主 文 1 本件訴えのうち,吹田市長が平成21年12月18日付けでA株式会社,B株式会社,C株式会社及び株式会社Dに対してした一団地認定処分の取消しを求める部分並びに被告一般財団法人Eが平成22年3月18日付けでA株式会社,B株式会社,C株式会社及び株式会社Dに対してした建築確認処分の取消しを求める部分を却下する。 2 原告らのその余の訴えに係る請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 吹田市長が,平成21年12月18日付けで株式会社D(以下「D」という。)に対してした開発行為許可処分(第○-○-○号)を取り消す。 2 吹田市長が,平成21年12月18日付けでA株式会社,B株式会社,C株式会社及びD(以下,これら4社を併せて「Aら」という。)に対してした一団地認定処分(第○号)を取り消す。 3 被告一般財団法人E(以下「被告センター」という。)が,平成22年3月18日付けでAらに対してした建築確認処分(第○大建確○号)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,大阪府吹田市α×番2所在の土地(別紙1の付近見取図のうち斜線で示した部分。面積3万6825.20平方メートル。以下「本件開発区域」という。)における(仮称)β団地住宅建替事業(以下「本件事業」という。)に関し,吹田市長が,平成21年12月18日付けで,Dに対して開発行為許可(以下「本件開発許可」という。)を,Aらに対して一団地認定(以下「本 件一団地認定」という。)を行い,被告センターが,平成22年3月18日付けで,Aらに対して本件事業の1・2号棟の建物(別紙1の配置図のうち1号棟及び2号棟。以下「本件建築確認建物」という。)についての建築確認(以下「本件建築確認 被告センターが,平成22年3月18日付けで,Aらに対して本件事業の1・2号棟の建物(別紙1の配置図のうち1号棟及び2号棟。以下「本件建築確認建物」という。)についての建築確認(以下「本件建築確認」といい,本件開発許可及び本件一団地認定と併せて「本件各処分」という。)を行ったところ,本件開発区域の周辺に居住する原告らが,本件開発許可には都市計画法に違反する違法があり,本件一団地認定及び本件建築確認には建築基準法等に違反する違法があるなどと主張して,本件各処分の取消しを求めた事案である。 2 法令等の定め(1) 道路に関する基準についてア都市計画法33条1項都道府県知事は,開発許可の申請があった場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(第4項及び第5項の条例が定められているときは,当該条例で定める制限を含む。)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。 イ同項2号主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為にあっては,道路,公園,広場その他の公共の用に供する空地(消防に必要な水利が十分でない場合に設置する消防の用に供する貯水施設を含む。)が,次に掲げる事項を勘案して,環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され,かつ,開発区域内の主要な道路が,開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていること。この場合において,当該空地に関する都市計画が定められているときは,設計がこれに適合していること。 イ開発区域の規模,形状及び周辺の状況ロ開発区域内の土地の地形及び地盤の性質ハ予定 合において,当該空地に関する都市計画が定められているときは,設計がこれに適合していること。 イ開発区域の規模,形状及び周辺の状況ロ開発区域内の土地の地形及び地盤の性質ハ予定建築物等の用途ニ予定建築物等の敷地の規模及び配置ウ都市計画法施行令25条都市計画法33条2項(かっこ書略)に規定する技術的細目のうち,同条1項2号(かっこ書略)に関するものは,次に掲げるものとする。 一 (略)二予定建築物等の用途,予定建築物等の敷地の規模等に応じて,6メートル以上12メートル以下で国土交通省令で定める幅員(小区間で通行上支障がない場合は,4メートル)以上の幅員の道路が当該予定建築物等の敷地に接するように配置されていること。ただし,開発区域の規模及び形状,開発区域の周辺の土地の地形及び利用の態様等に照らして,これによることが著しく困難と認められる場合であって,環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上及び事業活動の効率上支障がないと認められる規模及び構造の道路で国土交通省令で定めるものが配置されているときは,この限りでない。 三 (略)四開発区域内の主要な道路は,開発区域外の幅員9メートル(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては,6.5メートル)以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障がない道路)に接続していること。 五から八まで (略)エ都市計画法施行規則20条都市計画法施行令25条2号の国土交通省令で定める道路の幅員は, 住宅の敷地又は住宅以外の建築物若しくは第一種特定工作物の敷地でその規模が1000平方メートル未満のものにあっては6メートル(多雪地域で,積雪時における交通の確保のため必要があると認め は, 住宅の敷地又は住宅以外の建築物若しくは第一種特定工作物の敷地でその規模が1000平方メートル未満のものにあっては6メートル(多雪地域で,積雪時における交通の確保のため必要があると認められる場合にあっては,8メートル),その他のものにあっては9メートルとする。 (2) 排水施設に関する基準についてア都市計画法33条1項3号排水路その他の排水施設が,次に掲げる事項を勘案して,開発区域内の下水道法2条1号に規定する下水を有効に排出するとともに,その排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において,当該排水施設に関する都市計画が定められているときは,設計がこれに適合していること。 イ当該地域における降水量ロ前号イからニまでに掲げる事項及び放流先の状況イ都市計画法施行令26条都市計画法33条2項に規定する技術的細目のうち,同条1項3号(かっこ書略)に関するものは,次に掲げるものとする。 一開発区域内の排水施設は,国土交通省令で定めるところにより,開発区域の規模,地形,予定建築物等の用途,降水量等から想定される汚水及び雨水を有効に排出することができるように,管渠の勾配及び断面積が定められていること。 二開発区域内の排水施設は,放流先の排水能力,利水の状況その他の状況を勘案して,開発区域内の下水を有効かつ適切に排出することができるように,下水道,排水路その他の排水施設又は河川その他の公共の水域若しくは海域に接続していること。この場合において,放流 先の排水能力によりやむを得ないと認められるときは,開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池その他の適当な施設を設けることを妨げない。 三 域に接続していること。この場合において,放流 先の排水能力によりやむを得ないと認められるときは,開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池その他の適当な施設を設けることを妨げない。 三雨水(処理された汚水及びその他の汚水でこれと同程度以上に清浄であるものを含む。)以外の下水は,原則として,暗渠によって排出することができるように定められていること。 ウ都市計画法施行規則22条1項都市計画法施行令26条1号の排水施設の管渠の勾配及び断面積は,5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度値を用いて算定した計画雨水量並びに生活又は事業に起因し,又は付随する廃水量及び地下水量から算定した計画汚水量を有効に排出することができるように定めなければならない。 (3) 地盤に関する基準についてア都市計画法33条1項7号地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。この場合において,開発区域内の土地の全部又は一部が宅地造成等規制法3条1項の宅地造成工事規制区域内の土地であるときは,当該土地における開発行為に関する工事の計画が,同法9条の規定に適合していること。 イ宅地造成等規制法9条1項宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事は,政令(その政令で都道府県の規則に委任した事項に関しては,その規則を含む。)で定める技術的基準に従い,擁壁,排水施設その他の政令で定める施設(以下「擁壁等」という。)の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。 3 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨に 以下「擁壁等」という。)の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。 3 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することのできる事実。なお,書証番号については特に断りのない限り枝番号を含む。また,当事者間に争いのない事実については認定根拠を付していない。)(1) 当事者ア原告らは,いずれもその肩書住所地所在の土地及び同土地上の建物を所有し,同所に居住している者である。原告らの住所地は,本件開発区域の南東角付近に位置し,いずれも本件開発区域と幅員約6メートルの道路を挟んで隣接している(甲1,2,弁論の全趣旨)。 イ被告センターは,建築基準法6条の2,77条の18の規定に基づき国土交通大臣の指定を受けた指定確認検査機関である(弁論の全趣旨)。 (2) 本件開発許可に関する事実経過等ア Dは,平成21年11月30日,吹田市長に対し,都市計画法29条の規定に基づき,本件事業に係る開発行為(以下「本件開発行為」という。)の許可を申請し,吹田市長は,同年12月18日付けで,本件開発行為を許可する旨の本件開発許可を行った(甲3,乙11,12)。 イ本件開発区域は,用途地域として第1種中高層住居専用地域に指定されており,本件事業では,1・2号棟(RC造,地上7階地下1階建,101戸),3号棟(RC造,地上6階地下1階建,48戸),4号棟(RC造,地上14階地下2階建,83戸),5号棟(RC造,地上15階地下1階建,133戸),6号棟(RC造,地上15階地下1階建,90戸),7号棟(RC造,地上15階地下1階建,149戸),8号棟(RC造,地上15階地下1階建,85戸),9号棟(RC造,地上13階地下1階建,109戸),共用棟(RC造 地上15階地下1階建,90戸),7号棟(RC造,地上15階地下1階建,149戸),8号棟(RC造,地上15階地下1階建,85戸),9号棟(RC造,地上13階地下1階建,109戸),共用棟(RC造,地上2階地下2階建),駐車場棟-1(RC造,地上2階地下1階建)及び駐車場棟-2(RC造,地上2階地下1階建)の各建物の建築が予定されていた(乙1,15,21)。 また,本件開発区域は,宅地造成等規制法3条1項の宅地造成工事規制区域に指定されている(争いのない事実)。 ウ Aらは,平成23年8月12日,吹田市長に対し,都市計画法35条の2の規定に基づき,本件開発行為の変更の許可を申請し,吹田市長は,同月17日付けで,上記申請を許可(以下「本件第1次変更許可」という。)した(乙13,14)。 エ Aらは,同年11月16日,吹田市長に対し,都市計画法35条の2の規定に基づき,本件開発行為の変更の許可を申請し,吹田市長は,同年12月5日付けで,上記申請を許可(以下「本件第2次変更許可」という。)した(乙19,20)。 (3) 本件一団地認定吹田市長は,平成21年12月18日,Aらに対し,本件開発区域内の建築物につき建築基準法86条1項に基づき本件一団地認定をした(甲4,争いのない事実)。 (4) 本件建築確認に関する事実経過等ア Aらは,本件建築確認建物を建築するに当たり,平成22年1月18日,被告センターに対して建築確認を申請し,被告センターは,同年3月18日付けで,本件建築確認を行った(甲4)。 イ Aらは,本件建築確認建物の建築工事を完了し,被告センターは,平成23年8月19日,本件建築確認建物につき建築基準法7条の2の規定に基づく完了検査を行い,同月31日,Aらに対して検査済証を交付した(弁論の全趣旨)。 建物の建築工事を完了し,被告センターは,平成23年8月19日,本件建築確認建物につき建築基準法7条の2の規定に基づく完了検査を行い,同月31日,Aらに対して検査済証を交付した(弁論の全趣旨)。 (5) 本件各処分に関する審査請求ア原告らは,本件開発許可を不服として,平成22年2月15日,吹田市開発審査会に対して審査請求を行い,吹田市開発審査会は,同年10月4日,原告らの上記審査請求を却下する旨の裁決を行った(甲7)。 イ原告らは,本件一団地認定及び本件建築確認を不服として,同年5月24日,吹田市建築審査会に対して審査請求を行い,吹田市建築審査会は,平成23年1月7日,原告らの上記審査請求をいずれも却下する旨の裁決を行った(丙1)。 (6) 本件訴えの提起原告らは,平成22年10月28日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 第3 争点 1 本案前の争点(1) 本件開発許可取消訴訟の原告適格の有無(2) 本件一団地認定取消訴訟の原告適格の有無(3) 本件建築確認取消訴訟の原告適格の有無(4) 本件建築確認取消訴訟の訴えの利益の有無 2 本案の争点(1) 本件開発許可の適法性ア道路に関する基準違反の有無イ排水施設に関する基準違反の有無ウ地盤に関する基準違反の有無(2) 本件一団地認定の適法性ア安全上及び防火上の危険性の有無イ衛生上の危険性の有無ウ 「マンション建替えマニュアル」及び「γのまちづくり指針」違反の有無(3) 本件建築確認の適法性ア本件一団地認定の違法性の承継の有無イ 「γのまちづくり指針」違反の有無第4 争点に対する当事者の主張 1 本件開発許可取消訴訟の原告適格の有無について【原告 適法性ア本件一団地認定の違法性の承継の有無イ 「γのまちづくり指針」違反の有無第4 争点に対する当事者の主張 1 本件開発許可取消訴訟の原告適格の有無について【原告らの主張】都市計画法上の接道義務と建築基準法上の接道義務は,一般的に,市街地の機能及び良好な環境の確保等の公共の利益を増進することを目的とするにとどまらず,その対象となっている建築物の倒壊・炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものとして,同一の趣旨目的を有するものである。そうすると,本件開発行為に該当する建築物の倒壊・炎上等により直接的な被害を受けることが予想される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物に居住し又はこれを所有する者は,上記開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものとして,その取消訴訟における原告適格を有するものと解すべきである。 また,都市計画法33条1項7号は,崖崩れ等のおそれのない良好な都市環境の保持・形成を図るとともに,崖崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,開発区域内の土地が,地盤の軟弱な土地,崖崩れ又は出水のおそれが多い土地等に当たる場合には,崖崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域の居住する者は,開発許可の取消を求めるにつき原告適格を有する(最判平成9年1月28日・民集51巻1号250頁)。 本件開発区域は,もともと竹林であり軟弱地盤であることから宅地造成工事規制 の地域の居住する者は,開発許可の取消を求めるにつき原告適格を有する(最判平成9年1月28日・民集51巻1号250頁)。 本件開発区域は,もともと竹林であり軟弱地盤であることから宅地造成工事規制区域に指定されており,崖崩れや出水のおそれが多い土地である上,原告らは,本件開発区域から約6メートルの距離に自宅を所有し又は居住していることから,本件開発区域の崖崩れにより直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内に自宅を有し又は居住しているといえる。また,上記距離を考慮すれば,原告 らが所有し又は居住する建物は,本件建物の倒壊・炎上等により直接的な被害を受けることが予想される。 【被告吹田市の主張】原告適格が認められる「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)とは,当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのあるものをいう(最判平成14年1月22日・民集56巻1号46頁)。 ところが,原告らは,開発許可に当たっては開発区域の周辺の状況を勘案するよう主張しているにすぎず,本件開発許可がどのように原告らの人格権及び土地建物の所有権を侵害するのかを全く明らかにしていないから,原告らはいずれも「法律上の利益を有する者」とは認められない。 建築基準法は単体の建築物を想定した場合の道路幅員の下限(原則4メートル)を規定しているのに対し,都市計画法は集団的な基盤施設としての道路幅員の下限を規定しているものであって,両者の接道義務は趣旨・目的を異にする。また,都市計画法上の接道要件について,都市計画法施行令25条2号及び都市計画法施行規則20条等に定められた技術的細目以外の抽象的な観点に基づく審査は許されないこと等にも照らすと,同法上の接道義務について,原告らが主張するように周辺住民等の個 法施行令25条2号及び都市計画法施行規則20条等に定められた技術的細目以外の抽象的な観点に基づく審査は許されないこと等にも照らすと,同法上の接道義務について,原告らが主張するように周辺住民等の個別的利益の保護という趣旨が含まれると解することはできない。 また,本件開発区域を含む吹田市北部地域が宅地造成工事規制区域に指定されて以後50年近くにわたり,本件開発区域の周辺においては,軟弱地盤による地滑りや不同沈下,がけ崩れ等が発生した事例もなく,急傾斜地に指定された地域もないから,本件開発区域について,地盤の軟弱な土地,がけ崩れ又は出水のおそれが多い土地であると短絡的に結論付けることはできない。 2 本件一団地認定取消訴訟の原告適格の有無について【原告らの主張】 一団地認定制度を定めた建築基準法86条1項は,一団地認定に係る建築物の建築が市街地の環境の整備改善に資するようにするとともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物並びに周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物における日照,通風,採光等といった環境等を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,一団地認定に係る建築物の倒壊,炎上等(又は当該建築物の存在自体)により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,一団地認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解すべきである。 そうであるところ,原告らは,本件開発区域と6メートル道路を挟んで接している場所に自宅を所有し又は居住している者であって,いずれも本 して,その取消訴訟における原告適格を有すると解すべきである。 そうであるところ,原告らは,本件開発区域と6メートル道路を挟んで接している場所に自宅を所有し又は居住している者であって,いずれも本件一団地認定に係る建築物が倒壊・炎上すれば直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内にある。 また,最高裁は,建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可の取消しが問題となった事案において,当該建築物から1時間の日照阻害を受ける周辺住民に対して原告適格を認めている(最判平成14年3月28日・民集56巻3号613頁)ところ,原告らは本件一団地認定に係る建築物により1時間の日照阻害を受け,また,本件一団地認定による容積率の緩和措置によって生命,健康及び財産の危険を受けることになる。 したがって,原告らには本件一団地認定の取消しを求める原告適格がある。 【被告吹田市の主張】原告らは,本件一団地認定により個別具体的にどのような権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあるかについて主張・立証していない。 原告らが論拠とする前掲最判平成14年3月28日は総合設計許可制度に関する判例であり,本件のような一団地認定とは全く別個の制度である。その要件についてみても,一団地認定と総合設計許可とでは明らかな違いがあり,一団地認定について,「当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含む」と解することはできない。 また,上記最判平成14年3月28日は,冬至日に1時間以上日照阻害を受けたという事例であるが,原告らの主張する被害は,春分時に1時間 しても保護すべきものとする趣旨を含む」と解することはできない。 また,上記最判平成14年3月28日は,冬至日に1時間以上日照阻害を受けたという事例であるが,原告らの主張する被害は,春分時に1時間の日照阻害を受けるというものであり,建築基準法上の日影規制を検討する方法において明らかな誤りがある。したがって,原告らは日影規制の点について本件認定処分の取消しを求める法律上の利益がない。 また,容積率の緩和措置については,そのことが原告らの生命,健康及び財産にどのような危険を及ぼすのか具体的説明がされておらず,原告らが主張する「違法な処分により侵害される利益」には具体的内容があるとはいえない。 したがって,この点についても原告らに本件認定処分の取消しを求める法律上の利益がないことは明らかである。 3 本件建築確認取消訴訟の原告適格の有無について【原告らの主張】建築基準法6条1項の趣旨及び目的,同項が同項各号に掲げる建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質(建築確認制度は,建築確認の対象となる建築物のみならず,周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することを,周辺住民の個別的利益としても保護しているものである。)等のほか,同法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的としていること (同法1条)をも考慮すると,同法6条1項は,建築確認に係る建築物並びにその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするともに,当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命又は身体の安全等及び財産としてのその建築物並びに周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物における日照,通風,採光等といった環境等を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等(又は当該建築物の存在自体)により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,当該取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 原告らは,本件開発区域と6メートル道路を挟んで接している場所に土地建物を所有し又は居住している者であり,いずれも本件建築確認建物が倒壊・炎上すれば直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内にある。 また,最高裁は,建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可の取消しが問題となった事案において当該建築物から1時間の日照阻害を受ける周辺住民に対して原告適格を認めている(前掲最判平成14年3月28日)ところ,原告らは本件建築確認建物により1時間の日照阻害を受けることになる。 したがって,原告らには本件建築確認の取消しを求める原告適格がある。 【被告センターの主張】建築確認制度は,周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することを周辺住民の個別的利益としてまで保護しているわけではない。 原告らの主張はいずれも抽象的で具体性を欠き,原告適格を基礎づける主張とはいえない。 日照阻害についても抽象 境を確保することを周辺住民の個別的利益としてまで保護しているわけではない。 原告らの主張はいずれも抽象的で具体性を欠き,原告適格を基礎づける主張とはいえない。 日照阻害についても抽象的主張に留まっているが,仮にこれが具体的主張であるとしても,原告らの中で日照阻害が生じる者は一人もいない。なお,原告F及び原告Gの敷地の北西については一部に日影を生じるおそれがあるが,それは冬至日において30分を超えない短時間のものであり,かつ,住居部分などの生活利用部分ではないから,日照阻害は生じていない。 したがって,原告らには,いずれも本件建築確認の取消しを求める原告適格がない。 4 本件建築確認取消訴訟の訴えの利益の有無について【原告らの主張】建築物が完成した後,建築物が建築基準法に違反していることを争うためには,当該建築確認の建築基準法違反を争ったとしても,建築物自体の建築基準法違反を争うことにはならないから,当該建築確認を争う訴えの利益は消滅するというのが判例の立場である。 しかしながら,建築物完成後は訴えの利益がなくなるとすると,処分庁側は訴訟を遅延させれば必ず勝訴することになり,迅速な紛争解決に協力しなくなるという訴訟手続上の問題点が生じる。他方,執行停止申立制度があるとはいえ,通常建築確認の違法を争うのは周辺住民であり,取消訴訟提起時に開示される資料は簡略な書面にすぎず,それ以外の資料の開示を求める手段も十分とはいえないことから,執行停止の申立てが審理中に認められることは実際上期待できない。 この点,建築確認の取消判決があると,建築物の違法性が認定されるのであるから,行政庁には是正命令を出すかどうかの審査を開始する義務が生じ,あるいは建築主に何らかの対応義務が生じると解すべきであるところ,そのように解す 消判決があると,建築物の違法性が認定されるのであるから,行政庁には是正命令を出すかどうかの審査を開始する義務が生じ,あるいは建築主に何らかの対応義務が生じると解すべきであるところ,そのように解すると,建築工事完了後においても取消訴訟の訴えの利益を認める余地がある。 また,建築物が完成していたとしても,違法な行政処分に基づく建築工事・ 造成工事が行われたならばそれらの工事に対する損害賠償請求(国家賠償請求)を提起することが可能であり,その損害の填補を受け得るという意味で訴えの利益が存する。 さらに,一団地認定が行われた場合には,その一団地全部の工事が完了しない限り建築工事は完成していないと考えるべきであるから,一団地認定が行われている本件においては,建築確認の訴えの利益は消滅していない。 加えて,本件においては,開発工事の工事完了検査の公告の前に,建築工事が完成したとして検査済証の交付が行われているが,開発行為の工事完了検査の公告を待たずに建築行為の完成を認める規定は都市計画法上存在しない。したがって,本件建築確認建物に係る検査済証の交付自体が無効というべきである。 【被告センターの主張】(1) 本件建築確認は,本件建築確認建物を対象としているところ,本件建築確認建物は,平成23年8月19日に建築基準法7条の2第1項の規定による完了検査を受け,さらに同月31日には検査済証の交付を受けているので,本件建築確認建物に対する工事は既に完了している。 工事が完了した場合における建築確認取消訴訟の訴えの利益について,建築確認は,それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,当該工事が完了した場合においては,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるもの ,それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,当該工事が完了した場合においては,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない(最判昭和59年10月26日・民集38巻10号1169頁)。したがって,本件建築確認の対象である本件建築確認建物の工事が既に完了しているのであるから,本件訴えのうち本件建築確認の取消しを求める部分については訴えの利益がなく,却下されるべきである。 (2) 原告らは,国家賠償請求による損害の填補を受け得るという意味で訴えの利益が存する旨主張するが,国家賠償請求訴訟を提起する前提として取消 判決を得ることは不要であり,別途国家賠償請求訴訟を提起できることは,本件訴訟の訴えの利益の存否の判断において何ら関係のないものである。 原告らは,一団地認定がされた場合には,その一団地全部の工事が完了しない限り訴えの利益は消滅しない旨主張するが,建築確認は対象とされた建物ごとにされるものであるところ,工事の完了についても対象とされた建物ごとに判断がされるものであることからすれば,訴えの利益の存否の判断についても当然に建築確認の対象となった建物ごとにされるべきで,これを別異に考える特段の理由は存しない。 また,原告らは,開発行為の工事完了検査の公告前に検査済証を交付していること自体が無効である旨主張するが,被告センターは,平成23年8月31日に開発行為の工事完了検査の公告がされたことを確認した上で,同日,建築工事の検査済証を交付しており,原告らの主張は事実誤認である。 5 本件開発許可の適法性について【被告吹田市の主張】(1) 道路に関する基準違反の有無ア原告らの主張は,都市計画法33条1項2号,都市計画法施行令25 ,原告らの主張は事実誤認である。 5 本件開発許可の適法性について【被告吹田市の主張】(1) 道路に関する基準違反の有無ア原告らの主張は,都市計画法33条1項2号,都市計画法施行令25条4号を正しく引用していない上,そもそも,同号にいう「開発区域内の主要な道路」は本件開発区域に存在しないから,これにつき同号の規定は適用されない。原告が「本件開発区域内の主要な道路」であると主張している別紙2の朱線で示した道路(以下「本件車路」という。)は,本件開発区域外の隣地の敷地であるから,本件開発区域の接道要件とは関係がない。 本件開発区域については,都市計画法33条1項2号,都市計画法施行令25条2号,都市計画法施行規則20条の規定の適用を受けるものであり,同条は,「令第25条第2号の国土交通省令で定める道路の幅員は,住宅の敷地又は住宅以外の建築物若しくは第一種特定工作物の敷地でその規模が1000平方メートル未満のものにあっては6メートル(中 略),その他のものにあっては9メートルとする。」と規定するところ,本件開発区域はその南側において6メートル以上の道路に接するように配置されているのであるから,基準違反はない。 イ原告らは,開発区域における車両の出入り口は全て9メートル道路に接しなければならないと主張するようであるが,開発許可を行う際の接道要件はそのようなことまで要求するものではない。 なお,仮に本件車路が9メートル道路に接しなければならないとしても,本件車路は9メートル以上の幅員を有する市道δ線に接している。また,原告らの主張するとおり,本件開発区域の一部は,市道ε×号線の歩道として拡幅された部分に接しているものの直接9メートル以上の幅員を有する車道に接していないが,9メートル以上の幅員を有する車道との間に独 らの主張するとおり,本件開発区域の一部は,市道ε×号線の歩道として拡幅された部分に接しているものの直接9メートル以上の幅員を有する車道に接していないが,9メートル以上の幅員を有する車道との間に独立行政法人都市再生機構(以下「UR」という。)の所有地が存在する以上,直接その車道に接することは物理的に不可能であり,開発許可を行うに際しての接道要件はそのようなことまで要求するものではない。 ウまた,原告らは,本件車路が,開発許可基準にいう開発区域内の主要な道路に該当しないとしても,当該道路ないし通路は駐車場法上の技術基準を満たしていなければならない旨主張するが,開発許可の申請があった場合においては,当該申請に係る開発行為が,都市計画法33条1項各号に掲げる基準に適合しており,かつ,その申請の手続が同法又は同法に基づく命令の規定に違反していないかどうかを客観的に審査しなければならないから,これら以外の基準に適合しているかどうかの審査まで義務付けようとする原告らの主張は失当である。そもそも,駐車場法が規制の対象としているのは,一般公共の用に供される駐車施設であって,本件開発区域内における居住者専用の駐車施設は同法の規制の対象ではないから,原告らの主張はその前提を欠く。 (2) 排水施設に関する基準違反の有無 アそもそも,本件開発区域と原告らの居住地域を含むγ地域は,新住宅市街地開発事業として大阪府(知事)による都市計画決定を経て公共下水道を含む公共施設整備が完了した区域であり,都市計画法59条1項,63条1項及び下水道法4条1項により認可を受けた公共下水道事業計画に基づく整備が完了している区域である。 イまた,都市計画法33条1項,都市計画法施行令26条1号,都市計画法施行規則22条1項についていえば,本件開発区域の排水 り認可を受けた公共下水道事業計画に基づく整備が完了している区域である。 イまた,都市計画法33条1項,都市計画法施行令26条1号,都市計画法施行規則22条1項についていえば,本件開発区域の排水施設は,10年に1回の確率で想定される降雨強度値を用いて算定した雨水量を有効に排出することができるように計画されているから,上記法令の定める基準を満たしている。原告らは,吹田市北部というあいまいな範囲において冠水の事実があることをもって,5年に1回の確率の降雨強度に対応できない状況にあるなどと主張するが,少なくとも本件開発区域付近においては,過去に公共下水道の排水能力不足による浸水は起こっていないのであるから,原告らの主張は失当である。また,下水道管の付け替えが必要となるとの原告らの主張について,本件開発区域を含む吹田市流域関連公共下水道高川処理分区における行政人口は,平成元年度末で2万5829人,平成13年度末で2万0500人,平成22年度末で1万7936人とむしろ減少傾向にあり,下水道管の付け替えを必要とする状況ではない上,仮に下水道管の付け替えが必要な状況であるとしても,そのこと自体が本件開発許可を行わない理由に直結するものではない。 ウさらに,原告らは,本件開発許可が都市計画法施行令26条2号後段に違反する旨主張するが,同号後段は,「この場合において,放流先の排水能力によりやむを得ないと認められるときは,開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池その他の適当な施設を設けることを妨げない。」と規定するにすぎず,原告らの主張するように遊水池を設けることを条件としているわけではない。 (3) 地盤に関する基準違反の有無本件事業については,都市計画法33条1項7号の規定により,地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を を設けることを条件としているわけではない。 (3) 地盤に関する基準違反の有無本件事業については,都市計画法33条1項7号の規定により,地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められている必要があり,かつ,本件開発区域が宅地造成工事規制区域内にあるため,宅地造成等規制法9条の規定に適合している必要があるところ,本件開発許可に係る開発地域においては,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置等がされており,この許可基準に合致しているのであるから,本件開発許可に地盤に関する基準違反はない。 原告らは,大阪府作成の大阪府自然災害総合防災対策検討(地震被害想定)報告書(以下「防災対策検討報告書」という。甲15)を引用するが,同報告書には,原告らが主張するようなγの地質に関する具体的な記述はない。 また,防災対策検討報告書によれば,ζ断層帯における大規模地震発生の確率は,30年以内に0~0.02パーセントと記述されているが,仮に原告らの主張するように30年以内に2~3パーセントの大規模地震発生の確率があるとしても,そのことが直ちに本件開発許可を行わない理由になるものではない。 そして,上記のとおり,開発許可の申請があった場合においては,当該申請に係る開発行為が,都市計画法33条1項各号に掲げる基準に適合しており,かつ,その申請の手続が同法又は同法の命令の規定に違反していないかどうかを客観的に審査しなければならないのであって,原告らが主張するようなそれ以上の「特別な審査」をすることは,それ自体許されないというべきである。 【原告らの主張】(1) 道路に関する基準違反の有無ア都市計画法33条1項2 であって,原告らが主張するようなそれ以上の「特別な審査」をすることは,それ自体許されないというべきである。 【原告らの主張】(1) 道路に関する基準違反の有無ア都市計画法33条1項2号及び都市計画法施行令25条4号は,道路に 関する技術基準について,建築基準法43条が定める基準を上回る接道義務を課しているものであり,開発許可を行う際には,当該開発区域が接する道路の全ての部分が所定の道路幅員を有することが必要である。そうであるところ,吹田市都市整備部開発調整室建築指導課において作成した「一の敷地とみなすこと等による制限の緩和に関する基準(案)」(以下「吹田市一団地認定基準」という。乙4)によれば,本件開発区域は幅員9メートルの区域外道路に接していることが必要であり,また,都市計画法33条1項2号及び都市計画法施行令25条4号も同様に幅員9メートルの道路に接することを要求しているにもかかわらず,本件開発区域内(又は準開発区域内)の主要な道路である本件車路が接続する開発区域外道路は,その一部が幅員9メートル未満しかない。 すなわち,本件開発区域の南東角付近において,市道ε×号線は歩道を拡幅して9メートル道路となる予定であるが,本件車路はUR所有地であるため,本件車路に係る部分は道路幅員の拡張ができず,その部分において本件開発区域は幅員6メートルの道路としか接していないこととなる(甲23)。 イ仮に,本件車路が開発許可基準にいう開発区域内の主要な道路に該当しないとしても,当該道路ないし通路は駐車場法上の技術基準を満たしていなければならないところ,本件車路は,その出入り口付近の幅員が3.5メートルしかなく,①横断歩道から5メートル離れていること,②出口と入口を分離して10メートル以上離すこと,③出入り口にはすみ ていなければならないところ,本件車路は,その出入り口付近の幅員が3.5メートルしかなく,①横断歩道から5メートル離れていること,②出口と入口を分離して10メートル以上離すこと,③出入り口にはすみ切りをすること,④自動車車路は相互通行の場合は5.5メートルの幅員を要することという路外駐車場の出入り口に関する技術基準(駐車場法施行令7条1項)を満たしていない。また,吹田市開発事業の手続等に関する条例施行規則(以下「開発事業条例施行規則」という。甲22)35条1項5号によれば,自動車の駐車施設に至る敷地内の車路は,対面通行の場合にあ っては幅5.5メートル以上とすることとあり,駐車場法施行令7条1項と同一の規制をしている。 駐車場法上の技術基準に違反することは,開発区域内外の交通安全に危険を生じさせるものであるから,開発許可の技術基準違反と同視すべきである。 (2) 排水施設に関する基準違反の有無都市計画法施行規則22条1項においては,「5年に1回の確率で想定される降雨強度以上の値を用いる」とされているにもかかわらず,本件開発区域は5年に1回の確率の降雨強度に対応できない状況にある。すなわち,γのうち吹田市北部において,毎年,大雨の際に道路・交差点が冠水することは公知の事実である。また,本件事業により,急激に人口が増加して下水の流量が増え,そのため下水管の付け替えも必要となるから,このような排水施設の整備なくしては開発行為が許されないというべきである。 また,都市計画法施行令26条2号後段は「放流先の排水能力が集中豪雨等の一時的な集中排水時にのみ不十分となる場合で他に接続する十分な排水能力を有する放流先が存在しない場合には,開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池を設ける」ことを条件に開発行為を認めているが,この遊 時的な集中排水時にのみ不十分となる場合で他に接続する十分な排水能力を有する放流先が存在しない場合には,開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池を設ける」ことを条件に開発行為を認めているが,この遊水池等は地方自治体等公共サイドの管理とすることが望ましいとされている。しかし,本件では開発区域内に公共サイドの管理による遊水池等の設置は予定されていない。 (3) 地盤に関する基準違反の有無都市計画法33条1項7号は,開発許可の基準として「地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること」を規定しているにもかかわらず,本件開発許可の申請手続において本件開発区域が宅地造成工事規制区域であることに 対する指導・対策はされていない。 阪神淡路大震災を契機として,我が国が地震の活動期に入っていることは明らかである。平成19年3月に公表された防災対策検討報告書(甲15)によれば,γは大阪層群と呼ばれる堆積層の上を軟弱な沖積層が覆っており,盛土・切土の割合が大阪府内で一番多いため,地震時に崩壊や地割れなどの被害が発生する危険性があるとされている。そして,η断層帯やζ断層帯の活動により,30年以内に2~3パーセントの確率で震度7以上の地震が起こると予測されているのである。 したがって,過去50年間,地滑り・不同沈下・崖崩れがなかったことを根拠に,地盤の安全性に関する特別な審査をしないというのは,裁量行為として許されないというべきである。 6 本件一団地認定の適法性について【被告吹田市の主張】(1) 総論建築基準法86条1項は,2以上の敷地からなる一団地内にある1又は2以上の建築物であって, されないというべきである。 6 本件一団地認定の適法性について【被告吹田市の主張】(1) 総論建築基準法86条1項は,2以上の敷地からなる一団地内にある1又は2以上の建築物であって,その位置及び構造が安全上,防火上及び衛生上支障がないと特定行政庁が認めるものに対しては,同項に列挙されている接道義務,容積率制限,建ぺい率制限,日影規制等の特例対象規定を,当該一団地を一の敷地とみなして適用する旨規定するところ,吹田市長は,本件一団地認定に係る建築物が,その位置及び構造が安全上,防火上及び衛生上支障がないと認められたことから,本件一団地認定を行ったものであり,当該処分に違法性はない。 (2) 安全上及び防火上の危険性の有無についてア建築基準法86条による一団地認定がされた場合,一団地を一の敷地とみなすため,当該敷地について接道を要しなくなるところ(建築基準法43条参照),本件一団地認定に際しても,本件一団地認定に係る建築物及び 立体駐車場棟から前面道路に通じる通路を設ける計画となっていることから,安全上及び防火上支障はないと認めたものであり,何ら違法ではない。 原告らは,9棟の各マンションの間には通路はなく,立体駐車場へ至る道路も都市計画法上の技術基準を満たしていない旨主張するが,上記のとおり,本件各マンションの間には通路を設ける計画となっており,立体駐車場へ至る道路についても,一団地の敷地内の通路にすぎず,道路としての都市計画法上の技術基準を満たす必要はない。 イ次に,大阪府及び被告吹田市が定める一団地認定基準違反をいう点については,被告吹田市においては,一団地認定の判断基準として,独自の一団地認定基準(乙4)を設けているのであるから,大阪府の一団地認定基準は関係がなく,また,本件開発区域南側の前面 準違反をいう点については,被告吹田市においては,一団地認定の判断基準として,独自の一団地認定基準(乙4)を設けているのであるから,大阪府の一団地認定基準は関係がなく,また,本件開発区域南側の前面道路は,幅員が9メートル以上であり,通り抜けも可能であって,被告吹田市の一団地認定基準の要件を満たしているものである。 ウまた,駐車場法上の技術基準に違反するとの点について,前記のとおり,本件開発区域内の居住者専用の駐車場施設は駐車場法の規制の対象ではないから,原告らの主張は失当である。 (3) 衛生上の危険性の有無について被告吹田市は,建築基準法86条1項に規定する「その位置及び構造が・・・衛生上支障がない」ことにつき,旧建設省通達「一団地の総合的設計制度及び連担建築物設計制度の運用指針」(以下「旧建設省通達」という。乙4の別紙2)の技術的基準に基づき,適正に審査を行っている。 具体的には,旧建設省通達の第4の1(3)及び(4)に基づき,一団地内の複数の建築物(専らその居住部分)について,通風,採光,日照の面で相互に支障とならないかどうかの審査をしているのであって,例えば,原告らが原告F夫婦の自宅前に設置されると主張するゴミ集積場は,3号棟と4号棟の間に設けられる駐輪場の地下に設置されるものであるが,一団地内の他の建 築物の通風,採光,日照に何ら支障を与えるものではないため,「衛生上支障がない」と判断したものであり,他のゴミ集積場についても同様である。したがって,本件一団地認定には何らの瑕疵もない。 (4) 「マンション建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」(以下「合意形成マニュアル」という。)及び「γのまちづくり指針」(以下「まちづくり指針」という。甲6)について上記合意形成マニュアル及びまちづくり指 替えに向けた合意形成に関するマニュアル」(以下「合意形成マニュアル」という。)及び「γのまちづくり指針」(以下「まちづくり指針」という。甲6)について上記合意形成マニュアル及びまちづくり指針は,そもそも一団地認定を行う際の審査の基準とされていないのであるから,吹田市長には上記マニュアル等が定める手続違反をしているかどうかについて審査する権限も義務もない。 したがって,仮に上記合意形成マニュアル及びまちづくり指針に基づく手続違反があったとしても,本件一団地認定が違法になることはない。 【原告らの主張】(1) 安全上及び防火上の危険性の有無についてア本件事業においては9棟の建物の建設が予定されているところ,各建物間に通路はなく,立体駐車場に至る道路も都市計画法上の技術基準を満たしていない。このような建築計画は,当該建物の住民のみならず周辺住民に対しても安全上及び防火上の危険がある。 イ大阪府の一団地認定基準によれば,対象区域内の各建物から前面道路に通じる避難上及び通行上有効な通路は,対象区域面積が1000平方メートル以上の住宅団地の場合は,幅員6メートル以上で境界を明確にし,動線は複雑でなく袋小路の場合は2方向避難が可能であることを定めているが(甲5),本件事業においてはこの要件を満たしていない。また,本件事業の開発面積は3万6825平方メートルであるところ,吹田市の一団地認定基準(乙4)によれば,前面道路の幅員は,その区域が1万平方メートル以上の場合は「通り抜けで9メートル以上」であることが要求されて いるが,本件事業においてはこの要件を満たしていない。 ウさらに,本件車路は,①横断歩道から5メートル離れていること,②出口と入口を分離して10メートル以上離すこと,③出入り口にはすみ切りをすること, ,本件事業においてはこの要件を満たしていない。 ウさらに,本件車路は,①横断歩道から5メートル離れていること,②出口と入口を分離して10メートル以上離すこと,③出入り口にはすみ切りをすること,④自動車車路は相互通行の場合は5.5メートルの幅員を要することという路外駐車場の出入り口に関する技術基準(駐車場法施行令7条1項)を満たしておらず,本件一団地認定は,建築基準法86条1項の安全性要件を満たしていない瑕疵がある。 (2) 衛生上の危険性の有無について本件事業においてはゴミ集積場を設置する計画であるところ,このような建築計画は,当該団地に居住する住民だけでなく,周辺住民に対しても衛生上の危険があるから,ゴミ集積場の設置自体が本件一団地認定の瑕疵となる。 (3) 合意形成マニュアル及びまちづくり指針について国土交通省が定めている合意形成マニュアルでは,開発行為に関する当該公共団体との事前協議は建替え推進決議が可決された後に行うと定められているにもかかわらず,Dは,本件事業における一括建替え推進決議が採択される前の平成16年6月29日に吹田市開発指導要綱に基づく事前協議申出を行っており,上記マニュアル違反である。 さらには,まちづくり指針によれば,第1種中高層住宅専用地域の容積率は150パーセント以下,建ぺい率は1ヘクタール以上の敷地では50パーセント以下を標準とする旨定められているにもかかわらず,本件事業は当該定めに従っておらず,本件一団地認定はこの指針の基準に違反している。 7 本件建築確認の適法性について【被告センターの主張】ア建築確認は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合しているかどうかを申請書類に基づき審査するものである。被告センターは,本件建築確認建物が建築基準関係規定に適合しているかを審査し,そ の主張】ア建築確認は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合しているかどうかを申請書類に基づき審査するものである。被告センターは,本件建築確認建物が建築基準関係規定に適合しているかを審査し,その結果,本件建築確認建 物がこれに適合していたので本件建築確認をしたのである。 イ原告らは,本件建築確認はまちづくり指針の規定に違反すると主張しているが,同指針は,建築基準法施行令9条に規定されている建築基準関係規定に含まれない。 ウまた,原告らは,一団地認定の違法性が建築確認の違法性に承継される旨主張するが,一団地認定と建築確認との間には,密接な関連性もなく,また,これを争う住民には十分な手続的保障がされているのであるから,手続法的観点から権利救済を図る必要性はなく,行政処分の手続的安定性を例外的に排してまで違法性の承継を認める法的根拠は存在しない。 エしたがって,本件建築確認は適法である。 【原告らの主張】アまちづくり指針によれば,第1種中高層住宅専用地域の容積率は150パーセント以下,建ぺい率は1ヘクタール以上の敷地では50パーセント以下を標準とする旨定められているにもかかわらず,本件建築確認はこの指針の基準に違反している。 イまた,一団地認定と建築確認は相連続して行われ,また,共に建築物の建築を承認するという一つの目的・効果の実現に向けられたものであるから,本件一団地認定の違法性は,本件建築確認にも承継されるというべきである。 第5 当裁判所の判断 1 本件建築確認取消訴訟の訴えの利益について(1) 建築基準法6条1項の確認(建築確認)は,同項の建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が同項にいう建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,それを受けなければ同工事を 6条1項の確認(建築確認)は,同項の建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が同項にいう建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,それを受けなければ同工事をすることができないという法的効果が付与されており,建築基準関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。しかし,同工事が完了した後における建築主事等の検査(建 築基準法7条,7条の2)は,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを基準とし,特定行政庁の違反是正命令(同法9条1項)は,当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定又は建築基準法の規定に基づく許可に付した条件に適合しているかどうかを基準とするものであって,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上,違反是正命令を発するかどうかは,特定行政庁の裁量にゆだねられているから,建築確認の存在は,検査済証の交付を拒否し,又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく,また,たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても,検査済証の交付を拒否し,又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがって,建築確認は,それを受けなければ同工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,当該工事が完了した場合においては,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる(最判昭和59年10月26日・民集38巻10号1169頁,最判平成14年1月22日・民集56巻1号46頁参照)。 (2) そうすると,前記前提となる事実(4)イのとおり,本件建築確認建物の建築主であるAらに 9年10月26日・民集38巻10号1169頁,最判平成14年1月22日・民集56巻1号46頁参照)。 (2) そうすると,前記前提となる事実(4)イのとおり,本件建築確認建物の建築主であるAらに対して検査済証が交付されており,本件建築確認建物に係る工事は完了したことが認められるから,原告らが本件建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われたというほかない。 この点,原告らは,建物の完成による訴えの利益の消滅を認めると,処分庁が意図的に訴訟を遅延させて建物の完成を待つなどの訴訟手続上の問題が生じる旨主張するが,仮にそのような問題が想定され得るとしても,適切な時期に行政事件訴訟法25条2項に基づく執行停止の申立てを行うことにより回避することができるから,上記を理由に訴えの利益が認められるものではなく,原告らの上記主張を採用することはできない。その他原告らが 主張する事情は,いずれも本件において訴えの利益を認めるべき事情ということはできない。 (3) したがって,本件訴えのうち,本件建築確認の取消しを求める部分については,訴えの利益を欠く不適法なものである。 2 本件一団地認定取消訴訟の審査請求前置について(職権による判断)(1) 認定事実前記前提となる事実並びに証拠(乙2,3,丙1)及び弁論の全趣旨によれば,本件一団地認定に係る公告(建築基準法86条8項)は平成21年12月18日に行われ,本件一団地認定に係る対象区域及び認定計画書が縦覧に供されていること,原告らは,平成22年5月24日付けで本件一団地認定等の取消しを求める審査請求を行ったこと,以上の各事実が認められる。 (2) 本件一団地認定に関する審査請求期間についてア建築基準法86条8項は,特定行政庁が一団地認定をしたときは,遅滞なく,当該認定に係る対 る審査請求を行ったこと,以上の各事実が認められる。 (2) 本件一団地認定に関する審査請求期間についてア建築基準法86条8項は,特定行政庁が一団地認定をしたときは,遅滞なく,当該認定に係る対象区域内の建築物の位置及び構造に関する計画に関して,対象区域その他国土交通省令で定める事項を公告するとともに,対象区域,建築物の位置その他国土交通省令で定める事項を表示した図書をその事務所に備えて,一般の縦覧に供さなければならない旨規定し,同条9項は,一団地認定は,同条8項による公告によって,その効力を生ずる旨規定し,同法86条の2第1項は,公告認定対象区域内において,一敷地内認定建築物以外の建築物を建築しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,当該建築物の位置及び構造が当該公告認定対象区域内の他の一敷地内認定建築物の位置及び構造との関係において安全上,防火上及び衛生上支障がない旨の特定行政庁の認定を受けなければならないなどと規定している。 このように,一団地認定は,認定対象区域内の土地につき所有権等を有する者に効力の及ぶ処分であるが,建築基準法は,これらの関係権利者に 個別に同認定の通知をするものとはせず,同認定の公告を行うものとするにとどめている。これは,一団地認定の効力を関係権利者の全員に同時に及ぼす必要がある一方で,一般に,その全員を確実に把握して同時期に個別の通知を到達させることが極めて困難であり,かつ,同認定が特定の認定対象区域を対象として行ういわば対物的な処分の性質を有することから,これを特定の個人を名あて人として行わないものとした上,公告という方法により画一的に関係権利者等にこれを告知することとしたものと解される。 そして,行政不服審査法14条1項は,審査請求は,処分があったことを知った日の翌 して行わないものとした上,公告という方法により画一的に関係権利者等にこれを告知することとしたものと解される。 そして,行政不服審査法14条1項は,審査請求は,処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に,しなければならない旨規定しているところ,当該「処分があったことを知った日」とは,処分がその名あて人に個別に通知される場合には,その者が処分のあったことを現実に知った日のことをいい,処分があったことを知り得たというだけでは足りないというべきであるが,建築基準法における一団地認定のように,処分が個別の通知ではなく公告をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には,そのような告知方法が採られている趣旨に鑑みて,上記の「処分があったことを知った日」とは,公告があった日をいうと解するのが相当である(最判昭和61年6月19日・集民148号239頁,最判平成14年10月24日・民集56巻8号1903頁参照)。 イこの点,原告らは,一団地認定は接道義務等を緩和するものにすぎず,それ単独で対外的な権利義務に関する効果が生じるものではないから,一団地認定において都市計画事業認可の告示と同様に考えることはできない旨主張するが,上記のような建築基準法の規定に照らせば,一団地認定が単に義務を緩和するものにすぎないということはできず,処分があったことを知った日に関して一団地認定の公告の趣旨と都市計画事業認可の告示の趣旨が異なると解することもできない。 また,原告らは,建築基準法の改正により,従前建築主事が行ってきた建築確認検査業務を民間の指定確認検査機関も行うことができるようになったことなどをもって,周辺住民が建築確認申請の具体的な内容を事前に知ることは極めて困難となっており,一団地認定に対する審査請求期間は,建 検査業務を民間の指定確認検査機関も行うことができるようになったことなどをもって,周辺住民が建築確認申請の具体的な内容を事前に知ることは極めて困難となっており,一団地認定に対する審査請求期間は,建築計画概要書の写しを閲覧又は取得した時から進行すると解すべきである旨主張するが,上記の建築基準法改正により周辺住民が一団地認定の公告を知ることが困難となったとは認められず,他に一団地認定の公告の趣旨等が変化したという事情はうかがわれない。 したがって,原告らの上記主張はいずれも理由がない。 ウ以上によれば,上記認定事実のとおり,本件一団地認定の公告がされたのは平成21年12月18日であり,原告らが本件一団地認定に対する審査請求をしたのは平成22年5月24日であったというのであるから,原告らが本件一団地認定を現実に知った日がいつであるかにかかわりなく,同審査請求は行政不服審査法14条1項本文の期間を経過した後にされたものであることが明らかである。そして,一件記録を精査しても,原告らが審査請求期間内に審査請求をしなかったことについてやむをえない理由(行政不服審査法14条1項ただし書)があるとは認められない。 (3) 小括建築基準法96条は,一団地認定の取消しを求める訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができない旨規定しているところ(審査請求前置主義),上記のとおり,本件訴えのうち本件一団地認定の取消しを求める部分は,適法な審査請求を経ていない不適法なものである。 3 本件開発許可取消訴訟の原告適格について(1) 処分の取消しの訴えは,当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限り提起することができると定められている(行政事件訴 訟法9条1項)。この 訴訟の原告適格について(1) 処分の取消しの訴えは,当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限り提起することができると定められている(行政事件訴 訟法9条1項)。この「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最判平成17年12月7日・民集59巻10号2645号参照)。 (2) 都市計画法33条1項2号の規定は,空地の確保が不十分であり,又は開発区域内の主要な道路が,開発区域外の相当規模の道路と接続していないままに開発行為を行うときは,その結果,消火活動等の災害防止措置等に支障が生じ,開発区域のみならず開発区域に近接する一定範囲の地域に居住する住民の生命,身体が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような被害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分に審査し,空地が環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され,かつ,開発区域内の主要な道路が,開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号 道路に接続するように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,空地の確保が不十分又は開発区域外への道路の接道が不十分な場合に,火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の空地の確保が不十分又は開発区域外への道路の接道が不十分な場合には,火災等による災害の直接的な被害を受けることが予想される範囲 の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 また,同項3号の規定は,排水路その他の排水施設が必要な排水能力を有さないままに開発行為を行うときは,その結果,溢水等による被害が発生して,開発区域のみならず開発区域に近接する一定範囲の地域に居住する住民の生命,身体が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような被害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分に審査し,排水施設が必要な排水能力を有するように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,排水路その他の排水施設が必要な排水能力を有していない場合に,溢水等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の排水路その る被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の排水路その他の排水施設が必要な排水能力を有していない場合には,溢水等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 さらに,同項7号の規定は,地盤の軟弱な土地,がけ崩れ又は出水のおそれが多い土地その他これに類する土地において安全上必要な措置を講じないままに開発行為を行うときは,その結果,がけ崩れ等の災害が発生して,開発区域のみならず開発区域に近接する一定範囲の地域に居住する住民の生命,身体が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような災害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分に審査し,上記の措置が講ぜられるように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしてい るものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,がけ崩れ等のおそれのない良好な都市環境の保持・形成を図るとともに,がけ崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を,個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の土地が同号にいうがけ崩れのおそれが多い土地等に当たる場合には,がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有する 等に当たる場合には,がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である(最判平成9年1月28日・民集51巻1号250頁参照)。 (3) 以上を本件についてみるに,原告らは,本件開発区域と約6メートルの道路を隔てた周辺地域に居住している者であり,原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係,本件開発区域や本件開発区域内に建築が予定されている建物の規模等に照らし,本件開発区域内において建物の火災,下水の排出による溢水又は地盤沈下や出水による災害等が生じた場合,それらによる直接的な被害を受ける蓋然性がある範囲内に居住しているものということができる。 したがって,原告らは,いずれも,本件開発許可の取消しを求める訴えの原告適格を有すると解される。 (4) なお,本件開発許可に係る開発行為に関する工事は一部完了しておらず,本件開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われていないというべきである。他に,本件開発許可取消訴訟を不適法というべき点はなく,上記については適法な訴訟の係属が認められる。 4 本件開発許可の適法性について(1) 道路に関する基準違反の有無について ア原告らは,都市計画法施行令25条4号によれば,開発区域内の主要な道路は,開発区域外の幅員9メートル以上道路に接続している必要があるところ,本件開発区域東側の主要な道路である本件車路が接続する開発区域外の道路は,その一部が9メートル未満の幅員しかないのであるから,本件開発許可は道路に関する基準を満たさないのにされた違法なものである旨主張する。 しかしながら,証拠(乙1,9,15,21,証人H)によれば,本件車 メートル未満の幅員しかないのであるから,本件開発許可は道路に関する基準を満たさないのにされた違法なものである旨主張する。 しかしながら,証拠(乙1,9,15,21,証人H)によれば,本件車路はURの所有地であり,本件開発区域には含まれていないことが認められるのであって,本件車路が本件開発区域内の主要な道路であることを前提とする原告らの上記主張は,その前提を欠き採用することができない(したがって,本件車路について都市計画法施行令25条4号が適用される旨の原告らの主張にも理由がない。)。 また,都市計画法施行令25条2号及び都市計画法施行規則20条は,開発許可の敷地に接することとなる道路の最小幅員について,住宅の敷地にあっては6メートルとする旨規定していると解されるのであって(甲24,証人H),9メートル以上の幅員を有する道路に接していなければならない旨の原告らの主張も採用することができない。この点につき,原告らは,吹田市一団地認定基準において,前面道路の幅員につき区域が1万平方メートル以上の場合は通り抜けで9メートル以上であることを求めていることをもって,本件開発区域の敷地が9メートル以上の道路に接している必要があると主張するが,吹田市一団地認定基準が本件開発許可の要件に影響を及ぼすと解すべき根拠はない上,仮に同基準によったとしても,同基準は開発区域に接する全ての道路につき9メートル以上の幅員を要することを定めた趣旨でないことは明らかであるから,いずれにせよ,本件開発許可が都市計画法等の定める道路基準に反する根拠とはならない。 そして,証拠(乙5,6)によれば,本件開発区域の土地は住宅の敷地に該当すること,本件開発区域の南東角付近の敷地は,道路幅員が6メートル以上あるε×号線に接していることが認められ,他に本 そして,証拠(乙5,6)によれば,本件開発区域の土地は住宅の敷地に該当すること,本件開発区域の南東角付近の敷地は,道路幅員が6メートル以上あるε×号線に接していることが認められ,他に本件開発区域について都市計画法,都市計画法施行令及び都市計画法施行規則が定める接道義務を満たしていないことをうかがわせる事情は見当たらない。 イまた,原告らは,本件開発区域の駐車場に至る本件車路については,駐車場法及び駐車場法施行令が定める技術基準並びに開発事業条例施行規則に基づき5.5メートル以上の幅員が必要であるにもかかわらず,本件車路の出入り口付近の幅員は3.5メートルしかない旨主張する。 しかしながら,上記のとおり,本件車路は本件開発区域に含まれないのであるから,本件車路が駐車場法等に定める必要な幅員を満たさないからといって,直ちに本件開発許可がその要件を満たさないことになるわけではない。そして,本件開発区域内の居住者用駐車場は,一般公共の用に供されるものではなく,駐車場法11条及び駐車場法施行令7条1項の規制対象となる路外駐車場には該当しないのであるから(同法2条2号),本件車路についてその技術基準が適用されるものではない上,開発事業条例施行規則35条1項5号は,「片側通行の場合にあっては幅3.5メートル以上とすること」と規定し,駐車施設に至る車路について必ずしも5. 5メートル以上の幅員を求めているわけではないことも併せ考えると,本件車路の出入り口付近の幅員が3.5メートルであることから本件開発許可が違法であるということはできない。原告らは,駐車場に至る通路や出入り口が駐車場法上の技術基準等を満たすべきことは条理上又は社会通念上当然であると主張するが,そのように解すべき根拠はなく,採用の限りでない。 ウ以上によれば,こ 原告らは,駐車場に至る通路や出入り口が駐車場法上の技術基準等を満たすべきことは条理上又は社会通念上当然であると主張するが,そのように解すべき根拠はなく,採用の限りでない。 ウ以上によれば,この点に関する原告らの主張はいずれも理由がなく,本件開発許可は都市計画法等に定める道路に関する基準に違反していない ものと認められる。 (2) 排水施設に関する基準違反の有無についてア都市計画法施行規則22条1項は,排水施設の管渠の勾配及び断面積は,5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度値を用いて算定した計画雨水量並びに生活又は事業に起因し,又は付随する廃水量及び地下水量から算定した計画汚水量を有効に排出することができるように定めなければならない旨規定しているところ,証拠(乙9,証人H)によれば,本件開発区域内の排水施設は,10年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度を用いて算定した計画雨水量を有効に排出することができるように計画されていることが認められるから,本件開発区域内の排水施設が,都市計画法等に定める排水施設に関する基準に適合していると認められる。 イ原告らは,通常の降雨によっても本件車路の出入り口付近の道路が冠水するのであり,このような事情を考慮せずに開発行為を許可した本件開発許可は違法である旨主張するが,原告らが冠水の状況を撮影したとする写真撮影報告書(甲17)からは,道路脇の窪みに水たまりができている程度の状況が認められるにすぎないのであって,本件開発区域内の排水施設について特別の措置を講じなければ溢水等による被害が生じるおそれがあるということはできない。 また,原告らは,本件事業により,急激に人口が増加して下水の流量が増え,そのため下水管の付け替えも必要となるから,このような排水 れば溢水等による被害が生じるおそれがあるということはできない。 また,原告らは,本件事業により,急激に人口が増加して下水の流量が増え,そのため下水管の付け替えも必要となるから,このような排水施設の整備なくしては開発行為が許されない旨主張する。しかしながら,下水管の付け替えの必要性の有無は開発許可の審査基準に影響を及ぼすものではない上,証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,本件開発区域を含む吹田市流域関連公共下水道高川処理区分における行政人口は,平成元年度末で2万5829人,平成13年度末で2万0500人,平成22年度 末で1万7936人であって,減少傾向にあることが認められ,このことに加え,本件開発区域内に建築される建物の入居戸数は798戸であり(乙1,15,21),1戸当たり4人が入居すると考えても本件開発区域内の下水道利用人口は最大3192人であること及び本件開発区域には以前β団地が存在していたこと(弁論の全趣旨)を併せ考えると,本件事業により,下水管の付け替えが必要なまでに人口及び下水流量が増加するとは認められない。 さらに,原告らは,本件開発区域内に地方自治体等の管理による遊水池等の設置が予定されていないという排水施設に関する基準違反がある旨主張するが,原告らが根拠とする都市計画法施行令26条2号後段は,一定の場合に「開発区域内において一時雨水を貯留する遊水池その他の適当な施設を設けることを妨げない。」と規定しているにすぎず,開発許可に当たり遊水池等が設置されていることを義務付けるものではないから,遊水池等の設置が予定されていないことをもって本件開発許可が都市計画法等に違反しているということにはならない。 ウ以上によれば,この点に関する原告らの主張はいずれも理由がなく,採用することができない。 ( 置が予定されていないことをもって本件開発許可が都市計画法等に違反しているということにはならない。 ウ以上によれば,この点に関する原告らの主張はいずれも理由がなく,採用することができない。 (3) 地盤に関する基準違反の有無についてア都市計画法33条1項7号は,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められており,かつ,宅地造成工事規制区域内の土地については,開発行為に関する工事の計画が宅地造成等規制法9条の規定に適合していることという許可基準を定め,宅地造成等規制法9条は,宅地造成工事は擁壁等の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない旨規定しているところ,証拠(乙9,証人H)によれば,本件開発区域においては,地盤の改良,擁壁又は排水 施設の設置等が施されており,都市計画法及び宅地造成等規制法が定める地盤に関する基準に適合していることが認められる。 イ原告らは,本件開発区域においては地震時に崩壊や地割れ等の被害が発生する危険性があるから,本件開発許可に当たり,地盤の安全性に対する特別な審査をしないことは許されない旨主張する。 しかしながら,原告らが主張する「特別の審査」の内容は明らかでなく,そのような審査を行うべき法的根拠も見出し難い。また,大阪府作成の防災対策検討報告書(甲15)においては,「平野部では,上部洪積層や軟弱な粘土層よりなる沖積層が大阪層群の上をさらに覆っている。」,「人的改変を受けた造成地では地震時に崩壊や地割れなどの被害が発生する危険性がある。」等の記載があるが,これらは大阪府内の土地一般に関して述べられたものにすぎず,本件開発区域が崩壊や地割れ等を引き起こしやすい軟弱な地盤で では地震時に崩壊や地割れなどの被害が発生する危険性がある。」等の記載があるが,これらは大阪府内の土地一般に関して述べられたものにすぎず,本件開発区域が崩壊や地割れ等を引き起こしやすい軟弱な地盤であるとの原告らの主張の裏付けとなるものではない。 ウ以上によれば,この点に関する原告らの主張はいずれも理由がなく,採用することができない。 (4) 小括以上によれば,本件開発許可は適法であると認められる。 5 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えのうち,本件一団地認定及び本件建築確認の各取消しを求める部分については不適法であるから却下し,原告らの本件開発許可の取消請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官内藤和道
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