平成12(ネ)1055 損害賠償請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成14年7月11日 福岡高等裁判所
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判決文本文25,118 文字)

主文 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨主文同旨第2 事案の概要本件は,控訴人甲支店において証券取引を委託していた被控訴人が,控訴人に対し,(1) 控訴人との間の証券取引は,一任勘定取引等の違法な取引であり,(2)控訴人は,被控訴人名義の口座から2000万円を無断で出金し横領したと主張し,不法行為ないし債務不履行に基づき,これらにより被った損害の内金6000万円及び弁護士費用600万円並びにこれらの合計6600万円に対する不法行為の日の後(請求後)である平成8年5月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 なお,被控訴人は,当審継続中に,控訴人に預託していた証券を出庫して清算したため,後記のとおり,損害の合計額を5977万8736円と改めたが,請求金額自体は変更していない。 また,以下の「1 争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実」,「2争点」は,争点(1)のイの「ワラント取引についての説明義務違反」についての被控訴人の主張を補充し,上記清算結果に基づき,争いのない事実に(4)を付加し,損害についての双方の主張を改め,消滅時効に関する被控訴人の敷衍主張を削除したほか,原判決「第二事案の概要」の「一争いのない事実等」「二争点」と同一である。 1 争いのない事実及び文末掲記の証拠により容易に認定できる事実(1) 控訴人は,有価証券等についての自己売買,売買の委託・取次ぎ・代理,引受け,売出し,募集又は売出しの取扱いについて,証券取引法28条に基づき免許を受けた会社である。 (2) 被控訴人は,控訴人甲支店において証券 価証券等についての自己売買,売買の委託・取次ぎ・代理,引受け,売出し,募集又は売出しの取扱いについて,証券取引法28条に基づき免許を受けた会社である。 (2) 被控訴人は,控訴人甲支店において証券取引を委託していた者であり,妻がA,長女がB,三女がC,長男がDという家族構成である。 (被控訴人の家族関係について甲16,原審における被控訴人本人)(3) 控訴人甲支店においては,被控訴人名義の口座(以下「被控訴人口座」という。)の外,A,B及びD名義の口座(以下,順に「A口座」,「B口座」及び「D口座」という。なお,これら口座と被控訴人口座を併せて以下「本件各口座」という。)が開設され,本件各口座においては,原判決添付の別紙取引一覧表(1)から(4)までに記載の各取引(以下「本件取引」という。)がされた。なお,この取引を時系列で並べたものが,別紙取引経過表である。 (原判決添付の別紙取引一覧表(3)及び(4)の№6の買代金について乙19,21)(4) 本件取引の清算結果は次のとおりである。 ア平成8年5月7日までの取引による損益金額-4974万4871円イ同月8日以降の取引による損益金額 188万9737円ウ本件各口座からの出庫証券の評価額 2149万9000円(ア) 被控訴人口座からの出庫分① 平成4年1月29日出庫の投資信託 1843万円② 平成13年9月13日出庫の株券 50万9000円(イ) D口座からの同日出庫分 153万3000円(ウ) A口座からの同日出庫分 62万円(エ) B口座からの同日出庫分 40万7000円エ本件各口座における利金・分配金等の金額 209万3215円(ア) 被控訴人口座での利金・分配金等 62万円(エ) B口座からの同日出庫分 40万7000円エ本件各口座における利金・分配金等の金額 209万3215円(ア) 被控訴人口座での利金・分配金等 157万4017円(イ) D口座での利金・分配金等 11万4570円(ウ) A口座での利金・分配金等 33万0699円(エ) B口座での利金・分配金等 7万3929円オ上記ア~エの合計金額は,-2426万2919円である。 2 争点(1) 本件取引において控訴人に違法行為があったか。 ア被控訴人の主張(ア) 違法な一任勘定取引被控訴人は,控訴人甲支店従業員Eや同支店のF支店長から,「1億くらい入れてもらえば1割で回します。」「年1割で回さんとつまらんですよ。」「1本(1億)くらい入れんですか。」「こちらがちゃんと運用しますから,心配いらんですよ。任せてください。」「任せて預けていれば,資産を年1割で運用します。」などと勧誘された。 被控訴人は,昭和62年11月ころ,EやF支店長の同発言を信用したため,控訴人に資金運用を任せることとし,本件取引のため資金を支出し続けたが,控訴人の上記勧誘行為は,証券取引法で禁じられている違法な利益保証に該当し,その結果行われた本件取引は,①売買の別,②銘柄,③数量,④価格,⑤取引時期等すべての要素について被控訴人からの指示がないままに行われた一任勘定取引であった。 こうした控訴人の上記勧誘行為,短期間の頻繁な乗換え売買等である本件取引は,証券会社の営業としては極めて不当な行為であり,違法であると同時に,安全確実な取引を望んでいた被控訴人との間の委任の本旨に反するもので,継続的不法行為ないし債務不履行に該当する。 (イ) ワラント取引につ 社の営業としては極めて不当な行為であり,違法であると同時に,安全確実な取引を望んでいた被控訴人との間の委任の本旨に反するもので,継続的不法行為ないし債務不履行に該当する。 (イ) ワラント取引についての説明義務違反① 適合性原則違反被控訴人は,本件取引開始以前には,2年間ほどの株式取引の経験しかなく,同取引の苦い経験から,元本保証で確実に利益があげてもらえると信じて本件取引を開始したものであり,資金の内の2000万円は,親戚から預かったものであった。 このような,被控訴人の安全・確実という投資目的及び投資姿勢,投資資金の性格並びに取引経験からすると,被控訴人は,ワラント取引の適格性を欠く。 ② 説明義務違反ワラントは価格変動の激しい投機的な商品であり,価格形成は必ずしも論理的ではないので,投資対象としては高度の知識と深い経験を必要とする。したがって,ワラント取引については,証券会社には厳格な説明義務が課される。しかるに,控訴人は,ワラント取引を勧誘する際に,被控訴人に対し,ワラント取引に関する説明を全くしていない。 (ウ) 手数料稼ぎの回転売買及び過当取引別紙取引経過表にあるとおり,昭和62年11月24日から平成7年11月13日までの約8年間に合計572回,月平均約5.96回の頻繁な取引が行われているところ,このうち,売ったその日に買うという乗換えが123回あり,その他にも,ほとんどの取引が,利益が出ていないのに,あるいはわずかしか利益が出ていないのに,極めて短期間で買って売るの繰り返しとなっている。このような取引が,控訴人の手数料稼ぎのための回転売買であることは明らかである。 また,被控訴人は,本件取引以前には証券取引の経験に乏しく,また,脳梗塞のための入通院を繰り返すとともに,精神分裂病である妻の介護の負担もあり,本件取引のように の回転売買であることは明らかである。 また,被控訴人は,本件取引以前には証券取引の経験に乏しく,また,脳梗塞のための入通院を繰り返すとともに,精神分裂病である妻の介護の負担もあり,本件取引のように頻繁な取引を行うような意思も能力も余裕もなかった。こうした被控訴人の状況等に照らせば,本件取引は,控訴人の一方的誘導による過当取引であることは明らかである。 イ控訴人の主張(ア) 違法な一任勘定取引という主張について控訴人甲支店のEや当時の支店長が,被控訴人に対し,「任せて預けていれば,資産を年1割で運用します。」と述べて取引を勧誘したことはない。この点に関する被控訴人本人の供述は,信用することができない。 Eは,昭和62年2月ころから同年11月ころにかけて,投資信託の商品内容を被控訴人に説明したが,投資信託は投資家から預かった資金を専門家が運用するもので,投資家はその運用の成果を享受できること,当時はその運用実績が年1割前後であったことから,被控訴人は,このような投資信託の商品内容に関するEの説明を,その後の年月の経過(本訴提起時には,Eが被控訴人の担当を離れてから約8年間が経過していた)や小脳梗塞の発症あるいは加齢などの影響によって,本件各口座での取引全体について年1割の利益を保証する旨説明したかのように記憶が変容し,そのため,年1割で運用するとの約束があったかのように思いこんでいるものと思われる。 被控訴人は,本件取引に当たっては,当時の担当者に自ら指示をしており,また,担当者も,被控訴人の指示を受けた上で本件取引をしており,本件取引は,一任勘定取引ではない。 (イ) ワラント取引についての説明義務違反の主張について被控訴人は,本件取引が一任勘定取引であることを前提として,本件取引中のワラント取引について,被控訴人は一切説明を受けてい 定取引ではない。 (イ) ワラント取引についての説明義務違反の主張について被控訴人は,本件取引が一任勘定取引であることを前提として,本件取引中のワラント取引について,被控訴人は一切説明を受けていないと主張するが,右前提自体が失当である上,Eは,実際にワラント取引を始めるに当たって,被控訴人方で被控訴人と面談し,分離型ワラントのパンフレット(乙45)を示したり,転換社債の商品内容と比較しながら,ワラントの商品内容やそのリスクを詳しく説明しており,また,Eの後任であるGも,平成2年3月12日に間組ワラントを被控訴人が購入するに当たり,被控訴人に対し,ワラントが株式よりも値動きが大きいこと,行使期限を過ぎると価値がゼロになること,外貨建商品であるから為替リスクがあることなどを説明している。 ワラントの商品内容の説明義務としては,ワラントが,① 行使期間を徒過すると価値を失うこと,② 現物株式よりも値動きが大きいことの2点を説明する必要があり,かつ,それで足りると解されるところ,EやGは,いずれもこれらの点を説明しており,被控訴人の説明義務違反の主張は理由がない。 (ウ) 手数料稼ぎの回転売買及び過当取引の主張についてEの担当時期については,被控訴人がEに対し,限られた資金の範囲内で被控訴人の指示どおりに売買することを求め,そして,個々の取引では,購入後の値動きが思わしくないと,損失が膨らむのを嫌ってすぐに売却を指示して乗換えを求め,また,値上がりしている時にも利益の確定を急いだのであるから,このような被控訴人の投資態度が,短期売買を増やし,取引回数を多くしたというべきである。 加えて,E担当期間中の取引状況をみると,Eは,二度にわたって冷却期間をおくことを被控訴人に提案し,そして,据置期間があり,購入するとすぐには売却できないステップ(パー を多くしたというべきである。 加えて,E担当期間中の取引状況をみると,Eは,二度にわたって冷却期間をおくことを被控訴人に提案し,そして,据置期間があり,購入するとすぐには売却できないステップ(パーソナルライフプラン型投資信託)やクローズド型投資信託の購入を被控訴人に勧めて,投資資金の流動性を徐々に減少させ,より多くの投資資金が安定的な投資に向かうよう配慮したのであって,このようなEの営業姿勢は,被控訴人が主張するような「手数料稼ぎ目的」と相反するものである。 Gの担当時期については,E担当時期より取引回数が減少していることに加え,本件取引の状況を子細に検討すると,被控訴人の健康状態や精神状態に合わせて取引状況が変化しており,Gが被控訴人の意向を確認し尊重しながら取引していたことがうかがわれることなどに照らせば,G担当期間中の取引が,手数料稼ぎを目的とした過当取引でなかったことは明らかである。 Gの後任であるHの担当時期においては,もともと取引回数が多くない上,商品の種類も株式よりも外国債券や投資信託の方が多いこと,新規資金の入金はなく,取引規模もそれほど大きくないことなどの事実に照らせば,H担当期間中の取引が手数料稼ぎを目的とした過当取引であるといえないことは明らかである。 (2) 平成3年3月28日に被控訴人口座から出金された金2000万円の使途(控訴人の2000万円の横領の成否)ア被控訴人の主張控訴人甲支店の被控訴人名義の顧客勘定元帳によれば,平成3年3月28日,被控訴人が金2000万円を出金したことになっているが,被控訴人は,これを受領しておらず,控訴人が横領したものである。 これに対する控訴人の反論は,被控訴人が控訴人に内容証明郵便を送付してから約1年9か月後の平成10年6月16日付け準備書面において唐突に主張されたものであり ておらず,控訴人が横領したものである。 これに対する控訴人の反論は,被控訴人が控訴人に内容証明郵便を送付してから約1年9か月後の平成10年6月16日付け準備書面において唐突に主張されたものであり,全く信用性はない。 また,控訴人の主張に沿うGの証言についても,不自然,不合理な点が多く,信用性はない。 イ控訴人の主張平成3年3月28日に被控訴人口座から出金された2000万円については,次に述べる経緯で,同月15日応募の投資信託(ダイナミックシフト91―3)の応募代金2000万円の支払に充てられたものである。 すなわち,Gは,同月上旬ころ,「親戚から預かっている2000万円を別にしておきたい。」との申入れを被控訴人から受けたので,ちょうどこの3月から引き出せるようになったステップ2000万円を換金し,それで新規発行の投資信託(ダイナミックシフト91―3)に応募することを提案したところ,被控訴人は,これに同意し,同月8日ころ,ステップから2000万円を引き出すための定期引出申込書(乙50)に署名押印するとともに,同投資信託2000万円分に応募した。 ところが,同月18日朝,翌日に被控訴人口座で2000万円の立替金が発生するとの立替金票が回ってきたことから,Gは,ステップの定期引出の受渡日が毎月28日で,被控訴人が応募した投資信託の受渡日(3月19日)に間に合わないことに気付き,電話で被控訴人にそのことを説明したが,被控訴人から「何とかならないか。」と言われたので,いったん電話を切った。その後,支店長に事情を説明して善後策を相談した結果,甲支店の各役席が所持するカードで住友銀行から資金を借り入れ,その資金で上記投資信託の購入代金を一時的に立て替えて被控訴人の要望にこたえるとの方針になったため,同月18日午後,あらかじめ電話で面談の約束を得た 席が所持するカードで住友銀行から資金を借り入れ,その資金で上記投資信託の購入代金を一時的に立て替えて被控訴人の要望にこたえるとの方針になったため,同月18日午後,あらかじめ電話で面談の約束を得た上,被控訴人方を訪問し,「ステップの引出しが間に合わないので,当面はこちらで資金を融通する。28日にステップの引出しができるようになれば,すぐに被控訴人口座から2000万円を引き出して,立て替えた分と相殺する。」との方法を被控訴人に説明して,このような方法で当初の予定どおりに取引することでいいかどうか被控訴人の意思を確認したところ,被控訴人はこれを了解し,請求金額欄に2000万円と記入した上で出金伝票(乙30)に署名捺印した。 そこで,Gは甲支店の各役席に協力を依頼し,翌3月19日,被控訴人口座への2000万円の入金伝票(乙52)を自ら作成するとともに,Iから1000万円,Jから800万円,Kから200万円を借り受け(乙53の1から3まで),その現金を上記入金伝票と一緒に事務方へ回して,被控訴人口座へ現金2000万円を入金した。 その後,3月28日にステップの引出しができるようになったので,Gは,先に被控訴人が作成した出金伝票(乙30)を使って被控訴人口座から現金2000万円を出金し,その現金で,上記Iら3名から借り受けた2000万円を返済した。 こうして,平成3年3月15日に被控訴人口座で投資信託(ダイナミックシフト91―3)2000万円分を購入したが,翌4年1月下旬ころ,被控訴人から,同投資信託を別の口座で管理したいとの申入れがあり,新たにL名義の取引口座を開設することになったので,Gは,口座開設のための書類を被控訴人宛に郵送するとともに,同投資信託を被控訴人口座から出庫するための準備をしたところ,同月27日ころ,L名義の総合取引申込書(乙1 口座を開設することになったので,Gは,口座開設のための書類を被控訴人宛に郵送するとともに,同投資信託を被控訴人口座から出庫するための準備をしたところ,同月27日ころ,L名義の総合取引申込書(乙16)が送り返されてきたため,同月29日,店頭で,被控訴人から証券引出請求書(乙29)に署名押印してもらって,上記投資信託2000万円分を出庫し,これをL口座へ入庫した。 (3) 被控訴人の損害額ア被控訴人の主張被控訴人の損害額は,次の(ア)及び(イ)の合計金5977万8736円であるが,被控訴人は,6600万円及びこれに対する平成8年5月7日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を本訴で請求する。 なお,控訴人は,被控訴人の家族名義の口座における取引に係る損失について,これらは被控訴人の損失ではない旨主張するが,上記家族名義口座は被控訴人の借名口座であり,その損失は被控訴人に帰属するものである。 (ア) 被控訴人の差引出捐額合計金5377万8736円① 昭和63年2月14日までの入金額合計金2136万5280円<ア> 被控訴人名義口座金987万1580円<イ> A名義口座金549万7900円<ウ> D名義口座金299万7900円<エ> B名義口座金299万7900円② 昭和63年2月14日までの出金額合計金562万5167円<ア> 被控訴人名義口座金499万9043円<イ> A名義口座金 60万8708円<ウ> D名義口座金 8708円<エ> B名義口座金 8708円③ 昭和63年2月15日からの入金額合計金6750万8681円<ア> 被控訴人名義口座金6092万4181円<イ> A名義口座金350万円<ウ> D名義口座金308万450 08円③ 昭和63年2月15日からの入金額合計金6750万8681円<ア> 被控訴人名義口座金6092万4181円<イ> A名義口座金350万円<ウ> D名義口座金308万4500円<エ> B名義口座金0円④ 平成5年1月26日の銀行振込額金217万6115円⑤ L口座に移されて平成5年4月9日に売却されたダイナミックシフトの売却代金 1843万円⑥ 原判決添付別紙「入出金一覧表」のうち,被控訴人が受領していない本件各口座の昭和62年12月25日付け出金合計3万1487円<ア> 被控訴人口座金5363円<イ> A口座金8708円<ウ> D口座金8708円<エ> B口座金8708円⑦ 平成13年9月13日に受領した現金及び証券の時価合計額889万5430円<ア> 被控訴人口座現金465万1913円及び株券(時価合計50万9000円)<イ> A口座現金97万8113円及び株券(時価合計62万円)<ウ> D口座現金9万8202円及び株券(時価合計153万3000円)<エ> B口座現金9万8202円及び株券(時価合計40万7000円)⑧ 以上合計5377万8736円(=①-②+③-④-⑤+⑥-⑦)(イ) 弁護士費用の内金600万円イ控訴人の主張被控訴人の主張(ア)の①から③までの入出金額については,積算根拠が明らかでなく,信用性はない。 また,被控訴人の家族名義の口座における取引については,各名義人の取引であり,被控訴人は,各名義人の代理人ないし使者にすぎないから,これらの口座における損失が被控訴人の損失になることはない。 (4) 消滅時効の成否ア控訴人の主張被控訴人の不法行為に基づく損害賠償請求については,本訴 各名義人の代理人ないし使者にすぎないから,これらの口座における損失が被控訴人の損失になることはない。 (4) 消滅時効の成否ア控訴人の主張被控訴人の不法行為に基づく損害賠償請求については,本訴提起日が平成9年9月19日であることから,平成6年9月18日以前の売却によって発生した損失に係る損害賠償請求権は,時効によって消滅している。控訴人は,原審第1回弁論準備手続期日(平成10年6月23日)において,上記時効を援用する旨の意思表示をした。 イ被控訴人の主張控訴人の不法行為は継続的なものであり,かつ,被控訴人が損害を知ったのはHに預かり残高を問い合わせた平成7年10月下旬ころであるから,控訴人の消滅時効の主張は,理由がない。 第3 争点に対する判断 1 争点1(本件取引の違法性)について(1) 前提事実ア各項末尾挙示の証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件取引の経緯に関して,次の事実を認めることができる。 (ア) 被控訴人は,もともとO證券株式会社(以下「O証券」という。)甲支店で証券取引をしていたが,外務員の勧誘に従って,株の買い替えをしていたところ,手数料を計算すると損をしていることに気づき,外務員が手数料稼ぎをしているのではないかとの疑いをもち,昭和57年11月,当時同社に保護預かりとなっていた九州電力株5000株,沖電気株5000株及び三菱商事株2000株を引き出した。そして,同月10日,控訴人甲支店に被控訴人口座を開設し,上記のうち沖電気株5000株を控訴人甲支店に入庫して,その売却を委託した。その結果,204万4720円が被控訴人口座に入金されたが,そのうち,100万円で積立Gコース(中期国債ファンド)が買い付けられ,残金は,出金された。 (甲1,乙18,24,原審及び当審における被控訴人本人)(イ) 昭和61年8月26 人口座に入金されたが,そのうち,100万円で積立Gコース(中期国債ファンド)が買い付けられ,残金は,出金された。 (甲1,乙18,24,原審及び当審における被控訴人本人)(イ) 昭和61年8月26日,被控訴人は,三菱商事株2000株を控訴人甲支店に入庫し,その売却を委託した。その結果,239万8960円が被控訴人口座に入金されたが,これは,入金された日に全額銀行振込という形で出金された。 (乙18,24)(ウ) 昭和62年2月2日,被控訴人は,控訴人甲支店にA口座,B口座及びD口座をそれぞれ開設した。そして,中期国債1200万円分が購入され,その代金相当額として,本件各口座にそれぞれ299万7900円(合計金1199万1600円)が入金された。 なお,上記家族名義の口座は,被控訴人が名義を借りたものであり,名義人がこの口座に係る取引に関与することは一切なかった。 (乙18から21まで,原審証人E,原審における被控訴人本人)(エ) Eは,昭和36年4月に控訴人に入社してから,継続して営業業務を行っており,昭和61年7月初めに控訴人甲支店に赴任した。 Eが同支店に赴任したころ,被控訴人口座にはほとんど預かり資産がなく,いわゆる休眠状態にあったことから,Eは,被控訴人に対し,特に積極的な営業活動を行っていなかったが,昭和62年2月に本件各口座に合計約1200万円の入金がされたことから,被控訴人に対する営業活動を活発化させた。 なお,Eは,平成元年7月ころ,控訴人甲支店から乙支店に異動となったが,甲支店在任中に,営業課長から次長に昇任した。 (乙42,原審証人E)(オ) Eの後任として控訴人甲支店における被控訴人担当となったGは,昭和45年4月に控訴人に入社し,平成元年7月初めころに控訴人甲支店に赴任した。その後,平成6年7月初めころに同支店から 証人E)(オ) Eの後任として控訴人甲支店における被控訴人担当となったGは,昭和45年4月に控訴人に入社し,平成元年7月初めころに控訴人甲支店に赴任した。その後,平成6年7月初めころに同支店から異動するまで,Gが被控訴人の担当であった。 また,Gの後任であるHは,昭和53年4月に控訴人に入社し,平成6年7月に控訴人甲支店に赴任した。 (乙49,54,原審証人G,同H)イ次に,各項末尾挙示の証拠及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人の経歴,病歴,家族等について,次の事実を認めることができる。 (ア) 被控訴人(昭和3年8月14日生まれ)は,旧制中学に在学中の昭和18年に飛行兵となり,終戦後,甲に戻って農業を始めた。 その後,被控訴人は,いったんは会社員になったものの,妻であるA(昭和3年2月16日生まれ)が精神分裂病に罹患し介護が必要な状況になったことから,昭和42年ころには上記会社を退職した。 退職後の被控訴人は,相続した農地をスーパーマーケットの店舗用地として賃貸したり,中古アパートを取得してこれを賃貸したりと,主として不動産賃料収入で生活している。 なお,本件取引開始ころの被控訴人の不動産資産は,田が約5反,畑が約1町,スーパーに賃貸している土地が約2反,アパート2棟(80坪)等である。 (甲1,原審における被控訴人本人)(イ) 被控訴人,A夫婦の間には,4歳で死亡した次女を除き,長女B(昭和35年3月21日生まれ),3女C(昭和37年4月20日生まれ)及び長男D(昭和42年5月28日生まれ)の3人の子がいる。 上記5人は,もともと全員同居していたが,Dは,高校卒業後の昭和61年ころから福岡の専門学校に通うようになって別居するようになり,Bは,平成2年6月に結婚して別居するようになった。そして,以後は,被控訴人,A及びCが同居している いたが,Dは,高校卒業後の昭和61年ころから福岡の専門学校に通うようになって別居するようになり,Bは,平成2年6月に結婚して別居するようになった。そして,以後は,被控訴人,A及びCが同居しているが,Cは,歯科医院勤務のため,平日の日中に在宅していることはまれである。 (甲1,16,原審における被控訴人本人)(ウ) Aは,精神分裂病であり,昭和58年7月25日から国立療養所丙病院を受診するようになり,同月29日から同年11月28日まで入院した外,平成7年10月までの間には,次の期間も入院していた。 ① 昭和61年4月28日から同年5月26日② 昭和61年6月19日から同年10月2日③ 昭和63年1月16日から同年3月7日④ 昭和63年4月18日から同年8月8日⑤ 平成4年4月21日から同年6月7日⑥ 平成7年3月15日から同年5月15日また,退院期間中も,少なくとも1か月に1回,退院直後等多いときは2週間に1回程度の割合で通院していた。 (甲17,18)(エ) 昭和63年5月29日朝,被控訴人の会話が不明瞭となり,意識障害が認められたため,被控訴人は,甲市医師会甲地域医療センター(以下「地域医療センター」という。)を受診した。 その受診時の被控訴人には,構音障害があり,問いかけにうなずくことはできても,発語することはできなかった。そして,診察の結果,小脳梗塞が認められたことから,そのまま地域医療センターに入院することとなり,被控訴人には,ベッド上で安静にすることが指示された。 被控訴人の症状はその後軽快し,同月31日ころからは発語もスムースになってきた。そして,同年6月8日には,介助付きながら,トイレに自力で歩行していくことができるようになった。 その後も被控訴人の症状は改善していったことから,被控訴人の義理の弟が医師をしているM になってきた。そして,同年6月8日には,介助付きながら,トイレに自力で歩行していくことができるようになった。 その後も被控訴人の症状は改善していったことから,被控訴人の義理の弟が医師をしているM医院において以後の経過を観察すれば足りると診断され,同月14日,被控訴人は,地域医療センターを退院してM医院に入院したが,そのM医院も,同月20日には退院して自宅に戻った。 (甲2,3の1,5,原審における被控訴人本人)(オ) M医院退院後,被控訴人は,昭和63年6月24日に地域医療センターに通院したが,その後しばらくは通院せず,また,同年7月18日以降は指示された薬の服用を全くしていなかった。 同年8月後半ころから,被控訴人には,店で買物をしたのにお金を払わずに帰ったり,工事に行って道具を忘れて帰るといった異常な行動が現れたことから,同年9月6日,再び地域医療センターを受診した。そして,同日,被控訴人の前頭葉機能テスト等が行われたが,被控訴人は,平仮名の文章から「あ・い・う・え・お」の5文字を2分間で拾い上げるというテストでは,35文字中12文字しか拾い上げることができず,また,数字記憶テストでは,5桁の数字までしか記憶することができないなど,一定の記憶障害が認められた。 同月12日には,CTやMRIによる検査が行われたが,特別な変化は認められず,以後,被控訴人はしばらく地域医療センターには通院しなくなった。 (甲2,5)(カ) 平成2年2月18日から26日まで,被控訴人は,ヨーロッパ旅行に出掛け,また,同年5月29日から6月2日までは,北海道旅行に出掛けた。 ところが,同年8月1日の起床後に吐き気が出るなどしてほぼ1日中臥床し,翌2日に地域医療センターを受診した。そして,同月9日にも地域医療センターで検査を受けるなどした結果,止めていた薬の 出掛けた。 ところが,同年8月1日の起床後に吐き気が出るなどしてほぼ1日中臥床し,翌2日に地域医療センターを受診した。そして,同月9日にも地域医療センターで検査を受けるなどした結果,止めていた薬の内服を再開して様子を見ることとなった。 その後,被控訴人に特に異常はなく,被控訴人は,同年10月15日から16日にかけて,天草方面に旅行に出掛けた。 (甲2,5,6,12)(キ) 平成3年8月14日,被控訴人は,いすから転落して後頭部を打ったことから吐き気や頭重感といった症状が出るようになった。そこで,同月16日に地域医療センターを受診し,同月17日,同月19日,同月27日及び同月29日も受診したが,症状の改善が見られず,逆に,回転性めまいといった症状も出たことから,同日,地域医療センターに入院することとなった。 このときの被控訴人の診断名は,椎骨脳底動脈血行不全であり,薬物療法の結果,自力歩行も可能となり,同年9月10日,退院した。 その後,被控訴人の症状は軽快することもあったが,めまい発作を起こすことも何度かあり,特に,平成4年4月以降は再び症状が重くなり,同月29日にはめまいや吐き気が治まらず,一晩地域医療センターに入院した。 このように,被控訴人の症状が一向に完治しないことから,被控訴人は,同年5月2日から9日まで,精密検査のために地域医療センターに入院した。しかし,特別な所見が認められなかったことから,内科的治療を続行することとされた。 (甲2,3の2及び3)(ク) 平成4年6月4日,被控訴人は,引き込まれるようなめまいを感じ,また,体を動かすと嘔吐したり,めまいが強くなることから,地域医療センターを受診し,そのまま入院した。 検査の結果,慢性硬膜下血腫が認められたことから,同月5日,穿頭ドレナージを施行して同血腫を除去した。しかし,血腫 嘔吐したり,めまいが強くなることから,地域医療センターを受診し,そのまま入院した。 検査の結果,慢性硬膜下血腫が認められたことから,同月5日,穿頭ドレナージを施行して同血腫を除去した。しかし,血腫の再発が認められたため,同年7月1日,開頭血腫除去術を施行して,再び血腫を除去した。 上記開頭手術後,同月8日ころから被控訴人の症状が軽快し,被控訴人は,同月18日に退院した。 その後,体がカーッと熱くなる発作等が出ることはあったが,基本的に以前のような症状が出ることはなくなった。そして,平成5年3月15日から20日までは東京,日光方面に旅行し,また,平成6年10月20日から27日まではアメリカ旅行をした。 (甲2,3の4,5,6,10,12)(2)被控訴人の供述の要旨被控訴人本人の原審及び当審における各供述並びに同人作成の陳述書(甲1,5)の要旨(以下「被控訴人供述等」という。)は次のとおりである。 ア被控訴人は,控訴人と本件取引を開始する前,O証券と証券取引をしていたが,同社の外務員の勧誘に従って取引をしたところ,手数料を計算すると損をしていることに気づき,外務員が手数料稼ぎをしているのではないかとの疑いをもったため,同社との取引を終了し,昭和57年11月に控訴人甲支店に口座を開設し,O証券から出庫した株式の1部を入庫して売却し,また,100万円で中期国債ファンドを買い付けるなどしたが,その後しばらくの間は,控訴人と取引はしていなかった。 イしかし,被控訴人が,昭和62年2月に,本件各口座に各約300万円(合計約1200万円)を入金して中期国債を購入した後ころから,Eが自宅を何度も来訪するようになり,「1億くらい入れてもらえば1割で回します。」などと勧誘され,当時の控訴人甲支店のF支店長からも,寿司屋に招待されて,「1割で回さんと詰ま を購入した後ころから,Eが自宅を何度も来訪するようになり,「1億くらい入れてもらえば1割で回します。」などと勧誘され,当時の控訴人甲支店のF支店長からも,寿司屋に招待されて,「1割で回さんと詰まらんですよ。」「1本(1億)いれんですか。」などと,控訴人に1億円を預けて運用を一任すれば,1割の利息を保証する旨勧誘されたので,同年11月ころ,控訴人に1億円を預けてその資金の運用を任せることにし,まず,昭和63年2月,自分の約1000万円と弟の妻であるLの弟であるNから預かっていた2000万円の合計約3000万円を控訴人に預け,年1割の利益保証を信じてその運用を一任した(以下,これを「本件一任約束」という。)。 ウこの後,被控訴人は,Eやその後任のGと電話で話したことは1度もなく,両名とは,年に2,3回,被控訴人の自宅や,控訴人甲支店において,挨拶や資金を預ける際に会ったことがある程度であって,両名から買付・売却についての口頭による勧誘,報告を受けたこともなかった。担当者がHになってからは,頻繁に電話をかけてきたが,今までどおり,資金の運用を任せていたので,Hの提案する売買はすべて承諾していた。したがって,各担当者から,ワラント取引について説明を受けたこともまったくない。 エ被控訴人は,本件一任約束に基づき,金ができる都度,控訴人甲支店に持参し,合計して1億円に3~400万円欠ける位の金を控訴人に預けた。被控訴人が現金を持参すると,同支店の裏の控え室のような部屋に案内され,そこで,各担当者に直接現金を渡したが,領収書等をもらったことは一度もない。被控訴人は,控訴人に対して,資金をいつ,いくら交付したかについて記憶はなく,したがって,控訴人に渡した金員の正確な合計額はわからない。 また,資金を出金したときは,常に,被控訴人口座へ振り込んでも 被控訴人は,控訴人に対して,資金をいつ,いくら交付したかについて記憶はなく,したがって,控訴人に渡した金員の正確な合計額はわからない。 また,資金を出金したときは,常に,被控訴人口座へ振り込んでもらっており,現金を受領したことは一度もない。交付した金も受領した金も,10万円単位であり,1万円以下の端数がついていたことはない。 以上のとおりであるから,原判決添付の「入出金一覧表」のうち,被控訴人口座への振り込みによる出金以外の入出金は,控訴人担当者が,被控訴人が預けた金員を勝手に出し入れしたものであり,同表の入金欄の記載を上回る金を控訴人担当者に交付している。 オ本件取引期間中,控訴人からは,被控訴人の自宅に売買報告書が送られてきており,被控訴人はこれを綴って保管していたものの,中身をじっくりみたことは一度もないし,各担当者に運用実績について問い合わせや確認をしたことも全くなかったが,預けた資金は,元本に加え,年1割の利益が生じているものと信じていた。また,控訴人から郵送され返送を要する書類には署名・押印して送り返していた。しかし,平成7年10月末ころ,Hに,預かり資産残高を確認したところ,Hが3000万円あるいは1000万円位と答えたので,約束が果たされていないことをはじめて知って,以後,控訴人の責任を追及するようになった。 (3)控訴人担当者の供述他方,控訴人は,E,G及びHが,被控訴人に対し,本件一任約束をしたことはなく,本件取引については,すべて,被控訴人自身の電話等による指示にしたがってなされたものであり,被控訴人が約3000万円の資金を入金した昭和63年2月ころ,F支店長が被控訴人と面談して上記入金に対してお礼を言い,寿司屋で昼食を共にしたことはあったが,F支店長も本件一任約束をしたことはない旨主張し,E,G及びHは,原審 金を入金した昭和63年2月ころ,F支店長が被控訴人と面談して上記入金に対してお礼を言い,寿司屋で昼食を共にしたことはあったが,F支店長も本件一任約束をしたことはない旨主張し,E,G及びHは,原審において,同主張に沿う証言をし,その旨の陳述書(乙42,49,54)を提出する(以下,上記各担当者の原審証言と陳述書の内容をまとめて,「E供述等」,「G供述等」,「H供述等」,合わせて「各担当者供述等」という。)。 (4)被控訴人供述等の信用性ところで,本件一任約束の成立を裏付ける合意書等の客観的な書証は存在しないから,結局のところ,本件一任約束が成立し,本件取引が被控訴人の指示がないままに行われた違法な一任取引といえるかどうかは,被控訴人供述等が,各担当者供述等に較べて信用しうるものであるといえるかどうかにより,決するの他はない。 そこで,まず,被控訴人供述等の信用性について検討するに,① 被控訴人は,以前,O証券との間の証券取引において,同社の外務員に不信感を抱き,同社との取引を停止したというのであるから,本件一任約束に基づき,約1億円もの大金を控訴人に預けたとするなら,本件一任約束どおり,元本に加え年1割の利益が生じているかどうかについて,強い関心を抱いていたはずであり,送付されてきた売買報告書を綴って保存しながら,約8年もの長期間,しかも,その間に担当者が2回も代わっているのに,中身を1度も確認しなかったばかりか,各担当者に運用実績の確認や問い合わせをしたこともないなどということは,きわめて考えにくい態度である,② 被控訴人は,控訴人に金を預けるにあたって,領収書を受け取っていないばかりか,合計して1億円に少し欠けるくらいの金を預けたというほかは,各担当者にいつ,いくら渡したのかも,控訴人に渡した金員の合計額もわからないと供述するが, るにあたって,領収書を受け取っていないばかりか,合計して1億円に少し欠けるくらいの金を預けたというほかは,各担当者にいつ,いくら渡したのかも,控訴人に渡した金員の合計額もわからないと供述するが,それ自体が著しく不自然なことであるし,かつ,被控訴人は,控訴人主張の入金額より遙かに多額の金員を控訴人に預けたと供述するものの,合計約1億円という大金であるにもかかわらず,控訴人に預けた金員の出所について,的確な裏付け証拠は提出されていない,③ 被控訴人は,口座振替以外の入出金について否認するが,各入出金伝票の被控訴人名義の署名押印は,被控訴人がなしたことは認めている,以上のとおりであり,被控訴人供述等は,その供述内容自体からして容易には信用しがたいものであるといわざるをえない。 (5)各担当者供述等の信用性続いて,被控訴人は,各担当者供述等が虚偽であり,本件取引を被控訴人が指示していないことを推認させる事情として,以下の事実を指摘するので,同主張に沿って,各担当者供述等の信用性について検討する。 ア被控訴人の病歴(ア) 前記前提事実のとおり,被控訴人は,昭和63年5月29日朝,意識障害に陥って,発語できなくなり,小脳梗塞と診断されて,同年6月14日までは地域医療センターに,続いて,同月20日まではM医院にそれぞれ入院した。この間,別紙取引経過表記載のとおり,同月2日,4日,8日,9日,10日,13日に取引が行われているところ,被控訴人は,これらの取引は,その病状に照らし,被控訴人には指示することができたはずはないと主張する。 しかしながら,証拠(甲2,3の1)によれば,被控訴人は,上記入院後症状が軽快し,同年5月31日ころから,発語はスムーズになったことが認められるところ,上記各取引は,いずれも同年6月2日以後になされているから,これらの 甲2,3の1)によれば,被控訴人は,上記入院後症状が軽快し,同年5月31日ころから,発語はスムーズになったことが認められるところ,上記各取引は,いずれも同年6月2日以後になされているから,これらの取引をもって,電話によって,被控訴人から指示を受けたとのE供述等が直ちに信用しがたいと断ずることはできない。確かに,前記証拠によれば,被控訴人は,同年6月8日ころから,介助つきで,トイレに自力で歩行できるようになったものであり,その以前には自力歩行ができなかったことが認められるが,車いす等の利用や,ベッドから電話をかけた可能性も否定しがたく,被控訴人が同月2日や4日に,Eに電話して指示することが不可能であったと認めるに足りる証拠はない。 (イ) その後,被控訴人は,昭和63年8月末ころからおかしな言動がみられ,同年9月6日に,地域医療センターに受診しているが,このころ(同年6月29日から同年9月13日まで)には取引はない。 また,被控訴人は,平成3年8月14日,いすから転落して後頭部を打ち,吐き気や頭重感といった症状が出るようになり,その後,地域医療センターを受診し,同月29日から同年9月10日まで入院したが,このころ(同年7月16日から同年11月5日まで)には取引はない。 続いて,被控訴人は,平成4年4月以降,めまい等の症状が重くなり,同年5月2日から同月9日まで地域医療センターに入院したが,このころ(同年3月10日から同年5月10日まで)には取引はない。 さらに,被控訴人は,平成4年6月4日に地域医療センターに入院し,その後,穿頭ドレナージ,開頭血腫除去術の施行を受け,同年7月18日に退院したが,このころ(平成4年5月14日から同年7月28日まで)には取引はない。 (ウ) 上記入院歴以外に,被控訴人は,昭和63年以後,めまい,吐き気,頭重感頭 除去術の施行を受け,同年7月18日に退院したが,このころ(平成4年5月14日から同年7月28日まで)には取引はない。 (ウ) 上記入院歴以外に,被控訴人は,昭和63年以後,めまい,吐き気,頭重感頭の自覚症状を感じることがあったことが認められるが,証拠(甲2,3の1~4,5~8,9の1・2,10,12)によれば,上記のいずれの入院の際においても,退院時には,症状は快復し,被控訴人は,退院後しばらくたつと,内服薬の服用や受診をしなくなり,平成2年2月18日から同月26日まではヨーロッパ旅行へ,同年5月29日から同年6月2日までは北海道旅行へ,同年10月15日から16日にかけて天草旅行へ,平成3年11月6日にはバス旅行へ,平成5年3月15日から同月20日までは東京・日光旅行へ,平成6年10月20日から同月27日まではアメリカ旅行へ行くなどしていることが認められるから,被控訴人は,病状が悪化して入院等した前記(ア)(イ)以外の期間は,比較的元気で,通常の判断力を有していたものと推認することができる。 また,各担当者供述等によれば,本件取引の各担当者は,このような被控訴人の病状や入院歴についてほとんど知らなかったことが認められるが,被控訴人と各担当者との間の連絡や取引の指示は,ほとんど電話でなされていたというのであるから,被控訴人の方から,自分の病状等について語らない限り,各担当者が被控訴人の病状等を知らなかったとしても必ずしも不自然ではなく,このことから本件取引について被控訴人から具体的な指示を受けていたとの各担当者の供述等の信用性が否定されるものではない。 イ外出中の注文別紙取引経過表及び証拠(甲5~8,9の1・2,10,12)によれば,被控訴人が,前記アの(ウ)記載の旅行や,法事,葬儀などにより終日外出をしていた日に,取引がなされている ない。 イ外出中の注文別紙取引経過表及び証拠(甲5~8,9の1・2,10,12)によれば,被控訴人が,前記アの(ウ)記載の旅行や,法事,葬儀などにより終日外出をしていた日に,取引がなされている場合があることが認められるところ,各担当者は,個々の取引について明確な記憶があるわけではないが,本件取引中,前日の午後3時以降の注文であったため翌日執行された株式売買や,被控訴人の予めの指示に基づいて,株価が被控訴人の指示した額になった時点で注文を出した取引があり,また,応募商品は,募集期間中は購入金額が変わらないので,被控訴人から応募の指示があった日と実際の応募日が異なる場合があったなどと説明しているところ,これらの説明に格別不自然な点は認められない。 ウ不自然な取引の有無被控訴人は,本件取引は,およそ被控訴人が自己の判断でなしえない取引内容である旨主張し,その具体例として,本件取引中の株価急騰中の買付け,ナンピン買い,売却した日に他の株の購入(乗換え),新規上場債の買付け,外国証券の購入,無名企業株の購入,下げ止まりの兆しが見えた際の逆張り買付けなどを指摘する。しかし,各担当者は,被控訴人に対し,値動きや相場の動向に関する情報を提供し,売買についての助言をした旨供述しており,また,被控訴人は,O証券も含めれば少なくとも2~3年以上の期間の証券取引の経験を有しているところ,被控訴人指摘の上記各取引はいずれも,通常の判断力を有し,投機目的で,反復継続して株取引をしている顧客が,外務員の情報提供や助言に基づいて実施したとしても不自然とはいえないものであり,被控訴人の上記主張は採用することができない。 エ E供述等の信用性Eは,原審証人として,被控訴人の損が嵩んでいたので,Eが冷却期間を置くよう提案し,昭和63年6月から12月まで及び平成元年5 あり,被控訴人の上記主張は採用することができない。 エ E供述等の信用性Eは,原審証人として,被控訴人の損が嵩んでいたので,Eが冷却期間を置くよう提案し,昭和63年6月から12月まで及び平成元年5月17日からEが異動となる同年7月までは,被控訴人口座での取引は中断されていた旨証言するところ,被控訴人は,これらの期間中,被控訴人口座においては取引を実施していないが,他の口座においては(前者の期間にはA口座において,後者の期間にはA口座及びD口座において),それぞれ取引がなされていることが認められる。 しかし,前者の期間中,昭和63年7月,8月及び11月には,全く取引がなされておらず,同年9月の取引回数は1回だけであり,少なくとも,昭和63年7月から11月ころまでの間の取引は,E担当期間中の他の期間に比較し,取引は低調であったことが認められるから,上記取引があることをもって,一時取引を勧誘しなかった期間があったとのEの証言自体が虚偽であるときめつけることはできない。 オその他各担当者供述等には,その他,特に不自然,不合理な点は見いだせない。 (6)本件一任約束について以上の(4),(5)を総合すれば,本件一任約束の成立に関する被控訴人供述等はにわかに信用することができないといわざるをえない。ちなみに,被控訴人供述等は,本件一任約束が成立したことによって,昭和63年2月に約3000万円ものまとまった資金を預けたというのであるが,別紙取引経過表№13ないし№18のとおり,この約3000万円の資金のうち2500万円以上は,2年以上は売却(換金)しえない投資信託の購入に充てられているのであって,本件一任約束の成立を前提とすれば,資金の6分の5以上をいきなり2年以上も固定してしまうという控訴人の運用態度はほとんど合理的な説明が不能であるというべきで 投資信託の購入に充てられているのであって,本件一任約束の成立を前提とすれば,資金の6分の5以上をいきなり2年以上も固定してしまうという控訴人の運用態度はほとんど合理的な説明が不能であるというべきである。他に,本件一任約束の成立を認めるに足りる証拠はない。他方,本件取引が被控訴人の指示に基づくものである旨の各担当者等供述には,たとえ,一部取引について具体的な指示が不明確なものが含まれていたと疑う余地が残されているとしても,本件取引が被控訴人の個別の指示に基づいて行われたとの根幹において,その信用性を疑わせるものではないということができる。 したがって,本件一任約束の成立は認めることができず,本件取引は被控訴人の個別的指示に基づくものとみることができるのであって,本件取引が違法な一任取引である旨の被控訴人の主張は採用することができない。 (7)ワラント取引についての説明義務違反について被控訴人は,前記のとおり,被控訴人は,ワラント取引の適格性を欠き,かつ,ワラント取引については,証券会社には厳格な説明義務が課されるが,控訴人は,ワラント取引を勧誘する際に,被控訴人に対し,ワラント取引に関する説明を全くしていない旨主張する。 しかし,上記被控訴人の主張は,本件一任約束の成立を前提とするものであるところ,被控訴人供述等が信用できず,本件一任約束の成立が認められないことは,前記判示のとおりである。しかも,証拠(乙3,12,40,41の1~3,42,45,49,原審証人E,同G)によれば,E及びGは,ワラント取引にあたっても,被控訴人に対し,その危険性等について必要な説明をし,ワラント取引の性格,特徴等を解説したパンフレットを交付したことが認められる。また,前記前提事実のとおり,被控訴人は,O証券においても証券取引の経験を有し,初めてワラントを購 ついて必要な説明をし,ワラント取引の性格,特徴等を解説したパンフレットを交付したことが認められる。また,前記前提事実のとおり,被控訴人は,O証券においても証券取引の経験を有し,初めてワラントを購入した昭和63年12月までには,控訴人においても既に1年近い証券取引の経験を有していたことが認められるから,被控訴人がワラント取引に適合しないということもできない。そして,前記のとおり,本件一任約束の成立は認められず,被控訴人は,本件取引の具体的内容について認識していたものと認められるところ,別紙取引経過表のとおり,被控訴人の購入したワラントは,平成元年3月ころからすでに損失が出ており,平成6年9月20日には,権利行使期限切れになったものもあったのに,被控訴人が,このような結果が予想外であるとして控訴人に苦情を言った形跡はないから,このことからも,被控訴人は,ワラント取引の性格,特徴について認識していたものと推認することができる。 (8)手数料稼ぎの回転売買及び過当取引について別紙取引経過表によれば,本件取引においては,昭和62年11月24日から平成7年11月13日までの約8年間に合計572回の頻繁な取引が行われていること,売ったその日に購入する乗換えや,利益が僅かしか出ていない段階で売却したり,少しでも損失が生じると売却したりする取引が相当回数存在することが認められる。しかし,前記のとおり,本件取引は,いずれも被控訴人の指示にしたがったものと認められる上,前記のとおり,被控訴人には,O証券における取引において,外務員の指示にしたがって売買したところ,手数料が嵩んで損をし,証券会社の手数料稼ぎになっていると感じて,取引を終了したとの経験があったことからすると,前記の取引が,被控訴人の利益に反する控訴人の担当者の強い勧めによるものであったとすれ 手数料が嵩んで損をし,証券会社の手数料稼ぎになっていると感じて,取引を終了したとの経験があったことからすると,前記の取引が,被控訴人の利益に反する控訴人の担当者の強い勧めによるものであったとすれば,本件取引期間中に,被控訴人が控訴人に対しても同様の疑念を抱いて直ぐに控訴人との取引を終了したはずであり,そうでなくても,被控訴人の苦情申入れにより,以後このような取引は止んだはずであり,被控訴人が,損失を出しつつも,約8年間もの間取引を継続したというのは,上記のような疑念を抱く事情がなかったからであると推認することができる。そして,原審証人Eは,被控訴人は利益確定を急ぐ傾向があって前記のような取引が生じたものであって,控訴人担当者側がこのような取引を勧めたものでないと証言するのであって,担当者側が手数料稼ぎ等の不当な目的でこのような取引を勧めたことを認めるに足りる証拠もない。よって,本件取引が,もっぱら控訴人の手数料稼ぎを目的として,被控訴人に過当な取引をなさしめた違法な取引であるとの被控訴人の主張は採用することができない。 2 争点(2)(平成3年3月28日の2000万円の出金)について(1)控訴人は,平成3年3月28日に被控訴人口座から出金された金2000万円については,同月15日応募の投資信託(ダイナミックシフト91―3)の応募代金2000万円の支払に充てられたものである旨主張するところ,証拠(乙18,30,50~52,53の1~3,79,80の1~3,87,原審証人G,当審証人I)によれば,次の事実が認められる。 ア Gは,平成3年3月ころ,被控訴人から,親戚から預かっている2000万円を別にしたい旨の申出を受けたことから,ステップを換金して2000万円を調達し,その資金で投資信託に応募することを提案したところ,被控訴人の了解を得 ,被控訴人から,親戚から預かっている2000万円を別にしたい旨の申出を受けたことから,ステップを換金して2000万円を調達し,その資金で投資信託に応募することを提案したところ,被控訴人の了解を得た。そこで,Gは,同月8日ころ,被控訴人に,ステップの定期引出申込書(乙50)に署名押印してもらったが,応募した投資信託の受渡日である同月19日の前日になって,ステップの換金が毎月28日にしかできず,投資信託の購入に間に合わないことが分かったため,被控訴人に相談したが,被控訴人は,当初の提案どおりの処理をして欲しいとの意向であった。 イそこで,Gは自分の知識不足により顧客に不利益を与えかねない事態に狼狽し,控訴人甲支店の当時の支店長に相談した。当時,控訴人の役席(管理職)は全員,控訴人と同じ住友系の住友銀行甲支店の勧誘に応じ,同銀行との間で,控訴人会社の管理職であるという信用を担保に,1000万円までなら,カードを呈示するだけで無担保で即日融資して貰えるカードローン口座を開設していたところ,控訴人支店長は,これらの役席に上記カードローンを利用して住友銀行から金を借りてもらい,これを被控訴人に貸して投資信託を購入し,その後,ステップが換金されたらすぐに,その金を上記役席に返済するという方法を提案した。そこで,Gはこの方法を被控訴人に提案したところ,被控訴人は,これを承諾し,出金伝票(金銭支払請求書,乙30)に2000万円と記入し,署名捺印した。 ウ当時,控訴人甲支店の役席であったI,J,Kの3名は,支店長からの依頼を受け,同月19日,それぞれのカードローンにより,Iは1000万円,Jは800万円,Kは200万円を,住友銀行から借入れ,これを同支店長に渡した。Gは,同支店長から合計2000万円を受け取り,被控訴人の口座に入金し,被控訴人は,これ ーンにより,Iは1000万円,Jは800万円,Kは200万円を,住友銀行から借入れ,これを同支店長に渡した。Gは,同支店長から合計2000万円を受け取り,被控訴人の口座に入金し,被控訴人は,これにより,投資信託(ダイナミックシフト91-3,取引経過表№271)の応募代金2000万円を支払った。その後,同月28日にステップの2000万円が換金され,被控訴人の口座に入金されたので,Gは,予め被控訴人から受領していた前記出金伝票を使用してこの2000万円を出金し,これを同支店長に渡し,同支店長は,同年4月1日にこの2000万円及び利息合計8万円余りをIら3名に,それぞれ返済した。 (2)確かに,当時営業課次長であり,証券会社の営業に長年携わっていたGが,パンフレットや定期引出申込書にも明記されているにもかかわらず,ステップの換金が毎月28日にしかできないことに気づかず,一時的とはいえ,控訴人の役席個人が銀行から大金を借り入れて,被控訴人に貸し,支店長がこの銀行借入についての利息8万円余りを支払う(乙51,当審証人I)というような事態は,異例であるということができる。しかしながら,ステップは,昭和63年から募集が開始された金融商品であって,Gが,募集開始から3年以内の換金方法である定期引出手続をとったのは,本件が初めてであったこと(乙79,原審証人G)からすると,Gがこのようなミスをすることもありえないとはいえない。また,控訴人の正規の取扱いとしては,このように応募しながら入金が間に合わないときは,約定自体を取り消して次回(翌月)廻しにすることとなっていたところ(原審証人G),もっぱら,Gの初歩的ミスにより,ステップの換金が投資信託の購入に間に合わなかったのであるから,被控訴人があくまでも投資信託の購入を希望している以上,Gや控訴人の支店長 ていたところ(原審証人G),もっぱら,Gの初歩的ミスにより,ステップの換金が投資信託の購入に間に合わなかったのであるから,被控訴人があくまでも投資信託の購入を希望している以上,Gや控訴人の支店長が,被控訴人の希望に応じるために無理をすることもありえることであるし,前記のとおり,丁度そのころ,控訴人の役席らは,住友銀行との付き合い上,前記カードローン口座を開設していて,2000万円を調達できる確かな見込みがあり,他方,ステップの換金手続は済んでいるので,被控訴人から出金伝票を受け取っておけば,Iらに対して確実に返済できる状況であったことからすれば,上記のような取扱いが行われたのも,納得できるというべきである。 なお,被控訴人は,上記認定に沿う控訴人の入出金経緯の説明に対し,被控訴人の説明要求後,長期間経過後に初めてなされたものであるとして疑問を呈するが,Gの供述等によれば,控訴人担当者の記憶がうすれていたりして,内部調査に手間どったことが認められるのであって,そうであれば,この説明の遅れの点は,上記認定を左右するものではない。 (3)他方,被控訴人は,前記(1)の事実を否認し,被控訴人は,平成3年3月28日に出金された2000万円を受け取ったことはない旨主張し,被控訴人本人の原審及び当審における各供述並びに同人作成の陳述書(甲1,5)は,同主張に沿うものである。しかし,被控訴人は,前記投資信託の応募代金として平成3年3月19日に入金された2000万円の出所について,全く主張立証することができないところ,2000万円もの大金について,その出所について全く記憶がないというのは極めて不自然であるし,被控訴人は,自ら,出金伝票に2000万円という金額を記載し,かつ,署名捺印したことは認めているのであって,前掲各証拠に照らしても,被控訴人の上記 いて全く記憶がないというのは極めて不自然であるし,被控訴人は,自ら,出金伝票に2000万円という金額を記載し,かつ,署名捺印したことは認めているのであって,前掲各証拠に照らしても,被控訴人の上記供述等は採用することができない。 (4)以上によれば,平成3年3月28日に被控訴人口座から出金された2000万円については,前記(1)認定の経緯により,被控訴人の応募した投資信託の購入資金となったことが認められ,これが控訴人により横領されたとの被控訴人の主張は,理由がない。 3 結論よって,その余の事実について判断するまでもなく,被控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これと異なる原判決を主文のとおり変更する。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官小林克已裁判官内藤正之 裁判官白石史子 別紙取引経過表は省略

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