平成20(あ)305 相続税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成20年6月23日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
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判決文本文2,377 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 検察官の上告趣意は,刑訴法405条2号,3号所定の判例違反を主張するものである。 記録によれば,本件の事実経過は,次のとおりである。 (1)第1審判決は,公訴事実を認定した上,被告人に対し,①懲役2年6月及び罰金1億5000万円に処する,②その罰金を支払うことができないときは,金21万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する,③この裁判確定の日から5年間その懲役刑の執行を猶予するという主文の有罪判決を言い渡した。 (2)これに対し,検察官が控訴を申し立て,第1審判決は被告人を罰金1億5000万円に処した際に1日の換算額である21万円に満たない端数(6万円)の罰金額につき換算刑の言渡しをしていないところ,これでは端数の罰金額につき換算刑の執行が不能となるから,第1審判決には刑法18条4項の法令適用の誤りがあると主張した。 (3)原判決は,第1審判決は端数金額を1日に換算しない趣旨であり,1日当たりの換算額により算出される労役場留置の期間に係る執行によって罰金刑全部の換算刑の執行がされることになるから,端数金額の部分について執行不能を生じる旨の所論は当たらないと判断した。そして,原判決は,最高裁昭和24年(れ)第2819号同26年5月15日第三小法廷判決・刑集5巻6号1112頁(以下「昭和26年判決」という。)は,本件と同様の論点に係る事案において,1日当たりの換算額に満たない金額を生じるとしても,罰金を完納することができない場- 2 -合における労役場留置の期間を定めないものとはいえないから,刑法18条4項に違反したものとはいえない旨の判断を示しており,これによれば第1審判決に法令適用の誤りはないとして,検察官の控訴を棄却した。 (4)そこで,検察官が本件上告に及んだ。 ないから,刑法18条4項に違反したものとはいえない旨の判断を示しており,これによれば第1審判決に法令適用の誤りはないとして,検察官の控訴を棄却した。 (4)そこで,検察官が本件上告に及んだ。 所論は,原判決が依拠する昭和26年判決は,刑の執行不能が生じるという観点からの判断は何ら示していないとの見解に立った上で,原判決は,「1日の換算額に満たない端数の罰金額について換算刑の言渡しをしなかった原判決には法令適用の誤りがある。」旨判示する東京高等裁判所昭和27年(う)第2452号同年9月6日判決・高等裁判所刑事判決特報34号163頁,名古屋高等裁判所昭和29年(う)第11号同年3月8日判決・高等裁判所刑事裁判速報69号,仙台高等裁判所平成10年(う)第94号同年11月5日判決・高等裁判所刑事裁判速報集平成10年151頁,大阪高等裁判所平成17年(う)第1727号同18年3月24日判決及び名古屋高等裁判所平成19年(う)第146号同年6月21日判決・高等裁判所刑事裁判速報721号に違反する旨主張するとともに,上記の点につき,昭和26年判決に判例性が認められるとしても,同判決は,労役場留置期間の計算に当たり,生じる端数は1日に換算する旨判示する最高裁昭和26年(あ)第592号同31年3月20日第三小法廷判決・刑集10巻3号355頁(以下「昭和31年判決」という。)により実質的に変更されたものであって,原判決は昭和31年判決に違反するとも主張する。 しかしながら,昭和26年判決は,「罰金5万円に処し,同罰金を完納することができないときは金300円を1日に換算した期間労役場に留置する。」旨の判決の言渡しを受けた被告人につき,同被告人が罰金を完納しない場合は166日間留- 3 -置してもなお,1日に満たない金額(200円)を生じるが,そうであ 1日に換算した期間労役場に留置する。」旨の判決の言渡しを受けた被告人につき,同被告人が罰金を完納しない場合は166日間留- 3 -置してもなお,1日に満たない金額(200円)を生じるが,そうであるからといって同判決が罰金を完納することができない場合における労役場留置の期間を定めないものとはいえないから,刑法18条4項に違反したものとはいえない旨の判断を示しているのであって(同条項は平成7年法律第91号による改正前のものであるが,昭和26年判決の説示が現行刑法18条4項にも適合することは明らかである。),この点に関する昭和26年判決の判例性を否定する所論は失当である。そして,昭和31年判決は,破棄自判の主文において,1日の換算金額を定めるとともに,端数を生じるときはその端数は1日として計算する旨を明示したにとどまり,昭和26年判決を何ら変更するものではなく,両判決は両立し得ると解される。昭和26年判決によれば,労役場留置の期間を定めるに当たり1日に満たない端数を生じる換算率を定めても同期間を定めない違法があるとはいえないというのであり,当裁判所もこの見解を正当と考える(上記端数が生じる場合,その端数は1日に換算する旨を明示して判決を言い渡す扱いが実務上広く行われており,それが何ら違法,不当でないことはもとより明らかである。)。昭和26年判決と相反する判断をした所論引用の高等裁判所の各判決は,刑訴法405条3号所定の高等裁判所の判例には当たらない。 結局,同条2号,3号所定の判例違反をいう所論は,前提を欠く。 よって,同法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官泉徳治裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官才口千晴裁判官涌井紀夫) 号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官泉徳治裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官才口千晴裁判官涌井紀夫)

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