- 1 - 平成29年11月30日判決言渡名古屋高等裁判所平成29年(ネ)第216号,同第439号,同第482号,同第489号損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成26年(ワ)第1109号) 主文 1 控訴人らの被控訴人会社に対する本件控訴及び被控訴人Aの本件附帯控訴に基づき,原判決中,被控訴人会社及び被控訴人Aに関する部分を,次のとおり変更する。 2(1) 被控訴人会社は,控訴人Bに対し,3190万3783円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,うち27万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の限度で被控訴人Cと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の限度で被控訴人A及び被控訴人Cと連帯して)を支払え。 (2) 被控訴人会社は,控訴人Dに対し,2384万2643円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,うち27万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の限度で被控訴人Cと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の限度で被控訴人A及び被控訴人Cと連帯して)を支払え。 (3) 被控訴人Aは,控訴人Bに対し,被控訴人会社及び被控訴人Cと連帯して27万5000円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 被控訴人Aは,控訴人Dに対し,被控訴人会社及び被控訴人Cと連帯して27万5000円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 - (5) 控訴人らの 控訴人Dに対し,被控訴人会社及び被控訴人Cと連帯して27万5000円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 - (5) 控訴人らの被控訴人会社及び被控訴人Aに対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 控訴人らの被控訴人A及び被控訴人Cに対する本件控訴をいずれも棄却する。 4 被控訴人会社及び被控訴人Cの本件附帯控訴をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,控訴人らと被控訴人会社との間では,第1,2審を通じ,控訴人らに生じた費用の10分の9と被控訴人会社に生じた費用の10分の9を被控訴人会社の負担とし,控訴人ら及び被控訴人会社に生じたその余の費用は控訴人らの負担とし,控訴人らと被控訴人Aとの間では,第1,2審を通じ,控訴人らに生じた費用の100分の1と被控訴人Aに生じた費用の100分の1を被控訴人Aの負担とし,被控訴人A及び控訴人らに生じたその余の費用を控訴人らの負担とし,控訴人らと被控訴人Cとの間では,控訴費用は控訴人らの負担とし,附帯控訴費用は被控訴人Cの負担とする。 6 この判決は,主文2項(1)ないし(4)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴及び附帯控訴の趣旨 1 控訴の趣旨(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 被控訴人らは,控訴人Bに対し,連帯して3641万3914円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人らは,控訴人Dに対し,連帯して2820万7660円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被控訴人会社の附帯控訴の趣旨(1) 原判決中被控訴人会社敗訴部分を取り消す。 820万7660円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被控訴人会社の附帯控訴の趣旨(1) 原判決中被控訴人会社敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。 - 3 - 3 被控訴人Aの附帯控訴の趣旨(1) 原判決中被控訴人A敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。 4 被控訴人Cの附帯控訴の趣旨(1) 原判決中被控訴人C敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人会社に勤務していたEの父母である控訴人らが,①被控訴人会社の先輩従業員として,Eに対し指導を行うべき立場にあった被控訴人A及び被控訴人Cは,Eに対し,長期間にわたり,いじめ・パワーハラスメントを繰り返し行った,②被控訴人会社は,上記①の事態を放置した上,十分な引継ぎをすることなくEの配置転換を実施して,Eに過重な業務を担当させた,③上記①,②の結果,Eは,強い心理的負荷を受けてうつ状態に陥り,自殺するに至ったなどと主張して,被控訴人A及び被控訴人Cに対しては,民法709条に基づき,被控訴人会社に対しては,債務不履行(安全配慮義務違反),民法709条及び同法715条(選択的併合と解される)に基づき,損害賠償金(控訴人Bにおいて3641万3914円,控訴人Dにおいて2820万7660円)及びこれに対する不法行為終了の日である平成24年6月21日(Eの自殺の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原審は,(1)被控訴人Cが,①平成23年秋以降,Eに対し「てめえ。」「あ 成24年6月21日(Eの自殺の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原審は,(1)被控訴人Cが,①平成23年秋以降,Eに対し「てめえ。」「あんた,同じミスばかりして。」などと厳しい口調で叱責し,「親に出てきてもらうくらいなら,社会人としての自覚を持って自分自身もミスのないようにしっかりしてほしい。」と述べ,②Eが平成24年4月に配置転換となり営業事務に従事するようになった以降,Eを頻繁に呼び出して被控訴人Aとともに叱責していたことは,不法行為に該当する,(2)被控訴人Aは,①Eの上記配置転換後の業務遂- 4 - 行状況を踏まえて,必要に応じて,Eに対する適宜の支援を行うべき職責を負っていたが,これを怠ったことは不法行為に該当し,また,②被控訴人Cとともに行ったEに対する上記(1)②の叱責行為は不法行為に該当する,(3)被控訴人会社は,被控訴人C及び被控訴人Aの不法行為によってEが被った損害につき,使用者責任を負う,(4)被控訴人Cの上記不法行為,被控訴人Aの上記不法行為及び配置転換後のEの業務の負担が,Eの自殺の原因であったとまで認めることはできず,仮に,これらの点がEの自殺の原因であったとしても,被控訴人らにその予見可能性があったとは認められないから,被控訴人らの不法行為と相当因果関係のある損害は,Eが上記不法行為自体によって被った精神的苦痛に対する慰謝料に限られる,(5)①被控訴人Cの上記(1)①の不法行為については,被控訴人C及び被控訴人会社が連帯して損害賠償責任を負い,②被控訴人Cの上記(1)②及び被控訴人Aの上記(2)②の不法行為については,被控訴人らが連帯して損害賠償責任を負い,③被控訴人Aの上記(2)①の不法行為については,被控訴人A及び被控訴人会社が連帯し 控訴人Cの上記(1)②及び被控訴人Aの上記(2)②の不法行為については,被控訴人らが連帯して損害賠償責任を負い,③被控訴人Aの上記(2)①の不法行為については,被控訴人A及び被控訴人会社が連帯して損害賠償責任を負う,(6)上記(5)①ないし③の各不法行為によってEが被った精神的苦痛に対する慰謝料額は,各50万円(合計150万円)とするのが相当であり,控訴人らは,これを2分の1ずつ相続し,弁護士費用は,上記(5)①ないし③の各不法行為につき各5万円の合計15万円(各控訴人7万5000円ずつ)が相当であるとして,(7)①被控訴人会社に対しては,控訴人らに各82万5000円及びこれに対する平成24年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,うち27万5000円及びこれに対する上記遅延損害金の限度で被控訴人A及び被控訴人Cと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人Aと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人Cと連帯して)をそれぞれ支払うよう命じ,②被控訴人Aに対しては,控訴人らに各55万円及びこれに対する同遅延損害金(ただし,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人C及び被控訴人会社と連帯して,うち2- 5 - 7万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人会社と連帯して)をそれぞれ支払うよう命じ,③被控訴人Cに対しては,控訴人らに各55万円及びこれに対する同遅延損害金(ただし,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人会社及び被控訴人Aと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人会社と連帯して)をそれぞれ支払うよう命じた。 そこで,控訴人らが控訴するとともに, 金の限度で被控訴人会社及び被控訴人Aと連帯して,うち27万5000円及びこれに対する同遅延損害金の限度で被控訴人会社と連帯して)をそれぞれ支払うよう命じた。 そこで,控訴人らが控訴するとともに,被控訴人らが附帯控訴した。 2 前提事実は,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の2に記載するとおりであるから,これを引用する。 3 争点及びこれに関する当事者の主張は,以下のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の3に記載するとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決9頁23行目の「イないしカ」を「イないしオ」と改める。 (2) 原判決14頁8行目の「同月28日」を「平成23年10月28日」と改める。 (3) 原判決17頁3行目の「するようになり,」の次に,「また,外出を嫌がり,家で寝ていることが多くなり,ツイート数も以前と比べると激減し,」を,4行目の「追い詰められ,」の次に「疲れた様子で帰るようになり,」を,6行目の「悪化した。」の次に,「また,Eは,その頃から精神的に追い詰められたことにより,家でも外出先でも控訴人Dに密着するようになった。」を加える。 (4) 原判決17頁8行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 「ところで,ICD-10の診断ガイドラインの「F32 うつ病エピソード」では,うつ病エピソードの基本症状として,①抑うつ気分,②興味と喜びの喪失,③易疲労感増大・活動性低下が挙げられ,一般的な症状として,a集中力と注意力の減退,b自己評価と自信の低下,c罪責感と無価値感,d将来に対- 6 - する希望のない悲観的な見方,e自傷あるいは自殺の観念や行動,f睡眠障害,g食欲不振が挙げられている。 上記のとおり,Eは, 自己評価と自信の低下,c罪責感と無価値感,d将来に対- 6 - する希望のない悲観的な見方,e自傷あるいは自殺の観念や行動,f睡眠障害,g食欲不振が挙げられている。 上記のとおり,Eは,平成23年秋頃から食欲がなくなり,外出を嫌がり,家で寝ていることが多くなり,ツイート数も以前より激減しており,食欲不振,易疲労感,活動性の減少,興味の喪失が認められる。また,上記のとおり,Eは,平成24年4月以降,髪も梳かさず,春に冬物のブーツを履いて出かけるなど身なりに構わなくなっており,興味と喜びの喪失が認められる。さらに,上記のとおり,Eは,その頃から家でも外出先でも控訴人Dに密着するようになり,自己評価と自信の低下が認められる。また,上記のとおり,Eは,他の従業員と話す際に目が泳いでいるような時もあったが,これは注意力・集中力の減退があったと考えるのが合理的である。 以上のとおり,Eには,自殺前,心身の強い負荷を受けて,興味と喜びの喪失,食欲不振,易疲労感,活動性の低下,自己評価と自信の低下,集中力の減退などの症状が見られており,うつ病を発症していたか,うつ状態にあったと推認される。」(5) 原判決18頁19行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 「控訴人らは,ICD-10の診断ガイドに照らせば,Eはうつ病を発症していたか,うつ状態にあったと推認されると主張する。しかし,控訴人らがその前提とするEの状態は,客観的な証拠に裏付けられているものではなく,うつ病発症エピソードの基本症状や一般的な症状に該当する根拠とすることは,困難であるといわざるを得ない。なお,控訴人らが主張するツイート数の減少は,後記のとおり,EがFと親しくなり,個人的にやり取りをする時間が増え,その分アニメやゲームに費やす時間やツイートする時間が 困難であるといわざるを得ない。なお,控訴人らが主張するツイート数の減少は,後記のとおり,EがFと親しくなり,個人的にやり取りをする時間が増え,その分アニメやゲームに費やす時間やツイートする時間が減ったため,ツイート総数も減少したと考えるのが合理的である。」第3 当裁判所の判断当裁判所は,被控訴人A及び被控訴人CのEに対する注意・叱責は不法行為に- 7 - 該当し,被控訴人会社はそれについて使用者責任を負うほか,被控訴人会社が被控訴人A及び被控訴人CのEに対する注意・叱責を制止ないし改善させず,また,Eの業務内容の変更などを行わなかったことは被控訴人会社の注意義務違反であって不法行為に該当し,被控訴人会社の上記不法行為(使用者責任を含む)とEの自殺との間には相当因果関係があり,被控訴人会社はEの自殺について予見可能性があったから,Eの自殺により生じた損害を賠償する義務があるが,被控訴人A及び被控訴人Cの上記不法行為のみではこれら不法行為とEの自殺との間には相当因果関係があるとは認められないから,被控訴人A及び被控訴人Cは,上記不法行為によりEが被った精神的苦痛に対する慰謝料の限度で責任を負うと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 認定事実本件の経緯等に関する認定事実は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1に記載するとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決27頁11行目の「C」を「被控訴人C」と改める。 (2) 原判決27頁23行目の「G」から24行目の「指示された」までを,「Gから,同年4月以降,Eの指導を担当するよう指示され,その際,本件配置転換実施の時点では引継ぎが十分でなかったとして,Eを支援することも 27頁23行目の「G」から24行目の「指示された」までを,「Gから,同年4月以降,Eの指導を担当するよう指示され,その際,本件配置転換実施の時点では引継ぎが十分でなかったとして,Eを支援することも指示された」と改め,同行目の「証人H,」の次に「原審証人G,」を加える。 (3) 原判決29頁7行目の「同年中旬頃」を「同月中旬頃」と改める。 (4) 原判決30頁5行目の「被告A」から8行目の「注意することもあった。」までを,以下のとおり改める。 「被控訴人Aは,Eがミスをすることが多かったことから,事実確認や注意のためにEをEDP室に呼び出すことも多く(なお,Iに関するミスの場合には,Iの売掛管理の総務担当者であった被控訴人Cの在席時を選んでいた。),- 8 - その際には,Eに対し,(被控訴人C在席時には同人とともに)「何度言ったらわかるの」などと強い口調で注意・叱責をするなどしており,同じ注意・叱責を何回も繰り返し,相応に長い時間にわたることもあった(甲17,50,51,56,57,丙1,原審証人H,原審における被控訴人A本人及び同被控訴人C本人)。(なお,被控訴人Aは,原審において,Eを呼び出した頻度について週1回くらいで,時間は10分くらいであった旨供述し,被控訴人Cは,原審において,Eを呼び出した頻度について1週間に1回もない,時間はそれほどではない,被控訴人Aが同席しているときに自分が注意したことはない旨供述する。しかし,営業職だったJは,本来であれば5分で済むようなことなのに1時間近く同じことを何回も繰り返していたと述べている(甲56)こと,Hは,原審において,Eは毎日のようにEDP室に呼ばれていた,EDP室にいる時間は,長い時は20~30分,普通で10~15分と述べていること,2階で勤務していたK ていたと述べている(甲56)こと,Hは,原審において,Eは毎日のようにEDP室に呼ばれていた,EDP室にいる時間は,長い時は20~30分,普通で10~15分と述べていること,2階で勤務していたKも結構な頻度で被控訴人Aと被控訴人Cに怒られていた,Eのように毎日怒られている人は見たことがないと述べている(甲54)こと,Lは,本件配置転換前,被控訴人CがEに対しかなり強い威圧的口調で何でこうなったのか等と何回も何回も繰り返していた,EはEDP室で被控訴人Aと被控訴人Cからよく注意されていたと述べている(甲17,51)ことからすると,上記のとおり認定するのが相当である。)」(5) 原判決30頁15行目冒頭から20行目の「〔5頁〕)」。」までを,削除する。 (6) 原判決31頁17行目末尾の次に,以下のとおり加える。 「なお,控訴人らは,上記①,②の際も,Eは,被控訴人会社の本社に赴いて,必要な業務を行った旨主張し,控訴人Dの原審における供述中には,同主張に沿う部分があるが,被控訴人Aは,原審においてこれを否定する供述をしており,他に控訴人らの主張を裏付ける具体的な証拠がないから,控訴人らの主張は直ちに採用することができない。」(7) 原判決31頁24行目の「被告Cは,」の次に,以下のとおり加える。 - 9 - 「補正後の前記イのとおり,Iの業務に関するEのミスについて,EDP室において,被控訴人Aとともに注意・叱責をしていたほか,」(8) 原判決33頁24行目冒頭から25行目の「あった。」までを,以下のとおり改める。 「Eの死亡時における月額賃金(毎月15日締め,当月24日払い。以下,平成23年12月16日から平成24年1月15日までの賃金で同月24日に支払われる賃金を平成24年1月 とおり改める。 「Eの死亡時における月額賃金(毎月15日締め,当月24日払い。以下,平成23年12月16日から平成24年1月15日までの賃金で同月24日に支払われる賃金を平成24年1月分賃金というふうに,平成○年○月24日に支払われる賃金を平成○年○月分賃金という。)は15万5110円(基本賃金14万円,調整手当6000円等)であり,また,Eは,平成23年7月21日及び同年12月13日に各11万円の特別給与の支払を受けた。」(9) 原判決34頁2行目の「なお,」から5行目の「支払った」までを,以下のとおり改める。 「そして,被控訴人会社は,E死亡時において,平成23年10月16日以後の時間外手当の一部について未払があり,その後これを控訴人らに支払ったが,平成24年1月分賃金から同年6月分賃金までの,Eの時間外手当の金額(死亡後に支払われた金額を含む本来支給すべき金額)は,次のとおりである。 平成24年1月分 4万1067円同年2月分 4万4792円同年3月分 6万1354円同年4月分 7万6097円同年5月分 7万7155円同年6月分 7万7362円合計37万7827円」(10) 原判決34頁16行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 「Eは,平成24年3月頃には,朝起きて身支度をしていても出勤時まで横になっており,お弁当もおにぎり程度でいいというふうに食欲もなくなってき- 10 - た。また,Eは,同年4月頃には,出勤するまでずっと寝ているという状態が続き,髪の毛を梳かさずに出てみたり,暖かくなっているのにブーツを履いて出か というふうに食欲もなくなってき- 10 - た。また,Eは,同年4月頃には,出勤するまでずっと寝ているという状態が続き,髪の毛を梳かさずに出てみたり,暖かくなっているのにブーツを履いて出かけることがあった。(甲43,原審における控訴人D本人)」(11) 原判決34頁23行目の「疲れている様子であったが」を,「疲れている様子があり,髪の毛もぼさっとしていたが」と改める。 (12) 原判決35頁2行目冒頭から7行目末尾までを削除する。 2 争点(1)(被控訴人Cの行為の不法行為該当性の有無)について争点(1)に対する判断は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の2に記載するとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決36頁23行目の「E」から24行目末尾までを,以下のとおり改める。 「Eに対し,EDP室において,被控訴人Aとともに叱責していたほか,自身でも別途Eを呼び出して叱責していたものである。」(2) 原判決38頁26行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 「被控訴人会社及び被控訴人Cは,当審において,被控訴人Cが強い口調で叱責したことはない,被控訴人Cの注意・指導は違法性を帯びるようなものではないなどとして,縷々主張する。しかし,前示で掲記した証拠によれば,被控訴人CがEに対し強い口調で注意・叱責し,これはEに威圧感や恐怖心を与えるものであったと認定できるのであり,かかる行為が社会通念上許容される業務上の指導の範囲を超えるものと認められることも明らかである。被控訴人会社及び被控訴人Cの主張は採用することができない。」(3) 原判決39頁19行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 業務上の指導の範囲を超えるものと認められることも明らかである。被控訴人会社及び被控訴人Cの主張は採用することができない。」(3) 原判決39頁19行目末尾の次を改行の上,以下のとおり加える。 「控訴人らは,被控訴人Cが「埃がとれていないから,PCが壊れるだろ! やり直せ!」と叱責したと主張するが,被控訴人Cはそのような言い方はして- 11 - いないと否定しており,控訴人Dの原審における供述以外にこれを裏付ける具体的な証拠がないから,採用することができない。また,控訴人らは,被控訴人Cがマニュアルを見ることはなかったから,マニュアル作成は必要のない業務指示であり,パワーハラスメントとして行われた旨主張するが,マニュアル作成がそもそも業務上の必要性を欠くものであったということはできず,被控訴人Cがマニュアルを見ることがなかったことから,パワーハラスメント目的で行われたと断ずることもできないから,採用することができない。さらに,控訴人らは,当審において,被控訴人Cはその他にもパワーハラスメントに該当する言動をしていたとして縷々主張するが,具体的な証拠がないか,パワーハラスメントに該当すると認めることはできないものであり,いずれも採用することができない。」 3 争点(2)(被控訴人Aの行為の不法行為該当性の有無)について争点(2)に対する判断は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の3に記載するとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決41頁7行目冒頭から43頁15行目末尾までを,以下のとおり改める。 「ア前示前提事実(1)ウのとおり,被控訴人Aは,女性従業員の担当事務の全般を把握することのできる能力と経験を有して 原判決41頁7行目冒頭から43頁15行目末尾までを,以下のとおり改める。 「ア前示前提事実(1)ウのとおり,被控訴人Aは,女性従業員の担当事務の全般を把握することのできる能力と経験を有していたところ,補正後の前示1(3)イのとおり,被控訴人会社の取締役であるGから,平成24年4月以降のEの指導を委ねられ,その際,本件配置転換実施の時点では引継ぎが十分でなかったとして,Eを支援するよう指示されたことが認められる。 そして,補正後の前示1(4)イのとおり,被控訴人Aは,Eに対し,受けた注意の内容を付箋にメモしてコンピュータに貼るよう助言するなどし,Eはこれを実践してはいたものの,補正後の前示1(4)イ及びエのとおり,被- 12 - 控訴人A及び被控訴人Cが継続的にEのミスを注意・叱責していたことからすると,Eの入力ミスという業務上の問題点は改善されていなかったと認められる。また,前示1(4)アのとおり,Iのシステム変更により午前中の入力作業に追われる心理的負担は軽減されたものの,逆に夕方の残業が増えることになり,補正後の前示1(4)イのとおり,Iに係る入力業務については,入力内容を確定した後に修正を要することが判明した場合には,業務量が増加するところ,Eは,平成24年4月下旬以降,数字や日付の誤入力が徐々に増えていき,前示1(5)イのとおり,Eの時間外労働時間も増加したこと,補正後の前示1(4)イのとおり,被控訴人Aは,営業担当者からEの業務量が多いため担当者を替えた方がよいのではないかと言われていたこと,しかし,被控訴人Aは,Eの業務量について配慮を行わず,Gに対し,Eのミスが少し多いという報告をした以外には,Eの業務状況について相談することもしなかったことが認められる。 もっとも,上記のとおり,被控訴人Aは,平成 Eの業務量について配慮を行わず,Gに対し,Eのミスが少し多いという報告をした以外には,Eの業務状況について相談することもしなかったことが認められる。 もっとも,上記のとおり,被控訴人Aは,平成24年4月以降のEの指導を委ねられたものであるが,それはEが本件配置転換後業務をミスすることなく,単独で適切に処理することができるようにするというものであり,Gからの支援の指示も,Eがミスをしたり,入力業務に時間を要したりした場合に,被控訴人AがEの業務の補助をするというものであったと認められる。 そして,従業員の配属の決定権や仕事の分量の変更は,被控訴人会社の代表取締役とGにあり(原審証人G〔同人調書8頁,18頁〕),被控訴人Aは,Eが担当していた業務の一部を他の従業員に割り当てるとか,Eを他の部署に異動させる権限は有していなかったのであるから,被控訴人Aが,Eの業務量について配慮を行わなかったことが,直ちに不法行為に該当するとはいえない。そして,被控訴人Aが,Eについて業務量の低減を図るとか,配置転換を検討する必要性があることを認識していながら,あえて業務量の低減ないし配置転換を上申しなかったという場合には,不法行為が成立する余地- 13 - があるとしても,被控訴人Aが,Gに対しEのミスが少し多いという報告をした以外には,Eの業務状況について相談することをしなかったのは,補正後の前示1(4)イのとおり,Iのシステム変更によって業務負担が軽減されたものと軽信し,あるいは,Eに対し,業務の状況につき,「大丈夫か」などと尋ねたが,Eから「大丈夫」等の返事があり,また,本件入力業務の補助を依頼されることもなかったためであり,被控訴人Aとしては,Eの業務に関するミスについては,注意・叱責をもって改善できると考えていたものと認められ,業務量 」等の返事があり,また,本件入力業務の補助を依頼されることもなかったためであり,被控訴人Aとしては,Eの業務に関するミスについては,注意・叱責をもって改善できると考えていたものと認められ,業務量の低減等の必要性を認識しながら,あえてこれをGに上申しなかったとはいえない。 したがって,被控訴人Aが,Eの業務内容や業務分配の見直し等をGに上申しなかったことが,不法行為に該当するということはできない。 イもっとも,補正後の前示1(4)イのとおり,被控訴人Aは,Eがミスをすることが多かったことから,事実確認や注意のためにEをEDP室に呼び出すことも多く,その際には,Eに対し,(被控訴人C在席時には同人とともに)「何度言ったらわかるの」などと強い口調で注意・叱責をするなどしており,同じ注意・叱責を何回も繰り返し,相応に長い時間にわたることもあったことが認められる。かかる被控訴人AのEに対する叱責行為は,その態様,頻度等に照らして,被控訴人Cの場合と同様に,業務上の適正な指導の範囲を超えて,Eに精神的苦痛を与えるものであったと認められるから,不法行為に該当するというべきである(当該不法行為を「被控訴人A不法行為」という。)。そして,かかる叱責の態様に照らせば,被控訴人Aにおいて,これが社会通念上許容される業務上の適正な指導の範囲を超えて不法行為に該当するものであることを認識することは容易であったと認められる。したがって,被控訴人Aは,上記行為について不法行為責任を負うというべきである。 ウ被控訴人会社及び被控訴人Aは,当審において,被控訴人Aの指導・注意- 14 - は,違法と評価されるようなものではないとして縷々主張する。しかし,上記イで認定した被控訴人AのEに対する叱責行為の態様等に照らせば,業務上の適正な指導 ,被控訴人Aの指導・注意- 14 - は,違法と評価されるようなものではないとして縷々主張する。しかし,上記イで認定した被控訴人AのEに対する叱責行為の態様等に照らせば,業務上の適正な指導の範囲を超えるものであることは明らかである。被控訴人会社及び被控訴人Aの主張は採用することができない。」(2) 原判決43頁16行目冒頭から20行目末尾までを,以下のとおり改める。 「(3) 被控訴人Aのその余の不法行為の有無控訴人らは,被控訴人Aは,Eに対し,社員旅行後に「男に色目を使って」などと言って嫌がらせをした旨主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。控訴人らは,被控訴人Aは,Eに対し,平成24年3月中に営業事務の仕事を完全に引き継ぐように指示した旨主張するが,補正後の前示1(3)イのとおり,被控訴人Aは,Mに対し,Gの指示に基づき,同年3月の1か月間で,本件配置転換後業務をEに引き継ぐよう伝えたと認められるものの,その他に控訴人らが主張する上記指示をしたことを認めるに足りる証拠はない。」(3) 原判決44頁3行目の「その上で」から7行目末尾までを,以下のとおり改める。 「控訴人Dは,原審において,上記電話の後,Eが肩を震わせて泣いていた旨供述し,これを踏まえて控訴人らは,被控訴人Aが上記電話の際に仕事をやっていないなどと叱責した旨主張する。しかし,前示1(4)オのとおり,上記の電話をした段階では,納品日の入力に誤りがあるのか否かは判明していなかったのであるから,被控訴人AがEに対し上記言動をして叱責したと直ちに推認することはできないし,控訴人Dにおいて,Eが肩を震わせて泣く理由を聞いて,上記言動があったことを確認したわけではない。そして,補正後の上記1(4)ウのとおり,上記電話の以前にも帰宅後にE ちに推認することはできないし,控訴人Dにおいて,Eが肩を震わせて泣く理由を聞いて,上記言動があったことを確認したわけではない。そして,補正後の上記1(4)ウのとおり,上記電話の以前にも帰宅後にEが関与した業務に漏れがあった場合等に,被控訴人AからEの携帯電話に電話がかかることが3回あったことからすると,Eにおいてまた入力ミスをしたのではないかと自責の念に駆- 15 - られて泣いた可能性も十分考えられる。したがって,控訴人らの主張は直ちに採用することができない。なお,仮に上記電話の際,被控訴人Aが,Eに対し叱責の言葉を述べたとしても,被控訴人A不法行為とは別途に,それ自体が不法行為といえるような暴言であったと推認することもできない。そして,上記のとおり,上記電話連絡は,業務上の必要性によるものであったといえる。したがって,上記電話について,被控訴人Aに不法行為に該当する行為があったと認めることはできない。」 4 争点(3)(被控訴人会社の損害賠償責任の有無)について(1) 被控訴人会社の不法行為又は債務不履行の有無についてア使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務(雇用契約上の安全配慮義務及び不法行為上の注意義務)を負うと解するのが相当である(なお,最高裁判所平成12年3月24日第二小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照)。 イ(ア) 補正後の前示2(1)のとおり,被控訴人CのEに対する本件叱責行為は,社会通念上許容される業務上の指導の範囲を超えて,Eに精神的苦痛を与えるものであったと認められる。したがって,被控訴人会社としては,被控訴人Cの本件叱責行為について,こ のEに対する本件叱責行為は,社会通念上許容される業務上の指導の範囲を超えて,Eに精神的苦痛を与えるものであったと認められる。したがって,被控訴人会社としては,被控訴人Cの本件叱責行為について,これを制止ないし改善するように注意・指導すべき義務があったというべきである。 そして,前示1(2)ウのとおり,Gは,遅くとも平成23年10月頃には,被控訴人Cの口調についてEが心理的負担を感じているものと認識し,その頃,Eを指導する際の口調について注意したことが認められる。しかしながら,Gは,被控訴人会社には午前10時頃に出社し,午後5時頃まで会社にいる(原審証人G〔同人調書31頁〕)のであり,また,被控訴人CのEに対する本件叱責行為は多数回行われ,従業員らもその状況を認- 16 - 識していた(前示1(2)イ及び1(4)イ,同エ(補正後のもの))のであるから,Gも被控訴人Cの本件叱責行為を認識していたものと認めるのが相当である(なお,Gは,原審において,被控訴人Aや被控訴人CがEをEDP室に呼び出して指導していることは見たことがない旨供述する(同人調書31頁)。しかし,被控訴人Cの本件叱責行為のみならず,補正後の前示1(4)イのとおり,被控訴人Aによる叱責も多数回行われ,かかる状況は,他の従業員も認識していたものであるから,被控訴人会社で午前10時頃から午後5時頃まで仕事をしているGは,被控訴人C及び被控訴人Aの上記言動を認識していたと考えるのが合理的であり,これを知らなかったというGの上記供述は不自然であり,直ちに採用することができない。)。それにもかかわらず,Gが,被控訴人Cに対し,本件叱責行為について,これを制止ないし改善するように指導・注意をしたことはうかがえないから,被控訴人会社は,上記義務を怠ったといえる。 。)。それにもかかわらず,Gが,被控訴人Cに対し,本件叱責行為について,これを制止ないし改善するように指導・注意をしたことはうかがえないから,被控訴人会社は,上記義務を怠ったといえる。 (イ) 補正後の前示3(2)イのとおり,被控訴人Aが,EDP室において,Eに対し,(被控訴人C在席時には同人とともに)「何度言ったらわかるの」などと強い口調で注意・叱責をするなどしたことは,社会通念上許容される業務上の適正な指導の範囲を超えて,Eに精神的苦痛を与えるものであったと認められる。したがって,被控訴人会社としては,被控訴人Aの上記指導・叱責について,これを制止ないし改善するように注意・指導するなどすべき義務があったというべきである。 そして,上記(ア)のとおり,Gは,被控訴人Aの上記言動を認識していたと考えるのが合理的である。そうすると,被控訴人会社は,被控訴人Aの上記指導・叱責を認識しながら,これを制止・改善させることなく,そのまま放置していたといわざるを得ないから,上記義務を怠ったと認められる。 (ウ) 前示1(2)ア,同イ,同(3)ア,同イ及び同(4)イ(補正後のもの)のと- 17 - おり,被控訴人会社は,本件配置転換前業務は高等学校卒業後に入社する新入社員が担当することが比較的多く,その負担も比較的軽いものであったこと,及びEが本件配置転換前業務においても入力ミスが多かったことを認識しながら本件配置転換を決定し,しかも,Gは,本件配置転換に当たり,その時点では前任者からの引継ぎが十分でなかったとして,Eの指導担当者と定めた被控訴人Aに対し,Eを支援するよう指示していたことが認められる。したがって,被控訴人会社としては,本件配置転換後業務におけるEの業務の負担や遂行状況を把握し,場合によっては,Eの業務 当者と定めた被控訴人Aに対し,Eを支援するよう指示していたことが認められる。したがって,被控訴人会社としては,本件配置転換後業務におけるEの業務の負担や遂行状況を把握し,場合によっては,Eの業務内容や業務分配の見直しや増員を実施すべき義務がある。 そして,前示1(4)ア及び同イ(補正後のもの)のとおり,Iに係る入力業務については,入力内容を確定した後に修正を要することが判明した場合には,業務量が増加するところ,Eは,平成24年4月下旬以降,数字や日付の誤入力が徐々に増えていき,前示1(5)イのとおり,Eの時間外労働時間も増加したことが認められる。また,上記のとおり,Eは,被控訴人A及び被控訴人Cから頻繁に注意・叱責を受けていたものの,入力ミスが減らず,補正後の前示1(4)イのとおり,被控訴人Aに対し,担当者の交替の必要性を示唆する営業担当者もいたことが認められる。 Eの上記業務の実情に鑑みると,Eは平成24年5月中には業務遂行上の支援を必要とする状況にあったといえるから,被控訴人会社としては,Eの業務内容や業務分配の見直し等を検討し,必要な対応をとるべき義務があったというべきである。 しかし,被控訴人会社は,被控訴人AからEのミスが少し多い旨の報告をうけるにとどまり,それ以上,Eの業務の実情の把握に努めたことはうかがえない。被控訴人会社は,タイムカードや従業員らからの事情聴取により,Eが支援を必要とする状況にあるということを認識することは十分可能であったから,被控訴人会社がこれを怠ったことは,上記義務違反に- 18 - 該当する。 なお,被控訴人会社は,当審において,本件配置転換後業務において,Eに多少のミスがあったとしても,大きな問題を起こしていたわけでもないから,しばらく様子を見ようとしたものであるなどとして,被控訴 なお,被控訴人会社は,当審において,本件配置転換後業務において,Eに多少のミスがあったとしても,大きな問題を起こしていたわけでもないから,しばらく様子を見ようとしたものであるなどとして,被控訴人会社の判断に誤りがあったということはできず,安全配慮義務違反はない旨主張する。しかし,上記認定のとおり,Eは平成24年5月中には業務遂行上の支援を必要とする状況にあったといえるから,被控訴人会社としては,Eの業務内容や業務分配の見直し等を検討し,必要な対応をとるべき義務があったというべきである。被控訴人会社の主張は,採用することができない。 ウ被控訴人会社は,平成23年10月頃の控訴人DからGに対する電話の前後を問わず,被控訴人Cの行為をいじめ・パワーハラスメント行為とは認識していなかった旨主張する。しかし,前示1(2)ウ認定のとおり,Gは,被控訴人Cに対し,Eのミスが減らないのは被控訴人CがEに対して注意する際に徐々にきつい口調になることも原因ではないかと指摘し,Eに対して注意する際にはもう少し優しい口調で行うよう促していたことなどに照らすと,被控訴人会社の主張は採用することができない。 また,被控訴人会社は,Gが,本件配置転換後,Eの様子を把握すべく,声掛け,面談を実施し,Eの仕事のミスを減らすための助言をし,女性従業員の交流を深めるために女子会を開催するなどした旨主張する。しかし,前示4(1)イ(イ)のとおり,Gは,被控訴人C及び被控訴人AのEに対する注意・叱責を認識しながら,これを制止ないし改善するよう注意したことはなかったことからすると,Gが被控訴人会社の主張する上記面談・助言をしたというのは疑問がある。また,女性従業員の交流を深めるために女子会を開催したということがあったとしても,これにより被控訴人C及び被控訴人 ことからすると,Gが被控訴人会社の主張する上記面談・助言をしたというのは疑問がある。また,女性従業員の交流を深めるために女子会を開催したということがあったとしても,これにより被控訴人C及び被控訴人Aに対するEの注意・叱責が改善されたわけでもないから,被控訴人会社が注- 19 - 意義務を尽くしたということもできない。被控訴人会社の主張は,採用することができない。 エ(ア) 控訴人らは,被控訴人会社が,本件配置転換を行ったこと自体が被控訴人会社の不法行為及び債務不履行(安全配慮義務違反)に該当する旨主張する。 補正後の前示1(3)イのとおり,被控訴人会社が本件配置転換を検討することになったのは,Mが退職することになったことによるものである。 そして,被控訴人会社の女性従業員の中には,数年ごとに担当業務が変更されている者も少なくない(弁論の全趣旨)ところ,前示1(2)アのとおり,Eが入社後3年間に担当していた業務は,高等学校卒業直後に被控訴人会社へ入社した新入社員が担当することが多かった業務である。また,前示1(2)イ及びウのとおり,Eは本件配置転換前業務においてもミスをすることが多かったものの,本件配置転換後業務はそれ自体に特殊な技能を要するものではない。さらに,補正後の前示1(3)イのとおり,Eは,Gからの打診に対し,明確な拒絶の意思表示をしなかったし,Mからの本件配置転換後業務の引継ぎに際しても,Mの説明を詳細に記したノートを作成するなどしており,本件配置転換後業務に対し一定の意欲を持っていたことがうかがえる。そして,補正後の前示1(3)イのとおり,Gは,被控訴人Aに対し,Eの本件配置転換後業務について指導をするように指示している。そうすると,本件配置転換について,業務上の必要性がなかったとはいえず,本件配置転換 後の前示1(3)イのとおり,Gは,被控訴人Aに対し,Eの本件配置転換後業務について指導をするように指示している。そうすると,本件配置転換について,業務上の必要性がなかったとはいえず,本件配置転換後業務をEに担当させることにした被控訴人会社の判断が不合理であったともいえない。したがって,被控訴人会社が本件配置転換を行ったことが,不法行為又は債務不履行に該当するとはいえない。控訴人らの主張は,採用することができない。 (イ) 控訴人らは,本件配置転換に伴う引継期間を1か月としたことは,被控訴人会社の不法行為及び債務不履行(安全配慮義務違反)に該当する旨- 20 - 主張する。 しかし,前示(ア)のとおり,Eはミスがあったものの本件配置転換前業務に3年間従事していたこと,本件配置転換後業務はそれ自体に特殊な技能を要するものではないこと,Gは,被控訴人Aに対し,Eの本件配置転換後業務について指導をするように指示していることからすると,Iのシステム変更という事情があったことを考慮しても,1か月という引継期間が明らかに不足するものであり,引継期間の延長をしなかった被控訴人会社の判断が不合理であったとはいえない。したがって,被控訴人会社が引継期間を1か月としたことが,不法行為又は債務不履行に該当するとはいえない。控訴人らの主張は,採用することができない。 (ウ) 控訴人らは,被控訴人会社のみなし残業制度は雇用契約上明示されてなく,支給時に時間外手当の額が明示されていないから労働基準法に違反するものであり,違法なみなし残業制度のもとで長期間にわたり継続的に不払残業を命ずることは,本来の業務の適切な範囲を超え,パワハラ行為に該当するとして,被控訴人会社には不法行為及び債務不履行(安全配慮義務違反)がある旨主張する。 もとで長期間にわたり継続的に不払残業を命ずることは,本来の業務の適切な範囲を超え,パワハラ行為に該当するとして,被控訴人会社には不法行為及び債務不履行(安全配慮義務違反)がある旨主張する。 しかし,みなし残業制度が労働基準法に違反し,残業代が一部支払われてないということは,賃金不払という債務不履行に該当するとしても,それのみでは被控訴人会社の不法行為又は安全配慮義務違反の債務不履行に該当するということはできない。 そして,精神障害の業務起因性に関する判断基準として,精神医学,心理学,法律学等の専門家によって構成される専門検討会が平成23年11月8日に取りまとめた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」(甲36)を踏まえて厚生労働省が発出した同年12月26日付け基発1226号厚生労働省労働基準局長通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(甲37。以下「認定基準」という。)があるところ,- 21 - 上記報告書には,恒常的に月100時間程度の時間外労働に従事した場合,心身に極度の疲弊,消耗を来し,うつ病等の原因となる旨の記載があるが,Eの時間外労働時間は,前示1(5)イのとおり,最も長かった平成24年3月22日ないし同年4月20日の1か月間において,約67時間であり,その後,自殺に至るまでの2か月における1か月当たりの時間外労働時間は,それぞれ約49時間半,約58時間である。また,認定基準によれば,1か月当たりの時間外労働時間が80時間未満の場合には,心理的負荷の程度は「弱」(日常的に経験するものであって,一般的に弱い心理的負荷しか認められないもの)に該当するところ,前示1(5)イのとおり,Eの時間外労働時間はいずれも80時間未満にとどまっている。 したがって,被控訴人会社がEに対し時間外労働に従事さ 的に弱い心理的負荷しか認められないもの)に該当するところ,前示1(5)イのとおり,Eの時間外労働時間はいずれも80時間未満にとどまっている。 したがって,被控訴人会社がEに対し時間外労働に従事させたことは,その労働時間に照らし,不法行為又は安全配慮義務違反の債務不履行に該当するものであったとはいえない。控訴人らの主張は,採用することができない。 (2) 以上のとおり,被控訴人会社が,被控訴人Cの本件叱責行為及び被控訴人Aの指導・叱責について,制止・改善を求めず,また,Eの業務内容や業務分配の見直し等を怠ったことは,被控訴人会社の義務違反に該当し,これらは被控訴人会社の不法行為(民法709条)及び債務不履行(安全配慮義務違反)に該当する。 また,補正後の前示2(1)及び3(2)イのとおり,被控訴人Cの本件叱責行為及び被控訴人Aの指導・叱責は,いずれも不法行為に該当するところ,被控訴人会社は,これらについて,使用者責任(民法715条)を負う。 5 争点(4)(被控訴人らの不法行為とEの死亡(自殺)との間の相当因果関係の有無)について(1) Eがうつ病を発症していたか否かについてア証拠(甲85)によれば,精神及び行動の障害に関する診断ガイドライン- 22 - であるICD-10においては,軽症うつ病,中等症うつ病及び精神病症状をともなわない重症うつ病のすべての典型的な抑うつのエピソードとして,①抑うつ気分,②興味と喜びの喪失,③活力の減退による易疲労感の増大や活動性の減少のほかに,一般的な症状として,(a)集中力と注意力の減退,(b)自己評価と自信の低下,(c)罪責感と無価値感,(d)将来に対する希望のない悲観的な見方,(e)自傷あるいは自殺の観念や行為,(f)睡眠障害,(g)食欲不振があげられていること,上記①ない ,(b)自己評価と自信の低下,(c)罪責感と無価値感,(d)将来に対する希望のない悲観的な見方,(e)自傷あるいは自殺の観念や行為,(f)睡眠障害,(g)食欲不振があげられていること,上記①ないし③の症状の少なくとも2つ,さらに上記(a)ないし(g)の症状のうちの少なくとも2つが存在する場合には,軽症うつ病エピソードの患者と,上記①ないし③の症状のうち少なくとも2つ,さらに上記(a)ないし(g)の症状のうちの少なくとも3つ(4つが望ましい)が存在する場合には,中等症うつ病エピソードの患者と,それぞれ診断することができることが認められる。 イ補正後の前示1(7)イのとおり,Eは,平成24年3月頃には,朝起きて身支度をしていても出勤時まで横になっており,お弁当もおにぎり程度でいいというふうに食欲もなくなってきたこと,同年4月頃には,出勤するまでずっと寝ているという状態が続き,髪の毛を梳かさずに出てみたり,暖かくなっているのにブーツを履いて出かけていたことが認められる。また,補正後の前示1(7)イのとおり,Nは,Eが自殺する直前の状況について,疲れている様子があり,髪の毛がぼさっとしていたこともあったと述べている。 また,証拠(甲105)によれば,Eのツイート数は,平成23年6月は460,同年7月は358,同年8月は236,同年9月は220であったところ,同年10月は59に減少し,同年11月は21(前示1(7)ウのとおり,同月21日には「忙しいなんてレベルじゃないぞこれ。」などとツイッターに投稿している。),同年12月は83,平成24年1月は23,同年2月は35,同年3月は5(前示1(7)ウのとおり,同月1日には「新しい仕事で目が回る。」などとツイッターに投稿している。),同年4月は40,- 23 - 同年5月は15であり,E 23,同年2月は35,同年3月は5(前示1(7)ウのとおり,同月1日には「新しい仕事で目が回る。」などとツイッターに投稿している。),同年4月は40,- 23 - 同年5月は15であり,Eが死亡した同年6月は16であったことが認められる。 さらに,前示1(2),(4)(補正後のもの)のとおり,Eは,本件配置転換前業務においても業務上のミスを被控訴人Cから注意・叱責されており,本件配置転換後業務においても業務上のミスが多く,被控訴人A及びCから注意・叱責を受けていたが,業務上のミスは減らなかったことが認められる。 そして,補正後の前示1(4)イのとおり,Eは,EDP室に呼び出された後,Hに対し,落ち込んだ様子で「また言われちゃった」などと述べている。 また,前示1(5)イのとおり,Eの時間外労働時間は,平成23年12月23日から平成24年1月21日までは合計8時間15分,同月22日から同年2月20日までは合計32時間32分,同月21日から同年3月21日までは合計41時間25分,同月22日から同年4月20日までは合計67時間01分,同月21日から同年5月20日までは合計49時間28分,同月21日から同年6月19日までの労働時間は合計58時間08分と明らかに増加傾向にあったことが認められる。なお,Eの時間外労働時間は著しく長時間であるとはいえないが,本件配置転換前業務においてはほとんど時間外労働がなかったのであるから,従前との比較において検討することも必要である。 ウ上記のEが出勤するまで寝ているということは,上記労働時間の長さや増加傾向にあったことからすると,上記アの③(易疲労感の増大)に該当すると認められる。また,上記のEが髪の毛を梳かさずに出かける等身なりを構わなくなったということ,及びツイート数の減少は,上記アの②(興 傾向にあったことからすると,上記アの③(易疲労感の増大)に該当すると認められる。また,上記のEが髪の毛を梳かさずに出かける等身なりを構わなくなったということ,及びツイート数の減少は,上記アの②(興味の喪失)に該当すると認められる(なお,被控訴人会社は,Eのツイート数の減少は,男性との交際時間等によりツイートに充てる時間が減ったために過ぎず,アニメ等に対する興味がなくなったことを裏付けるものではない旨主張する。証拠(乙5ないし16)によれば,Eが交際相手と思われる男性との- 24 - 交際に時間をかけていることや,アニメ等に関するツイートも依然としてあることが認められるものの,全体としてアニメ等に関するツイートが減少していること,上記のとおり,易疲労性が認められ,身なりを構わなくなっているということも考慮すると,アニメ等に対する関心が従前よりも薄れていると認めるのが相当である。)。さらに,上記のお弁当がおにぎり程度となったということは,上記アの(g)(食欲不振)に該当するほか,注意・叱責を受けても業務上のミスが減らないということは,上記アの(a)(集中力と注意力の減退)に該当する。さらに,上記のEが落ち込んだ様子で「また言われちゃった」などと述べていることは,Eに対する叱責が多数回にわたっていたことからすると,上記アの(b)(自己評価と自信の低下)に該当する。 以上によれば,Eは,遅くとも平成24年6月中旬には,軽症エピソードもしくは中等症エピソードの患者と診断できる状態にあったと認められるから,Eは,遅くともその頃には,うつ病を発症していたと認めるのが相当である。 エなお,補正後の前示1(7)のとおり,被控訴人会社の多くの従業員は,Eの自殺直前まで,Eの心身状態の変化を特に感じなかったことが認められる。 しかし,上 していたと認めるのが相当である。 エなお,補正後の前示1(7)のとおり,被控訴人会社の多くの従業員は,Eの自殺直前まで,Eの心身状態の変化を特に感じなかったことが認められる。 しかし,上記イのEの状態によれば,Eはうつ病を発症していたと認められ,被控訴人会社の従業員らの上記印象は,上記結論を左右するものとはいえない。 また,補正後の前示1(7)イのとおり,Eは,精神障害に関連する疾病での受診歴はなく,平成24年4月に受検した健康診断においても,特に異常はなかったことが認められるが,これは,Eが同年6月中旬にはうつ病を発症していたという上記結論を左右するものとはいえない(なお,控訴人Dの供述中には,うつ病で入院した同人の父親の様子を見たことがあるが,Eには精神障害に関連する疾病をうかがわせるような症状は出ていなかったとの部分(甲43,原審における控訴人D本人)があるものの,上記イのEの- 25 - 状態によれば,Eはうつ病を発症していたと認められるから,同供述はやはり上記結論を左右するものとはいえない。)。 さらに,O医師は,同人作成の「E殿の精神科的診断と死亡背景についての意見書」(乙50)において,P労働基準監督署が,Eが平成24年6月中旬頃には「F32うつ病エピソード」を発病していた旨判断したことについて,Eがうつ病に発症していたと診断する根拠に乏しいとの意見を出している。しかし,O医師の同意見は,前提となるEの業務状況や心身の状態が上記認定に反するものであるから,採用することができない。 被控訴人会社は,Eのツイートの内容,男性との交際状況などを指摘して,Eがうつ病を発症していたと認めることには疑問があると主張する。しかし,上記認定・判断に照らし,被控訴人会社の主張は採用することができない。 (2 イートの内容,男性との交際状況などを指摘して,Eがうつ病を発症していたと認めることには疑問があると主張する。しかし,上記認定・判断に照らし,被控訴人会社の主張は採用することができない。 (2) 被控訴人らの不法行為とEの死亡(自殺)との間の相当因果関係の有無についてア補正後の前示2のとおり,被控訴人Cが,平成23年秋以降,Eに対し,「てめえ。」「あんた,同じミスばかりして。」などと厳しい口調で叱責し,控訴人Dから被控訴人会社に対してEのことで相談の電話があった後もEのミスがなくならなかったことから,Eに対し,「親に出てきてもらうくらいなら,社会人としての自覚を持って自分自身もミスのないようにしっかりしてほしい。」と述べ,本件配置転換後は,Eを頻繁にEDP室に呼び出し,被控訴人Aとともに叱責していたほか,自身でも別途Eを叱責していた(本件叱責行為)ことは,不法行為に該当し,前示4のとおり,被控訴人会社がこれを制止ないし改善するよう注意・指導をしなかったことは不法行為に該当する。 また,補正後の前示3のとおり,被控訴人Aが,本件配置転換後,EDP室において,Eに対し,(被控訴人C在席時には同人とともに)「何度言ったらわかるの」などと強い口調で注意・叱責をするなどしたことは,不法行為- 26 - に該当し,前示4のとおり,被控訴人会社がこれを制止ないし改善するよう注意・指導しなかったことは,不法行為に該当する。 さらに,前示4のとおり,被控訴人会社がEの業務内容や業務分配の見直し等を怠ったことは,不法行為に該当する。 イ被控訴人Cの本件叱責行為は,Eに対し,一方的に威圧感や恐怖心を与えるものであったことや,本件配置転換後の被控訴人AのEに対する注意・指導は,強い口調で注意・叱責するというもので,同じ注 イ被控訴人Cの本件叱責行為は,Eに対し,一方的に威圧感や恐怖心を与えるものであったことや,本件配置転換後の被控訴人AのEに対する注意・指導は,強い口調で注意・叱責するというもので,同じ注意・叱責を何回も繰り返し,相応に長い時間にわたることもあり,また,被控訴人Aと被控訴人Cの二人から注意・叱責をするということも多かったというものであり,また,このような注意・叱責について被控訴人会社から制止ないし改善の指導がなく,状況に変化はなかったというのであるから,これによりEが受けた心理的負荷は相応に大きいものであったということができる。 なお,前示4(1)エ(ウ)のとおり,厚生労働省は認定基準を発出しているところ,認定基準は,法令と異なり,行政上の基準にすぎないが,各分野の専門家による精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書に基づき,医学的知見に沿って作成されたもので,一定の合理性は認められるから,本件における因果関係の判断に際しては,参考となるというべきである。そして,Eに対する上記指導・叱責は,認定基準の⑤(対人関係)出来事29の具体的出来事(「(ひどい)嫌がらせ,いじめ,又は暴行を受けた」)のうち,心理的負荷が「中」となる例(上司の叱責の過程で業務指導の範囲を逸脱した発言があったが,これが継続していない)を参考とすると,心理的負荷の程度は少なくとも「中」に該当すると考えるのが相当である。 ウまた,Eは,負担が比較的軽い本件配置転換前業務においても入力ミスが多かったところ,本件配置転換により従前より負担が大きい本件配置転換後業務に従事することになり,その上,本件配置転換に当たり,その時点では前任者からの引継ぎが十分でなかったため,被控訴人Aの支援を受けること- 27 - が予定されていた。しかし,Eは,本 換後業務に従事することになり,その上,本件配置転換に当たり,その時点では前任者からの引継ぎが十分でなかったため,被控訴人Aの支援を受けること- 27 - が予定されていた。しかし,Eは,本件配置転換後業務においても入力ミスは減らず,時間外労働時間は,平成24年1月22日から同年2月20日までは合計32時間32分,同月21日から同年3月21日までは合計41時間25分であったところ,同月22日から同年4月20日までは合計67時間01分,同月21日から同年5月20日までは合計49時間28分(ただし,いわゆるゴールデンウィークの関係で休みが前期間は5日であったのが10日となり(甲18),残業時間が抑えられたにすぎない。),同月21日から同年6月19日までは合計58時間08分とさらに増加し,負担感も相応のものとなっていたにもかかわらず,被控訴人会社がEの業務の負担や遂行状況を把握することなく,被控訴人AをEDP室に移動させるなどして,Eの業務内容や業務分配の見直しを行わなかったというのであるから,これによりEが受けた精神的負荷は相応のものであったということができる。なお,認定基準に当てはめると,④(役割・地位の変化等)出来事21のうち,「配置転換があった」という具体的出来事に当てはめるのが相当であり,配置転換後の業務が容易に対応できるものであり,変化後の業務の負荷が軽微であったものが「弱」とされ,過去に経験した業務と全く異なる質の業務に従事することになったため,配置転換後の業務に対応するのに多大な労力を費やしたものが「強」とされていることを考慮すると,心理的負荷の程度は「中」に該当すると考えるのが相当である。 エ以上によれば,被控訴人A及び被控訴人Cから注意・叱責を受け,かつ,被控訴人会社が,被控訴人A及び被控訴人Cの注意・ 慮すると,心理的負荷の程度は「中」に該当すると考えるのが相当である。 エ以上によれば,被控訴人A及び被控訴人Cから注意・叱責を受け,かつ,被控訴人会社が,被控訴人A及び被控訴人Cの注意・叱責を制止ないし改善を求めず,Eの業務内容や業務分配の見直しを検討しなかったことにより,Eが受けた心理的負荷の程度は,上記各心理的負荷の程度やこれらの違法行為が密接に関連するものであることも考慮すると全体として大きなものであったと認めるのが相当である(認定基準に当てはめると「強」に相当すると認められる。)。 - 28 - したがって,被控訴人会社の不法行為(使用者責任を含む)によるEの心理的負荷は,社会通念上,客観的に見てうつ病という精神障害を発症させる程度に過重なものであったと評価することができ,また,被控訴人会社の不法行為(使用者責任を含む)とEの自殺との間には,相当因果関係があると認めるのが相当である。 なお,Eの自殺については,自殺の前日である平成24年6月20日の被控訴人Aとの電話がきっかけとなった可能性があるところ,同電話での被控訴人Aの言動が不法行為に該当すると認められないことは,補正後の前示3(3)のとおりである。しかし,同電話で確認されたEのミスは,それほど重大なものではなく,それ自体が直ちに自殺の原因となるようなものではなかったが,当時,Eがうつ病を発症していたことから,絶望感ないし自責感に駆られて自殺するに至ったものと考えられる。そして,被控訴人会社が,Eの業務内容や業務分配の見直しをしなかったことは,上記ミスと関連性を有しているといえる。したがって,上記電話が,被控訴人会社の不法行為に該当しないことは,被控訴人会社の不法行為(使用者責任を含む)とEの自殺との間に相当因果関係があるという上記結論を左右しな 連性を有しているといえる。したがって,上記電話が,被控訴人会社の不法行為に該当しないことは,被控訴人会社の不法行為(使用者責任を含む)とEの自殺との間に相当因果関係があるという上記結論を左右しないというべきである。 オ一方,被控訴人Cの不法行為及び被控訴人Aの不法行為については,上記のとおり,心理的負荷の程度は相応に大きいものであり,認定基準に当てはめると「中」と評価できるものであるが,それのみでうつ病を発症させる程度に過重なものであったと評価することはできず,したがって,Eの自殺との間に相当因果関係があると認めることもできないし,被控訴人C及び被控訴人Aにおいて,Eの自殺について予見可能性があったということもできない。 (3)ア被控訴人会社は,①従業員の自殺につき予見可能性が認められるのは,長時間労働やいじめといった就労環境の存在,当該従業員が休みがちであっ- 29 - たなどの就業状況,当該従業員が精神科にかかっているなどの事実が存在し,それを使用者が認識していたこと又は容易に認識し得た場合に限られる旨,②(a)Eは恒常的に長時間労働を行っていたわけではないし,(b)被控訴人C及び被控訴人Aの指導や注意は業務の適正な範囲内のものであり,(c)Eの担当業務は過重なものではなく,業務に対する相応の支援も行われ,(d)Eの様子がおかしいと感じた従業員はなく,Eが精神科に通院していたということもなかったから,Eの自殺を予見することは不可能であった旨主張する。 しかし,上記②のうち,(a)ないし(c)は,前示のとおり採用することができないし,(d)はうつ病の発症を直ちに否定するものではない。また,上記①については,厚生労働省は,すでに平成13年に「職場における自殺の予防と対応」(甲97)において,うつ病にり患し することができないし,(d)はうつ病の発症を直ちに否定するものではない。また,上記①については,厚生労働省は,すでに平成13年に「職場における自殺の予防と対応」(甲97)において,うつ病にり患した患者が自殺を図ることが統計的にある程度の数字になっており,自殺した労働者で生前に精神科を受診していた人はごくわずかであるとし,自殺のサインとして,うつ病の症状に気を付ける,仕事の負担が急に増える,職場のサポートが得られないことなどを挙げ,労働者が業務上の原因で自殺することを防止するよう注意を呼び掛けていたこと,平成11年の段階で,業務によるストレスを原因として精神障害を発病し,あるいは自殺したとして労災保険金請求が行われる事案が増加していることを背景として,精神障害等の労災認定に係る専門検討会による「精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書」において,いじめや業務内容の変化が精神障害等の発症の原因となる出来事として報告されており(甲33),平成23年には上記のような労災保険金請求のさらなる増加を受けて,前示4(1)エ(ウ)記載の専門検討会報告書が作成されて公表されている。そうすると,上記専門検討会報告書の内容はともかくとして,使用者は,平成24年当時,仕事の負担が急に増えたり,職場でサポートが得られないといった事由から,労働者がうつ病になり,自殺に至る場合もあり得ることを認識できたのであるから,うつ病発症の原因となる事実ないし状- 30 - 況を認識し,あるいは容易に認識することができた場合には,労働者が業務上の原因で自殺することを予見することが可能であったというべきである。 そして,被控訴人C及び被控訴人Aによる違法な注意・叱責とこれについて被控訴人会社が適切な対応を取らなかったこと,及びEの業務内容や業務分配の見直しをすべき義 ることが可能であったというべきである。 そして,被控訴人C及び被控訴人Aによる違法な注意・叱責とこれについて被控訴人会社が適切な対応を取らなかったこと,及びEの業務内容や業務分配の見直しをすべき義務があったのにこれをしなかったということを,被控訴人会社は認識し,あるいは容易に認識できるものであったから,被控訴人会社にはEの自殺について予見可能性があったというべきである。被控訴人会社の主張は,採用することができない。 イ被控訴人会社は,Eが,生前,Fと交際しており,亡くなる前日に同人から別れ話を持ち出されたことがEの自殺の原因となった可能性がある旨主張し,Q作成の陳述書(乙58)には同主張に沿う記載部分があるものの,そのような話を聞いたという伝聞であって,これを裏付ける具体的な証拠はない。被控訴人会社の主張は採用することができない(なお,前示1(7)ウのとおり,Eは自殺する11日前に「今回は絶望的ですかね。もう会えないかもですね。昔みたいな衝撃はないけど,散々振り回された結果がこれだと虚しすぎて,いっそ笑えてくる。」「最後の言葉くらいは言いたかったのう…」とツイッターに投稿していることが認められるが,これがうつ病の発症の原因となったとか,自殺の原因であることを認めるに足りる証拠はない。)。 ウ被控訴人会社は,Eはうつ病を発症していない,心理的負荷の程度を「強」と評価することはできない,被控訴人会社の不法行為とEの自殺との間に因果関係はない,Eの自殺の予見可能性はなかったなどとその他縷々主張するが,いずれも上記認定説示に反するか,上記結論を左右するものではなく,採用することができない。 6 争点(5)(損害額)について(1) 被控訴人会社が支払うべき損害賠償額についてア前示5のとおり,被控訴人会社の不法 か,上記結論を左右するものではなく,採用することができない。 6 争点(5)(損害額)について(1) 被控訴人会社が支払うべき損害賠償額についてア前示5のとおり,被控訴人会社の不法行為(使用者責任を含む)とEの死- 31 - 亡との間には相当因果関係があるから,被控訴人会社はこれによりE及び控訴人らが被った損害を賠償する義務がある。 そこで,以下,E及び控訴人らが被った損害について検討する。 イ Eの被った損害(ア) 逸失利益(請求額:3759万5260円)補正後の前示1(6)のとおり,Eの死亡時における賃金は月15万5110円であった。また,補正後の前示1(6)のとおり,Eは平成23年7月及び12月に各11万円の特別給与の支払を受けているが,これは賞与としての性格を有するものと考えられる。さらに,補正後の前示1(6)のとおり,Eに支払われるべき時間外手当は,平成24年1月分賃金から同年6月分賃金までの6か月間の合計は37万7827円であったことが認められる。 そうすると,逸失利益算定におけるEの基礎収入(年額)については,月額賃金15万5110円の12か月分である186万1320円に,上記6か月間の時間外手当の2倍である75万5654円及び上記賞与分(年額22万円)を加算した283万6974円とするのが相当である。 また,就労可能年数は,Eの死亡時の年齢(21歳)から67歳までの46年間(ライプニッツ係数は17.880)とするのが相当である。 さらに,生活費控除率は,Eの年齢等を考慮すると,30%とするのが相当である。 したがって,Eの逸失利益は,3550万7566円(283万6974円×17.880×(1-0.3)。円未満切捨(以下同じ)。)となる。 (イ) すると,30%とするのが相当である。 したがって,Eの逸失利益は,3550万7566円(283万6974円×17.880×(1-0.3)。円未満切捨(以下同じ)。)となる。 (イ) 慰謝料(請求額:2500万円)被控訴人C及び被控訴人Aによる違法な注意・叱責の態様や期間,Eが担当した本件配置転換後業務の負荷及び期間,並びに被控訴人会社がこれを改善ないし見直しをしなかったことによりEがうつ病を発症し,その後,- 32 - 21歳で自殺するに至ったことなど,本件に現れた一切の事情を考慮すると,Eが被った精神的苦痛に対する慰謝料は2000万円とするのが相当である。 (ウ) 葬祭料(請求額:150万円)死亡時のEの年齢等を考慮すると,被控訴人会社の不法行為と相当因果関係にある葬祭料は,150万円とするのが相当である。 (エ) 合計上記(ア)ないし(ウ)の合計額は,5700万7566円となる。 ウ控訴人らの損害(請求額:慰謝料各250万円)上記イ(イ)記載の事情によりEが自殺するに至ったことなど本件に現れた一切の事情を考慮すると,控訴人ら各自において慰謝すべき固有の精神的苦痛が生じたと認められ,これを慰謝するための慰謝料は各100万円とするのが相当である。 エ損害の填補控訴人らは,上記イのEの損害(5700万7566円)の2分の1である2850万3783円をEからそれぞれ相続した。 そして,控訴人Dは,労働者災害補償保険から,遺族一時金693万8000円及び葬祭料一時金52万3140円を受け取っている(甲29,30)から,同額を上記相続したEの損害額(ただし,逸失利益及び葬祭料)から控除すると,残損害額は2104万2643円と 693万8000円及び葬祭料一時金52万3140円を受け取っている(甲29,30)から,同額を上記相続したEの損害額(ただし,逸失利益及び葬祭料)から控除すると,残損害額は2104万2643円となる。 これに上記ウの控訴人ら固有の慰謝料(100万円)を加算すると,控訴人Bの損害額は2950万3783円,控訴人Dの損害額は2204万2643円となる。 オ弁護士費用(請求額:控訴人B331万0355円,控訴人D256万5241円)上記エの控訴人らの各損害額などを考慮すると,被控訴人会社の不法行為- 33 - と相当因果関係にある弁護士費用は,控訴人Bについて240万円,控訴人Dについて180万円とするのが相当である。 カ以上によれば,被控訴人会社は,控訴人Bに対し3190万3783円,控訴人Dに対し2384万2643円を賠償する義務があることになる。 (2) 被控訴人C及び被控訴人Aが支払うべき損害賠償額についてア補正後の前示2のとおり,被控訴人Cの不法行為は,平成23年秋以降,Eに対し,「てめえ。」「あんた,同じミスばかりして。」などと厳しい口調で叱責し,控訴人Dから被控訴人会社に対してEのことで相談の電話があった後もEのミスがなくならなかったことから,Eに対し,「親に出てきてもらうくらいなら,社会人としての自覚を持って自分自身もミスのないようにしっかりしてほしい。」と述べ,本件配置転換後は,Eを頻繁にEDP室に呼び出し,被控訴人Aとともに叱責していたほか,自身でも別途Eを叱責していたというものである。 また,補正後の前示3のとおり,被控訴人Aの不法行為は,本件配置転換後業務に関し,Eに対し,(被控訴人C在席時は同人とともに)強い口調で注意・叱責するというもので,同じ注意・叱 いうものである。 また,補正後の前示3のとおり,被控訴人Aの不法行為は,本件配置転換後業務に関し,Eに対し,(被控訴人C在席時は同人とともに)強い口調で注意・叱責するというもので,同じ注意・叱責を何回も繰り返し,相応に長い時間にわたることもあったというものである。 被控訴人C及び被控訴人Aの上記各行為は,Eに対し精神的苦痛を与えるものであったことは明らかであるから,Eが被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払うべき義務があるというべきである。 一方,被控訴人C及び被控訴人Aの上記各行為の態様等を考慮すると,控訴人らに慰謝すべき固有の精神的苦痛が生じたとまでは認められない。 イ上記アのとおり,本件配置転換後のEに対する注意・叱責は,被控訴人A及び被控訴人Cが一緒になってしたものと,被控訴人A及び被控訴人Cが単独でしたものとが混在しているが,その割合などは不明であるので,被控訴人A及び被控訴人Cが一緒になって注意・叱責したことによるEの損害の算- 34 - 定において,被控訴人A及び被控訴人Cが各自で行った注意・叱責を含めて考慮するのが相当である。 ①被控訴人Cが単独でEを注意・叱責したのは平成23年秋以降から平成24年3月31日までであり,②平成24年4月1日以降は被控訴人C及び被控訴人Aが一緒になって注意・叱責をしているところ,その叱責の態様などを考慮すると,被控訴人Cの上記①における不法行為によりEが被った精神的苦痛に対する慰謝料は50万円,被控訴人C及び被控訴人Aの上記②における不法行為によりEが被った精神的苦痛に対する慰謝料は50万円とするのが相当である。 したがって,被控訴人Cが賠償すべき損害額は100万円(うち50万円は被控訴人Aと連帯),被控訴人Aが賠償すべき損害額は50万円(全額被控訴人Cと 対する慰謝料は50万円とするのが相当である。 したがって,被控訴人Cが賠償すべき損害額は100万円(うち50万円は被控訴人Aと連帯),被控訴人Aが賠償すべき損害額は50万円(全額被控訴人Cと連帯)ということになる。 ウ弁護士費用について控訴人らは,Eの上記イの損害について2分の1の割合でそれぞれ相続した。したがって,被控訴人Cは,控訴人らに対し,各50万円(うち各25万円は被控訴人Aと連帯)の損害賠償金を,被控訴人Aは,控訴人らに対し,各25万円(全額被控訴人Cと連帯)の損害賠償金の支払義務がある。 そして,被控訴人C及び被控訴人Aが支払うべき弁護士費用は,上記損害額の1割とするのが相当であるから,被控訴人Cは,控訴人らに対し,各55万円(うち各27万5000円は被控訴人Aと連帯)を,被控訴人Aは,控訴人らに対し,各27万5000円(全額被控訴人Cと連帯)を,それぞれ支払う義務があるということになる。 エ被控訴人Cは,①Eの両親である控訴人らですらEの自殺に至る心情,原因を明確に把握できなかったこと,②Eの親族にうつ病患者がいることからすれば,Eには自殺親和性が極めて高い素因があった旨主張する(争点(6))。 しかし,①及び②が自殺親和性が高いことを裏付ける事情ということはでき- 35 - ないから,被控訴人Cの主張は採用することができない。 また,被控訴人Cは,当審において,慰謝料は多くとも30万円程度が相当である旨主張する。しかし,被控訴人CのEに対する叱責の態様や期間などを考慮すると慰謝料は合計100万円とするのが相当である。被控訴人Cの主張は,採用することができない。 (3) 被控訴人らが支払うべき損害額について被控訴人会社が控訴人らに対し支払うべき上記(1)の損害に 計100万円とするのが相当である。被控訴人Cの主張は,採用することができない。 (3) 被控訴人らが支払うべき損害額について被控訴人会社が控訴人らに対し支払うべき上記(1)の損害には,被控訴人C及び被控訴人Aの不法行為による上記(2)の損害が含まれており,この部分については,被控訴人C及び被控訴人Aは被控訴人会社と連帯して賠償責任を負う。 したがって,(ア)被控訴人会社は,①控訴人Bに対し,3190万3783円(うち27万5000円は被控訴人Cと連帯して,うち27万5000円は被控訴人A及び被控訴人Cと連帯して),②控訴人Dに対し,2384万2643円(うち27万5000円は被控訴人Cと連帯して,うち27万5000円は被控訴人A及び被控訴人Cと連帯して)の損害賠償義務があり,(イ)被控訴人Cは,①控訴人Bに対し,55万円(うち27万5000円を被控訴人会社と連帯して,うち27万5000円を被控訴人会社及び被控訴人Aと連帯して),②控訴人Dに対し,55万円(うち27万5000円を被控訴人会社と連帯して,うち27万5000円を被控訴人会社及び被控訴人Aと連帯して)の損害賠償義務があり,(ウ)被控訴人Aは,①控訴人Bに対し,被控訴人会社及び被控訴人Cと連帯して27万5000円,②控訴人Dに対し,被控訴人会社及び被控訴人Cと連帯して27万5000円の損害賠償義務があるということになる。 (4) 被控訴人会社の債務不履行による損害及びその額は,上記(3)を超えるものとは認められないから,特に判断しない。 第4 結論- 36 - よって,控訴人らの被控訴人会社に対する本件控訴及び被控訴人Aの本件附帯控訴に基づき,控訴人らの被控訴人会社及び被控訴人Aに対する請求に関し結論を異にする原判決を変更し,控訴人ら 6 - よって,控訴人らの被控訴人会社に対する本件控訴及び被控訴人Aの本件附帯控訴に基づき,控訴人らの被控訴人会社及び被控訴人Aに対する請求に関し結論を異にする原判決を変更し,控訴人らの被控訴人A及び被控訴人Cに対する本件控訴並びに被控訴人会社及び被控訴人Cの本件附帯控訴はいずれも理由がないから,棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部 裁判長裁判官永野圧彦 裁判官田邊浩典 裁判官鈴木幸男
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