【DRY-RUN】主 文 原判決を取り消す。 控訴人が更生会社昭和鉄工株式会社に対し、別紙目録記載の約束手形に もとずく金三五〇万円の更生債権を有することを確定する。 訴訟費用は第一
主 文 原判決を取り消す。 控訴人が更生会社昭和鉄工株式会社に対し、別紙目録記載の約束手形に もとずく金三五〇万円の更生債権を有することを確定する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 事 実 控訴代理人は主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用、認否は次のとおり付加する ほか、原判決の事実摘示と同一であるのでこれを引用する。 (控訴人の主張) 一、 本件更生事件について昭和四〇年九月一一日開かれた従前主張の更生債権 調査の一般期日において、被控訴人管財人ら出席者全員は本件更生債権を他の債権 とあわせて調査することに異議がなかつたので右期日に調査されたが、従前主張の ごとく被控訴人管財人においてその債権全額について異議を述べたのである。 二、 控訴人は従前主張のとおり昭和四〇年四月ごろから本件約束手形金の支払 いについて昭和鉄工側と連絡交渉を続けていたが、その際昭和鉄工側では常に右手 形金の支払債務があることを認めて善処する旨を言明していた。ところが、昭和鉄 工は控訴人の不知の間に同年六月ごろ更生手続開始の申立をし、同月一七日更生手 続開始決定を受けながら、従前主張のように明らかに知れたる更生債権者である控 訴人に対し公告事項等の送達をなさず、よつて控訴人をして本件更生債権の届出を する機会を逸せしめた。右はひつきよう昭和鉄工側の背信的欺罔的行為によつて右 届出が妨げられたことによるものというべく、かかる妨害のあつたことはこの場合 会社更生法第一二七条第一項の規定する届出追完の正当事由となるものと考える。 (被控訴人の主張) 一、 控訴人主張の前記一の事実を認める。 二、 同二の事実中被控訴人従前の主張に反する点は争う。 会社更生法第一二七条第一項の規定する届出追完の正当事由となるものと考える。 (被控訴人の主張) 一、 控訴人主張の前記一の事実を認める。 二、 同二の事実中被控訴人従前の主張に反する点は争う。 (あらたな証拠) 控訴代理人は甲第七ないし第一四号証を提出し、当審証人A、B、Cの各証言を 援用し、乙号各証の成立を認め、被控訴代理人は乙第一、第二号証を提出し、甲号 各証の成立を認めた。 理 由 原審証人Dの証言により成立を認める甲第一、第二号証の各一、二、同第三号証 と右証言によれば、控訴人が別紙目録記載の約束手形二通(以下本件約束手形とい う)を訴外王子重工業株式会社から昭和四〇年一月ごろ裏書により譲渡を受け、各 満期にそれぞれ支払のため支払場所に呈示したが、拒絶されたまま現にこれらを所 持していることが認められる。 次に本件約束手形の振出人である昭和鉄工株式会社(以下昭和鉄工と称する)が 昭和四〇年六月一七日横浜地方裁判所において会社更生法(以下法という)による 更生手続開始決定を受け、同年七月一日その旨官報に公告されたが、その更生債権 の届出期間は同月二〇日までと定められていたこと及び控訴人が同年九月一〇日に なつて横浜地方裁判所に本件約束手形金合計三五〇万円につき更生債権(本件更生 債権)の届出をしたところ、翌九月一一日更生債権等調査の一般期日が開かれた が、その際被控訴人管財人ら出席者全員は本件更生債権を同期日に他の債権とあわ せて調査することに異議はなかつたので、同期日に調査されたが、被控訴人管財人 においてその債権全額について異議を述べたことは、当事者間に争いがない。 そこで次に本件更生債権の確定を遮断すべき被控訴人管財人の右異議が理由があ るかどうかについて検討する。 被控訴人は右異議の事由として、まず控訴人は本件更生債 を述べたことは、当事者間に争いがない。 そこで次に本件更生債権の確定を遮断すべき被控訴人管財人の右異議が理由があ るかどうかについて検討する。 被控訴人は右異議の事由として、まず控訴人は本件更生債権を届出期間内に届出 でず、かつ届出期間内に届出でなかつたことにつきその責に帰することのできない 事由はなかつたのであるから、本件更生債権は右届出期間の経過と同時に失権した ことを主張するけれども、当裁判所は被控訴人管財人は本件更生債権に対する異議 として右のような事由を主張し得ないものと解する。その理由は次のとおりであ る。 <要旨>本件更生債権が届出期間経過後に届出でられたものであることは当事者間 に争いがなく、またこれにつきそ</要旨>の責に帰することのできない事由によつて 右届出期間内に届出をすることができなかつたものとして法第一二七条の規定によ る届出の追完を認められたものでないことは口頭弁論の全趣旨より推認されるとこ ろ、法第一三八条、第一三五条、第一三二条の各規定に徴すれば右のごとく法第一 二七条の場合によらないで届出期間経過後に届出のあつた更生債権等調査の一般期 日において管財人等所定の者の異議がないときに限りその調査をすることができる が、これらの者から調査することに異議を唱えられればもはや調査はなし得ず、し かもこれについては特別調査期日を開くことも認められないから、結局確定する術 がなく当該更生債権は失権するほかはない(届出期間の徒過が失権をもたらすのは かような経過の結果であつて、期間徒過自体によつて直ちに失権するのではな い)。しかしいつたんこれを調査することに異議がなく、一般期日において調査の 対象とすることとした以上、その調査事項はもつぱら更生手続に参与し得る者や当 該更生債権の内容、原因及びその優劣等法第一三五条の引用する法第一三二条所定 の事 ることに異議がなく、一般期日において調査の 対象とすることとした以上、その調査事項はもつぱら更生手続に参与し得る者や当 該更生債権の内容、原因及びその優劣等法第一三五条の引用する法第一三二条所定 の事項に限られるからこの場合異議の事由となり得るものもまた右調査事項に限ら れるべきである。この場合その更生債権の届出が届出期間経過後にされたかどうか はすでに右調査期日に調査するかどうかの関門で審査された前提事項であるから右 期日の調査では取上げられるべきことではない。換言すれば期間におくれて届出の あつた債権を一般期日に調査することに関係人の異議がなかつた場合は右届出のか し自体はこの段階では治癒されるのである。従つてその調査の一般期日において管 財人ら関係人が再び右債権届出の懈怠をその異議の内容とすることは許されないも のと解すべきである。そうでなければこれ右手に与えて左手に奪うものとなり、全 くの不合理に帰するからである。従つて被控訴人のこの点の主張は異議の事由とな し得ないことで失当というべきであり、かかる異議にもとずく債権確定の裁判にお いても期間経過後の届出債権であることの故をもつてこれを否定し去ることのでき ないことはいうまでもない。 また被控訴人は本件約束手形二通はいずれも昭和鉄工が王子重工業株式会社宛に 振出したいわゆる融通手形の一部であるが、右王子重工業株式会社は昭和四〇年三 月末に倒産したので、昭和鉄工は王子重工業株式会社に対し本件約束手形金の支払 いを拒絶し得るものであるところ、控訴人は右の事情を知りながらあえて本件約束 手形を取得した悪意の手形所持人であるから、昭和鉄工は控訴人に対しても本件約 束手形金の支払いを拒むことができることを主張し、被控訴人管財人が更生債権等 調査の一般期日にかような趣旨でも異議を述べたことは弁論の全趣旨から明らかで あるけれ から、昭和鉄工は控訴人に対しても本件約 束手形金の支払いを拒むことができることを主張し、被控訴人管財人が更生債権等 調査の一般期日にかような趣旨でも異議を述べたことは弁論の全趣旨から明らかで あるけれども、本件約束手形が被控訴人主張のようないわゆる融通手形であること を首肯させるに足る証拠はなく、またかりに融通手形であるとしても、振出人たる 昭和鉄工は被融通者以外の所持人たる控訴人に対しては、特段の事情の認めるべき もののない本件においては悪意であつてもその支払いを拒むことはできないと解す べきであるから、被控訴人のこの点の主張も異議の事由として理由がないといわな ければならない。 そうだとすると被控訴人管財人の異議はいずれも本件更生債権については当らな いことが明らかであるし、また被控訴人管財人が前記一般調査期日において他の異 議事由を述べた形跡も認められないのであるから、この異議を除去するため被控訴 人管財人に対し、控訴人が昭和鉄工に対し本件約束手形にもとずく合計金三五〇万 円の更生債権を有することの確定を求める本訴請求は正当であり、これを認容すべ きである。これと異なり、右請求を排斥した原判決は不当であり、取消を免れな い。 よつて民事訴訟法第三八六条、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり判決す る。 (裁判長判事 浅沼武 判事 上野正秋 判事 柏原允) 約束手形目録 (一)金 額 一五〇万円 満 期 昭和四〇年六月三日 支払地振出地 横浜市 支 払 場 所 横浜信用金庫潮田支店 振 出 日 昭和四〇年一月八日 振 出 人 昭和鉄工株式会社 受 取 人 王子重工業株式会社 (二)満 期 昭和四〇年七月三日 振 出 日 昭和四〇年一月二六日 その他の要 月八日 振 出 人 昭和鉄工株式会社 受 取 人 王子重工業株式会社 (二)満 期 昭和四〇年七月三日 振 出 日 昭和四〇年一月二六日 その他の要件は(一)と同じ
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