【DRY-RUN】主 文 本件上告及び附帯上告を棄却する。 上告費用は上告人の、附帯上告費用は附帯上告人の各負担とする。 理 由 上告代理人山本孝の上告理由第一点及び
主文 本件上告及び附帯上告を棄却する。 上告費用は上告人の、附帯上告費用は附帯上告人の各負担とする。 理由 上告代理人山本孝の上告理由第一点及び第二点について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 同第三点について請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者の請負人に対する瑕疵修補又はこれに代る損害賠償の請求権は、民法六三七条ないしは六三八条の期間内にある限り注文者が目的物の引渡を受けたのちもこれを行使することができ、注文者が目的物の引渡を受けた当時瑕疵修補の請求をしなかつたことから直ちに右請求権を放棄したものと解するのは相当でなく、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 同第四点について本件記録によれば、被上告人は上告人主張の請求権が認められることを条件として予備的に相殺の主張をしており、所論の点に関する原審の判断に民訴法一八六条の違反はない。論旨は、採用することができない。 同第五点について請負契約における注文者の工事代金支払義務と請負人の目的物引渡義務とは対価的牽連関係に立つものであり、瑕疵ある目的物の引渡を受けた注文者が請負人に対し取得する瑕疵修補に代る損害賠償請求権は、右法律関係を前提とするもので、実- 1 -質的・経済的には、請負代金を減額し、請負契約の当事者が相互に負う義務につきその間に等価関係をもたらす機能を有するのであつて(最高裁昭和五〇年(オ)第四八五号同五一年三月四日第一小法廷判決・民集三〇巻二号四八頁参照)、しかも、請負人の注文者に 当事者が相互に負う義務につきその間に等価関係をもたらす機能を有するのであつて(最高裁昭和五〇年(オ)第四八五号同五一年三月四日第一小法廷判決・民集三〇巻二号四八頁参照)、しかも、請負人の注文者に対する工事代金債権と注文者の請負人に対する瑕疵修補に代る損害賠償債権は、ともに同一の原因関係に基づく金銭債権である。以上のような実質関係に着目すると、右両債権は同時履行の関係にある(民法六三四条二項)とはいえ、相互に現実の履行をさせなければならない特別の利益があるものとは認められず、両債権のあいだで相殺を認めても、相手方に対し抗弁権の喪失による不利益を与えることにはならないものと解される。むしろ、このような場合には、相殺により清算的調整を図ることが当事者双方の便宜と公平にかない、法律関係を簡明ならしめるゆえんでもある。この理は、相殺に供される自働債権と受働債権の金額に差異があることにより異なるものではない。したがつて、本件工事代金債権と瑕疵修補に代る損害賠償債権とは、その対当額による相殺を認めるのが相当であり、右と同旨の原判決は正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、採用することができない。 附帯上告代理人鈴木栄二郎、同松山正、同安藤壽朗の上告理由について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官団藤重光- 2 - 法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官団藤重光- 2 -裁判官岸上康夫裁判官藤崎萬里裁判官本山亨裁判官戸田弘- 3 -
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