令和5年10月10日東京地方裁判所刑事第17部宣告令和4年刑第2328号贈賄被告事件 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、平成27年7月から株式会社Aの取締役専務執行役員、令和2年7月から同社の専務執行役員、同年10月から同社のチーフライセンスオフィサーであったものであるが、同社の取締役会長であるB及び平成28年4月から同社の20 21年室に所属し、平成28年5月から同室室長であったCと共謀の上、同年4月頃から平成30年3月頃までの間、数回にわたり、東京都港区(住所省略)所在の株式会社D事務所等において、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)の理事として、組織委員会の理事会を構成し、その業務執行の決定等について議決権を行使するとともに、組織委員 会のマーケティング業務に関し、第32回オリンピック競技大会(2020/東京)及び東京2020パラリンピック競技大会(以下、両大会を合わせて「東京2020大会」という。)への協賛企業を募るなどの職務に従事していたEに対し、組織委員会において、前記株式会社Aを、東京2020大会における第3階層の協賛企業であるTier3スポンサーに選定するとともに、同社が負担する協賛金額を3億 8000万円以内にしてもらいたい旨及びその協賛契約である東京2020オフィシャルサポータープログラム契約の締結を迅速に行ってもらいたい旨など、同社が有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託をし、そのような取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに、別表 の締結を迅速に行ってもらいたい旨など、同社が有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨の請託をし、そのような取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに、別表(添付省略)記載のとおり、令和元年9月30日から令和3年1月29日まで の間、9回にわたり、東京都新宿区(住所省略)所在の株式会社F銀行G支店に開 設された前記A名義の普通預金口座から、東京都中央区(住所省略)所在の株式会社F銀行H支店に開設された、Iが経営し、代表取締役を務める株式会社J名義の普通預金口座に現金合計6909万円を振込入金し、もってEの職務に関し同人及びIに対し賄賂を供与した。 (量刑の理由) 本件は、株式会社Aの取締役専務執行役員等であった被告人が、同社の会長及び部下の従業員と共謀の上、東京2020大会の協賛企業を募るなどのマーケティングの職務に従事していた組織委員会の理事(以下「本件理事」という。)に対し、同大会の協賛企業の選定に関して同社が有利かつ便宜な取り計らいを受けたい旨を請託し、そのような取り計らいを受けたことに対する謝礼等の趣旨のもとに賄賂を 供与した、という贈賄の事案である。 被告人らは、株式会社Aを東京2020大会の協賛企業にすることにより、同社のブランド力を向上させるとともに、大きなビジネスチャンスを得たいなどという利己的な動機から、合計6909万円という相当高額な賄賂を供与している。本件理事から金員を要求されたことが本件の契機となっていることを踏まえても、厳し い非難が妥当する。 本件犯行により、東京2020大会の組織委員会役員等の職務の公正さや同大会の公正な運営に対する信頼は害され、多数の関係者の努力によって作り上げられた同大会に汚点を残すこととなった。 被告人は、株式会 件犯行により、東京2020大会の組織委員会役員等の職務の公正さや同大会の公正な運営に対する信頼は害され、多数の関係者の努力によって作り上げられた同大会に汚点を残すこととなった。 被告人は、株式会社Aの取締役専務執行役員等として、同社の東京2020大会 関連業務を統括していた者であり、違法行為についてはこれを抑止すべく、部下に指示をしたり上司に進言したりすべき立場にあった。しかし、被告人は、本件理事の要求について共犯者Cから報告を受けると、違法行為に当たる可能性を十分認識しながら、株式会社Aの利益や共犯者Bの意向を優先させて本件理事の要求に応じることとし、共犯者Bに報告をして了承を得るとともに、コンサルタント料名目で 支払うといった方策の検討を共犯者Cに指示し、その後も、本件理事の要求に応じ ることに関する法務部門の見解を慎重に確認・検討することなく、いわば臭い物に蓋をしたまま、共犯者Cから進捗状況につき逐次報告を受けるなどして、本件犯行に及んでいる。 以上によれば、被告人の刑事責任は、共犯者Cが実務担当者として不可欠かつ重要な役割を果たしていることを踏まえても、同共犯者と同程度以上に重いというべ きである。 他方で、被告人は、起訴事実を認め、東京2020大会を汚すような行為をしたことは悔いても悔やみきれない旨述べるなど、謝罪と反省の気持ちを表している。 また、妻が被告人の監督を誓約する旨の嘆願書を提出していること、被告人には前科がないこと等の被告人のために酌むべき事情もある。 そこで、これらの諸情状を総合考慮の上、主文のとおりの執行猶予を付した判決をするのが相当と判断した。 (求刑懲役2年)令和5年10月10日東京地方裁判所刑事第17部 裁判長裁判官中尾佳久 主文 のとおりの執行猶予を付した判決をするのが相当と判断した。 (求刑懲役2年)令和5年10月10日東京地方裁判所刑事第17部 裁判長裁判官中尾佳久 裁判官薄井真由子 裁判官遠藤優 (別表省略)
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