主文 1 一審被告A,同B及び同Cの各控訴に基づき,(1) 原判決中,同一審被告3名の敗訴部分を取り消す。 (2) 一審原告らの同一審被告3名に対する各請求をいずれも棄却する。 2 一審原告らの控訴を棄却する。 3 訴訟費用(参加による費用を含む。)は,第1,2審を通じて,すべて一審原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 一審原告ら(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 一審被告A及び被控訴人Dは,大分県に対し,連帯して85万6700円及びこれに対する一審被告Aは平成13年4月1日から,被控訴人Dは同月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 一審被告A及び被控訴人Eは,大分県に対し,連帯して7万4200円及びこれに対する一審被告Aは平成13年4月1日から,被控訴人Eは同月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 一審被告Bは,大分県に対し,一審被告A及び被控訴人Dと連帯して50万5800円及びこれに対する平成13年4月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 一審被告Cは,大分県に対し,一審被告A及び被控訴人Dと連帯して35万7900円及びこれに対する平成13年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 一審被告A,同B及び同C主文第1項同旨第2 事案の概要及び審理経過 1 事案の概要原判決3頁13行目から同末行までのとおり(ただし,21行目から22行目にかけての「地方自治法242条の2第1項4号前段」を「地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)」に,23行目の「同条同項同号後段」を「同号」に改める。)であるから,これを引用する。 2 原判決は,出納長である一審被告B 2条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)」に,23行目の「同条同項同号後段」を「同号」に改める。)であるから,これを引用する。 2 原判決は,出納長である一審被告Bにつき,(1) 本件訪問団が敦煌市を訪問して西安空港に着くまでの日程等については,合理的な裁量の範囲内の行為であるとしたが,(2) 同空港に着いて以降の日程については,ア世界園芸博覧会の跡地である博覧園視察を除けば,もっぱら観光を目的とするものであり,イ博覧園視察についても発案者である出納長に職務権限がなく,結局,同空港に着いて以降の日程については,公務性がなく,違法であるとして,(3) (2)関係の費用部分の返還を,具体的には,ア一審被告Aにつき19万9600円(原判決主文第1項),イ一審被告Bにつき一審被告Aと連帯して10万2400円(同第2項),ウ一審被告Cにつき一審被告Aと連帯して9万7200円(同第3項)の各金員及びこれに対する民法所定の遅延損害金を大分県に支払うよう命じ,(4)ア上記一審被告3名に対するその余の請求イ及びその余の一審被告2名に対する請求を棄却した(同第4項)。 3 控訴2の原判決に対し,(1) 一審原告らは,第1の1のとおり,(2) 一審被告A,同B及び同Cは,第1の2のとおり,それぞれ控訴した。 4 原判決の要旨を,後記する控訴理由との関連で整理すると,次のとおりである(略称は,先に引用した,又は後に引用する原判決のそれを踏襲する。)。 (1) 出納長の職務権限と本件出張の公務性(争点(1)関係)について(原判決19頁末行から21頁17行目まで)出納長は,対外的関係において,知事代理の立場で儀礼的な行為を行うことは,法令上許容されている。本件出張において出納長である一審被告 (1)関係)について(原判決19頁末行から21頁17行目まで)出納長は,対外的関係において,知事代理の立場で儀礼的な行為を行うことは,法令上許容されている。本件出張において出納長である一審被告Bが行った行為は,基本的には知事代理としての事実行為にすぎず,同出張自体が,地方自治法の趣旨に反するとはいえない。 (2) 一審被告Bの職務専念義務違反(争点(2))について(原判決21頁19行目から22頁18行目まで)本件出張を遂行することに職務専念義務違反が生じることはない。 (3) 本件支出の必要最少限度性(争点(3))についてア西安空港に着くまでの日程等に対する部分について(原判決22頁20行目から25頁11行目まで)(ア) 本件出張は,主として臼杵市の行う敦煌市との国際交流を大分県が支援するという目的のため,副次的には臼杵市の行うオランダとの国際交流を大分県が支援するという目的のためであるが,(イ) 大分県が,臼杵市の政策を支援することは,地域の総合的な発展と活性化の観点から当然に許容され,(ウ) 一審被告Aは,臼杵市と敦煌市の友好都市提携に当初から関与していたところ,同被告が本件訪問団の名誉団長として参加することが日程の都合上できなかったため,一審被告Bを知事代理として参加させることを決めたが,この選任は,敦煌市等に対する社交的儀礼からしても,合理的裁量の範囲内の行為であり,(エ) 政策協議等が行われなかったからといって,当該交流事業又はその支援が,裁量権逸脱・濫用により違法と評価されるものではなく,(オ) その費用額,日程をも総合考慮すれば,違法とはいえない。 イ西安空港に着いて以降の日程に対する部分について(原判決25頁13行目から28頁7行目まで及び同頁16行目から18行目まで)(ア) 同日程の中で,公 をも総合考慮すれば,違法とはいえない。 イ西安空港に着いて以降の日程に対する部分について(原判決25頁13行目から28頁7行目まで及び同頁16行目から18行目まで)(ア) 同日程の中で,公務性が窺われるのは,博覧園視察のみであり,これも,一審被告Bが,出納長の権限を越えて,自ら発案して予算執行機関の権限に属する予算執行行為を企画し,行ったもので,違法である。博覧園を視察するために,わざわざ敦煌市だけでなく,昆明市までも出張する必要性があったとも認められない。 (イ) その他は,参加を呼び掛けた一般市民に対し,本件訪問団参加の魅力を高めるために企画された観光コースにすぎず,公務のための旅行という性質を有しない。 (4) 一審被告Cへの本件支出の適法性(争点(4))について一審被告Bの秘書としての同Cの本件出張は,ア西安空港に付くまでの日程等については,出納長であって,同Aの代理としての同Bの本件出張が,公務としての適格性を有すること及び同Bの地位の重要性等にかんがみ,同Cへの本件支出についても適法である(原判決28頁9行目から15行目まで)が,イ同空港に着いて以降の部分は,同B同様,公務性が認められず違法であるから,同Cについても,公務性が認められず,その支出は違法である(同16行目から18行目まで)。 (5) 大分県の損害について(原判決28頁20行目から29頁10行目まで)西安空港に着いて以降の日程に要した支出のうち,大分県の損害は,ア一審被告Bについては,この間の移動や宿泊等に要した8万2000円と9月30日から10月3日までの日当(小計2万0400円)の合計10万2400円,イ同Cについては,この間の移動や宿泊等に要した8万2000円と9月30日から10月3日までの日当(小計1万5200 月30日から10月3日までの日当(小計2万0400円)の合計10万2400円,イ同Cについては,この間の移動や宿泊等に要した8万2000円と9月30日から10月3日までの日当(小計1万5200円)の合計9万7200円である。 (6) 被告らの責任(争点(5))についてア一審被告B及び同Cの責任について(原判決29頁13行目から23行目まで)西安空港に着いて以降の部分に公務性が認められず違法であることを知り得たから,(5)ア及びイの金額の請求をすることが違法であることについても知り得たものであり,故意又は少なくとも過失によって,大分県に対し,損害を与えた。 イ被控訴人Dの責任について(原判決29頁25行目から31頁12行目まで)同被告は,西安空港に着いて以降の部分に公務性が認められず違法であることを知り得なかったから,地方自治法243条の2第1項にいう,故意又は重大な過失が認められず,責任を問い得ない。 ウ一審被告Aの責任について(原判決31頁14行目から32頁8行目まで)同被告は,西安空港に着いて以降の部分に公務性が認められず違法であることを知り得たから,(5)ア及びイの支出につき,指揮監督上の過失があった。 5 争いのない事実等は,次のとおり補正するほか,原判決4頁初行から7頁7行目までのとおりであるから,これを引用する。 (1) 4頁分ア 4行目の「原告らは」の次に「,後記住民監査請求時点も現在も,」を加える。 イ 16行目の次に改行して「(ただし,以上及び以下について各個人に付した職名は,いずれも本件出張当時のもの)」を加える。 ウ 18行目の「臼杵市長」の次に「F」を加える。 (2) 5頁分ア初行の「甲7の4」を「甲6の4,7の2,4,丙3」に改める。 イ同3行目の「6の2」を「6の2,3」 張当時のもの)」を加える。 ウ 18行目の「臼杵市長」の次に「F」を加える。 (2) 5頁分ア初行の「甲7の4」を「甲6の4,7の2,4,丙3」に改める。 イ同3行目の「6の2」を「6の2,3」に改める。 ウ 9行目の「歓迎・交流会」を「歓迎夕食会」に改める。 (3) 6頁5行目の「午前10時」を「午前10時30分」に改める。 6 争点及び主張争点及び主張は,次項7及び8のとおり当審における主張を補足するほかは,原判決7頁8行目から19頁24行目までのとおり(ただし,8頁8行目の「会計事務」の次に「の」を加える。)であるから,これを引用する。 7 一審原告らの補足主張・原判決批判(1) 4(1)の判断についてア出納長に,知事の儀礼的行為の代理権を職務権限として認めると,地方自治法が,予算執行機関と会計機関を分離し,出納長に会計事務の執行について独立の権限を持たせた趣旨を没却させることになる。 イ仮に,出納長に儀礼的な行為について知事の代理が認められるとしても,(ア) 地方自治法上,知事に差し支えがあるときは,副知事がその職務を代理すべきものであるところ,(イ) 副知事に支障があったとの立証はない。 ウ(ア) 一審被告Bの出張用務は「敦煌市親善訪問」とされており(甲3,4の1),「知事による親善訪問の代理」とはされていない。 (イ) 出納長には「親善訪問」を行う権限はないから,(ア)の用務は,職務権限外である。 (2) 4(2)の判断についてア出納長に対する知事の職務上の命令自体が違法であれば,出納長の職務専念義務を免れないところ,イ出納長は,地方自治法上,出納・会計事務に専念すべき義務を有しているのであって(同法170条参照),知事の職務を代理し,補佐する地位にあるのではない。知事の命令があったからといって,8日間も他 イ出納長は,地方自治法上,出納・会計事務に専念すべき義務を有しているのであって(同法170条参照),知事の職務を代理し,補佐する地位にあるのではない。知事の命令があったからといって,8日間も他の職務をすることは許されない。 (3) 4(3)イの判断についてア将来の施策について権限も決定権もない知事代理である出納長が参加しても,知事同様の効果はほとんど期待できないから,4(3)イの判断は不当である。 イ(ア) レールクルーズの出迎えにおいては,将来につながるような意義は全く認められず,行事も単なる私的なセレモニーにすぎず,(イ) かかる表面的なセレモニーのためだけの海外出張は,地方自治財政が苦しく,国際交流が国際協力に重点を移している現在において,合理性が認められない。 (ウ) 大分県が県内市町村による国際交流を支援するとしても,単なる惰性に等しい旅行の名誉団長として参加する必要性や合理性はないから,これへの参加に,国際交流の目的との関係での合理性は認められず,全体として公務性が認められない。 ウ(ア) 本件訪問団の旅行を企画した臼杵市敦煌市友好協会(敦煌会)は,完全な私的団体であり,今回の企画は,同団体の企画旅行に臼杵市が便乗したものであり,臼杵市による行政間の国際交流とか観光行政の進展といった意義,目的はない。募集要領では100名であったが,大分市や津久見市でも多数募集したことから約170名の参加者となり,70名位は臼杵市民以外の参加であった。物見遊山の観光団といわざるを得ない。 (イ) 臼杵市は,過去2回,市民参加型の中国訪問を行っているが,これを観光行政に生かした形跡もなく,参加者にアンケート調査やその後に民間交流を行ったかという追跡調査もしていない。臼杵市は,観光客が減少しているのに,何の具体的対策を講じることなく,漫 ているが,これを観光行政に生かした形跡もなく,参加者にアンケート調査やその後に民間交流を行ったかという追跡調査もしていない。臼杵市は,観光客が減少しているのに,何の具体的対策を講じることなく,漫然と市民参加型の中国訪問をする合理的理由はない。 エ市民参加型の親善訪問の意義があるとしても,観光部分まで公務員が公費で参加することは正当化できない。 オしたがって,西安空港に着くまでの日程についても,出張目的との関係で,裁量を逸脱・濫用したものというべきである。 (4) 4(4)アの判断について西安空港に着くまでの日程について,一審被告Bに公務性がないから,同Cにも公務性はない。 8 一審被告らの補足主張・原判決批判(1) 4(3)イについてア本件訪問団は,敦煌市親善訪問を主な目的としつつ,この機会を利用して,友好都市である同市のみならず,中国の代表的都市である西安・桂林・昆明市を旅程に加えたものであって(昆明市が最終目的地となっているのは,同市が国際空港であって,出国手続がとれるからである。),単なる物見遊山の観光ではない。すなわち,(ア) 臼杵市は,a 敦煌市との間で,双方が持っている貴重な仏教遺跡が取り持つ縁で,臼杵市を訪れた敦煌市の呼びかけで(丙5),平成6年9月27日友好都市提携の協定を結び,以後,相互に親善訪問を継続して交流を重ねてきたところ,b 同12年1月25日,敦煌市人民政府対外友好協会会長からの招聘(丙9の1,2)を受けて,臼杵市は,第3回目の敦煌市親善訪問団(本件訪問団のこと)を結成することとし,市民レベルを通じて敦煌市との一層の友好・親善を促進すべくその趣旨に賛同し参加する「市民参加型」の親善訪問団を募り,臼杵市長が団長となり,大分県出納長の一審被告Bを名誉団長として,結成した。 (イ) (ア)からも て敦煌市との一層の友好・親善を促進すべくその趣旨に賛同し参加する「市民参加型」の親善訪問団を募り,臼杵市長が団長となり,大分県出納長の一審被告Bを名誉団長として,結成した。 (イ) (ア)からも分かるとおり,その意義は高く,同訪問団は,その結成の経緯等から公務的色彩を強く反映している。企画に当たり,敦煌市の親善訪問を主目的としつつも,それ以外の旅程について,市民がなるべく参加したくなるような魅力あるものとする必要から,親善訪問の性格を損なわない範囲で,他の都市を旅行先に加えた。 (ウ) 市長ら公務員が名誉団長や団長などの立場で親善訪問団へ参加する場合,行政側が主導的となって親善訪問を呼びかけた立場上,親善訪問先の用務が終わったとしても,同訪問団のその後の旅程が組まれていれば,市民らのともに行動を共にするのは社会通念上の礼儀である。 (エ) 中国の歴史的遺産と自然を有し,同じ仏教文化遺跡の宝庫である西安・桂林・昆明市を訪問することは,中国の歴史・文化・自然・暮らしなどを理解して国際交流に資し,参加者の国際感覚を養い,国際的視野を広げることを目的としたものである。これを単なる「物見遊山」とみるのは誤りである。大分県には,商工労働観光課が設置され,観光行政は,重要な行政分野の一つであり,出納長が,他国を観光して県行政の推進に寄与する必要性がないとする原判決は,偏ぴな見解である。 イまた,(ア) 一審被告Aは,臼杵市長から本件訪問団に名誉団長として参加するよう要請を受け,県としても,臼杵市と敦煌市との地域国際交流を支援する目的で,一審被告Bを名誉団長として派遣することを決定して旅行を命じたが,その内容(「敦煌市親善訪問の概要」)には,敦煌市訪問(9月27日,28日),日蘭大陸横断レールクルーズ(9月29日),博覧園視察(10月3日 を名誉団長として派遣することを決定して旅行を命じたが,その内容(「敦煌市親善訪問の概要」)には,敦煌市訪問(9月27日,28日),日蘭大陸横断レールクルーズ(9月29日),博覧園視察(10月3日)が予定されていた。 (イ) 博覧園視察が旅程に入ったのは,大分県は,一審被告Bの発案により,本件訪問団の旅程の機会を捉えて,平成15年6月県が開催予定していた「全国都市緑化フェア」の跡地利用を踏まえ,同11年,昆明市で開催された「世界園芸博覧会場」跡地の博覧園を視察に組み入れることを提案し,臼杵市と協議の上,決めた経緯がある。このような発案をすることは,知事の最高補佐役としての役割を有する出納長として当然であり,予算執行機関の権限を侵すものではない。 (ウ) 最高裁平成14年(行ヒ)第289号事件判決(丙47)の趣旨に照らすと,本件訪問を敦煌市から西安市までと,西安市から桂林,昆明までの旅程を分断し,後者の旅行は私的な観光旅行であるとする原判決の判断は,不当である。 (2) 一審被告らの責任について(争点(5)関係)ア仮に,西安空港に着いて以降の日程について公務性がないとしても,地方公共団体の職員は,上司の命令に忠実に従わなければならず,上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り,これに従う義務を負うものと解されるから,旅行命令に従って旅行し,当該旅費の支給を受けたからといって,不当利得となるいわれはない(最高裁平成12年(行ツ)第369号,同年(行ヒ)第352号同15年1月17日第二小法廷判決・民集57巻1号1頁(徳島県議会野球大会旅費等返還請求事件判決)参照)。 イところで,(ア) 一審被告Cに対する旅行命令は,被控訴人Eが専決で行ったものである。同旅行命令に裁量権の逸脱・濫用はなく,重大かつ明白な瑕疵はないから,同Cには損 還請求事件判決)参照)。 イところで,(ア) 一審被告Cに対する旅行命令は,被控訴人Eが専決で行ったものである。同旅行命令に裁量権の逸脱・濫用はなく,重大かつ明白な瑕疵はないから,同Cには損害賠償責任も不当利得もない。 (イ) 一審被告Bは,地方自治法附則5条及び地方自治法施行規則28条の規定により,東京都職員服務紀律(昭和18年内務省令51号)又は府県職員服務紀律の例によるとされ,1条1項及び2項により職務につき監督者である知事の職務上の命令を忠実に遵守する義務があるが,知事である一審被告Aの出張命令に従ったものである。同旅行命令に裁量権の逸脱・濫用はなく,重大かつ明白な瑕疵はない。 ウしたがって,一審被告C及び同Bには,いずれも,損害賠償責任も不当利得もない。 第3 当裁判所の判断 1 出納長の職務権限(争点(1))について(1) 争点(1)についての判断は,原判決を次のとおり補正するほか,原判決19頁末行から21頁17行目までと同じであるから,これを引用する。 ア 20頁9行目の次に改行して,次を加える。 「 県に関していえば,地方自治法は,出納長につき,出納・会計事務を司る権限を授与しているところ(170条),出納長は,会計事務の公正な処理を確保するために設けた知事の補助機関であるから,会計事務に関しては,知事の補佐役としての職務権限を有しているが,広く,普通地方公共団体の事務一般について,知事の最高補佐役として,知事を補佐するという職務権限を有しているのではない。このような意味での最高補佐役としては,副知事が置かれることなっている。しかし,出納長は,知事及び副知事とともに,いわゆる三役の一人といわれ,副知事と並んで事実上,知事の最高補佐役としての機能を果たしている実態にある。というのは,出納長には,通常,当該県の事情 いる。しかし,出納長は,知事及び副知事とともに,いわゆる三役の一人といわれ,副知事と並んで事実上,知事の最高補佐役としての機能を果たしている実態にある。というのは,出納長には,通常,当該県の事情に精通していて,知事の信任の厚い者が選任されているからである。したがって,出納長は,あくまで会計事務についての補佐役であり,その職務に専念すべきが筋ではあるが,本来の同職務に支障がなければ,知事の最高補佐役としての機能を果たすことが違法になる筋合いはない(ぎょうせい発行「最新地方自治法講座6」87~88頁参照)。」イ 21頁3行目から4行目にかけての括弧内を削る。 (2)ア第2の7(1)アの主張は,筋違いの議論であり,採用できない。 イ同イの主張は,同イ(ア)の主張を前提とするものであるが,地方自治法が,すべての場合につき,同前提を採っているとは解されないから,同イの主張も,採用できない。 ウ確かに,同ウ(ア)のとおりの事実が認められるが,だからといって,同(イ)の結論になるわけではない。同主張は,些細なことをあげつらっているにすぎず,採用できない。 2 職務専念義務違反(争点(2))について(1)ア 1(1)アで付加したとおり,出納長は,会計事務についての知事の補佐役であり,その職務に専念すべきが筋であるが,イ引用に係る原判決(20頁初行から21頁17行目まで)判断のとおり,一審被告Bが,本件出張中に行った行為は,知事代理として適法な行為であったところ,ウ本件出張中の会計事務について,同被告が不在であった期間,本来の同被告の職務に支障はなかったことは,原判決22頁11行目から18行目までに認定判断したとおりであるから,これを引用する。 (2) してみれば,同被告の本件出張が,一審原告ら主張の職務専念義務違反に当たるとはい に支障はなかったことは,原判決22頁11行目から18行目までに認定判断したとおりであるから,これを引用する。 (2) してみれば,同被告の本件出張が,一審原告ら主張の職務専念義務違反に当たるとはいえないから,第2の7(2)の一審原告らの主張は,採用できない。 3 本件支出の必要最少限度性(争点(3))について・その1(1) 西安空港に着くまでの日程等に対する部分が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反するといえないことは,原判決を次のとおり補正するほか,原判決22頁20行目から25頁11行目までのとおりであるから,これを引用する。 ア 23頁22行目の「参加したこと,」の次に次を加える。 「同訪問団は,臼杵市長を団長とする市民参加型であり,200名を超える参加者が7泊8日の日程で敦煌市,蘭州,北京を訪問旅行したが(丙37),臼杵市は,平成10年9月にも,第2回友好都市締結記念敦煌市親善訪問を臼杵市長を団長とする市民参加型で行い,80名を超える参加者が7泊8日の日程で敦煌市,西安市,洛陽市を訪問旅行したこと(丙38),臼杵市は,市制50周年記念事業の一環として,第3回敦煌市親善訪問を市民参加型で行うことし,同訪問旅行を臼杵市敦煌市友好協会(敦煌会)企画としたが,団長を臼杵市長とし,同市市役所企画財政課を問い合わせ窓口として,同訪問と西安・桂林・昆明の旅を内容とする7泊8日の日程で実施する参加者を募集することとし(甲7の2),」イ 24頁4行目の「歓迎・交流会」を「歓迎夕食会」に改める。 ウしてみれば,第2の7(3)ア及びイの一審原告らの主張は,採用できない。 (2) 西安空港に着いて以降の日程に対する部分について,ア原判決25頁13行目から28頁7行目まで及び同頁16行目から18行目までは,単なる観光であって,公務性がな らの主張は,採用できない。 (2) 西安空港に着いて以降の日程に対する部分について,ア原判決25頁13行目から28頁7行目まで及び同頁16行目から18行目までは,単なる観光であって,公務性がないと判断しているが,イこの点に関する判断は相当でない。重要な問題を含むので,項を改めて論じる。 4 本件支出の必要最少限度性(争点(3))について・その2(西安空港に着いて以降の日程に対する部分について)(1) 引用に係る原判決中の争いのない事実等及び証拠(甲3,4の1及び2,5の1及び5,6の1ないし5,7の2及び4,10の2,乙1,丙3,一審被告C)によれば,次のとおり認められる。 ア本件出張について(ア) 同出張は,9月27日(出国日)から10月4日(帰国日)までの7泊8日であり,うち,9月30日に西安空港に着いて以降の日程の中で,10月2日の博覧園視察を除くその他の日程(七星公園の見学,漓江下りの船への乗船,円通寺や西山森林公園,昆明博物館,石林等視察)は,臼杵市民の翼として参加を呼び掛けた一般市民に対し,本件訪問団参加の魅力を高めるために企画された観光コースである。 (イ) 博覧園視察は,本件訪問団が昆明市を訪れることを知った一審被告Bが,平成15年4月下旬から6月にかけて,大分県で開催予定の緑化フェアの跡地利用等の参考にするため,同11年に昆明市で開催された世界園芸博覧会の跡地利用である博覧園の状況を見てこようと,自ら発案し,強く要請して,日程に取り入れた。 (ウ) 一審被告Cが本件出張についての支出負担行為や支出命令を受けるに当たり,本件出張前に作成した「臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問等概要」(甲4の2)には,敦煌市親善訪問(9月27日,28日),日蘭大陸横断レールクルーズ(9月29日)及び博覧園視察(10月 たり,本件出張前に作成した「臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問等概要」(甲4の2)には,敦煌市親善訪問(9月27日,28日),日蘭大陸横断レールクルーズ(9月29日)及び博覧園視察(10月3日)を訪問内容とし,これ以外の日程については特に触れられていないが,「臼杵市姉妹都市敦煌市親善訪問等日程」(甲5の5)には,このほかに桂林市内視察(10月1日),昆明市内視察(10月3日)をもその内容としていた。 (エ) 本件出張の旅行命令(甲3)は,臼杵市制50周年記念事業・敦煌市親善訪問を用務とするが,大分市を出発して,敦煌に3泊,桂林に2泊,昆明に2泊の上,大分市に帰着するというもので,敦煌市親善訪問,日蘭大陸横断レールクルーズ,博覧園視察だけでなく,桂林市内及び昆明市内視察をその内容としていた。 (オ) 本件訪問団は,一般市民に対しては,「敦煌市親善訪問団員募集」を呼びかけつつ,旅程としては,「敦煌市親善訪問と西安・桂林・昆明の旅」として,親善訪問部分とその他の観光部分に分けた紹介をした。さらに,本件訪問団に参加した一般市民は,この西安・桂林・昆明の観光コースに代えて,三峡下りの観光コースやシルクロードの観光コースも選択できた。西安市,桂林市,昆明市においては,博覧園視察を除けば,観光以外の日程はなく,スケジュールがいわゆるフリータイムの日程もあるなど,一般市民の訪問団員らは,常時団体として行動したものではない。 (カ) 博覧園の資料は,本件出張前にインターネット等を通じて入手しており,博覧園視察の当日,一審被告B及び同Cは,本件訪問団の一般市民とは別行動をとったものの,博覧園入口で,入園者に通常交付されるパンフレット1枚の交付を受けた他は,特に博覧園の職員等から説明を受けたり,資料の交付を受けることなどしなかった。 一審被告B 般市民とは別行動をとったものの,博覧園入口で,入園者に通常交付されるパンフレット1枚の交付を受けた他は,特に博覧園の職員等から説明を受けたり,資料の交付を受けることなどしなかった。 一審被告Bは,本件出張後,緑化フェアを担当する都市緑化推進班を呼び,視察した概要を口頭で説明するとともに,一審被告Cの作成した本件出張の復命書の写しを手渡した。 イアの事実によれば,本件出張の日程のうち9月30日の西安空港に着いて以降のものは,臼杵市と敦煌市ないしオランダとの国際交流を大分県が支援するという主ないし副次的な目的と直接的な関連性がなく,その旅行日程の内容からみても,博覧園視察以外の部分については,観光を目的とするもので,公務を目的とする旅行といえないとの原判決の判断(原判決25頁13行目から28頁7行目まで及び同頁16行目から18行目まで)にもそれなりの理由がある。 そこで,その当否について,項を改めて考える。 (2) 臼杵市関係ア同市には,国宝臼杵石仏,女流作家野上弥生子の文学記念館,中国五千年にわたる中国陶磁を展示する中国陶瓷美術館その他多くの観光資源に恵まれているが,観光産業の定着化には厳しいものもあり(丙24の102~103頁・107頁,丙39の27頁・142頁),平成5年から同7年度のふるさとづくり事業の実行により,「伝統文化のまちづくり」のキャッチフレーズのもとに,歴史的な素材を掘り起こし文化資源を活用したまちづくりを,市民参加を得て,官民一体となって推進してきた結果,市民にも浸透してきたが,21世紀を展望した「観光ビジョンづくり」,各拠点施設を管理運営する官民一体となった「組織づくり」が課題であった(丙49)。 イ同市が策定した「臼杵市第三次ふるさとづくり事業」(同8年から同10年度)計画では,「歴史と水と緑にここ くり」,各拠点施設を管理運営する官民一体となった「組織づくり」が課題であった(丙49)。 イ同市が策定した「臼杵市第三次ふるさとづくり事業」(同8年から同10年度)計画では,「歴史と水と緑にこころおどるまちづくり」のキャッチフレーズのもとに,①将来の街づくりを担うリーダー(民間・市)を育成するため,課題を持った研究,研修等の学習活動等の実施する「街づくりリーダー育成事業」,②450年前の東西文化の出会いを大事にし,南蛮文化として歴史・教育・生活・建物等の研究に努める「東西文化のであい研究事業」,③敦煌市との友好都市締結をはじめ歴史的交流のあるポルトガルとの交流を図る「国際交流事業」等を重点的な推進事業に掲げていた(丙49)。 ウ同市は,平成12年度の国際化関連事業として,(ア) 敦煌市親善訪問のほか,(イ) 4月19日から23日までと,9月16日から10月1日までにかけて,各種の日蘭交流400周年記念事業等を計画していた(丙7の23頁)。 エ同市は,「第4次臼杵市総合計画書(2001年(平成13年)~2010年(平成22年))」を策定し,そこでは,「環境・交流・健康・生きがい」などのキーワードのもとに,「まち」を作り,「ひと」を育て,「絆」を作っていくために,市民と市民,市民と行政の語り合い,助け合いのもとで,共に考えながら進めていくことをモットーにして,各種の施策を提言していた(丙39)。 オ臼杵市と敦煌市との関係(ア) 臼杵市は,敦煌市との間で,a 双方が持っている貴重な石仏文化,仏教遺跡が取り持つ縁で,平成4年11月臼杵市を訪れた敦煌市から友好都市締結の要請を受け,b 同5年9月,臼杵市長ほか28名が敦煌市を表敬訪問し,c 同6年3月,臼杵石仏落成法要に敦煌市副市長ほか2名を臼杵市に招待し,これらを経て,d を訪れた敦煌市から友好都市締結の要請を受け,b 同5年9月,臼杵市長ほか28名が敦煌市を表敬訪問し,c 同6年3月,臼杵石仏落成法要に敦煌市副市長ほか2名を臼杵市に招待し,これらを経て,d 同年9月27日友好都市提携の協定を結び,e 同7年10月,臼杵市長を団長とする204名からなる敦煌市親善訪問団を派遣し,f 同8年4月,敦煌市から国際交流員1名が臼杵市に着任し(以後1年間滞在),g 同年10月,敦煌市民訪問団40名が臼杵市を訪れ,h 同10年9月,臼杵市長を団長とする84名からなる敦煌市市民訪問団を派遣し,i 同11年12月,敦煌市友好訪問団9名が臼杵市を訪れ,j 同12年8月,臼木市制50周年記念式典に敦煌市から2名来臼する等,相互に継続して交流を重ねてきていた(丙5,55)。 (イ) 臼杵市は,a 同12年1月15日,敦煌市人民政府対外友好協会会長から招聘(丙9の1,2)を受け,b (ア)e及びhのとおり,過去2回の臼杵市長を団長とする市民参加型の敦煌市親善訪問を踏まえて,同12年9月27日からの,第3回目の敦煌市親善訪問団(本件訪問団のこと)を結成することとし,市民レベルを通じて敦煌市との一層の友好・親善を促進すべくその趣旨に賛同し参加する「市民参加型」の親善訪問団を募り,臼杵市長が団長となり,大分県出納長の一審被告Bを名誉団長として,結成したものである。 カ上記認定判断によれば,次のとおりである。 (ア) 主な目的である敦煌市の親善訪問及び副次的目的である敦煌駅におけるレールクルーズの出迎え行事等は,敦煌市との友好都市関係の歴史及びオランダとの歴史的つながりと,臼杵市を中心にして同12年の4月19日から23日までに開催され,かつ,9月16日から10月1日までにかけて予定されていた各種の日蘭交流400周年 好都市関係の歴史及びオランダとの歴史的つながりと,臼杵市を中心にして同12年の4月19日から23日までに開催され,かつ,9月16日から10月1日までにかけて予定されていた各種の日蘭交流400周年記念事業等にかんがみ,公務的色彩を強く反映していたと解される。 (イ) 本件訪問団は,友好都市敦煌市の親善訪問を主たる目的としたとはいえ,市民参加型で多数の市民の参加者を募集して行うことから,市民が参加したくなる魅力のある旅行として企画する必要があり,同訪問旅行を有意義とする他の都市を旅行先に加えることも,主たる目的の趣旨を損なわない限り許されると解される。 (ウ) 官民一体となって構成された本件訪問団が,敦煌市の親善訪問後に,仏教遺跡を含め,中国の歴史的遺産と自然を有する西安・桂林・昆明を訪問することは,a 公務員が公費で参加するとしても,同公務員にとって,巨視的には,中国の歴史・文化・自然・暮らしなどを理解して国際交流に資し,参加者の国際感覚を養い,国際的視野を広げ,その成果を以後の地方自治行政に生かすという,目には見えないが無視し得ない意義があるし,いわんや,敦煌市の親善訪問の性格を損なうものではなく,b 国際観光の点では,日本より大国である中国に学ぶ気持ちを忘れず,成功国の経験を検討し,糧にする趣旨からみても,それなりの合理性がある。 キまとめ以上,要するに,本件訪問団は,敦煌市の親善訪問を主な目的とし,敦煌駅における日蘭友好400周年記念使節団レールクルーズの歓迎行事に出席する副次的目的であったが,官民一体型のものにするために,一般市民の参加を多数募るべく,同訪問を一層魅力あるものにする趣旨から,西安・桂林・昆明をも旅程に加え,その結果,一般市民約170名(ただし,臼杵市以外の住民約100名を含む。)の参加を得て実施 一般市民の参加を多数募るべく,同訪問を一層魅力あるものにする趣旨から,西安・桂林・昆明をも旅程に加え,その結果,一般市民約170名(ただし,臼杵市以外の住民約100名を含む。)の参加を得て実施されたことから分かるとおり,敦煌市の親善訪問と西安・桂林・昆明の旅程は,全体として一体になって計画されたものであり,臼杵市にとっては,本件訪問団の旅程は,一体のものとして,公務性を帯びるものであった。 ク(ア) 本件訪問団が,臼杵市の協力により募集されたものであり,その企画が敦煌市友好協会という私的団体であり,かつ,臼杵市民以外の参加者を含むものであったからといって,これを,税金の無駄遣いというべき単なる物見遊山の観光団ということはできず,(イ) 市民参加型の中国親善訪問旅行を行うか否かは,各自治体の裁量で行うところであるから,中国訪問を観光行政に生かすために,参加者にアンケート調査やその後に民間交流の追跡調査をしていないを理由に,同親善訪問を行う必要性や合理性を否定することもできないから,キの判断は左右されない。 (3) 大分県関係上記認定の事実及び括弧内掲記の証拠によれば,次のとおり認められる。 ア同県は,昭和50年代に「一村一品」運動を創始し,これをローカル外交にまで,創造的に,発展・展開させてきた(丙8)。 イ同11年12月策定した「おおいた新世紀創造計画」(丙6,7,15)は,観光と交流(観交)立県の実現を掲げ,県内と連携して広域観光ルートの開発等を進め,各部署は,それぞれ各種事業を実施し,計画を立ててきたが,商工労働観光部の観光振興課は,新国際観光推進事業の一つとして,2000年(平成12年)が日蘭交流400周年に当たることから,最初のオランダ船リーフデ号の漂着の地である臼杵市を中心に,4月18日,19日と各種のイベントを 課は,新国際観光推進事業の一つとして,2000年(平成12年)が日蘭交流400周年に当たることから,最初のオランダ船リーフデ号の漂着の地である臼杵市を中心に,4月18日,19日と各種のイベントを計画し(丙7の11頁・23頁),臼杵市の敦煌市親善訪問(本件訪問団のこと)に,県から職員2名を派遣することを計画した(丙7の23頁)。 ウ博覧園視察について博覧園視察については,一審被告Bが,平成15年6月大分県が開催予定していた「全国都市緑化フェア」を踏まえ,跡地利用等の参考にするため,同11年,昆明市で開催された「世界園芸博覧会場」の跡地利用である博覧園の状況を見てこようと自ら発案して,本件訪問の日程に取り入れたという経緯がある。 (ア) 大分県知事であった一審被告Aも,上記趣旨を理解し,賛同の上,本件出張を命令した。 (イ) 知事の最高補佐役としての役割を有する実態を有する出納長が,上記発案をすることは異とするに足りないし,あらゆる職員が,長に,地方自治行政発展のために,創意工夫を持って,各種の提案をすることはある意味では望ましいことである。 一審被告Bが,出納長の権限を越えて,自ら発案して予算執行機関の権限に属する予算執行行為を企画し行ったことをして,違法である(原判決28頁初行から7行目まで)と解するのは,出納長の職務権限を形式的に絞り,両者間の職務権限に関する,いわば法令に規定するまでもない事柄に係る知事と出納長間の実態を無視することであるのみか,あらゆる職員の創意工夫を封じることにもなりかねず,相当でない。 エ本件出張との関係(ア) イの具体的なこととして,臼杵市長を団長とする中国親善訪問旅行に,県職員が名誉団長として参加するのは,本件訪問団で2回目であるが,一審被告Aは,県内市町村の独自の国際交流を支援する立場から,本 ) イの具体的なこととして,臼杵市長を団長とする中国親善訪問旅行に,県職員が名誉団長として参加するのは,本件訪問団で2回目であるが,一審被告Aは,県内市町村の独自の国際交流を支援する立場から,本件訪問団の名誉団長として参加する必要性・合理性があると判断し,(イ) しかし,日程の都合上参加できない同Aに代わり,一審被告Bを代理参加させ,同Cをその秘書として参加させたものである。 (ウ) 昆明における博覧園視察は,緑化フェアの跡地利用の関係からも,参考になり得るものである。 以上によれば,大分県にとっても,県下市町村(臼杵市)の国際交流支援の観点から,西安・桂林・昆明の旅程を,敦煌市の親善訪問と切断して,全く公務性を欠くと断じることも困難である。 オ以上によれば,(ア) 大分県が,観光立県として,県下の市町村を支援する立場から,本件訪問団に一審被告B及び同Cを参加させたことには,合理性がある。 (イ) 本件訪問団は,臼杵市にとってのみならず,大分県にとっても,敦煌市の親善訪問と西安・桂林・昆明の旅程は,全体として一体になって計画されたものであり,一体のものとして,公務性を帯びるものであったから,敦煌市の親善訪問と西安・桂林・昆明の旅程を分断するのは相当でない。 (ウ) いわんや,敦煌市親善訪問が終わったからといって,上記2名を,その後の西安・桂林・昆明の旅行日程を残して帰国させるのは,同訪問団に参加した多数の市民らに対する社会通念上の儀礼に反するきらいがある。 (エ) 昆明における博覧園視察は,緑化フェアの跡地利用の関係で参考になり得るものである。 (オ) 西安・桂林・昆明の旅程が,主に観光の域を出なかったとしても,上記2名を参加させることは,敦煌市の親善訪問の性格を損なわないのであるから,相応の合理性がある。 (カ) しかも,西安 である。 (オ) 西安・桂林・昆明の旅程が,主に観光の域を出なかったとしても,上記2名を参加させることは,敦煌市の親善訪問の性格を損なわないのであるから,相応の合理性がある。 (カ) しかも,西安空港に着いて以降の日程に要した支出は,原判決28頁20行目から末行のとおりである(一審被告B分10万2400円,一審被告C分9万7200円)から,これを引用する。ちなみに,引用に係る(原判決6頁20行目から7頁3行目まで)全費用(一審被告B分50万5800円,一審被告C分42万5100円)に占める割合を算定すれば,それぞれ約20%,約23%である。 (4) 大分県関係のまとめア以上を総合すると,(ア) 本件訪問団の全日程は,全体として一体のものであって,西安・桂林・昆明の旅行日程があったからといって,敦煌市親善訪問の趣旨が損なわれるものではなく,公務性があり,(イ) 大分県の出納長であった一審被告Bを本件訪問団の名誉団長として,同Cを同団長秘書として,同訪問団に参加させて,それらの旅費等として合計93万0900円を支出したことは,本件訪問団の性格や規模からみても,その目的達成のために必要最小限度の支出ということができる,イしたがって,一審被告Aが,一審被告Bに,西安・桂林・昆明への出張命令をだした判断に,裁量権逸脱・濫用の違法はなかったと解するのが相当である。 (5) してみれば,第2の7(3)ウないしオの一審原告らの主張は,採用できない。以上のようにいうことは,主たる目的に公務性があれば,付け足しに観光旅行が入っていても問題にならないという趣旨ではない。ことは税金の使途にかかわる問題である。公務に携わる者は,なべて,全体の奉仕者として,節度ある姿勢の堅持が必要であり,住民の疑惑を招くことのないように振る舞うべきだからである。 いう趣旨ではない。ことは税金の使途にかかわる問題である。公務に携わる者は,なべて,全体の奉仕者として,節度ある姿勢の堅持が必要であり,住民の疑惑を招くことのないように振る舞うべきだからである。 5 一審被告Cへの本件支出の適法性(争点(4))について以上によれば,次のとおり判断するのが相当である。 ア一審被告Cは,出納長である一審被告Bの秘書として本件出張を行ったものである。 イ同Bの本件出張は,全体として公務性を有する。 ウ同Bの地位の重要性等にかんがみれば,同Cが同Bの秘書として本件出張に同行する必要性もあった。 エしたがって,同Cへの本件支出も適法であった。 オ第2の7(4)の一審原告らの主張も,採用できない。 6 一審被告らの責任(争点(5))について(1) 一審被告B及び同Cの責任について上記両名の責任は,本件出張に公務性がないことを前提とするものであるところ,同前提を採り得ないから,一審被告B及び同Cが責任を負う筋合いはない。 (2) 一審被告A並びに被控訴人E及び同Dの責任について上記責任は,いずれも,出納長である一審被告Bに本件出張の職務権限がなかったことを前提するものであるところ,同前提を採り得ないから,一審被告A並びに被控訴人E及び同Dが責任を負う筋合いはない。 7 まとめ(1) 以上によれば,一審原告らの本件請求は,いずれも理由がなく,棄却を免れない。 (2) よって,(1)と一部異なる原判決は,一部不当であるから,ア一審被告A,同B及び同Cの各控訴に基づき,(ア) 原判決中,同被告3名の敗訴部分を取り消し,(イ) 一審原告らの同被告3名に対する各請求をいずれも棄却し,イ一審原告らの控訴は理由がないものとして,これを棄却し,ウ訴訟費用は,参加による費用を含め,第1,2審を の敗訴部分を取り消し,(イ) 一審原告らの同被告3名に対する各請求をいずれも棄却し,イ一審原告らの控訴は理由がないものとして,これを棄却し,ウ訴訟費用は,参加による費用を含め,第1,2審を通じて,すべて一審原告らに負担させることとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官簑田孝行裁判官駒谷孝雄裁判官藤田光代
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