判決平成14年2月25日神戸地方裁判所平成12年(ワ)第1953号損害賠償請求事件 主文 1 被告らは,原告に対し,各自228万2055円及びこれに対する平成9年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは,原告に対し,各自947万9156円及びこれに対する平成9年3月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,自動二輪車が道路上に設置された工事用の柵に衝突し,その衝突の影響で押し出された工事用の柵が自転車に衝突したという交通事故に関し,自転車の運転者である原告が,自動二輪車等の運転者である被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。 1 前提事実(1)交通事故(以下「本件事故」という。)の発生(争いがない事実,甲4~12,被告B本人)ア発生日時平成9年3月8日午後5時55分ころイ発生場所 a市b区c町d丁目e番f号先路上(以下「本件事故現場」という。)ウ加害車両 ①被告A運転の普通自動二輪車(以下「A車」という。)②被告B運転の原動機付自転車(以下「B車」という。)エ被害車両原告運転の足踏み式自転車オ事故態様本件事故現場を東西に走る東西方向道路(以下「本件道路」とい ②被告B運転の原動機付自転車(以下「B車」という。)エ被害車両原告運転の足踏み式自転車オ事故態様本件事故現場を東西に走る東西方向道路(以下「本件道路」という。)を西進していたB車が,南行き道路へ左折進行しようとした際,同じく本件道路を西進していたA車が転倒し,本件道路に沿って連続して並べて設置されていたMAスタンドと呼ばれる工事用の柵(1体当たりの長さ約4m,下部の幅約60㎝,高さ約75㎝)(以下「本件スタンド」という。)に衝突し,その衝突の影響で押し出された本件スタンドが原告運転の自転車に衝突した。 (2)原告は,本件事故により,少なくとも腰椎捻挫及び左下腿打撲の傷害を負った(争いがない事実)。 2 争点(1)被告らの責任の有無(争点1)(2)原告の受傷内容及び相当治療期間並びに後遺障害の有無(争点2)(3)損害額(争点3) 3 争点に対する当事者の主張(1)争点1(被告らの責任の有無)についてア原告の主張被告らは友人であり,本件事故当時,それぞれB車及びA車を運転し,ふざけ合いながら走行していた。そして,本件道路を西進中,被告Bが第3車線ないし第2車線の右側から,南行き道路へ左折する際,同被告が十分な左方確認をしなかったことと,被告AがB車を同車の内側から無理に追い抜こうとしたこととがあいまって,B車とA車が衝突し,A車が転倒して本件事故が生じた。 したがって,被告らは,原告に対し,共同不法行為責任として,本件事故により原告が被った損害を賠償する責任がある。 イ被告Aの主張争う。 ウ被告Bの主張被告Bは,本件道路から南行き道路に左折進入しようとして,左後方に車両がないことを確認し 償する責任がある。 イ被告Aの主張争う。 ウ被告Bの主張被告Bは,本件道路から南行き道路に左折進入しようとして,左後方に車両がないことを確認した上で左折の方向指示器を出して左折を開始した。他方,被告Aは,B車が直進を続けるものと誤信し,高速度でB車の左側から同車を追い越そうとしたところ,B車が左折してきたたため,これを避けようとしてハンドルを左に切った。その結果,A車が本件スタンドに衝突し,本件事故が生じた。このように,本件事故は,B車の動静に対する注意を怠った被告Aの過失によって生じたものであり,被告Bには過失はない(2)争点2(原告の受傷内容及び相当治療期間並びに後遺障害の有無)についてア原告の主張(ア)原告は,本件事故により,①腰椎捻挫,②左下腿打撲,③右下肢打撲,④頭部外傷Ⅰ型,⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常の傷害を受け,その治療のため,次のとおりの通院治療を受けた。 AA整形外科病院平成9年3月8日(実通院日数1日)BB病院平成9年3月11日~平成10年2月17日(実通院日数57日)(イ)被告らは,上記各傷害のうち,③~⑦は本件事故とは関係がない旨主張する。しかしながら,原告は,自転車に乗車中,身体の左側に本件スタンドを衝突させられ,本件スタンドと自転車との間に身体左側を挟まれた後,そのまま右に転倒して道路に身体を打ち付けたのであり,上記③及び④の傷害はその際に生じた傷害である。また,原告の便秘は本件事故後に生じているのであって,⑤~⑦の内科的な傷病が本件事故と無関係かどうかは明らかではない。したがって,原告は,本件事故により,①~⑦の傷害を被ったものというべき 害である。また,原告の便秘は本件事故後に生じているのであって,⑤~⑦の内科的な傷病が本件事故と無関係かどうかは明らかではない。したがって,原告は,本件事故により,①~⑦の傷害を被ったものというべきであり,原告の上記通院はすべて本件事故と相当因果関係がある。 (ウ)本件事故による傷害は,平成10年2月17日,以下の後遺障害を残して症状固定したが,この後遺障害は,局部に神経症状を残すものとして,後遺障害等級14級に該当する。 A 自覚症状前屈で腰部脱力,痛み。重いものが持てない。走行時の跛行あり。 寒いときに左下肢痛,腰痛あり。 B 他覚症状腰部筋の圧痛あり。腰椎の可動性低下。側屈,前屈,回旋時に腰痛あり。 イ被告らの主張(ア)原告主張の受傷のうち,本件事故による受傷は①腰椎捻挫及び②左下腿打撲のみであり,③右下肢打撲,④頭部外傷Ⅰ型,⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常は本件事故と因果関係がない。すなわち,③及び④は,本件事故直後の診断書には記載されていない上,本件事故の態様に照らしてかかる傷害が生じたとは考え難い。また,⑤~⑦は子宮筋腫ないしこれに起因する症状であり,本件事故とは因果関係がない。 (イ)本件事故によって原告に生じた傷害は,上記のとおり①腰椎捻挫及び②左下腿打撲のみであるところ,これらは軽度の捻挫や打撲であり,3ヶ月程度で十分に治療が可能であった。仮に,これを超える治療が必要であったとしても,担当医から整形外科的治療がもはや必要ないと判断された平成9年8月26日までが必要な治療期間であったと考えるのが相当である。 (ウ)原告は,自賠責保険における後遺障害の等級認定手続を行わず,等級認定を受けていないところ,原告主張の いと判断された平成9年8月26日までが必要な治療期間であったと考えるのが相当である。 (ウ)原告は,自賠責保険における後遺障害の等級認定手続を行わず,等級認定を受けていないところ,原告主張の自覚症状は,他覚所見に基づくものとは言い難く,後遺障害等級14級の「局部に神経症状を残すもの」には該当しない。 (3)争点3(損害額)についてア原告の主張(ア)治療費 70万3400円但し,平成9年3月から平成10年2月までのB病院における治療費。(イ)通院交通費 6万8260円(ウ)休業損害 346万0875円原告は,本件事故当時,理容業を営む父母のために専従で家事手伝いをしていたが,本件事故により11ヶ月間は家事が全くできなかった。したがって,賃金センサスに基づき算定した346万0875円をもって,原告の休業損害の額とすべきである。 平成9年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・学歴計・女子40~44歳平均賃金377万5500円÷12ケ月×11ケ月=346万0875円(エ)後遺障害逸失利益 266万0575円基礎収入額377万5500円(前記賃金センサス)×労働能力喪失率5%×14.0939(労働能力喪失期間25年に対応するライプニッツ係数)=266万0575円(オ)慰謝料 181万6666円(内訳)傷害慰謝料 91万6666円後遺障害慰謝料 (オ)慰謝料 181万6666円(内訳)傷害慰謝料 91万6666円後遺障害慰謝料 90万円(カ)弁護士費用 87万円(キ)後記イの(イ)の既払額は認める。 イ被告らの主張(ア)原告主張の損害額は,いずれも不知ないし否認する。 治療費,通院交通費,休業損害及び慰謝料の算定に当たっては,本件事故と相当因果関係のある傷害に対する治療期間等を前提とすべきである。 休業損害については,原告が家事労働を行っていたとは考え難く,仮に原告が家事労働者であったとしても,原告の受傷内容等に照らすと,本件事故と相当因果関係のある労働支障期間は,本件事故後2ヶ月間,遅くとも平成9年7月8日までであるというべきである。 また,本件事故により原告に後遺障害が生じたとは認められないから,後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料の請求には理由がない。 (イ)既払額 ▼33万6485円第3 争点に対する判断 1 争点1(被告らの責任の有無)について(1)前提事実,証拠(甲4~12,原告本人,被告B本人)並びに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件道路は東西方向に走る片側3車線の道路であるが,本件事故当時,西行き第1車線(最も南側の車線)には道路工事のため複数の本件スタンドが連続して並べて設置されていた。そのため,同車線は車両が西進できる状態ではなく,西進車両が通行可能な車線は第2車線及び第3車線(中央寄りの車線)のみであった。 イ被告らは友人であり,本件事故当時,それぞれB車及びA車 た。そのため,同車線は車両が西進できる状態ではなく,西進車両が通行可能な車線は第2車線及び第3車線(中央寄りの車線)のみであった。 イ被告らは友人であり,本件事故当時,それぞれB車及びA車を運転し,三宮方面に向かっていた。被告らは,新神戸駅方面から南進し,本件道路と交差する交差点(通称布引交差点)で赤信号に従って停車した。その際,B車の左側(東側)にA車が停車した。 被告Bは,対面信号が青色に変わったことから,同交差点を右折し,本件道路の第3車線若しくは第2車線の右寄りに進入した(被告B立ち会いに係る実況見分調書(甲4)及び被告B本人尋問の結果(2項,33項)によれば,B車は本件道路の第3車線若しくは第2車線の右寄りを走行していたことが認められ,これに反する証拠はない。)。そして,被告Bは,本件道路を30mほど西進した後,南行き道路へ左折するためハンドルを左に切った。一方,被告Aは,上記布引交差点を右折し,本件道路の第2車線に進入し,B車の左側から同車を追い抜こうとした。その際,被告Aは,自車の右前方約6.7mの地点に左折しようとしているB車を発見し,ブレーキをかけてB車との衝突を回避しようとして転倒した。 その結果,本件道路の西行き第1車線に連続して並べて設置されている複数の本件スタンドの端にA車が衝突し,この衝突の影響により玉突き状態で本件スタンドが順次押し出され,最終の本件スタンドが,その前方を通りかかった原告運転の自転車の左側面に衝突した。 (2)上記認定のとおりの本件事故の状況に照らして判断するに,被告Bは,本件道路から南行き道路へ左折しようとしたにもかかわらず,道路左側に寄ることなく,第3車線若しくは第2車線の右寄りから左折を開始している上,左折に際し,左後方の十分な安全確認を怠 するに,被告Bは,本件道路から南行き道路へ左折しようとしたにもかかわらず,道路左側に寄ることなく,第3車線若しくは第2車線の右寄りから左折を開始している上,左折に際し,左後方の十分な安全確認を怠ったものと推認でき,一方,被告Aは,B車の動静を十分に注視することなくB車の左側から同車を追い抜こうとしたものと推認でき,これらの認定を覆すに足りる証拠はない。 そして,被告Aは,B車との衝突を避けようとして転倒し,その結果,本件スタンドが原告運転の自転車に衝突するという本件事故が生じたのであるから,本件事故は,被告らの過失があいまって生じたものと認められる。よって,被告らは,原告に対し,共同不法行為責任として,本件事故により原告が被った後記損害を連帯して賠償する責任を負う。 2 争点2(原告の受傷内容及び相当治療期間並びに後遺障害の有無)について(1)原告が本件事故により生じたとする①腰椎捻挫,②左下腿打撲,③右下肢打撲,④頭部外傷Ⅰ型,⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常の各傷害のうち,①及び②が本件事故による受傷であることは当事者間に争いがない。また,証拠(甲21,乙3~5)によれば,原告は,本件事故から平成10年2月17日までの間に,次のとおりの通院をしたことが認められる(なお,上記各証拠によれば,B病院への通院のうち,整形外科への通院実日数は50日(乙5の②~④,⑥,⑧,⑩,⑬~⑱の各「診療実日数」欄記載の日数の合計),消化器内科等の整形外科以外への通院実日数は11日(乙5の⑤,⑦,⑨,⑪,⑫の各「診療実日数」欄記載の日数の合計)であると認められ,次のイの実通院日数約57日と符号しないが,これは同一日に整形外科とその他の科を合わせて受診したためと推測される。)。 ア A整形外科病院平成9年 の合計)であると認められ,次のイの実通院日数約57日と符号しないが,これは同一日に整形外科とその他の科を合わせて受診したためと推測される。)。 ア A整形外科病院平成9年3月8日(実通院日数1日)イ B病院平成9年3月11日~平成10年2月17日(実通院日数約57日)(2)③右下肢打撲及び④頭部外傷Ⅰ型について証拠(甲2,乙3,4)によれば,原告は,本件事故当日,A整形外科で治療を受け,①腰椎捻挫及び②左下腿打撲で2週間の加療を要す見込みである旨の診断を受けたが,その後,上記(1)のとおりB病院に転院し,平成9年5月6日,同病院において③右下肢打撲及び④頭部外傷Ⅰ型との診断を受けたことが認められる。 そこで,③及び④が本件事故による受傷であるか否かについて検討するに,同病院の診療録である乙4の37頁(平成9年3月11日欄)には,左下肢のみならず,右下肢にも傷害が存する旨が図示されており,同42頁(同年4月15日欄)には,「1週間前より頚の左側に痛み」「最初から頭痛あり」との記載があり,原告が本件事故当初から右下肢の打撲及び頭部痛を訴えていたことがうかがわれる。また,上記1の(1)のとおりの本件事故の状況に原告本人尋問の結果を総合すれば,原告は,本件スタンドで左下腿を打撲した後,右側に転倒し,身体の右側を道路に打ち付けたことが認められ,③及び④の傷害はこの転倒時に生じたと考えても不自然ではない。以上によれば,B病院で診断された③及び④の傷害は本件事故により生じたものと認めるのが相当であり,この認定を覆すに足りる証拠はない。 (3)⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常について証拠(乙4,原告本人)によれば,原告は,平成9年8月15日,B病院 のと認めるのが相当であり,この認定を覆すに足りる証拠はない。 (3)⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常について証拠(乙4,原告本人)によれば,原告は,平成9年8月15日,B病院において,⑤便秘,⑥骨盤内腫瘤及び⑦大腸走行異常との診断を受けていることが認められる。しかしながら,これらの傷病が本件事故によって生じたものであることを認めるに足りる証拠はない。すなわち,証拠(乙4,原告本人)によれば,原告には,本件事故後,頑固な便秘が続いていることが認められるが,この事実のみでは本件事故と⑤~⑦との因果関係を肯定するには足りず,これを肯定するためには,本件事故から⑤~⑦が生じた発生機序が立証される必要があるところ,この点に関する的確な立証はない。かえって,証拠(乙4,6)によれば,⑥は子宮筋腫であり,⑤及び⑦は子宮筋腫に起因する症状であると認められ,このことに,B病院の担当医が,乙4の58頁に「本件事故との因果関係はないと思われる」との判断を記載していることを合わせ考えれば,本件事故から⑤~⑦が生じたものとは認め難いというべきである。 (4)相当治療期間について上記(2)及び(3)のとおり,本件事故によって原告に生じた傷害は,①腰椎捻挫,②左下腿打撲,③右下肢打撲及び④頭部外傷Ⅰ型のみであるところ,証拠(乙4,6)によれば,このうち主たる傷病は①及び②であり,原告に対する治療も①及び②が中心であったものと認められる。 そこで,これらの傷害に対する相当な治療期間について判断するに,乙6によれば,腰椎捻挫については,コルセット等で腰部を固定し,安静を保ち,1~2ヶ月の固定の後徐々に体幹の可動域訓練,筋力訓練を行い,同時にその都度疼痛に対して投薬,理学療法などの対症的治療を行うことにより,一般には3 については,コルセット等で腰部を固定し,安静を保ち,1~2ヶ月の固定の後徐々に体幹の可動域訓練,筋力訓練を行い,同時にその都度疼痛に対して投薬,理学療法などの対症的治療を行うことにより,一般には3~6ヶ月で治療は終了するものであり,また,下肢打撲については,鎮痛のための投薬,外用剤の使用により,一般には1~2ヶ月で治療は終了するものであることが認められる。また,証拠(乙4~6)によれば,原告に対しては,鎮痛剤や湿布の投与など,上記傷害に対するごく一般的な治療が施されたのみであることが認められる。 さらに,乙4の43頁及び50頁によれば,原告には,CT検査においても,MRI検査においても,異常所見は認められず,B病院の整形外科の担当医であるC医師は,MRI検査において異常所見が認められなかったことを受け,平成9年8月26日に「整形外科的に問題はない」と判断し,治療中止を考慮したことが認められる。以上によれば,上記傷害に対する相当な治療期間は,平成9年8月26日までと認めるのが相当である。 この点,乙4及び5によれば,原告は,平成9年9月以降も腰痛や下肢痛等を訴えてB病院の整形外科を受診していることが認められるが,同月以降の治療も鎮痛剤や湿布の投与といったごく一般的なものばかりであり(乙4,5),上記のとおり,CT検査においても,MRI検査においても,原告の愁訴に符合する他覚所見が認められないことを考慮すると,平成9年9月以降の通院の事実をもってしても,相当治療期間についての上記認定は左右されないというべきである。 (5)後遺障害についてア B病院整形外科D医師作成の平成12年3月1日付け後遺障害診断書(甲3)には,次のとおりの記載がある。 (ア)症状固定日平成10年2月17日(イ)自覚症状 いてア B病院整形外科D医師作成の平成12年3月1日付け後遺障害診断書(甲3)には,次のとおりの記載がある。 (ア)症状固定日平成10年2月17日(イ)自覚症状前屈で腰部脱力,痛み。重いものが持てない。走行時の跛行あり。寒いときに右下肢痛,腰痛あり(なお,原告は,甲3の「右下肢痛」は左下肢痛の誤記である旨主張している。)。 (ウ)精神・神経の障害,他覚症状及び検査結果腰部筋の圧痛あり。ラセグー徴候なし。腰椎の可動性低下。側屈,前屈,回旋時に腰痛あり。 (エ)胸腰椎部の運動障害前屈20度,後屈10度,右屈20度,左屈10度,右回旋30度,左回旋30度。 また,原告は,本人尋問において,現在も上記(イ)記載の症状が存する旨述べている(原告本人11項)。 イしかしながら,上記(4)のとおり,原告の腰痛や下肢痛等については,CT検査においても,MRI検査においても,これに符合する他覚所見は認められていない上,甲3には,「障害内容の憎悪・緩解の見通しなどについて」の記載がなく,原告の自覚症状が他覚所見に乏しい症状であることからすると,原告が訴える自覚症状は自然的経過によって消退するものであるとも考えられるのであって,これらの事情をも勘案すると,上記ア掲記の証拠(甲3及び原告本人)によっても,未だ,原告に,後遺障害等級14級(局部に神経症状を残すもの)に相当する後遺障害が生じたとは認めるに足りないというべきである。 他に,原告に後遺障害が生じたことを認めるに足りる証拠はない以上,原告に後遺障害等級14級(局部に神経症状を残すもの)に相当する後遺障害が生じたとの原告の主張には理由がない。 3 争点3(損害額) 他に,原告に後遺障害が生じたことを認めるに足りる証拠はない以上,原告に後遺障害等級14級(局部に神経症状を残すもの)に相当する後遺障害が生じたとの原告の主張には理由がない。 3 争点3(損害額)について(1)治療費 26万2020円上記2の(1)~(4)によれば,原告主張の治療費(平成9年3月から平成10年2月までのB病院における治療費)のうち,本件事故と相当因果関係があるものとして被告らに対して賠償を求め得る治療費は,平成9年8月26日までの同病院整形外科における治療費であり,その額は,次のとおり,26万2020円と認められる。 ア平成9年3月分~同年8月分までの診療報酬点数1万3101点(甲23の「整形外科」欄の対象月分の合計点数=乙5の②~④,⑥,⑧,⑩の「請求点」欄の合計点数=1万3101点)イ診療報酬点数1点当たりの金額=20円(甲23)ウア×イ=1万3101点×20円=26万2020円(2)通院交通費 4万8020円上記2の(1)~(4)によれば,原告主張の通院交通費のうち,本件事故と相当因果関係があるものとして被告らに対して賠償を求め得る通院交通費は,平成9年8月26日までのA整形外科病院及びB病院整形外科への通院交通費であり,証拠(甲21,22の1~16)によれば,その額は4万8020円と認められる(なお,この4万8020円の中にはB病院の整形外科以外の科への通院交通費が含まれている可能性があるが,これを区分するに足りる証拠はない上,額が少額であることから,4万8020円全額を本件事故と相当因果関係のある損害として認める。)。 (3)休業損害 あるが,これを区分するに足りる証拠はない上,額が少額であることから,4万8020円全額を本件事故と相当因果関係のある損害として認める。)。 (3)休業損害 125万8500円証拠(甲24,原告本人)によれば,原告は,本件事故当時,理容業を営む父母のために専従で家事手伝いをしていたことが認められる。そして,上記2で検討した本件事故により生じた原告の受傷内容,その相当治療期間等に加え,本件事故日~平成9年8月26日までの間のA整形外科病院への実通院日数が1日であり(上記2の(1)),B病院整形外科への実通院日数が26日であり(乙5の②~④,⑥,⑧,⑩の各「診療実日数」欄記載の日数の合計),その合計が27日であることをも考慮すると,本件事故と相当因果関係のある原告の休業期間は4ヶ月と認めるのが相当である。そこで,賃金センサスに基づき原告の休業損害の額を算定すると,次のとおり,125万8500円となる。 平成9年賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・学歴計・女子40~44歳平均賃金377万5500円÷12ケ月×4ヶ月=125万8500円(4)傷害慰謝料 85万円本件事故の態様,原告の受傷内容及び治療経過等を勘案すれば,原告の傷害慰謝料の額としては,85万円が相当である。 (5)後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料上記2の(5)のとおり,原告に後遺障害等級14級(局部に神経症状を残すもの)に相当する後遺障害が生じたとの原告の主張には理由がない以上,これを前提とする後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料の請求も認められない。 (6)以上合計 241万8540円(7 )に相当する後遺障害が生じたとの原告の主張には理由がない以上,これを前提とする後遺障害逸失利益及び後遺障害慰謝料の請求も認められない。 (6)以上合計 241万8540円(7)既払額 ▼33万6485円(争いがない)(8)弁護士費用 20万円本件事案の性質,審理の経過,認容額等に照らし,原告が本件事故による損害として被告らに対し賠償を求めうる弁護士費用は,20万円と認めるのが相当である。 (9)差引合計 228万2055円 4 結論以上によれば,原告の請求は,228万2055円及びこれに対する本件事故の日である平成9年3月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由がある。 よって,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第1民事部裁判官西村欣也・
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