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令和5 年3 月9 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3 年(ワ)第22287 号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5 年1 月13 日判決 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 1 被告は、原告に対し、564 万0112 円及びこれに対する令和3 年10 月29 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。3 訴訟費用は、これを7 分し、その5 を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。4 この判決は、第1 項に限り、仮に執行することができる。事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、785 万0140 円及びこれに対する令和3 年10 月29 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、別紙原告商品目録1 及び2 に各記載のバッグ(以下、前者を「バーキン」、後者を「ケリー」といい、両者を併せて「原告商品」という。)を製造販売すると共に、各形状を商標とする商標権(以下、商標としてのバーキンの形状を「バーキン商標」、ケリーの形状を「ケリー商標」といい、両者を併せて「原告商標」という。また、バーキン商標に係る商標権を「原告商標権1」、ケリー商標に係る商標権を「原告商標権2」といい、両者を併せて「原告商標権」という。)を有する原告が、被告が販売した別紙被告商品目録1 及び 2 に各記載のバッグ(以下、前者を「被告商品1」、後者を「被告商品2」といい、両者を併せて「被告商品」という。)の形状はそれぞれバーキン商標及びケリー商標に類似すると共に、周知かつ著名な商品表示であるバーキン及びケリーの各形状に類似すると主張して、 被告に対し、原告商標権侵害の不法行為(民法 。)の形状はそれぞれバーキン商標及びケリー商標に類似すると共に、周知かつ著名な商品表示であるバーキン及びケリーの各形状に類似すると主張して、 被告商品1」、後者を「被告商品2」といい、両者を併せて「被告商品」という。)の形状はそれぞれバーキン商標及びケリー商標に類似すると共に、周知かつ著名な商品表示であるバーキン及びケリーの各形状に類似すると主張して、 被告に対し、原告商標権侵害の不法行為(民法 。)の形状はそれぞれバーキン商標及びケリー商標に類似すると共に、周知かつ著名な商品表示であるバーキン及びケリーの各形状に類似すると主張して、 被告に対し、原告商標権侵害の不法行為(民法709 条)及び不正競争防止法(以下「不競法」という。)4 条(同法2 条1 項1 号及び2 号)に基づき、785 万0140 円の損害賠償及びこれに対する令和3 年10 月29 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29 年法律第44 号による改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2 前提事実(証拠等の掲示のない事実は当事者間に争いがない。以下、枝番の表示のない証拠は枝番の全てを含む。)(1) 当事者ア原告は、1837 年(天保7 年)に創業され、バッグ、高級婦人服、アクセサリー等の製造、販売を業とするフランス国の法人であり、直営店及び特約店を合わせて日本国内に合計29 店舗を有する。(甲3、61、弁論の全趣旨)イ被告は、バッグ及びアクセサリー等の服飾雑貨の卸及び販売等を業とする株式会社である。(2) 原告商品の販売等原告商品はいずれも高級ハンドバッグであって、バーキンは販売価格が1 個100 万円を超えるものが、ケリーは1 個50 万円を超えるものがほとんどである。原告は、百貨店にある店舗等を通じて原告商品を販売している。(甲61)また、中古の原告商品も、実店舗及びインターネット上の販売サイトで活発に取引されている。(甲69、乙14、15、弁論の全趣旨)(3) 原告商品の形状の周知著名性原告商品の形状は、いずれも、遅くとも原告が原告商標に係る商標権の設定登録を受けた平成23 年9 月9 日までに、ハンドバッグの取引者及び需要者にとって、原告の販売に係るハンドバッグである 著名性原告商品の形状は、いずれも、遅くとも原告が原告商標に係る商標権の設定登録を受けた平成23 年9 月9 日までに、ハンドバッグの取引者及び需要者にとって、原告の販売に係るハンドバッグであることを識別可能な程度に周知かつ著名なものとなっていた。 も原告が原告商標に係る商標権の設定登録を受けた平成23 年9 月9 日までに、ハンドバッグの取引者及び需要者にとって、原告の販売に係るハンドバッグである 著名性原告商品の形状は、いずれも、遅くとも原告が原告商標に係る商標権の設定登録を受けた平成23 年9 月9 日までに、ハンドバッグの取引者及び需要者にとって、原告の販売に係るハンドバッグであることを識別可能な程度に周知かつ著名なものとなっていた。(甲3、4、弁論の全趣旨)(4) 原告商標原告は、原告商標について、次の各商標権(原告商標権1 及び2)を有する。(甲3、4) ア原告商標権1登録番号商標登録第5438059 号登録日平成23 年9 月9 日登録商標 商品区分第18 類指定商品ハンドバッグイ原告商標権2登録番号商標登録第5438058 号登録日平成23 年9 月9 日登録商標 商品区分第18 類指定商品ハンドバッグ(5) 原告商標の特徴アバーキン商標バーキン商標は、別紙「解説図1(バーキン商標)」記載のとおり、次の特徴を備える(以 下、「バーキン商標の特徴」と総称する。)。(甲3)(ア) 本体部分の正面及び背面は底辺のやや長い台形状であり、本体各側面は縦長の二等辺三角形状である。(イ) 蓋部は、背面から正面上部にかけて本体部分を覆い、略凸型状となるように両サイドに切込みを有し、横方向に略3 等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが2 か所設けられ、本体背面の上端部と縫合されている。(ウ) 本体背面上部の左右端部に縫合され、左右各側面に形成されたタックの山部を貫通し、正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられている。(エ) 前記蓋部の略凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができると共に左右のベルトを止めるリング状の固定具が本体正面の上部中央に設けられ、さら られている。(エ) 前記蓋部の略凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができると共に左右のベルトを止めるリング状の固定具が本体正面の上部中央に設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の略凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられている。(オ) 本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられている。 中央にて同時に固定することができると共に左右のベルトを止めるリング状の固定具が本体正面の上部中央に設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の略凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられている。(オ) 本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられている。イケリー商標の特徴ケリー商標は、別紙「解説図2(ケリー商標)」記載のとおり、次の特徴を備えている(以下、「ケリー商標の特徴」と総称する。)。(甲4)(ア) 本体部分の正面及び背面は底辺のやや長い台形状であり、左右各側面は縦長の二等辺三角形状である。(イ) 蓋部は、背面から正面上部にかけて本体部分を覆い、天辺において水平面を形成し、かつ、正面上部と重なる部分が凸型状となるように両サイドに切込みを有している。(ウ) 本体背面上部の左右端部に縫合され、左右各側面に形成されたタックの山部を貫通し、正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられている。(エ) 前記蓋部の凸型状の部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができると共に左右のベルトを止めるリング状の固定具が本体正面の上 部中央に設けられている。(オ) 前記蓋部の天辺の水平面にハンドルが一つ設けられている。(6) 被告商品の販売被告は、百貨店に出店している自社の実店舗及び自社の運営するEC サイト等において被告商品を展示販売し、令和元年12 月20 日~令和3 年2 月13 日の間に、被告商品1 を 214 個、被告商品2 を184 個、いず している自社の実店舗及び自社の運営するEC サイト等において被告商品を展示販売し、令和元年12 月20 日~令和3 年2 月13 日の間に、被告商品1 を 214 個、被告商品2 を184 個、いずれも1 個1 万5180 円で販売した。他方、その仕入価格(1 個)は、被告商品1 は2270 円、被告商品2 は2205 円である。このため、上記期間中に被告が被告商品の販売により得た利益の額は、被告商品1 が276 万2740 円、被告商品2が238 万7400 円(合計515 万0140 円)となる。(甲63、弁論の全趣旨) 3 争点(1) 民法709 条に基づく請求ア原告商標と被告商品の形状の類否(争点1-1)イ商標的使用の有無(争点1-2)ウ過失の有無(争点1-3)エ損害発生の有無及び損害額(争点1-4)(2) 不競法4 条に基づく請求ア原告商品と被告商品の各形状の類否(争点2-1)イ混同を生じるおそれの有無(争点2-2)ウ故意又は過失の有無(争点2-3)エ損害発生の有無及び損害額(争点2-4)第3 争点に関する当事者の主張 ) 民法709 条に基づく請求ア原告商標と被告商品の形状の類否(争点1-1)イ商標的使用の有無(争点1-2)ウ過失の有無(争点1-3)エ損害発生の有無及び損害額(争点1-4)(2) 不競法4 条に基づく請求ア原告商品と被告商品の各形状の類否(争点2-1)イ混同を生じるおそれの有無(争点2-2)ウ故意又は過失の有無(争点2-3)エ損害発生の有無及び損害額(争点2-4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(原告商標と被告商品の形状の類否)について【原告の主張】(1) 被告商品1 の形状はバーキン商標の特徴を、被告商品2 の形状はケリー商標の特徴を、それぞれ全て備えている。したがって、バーキン商標と被告商品1 の形状、ケリー商標と被告商品2 の形状は、そ れぞれ同一といえるほど類似している。(2) 被告指摘に係るバーキン商標と被告商品1 の形状との相違部分やケリー商標と被告商品2 の形状との相違部分は、いずれも些末な相違であることなどから、これらの類似性を否定する根拠となるものではない。また、原告商品を含む高級ブランドバッグに の形状との相違部分やケリー商標と被告商品2 の形状との相違部分は、いずれも些末な相違であることなどから、これらの類似性を否定する根拠となるものではない。また、原告商品を含む高級ブランドバッグについて成熟した中古市場が存在すること、被告商品が廉価とまではいえない価格であること、原告商品と被告商品とが販路を共通にしていること等から、価格帯の相違といった取引の実情を考慮しても、バーキン商標と被告商品1 の形状及びケリー商標と被告商品2 の形状との類似性を否定し得ない。【被告の主張】バーキン商標と被告商品1の形状及びケリー商標と被告商品2の形状は、以下のとおり、外観に違いがあると共に、取引の実情に照らし出所混同が生じる可能性もないため、いずれも類似していない。(1) 外観原告商標ないし原告商品と被告商品の形状には、外観上次のような違いがある。アサイズ(バーキンについて)バーキンは横幅が25 センチメートル以上であるのに対し、被告商品1 は横幅が20 センチメートルである。イ角部の形状原告商標は一つ一つの角部が強調されて角張った形状をしており、高級感を生じさせているのに対し、被告商品は全体的に丸みを帯びた形状をしており、高級感よりもかわいらしさが重視されている。 外観原告商標ないし原告商品と被告商品の形状には、外観上次のような違いがある。アサイズ(バーキンについて)バーキンは横幅が25 センチメートル以上であるのに対し、被告商品1 は横幅が20 センチメートルである。イ角部の形状原告商標は一つ一つの角部が強調されて角張った形状をしており、高級感を生じさせているのに対し、被告商品は全体的に丸みを帯びた形状をしており、高級感よりもかわいらしさが重視されている。ウ生地原告商品の素材は本革であるのに対し、被告商品の素材は合成皮革である。エ側面の形状原告商標の側面の形状は縦長の二等辺三角形状であるのに対し、被告商品の側面は、底辺と側斜辺が丸みを帯びたフラスコ形状となっている。オ蓋部の切込み(バーキンについて)バーキン商標は、蓋部に略凸型状となるように両サイドに切込み及び縦方向の鍵穴状の切込みが2 か所設けられているところ、凸型部分と本体正面上部中央部分の幅は同じ長さとなっている。バーキンについて)バーキン商標は、蓋部に略凸型状となるように両サイドに切込み及び縦方向の鍵穴状の切込みが2 か所設けられているところ、凸型部分と本体正面上部中央部分の幅は同じ長さとなっている。これに対し、被告商品1 は、蓋部に両サイドの切込み及び縦方向の鍵穴状の切込みはあるものの、本体正面上部中央部分の幅の長さが両サイドの凸型部分の幅の長さの約2 倍となっている。カハンドルの形状(バーキンについて)バーキンのハンドルは、持ち手となる部分が長く、ハンドバッグ本体とハンドルで枠取られる部分は、短軸が長軸の2 分の1 以下である縦長の楕円形を横に半分にしたような形をしている。これに対し、被告商品1 のハンドルは、持ち手となる部分が短く、ハンドバッグ本体とハンドルで枠取られる部分は、逆さまの茶碗型のような形をしている。キチャームの有無原告商品には金属チャームが付属していないのに対し、被告商品には被告商品であることを示す刻印のある金属チャームが付属している。ク固定具とベルトの長さの比率(ケリーについて)ケリー商標は、固定具の長さが正面から見たベルトの長さの5 分の1 程度であるのに対し、被告商品2 は、固定具の長さが正面から見たベルトの長さの3 分の1 から4 分の1 程度である。(2) 取引の実情原告商品と被告商品に関する取引の実情は次のとおりであり、出所の誤認混同が生じる可能性はない。 被告商品であることを示す刻印のある金属チャームが付属している。ク固定具とベルトの長さの比率(ケリーについて)ケリー商標は、固定具の長さが正面から見たベルトの長さの5 分の1 程度であるのに対し、被告商品2 は、固定具の長さが正面から見たベルトの長さの3 分の1 から4 分の1 程度である。(2) 取引の実情原告商品と被告商品に関する取引の実情は次のとおりであり、出所の誤認混同が生じる可能性はない。ア価格バーキンはほとんどが1 個100 万円を超える高級バッグであり、ケリーもほとんどが1個50 万円を超える高級バッグであって、原告商品の販売価格が極めて高額であることも周知となっている。これに対し、被告商品の販売価格はいずれも1 個1 万5180 円である。このため、原告商品は、購入者にとって、憧れや特別な感情から購 て、原告商品の販売価格が極めて高額であることも周知となっている。これに対し、被告商品の販売価格はいずれも1 個1 万5180 円である。このため、原告商品は、購入者にとって、憧れや特別な感情から購入に至るものであり、 被告商品のような価格で市場に出るものではないことも周知であるのに対し、被告商品は、若い女性が日常使用目的で購入する商品である。イ刻印の有無原告商品には「HERMES」の文字がバッグに刻印されているのに対し、被告商品にそのような刻印はない。ウファスナーポケットの有無(バーキンについて)バーキンには内側にファスナーポケットが付いているのに対し、被告商品1 には付いていない。エ販売方法被告は、被告商品を「バーキン風」、「ケリー風」などと称して販売したことはなく、被告独自の商品として販売していた。2 争点1-2(商標的使用の有無)について【被告の主張】被告は、被告商品の販売に当たり、原告商標について商標的使用をしていない。すなわち、被告は、被告商品の形状が「かわいらしい感じ」、「女性好みである感じ」であることを理由に被告商品を販売商品のラインナップに加え、購買意欲を喚起させようとしていたのであり、購入者側も、そのような形状であるからこそ被告商品を購入しており、被告商品の形状が原告商標と類似していることを理由に被告商品を購入しているものではない。【原告の主張】被告は、原告商標について商標的使用を行っている。すなわち、原告商標は、その立体的形状が自他商品識別力を有するものとして商標登録されたものである。 とを理由に被告商品を販売商品のラインナップに加え、購買意欲を喚起させようとしていたのであり、購入者側も、そのような形状であるからこそ被告商品を購入しており、被告商品の形状が原告商標と類似していることを理由に被告商品を購入しているものではない。【原告の主張】被告は、原告商標について商標的使用を行っている。すなわち、原告商標は、その立体的形状が自他商品識別力を有するものとして商標登録されたものである。被告商品の形状は原告商標と同一といえるほど酷似している以上、原告商標は、被告商品の形状において自他識別機能を有する態様で使用されている。3 争点1-3(過失の有無)について されたものである。被告商品の形状は原告商標と同一といえるほど酷似している以上、原告商標は、被告商品の形状において自他識別機能を有する態様で使用されている。3 争点1-3(過失の有無)について【被告の主張】 被告商品の形状は原告商標と類似しておらず、原告商標権侵害につき被告の過失はない。【原告の主張】被告の過失は推定されるところ(商標法39 条、特許法103 条)、これを覆す事情はない。したがって、被告には、原告商標権の侵害行為につき過失がある。4 争点1-4(損害発生の有無及び損害額)について【原告の主張】原告は、被告の商標権侵害によって、次のとおり、合計785 万0140 円の損害を被った。(1) 逸失利益 515 万0140 円被告は、被告商品1 及び2 の販売により合計515 万0140 円の利益を得たことから、同額が原告の受けた損害の額として推定され(商標法38 条2 項)、これを覆す事情はない。(2) 信用毀損による無形損害 150 万円原告は、その高級ブランドとしての価値、名声を維持すべく、その製造販売に当たり商品の品質保護に努めているほか、原告の販売方針について教育を受けた販売スタッフの配置や多年にわたる多大な宣伝広告費用の支出によりそのブランドイメージの維持に努めている。しかるに、原告商品の形状に酷似した質の低い被告商品が廉価で販売されたことで、原告の高級ブランドとしてのイメージ及び原告商品に対する顧客の信用は著しく毀損された。被告による被告商品の販売行為が日本全国の需要者に認識されると共に、その購入者も多数に及ぶことも踏まえると、被告の販売行為による無形損害は150 万円を下らない。(3) 弁護士費用 120 万円原告は、本件紛争解決のため、代理人弁護士に対して訴訟委 、原告商品の形状に酷似した質の低い被告商品が廉価で販売されたことで、原告の高級ブランドとしてのイメージ及び原告商品に対する顧客の信用は著しく毀損された。被告による被告商品の販売行為が日本全国の需要者に認識されると共に、その購入者も多数に及ぶことも踏まえると、被告の販売行為による無形損害は150 万円を下らない。(3) 弁護士費用 120 万円原告は、本件紛争解決のため、代理人弁護士に対して訴訟委 ると共に、その購入者も多数に及ぶことも踏まえると、被告の販売行為による無形損害は150 万円を下らない。(3) 弁護士費用 120 万円原告は、本件紛争解決のため、代理人弁護士に対して訴訟委任を行い、報酬として120万円の支払を約した。【被告の主張】否認ないし争う。(1) 逸失利益について次の事情に照らすと、原告に損害は発生しておらず、仮に損害が発生したとしても、被告が被告商品の販売によって得た利益の少なくとも95%については、原告の損害との間に 因果関係がない。ア価格バーキンが1 個100 万円、ケリーが1 個50 万円を超える高級バッグであるのに対し、被告商品はいずれも1 個1 万5180 円で販売されていたものである。購入者は商品の購入に関して予算を想定していることに鑑みると、このような価格差ゆえに原告商品と被告商品との誤認混同のおそれはないから、原告の損害は発生せず、仮に誤認混同のおそれがないとはいえないとしても、損害額推定の覆滅事由となる。また、原告商品は、中古品であっても1 個50 万円以上するものばかりであるため、中古品の流通を考慮しても上記と事情は異ならない。仮に被告商品を購入したことで中古の原告商品を購入しなくなる者がいたとしても、原告は原告商品の中古品を販売していないため、原告には損害が生じ得ない。イ競合品の存在原告商品を模した商品は数多く販売されており、こうした競合品の中には被告商品と極めて近い価格帯のものが多数存在している。そのため、購入者は、被告商品が手に入らない場合、近い価格帯の競合品を購入するのであって、価格帯が大きく異なる原告商品を購入することはなく、仮にあるとしても損害額推定の覆滅事由となる。ウ被告の営業努力被告は、様々なファッションショーへ 合、近い価格帯の競合品を購入するのであって、価格帯が大きく異なる原告商品を購入することはなく、仮にあるとしても損害額推定の覆滅事由となる。 帯のものが多数存在している。そのため、購入者は、被告商品が手に入らない場合、近い価格帯の競合品を購入するのであって、価格帯が大きく異なる原告商品を購入することはなく、仮にあるとしても損害額推定の覆滅事由となる。ウ被告の営業努力被告は、様々なファッションショーへ 合、近い価格帯の競合品を購入するのであって、価格帯が大きく異なる原告商品を購入することはなく、仮にあるとしても損害額推定の覆滅事由となる。ウ被告の営業努力被告は、様々なファッションショーへの継続的な出展、独自ブランドの商品販売、全国の主要都市での店舗展開、SNS での宣伝活動といった営業努力を続けている。エ機能性の違い(バーキンについて)被告商品1 は、サイズが最小サイズのバーキンと比較しても20%も小さいサイズであり、内容量も同程度の違いがある。また、被告商品1 は、内部にファスナーポケットが付いていないという点で、バーキンと機能面で大きな差異がある。(2) 信用毀損による無形損害について原告商品と被告商品は購買層が重なっておらず、被告商品を見て原告のブランドイメージが低下するといったことは起こり得ない。また、原告商品を模したハンドバッグがイン ターネット上及び全国各地で廉価で販売されていることは周知の事実であり、それによって原告商品の信用が毀損されることはない。したがって、被告商品の販売により原告の信用は毀損されていない。争点2-1(原告商品と被告商品の各形状の類否)について当事者の主張は、争点1-1 における各主張と同旨である。6 争点2-2(混同を生じるおそれの有無)について【原告の主張】被告商品の形状は、原告の商品表示として需要者の間に広く認識されている原告商品の形状と同一の特徴を備えており、これに類似する。このため、被告商品に接した需要者は、通常、原告商品を想起する。したがって、被告商品の販売は、原告商品との誤認混同を生じさせるおそれがあり、少なくとも、原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。【被告の主張】否認ない て、被告商品の販売は、原告商品との誤認混同を生じさせるおそれがあり、少なくとも、原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。【被告の主張】否認ないし争う。前記のとおり、被告商品の形状は原告商品の形状と類似していないことから、両者の混同を生じるおそれはない。 済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。【被告の主張】否認ない て、被告商品の販売は、原告商品との誤認混同を生じさせるおそれがあり、少なくとも、原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。【被告の主張】否認ないし争う。前記のとおり、被告商品の形状は原告商品の形状と類似していないことから、両者の混同を生じるおそれはない。7 争点2-3(故意又は過失の有無)について【原告の主張】原告商品の形状は原告の商品表示として需要者に広く認識されていたことに鑑みると、被告は、原告商品の形状につき原告の商品表示として周知であることを認識していたといえる。したがって、被告には、不正競争(不競法2 条1 項1 号及び2 号)について故意又は少なくとも過失がある。【被告の主張】争う。被告商品の形状は原告商品の形状と類似しておらず、被告には故意も過失もない。8 争点2-4(損害発生の有無及び損害額)について 当事者の主張は、争点1-4 についての各主張と同旨である(原告主張に係る損害額推定規定は不競法5 条2 項)。第4 当裁判所の判断 1 争点1-1(原告商標と被告商品の形状の類否)について(1) 商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。もっとも、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、これら3 点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについて れを推測させる一応の基準にすぎず、これら3 点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできない(最高裁昭和43 年2 月27 日第三小法廷判決・民集22 巻2 号 399 頁、最高裁平成9 年3 月11 日第三小法廷判決・民集51 巻3 号1055 頁参照)。 を推測させる一応の基準にすぎず、これら3 点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできない(最高裁昭和43 年2 月27 日第三小法廷判決・民集22 巻2 号 399 頁、最高裁平成9 年3 月11 日第三小法廷判決・民集51 巻3 号1055 頁参照)。(2) バーキン商標と被告商品1 の形状の類否についてア証拠(甲71、乙2)によれば、被告商品1 の形状は、バーキン商標の特徴を全て備えていると認められる。このことに鑑みると、バーキン商標と被告商品1 の形状は、その外観が類似しているものといえる。これに対し、被告は、角部及び側面の各形状、蓋部の長さ及びハンドルの形状等の相違点を指摘して、両者は外観上類似していないと主張する。しかし、バーキン商標の特徴はいずれもハンドバッグの外観を特徴付ける基礎的な構成に関わるものであり、需要者がハンドバッグの外観から受ける印象に大きな影響を及ぼし得る。他方、被告が指摘する上記各相違点は、バーキン商標の特徴の構成要素と比較すると、ハンドバッグの細部に関するものであるにとどまり、しかも、バーキン商標と慎重に比較して初めて相違点と認識し得る程度の相違に過ぎない。また、バーキン商標はサイズや生地を特定したものではないこと、被告商品1 のチャーム(取り外し可能なもの)は付属品に過ぎないことに鑑みると、これらに関する相違点はバーキン商標と被告商品1 の形状の類否の判断に当たり考慮すべ き事情とはいえない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。イバーキン商標及び被告商品1 の形状は、いずれも特定の観念及び称呼を生じさせるものとは たり考慮すべ き事情とはいえない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。イバーキン商標及び被告商品1 の形状は、いずれも特定の観念及び称呼を生じさせるものとは認められない。ウバーキン商標と被告商品1 の形状とは外観上類似している上、バーキンと被告商品 1 のどちらも少なくとも百貨店にある店舗で販売されている点で、その販路が共通している。このため、取引の実情を考慮しても、被告商品1 の出所について誤認混同を生じるおそれがあることがうかがわれる。これに対し、被告は、価格や刻印の有無等の違いを指摘して、取引の実情を考慮すれば、被告商品1 の出所について誤認混同を生じるおそれはないと主張する。 商品1 の形状とは外観上類似している上、バーキンと被告商品 1 のどちらも少なくとも百貨店にある店舗で販売されている点で、その販路が共通している。このため、取引の実情を考慮しても、被告商品1 の出所について誤認混同を生じるおそれがあることがうかがわれる。これに対し、被告は、価格や刻印の有無等の違いを指摘して、取引の実情を考慮すれば、被告商品1 の出所について誤認混同を生じるおそれはないと主張する。しかし、中古市場で取引される原告商品1 の中には新品より相当低廉な価格で販売されているものもあること(甲69)、通常の取引において購入者が刻印の有無やファスナーポケットの有無を必ず確認した上で購入しているとまで認めるに足りる証拠はないこと等に照らすと、被告が指摘する上記各相違点を考慮しても、なお被告商品1 の出所について誤認混同を生じるおそれがあることは否定されない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。エ以上のとおり、バーキン商標と被告商品1 の形状は、その外観において類似し、観念及び称呼は類否判断の要素となり得ず、取引の実情を考慮しても出所の誤認混同を生じるおそれがないとはいえないことから、類似するものといえる。(3) ケリー商標と被告商品2 の形状の類否についてア証拠(甲71、乙3)によれば、被告商品2 の形状は、ケリー商標の特徴を全て備えていると認められる。このことに鑑みると、ケリー商標と被告商品2 は、その外観が類似しているものといえる。これに対し、被告は、角部の形状、生 れば、被告商品2 の形状は、ケリー商標の特徴を全て備えていると認められる。このことに鑑みると、ケリー商標と被告商品2 は、その外観が類似しているものといえる。これに対し、被告は、角部の形状、生地、側面の形状等バーキン商標の場合と同様の相違点を指摘すると共に、固定具とベルトの長さの比率の相違をも指摘して、ケリー商標と被告商品2 の形状は外観上類似していないと主張する。しかし、バーキン商標の場合と同 様の被告指摘に係る相違点については、その場合と同様の理由が妥当する。固定具とベルトの長さの比率の相違も、ケリー商標と慎重に比較して初めて認識し得る程度のわずかな違いにすぎない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。イケリー商標及び被告商品2 の形状は、いずれも特定の観念又は称呼を生じさせるものとは認められない。 の形状は外観上類似していないと主張する。しかし、バーキン商標の場合と同 様の被告指摘に係る相違点については、その場合と同様の理由が妥当する。固定具とベルトの長さの比率の相違も、ケリー商標と慎重に比較して初めて認識し得る程度のわずかな違いにすぎない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。イケリー商標及び被告商品2 の形状は、いずれも特定の観念又は称呼を生じさせるものとは認められない。ウケリー商標と被告商品2 の形状とは外観上類似している上、ケリーと被告商品2 のどちらも少なくとも百貨店にある店舗で販売されている点で、その販路が共通している。このため、取引の実情を考慮しても、被告商品2 の出所について誤認混同を生じるおそれがあることがうかがわれる。これに対し、被告は、バーキン商標の場合と同様に、価格等の違いを指摘して、取引の実情を考慮すれば被告商品2 の出所について誤認混同を生じるおそれはないと主張する。しかし、バーキン商標の場合と同様の理由から、被告指摘に係る各相違点を考慮しても、なお被告商品2 の出所について誤認混同を生じるおそれがあることは否定されない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。エ以上のとおり、ケリー商標と被告商品2 の形状は、その外観において類似し、観念又は称呼は類否判断の要素となり得ず、取引の実情を考慮しても出所の誤認混同を生じる に関する被告の主張は採用できない。エ以上のとおり、ケリー商標と被告商品2 の形状は、その外観において類似し、観念又は称呼は類否判断の要素となり得ず、取引の実情を考慮しても出所の誤認混同を生じるおそれがあることから、類似するものといえる。(4) 小括以上より、原告商標と被告商品の形状はいずれも類似すると認められる。2 争点1-2(商標的使用の有無)について原告商標は、いずれも指定商品をハンドバッグとするハンドバッグの形状に係る商標であるから、これと同一又は類似する形状を採用したハンドバッグの販売は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様による商標の使用すなわち商標的使用に当たる。被告は、原告商標のそれぞれと類似する形状のハンドバッグである被告商品を販売していたのであるから、これをもって原告商標を商標的に使用していたもの と認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 ドバッグの形状に係る商標であるから、これと同一又は類似する形状を採用したハンドバッグの販売は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様による商標の使用すなわち商標的使用に当たる。被告は、原告商標のそれぞれと類似する形状のハンドバッグである被告商品を販売していたのであるから、これをもって原告商標を商標的に使用していたもの と認められる。これに反する被告の主張は採用できない。3 争点1-3(過失の有無)について被告による被告商品の販売は原告商標権の侵害と認められ、被告にはその侵害行為につき少なくとも過失が推定されるところ(商標法39 条、特許法103 条)、この推定を覆すに足りる具体的な事情はない。したがって、被告には被告商品の販売による原告商標権の侵害につき、少なくとも過失があったと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。4 争点1-4(損害発生の有無及び損害額)について(1) 原告の逸失利益額ア前提事実(6)のとおり、被告は、被告商品の販売によって合計515 万0140 円の利益を得たことから、同金額が被告の商標権侵害によって原告が受けた損害の額と推定される(商標法38 条2 項)。イもっとも、原告商品は、その販売価格がバーキンにおいては100 万 0140 円の利益を得たことから、同金額が被告の商標権侵害によって原告が受けた損害の額と推定される(商標法38 条2 項)。イもっとも、原告商品は、その販売価格がバーキンにおいては100 万円を、ケリーにおいては50 万円を超えるものが大半という高級ハンドバッグである(前提事実(2))。他方、被告商品の販売価格はいずれも1 万5180 円であり(前提事実(6))、その価格差が大きいことは多言を要しない。また、証拠(甲23、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、バーキンには複数のサイズのものがあるものの、最も小さいサイズのものの横幅は25cm であるのに対し、被告商品1 の横幅は20cm であることが認められる(なお、ケリーも、横幅が25 ㎝のものを最小として複数のサイズのものが販売されており、他方、被告商品2 の横幅は20cm である。甲1、52)。商標権は、特許権等の他の工業所有権とは異なり、それ自体に創作的価値があるものではなく、商品又は役務の出所である事業者の営業上の信用等と結びつくことによってはじめて一定の価値が生じるという性質を有する。 し、被告商品1 の横幅は20cm であることが認められる(なお、ケリーも、横幅が25 ㎝のものを最小として複数のサイズのものが販売されており、他方、被告商品2 の横幅は20cm である。甲1、52)。商標権は、特許権等の他の工業所有権とは異なり、それ自体に創作的価値があるものではなく、商品又は役務の出所である事業者の営業上の信用等と結びつくことによってはじめて一定の価値が生じるという性質を有する。このため、商標権が侵害された場合に、侵害者の得た利益が当該商標権に係る登録商標の顧客吸引力のみによって得られたものとは必ずしもいえない場合が多い。本件のようなハンドバッグの場合、需要者の購買動機の形成に当たっては、当該商品の属するブランドはもとより、その販売価格も考慮され、また、 全体のデザイン及びサイズといった要素も、デザイン性ないしファッション性の側面のみならず機能面からも考慮されると考えられる。これらの点を踏まえると、原告商標ないし原告商品の周知著名性からそのブランド及び全体のデザインが需要者の購買動機形成に及ぼす影響は相当に大きいとみられるものの、販売価格並びにデザイン及 と考えられる。これらの点を踏まえると、原告商標ないし原告商品の周知著名性からそのブランド及び全体のデザインが需要者の購買動機形成に及ぼす影響は相当に大きいとみられるものの、販売価格並びにデザイン及びサイズにおける相違が及ぼす影響もなお無視し得ず、上記推定を覆滅すべき事情として考慮するのが相当である。また、被告商品と同じ価格帯で「バーキン風」、「ケリー風」などと称するハンドバッグが市場において取引されている事実が認められるところ(乙17~20、28、29)、これらの全てが原告商標権の侵害品であるとは必ずしも考えられず、侵害品でないものが含まれる可能性も少なからずうかがわれる。このうち原告商標権の侵害に当たるものがどの程度存在するかは必ずしも判然としないところ、他に原告商標権の侵害品が存在することを推定覆滅事由として考慮することは相当でないものの、上記事情は推定覆滅事由として一応考慮するのが相当である。さらに、バーキンの内側には、被告商品1 にはないファスナーポケットが設けられていることが認められるところ(弁論の全趣旨)、その有無は、デザイン性という点では需要者の購買動機の形成に必ずしも寄与しないとしても、収納性という機能面の一要素としては考慮し得るものといえる。 標権の侵害品が存在することを推定覆滅事由として考慮することは相当でないものの、上記事情は推定覆滅事由として一応考慮するのが相当である。さらに、バーキンの内側には、被告商品1 にはないファスナーポケットが設けられていることが認められるところ(弁論の全趣旨)、その有無は、デザイン性という点では需要者の購買動機の形成に必ずしも寄与しないとしても、収納性という機能面の一要素としては考慮し得るものといえる。他方、被告は、ファッションショーへの出展、独自ブランドの商品販売、全国の主要都市への出店、SNS での宣伝活動等の営業努力をしていることが認められる(乙21~27)。もっとも、これらの営業努力は、通常の営業努力の範囲を超える特別なものとまではいえないことから、この点を推定覆滅事由として考慮するのは相当でない。ウ以上の事情を総合的に考慮すると、被告商品の利益の額に対する原告商標の貢献割合については、いずれも8 割と認めるのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。慮するのは相当でない。ウ以上の事情を総合的に考慮すると、被告商品の利益の額に対する原告商標の貢献割合については、いずれも8 割と認めるのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。したがって、本件における上記損害額の推定は2 割の限度で覆滅されるから、被告の原告商標権侵害による原告の損害額は、被告商品1 及び2 の各販売利益の額(276 万2740 円及び238 万7400 円)のそれぞれ8 割に相当する221 万0192 円及び190 万9920 円の合計 412 万0112 円と認められる。エこれに対し、被告は、原告商品と被告商品との価格差、被告商品と同じ価格帯の原告商品を模した商品の存在、被告商品の販売利益に対する被告の営業努力の貢献、原告商品と被告商品とのサイズやファスナーポケットの有無といった機能性の違い等を指摘し、被告商品の販売によって原告に損害が発生することはなく、仮に損害が発生したとしても少なくとも95%の推定覆滅が認められる旨主張する。しかし、原告商品と被告商品は、いずれも主に女性を需要者とするハンドバッグであり、販売方法には共通点があり、かつ、需要者にとってその形状(全体のデザイン)は購買動機を形成する主な要素の1 つであるところ、原告商品と被告商品は形状が類似しているといった事情を踏まえると、被告が主張する上記各事情を踏まえても、原告商品と被告商品の顧客層には一定の重なり合いが認められるのであって、被告商品の販売によって原告に損害が発生すると認められる。 いずれも主に女性を需要者とするハンドバッグであり、販売方法には共通点があり、かつ、需要者にとってその形状(全体のデザイン)は購買動機を形成する主な要素の1 つであるところ、原告商品と被告商品は形状が類似しているといった事情を踏まえると、被告が主張する上記各事情を踏まえても、原告商品と被告商品の顧客層には一定の重なり合いが認められるのであって、被告商品の販売によって原告に損害が発生すると認められる。また、これらの事情が商標法38 条2 項による推定を覆滅する程度については、上記のとおりである。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。(2) 信用毀損による無形損害の額原告は、高級ハンドバッグである原告商品 2 項による推定を覆滅する程度については、上記のとおりである。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。(2) 信用毀損による無形損害の額原告は、高級ハンドバッグである原告商品の大半を、バーキンについては100 万円以上、ケリーについては50 万円以上という価格で販売している(前提事実(2))。他方、被告は、原告商品と形状において類似するものの、原告商品には使用されない安価な合成皮革等を用いて製作された被告商品を、1 個1 万5180 円で、百貨店の店舗や自社の運営するEC サイト等を通じて、令和元年12 月20 日から令和3 年2 月13 日までの1 年余りの間に、合計 398 個(被告商品1 が214 個、被告商品2 が184 個)販売した(前提事実(6))。このような被告の行為は、高級ハンドバッグとしての原告商品及びこれを製造販売する原告のブランド価値すなわち信用を毀損するものであり、これによる原告の無形損害の額は100 万円を下らない。無形損害の額に関する原告の主張は採用できない。また、被告は、原告商品と被告商品との購買層の違いや、原告商品を模したハンドバッグが全国各地で廉価で販売されているのは周知の事実であることなどを指摘して、原告の信用毀損はない旨を主張する。しかし、仮にこれらの事情があるとしても、原告商標及び 原告商品の周知著名性を考慮すると、その違いゆえに原告の信用が毀損されないという関係にはない。この点に関する被告の主張は採用できない。(3) 弁護士費用上記(1)及び(2)に鑑みると、被告の商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、 グが全国各地で廉価で販売されているのは周知の事実であることなどを指摘して、原告の信用毀損はない旨を主張する。しかし、仮にこれらの事情があるとしても、原告商標及び 原告商品の周知著名性を考慮すると、その違いゆえに原告の信用が毀損されないという関係にはない。この点に関する被告の主張は採用できない。(3) 弁護士費用上記(1)及び(2)に鑑みると、被告の商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、 52 万円と認めるのが相当である。これに反する原告及び被告の主張はいずれも採用できない。(4) 小括以上より、被告の商標権侵害行為によって の商標権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、 52 万円と認めるのが相当である。これに反する原告及び被告の主張はいずれも採用できない。(4) 小括以上より、被告の商標権侵害行為によって原告が受けた損害は、合計564 万0112 円と認められる。したがって、原告は、原告商標権侵害の不法行為(民法709 条)に基づき、被告に対し、 564 万0112 円の損害賠償請求権を有する。ただし、遅延損害金については、被告商品の販売期間が平成29 年法律第44 号による改正後の民法の施行日(令和2 年4 月1 日)の前後に跨るところ、その前後の期間における各販売数量が証拠上不明であることを考慮すると、全体として上記改正後の民法所定の年3%の割合によるのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。そうすると、原告は、不法行為に基づき、被告に対し、564 万0112 円の損害賠償請求権及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和3 年10 月29 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。なお、原告は、選択的に不競法4 条に基づく損害賠償請求もしているところ、この点に関する当事者の主張に鑑みると、この請求が認められた場合の損害賠償額が上記額を超えることはない。まとめ以上より、その余の点につき論ずるまでもなく、原告は、原告商標権侵害の不法行為に基づき、被告に対し、564 万0112 円の損害賠償請求権及びこれに対する令和3 年10 月29日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。第5 結論よって、原告の請求は、564 万0112 円の損害賠償及びこれに対する令和3 年10 月29 日 の損害賠償額が上記額を超えることはない。まとめ以上より、その余の点につき論ずるまでもなく、原告は、原告商標権侵害の不法行為に基づき、被告に対し、564 万0112 円の損害賠償請求権及びこれに対する令和3 年10 月29日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。第5 結論よって、原告の請求は、564 万0112 円の損害賠償及びこれに対する令和3 年10 月29 日 から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払 有する。第5 結論 よって、原告の請求は、564万0112円の損害賠償及びこれに対する令和3年10月29日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、その限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官杉浦正樹 裁判官稲垣雄大 裁判官鈴木美智子は差支えのため署名押印することができない。裁判長裁判官杉浦正樹 (別紙)当事者目録 原告エルメスアンテルナショナル 同訴訟代理人弁護士高松薫 同鈴木銀治郎 同鈴岡正 同大石忠生 同伊藤愼司 同多田光毅 同野本健太郎 同伊藤稔彦 同木下達彦 同坂下良治 同金子典正 同石田晃士 同滝口博一 同大倉丈明 同鈴木康之 同椿原直 同柴田真理子 同伊藤大樹 同宮内望 同小熊慎太郎 同岡野椋介 同岩田貴鈴 被告株式会社ナオインターナショナル 同訴訟代理人弁護士阪下慎太郎 株式会社ナオインターナショナル 同訴訟代理人弁護士阪下慎太郎
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