- 1 -平成30年5月10日判決言渡平成27年(行ウ)第112号補助金返還請求事件(住民訴訟) 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主位的請求被告は,大阪市α区A地域活動協議会に対し,56万5747円及びこれに対する平成25年9月19日から支払済みまで年10.95パーセントの割合による金員の支払を請求せよ。 2 予備的請求被告は,大阪市α区A地域活動協議会に対し,56万5747円及びこれに対する平成25年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市α区A地域活動協議会(以下「本件地活協」という。)に概算払の方法により交付された大阪市α区地域活動協議会補助金429万円(以下「本件補助金」という。)のうち,本件地活協のカラオケ事業(以下「本件カラオケ事業」という。)に充てられた56万5747円(以下「本件カラオケ補助金」という。)につき,本件カラオケ補助金が本件地活協により不適正使用されているにもかかわらず,被告が本件地活協に対し同補助金の返還を求めないのは違法であるなどと主張して,被告を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,以下の各請求をする住民訴訟の事案である。 - 2 -⑴ 主位的請求大阪市α区地域活動協議会補助金交付要綱(以下「本件要綱」という。)15条又は大阪市補助金等交付規則(平成18年大阪市規則第7号。以下「本件規則」という。)18条に基づく補助金等返還請求権に基づき,本件地活協に対し,56万5747 要綱(以下「本件要綱」という。)15条又は大阪市補助金等交付規則(平成18年大阪市規則第7号。以下「本件規則」という。)18条に基づく補助金等返還請求権に基づき,本件地活協に対し,56万5747円及びこれに対する平成25年9月19日(本件補助金の概算払による交付の翌日)から支払済みまで本件要綱16条1項又は本件規則19条1項所定の年10.95パーセントの割合による加算金の支払を請求することの義務付け⑵ 予備的請求(ただし,ア及びイは単純併合。)ア不当利得返還請求権に基づき,本件地活協に対し,56万5747円及びこれに対する平成25年9月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延利息(民法704条)の支払を請求することの義務付けイ不法行為による損害賠償請求権に基づき,本件地活協に対し,56万5747円及びこれに対する平成25年9月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することの義務付け 2 関係法令等の定め⑴ 大阪市補助金等交付規則(本件規則。乙1)ア本件規則17条1項は,市長は,補助事業者が,補助金等の他の用途への使用をし,その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに付した条件その他法令等又はこれに基づく市長の処分に違反したときは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる旨規定する。 イ本件規則18条は,市長は,補助金等の交付の決定を取り消した場合において,補助事業等の当該取消しに係る部分に関し,すでに補助金等が交付されているときは,期限を定めて,その返還を求めるものとする旨規定し,同規則19条1項は,補助事業者は,同規則18条の規定により補助 - 3 -金等の返還を求められたときは,その請求に係る補助金等の受領の日から納 限を定めて,その返還を求めるものとする旨規定し,同規則19条1項は,補助事業者は,同規則18条の規定により補助 - 3 -金等の返還を求められたときは,その請求に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じて,当該補助金等の額につき年10.95パーセントの割合で計算した加算金を大阪市に納付しなければならない旨規定する。 ⑵ 大阪市地域活動協議会に対する補助金の交付の基準に関する要綱(以下「交付基準要綱」という。乙2)ア交付基準要綱1条は,同要綱の趣旨について,本件規則に定めるもののほか,地域活動協議会に対する補助金の交付について各区に共通する統一的な基準を定めるものとする旨規定する。 イ交付基準要綱4条1項は,同項各号に掲げる要件を備えているものとして同要綱5条に定めるところにより区長の認定を受けた地域活動協議会に対しては,同要綱6条及び7条に定めるところにより補助金を交付することができる旨規定し,同要綱4条1項6号は,「次に掲げる活動をしていないこと。ア営利を目的とする活動(イ~エ略)」を掲げている。 ⑶ 大阪市α区地域活動協議会補助金交付要綱(本件要綱。乙4)ア本件要綱1条は,同要綱の趣旨について,本件規則及び交付基準要綱に定めるもののほか,大阪市α区地域活動協議会補助金の交付について必要な事項を定めるものとする旨規定する。 イ本件要綱2条1項は,活動費補助金における区長が指定する補助の対象となる市民活動の分野は,防犯・防災,子ども・青少年,福祉,健康,環境,文化・スポーツとする旨規定する。 ウ本件要綱7条1項は,補助事業者は,補助事業の内容等の変更(軽微な変更を除く。)をしようとするときは,大阪市α区地域活動協議会補助金変更承認申請書を市長に対し提出し承認を受けなければならない ウ本件要綱7条1項は,補助事業者は,補助事業の内容等の変更(軽微な変更を除く。)をしようとするときは,大阪市α区地域活動協議会補助金変更承認申請書を市長に対し提出し承認を受けなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の軽微な変更は「交付決定額内で事業間の予算流用」(同条2項2号)等とし,ただし,補助事業の目的に変更のない場 - 4 -合に限る旨規定する。 エ本件要綱14条1項は,市長は,補助事業者が,本件規則17条1項に定めるもののほか,不適切な会計処理を行ったとき(1号),政治的行為を行ったと認められるとき又は法令若しくは公序良俗に反する活動を行ったとき(2号)等に該当するときは,補助金の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる旨規定する。 オ本件要綱15条は,市長は,補助金の交付決定を取り消した場合において,補助対象事業の当該取消しに係る部分に関し,既に補助金が交付されているときは,期限を決めて,その返還を求めるものとする旨規定し,同要綱16条1項は,補助事業者は,同要綱15条の規定により補助金の返還を求められたときは,その請求に係る補助金の受領の日から納付の日までの日数に応じて,当該補助金額につき年10.95パーセントの割合で計算した加算金を大阪市に納付しなければならない旨規定する。 3 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠(枝番のあるものは特記しない限り全枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 ⑴ 当事者等ア原告らは,大阪市の住民である。 イ本件地活協は,大阪市α区A地域活動協議会規約に基づき設立された権利能力なき社団であり,α区A地域の各町会,老人クラブ連絡会,小学校PTAなど43団体で構成されている(甲12)。上 る。 イ本件地活協は,大阪市α区A地域活動協議会規約に基づき設立された権利能力なき社団であり,α区A地域の各町会,老人クラブ連絡会,小学校PTAなど43団体で構成されている(甲12)。上記老人クラブ連絡会には,12の老人会(以下,単に「老人会」という。)が所属している(甲3)。 ウ Bは,本件地活協の会長であり,A西部会館運営委員会及びA文化会館運営委員会の委員長でもある。 - 5 -⑵ 本件補助金の概算払及びその額の確定に係る経緯等ア本件地活協は,平成25年4月30日付けで,被告に対し,補助金の額を合計429万円(活動費補助金373万1000円及び運営費補助金55万9000円の合計額),補助事業等の開始日を同月1日,完了予定日を平成26年3月31日として,大阪市α区地域活動協議会補助金の交付を申請した(乙7)。 イ被告は,平成25年8月15日付けで,上記アの申請に対し本件補助金429万円を交付することを決定し(以下「本件交付決定」という。),本件地活協に対し,同月29日付けで,その旨通知した(乙16,32)。 ウ被告は,本件地活協の平成25年9月5日付け概算払請求を受けて,同月18日,本件地活協に対し,本件補助金429万円を概算払により交付した(乙37,38)。 エ A文化会館及びA東部社会福祉会館老人憩いの家(以下,併せて「文化会館」という。)並びにA西部会館及びA社会福祉会館老人憩いの家(以下,併せて「西部会館」といい,これと「文化会館」とを併せて「本件各会館」という。)において,平成25年4月から平成26年3月まで,老人会の会員その他の地域住民が参加するカラオケの集い(以下,単に「カラオケの集い」という。)が開催された。カラオケの集いでは,通信カラオケ機器であるDAM-G50Ⅱ又はDAM 平成26年3月まで,老人会の会員その他の地域住民が参加するカラオケの集い(以下,単に「カラオケの集い」という。)が開催された。カラオケの集いでは,通信カラオケ機器であるDAM-G50Ⅱ又はDAM-G100(以下,併せて「本件カラオケ機器」という。)が使用されていた。(以上につき,甲3,12,16,乙8,15,27,49)。 オ本件地活協は,平成26年3月31日付けで,補助事業の完了に伴い,被告に対し,実績報告書(以下「本件実績報告書」という。乙8)及び精算報告書を提出し,本件交付決定に基づく支出命令額及び精算額はいずれも429万円であり差引額は生じない旨報告した(甲27,乙8)。 カ被告は,平成26年4月28日頃,本件実績報告書の調査等を行った上, - 6 -交付すべき補助金等の額を429万円と確定した(甲27,弁論の全趣旨)。 ⑶ 住民監査請求及び本件交付決定の一部取消し等に係る経緯ア原告C,原告D,原告E,原告F及び原告Gは,平成27年1月21日,大阪市監査委員に対し,「住民監査請求書(H25A地活協補助金)」と題する書面を提出し,本件地活協に対して本件補助金に相当する429万円の損害賠償請求等の措置を講ずることを求める住民監査請求(以下「第一次住民監査請求」という。)をした(甲1)。 イ原告H及び原告Iは,平成27年1月26日,大阪市監査委員に対し,第一次住民監査請求と同旨の住民監査請求(以下「第二次住民監査請求」という。)をした(甲2)。 ウ被告は,平成27年3月9日,本件交付決定のうち本件カラオケ事業に係る部分の一部を取り消し,本件地活協に対し,同日付け返還命令通知書により20万5500円の返還を求め,本件地活協は,同月19日,大阪市に対し,同額を返還した(乙5,6,16)。 エ大阪市監査 係る部分の一部を取り消し,本件地活協に対し,同日付け返還命令通知書により20万5500円の返還を求め,本件地活協は,同月19日,大阪市に対し,同額を返還した(乙5,6,16)。 エ大阪市監査委員は,平成27年3月16日付けで,第一次住民監査請求及び第二次住民監査請求をいずれも棄却し,同月18日,原告らに対してその旨通知した(甲3,4,弁論の全趣旨)。 オ被告は,本件地活協に対し,平成27年3月26日付け加算金納付命令書により加算金3万3784円の支払を求め,本件地活協は,同年4月13日,大阪市に対し,同額を支払った(乙33~35)。 ⑷ 本件訴訟の提起原告らは,平成27年4月15日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 ⑸ その後の経緯等ア被告は,本件訴訟係属中の平成29年8月18日,本件交付決定のうち本件カラオケ事業に係る部分を含む一部を取り消し,本件地活協に対し,同日付け返還命令通知書により11万0303円の返還を求め,本件地活 - 7 -協は,同月23日,大阪市に対し,同額を返還した(乙42~45)。 イ被告は,本件地活協に対し,平成29年8月25日付け加算金納付命令書により加算金4万7518円の支払を求め,本件地活協は,同月31日,大阪市に対し,同額を支払った(乙46~48)。 4 主たる争点⑴ 本件地活協による本件カラオケ補助金の不適正使用の有無(主位的請求及び予備的請求に共通)アカラオケ情報料の支払債務及び支出の存否等イ公益上の必要性がない活動への補助金の使用の有無ウ営利を目的とする活動への補助金の使用の有無エ著作権法に反する違法な活動への補助金の使用の有無オ申請対象外の活動への補助金の使用の有無⑵ 大阪市の本件地活協に対する請求権の成否(( 利を目的とする活動への補助金の使用の有無エ著作権法に反する違法な活動への補助金の使用の有無オ申請対象外の活動への補助金の使用の有無⑵ 大阪市の本件地活協に対する請求権の成否((1)が認められる場合)ア補助金等返還請求権(主位的請求)の成否イ不当利得返還請求権(予備的請求ア)の成否ウ不法行為に基づく損害賠償請求権(予備的請求イ)の成否 5 主たる争点に関する当事者の主張⑴ 本件地活協による本件カラオケ補助金の不適正使用の有無アカラオケ情報料の支払債務及び支出の存否等(原告らの主張)(ア) 一般に,通信カラオケ機器を利用するには,楽曲を配信するメーカー(以下「通信カラオケメーカー」という。)との間で回線契約を締結しなければならない。しかし,本件カラオケ機器について,本件地活協と通信カラオケメーカーとの間で回線契約は締結されていないし,本件地活協に本件カラオケ機器を貸与したとされるJも,通信カラオケメーカーとの間で回線契約を締結していない。そうすると,通信カラオケメ - 8 -ーカーとの契約関係がない以上,本件地活協及びJがカラオケ情報料の支払債務を負うことはないから,本件地活協が,本来支払う必要のないカラオケ情報料に本件カラオケ補助金を充てることは許されない。 (イ) また,仮にカラオケ情報料が発生していたとしても,本件地活協及び老人会からJに対してカラオケ情報料が支払われた事実が認められない以上,カラオケ情報料の名目で本件カラオケ補助金を使用することは許されない。すなわち,本件地活協の会長であるBは,Jに対しカラオケ情報料を直接支払ったことはないと述べていること,Jが本件地活協宛てに発行した領収証は信用性に乏しいこと,老人会宛ての領収証が存在しな れない。すなわち,本件地活協の会長であるBは,Jに対しカラオケ情報料を直接支払ったことはないと述べていること,Jが本件地活協宛てに発行した領収証は信用性に乏しいこと,老人会宛ての領収証が存在しないことからすると,本件地活協及び老人会からJに対しカラオケ情報料が支払われた事実は認められない。したがって,カラオケ情報料の支払の事実がない以上,これに本件カラオケ補助金を充てることは許されない。 (ウ) さらに,仮に本件地活協からJに対しカラオケ情報料が支払われていたとしても,Jから通信カラオケメーカーに対しカラオケ情報料は支払われていないから,カラオケ情報料に本件カラオケ補助金を充てることは許されない。 (被告の主張)本件地活協は,「K」という屋号でカラオケ機器のリース等を行うJに,本件カラオケ機器に係るカラオケ情報料を支払っていたからこそ,本件カラオケ機器のメンテナンスやデータ更新を受けて,これを利用することができていたというべきであり,カラオケ情報料に本件カラオケ補助金を充てることは補助金の不適正使用には当たらない。 原告らは,本件カラオケ機器について,Jと通信カラオケメーカーとの間で回線契約が締結されておらず,Jはカラオケ情報料を支払っていなかったと主張するが,十分な根拠があるとはいえない。また,仮にJが通信 - 9 -カラオケメーカーにカラオケ情報料を支払わずに本件カラオケ機器を不正に使用していたとしても,Jと通信カラオケメーカーとの間で解決されるべき問題であり,本件地活協がJに支払ったカラオケ情報料が本件カラオケ事業にとって必要な経費であったことを左右するものではなく,本件カラオケ補助金の不適正使用には当たらない。なお,Jが説明する本件カラオケ機器のデータ更新方法は,通信カラオケメーカーの担当者が現 オケ事業にとって必要な経費であったことを左右するものではなく,本件カラオケ補助金の不適正使用には当たらない。なお,Jが説明する本件カラオケ機器のデータ更新方法は,通信カラオケメーカーの担当者が現地調査をした結果(乙30)や同社に対する照会結果(乙31)により適法であることが裏付けられているし,Jが一つの回線契約で複数の機器のデータ更新を行い,不正に使用していたことを示す証拠もない。 イ公益上の必要性のない活動への補助金の使用の有無(原告らの主張)地方公共団体は,その公益上必要がある場合には,補助金を支出することができる(地方自治法232条の2)。しかし,カラオケは単なる娯楽にすぎず,カラオケが好きな一部の地域住民が本件カラオケ機器を用いて定期的に遊興にふけることは,「公益上必要がある場合」に当たるとはいえず,本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用したことは,補助金の不適正使用に該当する。 (被告の主張)高齢者が本件各会館に出向いて他の高齢者との親睦を深めながら好きな歌を大きな声で歌うことは,高齢者のひきこもりや地域社会からの孤立を防止するという意味で,高齢者の健康維持等の高齢者福祉にとって必要かつ有益である。したがって,本件カラオケ事業には公益上の必要性があるといえ,同事業に本件カラオケ補助金を使用したことは,補助金の不適正使用には当たらない。 ウ営利を目的とする活動への補助金の使用の有無(原告らの主張) - 10 -カラオケの集いの参加者は,本件地活協に対し,カラオケ情報料の半額を負担しているのみならず,本件各会館に対し,本件カラオケ機器を利用するために,会館使用料を支払っている。すなわち,本件地活協が本件各会館の通信カラオケ機器等を利用しているのではなく,本件地活協 額を負担しているのみならず,本件各会館に対し,本件カラオケ機器を利用するために,会館使用料を支払っている。すなわち,本件地活協が本件各会館の通信カラオケ機器等を利用しているのではなく,本件地活協がその計算で本件各会館及び本件カラオケ機器を借りて運営しているのであるから,本件カラオケ事業は,本件地活協が営利活動としてカラオケ事業を行っているものである。そして,交付基準要綱は,補助金交付の条件として営利を目的とする活動を禁じているから(4条1項6号ア),営利活動である本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用することは,補助金の不適正使用に当たる。 (被告の主張)本件各会館は,本件カラオケ事業について,本件カラオケ機器の使用料等を徴収しておらず,単に一般的な居室使用料を徴収しているにすぎない。さらに,本件各会館の運営委員会と本件地活協とは別個の団体であるから,たとい上記運営委員会の委員長と本件地活協の会長とが同一人物であったとしても,本件各会館が居室使用料を徴収していたことをもって,本件地活協が収益を得ていたとか,本件各会館の利益を図る目的を有していたとみることはできない。したがって,本件カラオケ事業は営利を目的とする活動には該当しない。 エ著作権法に反する違法な活動への補助金の使用の有無(原告らの主張)(ア) 著作権法に反する違法な活動への補助金の使用は補助金の不適正使用に当たること違法行為に本件カラオケ補助金を支出することは,公益性に反しているから,地方自治法232条の2の定める「公益上の必要がある場合」に含まれないことは明らかであり,本件補助金の交付目的に反した不適 - 11 -正使用に当たる。 (イ) 本件地活協が音楽著作物の利用主体であること本件地活協 の必要がある場合」に含まれないことは明らかであり,本件補助金の交付目的に反した不適 - 11 -正使用に当たる。 (イ) 本件地活協が音楽著作物の利用主体であること本件地活協は,カラオケの集いの本件各会館の使用料を負担し,さらに,老人会と共同して本件カラオケ機器のカラオケ情報料を負担していたこと,本件地活協の会長であるBがカラオケ代行業者であるJから発行されたカラオケ情報料等の領収証を管理していたこと,本件地活協の年間行事カレンダーにはカラオケの集いが紹介されており,カラオケの集いの参加者は,本件地活協の構成団体である老人クラブ連絡会の会員であったことなどからすると,本件地活協がその計算において本件各会館及び本件カラオケ機器を借り受けて,カラオケの集いを主催,運営し,本件地活協の会長であるBがこれを「管理・支配」していたことは明らかである。また,本件カラオケ事業については,本件各会館が使用料を徴収しているところ,会館使用料は本件カラオケ機器を利用することの対価として徴収するものであるから,カラオケの集いは本件各会館に収益を生じさせるものである。そして,本件各会館の運営委員会の委員長は本件地活協の会長であるBであるから,Bは上記のとおりカラオケの集いによって本件各会館に収益が生じることを十分認識していたものといえ,本件各会館に利益を帰属させるものといえる。 そうすると,本件地活協は,日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)に対し,音楽著作物であるカラオケ楽曲の利用許諾契約を締結して使用料を支払う必要があるのに,これを支払うことなく,本件カラオケ機器によりカラオケ楽曲を利用し,カラオケの集いの参加者に歌唱させて,カラオケの集いを運営していたのであるから,本件地活協が,無断で音楽著作物であるカラオケ楽曲 ,これを支払うことなく,本件カラオケ機器によりカラオケ楽曲を利用し,カラオケの集いの参加者に歌唱させて,カラオケの集いを運営していたのであるから,本件地活協が,無断で音楽著作物であるカラオケ楽曲を利用し,その著作権者の演奏権を侵害したことは明らかである。 (ウ) 著作権法38条1項所定の非営利演奏に当たらないこと - 12 -被告は,仮に本件地活協による演奏権侵害が認められるとしても,カラオケの集いにおけるカラオケ楽曲の演奏については,著作権法38条1項所定の非営利演奏として,その違法性が阻却される旨主張する。しかし,本件カラオケ事業については,本件各会館の運営委員会が会館使用料を徴収しており,本件各会館に収益が生じる構造となっているから,著作権法38条1項所定の非営利の要件を満たさない。また,カラオケの集いの参加者は本件各会館の使用料に加えてカラオケ情報料を負担しているから,本件カラオケ事業は有料であり,無料の要件も満たさない。 したがって,カラオケの集いにおけるカラオケ楽曲の利用について,同項が適用される余地はない。 (被告の主張)(ア) 著作権法に反する活動への補助金の使用が直ちに補助金の不適正使用に当たるものではないこと原告は,本件地活協がJASRACに楽曲の使用料を支払わずにカラオケ機器で楽曲を再生したことが著作権者の演奏権を侵害するなどと主張する。しかし,演奏権侵害の主体の問題はさておき,仮に演奏権侵害があったとしても,JASRACに対し上記使用料を支払えば足りることであり,その支払がないからといって,本件カラオケ補助金の使用が公益性の要件に反して違法無効になるとはいえない。 (イ) 本件地活協は音楽著作物の利用主体ではないこと本件地活協は,本件カラオケ とであり,その支払がないからといって,本件カラオケ補助金の使用が公益性の要件に反して違法無効になるとはいえない。 (イ) 本件地活協は音楽著作物の利用主体ではないこと本件地活協は,本件カラオケ機器の維持管理や操作に無関係であるばかりか,老人会が主催する毎回のカラオケの集いには全く関与していないから,本件地活協が,カラオケの集いにおけるカラオケ楽曲の再生や参加者による歌唱を「管理・支配」していたと評価することは到底できない。そして,本件カラオケ事業は,本件補助金の交付との関連で,カラオケ事業という名称が用いられているにすぎないし,原告が挙げる理 - 13 -由はいずれも,本件地活協がカラオケの集いを「管理・支配」していたことを根拠付けるものとはいえない。また,本件地活協の役割は,本件各会館の使用料を負担するほか,老人会の負担額を超えるカラオケ情報料が発生した場合に老人会との取決めに従って資金援助をするというものであるから,本件地活協にカラオケの集いにおけるカラオケ楽曲の再生や歌唱による「営業上の利益の帰属」があるとみる余地は全くない。 したがって,本件地活協が音楽著作物であるカラオケ楽曲を利用し,その著作権者の演奏権を侵害したといえないことは明らかである。 (ウ) 著作権法38条1項所定の非営利演奏に当たること仮に本件地活協が音楽著作物であるカラオケ楽曲の演奏権を侵害したと評価されたとしても,カラオケの集いにおけるカラオケ楽曲の利用については,著作権法38条1項(非営利演奏)が適用され,演奏権侵害の違法性が阻却される。すなわち,同項は,公表された著作物は,①非営利で,②無料かつ③無報酬の場合には,公に演奏することができる旨規定する。しかし,本件では,③無報酬であることに争いはなく,①本件地活協の会長であ れる。すなわち,同項は,公表された著作物は,①非営利で,②無料かつ③無報酬の場合には,公に演奏することができる旨規定する。しかし,本件では,③無報酬であることに争いはなく,①本件地活協の会長であるBに本件各会館の利益を図る思いがあったとしても,本件地活協に営業上の利益を図る目的があったことにはならないし,②本件地活協がカラオケの集いによってカラオケ情報料や本件各会館の使用料等の料金を得ていないことは明白である。したがって,仮に演奏権侵害と評価されるとしても,同項により違法性が阻却される。 オ申請対象外の活動への補助金の利用の有無(原告らの主張)本件地活協は,本件補助金の申請時には,本件カラオケ事業の会館使用料のみ経費として計上し,カラオケ情報料を計上していないから,カラオケ情報料は,本件補助金の申請対象ではなく,本件交付決定等の手続においてもその適否について判断は行われていない。また,本件地活協が,意 - 14 -図的に虚偽の内容を含む申請書類を提出して本件補助金の交付を不正に申請している上,被告は,本件地活協とJの間の契約の内容が明らかではなく,Jから本件地活協に発行された領収証に記載されている金額が適正かどうかも確認されていないのに,上記領収書の存在とカラオケの集いが実施されたことのみをもって,本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用することを是認し,本件補助金の額を確定させている。そうすると,カラオケ情報料については,公金を支出することについて相当性が明らかでない用途について公金が支出された状況にあるのであり,このような理由のない公金の支出が公益に反することは明らかである。したがって,本件地活協がカラオケ情報料に本件カラオケ補助金を使用したことは,被告が主張する「軽微な変更」には該当せず,補 のであり,このような理由のない公金の支出が公益に反することは明らかである。したがって,本件地活協がカラオケ情報料に本件カラオケ補助金を使用したことは,被告が主張する「軽微な変更」には該当せず,補助金の不適正使用に当たる。 (被告の主張)本件地活協が本件補助金の申請時に被告に提出した「地域福祉活動推進事業」の事業別実施計画書には,カラオケ情報料は記載されていなかったものの,上記実施計画書(乙7の13頁及び14頁)の記載によれば,同事業の「生きがい・仲間づくり活動」,「生涯学習や唄,習い事,健康体操等」の住民交流として本件各会館が使用されることが期待されていた。 また,同事業の事業別収支予算書(乙7の15頁)では,「生きがい・仲間づくり活動」に関し,「各種学習会,唄会,寺子屋ほか」として本件各会館の使用料が計上されていたのであるから,本件カラオケ事業は,上記「唄」及び「唄会」と同一かこれに含まれるものと解される。そうすると,本件カラオケ事業は,本件補助金の申請当初から予定されていた「生きがい・仲間づくり活動」に含まれるから,地域福祉活動推進事業の目的に変更はなく,本件要綱7条1項の「軽微な変更」に該当し,同項が規定する市長の承認が必要な場合には当たらない。したがって,本件地活協が本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用したことは,補助金の不適正使 - 15 -用には当たらない。 ⑵ 大阪市の本件地活協に対する請求権の成否ア補助金等返還請求権(主位的請求)の成否(原告らの主張)補助金が不適正使用された場合において,合理的な理由なくその返還を求めないことは,補助金交付決定の取消しの有無にかかわらず,地方自治法242条1項所定の「財産」に属する補助金返還請求権の管理を怠る行為に該当する。そして た場合において,合理的な理由なくその返還を求めないことは,補助金交付決定の取消しの有無にかかわらず,地方自治法242条1項所定の「財産」に属する補助金返還請求権の管理を怠る行為に該当する。そして,本件要綱及び本件規則の規定上,補助金交付決定の取消しを行うことは補助金の返還を求めるための手続的要件にすぎないし,補助金交付決定の取消しの有無は,補助金の返還を求めるべきかどうかの判断を左右するものではない。したがって,補助金交付決定の取消決定がされる前の時点においても,実質的には補助金返還請求権が存在していると解することに支障はなく,補助金が不適正使用された時点において,本件要綱15条又は本件規則18条に基づく補助金等返還請求権が発生する。また,大阪市は,本件地活協に対し,本件要綱16条1項及び本件規則19条1項に基づき,本件カラオケ補助金の受領の日から納付の日までの日数に応じて,本件カラオケ補助金の額につき年10.95パーセントの割合で計算した加算金を請求することができる。 (被告の主張)原告らは,本件地活協が本件カラオケ補助金を不適正使用した時点で,大阪市の本件地活協に対する本件要綱15条又は本件規則18条に基づく補助金等返還請求権が発生すると主張するが,通常,地域活動協議会が,補助金を何に使用したかは,補助事業者の実績報告書の提出を待って初めて確定するのであるから(本件要綱11条,12条),それ以前に上記請求権が発生するとは考えられない。そして,仮に補助金の額の確定手続より前に,地域活動協議会が補助金を不適正使用したことが明らかになった - 16 -場合は,それが「不適切な会計処理を行ったとき」に該当すれば,大阪市は,補助金の交付決定を取り消した上で,当該補助金の返還を求めることができるから(本件要綱14条,15条) なった - 16 -場合は,それが「不適切な会計処理を行ったとき」に該当すれば,大阪市は,補助金の交付決定を取り消した上で,当該補助金の返還を求めることができるから(本件要綱14条,15条),上記のとおり解釈しても何ら不都合はない。なお,原告らは,附帯請求として,本件交付決定の取消しを経なくとも本件要綱16条1項又は本件規則19条1項に基づく加算金請求ができる旨主張するが,上記取消しを経ずに上記加算金を請求することはできない。 イ不当利得返還請求権(予備的請求ア)の成否(原告らの主張)(ア) 法律上の原因の有無上記⑵ア(原告らの主張)のとおり,本件交付決定の取消決定がされる前であっても,補助金が不適正使用された時点において,「法律上の原因」がないものとして,民法703条に基づく不当利得返還請求権が発生する。 (イ) 利得の有無及びその額上記⑴(原告らの主張)のとおり,本件カラオケ補助金を本件カラオケ事業に使用したことは補助金の不適正使用に当たり,その部分は本件地活協の不正な利得となる。もっとも,本件交付決定の一部取消しにより,本件地活協から大阪市に本件補助金の一部が返還されており,本件地活協の利得の額は,上記返還部分を控除した残額(本件カラオケ補助金)の56万5747円となる。また,本件地活協は悪意の受益者であるから,大阪市は,本件地活協に対し,民法704条に基づく遅延利息を請求することができる。 (被告の主張)(ア) 法律上の原因の有無上記⑵ア(被告の主張)のとおり,不当利得返還請求権が,本件実績 - 17 -報告書が提出されるより前に発生するとは考えられない。 (イ) 利得の有無及びその額いずれも争う。 ウ不法行為に基づく損害賠償請求権(予備的請求イ)の成否 - 17 -報告書が提出されるより前に発生するとは考えられない。 (イ) 利得の有無及びその額いずれも争う。 ウ不法行為に基づく損害賠償請求権(予備的請求イ)の成否(原告らの主張)(ア) 本件補助金の申請行為の不法行為該当性本件地活協は,本件補助金の申請時において,本件補助金をカラオケ情報料に使用するつもりであったにもかかわらず,あえてその意思があることを隠し,本件補助金の申請書には専ら本件各会館の使用料のみを記載して,大阪市に本件補助金を概算払により交付させ,上記申請の対象外であったカラオケ情報料に本件カラオケ補助金を使用した。そして,本件地活協の会長であるBがこれを認識していたことは明らかであるから,故意による上記の虚偽の申請行為につき,不法行為が成立する。 (イ) 本件実績報告書の提出行為の不法行為該当性本件地活協は,本件補助金の精算段階において,突如として本件補助金の申請時には計上していなかったカラオケ情報料を経費として記載した本件実績報告書を被告に提出した。そして,①本件地活協の会長であるBは,平成28年7月8日にα区役所職員によるカラオケ機器の不正使用に関する調査を受けた際,同調査の対象は平成25年度に本件各会館に設置されたカラオケ機器であったにもかかわらず,あえて平成27年5月1日以降に設置されたカラオケ機器を提供し,平成25年度に設置されたカラオケ機器の不正使用を隠蔽したこと,②本件地活協は,平成25年9月まで本件カラオケ機器を確実に保有,使用しており,カラオケ情報料が発生していないことを知り得る立場にあったこと,③カラオケ情報料が発生していないことが明らかになった現在においても,Jに対しカラオケ情報料の返還を求めずにその関係を継続していることな - が発生していないことを知り得る立場にあったこと,③カラオケ情報料が発生していないことが明らかになった現在においても,Jに対しカラオケ情報料の返還を求めずにその関係を継続していることな - 18 -どからすると,本件地活協は,Jが本件カラオケ機器を不正使用しており,カラオケ情報料を通信カラオケメーカーに対して支払っていないことを認識していたというべきである。にもかかわらず,本件地活協は,発生していないカラオケ情報料を本件カラオケ事業の経費として計上し,本件カラオケ補助金を充当した旨の実績報告をした。したがって,本件地活協とJは,共謀して,被告に対し本件実績報告書を提出して,虚偽の内容の補助金充当実績を報告し,大阪市からカラオケ情報料相当額を詐取したのであるから,上記報告書を提出した行為につき,不法行為が成立する。 (被告の主張)(ア) 本件補助金の申請行為の不法行為該当性上記⑴(被告の主張)のとおり,本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用したことは補助金の不適正使用に当たらないから,原告らの主張は前提を欠いている。 (イ) 本件実績報告書の提出行為の不法行為該当性上記のとおり,本件地活協が本件カラオケ事業に本件カラオケ補助金を使用したことは補助金の不適正使用に当たらない。また,原告らは,本件地活協は,Jがカラオケ情報料を支払っていなかったことを知っていたなどと述べるが,その根拠はいずれも本件地活協のかかる認識を推認させるに足る事情とはいえず,憶測でしかない。また,カラオケ情報料の支払に関する事情は,通信カラオケ機器やカラオケ業界の仕組みに精通していて初めて理解できることであるから,そのような事情に精通していない本件地活協の会長のBが,Jによるカラオケ情報料の未払を認識していたとは考え 情は,通信カラオケ機器やカラオケ業界の仕組みに精通していて初めて理解できることであるから,そのような事情に精通していない本件地活協の会長のBが,Jによるカラオケ情報料の未払を認識していたとは考えられないし,認識していなかったことに過失があったともいえない。 第3 当裁判所の判断 - 19 - 1 争点⑴ア(カラオケ情報料の支払債務及び支出の存否等)について⑴ 原告らは,①そもそも回線契約がなくカラオケ情報料の支払債務は発生していない,②本件地活協及び老人会からJに対しカラオケ情報料が支払われていない,③Jから通信カラオケメーカーに対しカラオケ情報料が支払われていないと主張して,カラオケ情報料に本件カラオケ補助金を充てることは不適正使用に該当する旨主張する。 ⑵ そこで検討するに,証人Jは,要旨,平成10年頃からKの屋号でカラオケ代行事業(カラオケ機器のリース,通信カラオケメーカーとの契約代行業務等)を営んでいたこと,本件カラオケ機器の平成25年4月分から平成26年3月分までのカラオケ情報料については,集金担当のL,M又はNから受領しており,Bから直接もらうことはあまりなく,「A地域活動協議会文化会館」又は「A地域活動協議会西部会館」宛ての領収証を発行していた,受領した代金については,バッテリー交換等に要する必要経費を控除した後,代理店(ディーラー)であるOことPに対し,平成25年4月分から同年9月分までのDAM-G50Ⅱのカラオケ情報料として月額約9000円プラス消費税を支払い,同年10月分から平成26年3月分までのDAM-G100のカラオケ情報料として月額1万0800円を支払った,Pに上記カラオケ情報料を支払うことにより,Pから本件カラオケ機器のデータ更新に必要なパスワードを交付してもらい,本件カラオケ機器にそのパスワ 00のカラオケ情報料として月額1万0800円を支払った,Pに上記カラオケ情報料を支払うことにより,Pから本件カラオケ機器のデータ更新に必要なパスワードを交付してもらい,本件カラオケ機器にそのパスワードを入力することによって毎月のデータ更新を行っており,仮にPへの支払を怠った場合には,パスワードが交付されず,自動的に本件カラオケ機器にロックがかかり,データ更新をすることができなくなるなどと供述する。 証人Jの上記供述は,関係者の氏名を特定して供述するなど,その内容は具体的で特に不自然な点は見当たらない。また,上記供述は,「地域活動協議会文化会館」及び「地域活動協議会西部会館」を名宛人とする,平成25年4月分から同年9月分までのDAM-G50Ⅱのカラオケ情報料として合 - 20 -計16万3800円(文化会館及び西部会館につき各月額1万3650円の6か月分),同年10月分から平成26年3月分までのDAM-G100のカラオケ情報料として合計22万6800円(文化会館及び西部会館につき各月額1万8900円の6か月分)をそれぞれ受領した旨のJ名義の領収証が存在すること(乙8),当時の本件カラオケ機器のカラオケ情報料の相場は,DAM-G50Ⅱにつき1万3000円程度,DAM-G100につき1万8000円程度であり(乙30),上記各領収証記載の金額と近似していること,株式会社第一興商の第一次販売店である株式会社ワキタが,調査嘱託に対し,本件カラオケ事業が行われた平成25年4月から平成26年3月までの期間を含む「平成21年11月から平成27年1月」までの間,本件各会館に設置されたDAM-G100について,「10,000円(税別・月額)」のカラオケ情報料が支払われており(甲23の6項,7項),その支払を行った者は「P(屋号Q)」である旨回答して の間,本件各会館に設置されたDAM-G100について,「10,000円(税別・月額)」のカラオケ情報料が支払われており(甲23の6項,7項),その支払を行った者は「P(屋号Q)」である旨回答していること(甲23の8項)などの客観証拠等にも整合している。また,仮に本件カラオケ機器に係るカラオケ情報料が通信カラオケメーカーに支払われなかった場合には,新譜楽曲は配信されない上,旧譜も含めて本件カラオケ機器を使用することができない状態となるが(乙17,30),平成25年4月から平成26年3月までの期間において本件カラオケ機器を使用することができなくなったことはなかったこと(弁論の全趣旨)からすると,証人Jの上記供述は,事実経過とも符合しており,信用することができる。 したがって,証人Jの上記供述によれば,本件地活協又は老人会の関係者が,カラオケ代行事業を営むJに対し,平成25年4月分から平成26年3月分までの本件カラオケ機器に係るカラオケ情報料を支払ったこと,Jは,必要経費等を控除した上,Pに対し上記カラオケ情報料を支払ったこと,Pは,株式会社ワキタ等の代理店を介して,通信カラオケメーカーに本件カラオケ機器に係るカラオケ情報料を支払ったことが認められる。 - 21 -⑶ これに対し,原告らは,本件カラオケ機器に係るカラオケ情報料は支払われていないなどと主張するので,以下検討する。 ア原告らは,本件カラオケ機器のカラオケ情報料のうち17万8500円については,老人会からJに支払われたものとして本件交付決定が一部取り消されていること,平成25年4月分から平成26年3月分までのカラオケ情報料の合計39万0600円のうち,どの部分が上記の取り消された部分に該当するかが明らかではないことを挙げて,Jが発行した領収証全体(甲8)につき信用 5年4月分から平成26年3月分までのカラオケ情報料の合計39万0600円のうち,どの部分が上記の取り消された部分に該当するかが明らかではないことを挙げて,Jが発行した領収証全体(甲8)につき信用性がなく,本件地活協及び老人会からJに上記支払があった事実が認められないなどと主張する。 しかし,本件交付決定が一部取り消されたからといって直ちに領収証の全てにつき信用性がなくなるものとはいえないし,上記⑵で説示したとおり,関係者からカラオケ情報料の支払を受けた旨の証人Jの供述は,その内容において具体的で特に不自然な点はなく,領収証以外の客観証拠等によっても裏付けられていることからすると,Jが発行した領収証が虚偽の事実を記載したものであるなどとは認められない。また,老人会が負担した17万8500円が,平成25年4月から平成26年3月までのカラオケ情報料のどの部分に該当するか,その具体的な内訳が明らかになっていないからといって,カラオケ情報料の支払の有無に関する上記⑵の認定が左右されるともいえない。 イまた,原告らは,Jは通信カラオケメーカーとの間で一つの回線契約を締結して複数のカラオケ機器のカラオケデータの更新を行うなどの方法により本件カラオケ機器を不正に使用していたことが疑われ,カラオケ機器ごとに回線契約を締結した場合との差額部分については通信カラオケメーカーにカラオケ情報料が支払われていない可能性がある旨主張する。 しかし,原告らの上記主張を裏付ける的確な証拠は見当たらない上,仮にJが一部のカラオケ機器について回線契約を締結せず,カラオケ情報料 - 22 -の一部を不正に利得していたとしても,Jと通信カラオケメーカーとの間で解決されるべき問題であり,本件地活協又は老人会がJに支払ったカラオケ情報料が本件カラオケ事業のために必要 報料 - 22 -の一部を不正に利得していたとしても,Jと通信カラオケメーカーとの間で解決されるべき問題であり,本件地活協又は老人会がJに支払ったカラオケ情報料が本件カラオケ事業のために必要な経費であったことが否定されるものではない。 ⑷ 以上によれば,①そもそも回線契約がなくカラオケ情報料の支払債務は発生していない,②本件地活協及び老人会からJに対しカラオケ情報料が支払われていない,③Jから通信カラオケメーカーに対しカラオケ情報料が支払われていないとの原告らの主張(上記(1))は,そのような事実が認められないから,いずれも採用することができない。 2 争点⑴イ(公益上の必要性がない活動への補助金の使用の有無)について原告らは,カラオケは単なる娯楽にすぎず,カラオケが好きな一部の地域住民が遊興にふけることは,「公益上必要がある場合」(地方自治法232条の2)には当たらないから,このような活動に本件カラオケ補助金を使用することは不適正使用となる旨主張する。 そこで検討するに,本件要綱は,大阪市α区地域活動協議会補助金の対象となる市民活動の分野として,「福祉,健康」を挙げているところ(本件要綱2条1項),本件カラオケ事業を含む地域福祉活動推進事業の目的は,「人々が安心して暮らせるまちづくりを目指す体制作りと支援活動を通じて地域住民の福祉の向上を図ること」(乙7)であったことが認められる。そして,老人会の会員などの地域住民が本件各会館に集い,本件カラオケ機器を利用して歌唱することは,地域住民のつながりを深め,高齢者のひきこもりや孤独死を予防する効果も期待し得るなど,地域住民の健康及び福祉の保持増進に寄与するものといえるから,本件カラオケ事業には公益性があると認められ,これに本件カラオケ補助金を使用することは許されるとい 孤独死を予防する効果も期待し得るなど,地域住民の健康及び福祉の保持増進に寄与するものといえるから,本件カラオケ事業には公益性があると認められ,これに本件カラオケ補助金を使用することは許されるというべきである。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 3 争点⑴ウ(営利を目的とする活動への補助金の使用の有無)について - 23 -原告らは,本件各会館はカラオケの集いの参加者から本件カラオケ機器の使用料を徴収しているから,本件カラオケ事業は,交付基準要綱が補助金の使用を禁止する「営利を目的とする活動」(同要綱4条1項6号ア)に該当する旨主張する。 しかし,本件各会館が徴収していたのは会館の使用料であり,本件各会館(運営委員会)と本件地活協とは異なる団体であるから,仮に本件各会館が本件カラオケ機器の使用料を徴収していたとしても,そのことにより本件地活協にその利益が帰属するものではないし,本件地活協は,カラオケの集いにおいて,個々の参加者から本件各会館の使用料やカラオケ情報料等の料金を徴収しておらず(弁論の全趣旨),むしろ本件各会館の使用料を負担するとともに,老人会と共同してカラオケ情報料の一部を負担していたのであって(甲3,4,乙28,証人B),カラオケの集いにより利益を得ていないことは明らかである。 したがって,本件カラオケ事業が営利を目的とする活動であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用することができない。 4 争点⑴エ(著作権法に反する違法な活動への補助金の使用の有無)について⑴ 原告らは,本件地活協は,本件カラオケ事業の実施に当たり,カラオケの集いを管理・支配し,カラオケの集いの参加者から会館使用料を徴収するなどして営業上の利益を得て楽曲を利用しているにもかかわらず,JASRACに対し 活協は,本件カラオケ事業の実施に当たり,カラオケの集いを管理・支配し,カラオケの集いの参加者から会館使用料を徴収するなどして営業上の利益を得て楽曲を利用しているにもかかわらず,JASRACに対し楽曲の使用料を支払っていないから,著作権者の演奏権を侵害しているとして,このような違法な活動に本件カラオケ補助金を使用することは許されない旨主張する。 ⑵ そこで検討するに,証拠(乙8,27,28,証人B)によれば,本件地活協は,カラオケの集いの開催場所である本件各会館の使用料を負担し,老人会と共同してカラオケ情報料の一部を負担するなど,本件地活協がカラオケの集いの運営にある程度関与していたことは否定し難い。しかし,その関与のあり方は,専らカラオケの集いを経済的に支援するものにとどまるとい - 24 -うべきであるし,全証拠を通覧しても,本件地活協が,カラオケの集いの参加者から入場料その他の名目で料金を徴収していたことをうかがわせる事情は見当たらないから,本件地活協にカラオケの集いによる営業上の利益が帰属していたとは認められない。また,上記3で説示したとおり,本件カラオケ事業は営利を目的とした活動には当たらない上,カラオケの集いの参加者に対して報酬等が支払われたことはなく,無報酬であったことに争いはない。 そうすると,本件地活協がカラオケ楽曲の利用主体として著作権者の演奏権を侵害したとは認められないし,仮に本件地活協が楽曲を利用し著作権者の演奏権を侵害していたとしても,カラオケの集いは非営利の活動で,無料かつ無報酬であるから,著作権法38条1項所定の非営利演奏に当たり,その違法性が阻却されるといえる。したがって,本件カラオケ事業が著作権法に反する違法な活動であったとは認められない。 ⑶ これに対し,原告らは,本件地活協がカラオケ 項所定の非営利演奏に当たり,その違法性が阻却されるといえる。したがって,本件カラオケ事業が著作権法に反する違法な活動であったとは認められない。 ⑶ これに対し,原告らは,本件地活協がカラオケ情報料の一部を負担し,本件地活協の会長であるBがJから受け取った領収証を保管していたこと,カラオケの集いの参加者は主に本件地活協の構成団体である老人クラブ連絡会に所属する老人会の会員らであったこと,本件地活協の年間行事カレンダーにカラオケの集いが紹介されていたことなどを理由に,本件地活協がカラオケの集いを「管理・支配」していたと主張し,また本件各会館がカラオケの集いの際の会館使用料を徴収していることを理由に,本件カラオケ事業による利益が本件地活協に帰属すると主張する。 しかし,これらの事情は,本件地活協がカラオケ楽曲の利用主体ではないとする上記認定を覆すに足りるものとはいえない。また,上記⑵で説示したとおり,カラオケの集いにおける楽曲の利用は著作権法38条1項所定の非営利演奏としてその違法性が阻却されるというべきである。原告らの上記主張は採用することができない。 また,原告らは,著作権法38条1項の適用に関し,本件各会館が会館使 - 25 -用料を徴収しているから,非営利の要件を満たさないとか,カラオケの集いの参加者が本件各会館の使用料やカラオケ情報料の一部を負担しているからカラオケの集いは有料であり,無料の要件を満たさないなどと主張する。 しかし,上記3で説示したとおり,本件各会館が使用料を徴収していることをもって,本件地活協にその利益が帰属しているとみることはできず,非営利の要件を満たさないとはいえない。また,上記3で認定したとおり,本件地活協がカラオケの集いの参加者から本件各会館の使用料やカラオケ情報料 本件地活協にその利益が帰属しているとみることはできず,非営利の要件を満たさないとはいえない。また,上記3で認定したとおり,本件地活協がカラオケの集いの参加者から本件各会館の使用料やカラオケ情報料を徴収したことをうかがわせる証拠は見当たらず,無料の要件を満たさないとはいえない。 ⑷ したがって,著作権法に反する違法な活動に本件カラオケ補助金が不適正使用されたとの原告らの主張は,その前提を誤るものであって採用することができない。 5 争点⑴オ(申請対象外の活動への補助金の使用の有無)について⑴ 原告らは,本件地活協は本件補助金の申請時にカラオケ情報料を計上していなかったにもかかわらず,カラオケ情報料に本件カラオケ補助金を使用したことは,補助金の不適正使用に該当する旨主張する。 ⑵ そこで検討するに,証拠(乙7)によれば,本件補助金の申請書に添付されている事業別実施計画書には,「地域福祉活動推進事業」の活動内容として,「⑶生きがいづくり・健康づくりに関する活動」,「生きがい・仲間づくり活動」と記載され,「生涯学習や唄」などのために文化会館,西部会館及びRを各年間260日開放する旨,「その他」として,「高齢者カラオケ大会」を年1回開催する旨記載されていたこと,本件補助金の申請書に添付された事業別収支予算書には,上記「生きがい・仲間づくり活動で記載分(各種学習会,唄会,寺子屋ほか)」の文化会館,西部会館及びRの使用料として各26万円が計上されていたことが認められる。また,証拠(乙8)によれば,補助事業の完了後に提出された本件実績報告書には,地域福祉活動推 - 26 -進事業の一環として実施した本件カラオケ事業の経費として,カラオケ情報料及び本件各会館の使用料が計上されていたことが認められる。 ⑶ 上記認定事実によれば,確かに,本件 福祉活動推 - 26 -進事業の一環として実施した本件カラオケ事業の経費として,カラオケ情報料及び本件各会館の使用料が計上されていたことが認められる。 ⑶ 上記認定事実によれば,確かに,本件補助金の申請書及びその添付書類には,本件カラオケ事業やカラオケ情報料は明示的には記載されていない。しかし,本件カラオケ事業は,本件補助金の申請書に添付された事業別実施計画書の「唄」や事業別収支予算書の「唄会」に含まれると解し得るものである。また,本件カラオケ事業は,上記2で説示したとおり,地域住民の健康及び福祉の保持増進に寄与するものであるから,上記のように解したからといって,「唄」「唄会」を含む「生きがいづくり・健康づくりに関する活動」の目的の変更を伴うものともいえない。そうすると,カラオケ情報料に本件カラオケ補助金を使用することは,補助事業の目的に変更が伴わない「交付決定額内での事業間の予算流用」にとどまるものと評価することができ,補助事業の変更につき市長の承認を要しない「軽微な変更」(本件要綱7条2項2号)に該当すると認められるから,補助金の不適正使用には当たらないというべきである。 ⑷ これに対し,原告らは,本件地活協は意図的に虚偽の内容を含む申請書類を提出し本件補助金を不正に取得したなどと縷々述べ,補助事業の変更につき市長の承認を要しない「軽微な変更」には当たらない旨主張する。しかし,本件地活協が虚偽の内容の申請をして本件補助金を不正に取得したと認めるに足りる証拠はなく,その他の主張をみても,上記認定判断を左右するに足りるものは見当たらない。原告らの主張は採用することができない。 6 まとめ本件カラオケ補助金の額は,活動費補助金49万2100円(カラオケ情報料21万2100円・会館使用料28万0000円の合計額)及び運営費補 ない。原告らの主張は採用することができない。 6 まとめ本件カラオケ補助金の額は,活動費補助金49万2100円(カラオケ情報料21万2100円・会館使用料28万0000円の合計額)及び運営費補助金7万3647円の合計56万5747円であるところ(乙49,弁論の全趣旨),カラオケ情報料については,カラオケ代行業者であるJに支払われた3 - 27 -9万0600円から平成27年3月9日付けの本件交付決定の一部取消しに係る17万8500円を控除した21万2100円が,本件カラオケ事業のために本件地活協が負担した経費であったと認められる。また,本件各会館の使用料についても,本件カラオケ事業に関し,本件各会館が280回使用されたことが認められ(乙49),その1回の使用料が1000円であったことから,これらを乗じた28万0000円が,本件カラオケ事業のために本件地活協が負担した経費であったと認められる。なお,運営費補助金は,活動費補助金の金額に応じて交付されるものであるから(本件要綱2条7項・乙4),活動補助金とは別にその不適正使用の有無が問題となるものではない。 そうすると,本件カラオケ補助金56万5747円は,本件カラオケ事業の経費として適正に使用されたものと認められ,上記1から5までに説示したとおり,本件カラオケ補助金が不適正使用された旨の原告らの主張は,いずれも採用することができない。 したがって,原告らの主位的請求(本件要綱15条又は本件規則18条に基づく補助金等返還請求の義務付け),予備的請求ア(民法703条に基づく不当利得返還請求の義務付け)及び予備的請求イ(不法行為に基づく損害賠償請求の義務付け)は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。 7 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこ 求の義務付け)及び予備的請求イ(不法行為に基づく損害賠償請求の義務付け)は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。 主文 よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官横井真由美
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