【DRY-RUN】主 文 本件上告を却下する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 一、職権をもつて調査すると、上告人らは、本訴において、 (一) 上告人A
主 文 本件上告を却下する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 一、職権をもつて調査すると、上告人らは、本訴において、 (一) 上告人A1(以下、上告人A1という。)及び上告人A2株式会社(以 下、上告人A2という。)が、訴外A1(以下、Dという。)と被上告人B1電鉄 株式会社(以下、被上告人B1という。)との間において昭和三三年一二月一八日 締結されたホテル営業委託契約及び補足契約に基づき、並びに上告人A2及びDと 被上告人B1及び被上告人株式会社B2(以下、被上告人B2という。)との間に おいて昭和三八年四月二三日締結された覚書(以下、右ホテル営業委託契約、補足 契約及び覚書をまとめて本件委託契約という。)に基づき、東京都千代田区a町b 丁目所在Eの営業受託者であることを確認する、 (二) 上告人A2の代表取締役F(以下、Fという。)が被上告人B2雇傭の Eの総支配人であることを確認する、 (三) 被上告人両名は、FがEの総支配人としてなす一切の営業活動を妨害し てはならない、 (四) 被上告人両名は、新聞、雑誌、その他の出版物、ラジオ、テレビ等を通 じ又はその他の方法をもつて、上告人らの本件委託契約に基づく営業受託者として の地位が消滅した旨を標榜、表示してはならない、 (五) 被上告人両名が右(三)記載の不作為義務に違反してFの営業活動を妨害 し又は右(四)記載の不作為義務に違反して上告人らの本件委託契約に基づく営業受 託者としての地位が消滅した旨を標榜、表示したときは、被上告人両名は、いずれ も上告人A1及び上告人A2に対し、右妨害又は標榜、表示をした日以降右行為を - 1 - 中止するに至るまで一日につき金九〇五万七六七六円を支払え、 との各請求をしていることは、記録上、明らかであ れ も上告人A1及び上告人A2に対し、右妨害又は標榜、表示をした日以降右行為を - 1 - 中止するに至るまで一日につき金九〇五万七六七六円を支払え、 との各請求をしていることは、記録上、明らかである。 二、ところで、一つの訴をもつて数個の財産権上の請求をする場合、民事訴訟用 印紙法(明治二三年法律第六五号、以下同じ。)に従つて、その訴状又は上訴状に 貼用すべき印紙額算定の基礎となる訴額(以下、単に訴額というときはこの意味の 訴額をいう。)は、原則として請求の価額を合算して定めるべきであるが、数個の 請求の経済的利益が共通しているときは、請求の価額を合算して定めるべきではな く、数個の請求のうち最も多額な請求の価額によつて定めるべきである(同法二条 二項、民訴法二二条一項、二三条)。本件(一)ないし(五)の各請求は、いずれも財 産権上の請求であり、また、経済的利益を共通にするものであつて、本件(一)の請 求が最も多額な請求であることは明らかである。したがつて、本件訴額は、本件( 一)の請求の価額によることとなるが、右請求は、上告人A1及び上告人A2が、 本件委託契約に基づき、Eの営業受託者たる地位にあることの確認を求めるもので あるところ、記録によれば、上告人らは、この営業受託者たる地位に基づき委託手 数料(報賞金を含む。以下同じ。)の支払を受けるのであるから、(一)の請求の価 額は、起訴当時を基準として、本件委託契約の残存期間中に上告人らが支払を受け るべき委託手数料(以下、これを本件委託手数料という。)の額によつて定めるべ きである。 三、財産権上の請求であつて、その価額の算定が著しく困難なものについては、 裁判長又は裁判所は、その価額の算定にとつて重要な諸要因を確定し、これを基礎 とし、裁量によつて右請求の価額を評価算定しうるものと解するのが相当である。そ して 価額の算定が著しく困難なものについては、 裁判長又は裁判所は、その価額の算定にとつて重要な諸要因を確定し、これを基礎 とし、裁量によつて右請求の価額を評価算定しうるものと解するのが相当である。そ して、訴額が特定企業の将来の営業収益を基礎として算定すべき場合においては、 営業収益が、好、不況等の一般的経済界の状況、当該企業の属する特定の業界内の 条件、あるいは経営者の交替等の当該企業内の事情によつて影響を受け、変動を免 - 2 - れないものであるから、将来の営業収益の正確な予測、したがつてまた、これを基 礎とする訴額の算定も著しく困難というべきであり、右の場合、起訴時を基準とし た特定の企業の営業収益は、起訴時以前の期間であつて将来存在しえないような異 常な事情の存する期間を除いた過去少なくとも三年間の期間の収益等に準拠して、 将来の収益の現在価額を求めたうえ、営業収益に及ぼす前記の諸要因を考慮して定 めるべきであり、かくして得られた営業収益を基礎とし、裁判長又は裁判所の裁量 によつて訴額を算定すべきである。 本件において、委託手数料は、Eの営業収益を基礎として本件委託契約所定の方 法に従い算定されることが明らかであるから、本件委託手数料の額、したがつて本 件訴額は叙上の見地に従つて評価算定すべきものであり、このような見地に立つて 本件委託手数料を算定した当裁判所の判断は、原判決理由(二)及び原判決引用の一 審決定理由(一)ないし(三)記載と同一であるから、ここにこれを引用する。 四、したがつて、本件の訴額は金一〇億円と認められるから、上告状には右に対 応する金一〇〇〇万二六〇〇円の印紙を貼用すべきであることが明らかである(民 事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法三条一項、民事 訴訟用印紙法二条、五条)。ところが、上告人らは本件上告状に金一〇〇 二六〇〇円の印紙を貼用すべきであることが明らかである(民 事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法三条一項、民事 訴訟用印紙法二条、五条)。ところが、上告人らは本件上告状に金一〇〇〇円の印 紙を貼用したに止まるから、当裁判所は昭和四八年一二月一二日付で上告人らに対 し不足額に相当する金一〇〇〇万一六〇〇円の印紙を決定送達の日から一四日以内 に追貼すべき旨決定し、右決定は同月一七日上告人らの代理人に到達したにもかか わらず、上告人らは右印紙を追貼しないので、本件上告は、結局、不適法であり、 その欠缺は補正することができないものといわなければならない。 よつて、民訴法三九六条、三八三条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全 員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 - 3 - 裁判長裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 一 裁判官 坂 本 吉 勝 裁判官 江 里 口 清 雄 裁判官 高 辻 正 己 - 4 -
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