- 1 -令和元年10月30日判決言渡し平成31年(行コ)第110号政務活動費返還請求控訴事件令和元年(行コ)第157号附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(行ウ)第322号) 主文 1 本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。 2 第一審原告の請求の減縮により,原判決主文第1項及び第2項は次のとおり変更された。 第一審被告は,A杉並区議会議員に対し,31万0403円を杉並区に支払うよう請求せよ。 第一審被告が,A杉並区議会議員に対し,不当利得返還請求権に基づき,31万0403円を杉並区に支払うよう請求することを怠る事実が違法であることを確認する。 3 控訴費用は第一審被告の負担とし,附帯控訴費用は第一審原告の負担とする。 事実及び理由 (略称は原判決の例による。また,B杉並区議会議員を「B区議」といい,A杉並区議会議員を「A区議」という。)第1 請求 1 控訴の趣旨 原判決主文第1項及び第2項中,原判決別表(以下,単に「別表」という。)の相手方番号13の相手方(A区議)に係る部分(利息に関する部分を含まない。)を取り消す。 上記取消しに係る部分の第一審原告の請求を棄却する。 2 附帯控訴の趣旨 原判決主文第3項中,別表の相手方番号11の相手方(B区議)による支出- 2 -番号11-2の支出に係る「原告主張不当利得額(円)」記載の金員(50万5824円)に関する部分(利息に関する部分を含まない。)を取り消す。 第一審被告は,記載の相手方に対し,記載の金員を杉並区に支払うよう請求せよ。 第一審被告が,記載の相手方に対し,不当利得返還請求権に基づき, る部分を含まない。)を取り消す。 第一審被告は,記載の相手方に対し,記載の金員を杉並区に支払うよう請求せよ。 第一審被告が,記載の相手方に対し,不当利得返還請求権に基づき,の請求をすることを怠る事実が違法であることを確認する。 第2 事案の概要 1 事案の要旨第一審原告(法人格のない社団であり,杉並区内に事務所を有する杉並区の住民である。)は,杉並区議会議員(区議)14名(当初は15名であったが,原審に訴訟係属中,1名について訴えが取り下げられた。)及び杉並区議会の2会派が平成26年度に交付された政務活動費の一部を違法に支出し,法律上の原因なく利益を受けて杉並区に損失を及ぼしたのに,杉並区長である第一審被告がこれらの相手方らに対する不当利得返還請求権の行使を怠っていると主張して,第一審被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,別表記載の相手方らに対して対応する「原告主張不当利得額(円)」欄記載の金員及びこれに対する利得の後の日である平成27年4月30日から支払済みまで民法704条前段所定の年5分の割合による利息を支払うよう請求することを求めるとともに,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,上記不当利得返還請求権の行使を怠る事実が違法であることの確認を求めた。 原審は,第一審原告の請求のうち,別表の相手方番号1,2,4から7まで,9,13,15から17までの相手方らに対して対応する「認定不当利得額(円)」欄記載の金員及びこれに対する判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による利息を支払うよう請求することを求める部分並びにその請求を怠る事実が違法であることの確認を求める部分を認容し,その余の部分を棄却した。 これに対し,第一審被告が,別表の相手方番号13の相手方(A区議)に係 う請求することを求める部分並びにその請求を怠る事実が違法であることの確認を求める部分を認容し,その余の部分を棄却した。 これに対し,第一審被告が,別表の相手方番号13の相手方(A区議)に係- 3 -る請求認容部分の取消しと同部分の請求の棄却を求めて控訴した。他方,第一審原告が,別表の相手方番号11の相手方(B区議)による支出番号11-2の支出に係る「原告主張不当利得額(円)」欄記載の金員に関する請求(利息の請求を含まない。)を棄却した部分の取消しと同部分の請求の認容を求めて附帯控訴した。 第一審原告は,当審において,請求を減縮して,次の部分の請求に係る訴えを取り下げた。 ア利息に関する請求イ原審が請求を認容した部分のうち,別表の相手方番号13の相手方(A区議)以外の相手方に係る部分原審が請求(利息に関する請求を除く。)を棄却した部分のうち,別表の相手方番号11の相手方(B区議)による支出番号11-2の支出に係る「原告主張不当利得額(円)」記載の金員(50万5824円)に関する部分以外の部分については,不服の申立てがないから,当審の審判の対象ではない。 2 関係法令等の定め,前提事実原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の2及び3に記載のとおりである(上記不服の申立てがある部分に関するものに限る。)から,これを引用する。 3 争点に関する当事者の主張次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の5の(原告の主張)サ,ス及び(被告の主張)の各に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決8頁23行目の「B区議の区政レポート(甲5の10,甲142)は,」を「区議会レポートNo.16(B区政報告書16号。甲142)は,部数も多く,杉並区議会議 るから,これを引用する。 原判決8頁23行目の「B区議の区政レポート(甲5の10,甲142)は,」を「区議会レポートNo.16(B区政報告書16号。甲142)は,部数も多く,杉並区議会議員選挙に近接した時期に発行されている上,」に改める。 9頁4行目の「A区議」から6行目の末尾までを削除する。 11頁8行目の「いえず,」の次に「また,各区政報告の配布について支援- 4 -者及び後援者だけでなく名刺を交換した区民等にも郵送し,さらに新聞折込みやポスティングによって広く配布していることからすれば,」を加える。 第3 当裁判所の判断 1 相手方番号11(B区議)による支出番号11-2に係る支出について証拠(甲5の10,甲286,甲142,甲144,甲145,乙29)によれば,B区議は,平成25年3月18日頃に「B 区議会レポート N0.13」との表題の付された区政報告書(以下「B区政報告書13号」という。)を,平成26年3月頃に「B 区議会レポート N0.14」との表題の付された区政報告書(以下「B区政報告書14号」という。)を,平成27年1月13日頃に「B 区議会レポート N0.15」との表題の付されたB区政報告書15号を,同年3月20日頃に「B 区議会レポート N0.16」との表題の付されたB区政報告書16号をそれぞれ作成,配布したこと,このうち,B区政報告書13号,同14号,同16号は,いずれも区議会において予算が成立したこと,予算案にB区議が賛成したこと及び予算の内容等を紹介するものであり,レイアウトも大差ないものであったこと,他方,同15号は,主に高齢者の就労支援及び学童クラブの待機児童解消等に関してB区議が行った質問とこれに対する杉並区の回答の内容を掲載したものであったことが認められる。 ないものであったこと,他方,同15号は,主に高齢者の就労支援及び学童クラブの待機児童解消等に関してB区議が行った質問とこれに対する杉並区の回答の内容を掲載したものであったことが認められる。 そうすると,B区議は,毎年3月頃に,杉並区の予算が成立したこと,予算案にB区議が賛成したこと及び予算の内容等を紹介する区政報告書を作成,配布しており,B区政報告書16号は,例年と同様の内容及びレイアウトのものとして作成,配布されたものと認めることができ,このことに照らすと,本件条例の別表において定める「広聴広報費」の1及び2(原判決第2の2)に該当するものであって,政務活動費として支出することが許されるものということができる。 被控訴人は,発行時期が区議会議員選挙(平成27年4月26日が投票日であった。)の直前であったこと,発行部数が2万部であり,2000票余りで当選する杉並区議会議員選挙の実情に照らすと多すぎること,平成26年までは毎年1回し- 5 -か作成,配布されていない区政報告書が,平成27年のみは,わずか2か月の間隔で2回も作成,配布されたこと等を指摘して,50%を超える支出は違法であると主張する。しかし,上記説示のとおり,B区政報告書16号は,同様の報告書が毎年定期的に作成,配布されているものであり,同13号及び同14号と比べて,内容,レイアウトに大差なく,発行部数についても有意の差があったことをうかがわせる証拠がないことに鑑み,被控訴人の主張は採用できない。 2 相手方番号13(A区議)による支出番号13-3に係る支出について次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1イ(14頁19行目から16頁3行目まで)及び3(48頁11行目から51頁14行目まで)に説示するとお て次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1イ(14頁19行目から16頁3行目まで)及び3(48頁11行目から51頁14行目まで)に説示するとおりである(前記不服の申立てがある部分に関するものに限る。)から,これを引用する。 15頁11行目の「政治活動」を「選挙活動,後援会活動」に改める。 50頁14行目の「頁),」の次に「同時に,表題部に「A通信」との文字が記載されていること,A区議の合計8枚もの顔写真とプロフィールが記載されていること,」を加える。 50頁19行目及び21行目の各「政治活動」をいずれも「選挙活動,後援会活動等」に改める。 第4 結論以上によれば,第一審原告のA区議に係る請求(請求の減縮後のもの)のうち31万0403円に関する部分は理由があるから認容し,B区議に係る請求(請求の減縮後のもの)は理由がないから棄却すべきであり,原判決中これと同旨の部分は相当であって,本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がない。 東京高等裁判所第20民事部 - 6 -裁判長裁判官村上正敏 裁判官遠藤浩太郎 裁判官板野俊哉
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