平成26(ワ)17797 特許権侵害損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年6月25日 東京地方裁判所
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判決文本文8,923 文字)

平成27年6月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第17797号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論の終結の日平成27年4月27日判決長野県中野市<以下略>原告 A長野県千曲市<以下略>被告株式会社三幸商事同訴訟代理人弁護士竹内喜宜同補佐人弁理士岡村隆志同堀米和春 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,4500万円及びこれに対する平成26年8月16日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「草質材圧着物」とする特許権の準共有者の一人である原告が,トウモロコシの芯(コーンコブ)の粉砕物であるコーンコブミールを配合したきのこ栽培用の配合培地の製造,販売,又は販売の申出をする被告に対し,これらの行為が上記特許権を侵害する旨主張して,不法行為による損害賠償請求権に基づき,同特許権の他の準共有者の分を含めた実施料相当額である4500万円及びこれに対する不法行為の日より後である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を 求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)(1) 原告の特許権等ア原告は,平成26年4月4日,発明の名称を「草質材圧着物」とする下記の特許権(以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」という。)について,その発明者であるB(以下「B」という。)から持分2分の1の譲渡を受けてその旨の登録 の名称を「草質材圧着物」とする下記の特許権(以下「本件特許権」といい,この特許を「本件特許」という。)について,その発明者であるB(以下「B」という。)から持分2分の1の譲渡を受けてその旨の登録(同月8日登録受付)をし,以後,本件特許権をBと準共有している。(甲1,4,14)記特許番号第3871395号出願日平成9年3月28日優先日平成8年3月29日登録日平成18年10月27日イ原告は,同年7月1日,Bとの間で,本件特許権の準共有持分を譲り受ける以前の期間を含め,本件特許権に係る損害賠償請求債権を全て原告に帰属させる旨の契約を締結し,Bは,同月7日,被告に対し,本件特許権に係る損害賠償請求債権のうち平成18年10月27日(本件特許の登録日)から平成26年4月7日までの全部を原告に譲渡した旨の債権譲渡通知を送付した。(甲2,3)(2) 特許請求の範囲の記載本件特許権に係る特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(なお,下線部は後記(3)イの補正により変更された記載である。以下,同請求項に係る発明を「本件発明」という。)。 「きのこ栽培の培地材料として使用されるカサ比重0.15~0.25以下に調整したリグニンに富む草質材の粉砕物をカサ比重0.3~0.7に圧縮,結着して圧着物とし,次いで圧着をほぐしてなる解着物。」 (3) 本件特許の出願経過(乙2~8)ア特許庁審査官は,本件特許に係る当初出願に対し,平成17年5月20日付け拒絶理由通知書(以下「本件拒絶理由通知」という。乙2)において,出願人たるBに対し,請求項1記載の発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨を通知した。 イ Bは,本件拒絶理由通知を受けて,平成17年8月1日付けで意見書(乙3)を いて,出願人たるBに対し,請求項1記載の発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨を通知した。 イ Bは,本件拒絶理由通知を受けて,平成17年8月1日付けで意見書(乙3)を提出したが,平成18年1月12日付けで拒絶査定(乙4)がされた。そこで,Bは,同年2月23日,拒絶査定不服審判を請求し(乙5),同年3月23日付け手続補正書(乙6)により,請求項1の記載を前記(2)の下線部のとおり減縮するなどの補正(以下「本件補正」という。)をするとともに,同月24日付けの手続補正書(乙7)において「本願発明の解着物は圧縮前の草質材粉砕物よりも吸水性が向上し,吸水時間も短縮している」,「草質材を圧着し次いで解着することによる吸水時間短縮の効果については引用例1~3を通し,記載も示唆も全然見出すことができない。」と主張した。 特許庁審査官は,本件補正を受けて,上記拒絶査定不服審判の請求を審査し(前置審査。特許法162条),同年9月8日付けで,原査定を取り消して本件特許に係る出願について特許査定をした(乙8)。 (4) 被告の行為被告は,遅くとも平成13年7月から,中国から輸入したトウモロコシの芯(コーンコブ)の粉砕物であるコーンコブミール(以下「被告製品」という。)を配合したきのこ栽培用の配合培地を製造し,販売し,又は販売の申出をしている。 (5) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件を,それぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。)。なお,被 告製品は,本件発明の構成要件A及びCを充足する。 A きのこ栽培の培地材料として使用されるB カサ比重0.15~0.25以下に調整したリグニンに富む草質材の粉砕物をC カサ比重0.3~0.7に圧縮 ,本件発明の構成要件A及びCを充足する。 A きのこ栽培の培地材料として使用されるB カサ比重0.15~0.25以下に調整したリグニンに富む草質材の粉砕物をC カサ比重0.3~0.7に圧縮,結着して圧着物とし,D 次いで圧着をほぐしてなる解着物。 2 争点(1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか否かア被告製品が構成要件Bを充足するか否か(争点1)イ被告製品が構成要件Dを充足するか否か(争点2)(2) 本件特許の無効事由の有無(争点3)(3) 原告の損害額(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(被告製品が構成要件Bを充足するか否か)について[原告の主張]被告製品であるコーンコブミールは,リグニンに富む草質材の一例であって,また,カサ比重0.22~0.23以下に粉砕したものであり,本件発明の構成要件Bのカサ比重である「0.15~0.25以下」を充足する。 被告の試験(乙1)は,試料の採取方法や保管方法が示されておらず,試料の粒形状や粒度分布を判断できるデータや写真なども示されていない上,上記試験の写真を観察すると,過度に大きな粒子のみがそろっており,きのこ培地として使用するものとしては不自然である。きのこ栽培の業界では,カサ比重が0.25以下の軽いコーンコブミールが主流であるから,きのこの配合培地のトップメーカーである被告がカサ比重0.29以上のものを扱っているとは考えにくい。また,圧着・結着後にほぐしたコーンコブミールのカサ比重は粉砕物のカサ比重より25%程度重くなるはずであるのに,上 記写真では粉砕物のカサ比重の方が重く見えるので不自然である。 [被告の主張]被告の試験(乙1)及び再試験(乙13の1)によれば,被告製品における粉砕されたコーンコブミール るのに,上 記写真では粉砕物のカサ比重の方が重く見えるので不自然である。 [被告の主張]被告の試験(乙1)及び再試験(乙13の1)によれば,被告製品における粉砕されたコーンコブミールのカサ比重は0.29以上であり,本件発明の構成要件Bのカサ比重である「0.15~0.25以下」を充足しない。 なお,被告の試験及び再試験は,被告輸入に係る中国鉄嶺市の東金池土特産品加工有限公司で製造されたもの(試料1,2)及び同有限公司で圧縮処理した試料1,2を被告工場において専用破砕機で砕いたもの(試料3,4)を長野県工業技術総合センターに持ち込み,カサ比重及び吸水試験を依頼したもので,十分信用性がある。また,被告の再試験では,同センターの試験担当者が袋から任意に取り出した資料をそのまま乾燥・計測しており,恣意的に粒径の大きなコーンコブミールのみを集めたものではない。 (2) 争点2(被告製品が構成要件Dを充足するか否か)について[原告の主張]被告製品は,結着して圧着物としたものの圧着をほぐしてなる解着物であるコーンコブミールが,きのこ栽培用の配合培地の主要原材料として混合されているから,本件発明の構成要件Dを充足する。 被告は,被告製品が人の手でほぐして解着するものではなく粉砕機を用いて砕いたものであると主張するが,被告が粉砕機と主張する機械は,圧着物を再度破砕するものではなく,あくまで圧着物をほぐすための解着機である。 すなわち,コーンコブミールの圧着物は,手でも簡単にほぐれるものであり,被告の解着機は,突起付きドラムの回転が生み出す衝撃力によって圧着を解いて粉々にすることで,ほぐす工程を機械化したにすぎない。比較的大きな粒になっているコーンコブミールの固い部分の粒子については,解着機による解着によって細分化することはない。ま 撃力によって圧着を解いて粉々にすることで,ほぐす工程を機械化したにすぎない。比較的大きな粒になっているコーンコブミールの固い部分の粒子については,解着機による解着によって細分化することはない。また,被告製品の圧着物を解着する際に多量の粉塵が発生しているが,圧着する前のコーンコブ粉砕物を扱う場 合にも多くの粉塵が飛んでいるから(甲27の写真5),直ちに被告製品が粉砕機による粉砕を伴って製造されたものとは認められない。 さらに,被告は,被告製品が,単にコーンコブを切削的に粉砕しただけのものと吸水時間において差異がないと主張するが,被告製品と同等に生産されたものと推定されるコーンコブミールは極めて高い吸水性を示している。 [被告の主張]被告製品は,圧着物を破砕機で機械的に破砕するのであるから,本件特許のように圧着物の圧着を単に解くというものではなく,さらに積極的に粒を叩く,あるいは潰すという機械的作用も加わり,粒度分布的には,径が小さくなる方向にシフトする。破砕機が,粒を叩き,あるいは潰すという作用を加えていることは,破砕機に掛けられた圧着物から多量の粉塵が発生していることからも理解できる。このように,本件特許における「圧着物をほぐした」ものと,被告製品における「圧着物を破砕機により破砕した」ものとは,その粒度分布に相違がある。 また,本件特許の出願から登録に至るまでの過程を踏まえると,本件特許は,コーンコブを切削的に粉砕し,次いで圧縮成形した圧着物をほぐした解着物が,単にコーンコブを切削的に破砕したものとは吸水時間に有為な差があるとされ,この有為な効果の差異のみによって進歩性が認められたものと解される。本件特許に係る明細書(以下「本件明細書」という。)には,「圧着物をほぐす」にいうところの「ほぐす」の意義について特に定 あるとされ,この有為な効果の差異のみによって進歩性が認められたものと解される。本件特許に係る明細書(以下「本件明細書」という。)には,「圧着物をほぐす」にいうところの「ほぐす」の意義について特に定義的な説明はないから,本件特許の出願経過にかんがみれば,吸水時間において有為な差異が出るような状況に圧着物を崩壊させるというほどの意味に解釈せざるを得ない。被告製品は,単にコーンコブを切削的に粉砕しただけのものと吸水時間において差異がないから,本件発明における吸水時間についての有為な作用効果を奏するものではない。以上によれば,被告製品は,「圧着物をほぐした」ものに該当せず,構成要件Dを充足しないから,本件発明の技術的範 囲に属しない。 (3) 争点3(本件特許の無効事由の有無)について[被告の主張]本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平1-137921号公報(乙9。以下「文献1」という。)の記載に基づけば,きのこ栽培の培地として用いるために草質材(コーンコブ)を粉砕して,カサ比重0.15~0. 25以下に調整すること(本件発明の構成要件A及びB)は当業者が容易に想到し得るし,同じく本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平4-211307号公報(乙10。以下「文献2」という。)の記載に基づけば,輸送を容易にするために,上記粉砕物を圧縮成形して容積を縮小すること(本件発明の構成要件C)も当業者が容易に想到し得る。文献1及び2には,「圧着物をほぐす」(本件発明の構成要件D)という点について明確な記載はないが,きのこ栽培用培地として使用する際にはカサ比重0.15~0.35程度まで戻す(ほぐす)ことは当然というほかなく,文献1及び2の当然の帰結として導かれるものである。 したがって,本件発明は進歩性を欠くから,本件特許は して使用する際にはカサ比重0.15~0.35程度まで戻す(ほぐす)ことは当然というほかなく,文献1及び2の当然の帰結として導かれるものである。 したがって,本件発明は進歩性を欠くから,本件特許は無効であり,原告は被告に対し,本件特許権を行使することができない。 [原告の主張]本件発明は,コーンコブミールなどの草質材をきのこ栽培用の培地の資材として実用化するうえで大きな課題であった吸水性の問題を極めて合理的に解決し,さらに輸送性を向上させるとともに粉じんの発生を防止し,使い勝手も良くなるなど,有利な効果を奏するものである。通常の物質では圧縮することで吸水性が低下すると考えることが自然であるし,圧縮した後で粉砕する方が,一見ロスが少なく優れているように考えやすい。また,工程の最後に破砕する方が,吸水性が高まるように考えやすい。本件発明は,これらとは逆に,細かくしたものをあえて集めて塊にする工程を入れているところ, これが文献2記載の発明との相違点なのであって,容易に想到できないものであり,この工程によって特別有利な作用効果を奏するものであるから,十分に進歩性を有する。 (4) 争点4(原告の損害額)について[原告の主張]被告が本件特許権の成立後に被告製品を輸入した量は,7万5000トンを下らない。また,本件発明に係る相当実施料率は,1トン当たり600円を下らない。したがって,原告が受けるべき実施料相当額は,少なくとも4500万円である。 [被告の主張]上記主張のうち,輸入量は否認し,相当実施料率は不知,実施料相当額は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点2について事案に鑑み,まず,被告製品が構成要件Dを充足するか否か(争点2)について判断する。 (1) 構成要件Dは「次いで圧着をほぐしてなる解着 は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点2について事案に鑑み,まず,被告製品が構成要件Dを充足するか否か(争点2)について判断する。 (1) 構成要件Dは「次いで圧着をほぐしてなる解着物。」というものであるところ,「ほぐす」とは,「結んだり縫ったりしてあるものをとき分ける」ことを,また,「解き分ける」とは,「ときはなって別々にする」ことをそれぞれ意味するから(広辞苑第6版),構成要件Dは,構成要件Cで圧縮,結着した圧着物の「圧着をときはなって別々にされた解着物」であることを規定するものである。 また,本件明細書の「発明の詳細な説明」には,「従来の技術」及び「発明が解決しようとする課題」として,それぞれ,「輸送されて来た成形物を培地材料として使用する際には,成形物を先ず粉砕しなければならず,成形と粉砕を離れた別の場所で行うから設備,操作などの面で煩雑であり,コストも 高くなる。」(段落【0003】),「草質材をその容積を縮少した形で輸送し,しかも消費地において粉砕等の工程を必要としないようにできないかと考えた。また混合過程で粉塵が発生しないで水を加えると短時間で崩壊しキノコ生産の作業性を高める草質材成形物の追求を行った。」(段落【0004】)と記載され,また,「課題を解決するための手段」及び「発明の効果」として,それぞれ,「消費地に届けられた圧着物は,必要に応じてほぐしたのち,水を加えれば毛管現象により急速に水分を吸収して膨張,崩壊する粉塵を発生させずで(ママ)他の培地材料と混和することができる。かくして消費地における草質材の粉砕工程が不要となる。」(段落【0014】),「集荷地で粉砕,圧縮,固形化して輸送し,消費地では粉砕せずに栽地材料として用いることができるので輸送や加工の費用が大巾に節減される。粉塵公害を防 質材の粉砕工程が不要となる。」(段落【0014】),「集荷地で粉砕,圧縮,固形化して輸送し,消費地では粉砕せずに栽地材料として用いることができるので輸送や加工の費用が大巾に節減される。粉塵公害を防止することが出来る。」(段落【0042】)と記載されている(甲4)。これらの本件明細書の記載によると,本件発明は,草質材を集荷地で粉砕,圧縮して圧着物として輸送し,消費地では粉砕等の機械的加工を必要とせずに培地材料として用いることができるという効果を得たことに特徴があると認められる。 そうすると,本件発明の構成要件Dの「圧着をほぐしてなる」とは,消費地に輸送された圧着物に再び粉砕等の機械的加工を加えることなく,ときはなって別々にすることを意味し,圧着物を再度粉砕するような加工は含まないものと解するのが相当である。 (2) そこで検討するに,証拠(乙14ないし17)によれば,被告製品の「コーンコブミール」は,多数の刃を持った粉砕機を使用して圧着物に叩くあるいは潰すという機械的作用を加えて,圧着物を粉砕していることが認められる。このように,被告製品は,圧着物を再度粉砕するような加工を伴って製造されたものであるから,構成要件Dの「圧着をほぐしてなる解着物」には該当しない。 これに対し,原告は,①被告が使用する「粉砕機」は圧着物を粉砕してお らずドラムの回転が生み出す衝撃力によって機械的に圧着をほぐしているにすぎない,②圧着する前のコーンコブ粉砕物を扱う場合にも多くの粉塵が飛んでいるから(甲27の写真5),被告製品の圧着物を解着する際に多量の粉塵が発生しているとしても被告製品が粉砕機による粉砕を伴って製造されたものとは認められない,などと主張する。しかしながら,証拠(乙14ないし17)によれば,被告の使用する粉砕機はドラムの外周に の粉塵が発生しているとしても被告製品が粉砕機による粉砕を伴って製造されたものとは認められない,などと主張する。しかしながら,証拠(乙14ないし17)によれば,被告の使用する粉砕機はドラムの外周に多列に設けたリング板に多数の刃を取付けた構造である上,同粉砕機にかけられた圧着物からは多量の粉塵が発生しているのであって(なお,原告が指摘する甲27の5の写真は不鮮明で,原告主張に係る事実を示すものとは認められない。),この多数の刃によって圧着物に機械的作用を加えて粉砕しているものと認められるから,原告の上記主張はいずれも採用の限りでない。 2 争点1についてなお,念のため,被告製品が構成要件Bを充足するか否か(争点1)についても検討するに,構成要件Bは「カサ比重0.15~0.25以下に調整したリグニンに富む草質材の粉砕物を」というものであるところ,ここにおいては,草質材の粉砕物のカサ比重を0.15~0.25以下の範囲に調整するとの数値限定がされる一方,草質材の粉砕物の一部についてのカサ比重が上記範囲を外れることがあるといった記載は見当たらない。そうすると,被告製品が構成要件Bを充足するというためには,少なくとも被告製品における粉砕物のカサ比重の調整が,安定的に上記範囲内においてされていることが必要というべきであって,被告製品における粉砕物のカサ比重が安定せず,粉砕物のうち上記範囲を外れるものが相当量存在するという状況であれば,粉砕物のカサ比重を上記範囲に調整したということはできないから,構成要件Bを充足するとは認められない。 そこで,被告製品のコーンコブの粉砕物についてみるに,原告の実験(甲7)によれば,得られた粉砕物のカサ比重が構成要件Bの数値範囲内にある(0. 22ないし0.23)一方,被告の実験(乙1,乙13の1)に 品のコーンコブの粉砕物についてみるに,原告の実験(甲7)によれば,得られた粉砕物のカサ比重が構成要件Bの数値範囲内にある(0. 22ないし0.23)一方,被告の実験(乙1,乙13の1)によれば,得られた粉砕物のカサ比重が構成要件Bの数値範囲外となっている(0.29ないし0.32)ところ,いずれの実験についても特段その信用性を否定すべき事情は見当たらない。なお,原告は,被告の実験が不自然であるとしてこれを論難するが,その根拠とするところは,いずれも証拠に基づかない推測にすぎず,採用することはできない。 そうすると,被告製品における粉砕物のカサ比重の調整が,安定的に上記範囲内においてされていると認めることはできないから,被告製品は,リグニンに富む草質材の粉砕物を「カサ比重0.15~0.25以下に調整した」ものということはできず,構成要件Bに該当しないというべきである。 3 結論以上のとおり,被告製品は,構成要件B及びDを充足しないから,その余の点について検討するまでもなく,被告が被告製品を製造,販売し,又は販売の申出をすることが本件特許権を侵害するとは認められない。 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官廣瀬達人

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