【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人A、同Bを各懲役二年に、被告人Cを懲役一年六月に、被告人 D、同Eを各懲役一年に各処する。 原審における未決勾留日数中、被告人Aに
主文原判決を破棄する。 被告人A、同Bを各懲役二年に、被告人Cを懲役一年六月に、被告人D、同Eを各懲役一年に各処する。 原審における未決勾留日数中、被告人Aに対し五〇〇日を、被告人Cに対し一五〇日を、被告人Bに対し三〇〇日を右各本刑に算入する。 被告人Cに対し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。 押収にかかる偽造のF名義の登記申請委任状、同抵当権設定登記申請書、同G他一名名義の保証書以上各一通(以上は、千葉地方裁判所昭和三九年押第六号の(一)、当裁判所昭和四二年押第七一一号の一)、同H名義の抵当権設定金銭消費貸借契約書一通(同押号の(三))、同同人名義の登記申請委任状、同抵当権設定登記申請書以上各一通(以上は、同押号の(四))、同I名義の登記申請委任状、同抵当権設定登記申請書以上各一通(以上は、同押号の(五))、同I名義の登記申請委任状、同土地所有権移転登記申請書以上各一通(以上は、同押号の(八))、同J名義の登記申請委任状、同土地所有権移転登記申請書以上各一通(以上は同押号の(一五))、同J名義の登記申請委任状、同土地所有権移転請求権保全仮登記申請書以上各一通(以上は、同押号の(一六))、同I、G名義の保証書、同K他五名名義の登記申請委任状以上各一通(以上は、同押号の(二〇))、同L(親権者母K)名義の登記申請委任状一通(同押号の(一九))、同M、N名義の委任状、同土地所有権移転登記申請書以上各一通(以上は、同押号の(三))はいずれもこれを没収する。 原審における訴訟費用中、昭和三九年一一月一八日出頭の証人O、同Pに各支給した分は被告人C、同B両名の連帯負担、昭和三九年八月一五日出頭の証人Q、同R、同Sに各支給した分、同年一一月一八日出頭の証人Sに支給した分、 費用中、昭和三九年一一月一八日出頭の証人O、同Pに各支給した分は被告人C、同B両名の連帯負担、昭和三九年八月一五日出頭の証人Q、同R、同Sに各支給した分、同年一一月一八日出頭の証人Sに支給した分、昭和四〇年四月三日出頭の証人Jに支給した分は被告人Aの負担、昭和四〇年四月一〇日出頭の証人Tに支給した分、同年同月二一日出頭の証人Uに支給した分(金一、二七二円)、同年同月二七日出頭の証人I、同Pに各支給した分は被告人D、同E両名の連帯負担とし、当審における訴訟費用中、証人Vに支給した分は被告人B、同D、同E三名の連帯負担とし、証人Wに支給した分は被告人Bの負担とし、証人Jに支給した分は被告人Dの負担とする。 被告人Bに対する原判示第七の(二)の(2)摘示の詐欺の事実(同被告人に対する昭和三九年一二月一九日付起訴状記載の第二の(二)の詐欺の公訴事実)につき、同被告人は無罪。 理由本件控訴の趣意は、被告人Aの弁護人桑名邦雄、被告人Cの弁護人三谷堅志、被告人B、同被告人および被告人Dの各弁護人小林勝男、被告人Eの弁護人加藤庄市の作成にかかる各控訴趣意書記載のとおりであるから、これらを引用し、これらに対し当裁判所は次のとおり判断する。 被告人Bの弁護人小林勝男の控訴趣意第二点の二および被告人Dの弁護人小林勝男の控訴趣意第二点の一について。 所論は、被告人Bに対する原判示第七の(二)の各事実につき、原判示Mの亡父X所有の二筆(一二入坪と三〇坪)を自己に領得する目的で、「坪当り一〇〇万で売買契約をすること」、「資金を出す人に見せる」ことを欺罔手段として、右Mを誤信させ、同人の印鑑証明書、委任状などを交付させ、原判示宅地一二八坪を右M名義に保存登記したうえ、右MよりNに売り渡した旨の登記に要する委任状、土地売渡証 人に見せる」ことを欺罔手段として、右Mを誤信させ、同人の印鑑証明書、委任状などを交付させ、原判示宅地一二八坪を右M名義に保存登記したうえ、右MよりNに売り渡した旨の登記に要する委任状、土地売渡証書などを偽造し、これらを登記官吏に提出し、土地登記簿の原本にその旨不実の記載をさせ、同日同所に備え付けさせて行使し、よつて右宅地一二八坪を騙取し(原判示第七の(二)の(1)の事実)、ついで、原判示宅地三〇坪につき、これを右被告人らの債権者である原判示李允王に対し、原判示債務の代物弁済として右宅地を譲渡する旨の意思表示をなし、同人を通じ、右代物弁済による所有権移転登記を前提として、登記官吏に、右宅地をMからNが買い受けたごとき売買による所有権移転登記手続をさせ、その登記を経由し、右宅地三〇坪を騙取し(原判示第七の(二)の(2)の事実)た事実ならびに被告人Dに対する原判示第五の(二)の事実につき、原判示Jの所有にかかる原判示宅地一五〇坪および原野合計五反八畝三歩について、原判示偽造の委任状二通などの文書を、原判示法務局出張所係員に対し一括提出して行使し、土地登記簿の原本にその旨不実の記載をさせ、同日同所に備え付けさせて行使し、もつて右土地を騙取した旨の事実を、それぞれ認定判示しているが、不動産売渡証書などを偽造行使して、登記官吏を欺き、自己または他人に所有権移転の登記をさせても、登記官吏は不動産を処分する権限を有しないから、詐欺罪は成立せず、したがつて、原判決の右各事実には、法令の解釈適用を誤つた違法があるという旨の主張に帰する。 <要旨>そこで、所論にもとづき、被告人Bに対する原判示第七の(二)の(1)、(2)の事実、被告人Dに対する</要旨>原判示第五の(二)の事実についてばかりでなく、なお、職権により被告人A、同Eに対する原判示第五の(二) もとづき、被告人Bに対する原判示第七の(二)の(1)、(2)の事実、被告人Dに対する</要旨>原判示第五の(二)の事実についてばかりでなく、なお、職権により被告人A、同Eに対する原判示第五の(二)の事実についても審按する。詐欺罪における騙取とは、欺罔手段により被欺岡者を錯誤におとしいれ、その錯誤にもとづく処分行為によつて、財物の占有を取得することをいい、右処分行為は、財物の占有者において、はじめてなし得るものであるから、処分権限のない者の行為を通じて占有を取得しても騙取とはいえない。すなわち、偽造の不動産売渡証書などにより欺岡された登記官吏が不動産の所有権移転の登記をなしたとしても、登記官吏はその不動産を処分する権限を有しないから、それだけでは詐欺罪は成立しない。そして、原判決が、判示第五の(二)の事実につき認定判示するところによれば、被告人A、同D、同Eは、Jから同人所有の原判示宅地一五〇坪および原野合計五反七畝三歩を担保に金一〇万円の融通方を申し込まれたのを奇貨として、右土地を騙取することを共謀したうえ、右被告人Dにおいて、右Jに対し、原判示の欺罔手段を用いて、同人を誤信させ、同人から原判示右土地の登記済権利証などの文書を交付させ、これらの文書を原判示司法書士に交付し、同司法書士をして、原判示右J名義の登記申請委任状などを作成させて偽造し、右被告人Eが右偽造の各文書を必要関係書類とともに、原判示地方法務局出張所係員に対し、真正に作成された文書のごとく装い一括提出して行使し、右出張所登記官吏をして土地登記簿の原本に、その旨不実の記載をさせ、同所に備え付けさせて行使し、もつて前記土地を騙取したというのであり、また、判示第七の(二)の(1)、(2)の事実につき認定判示するところによれば、被告人Bは、ほか一名と共謀のうえ、原判示Mに対し 同所に備え付けさせて行使し、もつて前記土地を騙取したというのであり、また、判示第七の(二)の(1)、(2)の事実につき認定判示するところによれば、被告人Bは、ほか一名と共謀のうえ、原判示Mに対し、その亡父Xの所有であつた原判示宅地二筆計一五八坪を、他に転売などして利得しようと企て、右Mに対し、原判示のような欺罔する言辞を申し向け、同人をその旨誤信させ、同人から原判示同人名義の印鑑証明書などの文書を交付させ、原判示司法書士に対し右文書を交付し右二筆の宅地を、右Xの相続人M名義に所有権保存登記手続をさせ、まず、原判示宅地一二八坪について、原判示MN名義の虚偽の委任状一通などを作成させて偽造し、右偽造の各文書を、右司法書士をして、その他の必要関係書類とともに原判示法務局係員に対し真正に作成された文書のごとく装い一括提出させて行使し、右法務局登記官吏をして、土地登記簿の原本にMから被告人Bの妻Nに対する所有権移転登記即ち不実の記載をさせ、同法務局に備え付けさせて行使し、もつて前記宅地一二八坪を騙取し、ついで、前記M名義に所有権保存登記をして入手した登記済権利証などをもちい、原判示宅地三〇坪を、原判示李允王に対し、同人から借用していた金三〇〇万円の債務の代物弁済として右土地の所有権を譲渡する旨の意思表示をなし、これらを右李允王に交付提供し、同人をして、原判示司法書士に対し前記Mの登記済権利証一通などを交付せしめ、右司法書士をして、前記代物弁済による所有権移転登記をする前提として、原判示のようなMから右Nに対する売買による所有権移転登記手続をさせ、N名義に登記を経由し、もつて前記宅地三〇坪を騙取したというのである。してみると、本論旨の冒頭に説示したとおり、本件において、本件各土地の所有権移転登記は、右所有者らの意思にもとづかず、内容虚偽の登記申 義に登記を経由し、もつて前記宅地三〇坪を騙取したというのである。してみると、本論旨の冒頭に説示したとおり、本件において、本件各土地の所有権移転登記は、右所有者らの意思にもとづかず、内容虚偽の登記申請委任状などによつて前記各登記官吏を欺いた結果なされたものにすぎず、右各登記官吏には同不動産を処分する権限も地位もないのであるから、前記被告人らの所為によつて、被告人らが、前記土地を騙取したものということはできない。そうだとすると、前記各土地に関する詐欺罪の成立を認めた原判決は、法令の解釈適用をあやまり、罪とならない事実について、右被告人らを有罪とした違法があり、これが判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に関する各論旨は理由がある。 (その余の判決理由は省略する)(裁判長判事飯田一郎判事吉川由己夫判事小川泉)
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