昭和44(行ウ)3 静内郵便局職員戒告

裁判年月日・裁判所
昭和50年2月25日 札幌地方裁判所
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判決文本文30,700 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実 第一当事者双方の求める裁判一原告ら 1 被告静内郵便局長が原告a、同b、同c、同dに対してなした昭和四三年一月一三日付戒告の懲戒処分はこれを取消す。2 被告国は、原告eに対し金五万円、同aに対し金一〇万〇、一二九円、同fに対し金五万〇、一三四円、同gに対し金五万〇、一一六円、同bに対し金一〇万〇、一四八円、同cに対し金一〇万〇、一三四円、同dに対し金一〇万〇、一一二円の金員をそれぞれ支払え。3 訴訟費用は被告らの連帯負担とする。4 第2項につき、仮執行宣言二被告ら主文と同旨第二当事者双方の主張一原告ら(請求の原因)(一) 原告らはいずれも昭和四二年二月一日以前から、郵政省職員であつて静内郵便局に勤務するものである。(二)1 被告静内郵便局長は、原告らがそれぞれ勤務を欠如しかつ時間外労働を拒否したことを事由として、昭和四三年一月一三日付で原告a、同b、同c、同dに対しては戒告、同e、同f、同gに対しては訓告の処分をなした。2 然しながら、原告らにはいずれも処分事由に当る事実は存在しない。3 しかして、原告らは、このようないわれなき懲戒処分等をうけたことにより相当の精神的損害をうけたことは明らかであるから、被告国は右戒告処分をうけた原告ら四名に対しそれぞれ金一〇万円、右訓告をうけたその余の原告らに対し各金五万円の慰謝料の支払義務がある。(三) 又被告国は、昭和四二年一二月二四日に支払うべき賃金につき、右(二)の勤務欠如を事由として、原告aに対しては一二九円、同fに対しては一三四円、同gに対しては一一六円、同bに対しては一四八円、同cに対しては一三四円、同dに対しては一一二円をそれぞれ支払わなかつた。(四) 欠如を事由として、原告aに対しては一二九円、同fに対しては一三四円、同gに対しては一一六円、同bに対しては一四八円、同cに対しては一三四円、同dに対しては一一二円をそれぞれ支払わなかつた。 、右(二)の勤務欠如を事由として、原告aに対しては一二九円、同fに対しては一三四円、同gに対しては一一六円、同bに対しては一四八円、同cに対しては一三四円、同dに対しては一一二円をそれぞれ支払わなかつた。(四) 欠如を事由として、原告aに対しては一二九円、同fに対しては一三四円、同gに対しては一一六円、同bに対しては一四八円、同cに対しては一三四円、同dに対しては一一二円をそれぞれ支払わなかつた。(四) よつて原告a、同b、同c、同dは、被告静内郵便局長に対し右戒告処分の取消を、原告全員は被告国に対し、前記慰謝料および支給されなかつた賃金の支払を各求める。(ただし原告eについては賃金の支払は求めない。)二被告ら(請求の原因に対する認否) 1 (一)、(二)の1、(三)の事実は認める。2 (二)の2、3、の事実は争う。三被告ら(抗弁) 1 原告らは、別表記載のとおり、勤務時間(自午前七時二五分至午後三時三〇分)中に退庁し、もつて以後の勤務を欠如した。2 原告らは、次のとおり静内郵便局管理者から出された超過勤務命令を拒否した。イ訴外h局長代理は、原告aが昭和四二年一一月一三日配達すべき郵便物中三〇通の持戻りがあつたため、同日午後三時一〇分ころ静内郵便局郵便外勤室において原告aに対し、口頭で「すぐ超過勤務で完配してくれるよう」命じたが、同原告はこれを拒否した。ロ同h局長代理は原告e、同a、同g、同b、同dが昭和四二年一一月一四日配達すべき郵便物中、原告eにおいては、一三通、同aにおいては三三通、同gにおいては三七通、同bにおいては六八通、同dにおいては七六通の各持戻りがあつたため、同日午後三時一五分ころ前同所において、同原告らに対し前同様口頭で超過勤務を命じたが、同原告らはいずれも右命令を拒否した。ハ訴外h、i両局長代理は、昭和四二年一一月二二日の一号便で配達すべき郵便物中、市内全区にわたり相当の未配達郵便物があることを調査により発見したので、前記i局長代理は同日午前一一時一七分ころ前同所において、市内一区担当の訴外j、同二区担当 二二日の一号便で配達すべき郵便物中、市内全区にわたり相当の未配達郵便物があることを調査により発見したので、前記i局長代理は同日午前一一時一七分ころ前同所において、市内一区担当の訴外j、同二区担当の原告b、同三区担当の原告c、同四区担当の原告f、同五区担当の原告dの名前を順次呼び確認のうえ、口頭で「一号便の持戻りは二号便に組込み、正規の勤務時間内に完配できない場合は、二時間の範囲内の超過勤務により配達するよう」命じたものの、原告fにおいては一五九通、同bにおいては六一通、同cにおいては五一通、同dにおいては四九通の持戻りがあつたため、前記i局長代理は更に同日午後三時一〇分ころ前同所で口頭で「超過勤務により完配するよう」再度にわたり命じたが、同原告らはこれを拒否した。 次呼び確認のうえ、口頭で「一号便の持戻りは二号便に組込み、正規の勤務時間内に完配できない場合は、二時間の範囲内の超過勤務により配達するよう」命じたものの、原告fにおいては一五九通、同bにおいては六一通、同cにおいては五一通、同dにおいては四九通の持戻りがあつたため、前記i局長代理は更に同日午後三時一〇分ころ前同所で口頭で「超過勤務により完配するよう」再度にわたり命じたが、同原告らはこれを拒否した。3 以上のような原告らの非違行為のうち、原告a、同b、同c、同dらの行為については、いずれも国家公務員法第八二条一、二、三号に規定する懲戒理由に該当するから、勤務欠如回数、時間、命令拒否回数等を考慮し、被告静内郵便局長は本件戒告処分をし、又その余の原告らの行為についてはいずれも前記原告らの非違程度よりも軽徴であることを考慮し、被告静内郵便局長は郵政部内職員訓告規程(昭和二五年七月二五日公達八三号)に基き、本件訓告をなしたものである。なお原告fの昭和四二年一一月四日、同一〇日における勤務欠如は訓告理由としてはいない。4 また別表のような勤務欠如がなされたので、被告国は原告eを除くその余の原告に対し、原告ら主張の賃金額を支払わなかつたものである。5 以上のとおりであつて被告らの本件各処分は適法であり、何ら違法な点は存しない。四原告ら(抗弁に対する認否)1イ第1項の事実中、被告ら主張の各日に被告ら主張の各原告が退庁したことおよび昭和四二年一一月四日、同月七日、同月一〇日 処分は適法であり、何ら違法な点は存しない。四原告ら(抗弁に対する認否)1イ第1項の事実中、被告ら主張の各日に被告ら主張の各原告が退庁したことおよび昭和四二年一一月四日、同月七日、同月一〇日の退庁時刻が被告ら主張のとおりであることは認める。その余の事実は否認する。昭和四二年一一月一二日、同月一九日に被告ら主張の各原告が退庁したのは午後三時二〇分ころである。また原告らの勤務時間(原告らが拘束される時間)が午後三時三〇分までであるとの点は争う。ロ原告らの実質的労働時間は午前七時二五分から午後三時一七分までであり、午後三時一七分以降午後三時三〇分までは休息時間であつてしかも勤務を要しないから原告らの右退庁以後勤務欠如があつたとすることはできない。即ち、(一) 原告らの勤務時間終了前の一三分間は協約上の特例休息であつて勤務を要しないものである。 ころである。また原告らの勤務時間(原告らが拘束される時間)が午後三時三〇分までであるとの点は争う。ロ原告らの実質的労働時間は午前七時二五分から午後三時一七分までであり、午後三時一七分以降午後三時三〇分までは休息時間であつてしかも勤務を要しないから原告らの右退庁以後勤務欠如があつたとすることはできない。即ち、(一) 原告らの勤務時間終了前の一三分間は協約上の特例休息であつて勤務を要しないものである。(1) 郵政省と全逓信労働組合(以下全逓という)との間の「勤務時間および週休日に関する協約」(昭和三三年四月一五日締結)の第二条二項は、「休息時間は原則として勤務四時間に一五分を勤務の途中に設ける。」と定め、さらに「同協約覚書別表第二」(昭和三三年四月一五日締結)は、「勤務時間が六時間をこえ八時間以内の場合においては、所定の休息時間もしくは特例による休息時間のうち一五分を勤務時間の終に置くことができる。」としている。(2) 原告らの労働時間は拘束八時間五分、休憩四五分であるから、前記協約第二条二項により休息時間は二八分となる。240分(4時間)÷485分(8時間5分)-45分×15分=275分(3) 原告らは配達業務に従事するものであるから、その性質からいつて仕事の途中で休息をとることができないため、前記協約覚書に基き、午前中は休憩時間の前に一五分の、午後は勤務時間の終りに一三分の休息をと ) 原告らは配達業務に従事するものであるから、その性質からいつて仕事の途中で休息をとることができないため、前記協約覚書に基き、午前中は休憩時間の前に一五分の、午後は勤務時間の終りに一三分の休息をとることとした。(4) 原告らの労働時間は従前いずれも午前七時二五分から午後三時三〇分までであつたところ、前記協約覚書締結により、休息中一三分を勤務時間の終りに置いたのであるから、結局その実質的労働時間は午前七時二五分から午後三時一七分までとなり、同時刻以降午後三時三〇分までは休息時間となつたのである。(二) しかして静内郵便局においては、一〇年以上にわたる職場慣行により、右休息時間中勤務時間の終りに置かれた分に相当する時間は庁内において休息することに代えて早帰りしていたものであり、原告らが拘束されるのは午後三時一七分までであつたのである。2イ第2項イの事実中、昭和四二年一一月一三日訴外h局長代理が原告aに対して口頭で超過勤務を命じたこと、当日同原告には持戻り郵便物があつたことは認めるが、その余の事実は否認する。 内郵便局においては、一〇年以上にわたる職場慣行により、右休息時間中勤務時間の終りに置かれた分に相当する時間は庁内において休息することに代えて早帰りしていたものであり、原告らが拘束されるのは午後三時一七分までであつたのである。2イ第2項イの事実中、昭和四二年一一月一三日訴外h局長代理が原告aに対して口頭で超過勤務を命じたこと、当日同原告には持戻り郵便物があつたことは認めるが、その余の事実は否認する。原告aが超過勤務命令を受けたのは午後三時二〇分ころである。第2項ロの事実中、昭和四二年一一月一四日前記h局長代理が口頭により原告e、同a、同g、同b、同dに対し超過勤務を命じたことおよび同原告らに持戻り郵便物があつたことは認めるが、その余の事実は否認する。第2項ハの事実中、昭和四二年一一月二二日訴外i局長代理が原告f、同b、同c、同dに対し口頭で超過勤務を命じたことおよび当日同原告らに持戻り郵便物があつたことは認めるが、その余の事実は否認する。前記i局長代理が同原告らに対し超過勤務を命じた時刻は午後三時二〇分ころである。ロ超過勤務命令の違法性について(一) 原告らに残業義務を命ずる根拠はない。すなわち確かに静内郵便局と全逓 否認する。前記i局長代理が同原告らに対し超過勤務を命じた時刻は午後三時二〇分ころである。ロ超過勤務命令の違法性について(一) 原告らに残業義務を命ずる根拠はない。すなわち確かに静内郵便局と全逓日胆地方支部長との間に「時間外労働および休日労働に関する協定」(いわゆる三六協定)が、また郵政省と全逓との間に「時間外労働および休日労働に関する協約」が、さらに八時間を越えて超過勤務を命ずることができる旨の就業規則も定められてはいたけれども、右協定、協約、就業規則からは直接に残業義務は生じないものといわなければならない。(1) 労働基準法(以下労基法という)三二条は、八時間労働制が全産業を通じての労働時間の最低基準であることを認めている。八時間を超えて労働させることは原則として犯罪行為であつて、六か月以下の懲役または五千円以下の罰金に処せられることになつている(労基法一一九条一号)。したがつて八時間労働制を刑罰をもつて強制しようとするのが法の建前であり、またILO第一号条約(労働時間制)および同第一一六号(労働時間の短縮に関する勧告)にみられるように国際的労働常識でもある。 全産業を通じての労働時間の最低基準であることを認めている。八時間を超えて労働させることは原則として犯罪行為であつて、六か月以下の懲役または五千円以下の罰金に処せられることになつている(労基法一一九条一号)。したがつて八時間労働制を刑罰をもつて強制しようとするのが法の建前であり、またILO第一号条約(労働時間制)および同第一一六号(労働時間の短縮に関する勧告)にみられるように国際的労働常識でもある。そうであるから労基法三六条は使用者の利益のために例外的に残業を認める可能性を与えたにすぎず、本来残業は可罰的違法行為なのだという大原則をいかなる場合にも見失つてはならないのである。このような労基法の構造からみると、三六協定は労基法違反による処罰の解除条件としての公法上の効果をもたらすにすぎず、残業義務という民事上の効果は全くでてこないとみるのが相当である。(2) また労働契約中に残業規定が定められていたとしても、八時間を超過する残業義務を内容とする労働契約は労基法で定める基準に達しない労働条件を定めるものであるから無効であることは当然である(同法一三条)。仮に三六協定 中に残業規定が定められていたとしても、八時間を超過する残業義務を内容とする労働契約は労基法で定める基準に達しない労働条件を定めるものであるから無効であることは当然である(同法一三条)。仮に三六協定の締結と届出を条件として効力を生ずる旨の特約があつても、労働者の自由意思が反映しがたい個別契約に労基法違反の性質をもつ特約を肯定できないし、また三六協定に労基法違反の無効な特約を有効化できる効力をも認めることはできない。(3) 就業規則において残業義務を一般的に定めた場合でも基本的には右の労働契約の場合と同様である。使用者が事実上一方的に制定変更できる就業規則において八時間をこえる残業義務を定めても、その規定自体が労基法の最低基準を下廻る無効の規定である(同法九二条)。また、三六協定によつてかかる無効の規定が有効な私法上の効果を帯有するに至るとみるのも困難である(公法と私法との混同)。(4) 更に労働協約で残業義務を定めていたとしても、やはり労基法以下の労働条件を定めることは協約の本質に背離するのみならず労基法違反で無効である。協約の意義は労基法の定める最低労働条件をうわまわるものを組合の力で確保することにあり、協約の規範的効力は個々の労働契約の内容を団結の力によつて限界づけようとするもので組合員の意思と利益に合致することを前提とするが、三六協定ないし残業規定は法律上義務づけられていない残業義務を認めるもので組合員の利益と意思に必ずしも合致しないばかりか、組合といえども組合員の自由意思に根拠をおかず医学的かつ心理的にも不健全なことが立証されている長時間労働を組合員に義務づけたり強制したりすることは不当である。 の規範的効力は個々の労働契約の内容を団結の力によつて限界づけようとするもので組合員の意思と利益に合致することを前提とするが、三六協定ないし残業規定は法律上義務づけられていない残業義務を認めるもので組合員の利益と意思に必ずしも合致しないばかりか、組合といえども組合員の自由意思に根拠をおかず医学的かつ心理的にも不健全なことが立証されている長時間労働を組合員に義務づけたり強制したりすることは不当である。(5) 以上のとおりであつて、刑罰をもつて強行している労基法の八時間労働制の立法趣旨(労働者の保護、長時間労働からの解放)に照して、 時間労働を組合員に義務づけたり強制したりすることは不当である。(5) 以上のとおりであつて、刑罰をもつて強行している労基法の八時間労働制の立法趣旨(労働者の保護、長時間労働からの解放)に照して、前記のいずれの形式をとつても個々の労働者の自由意思に基かないで民事上の残業義務を認めることは法律上困難であり、したがつて労働者に対し残業義務が発生するのは、使用者から具体的な日時、場所などを指定して時間外労働をしてもらいたいとの申し入れに対し、個々の労働者が自由な意思で合意した場合に限るのである。(二) 仮に前記主張が認められないとしても、本件各超勤命令は昭和三四年一二月二一日締結の「時間外労働および休日労働に関する協約」第三条二項に違反し無効である。右協約第三条一項によれば「郵政省の各機関が時間外労働をさせようとするときはあらかじめ本人に通知する。」とあり、その第三条二項によれば「前項の通知は原則として時間外労働については四時間前とする。」とある。しかるに本件各超勤命令は、時間外労働開始時間の直前になされたものであり、右第三条二項に反する。(三) さらに前記協約の運用に関して、静内郵便局においては労使の交渉の結果、時間外労働の命令をなす場合には、事前に「超過勤務・夜間・祝日勤務の命令簿・整理簿」と題する書類中、承認印という部分に命令を受けた本人の承認印を押捺することになつていた。しかるに被告ら主張の各原告は、右約定に基き前記命令簿に印を押すことを要求したにもかかわらず拒否されたものであり、右約定に違反する超過勤務命令は無効である。3 第3ないし5項は争う。五被告ら(原告らの積極主張に対する反論) 1 いわゆる特例休息についてイ原告らが主張するとおり、「勤務時間および週休日に関する協約付属覚書別表第二」では「所属長が業務の運営上支障 本人の承認印を押捺することになつていた。しかるに被告ら主張の各原告は、右約定に基き前記命令簿に印を押すことを要求したにもかかわらず拒否されたものであり、右約定に違反する超過勤務命令は無効である。3 第3ないし5項は争う。五被告ら(原告らの積極主張に対する反論) 1 いわゆる特例休息についてイ原告らが主張するとおり、「勤務時間および週休日に関する協約付属覚書別表第二」では「所属長が業務の運営上支障 5項は争う。五被告ら(原告らの積極主張に対する反論) 1 いわゆる特例休息についてイ原告らが主張するとおり、「勤務時間および週休日に関する協約付属覚書別表第二」では「所属長が業務の運営上支障がないと認めた場合に限り、所定の休息時間もしくは特例による休息時間のうち一五分を勤務時間の終に置くことができる。」と定められている。しかし、右のような休息時間は、所属長の作成する服務表(郵政省就業規則第五八条、前掲付属覚書一八項)により所属職員に周知するものであるところ、静内郵便局における服務表(昭和四二年九月五日作成)では、午後の休息時間を勤務時間中に設ける旨定めており、「勤務時間の終りにおく」旨の定めはない。そしてこの服務表では、原告らに対する終業時刻を午後三時三〇分と定めているのであるから、原告らがこの終業時刻以前に無断退庁したことが勤務欠如にあたることは明らかである。ロ静内局において原告らのように配達業務に従事する職員は配達途次に随時休息をとつているのが実情である。しかも前記のとおり同局では休息時間を勤務時間の終りにおくという就業規則(服務表)の定めもなかつたのであるから、原告らが恣意的に退庁時間を早めることは違法であるにもかかわらず、同局ではこのような事態がままみられた。このような事態は、原告ら所属組合員の恣意により、使用者側の意思を全く無視して一方的になされてきたもので、労使双方の意思に合致する正常な労働慣行といえるものでは決してなく、速かにこの違法状態を終熄させることが職場秩序の回復のため必要とされていたのである。ハなお、仮に休息時間が勤務時間の終りにおかれていた場合(この場合の休息を特例休息という)を想定しても、その休息時間の始期が退庁時刻となることはあり得ず、あくまでも職場における休息がなされるべきであり、その休息 休息時間が勤務時間の終りにおかれていた場合(この場合の休息を特例休息という)を想定しても、その休息時間の始期が退庁時刻となることはあり得ず、あくまでも職場における休息がなされるべきであり、その休息時間内に職務を行う必要が生じれば、就労しなければならない。 の休息を特例休息という)を想定しても、その休息時間の始期が退庁時刻となることはあり得ず、あくまでも職場における休息がなされるべきであり、その休息 休息時間が勤務時間の終りにおかれていた場合(この場合の休息を特例休息という)を想定しても、その休息時間の始期が退庁時刻となることはあり得ず、あくまでも職場における休息がなされるべきであり、その休息時間内に職務を行う必要が生じれば、就労しなければならない。即ち休息時間は、職場における拘束時間なのであつて、就労義務から解放された退庁時間とは異なるのであり、この点からみても休息時間即退庁時間とする原告らの主張は失当である。2 超勤命令についてイ原告らの時間外労働義務は、時間外労働協約および郵政省就業規則に基き発生するものである。(一) 時間外労働協約(1) 郵政本省は、時間外労働につき、全逓中央本部との間において「時間外労働および休日労働に関する協約」(いわゆる中央協約であり、労基法三六条に基く協定ではない。)を締結しているところ、右協約第二条一項で「郵政省はやむを得ない場合に限り、職員に時間外労働または休日労働をさせることができる。」と規定している。そして、右協約のこの規定は、その文言に徴しても、使用者たる郵政省に時間外労働を命じうる権限を付与したものであり、反面、職員の時間外労働義務を規定したものというべきである。郵政省における労働協約は、労働条件の基準を定めたものであるが、それは同時に労働条件そのものを定めたものである。ちなみに、例を勤務時間にとれば、職員に適用される勤務時間の長さ、勤務の種類、始業終業時刻等は、職員の勤務する局所別、職種別、担務別に規定されており、まさに労働条件そのものとして規定されているのである。したがつて、このような労働協約の規定によつて、ただちに職員について所属長の時間外勤務命令に従うべき義務が生ずるものといわなければならない。なお、いわゆる中央協約の締結のみでは労基法上の刑事免責の効果を生じない のような労働協約の規定によつて、ただちに職員について所属長の時間外勤務命令に従うべき義務が生ずるものといわなければならない。なお、いわゆる中央協約の締結のみでは労基法上の刑事免責の効果を生じないため、全国に点在する郵便局を一事業所として(ただし、特定郵便局については数局ないし一〇数局を一単位としている。)、全逓の協定締結単位である支部(本件紛争当時は、北海道のみは分会とされていた。 効果を生じない のような労働協約の規定によつて、ただちに職員について所属長の時間外勤務命令に従うべき義務が生ずるものといわなければならない。なお、いわゆる中央協約の締結のみでは労基法上の刑事免責の効果を生じないため、全国に点在する郵便局を一事業所として(ただし、特定郵便局については数局ないし一〇数局を一単位としている。)、全逓の協定締結単位である支部(本件紛争当時は、北海道のみは分会とされていた。)との間においていわゆる三六協定を締結していることはいうまでもない。(2) 前記協約第四条一項は、時間外労働の通知を受けた職員又は全逓の機関はこれに対して異議の申立を行うことができる旨を定め、これが可能な場合を具体的に列挙しているが、その事由は極めて狭く限定されている。また、その第四条二項は、この異議申立のあつた場合は、郵政省および全逓双方の機関において協議し、善処するものとすると定めている。この異議申立の制度は、職員はこの協約又は就業規則によつて時間外労働命令に従う義務があることを前提とするものであることは明白である。なぜならば、もしも職員が時間外命令に従う義務はなく、時間外労働はその職員の同意がなければ命じ得ないとするならば、時間外労働をしたくない職員は同意を与えなければよいのであつて、異議申立というような特別の制度を設ける必要性は全くないからである。時間外労働義務が命令によつて発生するからこそ、そのような義務を課すことが明らかに相当でない場合(右協約第四条一項は、職員が自己の血族等を看護する必要のあるとき、職員の健康状態が時間外労働の実施に困難なとき等を定めている。)には、異議申立という手続により右の義務を免除することを認めたのである。また同様に、右協約第二条が、時間外労働は「やむを得ない事由のある場合に限り」させることができるとしてい 等を定めている。)には、異議申立という手続により右の義務を免除することを認めたのである。また同様に、右協約第二条が、時間外労働は「やむを得ない事由のある場合に限り」させることができるとしているのも、職員は右に述べた同協約第四条に定める場合を除いては、時間外命令には従う義務があるからこそこれを発し得る場合を明確にしているのである。このように協約全体の趣旨からみても、右時間外労働協約が締結されている場合は職員には時間外労働の義務が存することが明らかとなる。 を免除することを認めたのである。また同様に、右協約第二条が、時間外労働は「やむを得ない事由のある場合に限り」させることができるとしているのも、職員は右に述べた同協約第四条に定める場合を除いては、時間外命令には従う義務があるからこそこれを発し得る場合を明確にしているのである。このように協約全体の趣旨からみても、右時間外労働協約が締結されている場合は職員には時間外労働の義務が存することが明らかとなる。したがつて、右協約第四条一項の事由に該当しないのにもかかわらず、恣意的に時間外勤務命令を拒否することは許されないというべきである。(二) 郵政省就業規則郵政省就業規則第六六条は時間外労働に関し、次のように定めている。第六六条職員は次の各号の一に該当する場合においては、それぞれ当該各号の規定するところにより、週休日に勤務を命ぜられ、又は時間外勤務を命じられることがあるものとする。一労基法第三六条の規定による協定を締結したとき当該協定の定めるところによる。二省略そして、一般に就業規則は当該事業場においては法的規範としての性格を認められるに至つているが、これは右就業規則についても例外ではない。すなわち、使用者に就業規則の作成義務を課した労基法第八九条は、労働時間、賃金等の基本的労働条件については、これを就業規則の絶対的必要記載事項としており、これら基本的労働条件に関する就業規則の定めは、それが法令および労働協約に牴触しない限り、当該労働者が右労働条件に合意したか否かにかかわりなく、労働条件として個々の労働者に適用されることは、同法第九三条が労働条件を定めた就業規則に直律的効力を認めていることからも明らかである。また最高裁も、就業規則の法的性格について「就業規則は りなく、労働条件として個々の労働者に適用されることは、同法第九三条が労働条件を定めた就業規則に直律的効力を認めていることからも明らかである。また最高裁も、就業規則の法的性格について「就業規則は、当該事業場内での社会規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知つていると否とにかかわらず、また、これに対して個別に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるものというべきである。」(大法廷昭和四三年一二月二五日判決、民集二二巻一三号三、四五九頁)として、その法規範性を肯認しているのである。 業場内での社会規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知つていると否とにかかわらず、また、これに対して個別に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるものというべきである。」(大法廷昭和四三年一二月二五日判決、民集二二巻一三号三、四五九頁)として、その法規範性を肯認しているのである。したがつて、就業規則の法的性格が右に述べたものである以上、就業規則もまた時間外労働の義務を定めたものであるというべきであるから、この点に関する原告らの主張も失当である。(同旨判決、横浜地裁川崎支部昭和四五年一二月二八日、福岡高裁昭和四〇年一一月一日、広島高裁昭和四八年七月二〇日)ロ 「時間外労働および休日労働に関する協約」によつて時間外労働をさせる場合は、原則として四時間前に本人に通知すべきものであるが、時間外労働をさせるべき緊急の事態が発生したようなときは、四時間前に通知することが不可能であり、前記協約もこのような異例の場合にまで、四時間前の通知を要求する趣旨でないことは明らかである。本件において四時間前という原則によらず、原告らに超過勤務を命じたのは、いずれも当日完配し得べき量の郵便物を配達しに行つたのにかかわらず、帰局の際相当数持戻るという予測しえない事態が生じたためであつたから、前記協約の趣旨に反するものではない。ハ次に時間外勤務命令は、命令権者からの告知を相手方に了知せしめれば足りるものであつて、特段の要式行為ではないか いう予測しえない事態が生じたためであつたから、前記協約の趣旨に反するものではない。ハ次に時間外勤務命令は、命令権者からの告知を相手方に了知せしめれば足りるものであつて、特段の要式行為ではないから、告知方法が口頭又は書面のいずれによるかを問わない。そして該命令が相手方に了知されれば、相手方はこれに服する義務を負うのであり、相手方において該命令に同意するとか、承認するとかの意思表示の後に服従義務が発生するのではないのである。原告らの主張する超過勤務命令簿に、本人の印を押捺させるのは、右の承認等を求める趣旨ではなく、超過勤務手当を支給する際、超過勤務に従事した事蹟を保存するための事務処理に過ぎない。また静内郵便局において、超過勤務を命ずる際、本人の承認を必要とするような特段の約定も、慣行も存在しない。 務を負うのであり、相手方において該命令に同意するとか、承認するとかの意思表示の後に服従義務が発生するのではないのである。原告らの主張する超過勤務命令簿に、本人の印を押捺させるのは、右の承認等を求める趣旨ではなく、超過勤務手当を支給する際、超過勤務に従事した事蹟を保存するための事務処理に過ぎない。また静内郵便局において、超過勤務を命ずる際、本人の承認を必要とするような特段の約定も、慣行も存在しない。六原告ら(再抗弁) 1 訴外i局長代理が昭和四二年一一月二二日午後三時二〇分ころ発した超過勤務命令はその後同訴外人により撤回されているものである。2 被告静内郵便局長がなした本件各戒告、訓告処分は懲戒権の濫用である。イ特例休息制度の制定経緯、とくに勤務時間協約の締結時において郵政省がいわゆるはみだしの一五分につき将来とも従来の実態通りに実施することを約束していた事情、静内郵便局においては少くとも本件が発生するまで一〇年以上にわたり早帰りをしてきた実績、昭和四二年郵政省発行の書籍において同省が自認しているとおり、この件については種々の問題があり、労使間では未だ結着がついておらずいずれにしても将来労使の交渉で妥協をつけなければならないとされていたことなどの諸事情を総合すれば、利害の対立する一方が他方に対して自己の見解を固執して一方的に不利益を加えることは信義則上許されず、ひいては権利の濫用であるといわざるをえない。ロ一定の要件のもと ことなどの諸事情を総合すれば、利害の対立する一方が他方に対して自己の見解を固執して一方的に不利益を加えることは信義則上許されず、ひいては権利の濫用であるといわざるをえない。ロ一定の要件のもとで時間外労働義務があるかどうかについては諸説があり判例においても確定したものが未だ存在しない事情、残業は八時間労働制の例外的な措置であつて時間短縮がさけばれている今日の状況ではますます労働者の健康を守る必要性が認められること、労働者の保護を強化する政策的な見地などを総合すれば、労働者の残業拒否を理由に懲戒処分をすることは懲戒権者の裁量権を逸脱したものである。七被告ら(再抗弁に対する認否) 1 第1項の事実は否認する。2 第2項は争う。第三証拠関係(省略) 理由 一請求の原因(一)、(二)の1、(三)の事実は当事者間に争いがない。二抗弁1について1イ昭和四二年一一月四日原告e、同a、同f、同c、同dが午後三時二〇分ころに、同月七日原告e、同a、同b、同dが午後三時一七分に、原告gが午後三時二五分に、同月一〇日原告f、同g、同b、同dが午後三時二五分に、それぞれ静内郵便局から退庁したことは当事者間に争いがない。 。2 第2項は争う。第三証拠関係(省略) 理由 一請求の原因(一)、(二)の1、(三)の事実は当事者間に争いがない。二抗弁1について1イ昭和四二年一一月四日原告e、同a、同f、同c、同dが午後三時二〇分ころに、同月七日原告e、同a、同b、同dが午後三時一七分に、原告gが午後三時二五分に、同月一〇日原告f、同g、同b、同dが午後三時二五分に、それぞれ静内郵便局から退庁したことは当事者間に争いがない。ロ同月一二日の退庁時刻について証人hの証言によつて成立を認める乙第二二号証の一一および証人kの証言によつて成立を認める乙第二四号証の三によれば、同日原告eを除くその余の原告らが、午後三時一五分に静内郵便局から退庁したことが認められ、原告eを除くその余の原告らの本人尋問の結果中、右認定に反する部分はこれを措信せず、他に右認定を妨げるに足りる証拠はない。ハ同月一九日の退庁時刻について証人lの証言によつて成立を認める乙第二三号証の三および証人hの証言によつて成立を認める乙第二二号証の一四によれば、同日 、他に右認定を妨げるに足りる証拠はない。ハ同月一九日の退庁時刻について証人lの証言によつて成立を認める乙第二三号証の三および証人hの証言によつて成立を認める乙第二二号証の一四によれば、同日原告a、同g、同b、同c、同dが午後三時一五分に静内郵便局から退庁したことが認められ、原告a、同g、同c、同dの原告本人尋問の結果中、右認定に反する部分はこれを措信せず、他に右認定を妨げる証拠はない。2 ところで被告らは、午後三時三〇分までは勤務時間であつてそれ以前に退庁するときは勤務欠如となる旨主張し、それに対し原告らは午後三時一七分以後は特例休息時間であつてしかも勤務を要しないと主張するのでこの点につき判断する。イ原告らの始業時間が午前七時二五分であること、原告らの労働時間が一日につき拘束八時間五分であることについては原告らが自から主張するところであつて当事者間に争いがない。したがつて原告らの終業時間は午後三時三〇分であるものというべきである。ロところで、原告らは勤務時間終了前の一三分間は協約上の特例休息であつて勤務を要しないと主張する。証人m、同n、同oの各証言(証人n、同oについては後記の信用できない部分を除く)、その成立に争いがない甲第五号証の二および五、第七号証の二、第一二号証、第一三号証、乙第一号証、第四四号証の三、第四八号証の三、原本の存在とその成立に争いがない甲第七号号証の三、乙第三二ないし四二号証、第四三号証の二、原本の存在には争いがなく証人nの証言によつて成立を認める甲第六号証を総合すれば以下の事実が認められる。 証人m、同n、同oの各証言(証人n、同oについては後記の信用できない部分を除く)、その成立に争いがない甲第五号証の二および五、第七号証の二、第一二号証、第一三号証、乙第一号証、第四四号証の三、第四八号証の三、原本の存在とその成立に争いがない甲第七号号証の三、乙第三二ないし四二号証、第四三号証の二、原本の存在には争いがなく証人nの証言によつて成立を認める甲第六号証を総合すれば以下の事実が認められる。(一) 昭和二八年一月一日以前における郵政職員の勤務、休憩、休息の各時間については次のとおりの定めがあつた。(1) 給与法第一四条において、「職員の勤務時間は休憩時間を除き、一週について四〇時間を下 ) 昭和二八年一月一日以前における郵政職員の勤務、休憩、休息の各時間については次のとおりの定めがあつた。(1) 給与法第一四条において、「職員の勤務時間は休憩時間を除き、一週について四〇時間を下らず、四八時間をこえない範囲で人事院規則又は人事院の承認を得て各庁の長が定める。」旨規定されていた。(2) さらにこれを受けて人事院の承認を得たうえ昭和二五年一〇月九日郵給第四六六号「服務時間実施要綱」が制定されたが、それによれば官庁執務時間服務(昭和二四年一月一日総理庁令第一号第一項による服務をいう)については、日曜日は勤務を要しない日とされ、月曜日から金曜日までは午前八時三〇分から午後五時まで(但しその間に三〇分の休憩時間を置く)、土曜日は午前八時三〇分から午後零時三〇分までが勤務時間とされ(したがつて労働時間は一日八時間、一週四四時間と定められていたわけである。)、休息時間については勤務四時間の中に一五分とされ、さらに休憩時間については毎四時間の所定勤務の後に三〇分とされていた。(二) しかるところ、昭和二七年七月にいたり、公共企業体等労働関係法(以下、公労法という。)が改正され、昭和二八年一月一日郵政職員にも公労法ひいては労基法が適用されることとなつたため、従前の法律の適用が除外され労働条件につき疑義が生じた結果、郵政省と全逓とは昭和二八年一月一日いわゆる暫定協約を締結し、その第一条において「従前の法律の適用を除外された労働条件は、昭和二七年一二月三一日において適用されていた法令の規定する取扱いおよび従前の慣行による。但し職員の労働条件に関する協約等が締結されたときはその定めるところによる。 政職員にも公労法ひいては労基法が適用されることとなつたため、従前の法律の適用が除外され労働条件につき疑義が生じた結果、郵政省と全逓とは昭和二八年一月一日いわゆる暫定協約を締結し、その第一条において「従前の法律の適用を除外された労働条件は、昭和二七年一二月三一日において適用されていた法令の規定する取扱いおよび従前の慣行による。但し職員の労働条件に関する協約等が締結されたときはその定めるところによる。」と定め、第二条において「この協約は暫定的なものであるから、郵政省および全逓は、職員の労働条件の改善を図る目的で誠意をもつて速かに労働協約締結 する協約等が締結されたときはその定めるところによる。」と定め、第二条において「この協約は暫定的なものであるから、郵政省および全逓は、職員の労働条件の改善を図る目的で誠意をもつて速かに労働協約締結のために交渉を行う。」旨定めた。従つて、右暫定協約の締結により終業時刻がどのようになつたかとの点については、①昭和二七年一二月三一日において適用されていた法令の規定する取扱いおよび従前の慣行に従うのであるから終業時刻も従前どおり平日は午後五時、土曜日は午後零時三〇分であるとする考え方と、②労基法の適用の結果、休憩時間は勤務途中に四五分を設けることとされ、かつ勤務時間についても従前と同様なのであるから平日の終業時刻は一五分延長され午後五時一五分になるとする考え方がありうるわけであるが、本件全証拠によるも当時勤務時間の短縮がなされたことは認められず、しかも右暫定協約を締結せざるを得なかつたのはまさに労基法(その三四条一項により休憩時間が四五分となり、従前の三〇分より一五分延長された)が適用されたためであることをあわせ考慮すれば右②の考え方を取つたものと見るのが相当である。なお証人nは、右暫定協約締結の際、休息時間を勤務時間の終りにつけることにより労使間で従前と同様の時間に退庁できるとの約束ができていた旨証言するが、休息時間を勤務時間の終りに置くという便法が取り上げられたのは後記認定のとおり昭和二八年六月一日付で制定された郵政省就業規則に伴う指導通達が初めてであること、なされたと称する右約束について書面が作成されている様子も認められないこと、前記暫定協約が勤務時間の短縮について何ら触れていないことなどを考慮すれば、右の証言はとうてい措信できない。(三) その後郵政省は、労基法に基づき就業規則を制定することとしたが、制定前にこれを全逓に提示し う便法が取り上げられたのは後記認定のとおり昭和二八年六月一日付で制定された郵政省就業規則に伴う指導通達が初めてであること、なされたと称する右約束について書面が作成されている様子も認められないこと、前記暫定協約が勤務時間の短縮について何ら触れていないことなどを考慮すれば、右の証言はとうてい措信できない。(三) その後郵政省は、労基法に基づき就業規則を制定することとしたが、制定前にこれを全逓に提示し 協約が勤務時間の短縮について何ら触れていないことなどを考慮すれば、右の証言はとうてい措信できない。(三) その後郵政省は、労基法に基づき就業規則を制定することとしたが、制定前にこれを全逓に提示して意見を求めたところ、全逓は昭和二八年五月二九日付全逓総第六二一号をもつて郵政省に対し意見を表明し、同時に「勤務時間に関する協約案」を添付して勤務時間に対する考え方を明らかにした。右協約案によれば、①一日の勤務時間が四時間を超える場合は三〇分の休憩時間を勤務の途中に設ける(第三条)、②勤務時間四時間につき一五分以上の割合で勤務時間の一部を休憩時間とする(第四条)、③職員の勤務は日勤々務と交替性勤務の二種類とする(第五条)、④日勤々務者の拘束時間は平日は午前八時三〇分から午後五時までの八時間三〇分、土曜日は午前八時三〇分から午後零時三〇分までの四時間とする(第六条)というものであつた。(ところで右④の要求はいわゆる日勤々務者に関するものであり、交替性勤務についてその要求がなかつたことは③の要求と比較して明らかである。)郵政省は昭和二八年六月一日に前記全逓の意見を徴したうえ就業規則を制定したが、それによれば勤務時間は一日八時間、一週四四時間、休憩時間は勤務途中に四五分、休息時間は勤務四時間につき一五分とされたが、右休息時間については、能率を維持し且つ保健と安全のため勤務中に設けられる時間であつて、勤務時間に含まれるものと規定された。そして右就業規則は昭和二九年二月一日から施行されることとなつた。それに対し全逓は、昭和二八年八月一七日付で郵政省に対し要求書を提出し、そのうち勤務時間等に関しては前記協約案と同旨の要求をなしたが、それに対し郵政省は同年一〇月五日付で勤務時間等に関しては右就業規則に定めるとおりに実施する旨を主張した。ところで 要求書を提出し、そのうち勤務時間等に関しては前記協約案と同旨の要求をなしたが、それに対し郵政省は同年一〇月五日付で勤務時間等に関しては右就業規則に定めるとおりに実施する旨を主張した。 八月一七日付で郵政省に対し要求書を提出し、そのうち勤務時間等に関しては前記協約案と同旨の要求をなしたが、それに対し郵政省は同年一〇月五日付で勤務時間等に関しては右就業規則に定めるとおりに実施する旨を主張した。ところで 要求書を提出し、そのうち勤務時間等に関しては前記協約案と同旨の要求をなしたが、それに対し郵政省は同年一〇月五日付で勤務時間等に関しては右就業規則に定めるとおりに実施する旨を主張した。ところで同年一二月五日、郵政省は右就業規則の取扱いにつき、同月二八日付郵人管第四二九号をもつて同規則の解釈、運用についての指導通達を発出したが、休息時間関係については「休息時間(特例による休息時間を含む)の割り振りについては、所属長が実情に応じて定めることとする。但しこの通達に定めるもののほか勤務時間の始又は終においてはならない。」、「一般の特例勤務時間が六時間をこえ八時間以内の場合においては、所属長が業務の運営上支障がないと認めた場合に限り、所定の休息時間もしくは特例による休息時間のうち一五分を勤務時間の終りに置くことができる。」と指導し、運用の如何によつては午後五時で退庁できるようにして、退庁時刻に関する前記全逓の意見を容れようとしたのであつた。これが本件で問題となつているいわゆる特例休息と呼ばれるものである。(四) しかしながら全逓は、勤務時間および退庁時刻等に関する右就業規則の規定に同意せず、日勤々務者の退庁時刻を労基法適用前と同様午後五時としようとし、労基法の規定も考慮したうえ、従来午前八時三〇分から午後五時までの拘束八時間三〇分のうち休憩時間を三〇分、休息時間を三〇分とすることを主張していたのを、拘束八時間三〇分のうち休憩時間四五分、休息時間三〇分を置くことを主張した。(これは実働時間の短縮を意味することに他ならない。)右の要求については労使間で交渉が行なわれたが合意に至らず、結局全逓は昭和二九年五月二八日に至り公共企業体等中央調停委員会に調停を申請し、同年九月一日同調停委員会から調停案が提示されたが労使ともにこれを受諾しなかつたため 間で交渉が行なわれたが合意に至らず、結局全逓は昭和二九年五月二八日に至り公共企業体等中央調停委員会に調停を申請し、同年九月一日同調停委員会から調停案が提示されたが労使ともにこれを受諾しなかつたため調停は不調に終り、やむなく全逓は同年一〇月五日公共企業体等仲裁委員会に対し仲裁の申請を行つたが、仲裁申請事項には休息時間の問題を含めず拘束八時間三〇分の中に休憩時間四五分を置くことを右申請事項としたものであつた。 が行なわれたが合意に至らず、結局全逓は昭和二九年五月二八日に至り公共企業体等中央調停委員会に調停を申請し、同年九月一日同調停委員会から調停案が提示されたが労使ともにこれを受諾しなかつたため調停は不調に終り、やむなく全逓は同年一〇月五日公共企業体等仲裁委員会に対し仲裁の申請を行つたが、仲裁申請事項には休息時間の問題を含めず拘束八時間三〇分の中に休憩時間四五分を置くことを右申請事項としたものであつた。しかし右仲裁委員会は昭和三〇年四月一六日付をもつて、就業規則において休憩時間を従前の三〇分から四五分に延長したことにより生ずる一日の拘束時間八時間四五分は現行どおりとするとの仲裁をなし、これにより右の労使紛争は一応の終結をみるに至つた。(なお拘束八時間三〇分の中で休憩時間四五分を置けとの主張が日勤々務者を対象としたことは前記調停申請の際提出された調停申請書記載の申請事項(五)、(六)、(八)を比較検討すれば明らかである。)ところで現実の問題としては、前記調停申請前の昭和二九年五月六日に開催された郵政省と全逓との交渉において、全逓側が一日拘束八時間三〇分の中で休憩四五分、休息三〇分を与えるべきであると主張したのに対し、省側が「(就業規則の中では一日拘束八時間四五分の中で休憩四五分、休息三〇分を与えるように規定しているが)、実際は午後の休息を勤務時間の終りにつけているので五時に帰つているではないか」と答えているとおり、日勤々務者については一般的に前記特例休息がとられており、その特例休息がとられている場合には右の休息時間の開始とともに退庁することが許され、かつ超過勤務による残業手当等についても、右休息時間の開始時刻から計算する取り扱いがなされていたのであつた。(五) その後郵政省と全逓は前記暫定協約の趣旨に従い、労働条件に関する労働協 とが許され、かつ超過勤務による残業手当等についても、右休息時間の開始時刻から計算する取り扱いがなされていたのであつた。(五) その後郵政省と全逓は前記暫定協約の趣旨に従い、労働条件に関する労働協約を締結すべく交渉を続けることになつたが、昭和三二年一二月五日の団体交渉において日勤々務の始終時刻につき「従来の実態どおりでゆく」との妥結がなされ、それを受けて昭和三三年四月一五日「勤務時間および週休日等に関する協約」および「同付属覚書」が締結され、次のように定められた(休息時間)第二条一項……勤務時間中には、職員の能率を維持し、かつ保健と安全のため、勤務中に休息する時間(以下「休息時間」という。 約を締結すべく交渉を続けることになつたが、昭和三二年一二月五日の団体交渉において日勤々務の始終時刻につき「従来の実態どおりでゆく」との妥結がなされ、それを受けて昭和三三年四月一五日「勤務時間および週休日等に関する協約」および「同付属覚書」が締結され、次のように定められた(休息時間)第二条一項……勤務時間中には、職員の能率を維持し、かつ保健と安全のため、勤務中に休息する時間(以下「休息時間」という。)を設ける。二項、休息時間は、原則として、勤務四時間中に一五分を勤務の途中に設ける。(以下省略)(別表第二)休息時間の特例一、一般の特例勤務時間が六時間をこえ八時間以内の場合においては、所属長が業務の運営上支障がないと認めた場合に限り、所定の休息時間もしくは特例による休息時間のうち、一五分を勤務時間の終りに置くことができる。(但書省略)ところで、右の「実態どおりゆく」とは、一般的に特例休息制度が普及し、実際の運用(右特例休息制度の活用)によつて一日の拘束時間が八時間三〇分とされていることから、今後もそのような取り扱いをしようということに他ならない。以上のとおり認められ、右認定に反する証人n、同oの証言の各一部はこれを措信せず、他に右認定を妨げるに足りる証拠はない。ハ以上のとおりであるとすれば、原告ら主張のように特例休息時間が存在するというだけで、郵政省側がいわゆる「はみだしの一五分」に関し、無条件で退庁を認めていたとすることはできず、各事業場においてはたして右の特例休息が具体的に設けられていたか否かについて考察しなければならない。そこ で、郵政省側がいわゆる「はみだしの一五分」に関し、無条件で退庁を認めていたとすることはできず、各事業場においてはたして右の特例休息が具体的に設けられていたか否かについて考察しなければならない。そこで本件紛争当時の静内郵便局についてみるに、証人lの証言によれば、右の特例休息を設けるか否かは静内郵便局の所属長たる局長がいわゆる服務表を作成する際、休息時間のとり方を記載することによつて明示することとなつていたことが認められるところ、同証人の証言によつて成立を認める乙第一三号証およびその成立に争いがない第三〇号証の二によれば(右乙第一三号証は昭和四二年九月一二日から同年一一月四日まで、右乙第三〇号証の二はそれ以後に適用された服務表である。)、原告らに対し許されていた休息時間は、勤務の途中に手すき時間を利用して二八分とされていたことが認められ、右認定に反する証拠はなく、右の特例休息制度が設けられていたと認めることはできない。 ろ、同証人の証言によつて成立を認める乙第一三号証およびその成立に争いがない第三〇号証の二によれば(右乙第一三号証は昭和四二年九月一二日から同年一一月四日まで、右乙第三〇号証の二はそれ以後に適用された服務表である。)、原告らに対し許されていた休息時間は、勤務の途中に手すき時間を利用して二八分とされていたことが認められ、右認定に反する証拠はなく、右の特例休息制度が設けられていたと認めることはできない。以上のとおりであつて、本件においては特例休息制度が設けられていなかつたのであるから勤務時間の終りに休息時間をとることは許されず、原告らの拘束時間は原則どおり午後三時三〇分までであるといわざるを得ないので、前記原告らの主張はその理由がない。二次に原告らは、一〇年以上にわたつて早帰りの慣行が定着し原告らはそれに従つたにすぎないと主張し、証人p、同q、原告eを除くその余の原告らは、いずれも右主張に副う供述をするが、証人lの証言および弁論の全趣旨によつて成立を認める乙第一一号証の一、二、八、一〇を総合すれば、昭和四一年一〇月l局長が静内郵便局に赴任して以来、同局職員の中には勤務時間を守らないものが一部みうけられたので業務打合会などにおいて時間厳守を強く命じていたことが認められる他、原告eの本人尋問の結果中には本件紛争当時に限 内郵便局に赴任して以来、同局職員の中には勤務時間を守らないものが一部みうけられたので業務打合会などにおいて時間厳守を強く命じていたことが認められる他、原告eの本人尋問の結果中には本件紛争当時に限つて一五分の早帰りをしていたように認められる部分もあることにてらせば、前記証人p、同qおよび原告eを除くその余の各原告本人尋問の結果はにわかに措信できず、他に右主張を認めるに足る証拠はない。三抗弁2および再抗弁1について1イ昭和四二年一一月一三日について証人hの証言および同証人の証言によつて成立を認める乙第二二号証の一二、証人kの証言によつて成立を認める乙第二五号証の六、証人lの証言、原告aの本人尋問の結果(但し後記の信用できない部分を除く)を総合すれば、抗弁2のイの事実が認められ、右認定に反する原告aの本人尋問の結果は措信しえず、他に右認定を妨げる証拠はない。なお昭和四二年一一月一三日訴外h局長代理が原告aに対して口頭で超過勤務を命じたこと、当日同原告に持戻り郵便物があつたことは当事者間に争いがない。 号証の一二、証人kの証言によつて成立を認める乙第二五号証の六、証人lの証言、原告aの本人尋問の結果(但し後記の信用できない部分を除く)を総合すれば、抗弁2のイの事実が認められ、右認定に反する原告aの本人尋問の結果は措信しえず、他に右認定を妨げる証拠はない。なお昭和四二年一一月一三日訴外h局長代理が原告aに対して口頭で超過勤務を命じたこと、当日同原告に持戻り郵便物があつたことは当事者間に争いがない。ロ昭和四二年一一月一四日について証人hの証言および同証人の証言によつて成立を認める乙第二二号証の一三、証人rの証言によつて成立を認める乙第二五号証の七、証人lの証言、原告e、同a、同g、同b、同dの各本人尋問の結果(各原告の本人尋問の結果についてはいずれも後記の信用できない部分を除く)を総合すれば、抗弁2のロの事実が認められ、右認定に反する原告e、同a、同g、同b、同dの各原告本人尋問の結果は措信しえず、他に右認定を妨げる証拠はない。なお昭和四二年一一月一四日、訴外h局長代理が口頭により、原告e、同a、同g、同b、同dの各原告に対し超過勤務を命じたことおよび同原告らに持戻り郵便物があつたことは当事者間に争いがない。ハ昭 なお昭和四二年一一月一四日、訴外h局長代理が口頭により、原告e、同a、同g、同b、同dの各原告に対し超過勤務を命じたことおよび同原告らに持戻り郵便物があつたことは当事者間に争いがない。ハ昭和四二年一一月二二日について証人hの証言によつて成立を認める乙第二二号証の一五および一六、証人rの証言によつて成立を認める乙第二五号証の八、原告b、同c、同f、同dの各本人尋問の結果(各原告の本人尋問の結果についてはいずれも後記の信用できない部分を除く)を総合すれば以下の事実が認められる。訴外i局長代理は、昭和四二年一一月二二日午前一一時一七分ころ、静内郵便局郵便外勤室において調査の結果同日の一号便で配達すべき郵便物中市内全区にわたり相当の未配達郵便物があることを発見し、市内一区担当の訴外j、同二区担当の原告b、同三区担当の原告c、同四区担当の原告f、同五区担当の原告dに対し、「一号便の持戻りは二号便に組込み、正規の勤務時間内に完配できない場合は、二時間の範囲内の超過勤務により配達するよう」命じたが、原告fにおいては一五九通、同bにおいては六一通、同cにおいては五一通、同dにおいては四九通の持戻りがあつたため、午後三時一〇分すぎころ、前同所において、前記原告四名に対し口頭で前同様超過勤務により配達を完了するように命じたところ、同原告らは口々に「命令簿に判を押さないと超勤しない」旨申し立てたので、同局長代理は、「命令は口頭でも文書と何ら変わるものではない。 の超過勤務により配達するよう」命じたが、原告fにおいては一五九通、同bにおいては六一通、同cにおいては五一通、同dにおいては四九通の持戻りがあつたため、午後三時一〇分すぎころ、前同所において、前記原告四名に対し口頭で前同様超過勤務により配達を完了するように命じたところ、同原告らは口々に「命令簿に判を押さないと超勤しない」旨申し立てたので、同局長代理は、「命令は口頭でも文書と何ら変わるものではない。重ねて超勤を命ずる。応じなければ処分されることがある」と述べて再度超過勤務を命じた。それに対し原告cは「超勤するから命令簿を出してくれ」と申し向けたところ、同局長代理は「命令簿は関係ない。超勤しなさい。」と重ねて命じ、同原告がこれに応じなかつたところ、同局長代理は更に「こんなこととやかく 原告cは「超勤するから命令簿を出してくれ」と申し向けたところ、同局長代理は「命令簿は関係ない。超勤しなさい。」と重ねて命じ、同原告がこれに応じなかつたところ、同局長代理は更に「こんなこととやかくいうのであればしなくてもよいから帰りなさい。」と述べた。そこで同原告らは事故郵便物の処理をすませた後午後三時三〇分ころ同局を退庁した。以上の事実が認められ、右認定に反する原告b、同c、同f、同dの各本人尋問の結果は措信しえず、他に右認定を妨げる証拠はない。なお訴外i局長代理が、原告f、同b、同c、同dに対し口頭で超過勤務を命じたことおよび当日同原告らに持戻り郵便物があつたことは当事者間に争いがない。ところで原告らは、訴外i局長代理が発した右超過勤務命令はその後同人が撤回したと主張し、前記認定の事実によれば、同局長代理が「こんなこととやかくいうのであればしなくてもよいから帰りなさい。」と述べたことも認められるが、右発言のなされた経緯は前記認定のとおりであり、右に照らせば同訴外人の前記発言は超勤拒否に対する単なる感情の表白にすぎないものと認められるから、未だ撤回の意思表示とは認めることはできず、他に原告らの主張事実を確認しうる資料はない。2 ところで被告らは時間外労働義務はこれを内容とする労働協約および就業規則に基き使用者の指示命令のあるときはこれによつて生じるものと主張し、これに対し原告らは、右労働協約、就業規則は無効であり、時間外労働義務は、労働者のその都度の承諾によつてのみ生ずるものであると主張するのでこの点につき判断する。 認められるから、未だ撤回の意思表示とは認めることはできず、他に原告らの主張事実を確認しうる資料はない。2 ところで被告らは時間外労働義務はこれを内容とする労働協約および就業規則に基き使用者の指示命令のあるときはこれによつて生じるものと主張し、これに対し原告らは、右労働協約、就業規則は無効であり、時間外労働義務は、労働者のその都度の承諾によつてのみ生ずるものであると主張するのでこの点につき判断する。イ本件各原告が郵政職員であり、郵政職員については、昭和二八年一月一日から労基法が適用されていることは前示のとおりである。ところで、右労基法は労働者の最低労働条件を定めたものであり、労基法により定められた労働 告が郵政職員であり、郵政職員については、昭和二八年一月一日から労基法が適用されていることは前示のとおりである。ところで、右労基法は労働者の最低労働条件を定めたものであり、労基法により定められた労働条件よりも不利な労働条件を労働者に課することは原則として許されないものといわなければならない。ロさて労基法は労働者の労働時間に関し、その三二条一項で一日八時間、一週四八時間をこえる労働をさせることを禁じているから、郵政職員に対して一日八時間、一週四八時間以上の労働を課する如き労働契約は労基法に反するものということができる。このことは労働者がその自由な意思に基いてなしたものとしても同様であり、又使用者からのその都度の申込につきこれに承諾したものとしても同様であるといわなければならない。しかしながら、労働時間に関しては労基法自身がその三六条において一日八時間、一週四八時間を超えて労働がなされる場合のあることを予想しているところであり、従つて、労基法の趣旨からして、かかる労働条件につき、労働組合が使用者と対等の立場に立ち、かつ自由な意思によつて使用者と協約を締結した場合には、それが合理的な内容のものであるかぎり、たとえ労基法に牴触する協約であつたとしても直ちに無効とはいえないと解するのが相当である。しかし、右のように労基法と異なる定めをした労働協約が無効ではないとしても、右協約からただちに労働者が時間外労働義務を負担するにいたるか否かは別問題である。けだし、労働組合は時間外労働の条件については使用者との団体交渉により労働協約を締結することはでき、その効果としてそれが各個の労働者に対しても規範的効力を及ぼすものというべきではあるが、それは労働条件といういわば労働義務の枠組を設定するに止り、それ以上に各個の労働者に時間外労働をなすべき義務 協約が無効ではないとしても、右協約からただちに労働者が時間外労働義務を負担するにいたるか否かは別問題である。けだし、労働組合は時間外労働の条件については使用者との団体交渉により労働協約を締結することはでき、その効果としてそれが各個の労働者に対しても規範的効力を及ぼすものというべきではあるが、それは労働条件といういわば労働義務の枠組を設定するに止り、それ以上に各個の労働者に時間外労働をなすべき義務 き、その効果としてそれが各個の労働者に対しても規範的効力を及ぼすものというべきではあるが、それは労働条件といういわば労働義務の枠組を設定するに止り、それ以上に各個の労働者に時間外労働をなすべき義務自体をも負担させるものではないというのが相当であるからである。従つて、各個の労働者が時間外労働義務を負担するにいたる根拠は、あくまで、その意思表示にあるものというべきであり、しかるときは右労働協約の存在を前提とし、これに副う就業規則および労働契約の存するときは、ここにはじめて各個の労働者は時間外労働義務を負担するにいたるものということができ、しかして必ずしもその都度の合意による必要はないものと解するのが相当である。ハところで前掲甲第五号証の二およびその成立に争いがない同号証の三によれば、郵政省と全逓は昭和三三年四月一五日前示のとおり「勤務時間および週休日等に関する協約」を締結し、勤務時間について一日八時間、一週四四時間とすることの合意がなされたが、さらに翌昭和三四年一二月二一日「時間外労働および休日労働に関する協約」(以下時間外協約という)を締結し、前記「勤務時間および週休日等に関する協約」に定める時間をこえて就労する場合の原則について合意がなされ、その第二条に「甲(郵政省)は、やむを得ない事由のある場合に限り、職員に時間外労働または休日労働をさせることができる。」旨、第三条において「甲の各機関が、前条により時間外労働または休日労働をさせようとするときは、あらかじめ本人に通知する。前項の通知は原則として時間外労働については四時間前、休日労働については前日の正午までにこれを行う。」旨、さらに第四条には「前条により時間外労働または休日労働の通知を受けた職員に左の事由があるときは、本人または甲の機関に対応する乙(全逓信労働組合)の機関は異議の申 ては前日の正午までにこれを行う。」旨、さらに第四条には「前条により時間外労働または休日労働の通知を受けた職員に左の事由があるときは、本人または甲の機関に対応する乙(全逓信労働組合)の機関は異議の申立を行うことができる。 でにこれを行う。」旨、さらに第四条には「前条により時間外労働または休日労働の通知を受けた職員に左の事由があるときは、本人または甲の機関に対応する乙(全逓信労働組合)の機関は異議の申 ては前日の正午までにこれを行う。」旨、さらに第四条には「前条により時間外労働または休日労働の通知を受けた職員に左の事由があるときは、本人または甲の機関に対応する乙(全逓信労働組合)の機関は異議の申立を行うことができる。(異議事由については省略)」旨の各規定が設けられるに至つたことが認められ、右認定を妨げる証拠はない。そこで前示観点からすれば、前記時間外協約は一応労働組合対郵政省という対等の立場で締結されたものであり、かつ右協約を締結することが労働組合に強制されていたわけではなく、しかも右時間外協約は郵便事業の特殊性により時間外労働が必要かつ不可欠であることを考慮し、やむを得ない場合に限りこれを認めるものであつて合理的な合意であることは明らかであるので、たとえ労働時間について労基法に牴触する部分があつたとしてもこれを直ちに無効と解さなければならないものではない。更に成立に争いのない乙第四七号証の一ないし四によれば、昭和三六年二月二〇日郵政省就業規則が定められ、そこにおいて右協約に副う旨の規定が設けられてあることが認められる。そしてなお、その成立に争いがない乙第二〇号証によれば、昭和四二年一一月一三日静内郵便局長lと全逓日胆地方支部長sとの間で「時間外労働および休日労働に関する協定」(いわゆる三六協定)が締結され、そこにおいて殊に、「被告静内郵便局長は、郵便の業務が著しくふくそうして利用者に不便を与えると認められるときおよびその他急速に処理を要する業務の渋滞を防止するためやむを得ないとき等特定の場合には、所属職員に労基法第三二条もしくは第四〇条に定める労働時間を延長することができることおよび右時間外労働を命じ得る時間数は昭和四二年一一月一三日から同年一一月三〇日までの間において一日二時間、期間中一五時間とする」旨の規定が設けられて 〇条に定める労働時間を延長することができることおよび右時間外労働を命じ得る時間数は昭和四二年一一月一三日から同年一一月三〇日までの間において一日二時間、期間中一五時間とする」旨の規定が設けられていることが認められ、右認定を妨げる証拠はない。しかして原告らが右労働協約および就業規則と異る労働締結を結んだ証左はなく、弁論の全趣旨によれば、かえつて原告らは右就業規則のもとでこれを容認して就労していたことが認められる。 働時間を延長することができることおよび右時間外労働を命じ得る時間数は昭和四二年一一月一三日から同年一一月三〇日までの間において一日二時間、期間中一五時間とする」旨の規定が設けられていることが認められ、右認定を妨げる証拠はない。しかして原告らが右労働協約および就業規則と異る労働締結を結んだ証左はなく、弁論の全趣旨によれば、かえつて原告らは右就業規則のもとでこれを容認して就労していたことが認められる。そして、本件各超勤命令が出されたのは、前記認定のとおり被告ら主張の各原告が多数の郵便物を持戻つたためであり、これは前記時間外協約第二条にいうやむを得ない場合(同条二項一号によれば郵便、為替、貯金、保険、年金、電信および電話の各業務がふくそうして利用者に不便を与えると認められるときはやむを得ない場合に該当する。)であるということができる。また本件各超過勤務命令のうち昭和四二年一一月二二日以外の命令は就労時間の四時間前に通知がなされなかつたことは前記認定のとおりであるが、前記時間外協約第三条においても通知時間に関しては原則を定めたものであり、あらかじめ予測しえない事態が生じたような場合にまで右原則を貫く必要はないものと解すべきところ、前記各超過勤務命令がなされるに至つた経緯については前記認定のとおりであり、使用者側があらかじめ予測することは不可能であつたと認められるので、そのような場合にまで就労四時間前の通知を必要と解するのは不合理であり、右各命令が就労四時間前になされなかつたとしても、適法と解すべきである。以上の事実に基けば、本件各超勤命令は適法なものであり、原告らはこれにより時間外労働義務を負うにいたつたものといわなければならない。ニさらに原告らは、静内郵便局においては労使交渉の結果時間外労働命令を発する場合は、事 件各超勤命令は適法なものであり、原告らはこれにより時間外労働義務を負うにいたつたものといわなければならない。ニさらに原告らは、静内郵便局においては労使交渉の結果時間外労働命令を発する場合は、事前に「超勤々務・夜間祝日勤務の命令簿・整理簿」と題する書類中の承認印欄に命令を受けた本人の承認印を押捺することになつていたと主張するが、右労使交渉がなされたことや、右原告ら主張の約定がなされたことを認めるに足る証拠はなく、かえつて証人kは、原告ら主張の約定など存在していなかつた旨を証言するところである。 ばならない。ニさらに原告らは、静内郵便局においては労使交渉の結果時間外労働命令を発する場合は、事前に「超勤々務・夜間祝日勤務の命令簿・整理簿」と題する書類中の承認印欄に命令を受けた本人の承認印を押捺することになつていたと主張するが、右労使交渉がなされたことや、右原告ら主張の約定がなされたことを認めるに足る証拠はなく、かえつて証人kは、原告ら主張の約定など存在していなかつた旨を証言するところである。またその成立に争いがない乙第一八号証の二によれば、郵政省は昭和三九年六月二五日付人事局長通達(郵給第三四二号)により、時間外勤務命令を発した場合はその都度勤務時間管理員に対し超過勤務命令簿にその月日・時間数を記入するよう命じていたことが認められ、各原告らが、その原告本人尋問の結果中において前記命令簿・整理簿に時間外労働を命じられたものが承認印を押していたことを供述していても、それは前記通達に基づいてなされていたものと認めるのが相当であり、前記原告らの主張はその理由がない。四処分の適法性について以上の次第であつて、原告らには被告ら主張の勤務欠如および超過勤務命令違反の事実があるから、被告静内郵便局長が勤務欠如回数・時間・命令拒否回数等を考慮したうえ、原告a、同b、同c、同dに対して右各原告らの前記認定の各行為がいずれも国家公務員法第八二条各号に該当するものとして戒告処分に付し、またその余の原告に対して前記各原告らの非違行為よりもその非違程度が軽微であるとして郵政部内職員訓告規程(その成立に争いがない乙第二一号証の二)に定める訓告をなしたことは適法であり、何らの違法もないといわざるを得ない。(なお原告fにつき、昭和四二年一一月四日、同月一 であるとして郵政部内職員訓告規程(その成立に争いがない乙第二一号証の二)に定める訓告をなしたことは適法であり、何らの違法もないといわざるを得ない。(なお原告fにつき、昭和四二年一一月四日、同月一〇日における勤務欠如が訓告理由とされていないことは被告らの主張するところである。)なお原告らは懲戒権の濫用を主張するが、各原告について前記認定のとおりの非違行為が認められ、かつその処分内容も戒告処分や何ら不利益な取扱いを受けない訓告処分であつて、処分自体著しく重いとは認められないのであるから、たとえ原告ら主張の各事情を考慮したとしても所論の濫用があつたと認めることはできない。 二年一一月四日、同月一〇日における勤務欠如が訓告理由とされていないことは被告らの主張するところである。)なお原告らは懲戒権の濫用を主張するが、各原告について前記認定のとおりの非違行為が認められ、かつその処分内容も戒告処分や何ら不利益な取扱いを受けない訓告処分であつて、処分自体著しく重いとは認められないのであるから、たとえ原告ら主張の各事情を考慮したとしても所論の濫用があつたと認めることはできない。(原告ら主張の事情のうち、静内郵便局において一〇年以上にわたつて早帰りの慣行があつたとの点は前記のとおりこれを認めることはできず、またなるほど前掲甲第七号証の二によれば、特例休息を含む勤務時間一般の問題について全逓側と交渉してきた郵政省職員訴外m自身、その著書「勤務時間規程解説」の中で「どうも甚だあいまいな取り扱いであるが、最近この問題をもつと明らかにしようという動きがあるようでもあり、早晩、はつきりした取り扱いが定めなければならないものと考える。」旨著述していることが認められるけれども、仔細に右の文章を検討すれば、「この問題」とは一般の特例制度が設けられている場合休息時間の開始と同時に退庁することができるか否かという問題をさしているのであつて、原告ら主張のように当該事業所において特例休息制度が具体的に設けられていると否とにかかわらず退庁することができるか否かの問題について論じたものではないことが認められるから、右の事情を懲戒権の濫用の判断にあたつて考慮する必要はない。)五結語以上のとおりであつて原告らに対してなされた各戒告、訓告処分はいずれも適法であり、勤務欠 たものではないことが認められるから、右の事情を懲戒権の濫用の判断にあたつて考慮する必要はない。)五結語以上のとおりであつて原告らに対してなされた各戒告、訓告処分はいずれも適法であり、勤務欠如をした原告らは労務を提供しないのであるから、原告らに対し賃金を支払うべきいわれはなく(支払われなかつた賃金額の算出については原告らは明らかに争わない。)、また原告らに対して慰謝料を支払う理由もないというべきである。よつて原告らの本訴請求はすべてその理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官磯部喬太田豊末永進)<18717-001>

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