【DRY-RUN】○ 主文 一 原告の請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が、原告の昭和五七年分の所得税について、昭和五九年一二月二六
○ 主文一原告の請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が、原告の昭和五七年分の所得税について、昭和五九年一二月二六日付でした更正処分のうち分離課税に係る長期譲渡所得金一六万五四六二円を超える部分及び同日付でした過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 2 被告が、原告の昭和五八年分の所得税について、昭和五九年一二月二六日付でした更正処分のうち分離課税に係る長期譲渡所得金一六七万〇三九三円を超える部分及び同日付でした過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 控訴費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 原告は、不動産賃貸を業としているものであるが、昭和五八年三月一〇日及び同五九年三月一四日、被告に対し、別表1記載のとおり、それぞれ同五七年分及び同五八年分の各所得税について、確定申告をした(以下「本件各申告」という。) 2 被告は、本件各申告に対し、昭和五九年一二月二六日付で、別表2記載のとおり、それぞれ更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をし、原告は、同月二八日、その旨の通知を受けた。 3 原告は、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分について、昭和六〇年二月二五日、被告に異議申立てをしたが、同年一〇月二二日、これを棄却され、さらに、同年一一月二〇日、国税不服審判所長に審査請求をしたが、同六三年四月二五日付でこれを棄却され、同年五月一三日、その旨の通知を受けた。 4 しかしながら、原告の昭和五七年分及び同五八年分の分離課税に係る長期譲渡所得(以下「分離長期譲渡所得」という。)金額は、それぞれ順次金一六万五四六二円及び金一六七万〇 日、その旨の通知を受けた。 4 しかしながら、原告の昭和五七年分及び同五八年分の分離課税に係る長期譲渡所得(以下「分離長期譲渡所得」という。)金額は、それぞれ順次金一六万五四六二円及び金一六七万〇三九三円であるので、本件各更正処分のうち、昭和五七年分については分離長期譲渡所得金一六万五四六二円を、同五八年分については分離長期譲渡所得金一六七万〇三九三円をそれぞれ超える部分及び本件各賦課決定処分はいずれも違法である。 5 よって、原告は、被告に対し、本件各更正処分のうち、昭和五七年分については分離長期譲渡所得金一六万五四六二円を、同五八年分については分離長期譲渡所得金一六七万〇三九三円をそれぞれ超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の事実は認める。 3 同3の事実は認める。 4 同4の事実は否認する。 三被告の主張 1 原告は、別表3記載(換地処分後の表示による。)のとおり、昭和五七年中及び同五八年中に同表譲渡資産番号1及び3の資産(以下、同表譲渡資産番号1の資産を「本件1土地」といい、本件1土地と同表譲渡資産番号3の資産とを併せて「本件各土地」という。)を譲渡し、本件各土地の買換資産としてそれぞれ同表取得資産番号1及び3の資産(以下、同表取得資産番号1の資産を「本件建物」という。)を取得したところ、分離長期譲渡所得金額について租税特別措置法(以下「特措法」という。)三七条一項(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)の適用があるものとして本件各申告をした。 2 しかしながら、本件各土地は、以下のとおり、特措法三七条一項所走の「事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の用に供しているもの」という要件を充足していない。 (一) 事業の意 。 2 しかしながら、本件各土地は、以下のとおり、特措法三七条一項所走の「事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の用に供しているもの」という要件を充足していない。 (一) 事業の意義特措法三七条一項所定の「事業」とは、対価を得て継続的に行う事業、換言すれば、営利を目的とする継続的行為であって社会通念上の事業と認められるものを指称するところ、右「事業」には、特措法施行令二五条二項の規定する「事業と称するにいたらない不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う」事業に準ずるものも含まれるが、特措法三七条一項の適用上、不動産等の貸付けが継続的に行われるものか否かについては、原則として、その貸付時において、当該貸付けが相当の期間継続して行われることが予定されていたか否かにより決するのが相当である。そして、貸付けが相当の期間継続して行われることが予定されていたか否かについては、賃貸借契約の内容、貸付不動産等の利用状況その他諸般の事情を総合勘案して決すべきである。 (二) 本件各土地の事業性(1) 原告は、昭和五六年三月二日、原告が代表取締役となり不動産売買、斡旋業務及びスクラップ業務等を行うことを目的とする訴外株式会社長安不動産(以下「訴外会社」という。)を設立し、同日、同会社との間において、原告所有に係る本件各土地を含む総面積約九万〇六一四平方メートル(当時)の七三筆の土地(以下「本件貸付地」という。)について、賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結した。 (2) そして、右当時における本件賃貸借契約の内容及び本件各土地を含む本件貸付地の利用状況等は、以下のとおりであった。 (ア) 本件貸付地のうち本件各土地を含む約九万〇二一五平方メートルは、沖縄市による土地区画整理事業施行地区内に所 貸借契約の内容及び本件各土地を含む本件貸付地の利用状況等は、以下のとおりであった。 (ア) 本件貸付地のうち本件各土地を含む約九万〇二一五平方メートルは、沖縄市による土地区画整理事業施行地区内に所在し、本件賃貸借契約締結日までに約三万九七四七平方メートル、同日以降に約二万一五二一平方メートル、合計約六万一二六八平方メートルの仮換地の使用収益の許可がされた(なお、これらの土地は、その後、いずれも仮換地の位置に換地処分がされた。)。 (イ) 本件賃貸借契約の賃借人たる訴外会社は、資本金一〇〇〇万円の株式会社で、その株式の六五パーセントを原告が、五パーセントを原告の長女である訴外Aが、五パーセントを同女の夫である訴外Bがそれぞれ所有し、合計七五パーセントを原告の一族が所有する同族会社である。 (ウ) 本件賃貸借契約は、建物所有を目的とするものではなく、賃貸借契約期間が全く定められておらず、また、原告が解約の申入れをすれば、訴外会社は本件貸付地を一年以内に無条件で返還しなければならず、一部解約の場合は三か月以内に右解約に係る土地を返還しなければならないというものである。 (エ) 原告は、本件各土地を含む本件貸付地の一部について、別表4記載(換地処分後の表示による。)のとおり、譲渡等をした(訴外沖縄県住宅供給公社に対する譲渡分を除く。)。しかも、原告は、右譲渡等を行うに際し、訴外会社に対し、事前に本件賃貸借契約の一部解約を申し入れたことはなく、譲渡等の後、訴外会社の取締役会等で報告し承認を受けたにすぎない。そして、右譲渡等により、本件賃貸借契約に係る土地の面積が減少したにもかかわらず、その後、賃料額の改訂は行われなかった。 (オ) 本件各土地を含む別表4記載の土地は、その譲渡等に至るまでの間、訴外会社の業務の用に供されたことはなく、また、本件各更正 面積が減少したにもかかわらず、その後、賃料額の改訂は行われなかった。 (オ) 本件各土地を含む別表4記載の土地は、その譲渡等に至るまでの間、訴外会社の業務の用に供されたことはなく、また、本件各更正処分のされた昭和五九年一二月ころ、本件賃貸借契約に係る土地のうち、現に訴外会社の業務の用に供されていた土地の総面積は約一万二三三五平方メートルであり、これは本件貸付地全体の約二〇パーセントにすぎなかった。 (カ) 訴外会社は、設立時において、業務を行うための事務所を有しておらず、原告が本件1土地を譲渡したことによる買換資産である本件建物を原告から賃借して以後業務のための事務所として使用している。 (キ) 訴外会社は、設立後三年しても、従業員は一名であり、事業規模も小さく約一〇〇〇万円の赤字を出している状況であり、本件各更正処分のされた昭和五九年一二月ころにおいても、本件貸付地全体について、業務の用に供する具体的計画を有していなかった。 (3) 右(2)の(ア)ないし(キ)に記載の各事実を総合考慮すれば、原告は、本件賃貸借契約締結当初から本件各土地を他に転売することを予定し、これを訴外会社に賃貸する意思はなかったということができ、仮にそうでないとしても、本件賃貸借契約締結当時において、本件各土地を継続的に訴外会社に賃貸することを予定していなかったことは明らかである。 3 (一)右のとおり、本件各土地は、いずれも特措法三七条一項所定の「事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の用に供しているもの」という要件を充足していないので、原告は同条項の適用を受けることはできない。よって、原告の昭和五七年分及び同五八年分の分離長期譲渡所得金額は、別表5記載のとおり、それぞれ順次金二八六六万五四六二円及び金一四五八万一四〇〇円となる。 (二) 原告 用を受けることはできない。よって、原告の昭和五七年分及び同五八年分の分離長期譲渡所得金額は、別表5記載のとおり、それぞれ順次金二八六六万五四六二円及び金一四五八万一四〇〇円となる。 (二) 原告の昭和五七年分及び同五八年分の総合課税に係る総所得金額は、それぞれ順次合計金五〇六万五六四六円及び合計金三二四万〇六四六円であり、原告の右各年分の所得控除金額は、それぞれ順次合計金九一万八八六二円及び合計金六六万四〇二七円であり、原告の右各年分の源泉徴収税額は、それぞれ順次金五万七八〇〇円及び金五万六六〇〇円である。 (三) 右(一)、(二)に基づき原告の同五七年分及び同五八年分の納付すべき税額を計算すると、別表6記載のとおり、それぞれ順次金六三四万〇二〇〇円及び金三二〇万三二〇〇円となるので、本件各更正処分に原告主張のような違法な点は存しない。 4 また、以上によれば、本件各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法六五条四項所定の正当な理由があるとは認められないから、同条一項により原告の昭和五七年分及び同五八年分の過少申告加算税の額を計算すると、それぞれ順次金二八万五〇〇〇円及び金一二万九〇〇〇円となるので、本件各賦課決定処分に違法な点は存しない。 四被告の主張に対する原告の認否及び反論 1 被告の主張1の事実は認める。 2 同2冒頭の主張は争う。 (一) 同2(一)の主張は認める。 (二) (1)同2(二)(1)の事実は認める。 (2) (ア)同2(二)(2)(ア)の事実は認める。 (イ) 同2(二)(2)(イ)の事実は認める。 (ウ) 同2(二)(2)(ウ)の事実は認める。 本件賃貸借契約が建物所有を目的としないものであるとしても、法令又は信義則上の制約が )の事実は認める。 (イ) 同2(二)(2)(イ)の事実は認める。 (ウ) 同2(二)(2)(ウ)の事実は認める。 本件賃貸借契約が建物所有を目的としないものであるとしても、法令又は信義則上の制約が存するので、何時でも解約できる性質のものとは解されない。また、訴外会社は、同族会社とはいえ、原告以外の第三者も参加しているので、原告の一方的意思表示のみにより、契約条項を文言どおり実施することは不可能であり、原告にもその予定はなかった。さらに、本件賃貸借契約における解約予告期間(全部解約について一年、一部解約について三か月)の存在は、民法六一七条の規定に相応するもので、むしろ、賃貸人たる原告に制約を課したものというべきである。 (エ) 同2(二)(2)(エ)の事実は認める。 本件貸付地の一部の譲渡等は、訴外C及び同合資会社久場商会に対する譲渡を除き、親族に対する譲渡又は自用への転用であり、訴外C及び同合資会社久場商会に対する譲渡も本件貸付地全体の片隅に位置する僅少な面積の土地に係るものであり、これらの譲渡等は本件賃貸借契約に殆ど影響を及ぼさないものである。また、本件貸付地の一部の譲渡等にもかかわらず、本件賃貸借契約の賃料額の改訂がされなかったのは、賃料額が元々安価であったこと及び本件賃貸借契約に係る土地の面積の減少の割合が微々たるものであったことによるものである。 (オ) 同2(二)(2)(オ)の事実は認める。 本件各土地は、本件貸付地の一部であり、位置関係において他の貸付地と接続し、用途において共通の目的で使用されていたのであるから、本件各土地にのみ着目してこれが使用されていなかったとするのは、訴外会社の事業敷地の使用状況を無視した観念的な見方である。また、昭和五九年一二月ころ、訴外会社は、自動車を三台積み重ねるという置き方で本件貸付地を使用して てこれが使用されていなかったとするのは、訴外会社の事業敷地の使用状況を無視した観念的な見方である。また、昭和五九年一二月ころ、訴外会社は、自動車を三台積み重ねるという置き方で本件貸付地を使用していた。これは、訴外会社の従業員が人手不足や管理がしやすいことを理由に、一台ずつ置くようにとの訴外会社の指示に従わなかったためであり、訴外会社の指示どおりの置き方をしていたならば、当時でも、本件貸付地の約六〇パーセントが使用されていたこととなる。また、事業というものは、創業当初は稼働率が低く、事業施設の一部の使用で足りるものであるが、次第に事業規模が拡大するにしたがって事業施設全部を使用するようになるのが通常である。訴外会社は、現在では、本件賃貸借契約に係る土地の九〇パーセント以上を使用し、保有車両台数は二七〇〇台、年商金一〇〇〇万円を超えるに至っている。 (カ) 同2(二)(2)(カ)の事実は認める。 訴外会社は、設立の約六か月前から原告の個人企業として自動車解体の事業を開始していたが、同業者と同様に事務所用の建物は造らず、中古バスを事務所として使用していたものである。訴外会社は、経営が軌道に乗ってきたため、本件建物を原告から賃借して事務所として使用するようになったものである。 (キ) 同2(二)(2)(キ)の事実は否認する。 事業が次第に拡大していくという性質のものであることや訴外会社の事業が次第に拡大したことは前記(オ)のとおりである。また、訴外会社は、設立後、昭和五六年七月から同五七年一月まで従業員が一名であった期間を除けば、常時複数(二、三名)の従業員を使用していた。なお、自動車解体業は、広大な土地を使用するものではあるが、事業に要する人員は少ないものである。因みに、訴外会社の従業員の数は、現在においても、二名である。 (3) 同2(二) 従業員を使用していた。なお、自動車解体業は、広大な土地を使用するものではあるが、事業に要する人員は少ないものである。因みに、訴外会社の従業員の数は、現在においても、二名である。 (3) 同2(二)(3)の主張は争う。 原告が本件各土地を譲渡したのは、買換資産を取得するための資金繰り等の事業上必要があったからである。 3 (一)同3(一)の主張は争う。 (二) 同3(二)の事実は認める。 (三) 同3(三)の主張は争う。 4 同4の主張は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の存在等について請求原因1ないし3の各事実(本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の存在等)はいずれも当事者間に争いがない。 二本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の適法性について 1 被告の主張1の事実(原告が特措法三七条一項の適用があるものとして本件各申告をしたこと)は当事者間に争いがなく、被告は、本件各土地は特措法三七条一項所定の「事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)を用に供しているもの」という要件を充足していないので、原告は同条項の適用を受けることはできない旨主張するので、この点について判断する。 2 被告の主張2の(一)の主張及び(二)(1)の事実(本件賃貸借契約の締結等)は当事者間に争いがない。 ところで、特措法三七条一項所定の「事業」には、「事業に準ずるものとして政令で定めるもの」を含まれるところ、特措法施行令二五条二項は、右「事業に準ずるもの」について、「事業と称するにいたらない不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」と規定している。そして、特措法三七条一項の適用上、不動産等の貸付けが継続的に行われるものか否かについては、貸付時において、その貸付けが相当の期間継続 に類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」と規定している。そして、特措法三七条一項の適用上、不動産等の貸付けが継続的に行われるものか否かについては、貸付時において、その貸付けが相当の期間継続して行われることが予定されていたか否かにより決すべきものであり、右貸付けが相当の期間継続して行われることが予定されていたか否かは、賃貸借契約の内容、貸付不動産等の利用状況その他諸般の事情を総合して判断すべきものと解される。 そこで、本件各土地の貸付けが、本件賃貸借契約締結の当初において、継続的に行われることが予定されていたか否かについて、判断する。 3 被告の主張2(二)(2)の(ア)ないし(カ)の各事実はいずれも当事者間に争いがなく、右当事者間に争いのない事実に、成立に争いのない乙第八、第九号証、第二三号証、第二六号証、証人D及び同E(後記措信しない部分を除く。)の各証言、原告本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の各事実が認められ、証人E及び原告本人の各供述中右認定に反する部分は前掲各証拠に照らし措信できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 (一) 本件賃貸借契約の賃借人である訴外会社は、自動車解体業を主たる営業目的とし、代表取締役が原告、取締役がその一族又は知人で、その株式の七五パーセントを原告及びその一族が所有する株式会社である。 (二) 本件賃貸借契約は、その締結に際して敷金の授受が行われていないうえ、本件貸付地周辺の宅地の賃料額が、三・三平方メートル当たり金約一〇〇円であったのに対して、本件賃貸借契約当初の賃料額は、三・三平方メートル当たり金約一〇円(仮換地の面積に基づく計算)であった。また、当時、本件貸付地に課せられる年間の固定資産税の額が、合計金約一六〇万円ないし金約一八〇万円であっ 借契約当初の賃料額は、三・三平方メートル当たり金約一〇円(仮換地の面積に基づく計算)であった。また、当時、本件貸付地に課せられる年間の固定資産税の額が、合計金約一六〇万円ないし金約一八〇万円であったのに対し、本件賃貸借契約における年間賃料額は、合計金約二四〇万円であり、本件賃貸借契約による原告の年間の実収入は、合計金約六〇万円ないし金約八〇万円であった。以上の賃料額は、原告が、特措法施行令二五条一項所定の「相当の対価」に低触しない範囲内になるように定めたものである。 (三) 本件賃貸借契約は、自動車解体のための使用のみを目的とするものであって借地法所定の建物所有を目的とするものではないうえ、期間の定めがないもので、原告が解約の申入れをすれば、訴外会社は本件貸付地を一年以内に無条件で返還しなければならず、一部解約の場合は三か月以内に右解約に係る土地を返還しなければならないというものである。さらに、本件賃貸借契約条項には、契約の一部解約に係る土地の面積が契約に係る土地の総面積を年間で五パーセントを超えた場合は、面積比例において賃料額を改訂する旨の規定が存する。 (四) 原告は、本件賃貸借契約締結の約三か月後から、本件各土地を含む本件貸付地の一部について、別表4記載のとおり、譲渡等をした(訴外沖縄県住宅供給公社に対する譲渡分を除く。)。そして、その際、原告は、訴外会社に対し、事前に本件賃貸借契約の一部解約を申し入れたことはなく、譲渡等の後、訴外会社の取締役会等で報告し承認を受けたにすぎない。また、右譲渡等により、本件賃貸借契約に係る土地の面積が減少したにもかかわらず、その後、賃料額の改訂は行われなかった。 (五) 本件各土地を含む別表4記載の土地は、その譲渡等に至るまでの間、訴外会社の業務の用に供されたことはなく、また、本件各更正処分のされた たにもかかわらず、その後、賃料額の改訂は行われなかった。 (五) 本件各土地を含む別表4記載の土地は、その譲渡等に至るまでの間、訴外会社の業務の用に供されたことはなく、また、本件各更正処分のされた昭和五九年一二月ころ、本件賃貸借契約に係る土地のうち、現に訴外会社の業務の用に供されていた土地の総面積は約一万二三三五平方メートルであり、これは本件貸付地全体の約二〇パーセントにすぎなかった。 4 右認定事実によれば、(1)本件賃貸借契約の賃借人は、原告がその経営の実権を有するいわゆる同族会社であること、(2)本件賃貸借契約の賃料額は、右契約が建物所有を目的とするものでないことを勘案しても、本件貸付地の全体の面積に比して安価であること、(3)原告は、本件賃貸借契約の締結に際し、特措法の適用を考慮して賃料額を定めたこと、(4)本件賃貸借契約は、原告からの一方的な解約が何時でも可能であり、また、一部解約も予定されていたこと、(5)本件各土地を含む別表4記載の土地は、その譲渡に至るまで訴外会社の事業の用に供されたことはなかったこと、(6)昭和五九年一二月ころにおいても、本件賃貸借契約に係る土地のうち、現に訴外会社の業務の用に供されていた土地の割合は、約二〇パーセントにすぎなかったこと、(7)本件賃貸借契約締結のわずか約三か月後から別表4記載の土地の譲渡等が繰り返し行われ、本件各土地の譲渡もそのうちの二件であること、(8)右譲渡等にもかかわらず、結局、本件賃貸借契約の賃料額の改訂は行われなかったこと等の諸点が明らかであり、以上の諸点に鑑みれば、原告が本件賃貸借契約締結の当初において、本件各土地の貸付けを相当の期間継続して行うことを予定していなかったことを推認するに十分である。 5 ところで、原告は、右3に認定の事実によっては、原告が本件賃貸借契約締結 借契約締結の当初において、本件各土地の貸付けを相当の期間継続して行うことを予定していなかったことを推認するに十分である。 5 ところで、原告は、右3に認定の事実によっては、原告が本件賃貸借契約締結の当初において本件各土地の貸付けを継続的に行うことを予定していなかったことを推認することはできない旨反論する。そこで、以下、これらの反論について検討することとする。 (一) 原告は、本件賃貸借契約は、法令又は信義則上の制約が存するので、何時でも解約できる性質のものとは解されず、また、訴外会社には、原告以外の第三者も参加しているので、原告の一方的意思表示のみにより解約することは不可能であり、さらに、本件賃貸借契約における解約予告期間の存在は、民法六一七条の規定に相応するもので、むしろ、賃貸人たる原告に制約を課したものというべきである旨反論する。 しかしながら、本件賃貸借契約における一部解約に関する解約予告期間(三か月)は、民法六一七条所定の期間(一年)を緩和しており、原告にとってより有利なものであることが明らかであるうえ、本件賃貸借契約締結の約三か月後から別表4記載のとおり、本件貸付地の一部の譲渡等が繰り返し行われている。また、右譲渡等の際、原告は本件賃貸借契約の一部解約の申入れをせず、事後的に訴外会社の取締役会等で報告し承認を受けたにすぎないことは、原告の自認するところである。右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (二) 原告は、本件貸付地の一部の譲渡等は、大部分が親族に対する譲渡又は自用への転用であり、それ以外の譲渡も本件貸付地全体の片隅に位置する僅少な面積の土地に係るもので、これらの譲渡等は本件賃貸借契約に殆ど影響を及ぼさないものである旨反論する。 しかしながら、本件賃貸借契約の一部解約に係る土地の譲渡等が、親族に対する 体の片隅に位置する僅少な面積の土地に係るもので、これらの譲渡等は本件賃貸借契約に殆ど影響を及ぼさないものである旨反論する。 しかしながら、本件賃貸借契約の一部解約に係る土地の譲渡等が、親族に対する譲渡であろうと自用への転用であろうと、賃借人たる訴外会社にとっては、一部解約に係る土地が使用できなくなることには変わりがないうえ、本件賃貸借契約の一部解約に係る土地の面積は、本件貸付地全体の面積の一〇パーセントを超えている。 右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (三) 原告は、本件貸付地の一部の譲渡等にもかかわらず、本件賃貸借契約の賃料額の改訂がされなかったのは、賃料額が元々安価であったこと及び本件賃貸借契約に係る土地の面積の減少の割合が微々たるものであったことによるものである旨反論する。 しかしながら、本件賃貸借契約の賃料額が元々安価であったことは、むしろ、本件賃貸借契約において一部解約が予定されていたことを基礎付ける事実であるうえ、本件賃貸借契約の一部解約に係る土地の面積は、本件貸付地全体の面積の一〇パーセントを超えており、決して微々たるものとはいい難い。右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (四) 原告は、本件各土地は、位置関係において他の本件貸付地と接続し用途において共通の目的で使用されていたのであるから、本件各土地にのみ着目してこれが使用されていなかったとするのは観念的な見方である旨反論する。 しかしながら、前掲乙第二三号証及び成立に争いのない乙第九号証によれば、本件各土地は、沖縄市<地名略>、同市<地名略>、同<地名略>付近に隣接ないし近接して点在する本件貸付地の一部であることが認められるし、原告の反論するように本件各土地と他の本件貸付地とが位置関係において接続しているのであれば、これを敢 地名略>、同<地名略>付近に隣接ないし近接して点在する本件貸付地の一部であることが認められるし、原告の反論するように本件各土地と他の本件貸付地とが位置関係において接続しているのであれば、これを敢えて使用していなかった事実は、むしろ、相当の期間にわたる継続的賃貸の予定がなかったとの前記4の推認を合理的ならしめるものということができる。右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (五) 原告は、昭和五九年一二月ころ、約二〇パーセントの土地しか使用されていなかったのは、従業員が管理の容易性等を理由に、自動車を一台ずつ置くようにとの訴外会社の指示に従わず、自動車を三台積み重ねて置いたためであり、右指示に従っていたならば、当時でも本件貸付地の約六〇パーセントが使用されていたこととなる旨反論し、証人Eも同旨の供述をする。 しかしながら、本件賃貸借契約に係る土地が右(四)に認定のとおり点在していることに鑑みれば、訴外会社の指示に係る昭和五九年一二月当時の車両の置き方の方が管理の面で容易であるということ自体首肯し難いものである。右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (六) 原告は、事業規模は次第に拡大していく性質のものであり、訴外会社は、現在では、本件賃貸借契約に係る土地の九〇パーセント以上を使用している旨反論し、原告本人尋問の結果によれば、訴外会社は、現在では、自動車解体業部門で年間金約一〇〇〇万円の売上げがあり、本件賃貸借契約に係る土地の約九〇パーセントを使用している事実が認められ、右認定に反する証拠はない。 しかしながら、原告本人尋問の結果によれば、訴外会社の自動車解体業部門は右売上げにもかかわらず現在においても年間金約一〇〇万円の赤字を出していることが認められるうえ、訴外会社の右土地使用割合約九〇パーセントは ら、原告本人尋問の結果によれば、訴外会社の自動車解体業部門は右売上げにもかかわらず現在においても年間金約一〇〇万円の赤字を出していることが認められるうえ、訴外会社の右土地使用割合約九〇パーセントは、あくまでも現在におけるもので、かつ、本件各土地や別紙4記載の土地等の譲渡後になお残存する本件賃貸借契約に係る土地の総面積に対するものであること等に照らせば、原告の前記反論をもっては、本件各土地について相当の期間にわたる継続的賃貸の予定がなかったとの前記4の推認を覆すことは困難というべきである。 (七) 原告は、本件各土地を譲渡したのは、買換資産を取得するための資金繰り等の事業上必要があったからである旨反論する。 しかしながら、本件各土地の譲渡は、いずれも買換資産の取得後約一年経過して行われたものであるうえ、本件各土地と同様に譲渡等がされている本件貸付地の一部には、自用への転用や他への贈与がされているものが多く存することは原告の自認するところであるから、右のような転用等によっては、買換資金取得のための資金繰りを得ることはできないものといわなければならない。右の点に照らすと、原告の前記反論は採用することができない。 (八) 以上のとおりであるから、前記3に認定の事実によっては、本件賃貸借契約締結の当初において本件各土地の貸付けを継続的に行うことを予定していなかったことを推認することはできない旨の原告の前記反論は、いずれもこれを採用することができない。 6 以上のとおり、本件各土地については、特措法三七条一項所定の「事業(事業に準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の用に供しているもの」という要件充足性が認められないから、原告は、昭和五七年分及び同五八年分の各分離長期譲渡所得税額について、いずれも特措法三七条一項所定の事業用資産の買換えの場合の のを含む。)の用に供しているもの」という要件充足性が認められないから、原告は、昭和五七年分及び同五八年分の各分離長期譲渡所得税額について、いずれも特措法三七条一項所定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の適用を受けることはできないものといわなければならない。 7 原告の右各年分の分離長期譲渡所得に係る資産の譲渡価格がそれぞれ順次金三一二三万〇七六九円及び金一六五〇万円であること、右各年分の分離長期譲渡所得に係る資産の取得費がそれぞれ順次金一五六万一五三八円及び金八二万五〇〇〇円であること、右各年分の分離長期譲渡所得に係る資産の譲渡に要した費用がそれぞれ順次金三七六九円及び金九万三六〇〇円であること(以上につき、被告の主張1及び別表3参照)及び被告の主張3(二)の事実(原告の右各年分の所得控除額及び源泉徴収額)は、いずれも当事者間に争いがない。 以上に基づき原告の昭和五七年分及び同五八年分の分離長期譲渡所得金額を計算すると、別表5記載のとおり、それぞれ順次金二八六六万五四六二円及び金一四五八万一四〇〇円となり、さらに、原告の同五七年分及び同五八年分の納付すべき税額を計算すると、別表6記載のとおり、それぞれ順次金六三四万〇二〇〇円及び金三二〇万三二〇〇円となるので、本件各更正処分に原告主張のような違法な点は存しない。 8 また、前記3及び4の認定説示によれば、本件各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法六五条四項所定の正当な理由があるとはいえないので、同条一項により原告の昭和五七年分及び同五八年分の過少申告加算税の額を計算すると、それぞれ順次金二八万五〇〇〇円及び金一二万九〇〇〇円となるので、本件各賦課決定処分に違法な点は存しない。 三 ので、同条一項により原告の昭和五七年分及び同五八年分の過少申告加算税の額を計算すると、それぞれ順次金二八万五〇〇〇円及び金一二万九〇〇〇円となるので、本件各賦課決定処分に違法な点は存しない。 三結論よって、原告の本訴各請求は理由がないから、いずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官井上繁規河野清孝畑一郎)
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