【DRY-RUN】主 文 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。 右部分につき本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人灘岡秀親の上告理由について。 原判決は
主 文 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。 右部分につき本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人灘岡秀親の上告理由について。 原判決は、(一) 被上告人は、鳥栖市の都市計画事業であるD駅前広場造成工事 などを理由として、かねて上告人に賃貸中の本件土地を無償で緊急に明け渡すよう 要求し、被上告人の依頼した第三者の斡旋により、昭和三九年四月二三日両者の間 に、上告人は同年五月一一日までに本件土地をその地上家屋を解体して明け渡し、 借地権の問題については、被上告人が昭和三八年九月一二日付で鳥栖市長に差し入 れていた誓約書に基づき同市長の仲裁判断によつて解決する旨の協定が成立したこ と、(二) 右誓約書の内容は、被上告人は、D駅前広場造成工事のために必要な被 上告人所有地を工事着手までにE不動産研究所の評価に従つて鳥栖市に売り渡し、 もし市長において右土地の地上権者等に補償をする必要があると認める場合には、 市が被上告人に支払うべき土地代金から右の補償額を差し引いて地上権者等に支払 つても異議を申し立てない旨のものであつたこと、(三) 上告人は、協定に従い昭 和三九年五月一一日までに本件土地を明け渡し、鳥栖市長は、同年六月三〇日、上 告人が本件士地につき期間三〇年の借地権を有するものと判定する旨の書面による 仲裁判断を示したことをそれぞれ認定したうえ、上告人は、仲裁判断によつて確定 された本件土地の借地権を同年五月一一日に放棄したものであつて、右協定の趣旨 に徴し、被上告人に対して放棄時における借地権の客観的対価額を請求することが できる旨を判示し、当時の本件土地の価格を基準として借地権の価格を算定してい るのである。 しかし、原判決が右事実認定の証拠として拳示する甲第三号証の協定書には、上 - 1 - 告人が本件 することが できる旨を判示し、当時の本件土地の価格を基準として借地権の価格を算定してい るのである。 しかし、原判決が右事実認定の証拠として拳示する甲第三号証の協定書には、上 - 1 - 告人が本件土地上の家屋を解体した場合においても、家屋が従前の状態にあるもの として借地権の問題を仲裁裁定により解決する旨の記載があり、また、甲第四号証 の誓約書によれば、被上告人は、その所有地を鳥栖市が事業施行に着手する直前の 評価額をもつて同市に譲渡するものとされていたことが、明らかである。このよう な原判決挙示の証拠の内容に照らし、協定の成立に至る経緯を斟酌して、原審の確 定する協定の内容を当事者の衡平の見地から合理的に解釈すれば、上告人が借地権 放棄の対価として被上告人に請求することのできる補償の額は、他に特段の事情の ないかぎり、上告人が本件士地を明け渡した時の土地価格ではなく、その後被上告 人が本件土地を現実に売り渡した時における土地価格を基準として算定した借地権 の価格によるべき趣旨のものであると解するのが、相当である。そうすると、原判 決の前記判断は、意思表示の解釈を誤つた結果理由不備の違法をおかしたものとい わざるをえず、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、こ の点の論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件は、売渡時にお ける借地権の価格につき更に審理を尽くす必要があるから、これを原審に差し戻す のが相当である。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判 決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 坂 本 吉 勝 裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 一 裁判長裁判官 坂 本 吉 勝 裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 一 裁判官 江 里 口 清 雄 裁判官 高 辻 正 己 - 2 -
▼ クリックして全文を表示