平成28(ワ)35676 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年10月30日 東京地方裁判所
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判決文本文20,105 文字)

平成29年10月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第35676号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成29年9月14日判決原告株式会社カンキョー 同訴訟代理人弁護士本間由也同吉 田 まどか被告フマキラー・トータルシステム株式会社同訴訟代理人弁護士小林好則同近藤勝彦 同守田大地 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1億6498万4381円及びこれに対する平成28年12月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告との間でシロアリ駆除等に関する業務委託契約37件 を締結したとして,主位的にはこれらの業務委託契約上の報酬請求権に基づき,予備的には民法641条に基づき,被告に対し,745万0115円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,原告と被告との間の4件の業務委託に関する基本契約及び2件の加盟店契約につき,被告にはこれらの契約を解 除原因がないのに解除した債務不履行があるとして,債務不履行による損害賠償請 求権に基づき,損害賠償金1億5753万4266円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合によ があるとして,債務不履行による損害賠償請 求権に基づき,損害賠償金1億5753万4266円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者原告は,白蟻駆除業等を目的とする株式会社である。 被告は,医薬品及び医薬部外品の製造及び販売等を目的とする株式会社である。 ⑵ 業務委託契約の締結ア原告(当時の商号は株式会社環境衛生サービス)とフマキラー株式会社は, 平成10年5月1日,次の条項を含む「白蟻駆除および付帯工事に関する業務委託契約書」(甲9。以下「本件基本契約書1」といい,同契約書により締結された契約を「本件基本契約1」という。)を取り交わした。同日取り交わした覚書(甲10)によれば,原告は,フマキラー株式会社の指定する薬剤及び機材を用いて委託業務等を施工すべきものとされた。 「第1条(委託業務の内容)1.乙(判決注:フマキラー株式会社をいう。以下同じ。)は甲(原告をいう。 以下同じ。)に対して,株式会社カインズ(判決注:以下「カインズ」という。)が顧客から受注する白蟻駆除および付帯工事に関して次の業務を委託し,甲はこれを受託する。 (1)白蟻駆除および付帯工事の訪問販売および施工(2)前号の業務に関連する増改築工事2.甲は,工事の内容について乙所定の見積書および受注書を記載し乙の了解を得るものとし,その内容に基づき顧客がカインズ指定のお買上げ伝票にて注文したときをもって,前項各号の業務を受託することができる。」 「第2条(責任) 1.甲は,乙の名におい 解を得るものとし,その内容に基づき顧客がカインズ指定のお買上げ伝票にて注文したときをもって,前項各号の業務を受託することができる。」 「第2条(責任) 1.甲は,乙の名において第1項各号の業務を行うものであるため,営業,施工,保証,その他のサービスについて,甲は専門業者の技術,信用,責任を最大限に発揮し,安全,確実,誠実にこれを行わなければならない。 2.甲は,本契約の履行に当たって,常に乙およびカインズの信用を害さないように努めるとともに,乙の責によらない本契約上の顧客とのトラブルにつ いて一切の責任を負うものとし,乙はその責を負わないものとする。」「第5条(委託料等)1.甲は,委託工事完了の都度,第1条第2項の見積書および注文書に基づき算出した委託料を乙指定の完了請求書等を発行することにより請求するものとする。 2.各受託工事の代金および委託料については,各委託工事の内容に応じて,別途甲乙間で定める。」「第9条(契約期間)本契約の期間は,平成10年5月1日から1年間とし,期間満了の1ヶ月前までに,甲乙いずれか一方より解約の申し入れのない場合は,同一条件を もって更に1年間更新し,その後も同様とする。」「第10条(契約解除)乙は,甲に次のいずれかの事項が生じたときは,催告を要さずに本契約を解除することができる。 (1)第1条第2項の方法によらないで甲が顧客から受注し,甲が代金の支払 いを受けたとき。 〔中略〕(6)本契約の各条項もしくは本契約に付随する特約に関する重大な違反をしたとき,または相手方に対して重大な不信行為があったとき。 (7)前各号の他,これ以上本契約を継続することができないと認められる相 当な事態が生じたとき。」 に関する重大な違反をしたとき,または相手方に対して重大な不信行為があったとき。 (7)前各号の他,これ以上本契約を継続することができないと認められる相 当な事態が生じたとき。」 「第11条(中途解約)甲乙は契約期間中といえども,互いに1ヶ月前に通知することによって本契約を解約することができるものとする。」被告は,遅くとも平成14年4月1日までに,フマキラー株式会社から,本件基本契約1上の地位の移転を受けた(甲11,弁論の全趣旨)。 イ原告と被告は,平成14年10月1日,ホーマック株式会社が顧客から受注するシロアリ駆除及び付帯工事につき本件基本契約1と同旨の業務委託契約を締結し(甲22。以下「本件基本契約2」という。),平成16年2月までに,ミサワホーム株式会社が顧客から受注するシロアリ駆除及び付帯工事につき本件基本契約1と同旨の業務委託契約を締結し(以下「本件基本契約3」という。),平成21 年4月1日,株式会社ハイパーマーケット・オリンピックが顧客から受注するシロアリ駆除及び付帯工事につき本件基本契約1と同旨の業務委託契約を締結した(甲23。以下「本件基本契約4」という。)。 ウ原告と被告は,平成22年1月20日,原告が,被告の標準仕様書及びマニュアルに基づく「フマキラーあんしん床下システムに関わる業務」の営業,点検, 契約代行,施工及びアフターサービスを,「フマキラー・トータルシステムさいたま店」の名称を用いて,埼玉県内において独占的に行うことができる旨の「あんしん床下サービス事業に関する契約書」を取り交わし(甲24),同年12月1日には,原告が同業務を神奈川県内においても独占的に行うことができる旨の同内容の契約書を取り交わした(甲26。以下,上記2つの契約書により締結され に関する契約書」を取り交わし(甲24),同年12月1日には,原告が同業務を神奈川県内においても独占的に行うことができる旨の同内容の契約書を取り交わした(甲26。以下,上記2つの契約書により締結された契約を 併せて「本件加盟店契約」という。)。上記各契約書には,次の約定があった。 「第23条(契約の解除)1.甲(判決注:原告を指す。以下同じ。)および乙(判決注:被告を指す。以下同じ。)は,本契約の有効期間中といえども3ヶ月前に書面で予告することにより,本契約を解除する事ができるものとする。 2.次の各号の一に該当するときは,乙は,本契約を催告を要せず直ちに解除 することができる。 ⑩ 甲が特定商取引法,消費者契約法等その他法令に違反したとき」⑶ 施工注文書の受領原告は,平成28年2月7日から同月20日までの間に,別紙の「契約者」欄記載の個人37名(以下,併せて「本件顧客ら」という。)から,カインズを施工契 約先,原告を施工店とする「施工注文書」(受注日及び契約金額〔税込〕は,それぞれ,別紙の「受注日」欄及び「契約金額合計」欄記載のとおり)を受領しており,その契約金額の合計額は,1072万8166円であった。 原告は,本件顧客らから受領した「施工注文書」に記載された業務を施工していない。 (以上につき,甲17,18〔枝番号を含む。〕,弁論の全趣旨)⑷ 原告が受けた行政処分埼玉県知事は,平成28年2月18日,原告ほか5名(以下,併せて「被処分事業者ら」という。)に対し,要旨,被処分事業者らは業務を分担し,一体となって事業活動を行っていたところ,特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」と いう。)に違反する行為があったとして,同法に基づき,「訪問販売をしようとするとき 者らは業務を分担し,一体となって事業活動を行っていたところ,特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」と いう。)に違反する行為があったとして,同法に基づき,「訪問販売をしようとするときは,その勧誘に先立って,その相手方に対し,役務提供契約の締結について勧誘する目的である旨及び当該勧誘に係る役務の種類を告げること。」及び「訪問販売に係る役務提供契約の締結について,迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘しないこと。」を指示する行政処分をした(以下「本件行政処分」という。)。 原告を含む被処分事業者らは,平成28年6月頃,本件行政処分の前提となる事実認定に誤りがあるなどとして,処分行政庁たる埼玉県知事が属する地方自治体である埼玉県を被告として,さいたま地方裁判所に対して本件行政処分の取消しを求める訴訟を提起し,同訴訟は現在も係属中である。 (以上につき,甲8,49,弁論の全趣旨) 3 争点 ⑴ 原告と被告との間に,合計37件の個別の業務委託契約(以下,併せて「本件各個別契約」といい,個別には別紙の最左列の番号に対応して「本件個別契約1」などという。)が全て成立したか(争点1)⑵ 本件各個別契約は,被告の責めに帰すべき事由により履行不能となったか(争点2) ⑶ 原告は,本件各個別契約に関し,解除に伴う損害賠償請求権(民法641条)を行使できるか(争点3)⑷ 被告は,本件基本契約1を解除原因がないのに解除したことにより,同契約上の債務不履行責任による損害賠償義務を負うか(争点4)⑸ 被告は,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約を解除原因がないの に解除したことにより,これらの契約上の債務不履行による損害賠償義務を負うか(争点5) 4 争点に対する当事者の主張⑴ 本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約を解除原因がないの に解除したことにより,これらの契約上の債務不履行による損害賠償義務を負うか(争点5) 4 争点に対する当事者の主張⑴ 争点1(原告と被告との間に,合計37件の個別の業務委託契約〔本件各個別契約〕が全て成立したか)について 【原告の主張】ア個別の業務委託契約の成立について本件基本契約書1では,原被告間の個別の業務委託契約は,顧客が「カインズ指定のお買上げ伝票にて注文したとき」(同契約書1条2項)に成立すると規定されている。 もっとも,実際には,原被告間の取引は次のように行われていた。すなわち,原告がカインズの名称が入った名刺やジャンパーを用いて顧客を訪問するなどして勧誘し,顧客がカインズ指定の施工注文書を原告に交付してシロアリ駆除業務等を注文すると,原告は,施工注文書をカインズ及び被告に送付するが,被告が契約の成否等について何らの意見を述べることはない。原告は,注文に係る業務を施工し, カインズには施工完了報告書を,被告には施工請求書を送付する。顧客が代金をカ インズに支払うと,被告は,原告に対して報酬(顧客が支払う代金の75パーセント)を支払う。 本件基本契約書1における1条の規定及び原被告間の取引の実情を併せ考慮すると,被告は,本件基本契約1に基づき,カインズから受託するすべてのシロアリ駆除業務等につき,原告との間で個別の業務委託契約を締結する義務を負っており, これら個別の業務委託契約は,顧客がカインズ指定の施工注文書を原告に交付したときに成立するというべきである。 この点について,被告は,個別の業務委託契約は,被告が施工注文書を受領してから8日が経過した時点に成立すると主張するが,現実には,被告は 工注文書を原告に交付したときに成立するというべきである。 この点について,被告は,個別の業務委託契約は,被告が施工注文書を受領してから8日が経過した時点に成立すると主張するが,現実には,被告は原告がどの顧客から施工注文書を受領したか実質的に把握しておらず,契約の締結について原告 に異議を述べたことなどない。また,原告は,顧客の要望により,クーリングオフ期間中であっても施工に着手することがあったが,この場合でも被告から異議を述べられたことはない。したがって,原告と被告との間で,施工注文書を被告が受領してから8日間,業務委託契約の成立が留保されていたということはない。 イ合計37件の個別の業務委託契約の成立 前記前提事実(2⑶)のとおり,原告は,平成28年2月7日から同月20日までの間に,合計37名の個人(本件顧客ら)から,カインズを施工契約先,原告を施工店とする施工注文書を受領していた。 したがって,原被告間には,平成28年2月20日時点で,37件の個別の業務委託契約(本件各個別契約)が締結されている状態にあり,これら本件各個別契約 に基づき原告が受けることができたであろう報酬の額は,別紙の「報酬」欄記載の金額(本件顧客らがそれぞれ支払うべき契約金額〔別紙の「契約金額合計」欄記載のとおり〕から消費税相当分8パーセント〔別紙の「消費税相当分」欄記載のとおり〕を控除した額の75パーセント相当額)を合計した745万0115円である。 【被告の主張】 ア個別の業務委託契約の成立について 原被告間で個別の業務委託契約が締結される場合としては,顧客がカインズの店舗で申し込む場合と,原告が見込み顧客に訪問販売して注文を受ける場合とがある。 後者の場合,顧客が施工注文書を原告に交付したときは,原 間で個別の業務委託契約が締結される場合としては,顧客がカインズの店舗で申し込む場合と,原告が見込み顧客に訪問販売して注文を受ける場合とがある。 後者の場合,顧客が施工注文書を原告に交付したときは,原告はこれをカインズ及び被告に送付する。被告は,顧客がクーリングオフをすることができる期間内は,原告を含めた施工店に対し,工事に着手しないように指導している。したがって, 原被告間の個別の業務委託契約は,被告が原告から施工注文書を受領してから,クーリングオフ期間である8日が経過した時点で成立するというべきである。 イ本件各個別契約について平成28年2月20日時点で,被告が施工注文書を受領してから8日が経過していたのは,7名の顧客(別紙の番号12,15,16,21,24,27及び29 の各顧客)から受領したもの(甲18の16,19,20,25,28,31,33)のみであって,その余の30名(別紙の番号1ないし11,13,14,17ないし20,22,23,25,26,28,30ないし37の各顧客)からの施工注文書については,いまだ受領後8日が経過する前の状態であった(甲18の1ないし15,17,18,21ないし24,26,27,29,30,32,34な いし37)。したがって,被告が同日に異議を述べたことにより,これら30名からの施工注文書に対応する原被告間の個別の業務委託契約(本件個別契約1ないし11,13,14,17ないし20,22,23,25,26,28,30ないし37)は成立するに至らなかった。 ⑵ 争点2(本件各個別契約は,被告の責めに帰すべき事由により履行不能とな ったか)について【原告の主張】被告は,平成28年2月20日,原告との面会において,原告が本件行政処分を受けたことを原因として,原 約は,被告の責めに帰すべき事由により履行不能とな ったか)について【原告の主張】被告は,平成28年2月20日,原告との面会において,原告が本件行政処分を受けたことを原因として,原告に弁解の機会を与えることなく,何らの調査もしないまま,本件基本契約1に基づくすべての顧客への勧誘,営業,見積り,施工など 一切の活動を,直ちに無期限に停止するよう命じた。これは,被告がカインズの意 向に沿って,原告に対する優越的な地位を背景としてされたものであり,事実上,本件基本契約1及び本件各個別契約の解除の意思表示であった。しかし,本件行政処分があくまでも暫定的なものであること,本件基本契約1は15年以上も継続し,原告が取引関係継続のために相応の投資をしてきたことなどからすれば,被告は,本件行政処分を原因としては,本件基本契約1及びこれに基づく本件各個別契約を 解除することはできないというべきである。 したがって,本件各個別契約は,債権者である被告の責に帰すべき事由により履行不能となったと評価できるから,民法536条2項の規定により,原告は契約上の債務を免れるが,被告に対する報酬請求権は失われない。 よって,原告は,被告に対し,本件各個別契約に基づき,報酬合計745万01 15円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 【被告の主張】そもそも,原告主張の報酬請求権が発生するのは,原告が被告との本件各個別契約(以下,被告の主張中では,本件各個別契約のうち有効に成立したと判断される ものという趣旨で用いる。)に基づいて施工を完了した時点であるところ,原告は,これを完了していないから,報酬請求権は発生していない。 中では,本件各個別契約のうち有効に成立したと判断される ものという趣旨で用いる。)に基づいて施工を完了した時点であるところ,原告は,これを完了していないから,報酬請求権は発生していない。 また,本件個別契約1ないし11,13,14,17ないし20,22,23,25,26,28,30ないし37)は,前記(⑴【被告の主張】)のとおり,成立していないし,被告が平成28年2月20日にその余の本件各個別契約を解除した との事実もない。原告が本件行政処分を受けたことは,本件基本契約1に違反するものであり,本件基本契約書1における10条7号の解除事由に該当するものであったが,被告は,あえて同契約を解除するのではなく,原告に対して営業活動の自粛を申し入れ,原告がこれを受け入れたものである(乙9)。現に,原告は,被告の求めに応じて顧客リストを交付している(乙10)。これらの事実関係によれば, 原告と被告は,同日,本件各個別契約を合意解約したものと評価でき,本件各個別 契約に基づく原告の債務が被告の責めに帰すべき事由により履行不能になったということはできない。 仮に,本件各個別契約に基づく原告の債務が履行不能となったと評価されるとしても,本件各個別契約のうち10件(本件個別契約1ないし3,10,15,16,23,27,35及び36〔甲18の2,3,5ないし7,14,19,20,2 7,31〕)については,顧客からキャンセルされたものであるから,被告の責に帰すべき事由により履行不能になったとはいえない。 ⑶ 争点3(原告は,本件各個別契約に関し,解除に伴う損害賠償請求権〔民法641条〕を行使できるか)について【原告の主張】 前記(⑵【原告の主張】)のとおり,被告は,本件各個別契約を解除することはできな 件各個別契約に関し,解除に伴う損害賠償請求権〔民法641条〕を行使できるか)について【原告の主張】 前記(⑵【原告の主張】)のとおり,被告は,本件各個別契約を解除することはできないというべきであるが,仮に,被告による本件各個別契約の解除が民法641条に基づく請負契約の注文者による解除の意思表示と解することができたとしても,原告は,同条に基づき,被告に対し,損害賠償を請求することができる。 そして,同条に基づく損害賠償は,いわゆる履行利益を含むものと解されるから, 原告は,被告に対し,本件各個別契約により得ることができたであろう額に相当する745万0115円の損害賠償を求めることができるというべきである。 【被告の主張】前記(⑵【被告の主張】)のとおり,被告は,本件各個別契約を解除していない。 本件各個別契約は,原被告の合意により解約されたものである。 仮に,民法641条に基づく損害賠償請求権が行使し得るとしても,原告は,解除による損害を立証していない。 ⑷ 争点4(被告は,本件基本契約1を解除原因がないのに解除したことにより,同契約上の債務不履行責任による損害賠償義務を負うか)について【原告の主張】 前記(⑵【原告の主張】)のとおり,被告は,平成28年2月20日,本件基本 契約1を解除したが,被告がその原因にした本件行政処分は明らかに誤りであること,原告の売上高に占める本件基本契約1に基づく売上高は直近で60パーセントを超えていたこと,原告は,カインズの名称の入った名刺,チラシ,ジャンパー等を自らの費用により作成していること,被告からの要請を受けて,カインズの店舗出店に併せて神奈川県や静岡県に新規営業所を設立し,従業員や社用車を用意した ことなどからして,本件基本 ,ジャンパー等を自らの費用により作成していること,被告からの要請を受けて,カインズの店舗出店に併せて神奈川県や静岡県に新規営業所を設立し,従業員や社用車を用意した ことなどからして,本件基本契約1は,継続的契約として解除が制限されるべきであり,被告は,原告に対して少なくとも6か月分の得べかりし利益を提供しなければ,本件基本契約1を解除することはできないというべきである。 したがって,被告が,本件基本契約1を解除したことは,本件基本契約1に基づく被告の債務不履行を構成し,被告は,これにより原告が受けた損害を賠償する責 任を負うというべきである。そして,原告が受けた損害の額は,本件基本契約1に基づき原告が直近3年間(平成25年3月から平成28年2月まで)に得ていた1か月あたりの平均報酬額(2393万7603円)の6か月分に相当する額であり,合計1億4362万5618円である。 よって,原告は,被告に対し,債務不履行に基づき,損害賠償金1億4362万 5618円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 【被告の主張】前記(⑵【被告の主張】)において主張したところと同様に,被告が平成28年2月20日に本件基本契約1を解除した事実はない。なお,原告は,被告に対して 営業等の自粛を約したものの,その後もカインズの顧客を訪問して契約の締結を勧誘し,また,被告の取引先に対しても被告を通さずに取引してほしいなどと申し入れていたことが判明したので,被告は,同年8月23日,1年間の予告期間を設けて,本件基本契約1を含むすべての契約を解約する旨を通知している(甲30,乙2ないし5)。 原告は,本件基本契約1が継続的契約であると ので,被告は,同年8月23日,1年間の予告期間を設けて,本件基本契約1を含むすべての契約を解約する旨を通知している(甲30,乙2ないし5)。 原告は,本件基本契約1が継続的契約であるとして,解除が制限される旨主張す るが,原告が主張する営業所や社用車の経費等は,被告との契約関係のみのための先行投資とは評価できないものであり(現に,原告は,被告との関係が事実上終了した現在においても,事業所の賃貸料を支出して,他社からの業務委託を受けているのである。),製造物供給契約やフランチャイズ契約のように,契約の存在を前提に多額の設備投資を行ったような場合とは利益状況が異なるものである。 ⑸ 争点5(被告は,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約を解除原因がないのに解除したことにより,これらの契約上の債務不履行による損害賠償義務を負うか)について【原告の主張】被告は,平成28年2月20日に本件基本契約1及び本件各個別契約を事実上解 除したが,更に同年3月8日,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく一切の営業活動の停止を要請した。この要請には何らの根拠も示されておらず,また,いつ営業活動の再開が認められるかも明らかにされていなかったことから,被告による事実上の解除の意思表示というべきである。 しかるところ,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約も,本件基本契約 1と同様に,継続的契約として解除が制限されるべきであり,被告は,原告に対して少なくとも6か月分の得べかりし利益を提供しなければ,これらの契約を解除することはできないというべきである。 したがって,被告による上記解除の意思表示は,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく被告の債務不履行を構成し,被告は,これによ これらの契約を解除することはできないというべきである。 したがって,被告による上記解除の意思表示は,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく被告の債務不履行を構成し,被告は,これにより原告が受 けた損害を賠償する責任を負うというべきである。そして,原告が受けた損害の額は,これらの契約に基づき原告が直近3年間(平成25年5月から平成28年4月まで)に得ていた1か月あたりの平均報酬額(231万8108円)の6か月分に相当する額であり,合計1390万8648円である。 よって,原告は,被告に対し,債務不履行に基づき,損害賠償金1390万86 48円及びこれに対する請求後の日である平成28年12月27日から支払済みま で商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 【被告の主張】被告が,平成28年3月に,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約を解除したとの事実はない。同月3日,原被告の打合せにおいて,営業活動の停止を申し入れたところ,原告は文書を送付してほしいとの意向を示したことから,営業停 止に関する確認書(甲27)を送付したが,原告はこれを被告に返送せず,代理人弁護士を通じて今後の営業活動を当面の間控える旨を通知してきた(乙2)。現に,原告はその後も,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく業務を行い,被告から報酬を得ているところである(乙6)。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実(第2,2),各項目末尾掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 本件基本契約1に基づく取引等原告は,フマキラー株式会社ないし被告との間の本件基本契約1及びカインズと の間の合意により,「カインズ」ないし「カインズホーム」の 事実が認められる。 ⑴ 本件基本契約1に基づく取引等原告は,フマキラー株式会社ないし被告との間の本件基本契約1及びカインズと の間の合意により,「カインズ」ないし「カインズホーム」の名称を用いてシロアリ駆除及び付帯工事の訪問販売をし,また施工する権限を受けていた。原告は,自らの費用を用いて,「カインズ」等の名称の入ったチラシ,名刺,ジャンパー等を作成し,これを用いて訪問販売を行っていた。また,カインズの名称により受注した業務については,カインズが顧客と直接契約を締結し,カインズが同業務を被告 に,被告が原告にそれぞれ業務委託する形式がとられ,原告は,施工に際して,被告が指定する薬剤を用いるべきものとされた。 本件基本契約1に基づき原告が顧客宅を訪問して勧誘を行う際には,原告は,カインズ及び被告が指定する書式の「床下施工見積書」を作成して顧客に交付し,顧客から,カインズ及び被告が指定する書式の「施工注文書」の交付を受ける。原告 は,交付を受けた施工注文書を同日中にカインズ及び被告に送付する。原告が注文 に係る工事を施工したときは,原告は,顧客には被告名義の損害賠償保証書を,カインズには施工完了報告書を,被告には施工請求書を交付する。顧客が注文に係る代金をカインズに支払うと,カインズが一定額を被告に支払い,被告は顧客が支払った代金額の75パーセント相当額を原告に報酬として支払う。 原告の平成26年4月期ないし平成28年4月期の年間売上高は,概ね5億円弱 から7億円弱であったが,そのうちカインズを介した売上高は,その半分程度を占めるに至っていた。 (以上につき,甲9ないし17,19,31,35ないし37,50,弁論の全趣旨)⑵ 本件行政処分 埼玉県知事は,平成28年2月18日 高は,その半分程度を占めるに至っていた。 (以上につき,甲9ないし17,19,31,35ないし37,50,弁論の全趣旨)⑵ 本件行政処分 埼玉県知事は,平成28年2月18日,原告を含む被処分事業者らに対し,要旨,被処分事業者らは業務を分担し,一体となって事業活動を行っていたところ,消費者宅を訪問する際に「1980円の害虫駆除」以外の床下防腐工事等の契約締結について勧誘する旨を明らかにしていなかった,消費者が「娘と相談したい」と言っているにもかかわらず「今すぐにここで決めろ」などと乱暴な口調で勧誘を続け, また,消費者が契約する意思を示していないにもかかわらず契約書面を出し契約を迫るなど消費者に迷惑を覚えさえるような仕方で勧誘していたなど,特定商取引法に違反する行為があったとして,同法に基づき,「訪問販売をしようとするときは,その勧誘に先立って,その相手方に対し,役務提供契約の締結について勧誘する目的である旨及び当該勧誘に係る役務の種類を告げること。」及び「訪問販売に係る 役務提供契約の締結について,迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘しないこと。」を指示する本件行政処分をした。また,埼玉県知事は,同日,原告に白蟻駆除業務を委託していたとして,カインズに対して,委託業者に対する監督を十分に行うべき旨の注意をした(甲8,49,弁論の全趣旨)。 ⑶ 2月20日の面談等 本件行政処分については,埼玉県のホームページで公開されたほか,平成28年 2月20日付けの産経新聞朝刊(埼玉県内版)にて報道されるところとなった。 被告の代表取締役であるA(以下「A」という。)と従業員であるB(以下「B」という。)は,同日午前10時頃,原告の本社を訪れ,原告の代表取締役であるC(以下「C」という。)と面 ところとなった。 被告の代表取締役であるA(以下「A」という。)と従業員であるB(以下「B」という。)は,同日午前10時頃,原告の本社を訪れ,原告の代表取締役であるC(以下「C」という。)と面談した。A及びBは,Cに対し,原告のカインズに関する営業活動(すなわち,本件基本契約1に基づく営業活動)を一時中止するよう 要請したところ,Cはその場で原告の従業員に対して営業活動の停止を命じた。また,A及びBは,原告が既に施工注文書を受領した顧客でまだ施工が済んでいない先については,施工業者を変更する旨を伝え,原告は,これに応じて被告に顧客の一覧表を提供した。また,原告は,同日午後4時11分頃,Bに対し,これらの顧客について「施工予定表(社内用)」(受注日,顧客の氏名・住所・電話番号,工事 の内容,代金等が記載された書面)のデジタルファイルを電子メールにて送信した。 被告は,原告から提供を受けた本件顧客らの情報を基に,カインズの従業員と共に本件顧客らと接触し,三井マネジメント株式会社に依頼して,注文をキャンセルした10名を除き,注文に係る工事を施工させた。 (以上につき,甲51の1,2,甲52,乙9,10,13,弁論の全趣旨) ⑷ 3月3日の面談等AとBは,平成28年3月3日,原告の本社を訪れ,Cと面談した。AとBは,Cに対し,カインズに関する営業活動の中止を求めたのは,本件行政処分が公開され,報道されたことを受けたカインズの意向が強かったこと,今後についてはこれからカインズと話をしていくことなどを説明した。また,AとBは,Cに対し,本 件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約の関係でも,営業活動の自粛を求めた。 これに対し,Cは,被告が求める内容を文書で送付するよう求めた。 Aは,同月8日,Cに対し,原告 ,Cに対し,本 件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約の関係でも,営業活動の自粛を求めた。 これに対し,Cは,被告が求める内容を文書で送付するよう求めた。 Aは,同月8日,Cに対し,原告が被告から本件基本契約2,同4及び本件加盟店契約に基づく新たな営業行為を「指定日」以後停止すること,原告が指定日までに契約済み又は見積り済みの顧客については原告が責任を持って施工を行うことな どを内容とする「確認書」を送付し,併せて同月9日を「指定日」としたい旨伝え た。 原告は,同月9日,代理人弁護士を通じて,被告による営業行為の停止については従前の経緯を踏まえて到底納得できるものではなく,確認書の作成には応じられないが,原告と被告との営業行為の競合等により顧客に混乱・迷惑を生じさせることは望むところではないので,原告の営業行為は,当面の間,控えさせていただく 旨を通知した。 (以上につき,甲27,28,51の1,51の2,52,乙2,11,13,弁論の全趣旨)⑸ その後の経緯等被告は,平成28年4月4日,原告に対し,原告がカインズを介した営業行為の 自粛を了承していながら,カインズの顧客に電話を掛け,「カインズを通さなければ安くします。」との営業行為を実施しているとの情報を入手したとして,営業行為の確認を求め,更に,同月28日,原告に対し,原告が被告の業務提携先に「被告を通さず原告と直接取引をしないか。原価を教えてくれ。」などと申し向けたとの情報を入手したとして,このようなことが起きるのであれば,本件加盟店契約を 合意により解約したい旨通知した。これに対し,原告は,同年5月12日,代理人弁護士を通じて,本件行政処分を含めて原告が本件加盟店契約に違反したとの事実はないこと,本件基本契約1ないし 契約を 合意により解約したい旨通知した。これに対し,原告は,同年5月12日,代理人弁護士を通じて,本件行政処分を含めて原告が本件加盟店契約に違反したとの事実はないこと,本件基本契約1ないし同4につき,被告が具体的に原告に中止を求める営業行為の内容を書面で明らかにするよう求めると共に,上記4月28日付けの通知は本件加盟店契約を解除する旨の意思表示であるかを明らかにされたい旨を併 せて通知した。 なお,原告は,平成28年3月以降も,顧客から,カインズ,ホーマック株式会社,ミサワホーム株式会社,株式会社ハイパーマーケット・オリンピックをそれぞれ施工契約先,原告を施工店とする業務を受注し,また「フマキラー・トータルシステムさいたま店」の名で業務を受注し,被告から対応する報酬の支払を受けた。 原告を含む被処分事業者らは,平成28年6月頃,埼玉県を被告として,さいた ま地方裁判所に対して本件行政処分の取消しを求める訴訟を提起した。 被告は,平成28年8月23日付けで,原告に対し,平成29年8月31日をもって,本件基本契約1ないし同4及び本件加盟店契約を解約する旨を通知した。 (以上につき,甲30,49,乙3ないし8) 2 争点2(本件各個別契約は,被告の責めに帰すべき事由により履行不能とな ったか)及び争点3(原告は,本件各個別契約に関し,解除に伴う損害賠償請求権〔民法641条〕を行使できるか)について⑴ 本件において,被告が原告に対して施工業者を変更する旨を伝えた平成28年2月20日午前10時時点で,原被告間に37件の個別の業務委託契約(本件各個別契約)が全て成立している状態にあったかについては,当事者間に争いがある が(争点1),事案に鑑み,この点を措いて,争点2及び同3についてまず判断す 告間に37件の個別の業務委託契約(本件各個別契約)が全て成立している状態にあったかについては,当事者間に争いがある が(争点1),事案に鑑み,この点を措いて,争点2及び同3についてまず判断する。 ⑵ 前記認定事実(1⑶)によれば,被告(A及びB)は,本件行政処分が公開され,報道されたことを受けて,平成28年2月20日午前10時頃,原告(C)を訪問し,本件基本契約1に基づく営業活動を一時中止するよう要請したほか,原 告が既に契約を締結した顧客でまだ施工が済んでいない顧客について,施工業者を変更する旨を伝えたところ,原告は,これに応じて被告に顧客の一覧表を提供し,更に,同日午後4時11分頃には原告の内部資料であるところの「施工予定表(社内用)」のデジタルデータをメールにて送付しているのであるから,原告と被告は,同日,施工が完了していなかった顧客から受領した施工注文書に係る業務に関して 被告との間で成立していた個別の業務委託契約を全て合意解約したと評価することができる。 この点について,原告は,被告による上記要請は,カインズの意向に沿って,原告に対する優越的な地位を背景としてされたものであることなどから,事実上の解除の意思表示であると主張するが,上記のとおり,原告は,平成28年2月20日 の打合せ時に顧客のリストを被告に提供し,更には同日夕刻にはメールにて顧客の 詳細な情報が記載された内部資料を提供しているのであって,これらの行為は,個別の業務委託契約を解約することに合意する旨の黙示の意思表示に当たると認められる。原告の主張する事情は,かかる意思表示の合致を左右するものとは認められない。 したがって,原被告間の個別の業務委託契約は,平成28年2月20日に全て合 意解約されたというべきであり,こ れる。原告の主張する事情は,かかる意思表示の合致を左右するものとは認められない。 したがって,原被告間の個別の業務委託契約は,平成28年2月20日に全て合 意解約されたというべきであり,これらの契約に基づく原告の債務が被告の責めに帰すべき事由により履行不能になったと認めることはできず,仮に,本件各個別契約の全部又は一部が有効に成立していたとしても,これらに基づく業務の施工を行っていない原告が報酬請求権を取得することはない。 ⑶ 以上によれば,原告が,本件各個別契約上の報酬請求権に基づき,被告に対 して745万0115円及び遅延損害金の支払を求める請求には理由がない。 また,原告は,原被告間の個別の業務委託契約が被告により解除されたことを前提に,予備的に,民法641条に基づく損害賠償を請求するが,既に認定説示したとおり,原被告間の個別の業務委託契約は合意解約されたものであって,被告により解除されたものとは認められないから,予備的請求もまた理由がない。 3 争点4(被告は,本件基本契約1を解除原因がないのに解除したことにより,同契約上の債務不履行責任による損害賠償義務を負うか)について⑴ 原告は,被告が平成28年2月20日に本件基本契約1を解除する旨の意思表示をしたことを前提に,これが本件基本契約1に基づく被告の債務不履行を構成する旨主張する。 しかしながら,前記認定事実(1⑶,⑷)によれば,被告(A及びB)は,平成28年2月20日,原告に対し,カインズに関する営業活動(本件基本契約1に基づく営業活動)を一時中止するよう要請しており,同年3月3日の打合せにおいても,今後についてはこれからカインズと話をしていくなどと説明しているのであるから,同年2月20日の時点で,被告が,本件基本契約1に基づく原 を一時中止するよう要請しており,同年3月3日の打合せにおいても,今後についてはこれからカインズと話をしていくなどと説明しているのであるから,同年2月20日の時点で,被告が,本件基本契約1に基づく原告との契約関 係を確定的に終了させる旨の意思を表示したものとみることは困難である。 したがって,被告が平成28年2月20日に解除の意思表示をしたことをもって本件基本契約1の債務不履行に当たるとする原告の主張は,前提を欠くものであって採用することができない。 仮に,原告が,被告が平成28年2月20日にカインズに係る営業行為の一時停止を求めた事実行為をもって,本件基本契約1の債務不履行に当たる旨主張してい ると解する余地があったとしても,前記前提事実(第2,2⑵)によれば,本件基本契約書1には,「甲(原告を指す。以下同じ。)は,乙(被告を指す。以下同じ。)の名において第1項各号の業務を行うものであるため,…専門業者の技術,信用,責任を最大限に発揮し,安全,確実,誠実にこれを行わなければならない。…甲は,本契約の履行に当たって,常に乙およびカインズの信用を害さないように努める…。」 (2条),「乙は,甲に次のいずれかの事項が生じたときは,催告を要さずに本契約を解除することができる。…(6)本契約の各条項もしくは本契約に付随する特約に関する重大な違反をしたとき,または相手方に対して重大な不信行為があったとき。」(10条)との規定があって,原告が本件行政処分を受けたことは,少なくとも形式的には本件基本契約1の解除原因を構成するのであるから,被告が直ち に解除権を行使することなく営業の一時的な停止を要請したにとどめたとしても,これを被告の債務不履行を構成する行為と評価することはできないというべきである。 ⑵ なお あるから,被告が直ち に解除権を行使することなく営業の一時的な停止を要請したにとどめたとしても,これを被告の債務不履行を構成する行為と評価することはできないというべきである。 ⑵ なお,前記認定事実(1⑸)のとおり,被告は,平成28年8月23日付けで,原告に対し,平成29年8月31日をもって,本件基本契約1を解約する旨通 知しているが,前記前提事実(第2,2⑵)によれば,本件基本契約1に係る契約書には「甲乙は契約期間中といえども,互いに1ヶ月前に通知することによって本契約を解約することができるものとする」旨の規定があり(11条),契約当事者の双方に解約権が認められているのであるから,被告の上記通知による解約は有効である。 この点について,原告は,本件行政処分が明らかに誤っていること,原告の売上 高に占める本件基本契約1に基づく売上高が直近で60パーセントを超えていたこと,原告がカインズの名称の入った名刺,チラシ,ジャンパー等を自らの費用により作成していること,カインズの店舗出店に併せて神奈川県や静岡県に新規営業所を設立し,従業員や社用車を用意したことなどの事情を主張して,本件基本契約1は継続的契約として被告による解約ないし解除が制限されるなどと主張する。 しかしながら,原告が被告からの要請を受けて神奈川県や静岡県に新規営業所を設立し,また,従業員や社用車を用意したとの事実を認めるに足りる的確な証拠はない。原告は,被告との取引関係が事実上終了した現在においても,これらの営業所に係る賃借料や人件費等を負担し続けているというのであるが,これらの営業所における営業を全て停止したことを認めるに足りる証拠もなく,本件基本契約1が 終了することによりこれらの費用が全て無に帰したということもできない。 担し続けているというのであるが,これらの営業所における営業を全て停止したことを認めるに足りる証拠もなく,本件基本契約1が 終了することによりこれらの費用が全て無に帰したということもできない。以上に加え,原告が本件行政処分を受け,本件行政処分が一見明白に誤りであるとは直ちには評価できないこと,前記認定事実(1⑸)のとおり,被告が原告に営業行為の停止の要請をした後も,被告には,原告がカインズの顧客に接してカインズを介さない契約を勧誘したとか,被告の業務提携先に被告を通さない取引を提案したなど の情報が入っていたことなどの事情を総合すると,原告の平成26年4月期ないし平成28年4月期の年間売上高が概ね5億円弱から7億円弱であり,そのうちカインズを介した売上高がその半分程度を占めるに至っていたこと,原告がカインズの名称の入った名刺,チラシ,ジャンパーを自らの費用により作成したことを考慮したとしても,本件基本契約1の契約書に規定された被告の解約権ないし解除権が制 限されるべきものということはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 以上によれば,原告が,本件基本契約1の債務不履行に基づき,被告に対して損害賠償金1億4362万5618円及び遅延損害金の支払を求める請求には理由がない。 4 争点5(被告は,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約を解除原因 がないのに解除したことにより,これらの契約上の債務不履行による損害賠償義務を負うか)について⑴ 原告は,被告が,平成28年3月8日,原告に対して,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく一切の営業活動の停止を要請したことが,被告によるこれらの契約についての事実上の解除の意思表示であって,同行為はこれら 月8日,原告に対して,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく一切の営業活動の停止を要請したことが,被告によるこれらの契約についての事実上の解除の意思表示であって,同行為はこれら の契約に基づく被告の債務不履行を構成する旨主張する。 しかしながら,前記認定事実(1⑸)によれば,原告は,平成28年3月以降も,顧客から,カインズ,ホーマック株式会社,ミサワホーム株式会社,株式会社ハイパーマーケット・オリンピックをそれぞれ施工契約先,原告を施工店とする業務を受注し,また「フマキラー・トータルシステムさいたま店」の名で業務を受注し, 被告から対応する報酬の支払を受けていたというのであり,この点に関して被告から異議が述べられたとの事情もうかがわれないから,同月8日の時点で,被告が本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約に基づく原告との契約関係を確定的に終了させる旨の意思を表示したとみることはできない。また,被告が平成28年4月28日付け書面にて本件加盟店契約を合意解約したい旨通知したのに対し,原告 は,同年5月12日付けで,代理人弁護士を通じて,上記4月28日付けの通知が本件加盟店契約を解除する旨の意思表示であるかを明らかにされたい旨を通知した事実が認められるところ,被告がこれに応じて解除の意思表示であることを明確にしたとの事実も証拠上認められない。 したがって,被告が解除の意思表示をしたと認められない以上,当該意思表示が されたことをもって本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約の債務不履行に当たるとする原告の主張は,前提を欠くものであって採用することができない。 仮に,原告が,被告による上記要請の事実行為をもって債務不履行に当たる旨主張していると解する余地があったとしても,前記3⑴に説示したのと同 の主張は,前提を欠くものであって採用することができない。 仮に,原告が,被告による上記要請の事実行為をもって債務不履行に当たる旨主張していると解する余地があったとしても,前記3⑴に説示したのと同様の理由により,これを被告の債務不履行に当たるものと評価することはできない。 ⑵ なお,前記3⑵において認定説示したのと同様の理由により,本件基本契約 2ないし同4及び本件加盟店契約は,被告による平成28年8月23日付け通知書により有効に解約されているとみるべきであるし,これらの契約について被告の解約権ないし解除権が制限されるべきものということはできない。 ⑶ 以上によれば,原告が,本件基本契約2ないし同4及び本件加盟店契約の債務不履行に基づき,損害賠償金1390万8648円及びこれに対する遅延損害金 の支払を求める請求には理由がない。 5 結論以上のとおり,原告の本訴請求には全て理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 天野研司 裁判官 西山芳樹 申し訳ありませんが、整形するテキストが提供されていません。整形したいテキストをお送りいただければ、すぐに対応いたします。

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