第86号)の規定による株式会社(特例有限会社)として存続するものとされた後,平成22年11月11日,取締役D(以下「D」という。)及び取締役E(以下「E」という。)につき,それぞれ「平成22年10月28日辞任」の登記がされ,代表取締役甲(原告甲)につき,「平成22年10月28日取締役が1名となったため抹消」の登記がされている。原告甲は,現在も原告会社の取締役であり,原告会社には,現在,ほかに取締役はいない(甲11の2,弁論の全趣旨)。 イ原告らが,全国整体療術師協会(以下「本件協会」という。)の「定款」(以下,単に「定款」ということがある。)及び「『整体療術師』規約」 現在,ほかに取締役はいない(甲11の2,弁論の全趣旨)。 イ原告らが,全国整体療術師協会(以下「本件協会」という。)の「定款」(以下,単に「定款」ということがある。)及び「『整体療術師』規約」(以下,単に「規約」ということがある。)を記載したものであるとする作成日不詳の書面の写し(甲15)には,以下の内容が示されている。 (ア) 本件協会は,会員の指導育成を計ると共に,相互の親睦と東洋医学整体療術に関する学理の究明,治療技術の向上を目指し,国民の健康保持,増進に努め,中国伝統医学を継承して行くことを目的とし(定款第3条),本部を「東洋総医研・東京整体療術学院」内に設置し(同第2条),本部の下に,北海道,東北,関東,中部,関西,中国,九州の各支部を設け(同第4条),上記目的を達成するために,会員の指導育成及び相互の親睦のための事業等を行う(同第6条)。 (イ) 本件協会は,東洋総医研・東京整体療術学院の卒業生(認定者)を正会員とし,修了者を準会員とするが,同学院以外の療術師であっても協会役員総意及び支部役員総意の推薦により,正会員又は準会員となることができ,その他規約第11条により,正会員となった者もいる(定款第7条)。入会金は,正会員につき5万円,準会員につき2万5000円,年会費は,正会員及び準会員とも1万5000円とする(同第8条)。 (ウ) 「整体療術師」は,協会本部規定の専科研修修了者(認定者)として,協会本部「全国整体療術師協会正会員者台帳」に登録され,整体療術師の名称を名乗り,活動することができ(規約第2条),施術するときは原則として本件協会指定の制服を着用し,「東洋総医研」の名称を使用する(同第3条)。 (2) 被告クレテックは,平成5年4月1日に設立され,クレジットカード決済データ与信管理業務,ク 術するときは原則として本件協会指定の制服を着用し,「東洋総医研」の名称を使用する(同第3条)。 (2) 被告クレテックは,平成5年4月1日に設立され,クレジットカード決済データ与信管理業務,クレジットカード決済ゲートウェイ提供業務,保険代理業務,広告代理業及びこれらに附帯する一切の事業を目的とし,「東京都台東区三筋二丁目8番5号」に本店を有する株式会社であり,平成23年9月12日,「平成23年1月31日東京都豊島区北大塚三丁目14番17号から本店移転」との登記がされている。被告Aは,平成23年1月31日に被告クレテックの取締役兼代表取締役に就任し,被告Bも同日取 締役に就任し,現在に至るまで同様である。なお,F(以下「F」という。)は,平成22年10月19日当時,被告クレテックの取締役兼代表取締役であった(甲4,11の4,18,弁論の全趣旨)。 (3) 被告会社(商号は「株式会社東洋総医研」である。)は,資本金を300万円とし,被告C,被告B及び被告Aを取締役兼代表取締役として,平成22年12月14日に設立され,整体師育成の学院運営,整体院の開業支援等のコンサルティング,整体院の運営及びこれらに附帯する一切の事業を目的とし,「東京都台東区三筋二丁目8番5号」に本店を有する株式会社である(甲11の3)。 (4) 被告協会(名称は「一般社団法人全国整体療術師協会」である。)は,平成23年1月20日に設立され,整体術を社会に普及させることを目的とし,整体術に関する調査及び研究,整体術に関する広報活動,整体術に関する意見の表明,並びにこれらの事業に附帯又は関連する事業を行い,「東京都豊島区西巣鴨1-5-6」に主たる事務所を有する一般社団法人である。被告Cは,被告協会の理事兼代表理事であり,被告A及び被告Bは,いずれも被告協会 これらの事業に附帯又は関連する事業を行い,「東京都豊島区西巣鴨1-5-6」に主たる事務所を有する一般社団法人である。被告Cは,被告協会の理事兼代表理事であり,被告A及び被告Bは,いずれも被告協会の理事である(甲11の1)。 (5) 原告甲,被告クレテック及び被告Cは,平成22年10月19日付けで,別紙3の内容を含む「共同事業及び事業継承に関わる覚書」と題する書面(以下「本件覚書」といい,これに基づく契約を「本件契約」という。)を取り交わした。本件覚書には,原告甲の署名押印がある(甲7,18,弁論の全趣旨)。 (6) 弁護士K(以下「K弁護士」という。)は,原告らの代理人として,被告らを名宛人とする平成23年10月17日付け通知書を作成し,これを内容証明郵便及び普通郵便にて被告らに発送した。このうち,内容証明郵便は,同月18日,被告クレテック及び被告会社に配達され,同月19日,被告Cに配達された(なお,同内容証明郵便には,被告クレテックの代表 取締役としてFの氏名が記載されているが,その当時の被告クレテックの代表取締役は,前記(2)のとおり,被告Aである。)。同内容証明郵便には,①本件契約を解除すること,②被告らが,原告甲,原告会社及び本件協会の名称を用いて,原告甲,原告会社及び本件協会の関係者に対し通知したものについては,同通知書の到達後1週間以内に,原告甲,原告会社及び本件協会とは無関係である旨通知するよう求めること,③今後,一切,原告甲(その家族も含む。),原告会社及び本件協会の名称又はこれと類似する名称を使用しないよう求めること,④会員等から徴収した金額及びその使途を開示し,その金額を同通知書到達後1週間以内にK弁護士名義の銀行口座に送金するよう求めることなどが記載されていた(甲1,2の1ないし7,3の1ないし3, こと,④会員等から徴収した金額及びその使途を開示し,その金額を同通知書到達後1週間以内にK弁護士名義の銀行口座に送金するよう求めることなどが記載されていた(甲1,2の1ないし7,3の1ないし3,11の4)。 (7) 被告クレテック及び被告会社は,K弁護士に対し,上記(6)の内容証明郵便による要求には応じられない旨の平成23年10月19日付け回答書を送付し,同書は,そのころ,同弁護士に到達した(甲4,弁論の全趣旨)。 3 原告らの主張(1) 本件請求1(1)(原告会社の被告会社に対する「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め及び「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続請求)についてア不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく請求について原告会社は,昭和63年6月16日に設立され,「東洋総医研・東京整体療術学院」の名前で漢方経絡整体術を直接指導する学校を経営し,全国各地に卒業生,教え子を持っている。整体学校としては,日本で設立第1号であり,これまでの卒業生は,延べ3800人おり,全国に存在しているのであって,「東洋総医研」の名称は,整体に関する業界において広く知られている。被告らが「東洋総医研」の名で原告会社があたかも組織変更したかのような虚偽の通知書を卒業生らに送付しているのも, 「東洋総医研」の名称が周知性を有していたからである。 このように,原告会社の商号を構成する「東洋総医研」の名称は,全国において需要者の間に広く認識されているところ,被告会社は,「東洋総医研」という同一の名称ないし「東洋総医研」を含む類似の名称を使用して,原告会社の営業と混同を生じさせている(不正競争防止法2条1項1号)。 そして,原告会社は,被告会社の上記不正競争により,営業上の利益を侵害されている。 イ会社法8条又は商法12条 使用して,原告会社の営業と混同を生じさせている(不正競争防止法2条1項1号)。 そして,原告会社は,被告会社の上記不正競争により,営業上の利益を侵害されている。 イ会社法8条又は商法12条に基づく請求について被告会社が「東洋総医研」の名称を不正に用いていることは明らかであるから,被告会社は,会社法8条及び商法12条の責任をも負う。 ウ以上より,原告会社は,被告会社に対し,不正競争防止法2条1項1号及び3条,又は会社法8条若しくは商法12条に基づき,「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め,並びに「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続を求める。 (2) 本件請求1(2)(原告会社の被告らに対する本件名簿情報の使用及び開示の差止め並びに本件名簿の廃棄請求)について被告らは,原告会社の保管に係る本件名簿を原告会社の了承なく取得した上,自らの利益ないし営業上の活動のため,本件名簿情報を使用している。 本件名簿情報は,原告会社の代表者である原告甲が単独で管理していた。 原告甲は,本件名簿を常に鞄に入れて持ち歩き,他者の目に触れないようにしており,本件名簿情報は,公然と知られたものではなかった。 本件名簿情報は,原告らが,原告会社及び本件協会の卒業生らに対して連絡を取る手段として,極めて重要である。原告らは,上記卒業生らに対し,本件名簿情報を利用して通知等を発送し,回答のあった卒業生らに必 要な講習等を行い,またその対価として会費等を振り込ませているのであって,本件名簿情報は,原告らの事業活動に有用な情報である。被告らが,本件名簿情報を利用して,原告会社及び本件協会の卒業生らに対して通知等を発送していることも,本件名簿情報が事業活動に有用な情報であることを裏付けるものである。 したがって,被告らは,不正競争防止法 本件名簿情報を利用して,原告会社及び本件協会の卒業生らに対して通知等を発送していることも,本件名簿情報が事業活動に有用な情報であることを裏付けるものである。 したがって,被告らは,不正競争防止法2条1項4号に該当する所為(不正競争)を行ったもので,同法3条1項及び2項に基づく責任を負う。 以上より,原告会社は,被告らそれぞれに対し,同法2条1項4号及び3条に基づき,本件名簿情報の使用及び開示の差止め,並びに本件名簿の廃棄を求める。 (3) 本件請求2(1)(原告甲の被告協会に対する「全国整体療術師協会」を含む名称の使用の差止め及び「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続請求)についてア不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく請求について本件協会は,形式上は団体としての組織を備え,代表者として原告甲が存在した。しかし,実際には多数決の原則は行われておらず,代表の方法,総会の運営,財産の管理,その他団体としての主要な点が確定していなかったものであって,総会等は当然に開催されておらず,財産の管理等は専ら原告甲が行っていた。本件協会のシステムは,原告甲の影響力に依拠しており,原告甲が代表者でなければ成り立たないものであった(本件協会は,東京整体療術学院の学費を全額納めた者を「療術師」として認証し,いわば格式を与えていたのであり,その後に会費や保険料を支払った会員には,原告甲から講義や実演のフォローを受けられるという特典があった。)。 上記事情のもとでは,「全国整体療術師協会こと甲」ということができるところ,原告甲である本件協会の案内は,東洋総医研・東京整体療 術学院の卒業生に対して送付することとしており,これまでに卒業生3800人に同案内が送付された。また,会員等に対しても,随時,案内を送付するこ る本件協会の案内は,東洋総医研・東京整体療 術学院の卒業生に対して送付することとしており,これまでに卒業生3800人に同案内が送付された。また,会員等に対しても,随時,案内を送付することとしており,原告甲は,平成25年度は,東洋総医研・東京整体療術学院の卒業生約500人に本件協会の案内を送付した。本件協会の現在の会員(年会費等を納めた者が会員となる。)は,約300人であり,全国に存在する。 このように,整体に関する業界において,「全国整体療術師協会」(本件協会)の名称は全国において需要者の間に広く認識されている。被告らが,本件協会の名称を使用して,卒業生らに通知等を送付したのも,同名称が周知性を有するからである。 そして,被告協会は,本件協会と同一の名称ないし「全国整体療術師協会」を含む類似の名称を使用して,本件協会こと原告甲との混同を生じさせているものである(不正競争防止法2条1項1号)。 イ民法709条(一般不法行為)に基づく請求について原告甲は,商行為を行っておらず,いわゆる商人ではないが,本件協会の創設者及び主催者であって,「全国整体療術師協会」の名称をもって,これまで事業を行ってきた。 しかるに,被告らは,原告らの了承なく,勝手に「全国整体療術師協会」の名称を利用して,本件協会の卒業生らに対し,あたかも被告らが本件協会であるかのような外観を作出して通知等を行い,主体の混同を生じさせて卒業生らから会費等を受領し,本来,本件協会が受領すべき会費等を得られなくしていることから,被告らが受領する金員と同額の損害を本件協会こと原告甲に与えており,これは不法行為に該当する。 したがって,原告甲は,被告協会に対し,「全国整体療術師協会」の名称の使用の差止等をなし得る。 ウ以上より,本件協会こと原告甲は,被告協 件協会こと原告甲に与えており,これは不法行為に該当する。 したがって,原告甲は,被告協会に対し,「全国整体療術師協会」の名称の使用の差止等をなし得る。 ウ以上より,本件協会こと原告甲は,被告協会に対し,不正競争防止法 2条1項1号及び3条,又は民法709条(一般不法行為)に基づき,「全国整体療術師協会」を含む名称の使用の差止め,並びに「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続を求める。 (4) 本件請求1(3)(原告会社の被告らに対する損害賠償請求)及び本件請求2(2)(原告甲の被告らに対する損害賠償請求)についてア被告らの行為について被告らは,①原告らの承諾を得ることなく,原告ら及び本件協会の名称等を不当に利用する目的で,(a)被告会社及び(b)被告協会を設立し,②本件名簿情報を勝手に利用して,(a)あたかも被告協会が本件協会から組織変更して,被告協会の名誉会長に原告甲が就任したかのような虚偽の案内書(平成23年2月吉日付けご挨拶状)を原告会社の卒業生らに送付したり,(b)被告協会の会長を原告甲の二男であるEに任せることになった旨記載した文書(同年7月吉日付け書面)を送付したりし,③(a)「東洋総医研」又は(b)「全国整体療術師協会」の名称で,会員らから会費や保険金名目で少なくとも合計300万円以上を収受し,④原告会社の取締役等の変更を画策するなどして,原告らに損害を与えた。 イ原告会社の損害賠償請求について(ア) 不正競争防止法2条1項1号及び4条に基づく請求について被告らは,上記アのとおり,自らが原告会社であるかのごとき外観を作出し,原告会社の卒業生ら,東洋総医研・東京整体療術学院の生徒らに対し,混同を生じさせる行為を行った。すなわち,「東洋総医研」の名称は,全国において需要者の ,自らが原告会社であるかのごとき外観を作出し,原告会社の卒業生ら,東洋総医研・東京整体療術学院の生徒らに対し,混同を生じさせる行為を行った。すなわち,「東洋総医研」の名称は,全国において需要者の間に広く認識されている商号ないし名称であるからこそ,被告らは,「東洋総医研」という同一の名称を使用し,混同を生じさせたのである。 したがって,被告らは,原告会社に対し,不正競争防止法2条1項1号及び4条に基づく損害賠償責任を負う。 (イ) 民法709条(一般不法行為)に基づく請求について被告らの行為は,不当な利益を得ようとして,「東洋総医研」の名称を不正に用い,原告会社に損害を与える行為であることが明らかであるから,被告らが,原告会社に対して,一般不法行為に基づく責任を負うことはいうまでもない。 ウ原告甲の損害賠償請求について被告らは,原告らの了承なく,勝手に「全国整体療術師協会」の名称を利用して,本件協会の卒業生らに対し,あたかも被告らが本件協会であるかのような外観を作出し,通知等を行い,主体の混同を生じさせ,卒業生らから会費等を受領し,本来,本件協会が受領すべき会費等を得られなくしていることから,被告らが受領する金員と同額の損害を本件協会こと原告甲に与えており,これは不法行為に該当する(前記(3)イ)。 被告らとしても,原告甲の名前を利用しなければ,金員を集めることができないことを認識していたからこそ,原告甲に被告協会の名誉会長の肩書をつけて金員を徴収しているのであって,被告らに不正の目的があることは明らかである。 そして,被告らは,上記不正の目的で,被告協会を設立した上で,金員を徴収しているため,原告甲が会員に対し行っていた講義や実演等のフォローを一切していない。そのため,原告甲は,被告協会に会費等を支払っ して,被告らは,上記不正の目的で,被告協会を設立した上で,金員を徴収しているため,原告甲が会員に対し行っていた講義や実演等のフォローを一切していない。そのため,原告甲は,被告協会に会費等を支払っている者からクレームを受けるなどしている。原告甲は,本来入ってくるべき会費を利用して,講義や実演のフォロー,保険会社への納付をしなければならないところ,これらがまったくできない状態となっており,損害を被っている。 したがって,被告らは,本件協会こと原告甲に対し,不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を負う。 エ原告らの損害の額について 被告らは,会費や保険金名目で合計300万円以上を収受して原告らが得られたはずの利益を奪ったところ,原告らが被った損害は,被告らが原告会社や本件協会こと原告甲の名称や名前を利用して得た利益と同額であって,原告会社と原告甲の損害額の割合は,5対5ということができる。 オまとめ以上より,原告会社は,被告らに対し,不正競争防止法2条1項1号及び4条,又は民法709条(一般不法行為)に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め,原告甲は,被告らに対し,民法709条(一般不法行為)に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (5) 被告らの主張に対する反論ア被告らは,本件契約に基づく事業承継のため,原告甲との合意に基づき,被告会社及び被告協会を設立した旨主張する。 しかし,事業の引継ぎのために,原告甲の同意の下に新たに被告会社を設立するなどという話はなく,被告ら主張の合意は存在しない。被告Cの案は,「有限会社で ,被告会社及び被告協会を設立した旨主張する。 しかし,事業の引継ぎのために,原告甲の同意の下に新たに被告会社を設立するなどという話はなく,被告ら主張の合意は存在しない。被告Cの案は,「有限会社であった原告会社を株式会社化する」というものであり,原告甲を役員から外すということは計画にはなかったし,同様に,「本件協会を社団法人化する」などという話も一切なかった。 本件協会の業務については,全国の卒業生に対するケアという原告甲の大事な事業であり,それだけは他人に任せることはできないと念を押しており,このことは,本件覚書に本件協会に関する署名欄がないことによっても,裏付けられるところである。 本件契約の目的は,原告甲が行っていた原告会社の教育事業を継続す ることにあり,そのことに被告Cたちが協力すること,そのために,当分の間,原告甲が権限を持ちながら被告Cを育て,将来的に安定してから,被告Cを後継者とすることを考えようというものにすぎない。 イ原告甲は,被告Cたちの勝手な行為により,これまで培った原告らの事業に対する信頼を失っては困ると考え,平成23年2月,被告クレテックの代表取締役であったFと面会し,「教育事業と卒業生の関係は別,卒業生との関係はこれまでの子弟間の信頼に基づくもので手を出さないように」と申し出たが,Fはこれに応じず,本件契約で定めた利益の折半や約束を守らなかった。 そこで,原告甲は,同月頃,被告Cたちと袂を分かつこととし,本件契約の共同事業を解消した。 なお,解除の正式な通知は,平成23年10月17日付け通知書を被告らに送付した(前記前提事実(6))。 もっとも,解除の有無にかかわらず,原告らは,上記被告らの行為により損害を被ったものであるから,被告らは,原告らに対する損害賠償責任を免れない。 被告らに送付した(前記前提事実(6))。 もっとも,解除の有無にかかわらず,原告らは,上記被告らの行為により損害を被ったものであるから,被告らは,原告らに対する損害賠償責任を免れない。 4 被告らの主張(1) 原告甲は,原告会社の取締役であり,「全国整体療術師協会」,「東京整体療術学院」の名で漢方経絡整体術を指導していたが,平成20年以降は休業状態であった。 原告甲は,平成22年7月当時,既に高齢であり,上記のとおり原告会社は休業状態にあったため,生活に困窮し,生活保護の受給を希望しているとして,自身は引退し,被告クレテック及び被告Cに事業の再建を頼みたい旨要請した。 そこで,原告甲と,被告クレテック及び被告Cは,同年10月19日,本件契約を締結し,双方協議の上,原告甲の事業を被告クレテック及び被 告Cが承継するため,多額の債務を負っている原告会社とは別に,被告クレテックの出資により新たに被告会社を設立し,また,本件協会を法人化し,被告Cを中心に原告甲の事業を再建することとなった。 したがって,被告会社の設立(同年12月14日)及び被告協会の設立(平成23年1月20日)は,いずれも原告甲との合意に基づいて行われたものである。 (2) 本件契約の締結,並びに被告会社及び被告協会設立に至る経緯は,次のとおりである。 平成22年7月,被告Cたちは,両国のG治療院(院長のG〔以下「G」という。〕は,原告甲の弟子である。)において,居合わせたH(以下「H」という。)から原告甲を紹介された。その際,Hと原告甲が共同で東京整体療術学院の運営を行うとの話を聞いた。数日後,原告甲から,Hが原告甲の面倒をみるという名目で金をだまし取っており,助けてほしいとの相談を受けた。原告甲から,自身が高齢で東京整体療術学院の運営はできない 術学院の運営を行うとの話を聞いた。数日後,原告甲から,Hが原告甲の面倒をみるという名目で金をだまし取っており,助けてほしいとの相談を受けた。原告甲から,自身が高齢で東京整体療術学院の運営はできないし,定期収入もないため,生活が困窮し,生活保護を受給して老後の生活を送りたい,東京整体療術学院の事業を,以前警視庁の武道師範をしていた被告Cに譲り,自身は名誉会長の立場にしてもらいたいとの要請があり,被告Cたちは,同事業の承継の準備を始めた。 ところが,原告甲が以前に大阪の「とこわか会」及びGとの間で東京整体療術学院の共同運営についての契約を交わしていること,原告甲がこの契約を履行しないため,「とこわか会」及びGから損害賠償請求を受けていることが判明した。そこで,被告CたちがGたちと交渉したところ,被告Cたちが原告甲から事業を引き継ぎ,その事業の利益の原告甲への分配金から賠償金の支払をしていく旨の合意が成立したことから,原告甲と被告Cたちとの間の東京整体療術学院の共同事業及び事業承継に関する契約である本件契約が締結された。同契約では,東京整体療術学院が再稼働する までの経費を原告甲が負担することになっていたが,原告甲は30万円を出捐したのみで,その他の経費は被告らが出捐せざるを得なかった(なお,この30万円は,後日,原告甲の強い要請に基づいて返却したが,原告甲が生活保護受給者であることから,その二男であるEに返金した。)。 事業の引継にあたっては,原告甲の事業を総括していた原告会社に税金等多額の債務があったこと,その代表者である原告甲が生活保護受給者であったことから,原告会社をそのまま承継するのではなく,原告甲の同意のもと,新たに被告会社を設立し(出資金,経費は,すべて被告クレテックが出捐した。),その代表取締役に被告C,被告 生活保護受給者であったことから,原告会社をそのまま承継するのではなく,原告甲の同意のもと,新たに被告会社を設立し(出資金,経費は,すべて被告クレテックが出捐した。),その代表取締役に被告C,被告B及び被告Aが就任した。 その際,原告甲から,多額の債務のある原告会社の取締役から妻のD及び二男のEを外してくれとの要請があったため,両名が原告会社の取締役を辞任する旨の登記手続をしたものである。 また,原告甲が主催していた本件協会についても,原告甲が「今後はしっかりした組織にして行きたい」旨要望したことから,一般社団法人化し,被告協会とした。 (3) 被告協会の活動等は,次のとおりである。 ア被告らは,既に述べたように組織体制を整備し,事業の再開のため,損害保険会社に対し,本件協会から被告協会に引き継ぎ,同一事業を行う旨の通知をし(乙7),原告甲から交付を受けた会員の名簿に基づき,挨拶状(甲8)を出し,会員に会費及び損害保険料の支払を求めた。 被告らが事業を引き継いだ際には,上記名簿には約400名が載っていたが,数年間の休業状態があったため,被告らが連絡をとっても70パーセントから80パーセントが住所不明で返送され,結局,平成23年3月31日(被告会社及び被告協会が原告らの事業を再建し,引き継いだ時点)から平成24年3月30日までの被告協会の会員(会費年額1万5000円,賠償責任補償保険料1万5750円を納入した者)は 106名で,納入会費の総額は159万円であった(乙1)。事務所人件費(事務員2名の給料)は平成23年3月から同年6月までの4か月間で合計189万8000円であり(同年7月以降,事務員はいない。),その他に家賃等の事務所経費がかかっている(乙6)。 イ平成24年3月31日から平成25年3月31日までの会員は 月までの4か月間で合計189万8000円であり(同年7月以降,事務員はいない。),その他に家賃等の事務所経費がかかっている(乙6)。 イ平成24年3月31日から平成25年3月31日までの会員は39名で,納入会費の総額は58万5000円である(乙2)。 ウ平成25年3月31日以降の会員は30名である(乙3)。 (4) 原告らは,被告らが本件契約に違反した旨主張するが,以下に述べるとおり,むしろ,本件契約における共同事業及び事業承継の約定に違反したのは原告らであり,そのために被告会社及び被告協会は多大な損害を被った。すなわち,原告らは,平成23年10月17日付けで本件契約の解除の通知を被告らに送付してきたが,原告甲は,それ以前に被告Cたちとの本件契約に違反して,被告Cたちの了承を得ず,「漢方整体全国整体療術師協会本部」などの名前で本件協会の会員を募集し始め,被告協会に登録した会員にも,原告らの口座に会費,損害保険料を納付するよう求めた。そのため,被告協会の会員は3分の1に減ずることになり,平成24年3月31日以降の会員(会費納入者)が減少したのである。 第3 当裁判所の判断 1 本件請求1(1)(原告会社の被告会社に対する「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め及び「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続請求)について(1) 不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく請求についてア原告会社の主張は,「東洋総医研」との表示は,原告会社の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識されているもの(以下「周知営業表示」という。)に当たるところ,被告会社は,同表示と同一又は類似の表示を商号の一部又は全部に使用し,原告会社の営業と混同を生じさせ ているという趣旨のものと理解される。 イしかし,以下のとおり,本件全 当たるところ,被告会社は,同表示と同一又は類似の表示を商号の一部又は全部に使用し,原告会社の営業と混同を生じさせ ているという趣旨のものと理解される。 イしかし,以下のとおり,本件全証拠によっても,「東洋総医研」との表示を原告会社の周知営業表示と認めることはできない。 (ア) 甲第5号証は,原告らが,作成日を特定することなく,原告会社作成の「パンフレット」の写しとして提出した書証であり,「東洋総医研」との表示が原告会社の周知営業表示であることに関して原告らから提出された唯一の客観的証拠である(なお,原告らは,同号証の原本を提出していないばかりか,同号証のほかには,同表示の営業表示性や周知性,同表示の主体が原告会社であることの裏付けとなり得る客観的証拠を全く提出していない。)。 ところが,同号証には,「東洋総医研」,「東京整体療術学院」,「東洋総医研・東京整体療術学院」などの記載はあるものの,「有限会社東洋総医研」との記載は見当たらず,原告会社が同号証記載の「東京整体療術学院」又は「東洋総医研・東京整体療術学院」の経営主体であるか否かはもとより,そもそも作成名義人が原告会社であることすら明らかでない。 同号証には,「2002年6月改訂」との記載があるから(5枚目),原告会社の設立後であり,かつ,商号変更後である平成14年6月以降に作成されたものと考えられるが,それにもかかわらず,原告会社の現在の商号である「有限会社東洋総医研」との記載がないことは,同号証記載の「東京整体療術学院」又は「東洋総医研・東京整体療術学院」の経営主体が原告会社ではなく,また,同号証の作成名義人が原告会社でないことを推認させる事情とさえいえる(現に,原告会社が「東京整体療術学院」又は「東洋総医研・東京整体療術学院」の経営主体であったこと 営主体が原告会社ではなく,また,同号証の作成名義人が原告会社でないことを推認させる事情とさえいえる(現に,原告会社が「東京整体療術学院」又は「東洋総医研・東京整体療術学院」の経営主体であったことを示す客観的証拠は,全く提出されていない。)。 したがって,同号証をもって,「東洋総医研」との表示が原告会社 の周知営業表示であると認めることは,困難である。 なお,付言すれば,同号証には,原告甲の写真とともに,「全国整体療術師協会会長」,「東洋総医研東京整体療術学院院長」,「中国黒龍江中医薬大学名誉教授」,「中国長春中医薬大学名誉教授」との肩書を付記した「学長甲」との記載があり(2枚目。5枚目にも同旨の記載がある。),昭和57年3月20日付け「認定証」(「漢方整体院 I殿」に対するもので,「全国整体療術師協会名誉教授」,「黒龍江中医薬大学教授主任医師伝統医学博士」との肩書を付記した「名誉学長 J」の記名押印,「全国整体療術師協会会長」,「東洋総医研東京整体療術学院院長」,「中国黒龍江中医薬大学名誉教授」との肩書を付記した「学長甲」の記名押印がある。)の写真が掲載されており(4枚目),これらの記載等と弁論の全趣旨を総合すれば,具体的にどの程度の頻度及び態様で使用していたのかは明確でないものの,原告甲が「東洋総医研」との表示を,原告会社の設立前である昭和57年3月20日頃から使用していたことがうかがわれるところではある。しかし,そのような事実があったとしても,直ちに「東洋総医研」との表示を原告甲の営業を表示するもの(以下「営業表示」という。)と認めることはできない。また,仮に,同表示が原告甲の営業表示であったとしても,そのことをもって,同表示を原告甲とは法人格の異なる原告会社の営業表示と認めることはできない。 (イ) 原 という。)と認めることはできない。また,仮に,同表示が原告甲の営業表示であったとしても,そのことをもって,同表示を原告甲とは法人格の異なる原告会社の営業表示と認めることはできない。 (イ) 原告甲本人は,原告ら代理人の「東洋総医研とか全国整体療術師協会のこれまでの歴史についてお聞きしますけど,何年前ぐらいからあるんですか。」との質問に対し,「定かではないけれども,大体約50年,もう今年でちょうど50年ぐらいになります。」と供述し,裁判官の「奥さんと息子さんが辞めた話ではなくて,あなたが事業を始められた当時のことを聞いています。」との質問に対し,「始めたのは,そ の3人で始めたわけです。」と,「有限会社東洋総医研を設立して事業を始めたということでいいですか。」との質問に対し,「そうですね。 はい。」と,「設立はいつですか。」との質問に対し,「たしか1965年だと思いますけどね。」と,「1965年に有限会社東洋総医研を設立したということでいいですか。」との質問に対し,「はい。それはみんな文書で残っているから。」と供述している。 しかし,原告甲本人の上記供述中には,明らかに客観的事実と相違し又は整合しない部分がある。例えば,原告会社の設立は昭和63年6月16日であるし(前記前提事実(1)ア),原告甲の二男であるEは,昭和34年10月17日生であり(乙9の1),原告甲本人の供述において3人で事業を開始したとされる昭和40年(1965年)当時,未就学児であったはずである。 また,上記のほかにも,原告甲本人の供述中には,質問を理解しないまま,一方的に自己の見解を述べようとする部分が多々あり,尋問時の年齢(84歳)を考慮しても,原告甲本人が自己の記憶に基づいて事実を誠実に述べようとしていたとは認め難い。 そうすると,ほかに何らの まま,一方的に自己の見解を述べようとする部分が多々あり,尋問時の年齢(84歳)を考慮しても,原告甲本人が自己の記憶に基づいて事実を誠実に述べようとしていたとは認め難い。 そうすると,ほかに何らの客観的裏付けもない原告甲本人の供述をもって,「東洋総医研」との表示が原告会社の周知営業表示であると認めることも困難である(なお,原告甲本人は,別の裁判官の「もともとあなたが始められたのは昭和63年でしたよね。」との質問に対し,「はい。」と供述しているが,これをもって,原告甲本人の供述が全体として信用できると認めることはできない。)。 (ウ) 原告会社は,「東洋総医研」の名称が周知性を有することをうかがわせる事情として,被告らが「東洋総医研」の名で原告会社があたかも組織変更したかのような虚偽の案内書(平成23年2月吉日付け挨拶状)を卒業生らに送付した旨主張する。 しかし,被告らは当該事実を明示的に否認しているところ(被告らの平成25年4月19日付け準備書面(1)2頁),原告らの提出に係る甲第8号証(平成23年2月吉日付け挨拶状)は「東洋総医研」の名で送付されたものではなく,ほかに被告らが原告会社の主張に係る虚偽の案内書を作成し,原告会社の卒業生らに送付したことを裏付ける的確な証拠はない。 (エ) 上記検討したところによれば,甲第5号証及び原告甲本人の供述に基づいて,「東洋総医研」との表示が原告会社の営業を表示するものとして需要者の間に周知となっていると認めることはできず,ほかに当該表示を原告会社の周知営業表示と認めるに足りる証拠はない。 ウ以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,原告会社の被告会社に対する不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め及び「株式会社東洋総医研」と 。 ウ以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,原告会社の被告会社に対する不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め及び「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続請求は,いずれも理由がない。 (2) 商法12条に基づく請求について商法12条にいう「商人」には「会社」は含まれず(同法11条1項),原告会社は「会社」であるから,同法12条の適用はない。したがって,原告会社の商法12条に基づく請求は,主張自体失当である。 (3) 会社法8条に基づく請求についてア会社法8条は,「不正の目的」をもって他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならないとし,当該使用行為によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれのある会社は,このような使用行為に対して差止めを請求することができる旨を規定するところ,同条にいう「不正の目的」は,他の会社の営業と誤認させる目的,他の会社と不正に競争する目的,他の会社を害する目的など,特定の目的のみに限定されるものではないが,不正な活動を行う積極的 な意思を有することを要するものと解するのが相当というべきである(知財高裁平成19年6月13日判決・判タ1294号163頁参照)。 イこれを本件についてみるに,前記前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 平成22年当時,①原告会社は,事実上休眠状態であったばかりか,長年にわたり多額の税金を滞納し,相当額の債務を負っていたところ,②原告甲は,自身の収入がほとんどなく,生活保護の受給を希望していた一方,③D及びE(原告甲の元妻及び二男)に一定の収入又は資産があったことから,原告甲は,両名に対する責任追及を回避するため,両名につき原告会 自身の収入がほとんどなく,生活保護の受給を希望していた一方,③D及びE(原告甲の元妻及び二男)に一定の収入又は資産があったことから,原告甲は,両名に対する責任追及を回避するため,両名につき原告会社の取締役の辞任登記手続を行う必要があるとの認識を有していた(甲18,乙8,9の1・2,10,上記認定に反する部分を除く原告甲本人及び被告A本人)。 (イ) 原告甲と被告クレテック及び被告Cとの間で締結された本件契約における共同事業(以下「本事業」という。)の対象は,「学院卒業生のアフターフォロー」及び「新規学院生徒の獲得及び指導」であるところ,前者に関しては,「技術の再指導・運営店舗のコンサルティング・新規店舗開発に関するコンサルティング・損害保険の取りまとめ」といった業務内容を基本として,それに伴う付帯内容についても三者(原告甲,被告クレテック及び被告C)にて協力して行っていくものとされており(本件覚書第1条),原告甲は「整体施術に関する技術指導」を,被告クレテックは「学院運営における事務局」を,被告Cは,「甲(原告甲)の技術指導サポート及び甲(原告甲)の行う全事業の継承者として当学院の施術技術向上に努め」,「併せて当学院の卒業生で形成される全国整体療術師協会(本件協会)の運営を甲(原告甲)より継承し乙(被告クレテック)・丙(被告C)にてあたる」ものとされていた(同第2条)(前記前提事実(5)・別紙3)。 (ウ) 被告クレテックの平成22年当時の代表取締役であったFのほか,被告C,被告A及び被告Bは,被告会社の設立手続に関与し,Fが被告会社の資本金300万円を出資した(被告A本人,弁論の全趣旨)。 本件契約では,本事業に関する経費については,原告甲と被告クレテックにて二分の一ずつ負担し,本事業が正式に再稼働をして授業料 Fが被告会社の資本金300万円を出資した(被告A本人,弁論の全趣旨)。 本件契約では,本事業に関する経費については,原告甲と被告クレテックにて二分の一ずつ負担し,本事業が正式に再稼働をして授業料等の入金があるまでは原告甲にて負担することとされていたが(本件覚書第4条),原告甲が負担したのは30万円のみであった(もっとも,この30万円についても,後に,原告甲の生活保護受給の妨げにならぬよう,原告甲の二男であるEを通じて原告甲に返還された。)(乙4,10,原告甲本人,被告A本人)。 ウ前記前提事実及び上記イの認定事実によれば,原告甲は,従前行っていたすべての事業を被告クレテック及び被告Cに承継させて,同事業を再稼働させた上,将来的にその利益を被告クレテック及び被告Cと折半することを期待して,被告クレテック及び被告Cとの間で本件契約を締結することとし,そのために本件覚書に署名押印したものと推認するのが相当である。 そして,被告クレテック及び被告Cは,本件契約に従って本事業を継承しようとするに当たり,原告会社が多額の負債を抱えていたことを踏まえ,原告会社をそのまま活用するのではなく,受け皿として被告会社を新たに設立することとし,その設立(なお,その手続には,被告クレテックの代表取締役であったF及び被告Cのほか,被告A及び被告Bが関与した〔被告A本人〕。)に際し,事業承継をスムーズに進めるため,原告会社の商号の要部である「東洋総医研」を含む「株式会社東洋総医研」との商号を用いたものであって,原告会社の代表者であった原告甲も,当然,これを了承していたものと推認するのが相当である。 そうすると,被告会社が「東洋総医研」を含む「株式会社東洋総医研」 との商号を使用することについて,会社法8条所定の「不正の目的」があったと認め 承していたものと推認するのが相当である。 そうすると,被告会社が「東洋総医研」を含む「株式会社東洋総医研」 との商号を使用することについて,会社法8条所定の「不正の目的」があったと認めることは,困難といわざるを得ない。 エこの点について,原告らは,本件覚書(甲7)には,事業承継のために,被告会社や被告協会を設立する旨の定めはないと主張する。 しかし,上記ウのとおり,原告会社に多額の負債があったことなどの事情にかんがみて,新たに別法人を立ち上げた上,当該別法人において事業を行う必要性があった旨の被告らの主張は,相当程度合理性があるし,原告らの提出に係る被告会社の代表取締役としての被告Cの名刺(甲6の1,2),被告会社の名誉会長としての原告甲の名刺(甲10の1),被告会社の事務局長としての被告Aの名刺(甲10の2)の存在に照らせば(いずれについても,被告会社の商号が記載されている。),これらの名刺の作成日や原告甲の受領日が明らかでないことを考慮しても,被告会社の設立を原告甲が知らなかったとは考え難い(原告甲の了解なく,F,被告C,被告A及び被告Bが被告会社の設立手続を進めたとすれば,原告甲によって上記名刺が入手される事態が生じることをできるだけ回避しようとするはずである。また,原告らから何らの説明もされていない以上,これらの名刺は,F,被告C,被告A又は被告Bが原告甲に交付したものと推認するのが合理的である。)。 また,原告らは,被告協会を設立するつもりがなかったことの裏付けとして,本件覚書(甲7)において本件協会に関する署名欄が設けられていないことを主張するが,そもそも,本件協会が法人格の主体たり得ない団体であったことは,原告らが自認するとおりであり,本件協会に関する署名欄がないことは,むしろ当然である。 さらに, が設けられていないことを主張するが,そもそも,本件協会が法人格の主体たり得ない団体であったことは,原告らが自認するとおりであり,本件協会に関する署名欄がないことは,むしろ当然である。 さらに,平成23年(月日は空欄)付けで日本興亜損害保険株式会社に宛てた「事業内容の継承及び同一性に関する確認書」の写し(同社からファクシミリ送信されたもの)(乙7)には,「全国整体療術師協会(会 長甲)は平成23年1月20日をもって法人化し,一般社団法人全国整体療術師協会(代表理事 C忠幸)として同日より,引き続き同一の事業(整体術の社会普及)をおこなうことを確認いたしました。」と記されているところ,原告甲本人は,同確認書について,被告代理人の「これは覚えてますか。つまり団体保険を切り替えるために興亜損保にだしたやつなんですけれども,知ってますか。」との質問に対し,「後からこういうものを見たことありますね。」と供述し,その後,裁判官の「先ほどこの書類を見たことがあるというふうに被告代理人の質問に対して答えましたけれども,押印した覚えはありますか。」との質問に対し,「これ,今度変わったといって,結局,私がそれに関知してない文書ですね。」と供述し,裁判官の「お聞きしたいのは,押した覚えがあるかどうかですが。」との質問に対し,「押した覚えない,ありません。こんなのに押すわけないです。」などと供述している。ところが,本件覚書では,既に見たとおり,本件協会(なお,本件協会が団体保険契約の窓口になっていたことは,原告らの自認するところである。)の運営を被告クレテック及び被告Cに委ねることが明示されているのであって,同確認書の内容は,これに沿うものであることからすれば,同確認書の成立を争う原告甲の上記供述は,相当に不自然であるといわざるを得ない。か クレテック及び被告Cに委ねることが明示されているのであって,同確認書の内容は,これに沿うものであることからすれば,同確認書の成立を争う原告甲の上記供述は,相当に不自然であるといわざるを得ない。かえって,被告らの提出に係る証拠(乙1,4,5)及び弁論の全趣旨によれば,平成23年3月頃からは,整体療術師賠償責任補償制度の運用を被告協会が行っていたことが認められるところ,このことは,同確認書に基づき正式に本件協会から被告協会へ手続が行われたとする被告らの主張に沿うものであることなどからすれば,同確認書に関する被告A本人の供述は,概ね信用に値するものといえる。そうすると,同確認書は,原告甲の意思に基づいて作成されたものと推認するのが相当である。 上記検討したところによれば,本件覚書に被告会社や被告協会を設立 する旨の文言が直接記載されていないからといって,これらが本件契約の内容に含まれないと直ちに認めることはできず,他に不正の目的があったと認めるに足りる証拠はない。 オ以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,原告会社の被告会社に対する会社法8条に基づく「東洋総医研」を含む商号の使用の差止め及び「株式会社東洋総医研」との商号の抹消登記手続請求は,いずれも理由がない。 2 本件請求1(2)(原告会社の被告らに対する本件名簿情報の使用及び開示の差止め並びに本件名簿の廃棄請求)について(1) 原告らの平成24年11月16日付け訴状訂正申立書の別紙の記載によれば,本件名簿情報は,「整体療術師賠償責任補償制度申込連絡票(全国整体療術師協会用)」と題され,始期を「2011年3月31日」とする「整体療術師賠償責任補償制度」なる保険の申込者の一覧に記載された会員氏名,住所等の情報であることがうかがわれる(証拠〔乙1,被告A 整体療術師協会用)」と題され,始期を「2011年3月31日」とする「整体療術師賠償責任補償制度」なる保険の申込者の一覧に記載された会員氏名,住所等の情報であることがうかがわれる(証拠〔乙1,被告A本人〕もこれに沿うものである。)。そして,同申込連絡票が保険の申込者の一覧であることからすれば,その性質上,少なくとも同保険の引受会社やその代理店に対して秘密にされるべきものではないと考えられるところ,原告らは,引受会社や代理店に守秘義務を課していたことにつき何ら主張立証しない(なお,原告らは,民事訴訟法92条1項2号に基づく閲覧等制限の申立てさえしておらず,このこと自体,本件名簿情報に営業秘密性がないことをうかがわせる事情の一つであり,弁論の全趣旨として考慮すべきであるといえる。)。 また,原告甲本人は,原告ら代理人の「Cさんたちとかと知り合ったときに,どうやって管理していたんですか。」との質問に対し,「場所を借りとるために,要するに鍵から何からみんなG氏が持っていたから,これはもう何されても分からない状態なんです,憶測すれば。」と供述し,原告ら 代理人の「かばんの中にしまってて,Cさんたちにそれを見せたことはありますか。」との質問に対しても,「現場は見ていませんから,確信を持って言えないけれども,Gさんの娘さんに名簿を全部いろいろ整理のために預けたことはあります。」と供述するばかりで,「G氏」にきちんと管理を委託していたとか,「Gさんの娘さん」に守秘義務を課していたなどとは供述していないのであって,原告甲が,本件名簿情報及び本件名簿を業務に用いるに当たり,特段の秘密管理をしていたと認めることは,困難である。 以上のほか,本件全証拠を検討しても,本件名簿情報が原告会社の営業秘密であると認めることはできない。 (2) よって を業務に用いるに当たり,特段の秘密管理をしていたと認めることは,困難である。 以上のほか,本件全証拠を検討しても,本件名簿情報が原告会社の営業秘密であると認めることはできない。 (2) よって,その余の点について検討するまでもなく,原告会社の被告らに対する不正競争防止法2条1項4号及び3条に基づく本件名簿情報の使用及び開示の差止め並びに本件名簿の廃棄請求は,いずれも理由がない(なお,原告らの主張中には,原告甲が不法行為に基づき本件名簿につき差止めをなし得るとする部分があるが〔原告らの平成25年4月19日付け準備書面4頁〕,原告らは,第5回口頭弁論期日において,平成24年11月16日付け訴状訂正申立書に言及することにより,本件請求1(2)の請求主体は原告会社であって,原告甲でないことを明らかにした。)。 3 本件請求2(1)(原告甲の被告協会に対する「全国整体療術師協会」を含む名称の使用の差止め及び「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続請求)について(1) 不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく請求についてア原告甲の主張は,「全国整体療術師協会」との表示は,本件協会こと原告甲の周知営業表示に当たるところ,被告協会は,同表示と同一ないし類似の表示を名称の一部又は全部に使用し,本件協会こと原告甲の営業と混同を生じさせているという趣旨のものと理解される。 イしかし,本件全証拠によっても,「全国整体療術師協会」との表示を原 告甲の周知営業表示と認めることはできない。 前記1(1)イ(ア)で見たとおり,甲第5号証には,「全国整体療術師協会会長」との肩書を付記した「学長甲」などの記載(2枚目,4枚目,5枚目)があるところ,これと弁論の全趣旨を総合すれば,具体的にどの程度の頻度及び態様で使用していた 5号証には,「全国整体療術師協会会長」との肩書を付記した「学長甲」などの記載(2枚目,4枚目,5枚目)があるところ,これと弁論の全趣旨を総合すれば,具体的にどの程度の頻度及び態様で使用していたのかは明確でないものの,原告甲が「全国整体療術師協会会長」との表示を使用して活動していたことはうかがわれるところではある。しかし,そのような事実があったとしても,直ちに「全国整体療術師協会」との表示を原告甲の営業表示とは認め難く,まして,同表示を原告甲の周知営業表示であると認めることは困難である。 なお,原告甲は,「全国整体療術師協会こと甲」(本件協会こと原告甲)ということができる旨主張するが,「全国整体療術師協会」との表示を原告甲の周知営業表示であると認めるに足りる的確な証拠はない。この点,原告らが本件協会の定款及び規約を記載したものであるとする作成日不詳の書面の写し(甲15)が提出されているが,同書面には,定款に関して,「第1章」(「第1条」ないし「第6条」)に引き続いて「第3章」(「第13条」ないし「第19条」)が記載され,その後に「第2章」(「第7条」ないし「第12条」)が記載されていたり,規約に関して,定款「第7条」の言及する「第11条」の記載がないなど,その体裁に不自然なところも認められ,同書面の存在によっても,「全国整体療術師協会」との表示が「本件協会こと原告甲」の営業表示であるとは認められない。 ウ以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,原告甲の被告協会に対する不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく「全国整体療術師協会」を含む名称の使用の差止め及び「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続請求は,いずれも理由がない。 (2) 民法709条(一般不法行為)に基づく差止等請求について 術師協会」を含む名称の使用の差止め及び「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称の抹消登記手続請求は,いずれも理由がない。 (2) 民法709条(一般不法行為)に基づく差止等請求について 原告甲は,民法709条(一般不法行為)に基づく差止等も求めているものと解されるが(原告らの平成25年4月19日付け準備書面3頁ないし4頁),同条は,不法行為に基づく金銭賠償を定めた規定であり,仮に,不法行為の成立が認められたとしても,直接同条に基づき,当該不法行為の差止等を請求することができるものではない。民法には,損害賠償について定めている規定(同法709条及び710条)に加え,名誉毀損における原状回復として,損害賠償に代えて又は損害賠償とともに,名誉を回復するのに適当な処分を求めることについて定めている規定(同法723条)があるほか,人格権に基づいて侵害行為の差止等を請求することが認められる場合があるとしても(最高裁昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872号参照),原告甲は,一般不法行為(同法709条)以外には,差止等を請求し得るとする法的根拠を何ら主張していない。 したがって,原告甲の上記差止等請求は,主張自体失当である。 4 本件請求1(3)(原告会社の被告らに対する損害賠償請求)及び本件請求2(2)(原告甲の被告らに対する損害賠償請求)について(1) 原告らの請求の関係について原告会社及び原告甲は,それぞれが,被告らに対し,損害賠償金300万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めているが(訴状1頁),原告らの主張中には,いずれの原告のいずれの被告に対する主張なのかが判然としない部分が多々あるばかりか,あたかも原告甲及び原告会社が被告らに対して連帯債権を有していることを前提としているように見受けられる 主張中には,いずれの原告のいずれの被告に対する主張なのかが判然としない部分が多々あるばかりか,あたかも原告甲及び原告会社が被告らに対して連帯債権を有していることを前提としているように見受けられる部分もあり,原告らそれぞれの請求の原因は,必ずしも明らかでないが,訴状における請求の趣旨の記載に従い,原告会社及び原告甲が,それぞれ(別々に),被告らに上記損害賠償金及び遅延損害金の連帯支払を求めているものとして(なお,原告らの平成24年11月16日付け訴状訂正申立書,平成25年3月1日付け準備書面及び同年4月19日付け準備書 面によれば,原告会社は,不正競争防止法2条1項1号及び4条,又は民法709条に基づく損害賠償請求をしており,原告甲は,専ら民法709条に基づく損害賠償請求をしているものと理解される。),検討する。 (2) 原告会社の被告らに対する損害賠償請求についてア不正競争防止法2条1項1号及び4条に基づく損害賠償請求について原告会社が被告らのいかなる行為をもって原告会社に対する不正競争行為であると主張しているのかは,必ずしも明らかではないが,原告らの平成24年11月16日付け訴状訂正申立書,平成25年3月1日付け準備書面及び同年4月19日付け準備書面の記載等を善解すれば,原告会社は,原告らの主張に係る前記第2の3(4)アの行為のうち,被告協会の設立(同①(a))に関して,「東洋総医研」との表示が原告会社の周知営業表示となっていたところ,被告らが同表示を要部とする「株式会社東洋総医研」との商号の被告会社を設立して,同表示を使用し,原告会社と混同を生じさせた旨の主張(不正競争防止法2条1項1号)をしているものと理解し得る。 しかし,「東洋総医研」との表示が原告会社の周知営業表示と認められないことは,前記1(1)イ 使用し,原告会社と混同を生じさせた旨の主張(不正競争防止法2条1項1号)をしているものと理解し得る。 しかし,「東洋総医研」との表示が原告会社の周知営業表示と認められないことは,前記1(1)イで見たとおりである。 また,原告会社は,被告会社を除く被告ら(被告協会,被告C,被告B及び被告A)に関して,「東洋総医研」を要部とする「株式会社東洋総医研」との商号の被告会社が設立されたことについて,具体的にどのような関与をし,それがどのような理由で不正競争行為に該当するのかについて,何ら具体的に主張していない。被告C,被告B及び被告Aが被告会社の設立手続に関与したことは認められるものの(被告A本人),被告会社に不正競争行為が成立しないことは既に説示したとおりであるから,原告会社の主張は,その前提を欠いており,採用することができない(被告C,被告B及び被告Aが被告会社の設立手続に関与したことが 一般不法行為〔民法709条〕に該当するという趣旨の主張と解する場合については,下記イにおいて判断する。)。 上記検討したところによれば,不正競争防止法2条1項1号及び4条に基づく原告会社の被告らに対する損害賠償請求は,いずれも理由がない。 なお,原告会社は,不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求の理由としては,被告らによる本件名簿情報の不正取得及び使用〔同法2条1項4号〕を主張していないものと解されるが,仮に,そのような主張をしているとしても,そもそも本件名簿情報に営業秘密性が認められず〔前記3(1)〕,また,「東洋総医研」の名称で会員から金員を収受したとの事実の立証もないから,当該主張は採用の余地がない。 また,原告会社は,原告会社の取締役等の変更の画策(同④)について,不正競争行為としての要件事実を何ら主張していないので,この点 を収受したとの事実の立証もないから,当該主張は採用の余地がない。 また,原告会社は,原告会社の取締役等の変更の画策(同④)について,不正競争行為としての要件事実を何ら主張していないので,この点については,専ら民法709条(一般不法行為)の主張をしているものと解し,下記イにおいて判断する。 イ民法709条(一般不法行為)に基づく損害賠償請求について(ア) 原告会社が被告らのいかなる行為をもって原告会社に対する一般不法行為(民法709条)であると主張しているのかについても,明らかとはいい難いが,原告らの主張に係る前記第2の3(4)アの行為のうち,「東洋総医研」の名称を不当に利用する目的による被告会社の設立(同①(a)),「東洋総医研」の名称を用いて会費や保険金名目で金員を収受したこと(同③(a)),及び原告会社の取締役等の変更を画策したこと(同④)をもって,原告会社に対する被告らの不法行為であると主張しているものと善解し得るので,以下,これらについて検討する。 (イ) 被告会社が「株式会社東洋総医研」との商号により設立されたこと について検討するに(原告会社は,被告らがそれぞれどのように被告会社の設立に関与したと主張するのか,明らかでないが,この点はひとまず措く。),同設立は,前記第3の1(2)エのとおり,本件契約に基づいて行われたものであって,原告会社の唯一の取締役であった原告甲が了承していたものと認められる以上,被告会社の設立に関しては,原告会社の承諾があったものと評価することができる。 したがって,被告C,被告B及び被告Aが被告会社の設立手続に関与したこと(被告A本人)をもって,原告会社に対する不法行為を構成するということはできないし,仮に,被告クレテックが被告会社の設立に何らかの関与をしていたとしても,こ 被告Aが被告会社の設立手続に関与したこと(被告A本人)をもって,原告会社に対する不法行為を構成するということはできないし,仮に,被告クレテックが被告会社の設立に何らかの関与をしていたとしても,これをもって,原告会社に対する不法行為を構成するということはできない。 なお,被告会社は,Fが出資し,被告C,被告B及び被告Aが手続に関与することによって設立された法人そのものであり,被告協会は,被告会社の設立後に設立された法人であるから,いずれも被告会社の設立に関して具体的な行為をすることができる立場にないことが明らかである。 (ウ) 「東洋総医研」の名称を用いて会費や保険金名目で金員を収受したとの主張につき検討するに,上記(イ)のとおり,被告会社が「株式会社東洋総医研」との商号を使用することについては,原告会社の承諾を得ていたものと解するのが相当であるし(なお,後記(3)で検討するとおり,本件契約が有効に解除されたとは認められない。),「東洋総医研」の名称で会員から金員を収受したとの事実の立証もない。 (エ) 被告らが原告会社の取締役等の変更を画策したとの主張につき検討するに,原告会社の取締役であったD及びEについては,平成22年10月28日辞任との登記がされているところ(前記前提事実(1)ア),前記1(3)イ(ア)で検討したところによれば,上記登記手続は,原 告甲の指示に従ってされたものであって,原告会社の意向に反するものではなかったと認めるのが相当であるから,被告会社及び被告協会を除く被告らが同手続に関与していたとしても(なお,同手続は,被告会社及び被告協会の各設立前にされているから,両被告の関与はあり得ない。),これをもって,原告会社に対する不法行為を構成するとは認められない。 ウ以上によれば,原告会社の被告ら ,同手続は,被告会社及び被告協会の各設立前にされているから,両被告の関与はあり得ない。),これをもって,原告会社に対する不法行為を構成するとは認められない。 ウ以上によれば,原告会社の被告らに対する損害賠償請求は,いずれも理由がない(原告らの主張に係る前記第2の3(4)アの行為のうち,被告協会の設立〔同①(b)〕,被告協会の案内書等(平成23年2月吉日付けご挨拶状及び平成23年7月吉日付け書面)の送付〔同②(a),(b)〕及び「全国整体療術師協会」の名称を用いて会費や保険金名目で金員を収受したこと(同③(b))については,本件協会こと原告甲の損害賠償請求に関する主張と解されるので,後記(3)において判断する〔原告会社は,本件協会と原告会社との関係について何ら主張していないから,仮に,原告会社が上記行為をもって原告会社に対する被告らの不正競争行為又は一般不法行為であると主張しているとすれば,当該主張は,主張自体失当である。〕。)。 (3) 原告甲の被告らに対する民法709条(一般不法行為)に基づく損害賠償請求についてア原告甲が被告らのいかなる行為をもって原告甲に対する一般不法行為(民法709条)に該当すると主張しているのかについても,明らかとはいい難いが,原告らの主張に係る前記第2の3(4)アの行為のうち,「全国整体療術師協会」の名称又は原告甲の氏名を不当に利用する目的による被告協会の設立(同①(b)),本件協会が被告協会に組織変更したかのような虚偽の案内書(平成23年2月吉日付けご挨拶状)を原告会社の卒業生に送付したこと(同②(a)),被告協会を原告甲の二男であ るEに任せることになった旨記載した文書(同年7月吉日付け書面)を送付したこと(同②(b)),及び「全国整体療術師協会」の名称を用いて会費や保険金名 (a)),被告協会を原告甲の二男であ るEに任せることになった旨記載した文書(同年7月吉日付け書面)を送付したこと(同②(b)),及び「全国整体療術師協会」の名称を用いて会費や保険金名目で金員を収受したこと(同③(b))をもって,原告甲に対する被告らの不法行為である主張しているものと善解し得るので,以下,これらについて検討する。 イ被告協会が「一般社団法人全国整体療術師協会」との名称により設立されたことについて検討するに(原告甲は,被告らがそれぞれどのように被告協会の設立に関与したと主張するのか,明らかでないが,この点はひとまず措く。),同設立は,前記第3の1(3)エのとおり,本件契約に基づいて行われたものであって,原告甲が了承していたものと認められる以上,被告協会の設立をもって,原告甲に対する不法行為は成立しない。 また,仮に,原告甲が了承していなかったとしても,原告甲は,原告甲と本件協会の関係について的確な主張,立証をしていないのであるから,そもそも,原告甲は,被告らに対し,被告協会の設立に関して何らかの不法行為責任を追及する立場にはないというべきである。 ウ本件協会が被告協会に組織変更したかのような虚偽の案内書(平成23年2月吉日付けご挨拶状)を送付したとの主張及び被告協会を原告甲の二男であるEに任せることになった旨記載した文書(平成23年7月吉日付け書面)を送付したとの主張について検討する。 (ア) 原告甲本人は,平成23年2月吉日付けご挨拶状(甲8)の存在については全く知らされておらず,勝手に原告甲の氏名が使用されている旨の供述をする一方,いつごろこれを聞いたのかについてははっきりと記憶しておらず,「やったという話は聞いとったけど,私もまた確認も取ってません。」などと同挨拶状の送付を放置していたかのよ されている旨の供述をする一方,いつごろこれを聞いたのかについてははっきりと記憶しておらず,「やったという話は聞いとったけど,私もまた確認も取ってません。」などと同挨拶状の送付を放置していたかのような供述もしている。原告甲が同挨拶状の作成・送付を後から知り,しか も,その内容が全く虚偽であったいうのであれば,原告甲にとって相当大変な事態であったと考えられることからすれば,原告甲本人の上記供述は,不自然かつ不合理であり,たやすく信用することができない。 かえって,同挨拶状の内容が被告協会の設立という客観的事実や「事業内容の継承及び同一性に関する確認書」の写し(乙7)の記載とも合致することからすれば,同挨拶状は,本件契約に基づき,原告甲の承諾のもとに,本件協会の会員に対して送付されたものと推認するのが相当である。 (イ) 平成23年7月吉日付け書面(甲13)を被告らが作成・送付したと認めるに足りる的確な証拠はないばかりか,同書面に記載されているように,被告協会の「本部を本拠地富山へ(移転し),本部長を次男Eに任せる」などということをしても,被告協会にとっては何のメリットもなく,専ら原告甲やその二男であるEの利益となることが明らかである。 これらの事情と,同書面が被告協会ではなく,「漢方整体全整協本部」の「会長」である甲及び「総合本部長」であるEの作成名義となっていることや,原告らがK弁護士を通じて本件契約を解除する旨の通知をするに先立って被告Cたちと袂を分かった旨主張していることを併せ考えれば,同書面は,その作成名義どおり,原告甲及びEが作成・送付したものである可能性が極めて高い。 そうとすれば,被告らが主張しているように,本件契約に基づき被告会社や被告協会が設立されたにもかかわらず,原告甲が翻意し,本件契約に違反 告甲及びEが作成・送付したものである可能性が極めて高い。 そうとすれば,被告らが主張しているように,本件契約に基づき被告会社や被告協会が設立されたにもかかわらず,原告甲が翻意し,本件契約に違反して,同書面を作成・送付したものといわざるを得ない。 (ウ) 以上のとおり,原告らが問題とする被告協会の案内書等(平成23年2月吉日付けご挨拶状〔甲8〕及び平成23年7月吉日付け書面〔甲 13〕)については,被告らが虚偽の案内書等として送付したとは認められず,原告甲に対する不法行為は成立しない。 エ 「全国整体療術師協会」の名称を用いて会費や保険金名目で金員を収受したとの主張につき検討するに,被告協会が本件協会の会員から会費及び保険料を収受していたことは被告らも自認しているところではあるが,被告協会が保険の取りまとめを行うことは,本件契約に基づくものであり,そのことについて,原告甲の承諾があったものと認められることは,前記1(3)において検討したとおりである。 したがって,会費や保険金名目で金員を収受したことが違法であるということはできない。 なお,原告甲は,K弁護士を通じて,被告クレテック及び被告Cに対し,本件契約を解除する旨の通知をしているが(前記前提事実(6)),上記ウで検討したところによれば,本件契約に違反したのは,原告甲であって,被告クレテック及び被告Cではないことが認められるから,原告甲により本件契約の解除に理由はないことに帰するものであり,同通知による解除は有効にされたものとは認められない。 この点,原告甲は,平成23年2月頃,被告Cたちが本件契約で定めた利益の折半や約束を守らなかったことから,被告Cたちと袂を分かつこととしたなどとも主張しているが,同月頃に,被告Cたちと事業継承について意見が一致しなかったので 2月頃,被告Cたちが本件契約で定めた利益の折半や約束を守らなかったことから,被告Cたちと袂を分かつこととしたなどとも主張しているが,同月頃に,被告Cたちと事業継承について意見が一致しなかったのであれば,その後,半年以上も放置していたのは不自然であるし,保険契約についての事業の引継ぎ等についても,当然,保険会社に申し入れをするべきであるのに,それもせず,かえって保険契約についての事業が被告協会に引き継がれていることからすれば,原告甲の主張は極めて不合理といわざるを得ない。むしろ,平成23年7月頃に,原告甲が本件契約に違反して本件協会の会員だった者に同月吉日付け書面(甲13)を送付したことを被告らが問題視し たことから,原告甲は,その後である同年10月になって,本件契約を解除する旨の通知を送付したものと推認するのが合理的である。 オ以上検討したところによれば,原告甲の被告らに対する民法709条(一般不法行為)に基づく損害賠償請求はいずれも理由がない(なお,原告甲は,不正競争防止法2条1項1号及び4条に基づく損害賠償請求はしていないと解されるが,仮に,そのような請求をしているとしても,理由がないことは,既に説示したところから明らかである。)。 5 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官嶋末和秀 裁判官鈴木千帆 裁判官西村康夫 帆 裁判官西村康夫

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