令和6(わ)1334 贈賄、公契約関係競売入札妨害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月17日 千葉地方裁判所
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判決文本文2,547 文字)

- 1 -令和6年(わ)1334号贈賄、公契約関係競売入札妨害被告事件令和6年12月25日千葉地方裁判所刑事第3部判決 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の全部の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は土木一式工事の設計・施工・請負等を業とするA建設株式会社の代表取締役として、同社の業務全般を統括していたもの、分離前の相被告人Bは、令和2年4月1日から令和5年3月31日までの間は千葉県市川市水と緑の部次長として、同年4月1日の組織改編以降は同市下水道部次長として、いずれも同市の下水道に関する事項等を掌理する各部において、部内の職員を指揮監督し部の政策を推進するなどの職務を行う部長を補佐するとともに、部長に準ずる重要な事項を処理するなどの職務に従事していたものであるが、被告人は第1 前記水と緑の部又は前記下水道部が所管する同市発注の土木工事の一般競争入札等に関し、前記A建設の業務等にとって有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨又は有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に、別表記載のとおり、令和4年12月13日から令和6年4月22日までの間、50回にわたり、千葉県松戸市(以下略)所在の飲食店「C」ほか15か所において、前記Bに対し、代金合計約30万6700円相当の飲食接待をし、もって前記Bの職務に関し賄賂を供与し第2 令和5年8月17日に開札が行われた同県市川市発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0508工区)」に係る一般競争入札及び同月18- 2 -日に開札が行われた同市発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0513工区)」に 発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0508工区)」に係る一般競争入札及び同月18- 2 -日に開札が行われた同市発注の「市川第4-4処理分区汚水管渠布設工事(R0513工区)」に係る総合評価一般競争入札に関し、令和5年7月10日頃、前記「C」において、前記Bから、前記各入札における秘密事項である予定価格の教示を受けるなどし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をし第3 同年10月19日に開札が行われた同市発注の「公共下水道道路復旧工事(R0512)」に係る一般競争入札に関し、同年10月5日頃、同県内又はその周辺において、前記Bから、電話で、同入札における秘密事項である予定価格及び最低制限価格の教示を受けるなどし、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をしたものである。 (量刑の理由) 1 贈賄について被告人は、自らが経営するA建設が受注したい土木工事を確実に落札できるようにしたいなどと考えて本件犯行に及んでおり、その利欲的かつ身勝手な動機に酌量の余地はない。 被告人は、平成26年頃から、市川市の職員であった分離前の相被告人Bに対する飲食接待を開始し、賄賂の供与を繰り返した末に、本件犯行に及んだものである。判示第1の犯行に係る期間は1年4か月余り、その回数は50回にわたり、その常習性は顕著であって、犯行態様は悪質である。 被告人は、Bに対し、50回にわたり代金合計約30万6700円相当の飲食接待をして賄賂を供与したものであり、1回当たりの供与額はそれほど高額とはいえないものの、その合計額は相応に多額である。 被告人が、土木工事の入札における秘密事項の教示を受けたにとどまらず、翌年度発注の土木工事の概要に関する資料等も入手するなど 与額はそれほど高額とはいえないものの、その合計額は相応に多額である。 被告人が、土木工事の入札における秘密事項の教示を受けたにとどまらず、翌年度発注の土木工事の概要に関する資料等も入手するなど、Bから便宜供与を受けたことを併せ考えると、結果は大きいといえる。 - 3 - 2 公契約関係競売入札妨害について被告人は、市川市発注の土木工事を確実に落札したいと考えて、Bに対し、入札の秘密事項である予定価格等の教示を求めたのであり、その動機や経緯に酌量の余地はない。 被告人は、Bから、入札において最も秘密にすべき予定価格等の教示を受けているが、その行為は、入札の公正を大きく損なう行為であって、犯行態様は悪質である。 被告人が経営していたA建設は、判示第2の工事2件につき、いわゆるサクラの入札業者を用意した上で、予定価格の約97パーセントの価格で落札し、判示第3の工事については、最低制限価格で落札しており、本件犯行により、入札の公正が実際に損なわれている。本件犯行により、市川市に対する信頼が損なわれることともなっており、その結果は大きい。 3 他方、被告人が、本件各犯行を認めて、反省の態度を示していること、A建設は、市川市より24か月間、競争参加資格停止とされ、千葉県からも12か月間指名停止とされたこと、A建設が、市川市に対し、既に工事が完了していたR0508工区工事及びR0512工事について、工事請負契約に基づく賠償金相当額6203万7800円を支払うことなどを内容とする合意が成立していること、工事が完了していないR0513工区工事については、請負契約が解除されていること、被告人は、A建設の代表取締役を辞任しており、今後は、A建設の経営には関与しない予定であること、被告人に前科前歴がないこと、被告人の妻が公判廷に出廷 区工事については、請負契約が解除されていること、被告人は、A建設の代表取締役を辞任しており、今後は、A建設の経営には関与しない予定であること、被告人に前科前歴がないこと、被告人の妻が公判廷に出廷し、今後の被告人の監督を約束していることなど被告人のために酌むことができる事情も認められる。 そこで、以上の諸事情を総合考慮し、被告人に対して主文の刑を科し、その刑事責任を明らかにした上、今回に限り社会内での更生の機会を与えるため、その刑の全部の執行を猶予することとした。 (求刑・懲役1年6月)- 4 -(裁判官野々山優子)

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