平成7(オ)1866 遺言無効確認等

裁判年月日・裁判所
平成9年11月13日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所 平成6(ネ)365
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判決文本文1,471 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人河村正和、同柳瀬治夫の上告理由について一原審の確定した事実関係等の概要は次のとおりであり、この事実認定は原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができる。 1 D(以下「亡D」という。)は、平成三年一一月一五日に死亡した。その法定相続人は、妻であるE並びに子である上告人ら、被上告人及びFの合計五名である。 2 亡Dは、昭和六二年一二月六日、自筆証書によって、その遺産の大半を被上告人に相続させる内容の遺言。(以下「甲遺言」という。)をした。 3 亡Dは、平成二年三月四日、自筆証書によって、被上告人に相続させる遺産を減らし、甲遺言の内容より多くの遺産を被上告人以外の者に相続させる内容の遺言(以下「乙遺言」という。)をした。乙遺言の末尾には、「この遺言書以前に作成した遺言書はその全部を取り消します」との記載がある。 4 さらに、亡Dは、平成二年一一月八日、自筆証書によって、「Gに渡した遺言状は全て無効としH弁護士のもとで作成したものを有効とする」と記載された遺言(以下「丙遺言」という。)をした。丙遺言にいう「Gに渡した遺言状」とは乙遺言書を指し、「H弁護士のもとで作成したもの」とは甲遺言書を指している。 5 被上告人は、甲遺言に基づき、第一審判決添付第一ないし第三物件目録記載の各不動産について、相続を原因とする所有権移転登記を行った。 二本件訴訟は、上告人らが、乙遺言により甲遺言が失効したとして、甲遺言の無効確認を求めるとともに、右各不動産について法定相続分に従った共有登記への- 1 -更正登記手続を求めるものである。これに対し、被上告人は、亡Dは、丙遺言によって甲遺言と同一の内容の新たな遺言をし 効確認を求めるとともに、右各不動産について法定相続分に従った共有登記への- 1 -更正登記手続を求めるものである。これに対し、被上告人は、亡Dは、丙遺言によって甲遺言と同一の内容の新たな遺言をしたものであり、仮にそうでないとしても、民法一〇二五条ただし書の類推適用により、丙遺言によって甲遺言が復活すると主張している。原審は、甲遺言の復活を認めるべきであるとして、上告人らの本訴請求をいずれも棄却した。 三ところで、遺言(以下「原遺言」という。)を遺言の方式に従って撤回した遺言者が、更に右撤回遺言を遺言の方式に従って撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、民法一〇二五条ただし書の法意にかんがみ、遺言者の真意を尊重して原遺言の効力の復活を認めるのが相当と解される。これを本件について見ると、前記一の事実関係によれば、亡Dは、乙遺言をもって甲遺言を撤回し、更に丙遺言をもって乙遺言を撤回したものであり、丙遺言書の記載によれば、亡Dが原遺言である甲遺言を復活させることを希望していたことがあきらかであるから、本件においては、甲遺言をもって有効な遺言と認めるのが相当である。 四そうすると、前記一の事実関係の下において、甲遺言の復活を認めるべきであるとした原審の認定判断は、是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官藤井正雄裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判 判官藤井正雄裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判官井嶋一友- 2 -

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