令和4(行コ)294 在留資格変更不許可処分無効確認等、国家賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年11月2日 東京高等裁判所 棄却 東京地方裁判所 令和1(行ウ)461
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判決文本文12,887 文字)

主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 旧東京入国管理局長が平成30年8月10日付けで控訴人Aに対してした在留資格の変更を許可しない旨の処分が無効であることを確認する。 3 東京出入国在留管理局長が令和元年8月22日付けで控訴人Aに対してした在留資格の変更を許可しない旨の処分を取り消す。 4 東京出入国在留管理局長は、控訴人Aに対し、在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の許可をせよ。 5 被控訴人は、控訴人らに対し、各550万円及びこれに対する令和元年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(以下、略称は、別途定めるほかは、原判決の例による。) 本邦に在留する米国人男性である控訴人Aは、日本人男性である控訴人Bと同性パートナーの関係にあることを理由として、入管法に基づき、在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請(本件申請1)をしたが、東京入管局長から、平成30年8月10日付けで、これを許可しない旨の処分(本件不許可処分)を受け、改めて「出国準備」(「特定活動」のうち指定活動 を出国準備とするもの)の在留資格の付与を受けたところ、その後、在留資格を「定住者(又は「特定活動」)」とする在留資格の変更の申請(本件申請2)をしたが、東京入管局長から、令和元年8月22日付で、「定住者」の在留資格を認める理由はないとして、申請内容を「出国準備」を目的とするものに変更するよう促す通知(本件通知)を受け、これに応じて在留資格 を「出国準備」としたまま在 月22日付で、「定住者」の在留資格を認める理由はないとして、申請内容を「出国準備」を目的とするものに変更するよう促す通知(本件通知)を受け、これに応じて在留資格 を「出国準備」としたまま在留期間の更新を申請するものに変更してその旨 の許可を受けた。本件は、控訴人らが、被控訴人に対し、本件不許可処分及び本件通知(本件不許可処分等)について、これらが控訴人らの家族生活の自由等を侵害するとともに、性的指向に基づく不当な差別であることから、憲法及び国際人権規約に違反するものであって、東京入管局長の判断には裁量権の範囲を逸脱、濫用した違法があるなどと主張して、控訴人Aにおいて、 本件不許可処分の無効確認及び本件通知が行政処分に当たることを前提とした本件通知の取消しを求めるとともに、在留資格を「定住者」に変更することを許可すべき旨の義務付けを求め(第1事件)、控訴人らにおいて、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、本邦で平穏に共同生活を送る法的利益を侵害されたことより被った精神的苦痛に対する慰謝料等の損害金各 550万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である令和元年9月27日から支払済みまで民法所定(平成29年法律第44号による改正前)の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(第2事件)事案である。 原審は、控訴人Aの第1事件に係る訴えを却下するとともに、控訴人らの第2事件に係る請求をいずれも棄却したところ、控訴人らは、これを不服と して控訴をした。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は、原判決8頁8行目の末尾に、改行の上、次のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1及び2(3頁17行目から35頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引 旨は、原判決8頁8行目の末尾に、改行の上、次のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1及び2(3頁17行目から35頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 「その後の在留の経過控訴人Aは、東京入管局長から、令和元年12月27日、在留資格を「短期滞在」に変更する旨の許可を受け、それ以降、在留期間の更新を繰り返していたが、令和4年9月30日、原判決(その内容は、理由中において、東京入管局長が控訴人Aに対して「特定活動」に相当する在留資格を付与 しない措置をするのは違法であると判断したものである。)を受け、令和 4年11月14日、在留資格を「定住者又は特定活動」とする在留資格の変更の申請をしたところ、東京入管局長から、令和5年3月10日、在留資格を「特定活動」(本邦に居住する日本人である控訴人Bと同居し、かつ、当該日本人と生計を共にする者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。))に変更する旨の許可を 受けた。(甲166、167、弁論の全趣旨)」第3 当裁判所の判断 1 争点①(本件無効確認の訴えの確認の利益の有無)、争点②(本件通知の処分性の有無)及び争点④(本件義務付けの訴えの適法性)に対する判断は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判 断」の1から3まで(35頁20行目から40頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決38頁9行目の末尾に、改行の上、次のとおり加え、同頁10行目の「」を「」に改める。 「また、控訴人Aは、本件不許可処分後に、在留資格を「出国準備」に変 更する旨の許可を受けたのは、在留期間の経過 に、改行の上、次のとおり加え、同頁10行目の「」を「」に改める。 「また、控訴人Aは、本件不許可処分後に、在留資格を「出国準備」に変 更する旨の許可を受けたのは、在留期間の経過により不法滞在となり、強制送還される事態を回避するためであったのであり、このような後行許可処分の存在を理由に先行不許可処分である本件不許可処分の無効を確認する利益を失うことは、司法審査の機会を実質的に奪うものにほかならず、裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害するものであり、このような解釈 を採ることはできないと主張する。 しかし、控訴人Aは、本件不許可処分に対して審査請求や取消訴訟の提起をすることなく、改めて在留資格の変更の申請をしたのであり、在留資格を「出国準備」に変更する旨の許可を受けたのは、この申請(ただし申請内容変更後のもの)に基づくものであるから(なお、本件不許可処分は、 その後も取消訴訟の提起なく出訴期間が経過している。)、これをもって 本件不許可処分の無効を確認する利益が失われたと解することが、実質的にも本件不許可処分に対する司法審査の機会を奪うものであったと評価することはできない。したがって、控訴人Aの上記主張も採用することができない。」 原審判40頁4行目の末尾に、改行の上、次のとおり加え、同頁5行目の 「」を「」に改める。 「控訴人Aは、本件通知の処分性を否定すると、本件申請2につき在留資格を「定住者」に変更する許可を受けることができなかったことについて、司法審査の機会を実質的に奪われ、裁判を受ける権利(憲法32条)が侵害されるというべきところ、本件申請2は、申請内容を変更するまでもな く、在留資格を「定住者」又は「特定活動」に変更することが認められない場合には「出 われ、裁判を受ける権利(憲法32条)が侵害されるというべきところ、本件申請2は、申請内容を変更するまでもな く、在留資格を「定住者」又は「特定活動」に変更することが認められない場合には「出国準備」の付与を求める趣旨を含むものであったのであり、本件申請2に対する応答として、「出国準備」が付与される一方、「定住者」に変更することについては不許可とすることが通知された点は、その旨の不許可処分に当たるということができるから、本件通知には処分性が 認められると主張する。 しかし、本件申請2は、申請書上、希望する在留資格として「定住者(又は特定活動)」とのみ記載されており(乙4の1)、その対象に「出国準備」を含むものであったと解することは困難である(そもそもその当時の在留資格は「出国準備」であったから、在留資格変更の対象とはならず、 在留期間の更新を申請できるにとどまる。)。仮にこの点を含むものであるとすれば、東京入管局長から、申請内容を「出国準備」を目的とするものに変更するよう促すための本件通知がされ、これに応じて控訴人Aが申請内容を在留期間の更新に変更する旨の本件変更申出をした事実とも整合しないことになり、このような認定は困難である。 本件通知は、特例期間内(入管法20条6項)において、申請に係る在 留資格の変更を不許可とする見込みがある場合に、申請人に対し、申請の内容を「出国準備」に変更する意思の有無を確認し、これに応じて申請内容の変更が行われることを条件として、出国準備期間を付与する趣旨でその旨の変更を許可するという取扱い(乙11)に基づいて行われたものであるところ、控訴人Aは、本件通知の内容が不本意ながらも、不法滞在と なることを避けるため、これに応じて申請内容を変更している以上、変更前の 可するという取扱い(乙11)に基づいて行われたものであるところ、控訴人Aは、本件通知の内容が不本意ながらも、不法滞在と なることを避けるため、これに応じて申請内容を変更している以上、変更前の申請内容どおりの許可を得ることができなかったことについて不服を申し立てる機会を失ったとしても、これをもって司法審査を受ける機会を不当に奪われたと評価することはできず、この点も本件通知について処分性を認める理由となるものではない。 したがって、控訴人Aの上記主張は採用することができない。」 2 争点⑤(本件国賠請求の成否)について この争点に対する判断に当たり認定した事実は、原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の4(40頁20行目から46頁17行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 控訴人らは、長年にわたるパートナーとして同居・協力・扶養関係を有し、控訴人Aの本国である米国で有効な婚姻が成立しているものであるが、①このように同性婚の外国人と日本人との間で真摯なパートナー関係が存在する場合に、日本が同性婚を認めていないことから、異性カップルであれば「日本人の配偶者等」の在留資格が付与されるのに、これと同等の在留資格(「定 住者」がこれに当たるというべきであり、控訴人らの同性パートナー関係が当該在留資格を付与すべき事由に該当することは明らかである。)が与えられないのは、性的指向によって合理的根拠なく別異に取り扱うものとして、憲法14条に違反するとともに、その結果、控訴人らが日本において共同生活を送ることができなくなるという点において、愛する人と共に暮らすとい う最も根源的な権利である家族形成・維持の自由を侵害するものとして、憲 法13条に違反するほか、控訴人らに 共同生活を送ることができなくなるという点において、愛する人と共に暮らすとい う最も根源的な権利である家族形成・維持の自由を侵害するものとして、憲 法13条に違反するほか、控訴人らに対し、米国に居住することを強制するに等しいものであるから、控訴人B の本邦において居住する自由を侵害するものとして、憲法22条に違反し、また、これらに関する国際人権規約にも違反するところ、②この点をおいても、東京入管局長が、本件不許可処分等において、控訴人Aが控訴人Bとこうしたパートナー関係にあることを適切 に考慮することなく「定住者」の在留資格を認めなかった判断には、裁量権の範囲を逸脱、濫用する違法があったというべきこと、③東京入管局長が、このように違法というべき本件不許可処分等をしたのは、同性パートナー関係の権利保護に向けた国内外の社会情勢の変化を踏まえることなく、必要十分な調査、検討を怠ったことによるものであり、取り分け控訴人Aに対して 「特定活動」の在留資格すら付与しなかったのは、平成25年通知について、日本人との同性婚の相手方である外国人にはその射程が及ばないという誤った解釈を採用したことにあり、東京入管局長のこうした措置について職務上の注意義務違反があったというべきことなどを理由として、被控訴人は、控訴人らに対し、本件不許可処分等について、国賠法1条1項に基づく損害賠 償責任を負う旨を主張する。 そこで、まず、控訴人らが主張する憲法違反等の有無について検討する。 ア憲法13条、22条の違反をいう点は、実質的に、外国人である控訴人Aが日本人である控訴人Bと同性パートナーの関係を有することを理由として、本邦に在留する権利が保障されていることをいうにほかならないも のである。しかし、国際慣習法上、国家は 国人である控訴人Aが日本人である控訴人Bと同性パートナーの関係を有することを理由として、本邦に在留する権利が保障されていることをいうにほかならないも のである。しかし、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされ、憲法上、外国人は、本邦に入国する自由を保障されているものではないことはもとより、在留の権利 ないし引き続き在留することを要求する権利を保障されているものでもな い(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。そうすると、控訴人Aが控訴人Bとの同性パートナ―の関係に基づく在留資格を付与されなかったことについて、憲法13条、22条に違反する点があったと解する余地はない。 イ憲法14条の違反をいう点についてみると、入管法は、外国人が本邦に おける在留中に行う活動又は在留中の活動の基礎となる身分若しくは地位に着目してこれを類型化し、各種の在留資格を定めており、このうち、入管法別表第二の上欄の「日本人の配偶者等」については、その下欄において、「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」をいう旨が規定されているが、この「配偶者」とは、我が国の婚姻に関す る法令上も有効なものとされる婚姻の配偶者をいうと解され、同性間の婚姻は、民法その他の関係法令上許容する規定がないため、これに含まれないことになる。そうすると、男女間に成立する婚姻関係については、当該関係に基づく在留資格を付与する規定が設けられているのに対し、同性パートナーの関係については、これに相当する規定 め、これに含まれないことになる。そうすると、男女間に成立する婚姻関係については、当該関係に基づく在留資格を付与する規定が設けられているのに対し、同性パートナーの関係については、これに相当する規定が設けられていないとい う点において、憲法14条の定める法の下の平等に反するかどうかは問題となり得る(なお、当該外国人が日本人と同性パートナー関係にあることをもって入管法別表第二の上欄の「定住者」の在留資格が認められるか否かという点は、その下欄において「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と規定していること等に照らし、当 該事案の下で法務大臣の判断に裁量権の逸脱、濫用があるか否かによって別途判断すべき事柄である。)。 この点について、同性間の婚姻が認められていない我が国においても、同性パートナー関係について、差別の撤廃や社会的地位の擁護に向けた取組、提言等が公的機関及び民間の団体を問わず広く行われているところで あり(甲35~70)、こうした社会情勢の変化は、本件不許可処分等が された当時、既に存在していたことが認められるものの、更に進んで、同性間の婚姻について、男女間に成立する婚姻関係と同等の地位が社会生活上確立しているといえるほどの実態が上記当時から存在していたとまでは認められない。このことは、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関し、国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、その理解の 増進に関する施策の推進について、基本理念を定めるとともに、政府において基本計画を策定することなどを定めた「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の促進に関する法律」が本年制定されたところからも指摘できる。こうした社会情勢に照らすと、外国人の在留に関し 定することなどを定めた「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の促進に関する法律」が本年制定されたところからも指摘できる。こうした社会情勢に照らすと、外国人の在留に関しても、日本人と同性パートナー関係にある外国人について、 当該関係の存在を理由に差別的な取扱いをすることは許されないことはもとより、その保護に向けた配慮が求められるとしても、男女間で成立する婚姻関係について認められる在留資格と同等の在留資格に関する規定が設けられていないことをもって、直ちに性的指向によって合理的理由なく別異に取り扱うものということはできず、憲法14条に違反するということ はできない。 ウ以上によれば、控訴人らの主張のうち、憲法違反をいう点は、いずれも当を得ないものであり、国際人権規約の違反をいう点も同様というべきである。 次に、控訴人Aについて、控訴人B との同性パートナーの関係に基づき、 「定住者」等の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるか否かについて、法務大臣から権限の委任を受けて所管事務を処理する東京入管局長の判断に裁量権の逸脱、濫用があるか否かという点から検討する。 ア入管法が「定住者」の在留資格を設けている趣旨は、社会生活上、外国人が我が国において有する身分又は地位が多種多様であり、入管法別表第 二の「永住者」、「日本人の配偶者等」及び「永住者の配偶者等」の各在 留資格の下欄に掲げられている類型の身分又は地位のいずれにも該当しない外国人であっても、人道上の理由その他特別の事情又は我が国の社会や経済等の情勢の変化により、当該外国人の居住を認めることが相当である場合があり得ることから、これに対応することができるようにするために規定されたものと解される(甲3 の他特別の事情又は我が国の社会や経済等の情勢の変化により、当該外国人の居住を認めることが相当である場合があり得ることから、これに対応することができるようにするために規定されたものと解される(甲30)。このような趣旨に加え、入管法が 「定住者」の在留資格の要件を「法務大臣が特別な理由を考慮し」て居住を認める者という概括的な文言により規定していることにも鑑みると、いかなる事情の下において「定住者」の在留資格に該当すると認めるかの判断は、法務大臣の広汎な裁量に委ねられていると解するのが相当である。 そして、法務大臣は、外国人が本邦に上陸するための条件に適合している ことの審査のため、入管法7条1項2号の規定に基づき定住者告示を定め、定住者告示において、特別な理由を考慮して居住を認める外国人として「定住者」の在留資格に該当するとされる地位を類型化して具体的に列挙している。定住者告示は、上記のとおり上陸のための条件を定めたものであって、在留資格の変更について直接定めたものではないものの、定住者告示 の趣旨及び内容は、入国後の在留資格の変更の許否の判断においても基本的に妥当するものと考えられる。そうすると、「定住者」の在留資格への変更が認められるためには、原則として、当該外国人が定住者告示に定める地位に該当することが必要であるというべきであるが、上記のとおり入管法において「定住者」の在留資格を設けている趣旨に照らすと、当該外 国人が定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人と同視することができるか、又はこれに準ずると考えられる人道上の理由その他特別の事情がある場合には、例外的に「定住者」の在留資格該当性(告知外定住者)を認める余地があると解する。 前記認定事実によれば、控訴人Aは、日本人である控訴人Bと長年にわ れる人道上の理由その他特別の事情がある場合には、例外的に「定住者」の在留資格該当性(告知外定住者)を認める余地があると解する。 前記認定事実によれば、控訴人Aは、日本人である控訴人Bと長年にわ たり同性パートナーとして、同居・協力・扶養関係を有しており、本国で ある米国で有効な婚姻が成立しているものであるが、定住者告示に定める地位のいずれにも該当せず、また、入国・在留審査要領において告示外定住者として記載されている類型のいずれにも当たるものではない(甲98、乙18)。そして、前記のとおり、同性パートナー関係を巡る近時の社会情勢の変化を踏まえると、控訴人Aについて、日本人である控訴人Bとの 間でこうした同性パートナーの関係があることは、在留資格の審査において、人道上の見地から一定の配慮が求められることは否定できないが、我が国において、同性間の婚姻については、男女間に成立する婚姻関係と同等の地位が社会生活上確立しているといえるほどの実態が、本件不許可処分等がされた当時から存在していたとまでは認められないことからする と、当該関係をもって、直ちに「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」と同等の保護が与えられる「定住者」の在留資格への変更を認めないことが社会通念に照らして著しく妥当性を欠くとまでいうことはできない。また、前記認定事実によれば、控訴人Aは、本件不許可処分等がされた当時、本邦における在留期間が長期にわたるものではなく、他に本邦へ の定着性が強いものであったというべき事情も見当たらない。こうした事情に照らすと、控訴人Aについて、「定住者」の在留資格への変更を許可しないこととした東京入管局長の判断に裁量権の逸脱、濫用があるということはできず、「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相 に照らすと、控訴人Aについて、「定住者」の在留資格への変更を許可しないこととした東京入管局長の判断に裁量権の逸脱、濫用があるということはできず、「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があったということはできない。 イ他方、法務省入国管理局(当時)入国在留課長は、平成25年10月18日付けで、地方入国管理局長等宛てに発出した「同性婚の配偶者に対する入国・在留審査について(通知)」と題する書面(平成25年通知)をもって、同年5月にフランスで「同性婚法」が施行されるなどの近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえ、本国で同性婚をして いる者について、本国と同様に我が国おいても安定的に生活できるよう人 道的観点から配慮する必要があるため、同性婚による配偶者については、原則として「特定活動」の在留資格を付与することになった旨を通知した(甲32)。この措置は、本国で有効に成立している外国人同士の同性婚の配偶者については、本体者に在留資格があればその同性婚の配偶者にいわゆる告示外特定活動(入管法別表第一の五に定める法務大臣があらかじ め告示をもって定める活動以外のもので、法務大臣が個々の外国人について特に指定するものをいう。)としての「特定活動」の在留資格を付与するというものであるが、日本人との同性婚の相手方である外国人(すなわち、その本国では同性婚が有効に成立している外国人)については、当該日本人の本国である我が国において同性婚が認められておらず婚姻が有効 に成立していることにはならないため、一律に「特定活動」の在留資格を付与しない運用が行われていた(甲28、弁論の全趣旨)。 しかし、この運用によると、日本人との同性婚の相手方である外国人については、外国人同士の同性婚の配 らないため、一律に「特定活動」の在留資格を付与しない運用が行われていた(甲28、弁論の全趣旨)。 しかし、この運用によると、日本人との同性婚の相手方である外国人については、外国人同士の同性婚の配偶者と比較して、本邦における在留上、劣位に置かれることとなるが、このような取扱いの差異を設けることにつ いては、合理的な理由を見いだすのは困難である。また、前記のとおり、同性パートナー関係を巡る近時の社会情勢の変化を踏まえると、控訴人Aのように、日本人との同性婚の相手方である外国人についても、在留資格の審査において、人道上の見地から一定の配慮が求められるところ、本邦に在留する外国人同士の同性婚の配偶者との比較からも、少なくとも同等 程度には保護する必要があるというべきである。そうすると、東京入管局長が、控訴人Aに対し、本件不許可処分等をもって、「特定活動」の在留資格を付与しない判断をしたといえるかどうかは、後記のとおり別途検討を要するものの、そうした判断をしたと認められる場合には、公示外特定活動の性質上、広汎な裁量権が認められることを踏まえても、行政裁量 を規律する平等原則に反し、裁量権の逸脱、濫用があったというべきであ り、当該在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があったと認められる。 以上を前提として、東京入管局長が控訴人Aに対し、本件不許可処分等をしたことが、国賠法上違法となり、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するか否かについて検討する。 アまず、本件不許可処分は、控訴人Aが希望する在留資格を「定住者」としてした在留資格の変更の申請(本件申請1)について、東京入管局長がこれを許可しない処分をしたものであるところ、その判断には裁量権の逸脱、濫用が認められないことは Aが希望する在留資格を「定住者」としてした在留資格の変更の申請(本件申請1)について、東京入管局長がこれを許可しない処分をしたものであるところ、その判断には裁量権の逸脱、濫用が認められないことは、前記アで説示したとおりであるから、この点において、国賠法上違法となる余地はない。 また、在留資格の変更許可処分は、授益的処分として、当該申請をする外国人において、その要件を具備していることの立証責任を負い、法務大臣は、当該外国人から提出された資料に基づいて、その希望する在留資格に変更することが適当と認めるに足りる相当の理由があるか否かを判断することになり(入管法20条3項)、他の許可し得る在留資格が存在する としても、申請内容の変更を促すなどして当該在留資格への変更を許可しなければならない義務を負うものとは解されない。そうすると、東京入管局長において、客観的には「特定活動」の在留資格への変更を認める余地があったとしても、その許可処分をすることなく、本件不許可処分をしたことについても、国賠法上の違法があるということはできない。 イ本件通知は、控訴人Aが希望する在留資格を「定住者(又は特定活動)」としてした在留資格変更の申請(本件申請2)について、東京入管局長が控訴人Aに対して「定住者」の在留資格への変更を許可する理由がないことを告げて、申請内容を「出国準備」を目的とするものに変更するよう促したものである。控訴人Aは、こうした申請内容からすると、主位的には 「定住者」の在留資格への変更を求めるとともに、これが認められない場 合に備えて、予備的に「特定活動」の在留資格への変更を求める意思を有していたものと認められる。 しかし、在留資格変更の申請について、入管法20条2項は、その変更を受けようとす れない場 合に備えて、予備的に「特定活動」の在留資格への変更を求める意思を有していたものと認められる。 しかし、在留資格変更の申請について、入管法20条2項は、その変更を受けようとする外国人に対し、「法務省令で定める手続」によることを義務付けているところ、これを受けて入管法施行規則20条1項は、申請 人において、別記第30号様式による申請書(在留目的に応じたもので、「希望する在留資格」及び「在留期間」を記載した申請書)を提出しなければならないと定めていることからすると、在留資格の変更を希望する外国人においては、希望する在留資格を当該申請書の様式に従って一つに特定した上で申請することが求められているというべきであり、申請書の様 式にかかわらず希望する在留資格を複数記載して、そのいずれかへの変更の許否を求めることは、在留資格審査の実務からも許容されているものではないと認められる(当審における被控訴人の答弁書11頁以下参照。なお、審査実務においてこのような取扱いをすることは裁量権の範囲内にあると考えられる。)。 本件申請2についても、東京入管局長は、用いられた申請書の様式(乙4の1)及び本件通知の内容からすれば、飽くまでこの申請を「定住者」の在留資格への変更を求めたものと取り扱ったことが認められるところ、控訴人Aに対してその趣旨を明確にしないまま本件通知をしたことには相当性を欠く点があったといえるものの、これをもって、「特定活動」の在 留資格への変更を求める申請に対し、その許否に係る判断の見込みを告げたものと認めることはできない。また、東京入管局長においては、客観的には「特定活動」の在留資格への変更を認める余地があったことからすると、控訴人Aに対して、申請内容の変更を促すのであれば、「出国準備」で と認めることはできない。また、東京入管局長においては、客観的には「特定活動」の在留資格への変更を認める余地があったことからすると、控訴人Aに対して、申請内容の変更を促すのであれば、「出国準備」ではなく「特定活動」の在留資格に変更するよう促すべきであったといえ なくもないが、「出国準備」の在留資格であっても、不法滞在となること を回避することができ、その上で、控訴人Aにおいて、飽くまで「特定活動」の在留資格への変更を希望するのであれば、上記変更後の在留期間内に改めてその申請をすることが可能であること(現にその後、「特定活動」の在留資格の付与を受けている。)からすれば、東京入管局長が本件通知をもってした措置が、控訴人Aにおいて引き続き本邦に在留しながら控訴 人Bと共同生活を送るという控訴人らの主張に係る法的利益を侵害するものであったということはできない。 そうすると、東京入管局長が控訴人Aに対して本件通知をしたことは、国賠法上違法となるということはできない。 以上検討したところによれば、被控訴人は、控訴人らに対し、東京入管局 長による本件不許可処分等について、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うものではない。 3 結論以上のとおり、控訴人Aの第1事件に係る訴えは、不適法であるから却下すべきであり、控訴人らの第2事件に係る請求は、いずれも理由がないから棄却 すべきであるところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官梅本圭一郎 裁判官酒井良介 東京高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官 梅本圭一郎 裁判官 酒井良介 裁判官 井出弘隆

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