令和4年2月17日判決言渡令和元年(行ウ)第453号還付金(過誤納金)返還請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,13億9448万4302円並びにうち11億2 196万円及び2億7252万円のそれぞれに対する別紙2還付加算金目録記載の金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 主文第1項と同旨第2 事案の概要ルクセンブルク大公国(以下「ルクセンブルク」という。)に本店を有する外国法人である原告は,内国法人である完全子会社2社(以下「本件各子会社」という。)がした会社分割(以下「本件各分割」という。)に伴い,本件各子 会社がその対価として取得した分割承継法人の出資持分につき,本件各子会社の剰余金の配当として分配を受けた(以下「本件各剰余金配当」という。)。 本件各剰余金配当はその一部が所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下,特に断りのない限り同じ)25条により同法24条に規定する配当等とみなされることから,これにつき源泉徴収義務を負う本件各子会社 は,上記分配のうち同条の配当等とみなされる部分(以下「本件各みなし配当」という。)につき,所得税及び復興特別所得税(以下併せて「所得税等」という。)として,所定の20.42%の税率による金額(以下「当初納付額」という。)を源泉納付した。 本件は,当初納付額につき源泉徴収された原告が,本件各みなし配当につい ては,「所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び 脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」(以下「本件租税条約」という。)10条2項⒜(以下「本件規定⒜」という。)の要件に該当し,その限度税率は5%になるから,当 避及び 脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約」(以下「本件租税条約」という。)10条2項⒜(以下「本件規定⒜」という。)の要件に該当し,その限度税率は5%になるから,当初納付額は過大であったとして,被告に対し,還付金合計13億9448万4302円(本件各子会社ごとに見ると,11億2196万2237円及び2億7252万2065円)並びにこ れらのうち1万円未満の端数を除いた部分に対する平成27年5月8日(還付の請求があった日の翌日から起算して1月を経過する日)から還付のための支払決定の日又は充当の日までの還付加算金(その計算方法は別紙2記載のとおり)の支払を求める事案である。 1 関係法令等の定め ⑴ 本件に関係する①所得税法,②所得税法施行令(平成27年政令第141号による改正前のもの),③法人税法,④東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下「財確法」という。),⑤国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ),⑥租税特別措置法(以 下「措置法」といい,特に断りのない限り令和2年法律第8号による改正前のものを指す。),⑦租税条約等の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下「租税条約実施法」という。),⑧租税条約等の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(平成25年 省令第2号による改正前のもの。以下「実施令」という。),⑨所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約(本件租税条約),⑩条約法 号による改正前のもの。以下「実施令」という。),⑨所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約(本件租税条約),⑩条約法に関するウィーン条約(以下「ウィーン条約」という。)の定めは別紙3-1から3-10までに記載したとおりである。 ⑵ みなし配当に対する所得税及び本件租税条約による課税制度の概要等 ア非適格分割型分割の場合のみなし配当 非適格分割型分割法人税法(別紙3-3)2条12号の9イは,分割型分割の定義に関し,これに該当する分割の類型として,分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等 に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割を定めている。 法人税法2条12号の11イは,適格分割の定義に関し,これに該当する分割の類型として,分割に係る分割法人(分割によりその有する資産又は負債の移転を行った法人)と分割承継法人(分割により分割法人 から資産又は負債の移転を受けた法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係がある場合の当該分割であって,分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人のうちいずれかの株式以外の資産が交付されないものを定めている。 分割型分割のうち,適格分割に該当するものが「適格分割型分割」で ある(法人税法2条12号の12。これに対し,適格分割に該当しないものを以下「非適格分割型分割」という。)。 みなし配当所得税法24条1項は,法人から受ける剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配等に係る所得を配当所得と定めている。配 に該当しないものを以下「非適格分割型分割」という。)。 みなし配当所得税法24条1項は,法人から受ける剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配等に係る所得を配当所得と定めている。配当所得に係る配 当等のうち,内国法人から受ける剰余金の配当については,国内源泉所得となる(同法161条5号イ,後記イ参照)。 所得税法25条1項は,法人の株主等が当該法人の同項各号に掲げる事由(同項2号において,非適格分割型分割が規定されている。)により金銭その他の資産の交付を受けた場合において,その金銭の額及び金 銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の法人税法2条16号に規定す る資本金等の額又は同条17号の2に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは,所得税法の規定の適用については,その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は,同法24条1項に規定する剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配又は金銭の分配とみなす旨規定して いる。 イ外国法人の納税義務所得税法5条4項は,外国法人は,外国法人課税所得の支払を受けるときは,所得税を納める義務がある旨規定している。外国法人課税所得とは,同法161条に規定する国内源泉所得(以下,単に「国内源泉所得」とい う。)のうち同条1号の2から7号まで又は9号から12号までに掲げるものをいう(同法5条2項2号)。ただし,国内に恒久的施設を有しない外国法人に対しては,上記各号のうち同法161条1号の2を除く範囲で所得税が課される。 そして,所得税法24条1項に規定する配当等のうち,内国法人から受 ける同項に規定する剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配,金銭の分配又は基金利息は く範囲で所得税が課される。 そして,所得税法24条1項に規定する配当等のうち,内国法人から受 ける同項に規定する剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配,金銭の分配又は基金利息は,国内源泉所得に当たる(同法161条5号イ)。 ウ課税標準・税額,源泉徴収等 課税標準・税額外国法人に対して課する所得税の課税標準は,その外国法人が支払を 受けるべき国内源泉所得の金額とされているところ(所得税法178条),その所得税の額は,原則として,国内源泉所得の金額に100分の20の税率を乗じて計算した金額とされている(同法179条1号)。 源泉徴収所得税法212条1項は,国内に恒久的施設を有しない外国法人に対 し国内において同法161条1号の3から7号まで又は9号から12号 までに掲げる国内源泉所得の支払をする者は,その支払の際,これらの国内源泉所得について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない旨規定している。源泉徴収義務者が徴収すべき所得税の額は,原則として,国内源泉所得の金額に100分の20の税率を乗じて計算した金額である(同法213 条1項1号。以下,源泉徴収による所得税を「源泉所得税」という。)。 上記の規定により源泉所得税の徴収義務を負う者は,復興特別所得税(税率は100分の2.1)についても併せて徴収し,国に納付しなければならない(財確法〔別紙3-4〕27条,28条1項)。 なお,源泉所得税の納税義務は,利子や配当など源泉徴収をすべきも のとされている所得の支払の時に納税義務が成立し,その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する(国税通則法〔別紙3-5〕15条2項2号,3項2号)。 源泉徴収をすべきも のとされている所得の支払の時に納税義務が成立し,その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する(国税通則法〔別紙3-5〕15条2項2号,3項2号)。 租税条約との関係租税条約実施法(別紙3-7)は,我が国が締結した所得に対する租 税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約(以下「租税条約」という。)の実施に伴う所得税等の特例等について定めているところ,同法3条の2第1項は,租税条約において限度税率(租税条約において相手国居住者等に対する課税につき一定の税率又は一定の割合で計算した金額を超えないものとしている場合におけるその一定の税率又は 一定の割合〔同法2条5号〕)が定められている場合の特例について定めている。すなわち,相手国居住者等(同法2条4号)が支払を受ける配当等のうち,租税条約の規定において,当該相手国等(同条3号)においてその法令に基づき当該相手国居住者等の所得として取り扱われるものとされるもの(以下「相手国居住者配当等」という。)であって, 限度税率を定める当該租税条約の規定の適用があるものに対する所得税 法179条又は213条1項の規定の適用については,当該限度税率が当該配当等に適用されるこれらの規定に規定する税率以上である場合を除き,これらの規定に規定する税率に代えて,当該租税条約の規定により当該配当等につきそれぞれ適用される限度税率によるものとされる。 なお,財確法33条3項1号イは,租税条約の規定により,所得税法 又は措置法に規定する税率以下の限度税率が適用される相手国居住者配当等については,復興特別所得税は課されない旨規定している。 租税条約の規定に基づき所得税の軽減を受けようとする相手国居住者等は,当該相手国居住 規定する税率以下の限度税率が適用される相手国居住者配当等については,復興特別所得税は課されない旨規定している。 租税条約の規定に基づき所得税の軽減を受けようとする相手国居住者等は,当該相手国居住者配当等に係る源泉徴収義務者ごとに,必要事項を記載した届出書を,原則として最初にその支払を受ける日の前日まで に,当該源泉徴収義務者を経由して,当該源泉徴収義務者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(実施令2条1項)。また,相手国居住者等は,相手国居住者配当等の支払を受けた場合において,租税条約の規定の適用を受けなかったことにより徴収された所得税について,租税条約の規定に基づき軽減を受けようとするときは,源泉所得税 の額から,当該相手国居住者配当等の額に限度税率を乗じて計算した金額を控除した残額に相当する金額につき,源泉徴収義務者を経由して,還付を請求することができる(同条8項,9項)。 エ本件租税条約本件租税条約(別紙3-9,甲2)は,日本とルクセンブルクとの間 において,英語のみによって確定されたものである。日本政府は,本件租税条約について訳文(以下「政府訳文」という。)を作成しているが,同条約の正文は英文であるため,条約の解釈は英文を基準として行われる。なお,本判決においては,本件租税条約の規定のうち,解釈に争いのない部分については,政府訳文に基づいて表記する。 本件租税条約10条1項は,一方の締約国の居住者である法人(例え ば日本国内に本店を有する内国法人)が他方の締約国の居住者(例えばルクセンブルクに本店を有する外国法人)に支払う配当に対しては,当該他方の締約国(上記の例ではルクセンブルク。以下「相手国」という。)において租税を課することができる旨定めている。 本件租税条約10 クセンブルクに本店を有する外国法人)に支払う配当に対しては,当該他方の締約国(上記の例ではルクセンブルク。以下「相手国」という。)において租税を課することができる旨定めている。 本件租税条約10条2項柱書は,同条1項の配当に対しては,これを 支払う法人(以下「配当支払法人」という。)が居住者とされる締約国(上記の例では日本。以下「源泉地国」という。)においても,当該源泉地国の法令に従って租税を課することができ,その租税の額(これを計算するための税率を以下「源泉税率」という。)は,当該配当の受領者(同受領者が法人である場合につき,以下「配当受領法人」という。) が当該配当の受益者である場合には,同項⒜及び⒝の額(各所定の限度税率により計算した税額)を超えないものとする旨定めている。 本件租税条約10条2項⒜(本件規定⒜)の正文(英文)は「5 percentofthegrossamountofthedividendsifthebeneficialownerisacompanywhichownsatleast 25 percentofthevotingsharesofthe companypayingthedividendsduringtheperiodofsixmonthsimmediatelybeforetheendoftheaccountingperiodforwhichthedistributionofprofitstakesplace」というものである。その政府訳文は,「当該配当の受益者が,利得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ6か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少な くとも25 place」というものである。その政府訳文は,「当該配当の受益者が,利得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ6か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少な くとも25%を所有する法人である場合には,当該配当の額の5%」というものである(以下,一般に,租税条約の類似規定において,株式の保有割合が一定以上でなければならないとされている期間を「最低保有期間」といい,最低保有期間を定めた要件を「保有期間要件」という。 また,本件規定⒜に定められた保有期間要件を「本件保有期間要件」と いう。)。 上記政府訳文のうち「利得の分配に係る事業年度の終了の日」に対応する正文は,「theendoftheaccountingperiodforwhichthedistributionofprofitstakesplace」である(以下「本件文言」という。)。 本件租税条約10条2項⒝(以下「本件規定⒝」という。)の正文は「15 percentofthegrossamountofthedividendsinallothercases」 であり,その政府訳文は「その他のすべての場合には,当該配当の額の15%」というものである。 本件租税条約10条3項は,同条における「配当」とは,株式その他利得の分配を受ける権利から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住者とされる締約国(源泉地国)の税法 上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう旨定めている。 本件租税条約24条1項⒝は,ルクセンブルクの居住者が同条約10条の規定に従って日本国において租税を課される所得を取得する場合には,ルクセンブルクは,日本国において納付される租税の 定めている。 本件租税条約24条1項⒝は,ルクセンブルクの居住者が同条約10条の規定に従って日本国において租税を課される所得を取得する場合には,ルクセンブルクは,日本国において納付される租税の額を当該居住者の所得に対する租税の額から控除する旨定めている。 また,本件租税条約24条2項⒝は,日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従い,ルクセンブルクにおいて取得される所得が,ルクセンブルクの居住者である法人によりその議決権のある株式又はその発行済株式の少なくとも25%を所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配 当である場合には,日本国の租税からの控除を行うに当たり,当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるルクセンブルクの租税を考慮に入れるものとする旨定めている。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠〔枝番号のあるものは枝番号を含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 原告及び本件各子会社 原告は,ルクセンブルクに本店を有し,日本国内には恒久的施設を有していない法人(Societearesponsabilitelimitee〔有限責任会社〕)であり,株式の取得や管理等を目的として2005年(平成17年)12月に設立された。原告の事業年度は11月1日から翌年の10月31日までである。(甲1) Aは,東京都α市(住所省略)に本店を有する株式会社であり,化学分析機器,生命科学分野の研究及び臨床検査分野に用いられる分析機器,試薬等並びに電子応用測定器及び電子計算機等の輸出入,販売,賃貸等を目的としている。Aの事業年度は11月1日から翌年の10月31日までである。(甲3) 臨床検査分野に用いられる分析機器,試薬等並びに電子応用測定器及び電子計算機等の輸出入,販売,賃貸等を目的としている。Aの事業年度は11月1日から翌年の10月31日までである。(甲3) B(A及びBが本件各子会社である。)は,α市に本店を有する株式会社であり,電子応用測定器及び化学分析機器並びにそれらに関連する機器及びソフトウェアの研究開発,製造,保守等を目的としている。Bの事業年度は11月1日から翌年の10月31日までである。(甲4)⑵ 原告による本件各子会社の株式取得(甲7,11,20,23) 原告は,2014年(平成26年)4月29日,Aが発行する株式の88. 3%をオランダの関係法人から,A株式の11.7%をルクセンブルクの関係法人から取得した。原告は,同日から現在に至るまで,A株式の100%を保有している。 また,原告は,同日,Bが発行する株式の100%を上記オランダの関係 法人から取得し,同日から現在に至るまで,B株式の100%を保有している。 ⑶ 本件各分割と本件各剰余金配当A(分割法人)は,平成26年8月1日,会社分割(非適格分割型分割)を行い,C(分割承継法人)に電子計測事業に係る権利義務を承継させ,そ の対価として,同社の出資持分の譲渡を受けた(乙1)。 B(分割法人)も,同日,会社分割(非適格分割型分割)を行い,D(分割承継法人)に電子計測事業に係る権利義務を承継させ,その対価として,同社の出資持分の譲渡を受けた(乙2)。 本件各分割のいずれについても,本件各子会社が取得した分割承継法人の出資持分は,分割の効力発生日である平成26年8月1日に,剰余金の配当 として,本件各子会社の同日時点の最終株主名簿に登録された株主(すなわち,上記⑵により本件各子会社の1 得した分割承継法人の出資持分は,分割の効力発生日である平成26年8月1日に,剰余金の配当 として,本件各子会社の同日時点の最終株主名簿に登録された株主(すなわち,上記⑵により本件各子会社の100%株主となった原告)に対して分配された(乙1,2。本件各剰余金配当)。 本件各剰余金配当により,それぞれ所得税法25条1項柱書所定の部分を超える部分について,同項のみなし配当(本件各みなし配当)が生じること となった(関係法令等⑵ア)。本件各みなし配当の金額は,A分につき112億1962万2367円,B分につき27億2522万0652円である。(甲5,9,21,24)⑷ 本件各子会社による源泉徴収と原告による還付請求本件各みなし配当に係る所得税等の源泉徴収義務を負う本件各子会社は, 平成26年9月8日,本件各みなし配当の金額に20.42%の税率を乗じて計算した税額(A分につき22億9104万6887円,B分につき5億5649万0057円。これらの金額の合計額が当初納付額である。)を納付した(甲5,9,21,24)。 原告は,平成27年4月7日,本件各子会社を経由して,本件各子会社の 納税地の各所轄税務署長に対し,本件各みなし配当につき本件租税条約における本件規定⒜の適用を受ける旨の届出をするとともに,当初納付額と,本件規定⒜による5%の税率で計算した税額(以下「5%税額」という。)との差額につき還付を求める各請求(還付請求の金額は,A分につき17億3006万5769円,B分につき4億2022万9025円。)をした(甲 6,7,10,11)。 上記各所轄税務署長は,原告の上記各還付請求に対し,本件各みなし配当には本件規定⒜(限度税率5%)ではなく本件規定⒝(限度税率15%)が適用される旨の見 甲 6,7,10,11)。 上記各所轄税務署長は,原告の上記各還付請求に対し,本件各みなし配当には本件規定⒜(限度税率5%)ではなく本件規定⒝(限度税率15%)が適用される旨の見解を伝えたところ,原告から,平成28年3月7日,当初納付額と15%の税率で計算した税額(以下「15%税額」という。)との差額(A分につき6億0810万3532円,B分につき1億4770万6 960円)に係る還付請求がされたため,上記各金額を還付した(甲8及び12)。 ⑸ 本件訴えの提起原告は,令和元年9月6日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。本件訴えにおいて原告が還付を求める金額は,当初の還付請求額から上記⑷のとお り還付された金額との差額(すなわち,15%税額と5%税額との差額)である(A分につき11億2196万2237円,B分につき2億7252万2065円。以下併せて「本件請求金額」という。)。 3 争点本件の争点は,本件請求金額に係る還付請求権の存否(具体的には,原告は 本件各みなし配当につき本件規定⒜の定める本件保有期間要件〔関係法令等エ〕を満たすか否か)である。なお,本件請求金額に係る還付請求権が認められるとした場合の還付加算金の計算方法(別紙2記載の方法)については,当事者間に争いがない。 4 当事者の主張 争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙4記載のとおりである。なお,同別紙で定義した略語は本文でも用いる。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,原告は本件各みなし配当につき本件租税条約10条2項⒜(本件規定⒜)の定める本件保有期間要件を満たし,本件請求金額に係る還付請求 権が認められるから,その還付金及びこれに対する還付加算金の支払を求める 原告の請求は理 租税条約10条2項⒜(本件規定⒜)の定める本件保有期間要件を満たし,本件請求金額に係る還付請求 権が認められるから,その還付金及びこれに対する還付加算金の支払を求める 原告の請求は理由があり認容すべきものと判断する。その理由の詳細は以下のとおりである。 1 法的二重課税排除のための租税条約の沿革等⑴ 一般に,国際的な法的二重課税(以下,単に「法的二重課税」という。)とは,1人の納税者に対して,同一の期間,同一の対象につき,二つ以上の 国の間において同様の課税がされることをいうところ,これは国際的経済関係の発展に対する阻害要因となることから,経済協力開発機構(OECD)加盟国においては,かねてより法的二重課税の排除を目的とする二国間条約が締結されていた(乙18)。 OECDは,法的二重課税の領域において生ずる最も典型的な諸問題につ き,統一的な解決基準に基づいて解決の手段を提示することを主たる目的として,モデル条約を公表するとともに,そのコメンタリーを発行している。 OECD理事会勧告により,加盟国は,二国間条約の締結又は改訂に際し,モデル条約(コメンタリーによって示された解釈を含む。)を尊重すべきものとされており,日本が締結する条約においても,概ねモデル条約に沿った 規定が採用されている。(乙16,18)⑵ 日本と各国との間の租税条約ア日英租税条約平成18年条約第11号による改正前の日英租税条約(旧日英租税条約)11条1項⒜は,配当課税の軽減の要件として,「当該配当の受益者が, 利得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ12か月の全期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権の少なくとも25%を有する法人である場合」と定めていた(乙8)。 これに対し,上記改正後の日 得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ12か月の全期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権の少なくとも25%を有する法人である場合」と定めていた(乙8)。 これに対し,上記改正後の日英租税条約(新日英租税条約。ただし,平成26年条約第17号による改正前のもの。以下同じ)10条においては, 配当課税の軽減又は免除の要件として,「当該配当の受益者が,当該配当 の支払を受ける者が特定される日をその末日とする6か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の10%以上に相当する株式を直接又は間接に所有する法人である場合」(同条2項⒜),「当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする6か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の50%以上に相当する株式 を直接又は間接に所有する法人」(同条3項⒜)と定められている(乙9)。 かかる条約改正につき,新日英租税条約に係る交換公文(平成26年外務省告示第349号による改正前のもの)2条は,同条約10条2項及び3項に関し,「日本国については,配当の支払を受ける者が特定される日は,利得の分配に係る会計期間の終了の日であることが了解される。」と している(乙10)。 イ日米租税条約日米租税条約は,10条1から3までにおいて,配当課税に関し次のとおり定めている(甲36)。 「1 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払 う配当に対しては,当該他方の締約国において租税を課することができる。 2 1の配当に対しては,これを支払う法人が居住者とされる締約国においても,当該締約国の法令に従って租税を課することができる。 その租税の額は,当該配当の受益者が他方の締約国の居住者で 2 1の配当に対しては,これを支払う法人が居住者とされる締約国においても,当該締約国の法令に従って租税を課することができる。 その租税の額は,当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である 場合には,4及び5に定める場合を除くほか,次の額を超えないものとする。 ⒜ 当該配当の受益者が,当該配当の支払を受ける者が特定される日に,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の10%以上を直接又は間接に所有する法人である場合には,当該配当の額の 5% ⒝ その他のすべての場合には,当該配当の額の10%この2の規定は,当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。 3 2の規定にかかわらず,1の配当に対しては,当該配当の受益者が次の⒜又は⒝に該当する場合には,当該配当を支払う法人が居住 者とされる締約国においては租税を課することができない。 ⒜ 他方の締約国の居住者であり,かつ,当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする12か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権のある株式の50%を超える株式を直接に又はいずれかの締約国の1若しくは2以上の居住者を通じて 間接に所有する法人であって,次のいずれかに該当するもの(以下略)」日米租税条約に係る交換公文4条は,同条約10条2及び3に関し,「日本国については,配当の支払を受ける者が特定される日は,利得の分配に係る会計期間の終了の日であることが了解される。」(英文 では,「itisunderstoodthat, inthecaseofJapan, thedateonwhichen 会計期間の終了の日であることが了解される。」(英文 では,「itisunderstoodthat, inthecaseofJapan, thedateonwhichentitlementtothedividendsisdeterminedistheendoftheaccountingperiodforwhichthedistributionofprofitstakesplace.」としている(乙12の1及び2)。 ウ日豪租税条約においては,配当課税の軽減の要件としては,「当該配当 の受益者が,当該配当を支払う法人の議決権の10%以上に相当する株式を直接に所有する法人である場合」と定めるのみで(10条2⒜),保有期間要件は定めていない。他方,配当課税の免除の要件としては,「当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする12か月の期間を通じ,当該配当を支払う法人の議決権の80%以上に相当する株式を直接 に所有する」との要件を定めているところ(同条3),同条約に係る交換 公文3条⒜は,上記「配当の支払を受ける者が特定される日」に関し,「日本国については,利得の分配に係る会計期間の終了の日」とすることが了解されるとしている。(乙13,14)⑶ 本件租税条約ア日本とルクセンブルクとの間における本件租税条約は,1992年(平 成4年)に締結されたものである。本件租税条約の締結の承認を求める件が審議された同年5月14日開催の参議院外務委員会において,外務大臣官房審議官は,本件租税条約の持つ意義につき,他の国との間の租税条約と同様に,経済交流及び人的交流等の促進を図る上で障害となる国際的な二重課税を除去することにあり,同条約を締結することにより 務大臣官房審議官は,本件租税条約の持つ意義につき,他の国との間の租税条約と同様に,経済交流及び人的交流等の促進を図る上で障害となる国際的な二重課税を除去することにあり,同条約を締結することにより二重課税回 避を目的とする各種の所得に対する両国の課税権の調整が図られることとなり,両国間の資本,物資,人的資源の円滑な交流の促進が期待されること,同条約の内容としては,基本的にモデル条約のラインを踏襲しており,特段目立って違う点はないことを答弁している。(甲2,38,乙19)イ本件租税条約は2011年(平成23年)に改正されたが,同改正の前 後で,本件規定⒜及び⒝に特段の変化はない。また,本件租税条約に係る交換公文において,本件文言についての解釈や読替えに係る了解等は盛り込まれていない。 ⑷ モデル条約及びコメンタリーの内容及び改訂等アモデル条約2010年版(甲29)は,10条において配当課税につい て規定しているところ,その1から3までの内容は次のとおりである。 「1 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては,当該他方の締約国において租税を課することができる。 2 1の配当に対しては,これを支払う法人が居住者とされる一方の締 約国においても,当該一方の締約国の法令に従って租税を課すること ができる。その租税の額は,当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である場合には,次の額を超えないものとする。 ⒜ 当該配当の受益者が,当該配当を支払う法人の発行済株式の25%以上を直接に所有する法人(パートナーシップを除く。)である場合には,当該配当の額の5% ⒝ その他のすべての場合には,当該配当の額の15%両締 支払う法人の発行済株式の25%以上を直接に所有する法人(パートナーシップを除く。)である場合には,当該配当の額の5% ⒝ その他のすべての場合には,当該配当の額の15%両締約国の権限ある当局は,合意により,これらの制限の実施方法を決定する。 この2の規定は,当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。 3 この条において,「配当」とは,株式,受益株式,鉱業株式,発起人株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住者とされる締約国の租税に関する法令上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。」 イ上記アのとおり,モデル条約2010年版の10条2項⒜には保有期間要件が定められていなかったところ,この点については2010年版以前においても同様であった。 ウモデル条約2010年版のコメンタリーは,モデル条約10条2項についての解説をパラグラフ9及び10において,23条2項についての解説 をパラグラフ54において,次のように記載している(甲30,32)。 「9. 第2項は,配当の源泉地国,すなわち,配当を支払う法人が居住者とされる国に租税を課する権利を留保している。しかし,この課税権はかなり制限されたものである。すなわち,税率は,合理的と考えられる最大15%に制限されている。これを超える税率は,源 泉地国が既に当該法人の利得に課税し得ているために,およそ正当 化し得ない。 . 他方,子会社からその親会社に支払われた配当に対しては,より低い税率(5%)が明文により規定されている。一方の国の法人が,他方の国の法人の株式その他の持分 に,およそ正当 化し得ない。 . 他方,子会社からその親会社に支払われた配当に対しては,より低い税率(5%)が明文により規定されている。一方の国の法人が,他方の国の法人の株式その他の持分の少なくとも25%を直接に保有する場合には,課税の繰り返しを避けるため,また,国際投資の 促進のために,当該子会社から当該外国親会社への利得の支払に対してはより軽減された課税を行うべきとされることは,合理的である。こうした目的の実現は,親会社が居住者とされる国における配当の課税上の取扱いに依存する。」「54. さらに,加盟国は,これらの規定の適用の制限及び適用方法(株 式の定義及び最低保有期間,配当のうち管理経費又は財務的費用が占めるとみなされる比率)を自由に決定できる。(以下略)」エモデル条約は2017年(平成29年)に改訂され,モデル条約2017年版の10条2項⒜は「当該配当の受益者が,当該配当の支払の日を含む365日の期間を通じて,当該配当を支払う法人の資本の25%以上を 直接に所有する法人である場合には,当該配当の5%(以下略)」という文言に改訂された(甲33)。 オモデル条約10条のコメンタリー(乙30)では,上記エの改訂の趣旨について次のように説明している。すなわち,「2017年より前においては本条に関するコメンタリーのパラグラフ17は『パラグラフ2のサブ パラグラフa)で想定されている減免は当該規定が濫用されたケースには付与されるべきではなく,この事例としては,保有率が25%未満の法人が配当の支払われる少し前に主に上記規定の特典を確保する目的及び他の目的から当該持分を増やし,主に当該減免を得るために適用対象となる持分を調整した場合が挙げられる』と規定していた。このような濫用に対し 支払われる少し前に主に上記規定の特典を確保する目的及び他の目的から当該持分を増やし,主に当該減免を得るために適用対象となる持分を調整した場合が挙げられる』と規定していた。このような濫用に対し てはOECD/G20の税源侵食と利益移転(BEPS)プロジェクト行 動計画6の最終報告書において対応が講じられた。この報告書が作成された結果,サブパラグラフa)は適用状況を制限するために変更され,当該配当を受領する法人が当該配当を支払う法人の資本の少なくとも25%を当該配当の支払日を含む365日間の期間を通して直接保有するケースに適用状況が制限された。」とされている。 2 検討⑴ 国際条約に関する基本的原則を定めるウィーン条約は,条約の解釈に関する一般的な規則として,「条約は,文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い,誠実に解釈するものとする。」(31条1項)とした上で,ここにいう「文脈」には,①条約文(前文及び附属 書を含む。)のほか,②条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意,③条約の締結に関連して当事国の1又は2以上が作成した文書であってこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたものが含まれるとしている(同条2項)。 本件租税条約の条約文には,本件文言(theendoftheaccountingperiod forwhichthedistributionofprofitstakesplace)に関し,その用語を定義した規定は存在せず,これについて定めた当事国の関係合意ないし関係文書も見当たらないところ,本件租税条約3条2項は,「一方の締約国によるこの条約の適用上,この条約において定義されていない用語は,文脈によ 規定は存在せず,これについて定めた当事国の関係合意ないし関係文書も見当たらないところ,本件租税条約3条2項は,「一方の締約国によるこの条約の適用上,この条約において定義されていない用語は,文脈により別に解釈すべき場合を除くほか,この条約の適用を受ける租税に関する当該一 方の締約国の法令における当該用語の意義を有するものとする。」と定めている。 ところで,本件租税条約の正文は英文であるが,本件租税条約3条2項にいう「当該一方の締約国」である我が国の法令は日本語によって定められている。そこで,上記「当該一方の締約国の法令における当該用語の意義」を 検討するに当たっては,本件租税条約の締結に当たり日本政府が作成した訳 文であって,国会の承認を得る際に用いられている政府訳文(甲38)を参照するのが相当である。 そこで,以下においては,本件文言の解釈を検討するに当たり,まず,①本件租税条約3条2項に定められた文脈に従って,日本の法令における当該用語の意義について政府訳文を参照しつつ検討し,次いで,②ウィーン条約 31条1項が提示するもう一つの規則である「趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味」についても,正文である英文に基づき検討することとする。 ⑵ 日本の法令における当該用語の意義について本件文言は,政府訳文によれば「利得の分配に係る事業年度の終了の日」 であるところ,このうち「事業年度」については,法人税法13条において,法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で,法令で定めるもの又は法人の定款,寄附行為,規則,規約その他これらに準ずるもの(以下「定款等」という。)に定めるものをいい,法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には,同条2項以下の規定により納税地の所轄税務署長に は法人の定款,寄附行為,規則,規約その他これらに準ずるもの(以下「定款等」という。)に定めるものをいい,法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には,同条2項以下の規定により納税地の所轄税務署長に届 け出るなどされた会計期間をいい,これらの期間が1年を超える場合は当該期間をその開始の日以後1年ごとに区分した各期間をいう旨を定めている。 かかる法人税法の規定に照らせば,「事業年度」とは,法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で1年を超えないものをいい,法令又は定款等に会計期間の定めがある場合には当該会計期間を指すものと解され る。したがって,法令又は定款等に1年を超えない会計期間の定めがある法人については,その会計期間が「事業年度」となる。 以上によれば,本件文言は,日本の法令における用語の意義としては,「利得の分配に係る会計期間の終了の日」を意味するものというべきである。 ⑶ 趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味について ア趣旨及び目的 以下においては,まず,本件租税条約の目的及び同条約10条の趣旨について検討した上で,同条に本件規定⒜が設けられた趣旨,同規定に本件保有期間要件が設けられた趣旨について順次検討する。 本件租税条約の目的及び同条約10条の趣旨本件租税条約の前文は,所得に対する租税等に関し「二重課税を回避 し及び脱税を防止するため」に同条約を締結するものとしており,同条約の締結の承認に関する国会審議においても,同条約の意義につき,経済交流及び人的交流等の促進を図る上で障害となる国際的な二重課税(法的二重課税)を除去することにあり,同条約を締結することにより各種の所得に対する両国(日本及びルクセンブルク)の課税権の調整が 図られ 人的交流等の促進を図る上で障害となる国際的な二重課税(法的二重課税)を除去することにあり,同条約を締結することにより各種の所得に対する両国(日本及びルクセンブルク)の課税権の調整が 図られることとなる旨の説明がされている(前記1⑶ア)。また,そもそも,本件租税条約は,基本的にOECDのモデル条約に依拠して定められているところ(前記1⑶ア),モデル条約は,OECD加盟国において法的二重課税の排除を目的とする二国間条約が締結されている状況下で,法的二重課税の領域において生ずる典型的な諸問題について統一 的な基準に基づき解決の手段を提示するものとして公表されているものである(前記1⑴)。 これらに照らすと,本件租税条約の主たる目的は,法的二重課税(1人の納税者に対して,同一の期間,同一の対象につき,二つ以上の国の間において同様の課税がされること)を排除することにより,日本とル クセンブルクとの経済的交流(国際投資等)及び人的交流等を促進することにあるものと解される。 ところで,本件租税条約は,上記目的を実現するに当たり,配当に対する租税は源泉地国及び相手国の双方で課することができること(10条)を前提とした上で,24条において,二重課税の除去の方法(例え ば,ルクセンブルクの居住者が日本において納付する租税の額を,ルク センブルクは当該居住者の所得に対する租税の額から控除するなど。)を定めているところ,10条2項は,源泉地国における課税についてのみ,最大15%の限度税率の範囲内で課することができる旨の制限を設けている。これは,モデル条約10条2項(本件租税条約の10条2項に相当する。)のコメンタリーにおいて,「第2項は,配当の源泉地国, すなわち,配当を支払う法人が居住者とされる国に租税を課する権利 ている。これは,モデル条約10条2項(本件租税条約の10条2項に相当する。)のコメンタリーにおいて,「第2項は,配当の源泉地国, すなわち,配当を支払う法人が居住者とされる国に租税を課する権利を留保している。しかし,この課税権はかなり制限されたものである。すなわち,税率は,合理的と考えられる最大15%に制限されている。これを超える税率は,源泉地国が既に当該法人の利得に課税し得ているために,およそ正当化し得ない。」とされていること(前記1⑷ウ)を踏 まえると,源泉地国では配当支払法人の利得についても課税し得ることに着目して,源泉地国における配当課税を最大15%の税率に制限することにより,両国間の課税の公平を図ったものであると解される。 本件規定⒜が設けられた趣旨本件租税条約10条2項は,上記のような配当課税に係る税率を最 大15%とする旨の限度税率(本件規定⒝)のほかに,かかる限度税率を更に軽減したものとする5%の軽減税率(本件規定⒜)も定めている。 本件規定⒜は,当該配当の受益者が配当支払法人の議決権のある株式の25%以上を所有する法人である場合に5%の軽減税率を適用するとしたものである。モデル条約10条2項にもこれに相当する定めがあり, そのコメンタリーにおいて,「子会社からその親会社に支払われた配当に対しては,より低い税率(5%)が明文により規定されている。一方の国の法人が,他方の国の法人の株式その他の持分の少なくとも25%を直接に保有する場合には,課税の繰り返しを避けるため,また,国際投資の促進のために,当該子会社から当該外国親会社への利得の支払に 対してはより軽減された課税を行うべきとされることは,合理的であ る。」とされている。 以上のような本件規定⒜の規定振りやモデル条約のコ ,当該子会社から当該外国親会社への利得の支払に 対してはより軽減された課税を行うべきとされることは,合理的であ る。」とされている。 以上のような本件規定⒜の規定振りやモデル条約のコメンタリーに鑑みると,本件規定⒜において5%の軽減税率を定めたのは,源泉地国において配当支払法人の利得に対して課税した上にその利得の分配である配当についても重ねて課税しているところ,かかる課税の繰り返しは国 際投資の障害となることから,子会社から親会社に対する配当については源泉地国における配当課税の税率を5%に制限することにより国際投資の促進を図ろうとしたものと解するのが相当である。 なお,この点に関し,被告は,モデル条約のコメンタリーにいう「課税の繰り返し」とは,配当受領者に対する源泉地国における課税と配当 受領者に対する相手国における課税という法的二重課税を指すものであり,本件租税条約の本件規定⒝においても同旨である旨主張する。しかしながら,上記で見たように,本件租税条約において法的二重課税の除去は24条に定められており,両国間の課税の公平を図るために10条2項(本件規定⒝)において源泉地国の配当課税につき15%の限度 税率が定められているところ,これに加えてさらに5%の軽減税率を本件規定⒜において定めたのは,相手国法人が源泉地国への投資をする際に,源泉地国において子会社の利得に対する所得税及びその利得の分配に対する配当課税という形で課税が繰り返されることが相手国法人にとって投資の障害となるため,源泉地国における配当課税を5%という低 い税率に軽減することによってかかる障害を除去しようとしたものと解すべきであり,モデル条約のコメンタリーもこの趣旨をいうものと解される。したがって,この点に関する被告の主張は採用 %という低 い税率に軽減することによってかかる障害を除去しようとしたものと解すべきであり,モデル条約のコメンタリーもこの趣旨をいうものと解される。したがって,この点に関する被告の主張は採用することができない。 本件保有期間要件が設けられた趣旨 本件規定⒜は,源泉地国における配当課税について5%の軽減税率の 適用を受けるための要件として,配当受領法人が所定の日に先立つ6か月の期間を通じて配当支払法人の議決権のある株式の25%以上を所有しなければならないとする本件保有期間要件を定めている。 モデル条約では,2010年版以前には10条2項⒜に関しこのような保有期間要件は定められていなかったところ,2017年版において 改訂され,保有期間要件が新たに設けられた(前記1⑷イ,エ)。その改訂の経緯について解説したコメンタリーによれば,従前からモデル条約10条2項⒜については濫用的な事例(例えば,保有率が25%未満の法人が,配当の少し前に,上記規定の特典を確保する目的から持分を増やすなど)の存在が指摘されていたところ,このような濫用的な事例 についての対策が講じられることとなり,OECDの「税源浸食と利益移転(BEPS: BaseErosionandProfitShifting)プロジェクト」による報告書を踏まえた結果,モデル条約10条2項⒜を変更し,保有期間要件を設けることとしたというものである(前記1⑷オ)。 被告は,上記のようなモデル条約の改訂の経過を根拠に,本件租税条 約における本件規定⒜は1992年(平成4年)の条約締結当時より既に本件保有期間要件を備えていたものであるから,その後に保有期間要件を導入したモデル条約の規定を本件規定⒜の解釈に当たり参酌することはできない旨主張 定⒜は1992年(平成4年)の条約締結当時より既に本件保有期間要件を備えていたものであるから,その後に保有期間要件を導入したモデル条約の規定を本件規定⒜の解釈に当たり参酌することはできない旨主張する。しかしながら,上記1⑴及び⑵のとおり,モデル条約は,既にOECD加盟国で法的二重課税の排除を目的とする二 国間条約が締結されていることを前提に,法的二重課税の領域において生ずる典型的な諸問題について統一的な基準に基づき解決の手段を提示するものとして公表されているものであって,これまでに締結されている二国間条約の例を見ても,本件租税条約と同様に源泉地国における配当課税の軽減につき保有期間要件を定める例(旧日英租税条約11条1 項⒜,新日英租税条約10条2項⒜)がある一方,保有期間要件を定め ない例(日米租税条約10条2⒜,日豪租税条約10条2⒜)も存在していたことから,このような各種の例が存することを前提に,モデル条約における統一的な基準として濫用的な事例への対策のため保有期間要件を採用すべきか否かが検討された結果,上記のとおりこれを採用する旨の改訂がされるに至ったものと考えられる。そうすると,モデル条約 が2017年(平成29年)の改訂により10条2項⒜に保有期間要件を設けることとしたのは,既に二国間条約に存在していた保有期間要件を抽象化して取り込んだものと解されるのであって,濫用的な事例への対策という趣旨は,先行して保有期間要件を備えていた二国間条約と同じくするものというべきである。 そして,上記のような源泉地国における配当課税の軽減に関する濫用的な事例への対策という趣旨からは,配当受領法人において一定期間以上,配当支払法人の株式の保有が継続していることが求められるところ,具体的に,最低保有期間の始 地国における配当課税の軽減に関する濫用的な事例への対策という趣旨からは,配当受領法人において一定期間以上,配当支払法人の株式の保有が継続していることが求められるところ,具体的に,最低保有期間の始期(又は終期)をいつとするか,最低保有期間の長さをどの程度とするかなどの要件の定め方は,条約締結国の合 意によって選択,決定すべき事柄である。実際に二国間条約で定められた例としては,例えば,旧日英租税条約のように「利得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ」期間とするものや,新日英租税条約のように「当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする」期間とするものが見られ,また,モデル条約2017年版では「当該配当の 支払の日を含む365日の期間」という規定例が示されている。これらの例に照らすと,源泉地国における配当課税の軽減に関する濫用的な事例への対策という保有期間要件の目的を達成するためには,最低保有期間として定められる期間が当該配当と一定の関連性を有するものであれば足りるというべきであり,必ずしもこれが配当受領者の特定される時 点に先立つ期間であることまでをも要するということはできない。 イ用語の通常の意味上記アのような趣旨及び目的を踏まえ,本件文言(theendoftheaccountingperiodforwhichthedistributionofprofitstakesplace)について,ウィーン条約31条1項にいう「趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味」はどのようになるかを検討する。 本件規定⒜は,配当の受益者が配当支払法人の議決権のある株式を25%以上所有しなければならない最低保有期間を6か月とし,その6か月を本件文言に係る日に先立つものとし ようになるかを検討する。 本件規定⒜は,配当の受益者が配当支払法人の議決権のある株式を25%以上所有しなければならない最低保有期間を6か月とし,その6か月を本件文言に係る日に先立つものとして定めている。 本件文言のうち「theendofthe・・period」という部分は,「period」が一般に,ある一定の期間の意味に解されることからすると,ある一定の 期間の終期を指すものと解される。そして,この「theperiod」は「会計」を意味する「accounting」という単語によって修飾され,かつ,「forwhichthedistributionofprofitstakesplace」(一般に,「thedistributionofprofits」は「利得の分配」,「takeplace」は「行われる,起きる」を意味する。)という修飾も付されているところ,これを上記アの趣旨及び目 的(とりわけ,本件保有期間要件が定められた上記アの趣旨及び目的)に照らすと,上記の各修飾は最低保有期間について課税の対象とされている配当と一定の関連性を有することを示すものであると解される。そうすると,本件文言のうち「theaccountingperiodforwhichthedistributionofprofitstakesplace」とは,利得の分配(配当)が行われる会計期間を いうものと解するのが相当である。 したがって,本件文言は,その趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味としては,「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」を意味するものというべきである。 ⑷ 小括 以上によれば,本件文言は,日本の法令における当該用語の意義(ウィー ン条約31 ては,「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」を意味するものというべきである。 ⑷ 小括 以上によれば,本件文言は,日本の法令における当該用語の意義(ウィー ン条約31条1項にいう「文脈」)としては,「利得の分配に係る会計期間の終了の日」を意味するものであり,その趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味としては,「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」を意味するものであるところ,前者と後者とは実質的に同義であるということができる。そうすると,本件文言の解釈については,正文に基づき 検討した後者の表現に従い,「利得の分配(配当)が行われる会計期間の終期」と解するのが相当である。 ⑸ 被告の主張についてア被告は,①本件租税条約10条3項においては,国内法の規定内容を踏まえた配当の概念を用いるとしているところ,国内法である所得税法では 種々の配当が規定されているのであるから,本件文言についても,「利得の分配」たる種々の配当の意義を踏まえた解釈をすることが,文脈に沿った解釈になること,②通常の期末配当においては直前の事業年度の終了時の株主名簿上の株主が配当を受領することが多いところ,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,配当受領者を特定するという面で利得の 分配と関連付けられた時点,すなわち,上記にいう直前の事業年度の終了の日(基準日)をいうものと解するのが自然であり,上記のような通常の期末配当の例を踏まえてみれば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,利得の分配と関連付けられた一時点として配当受領者が特定されることとなる時点を意味するものと解されること,③分割型分割により生じ るみなし配当という所得の金額は,分割型分割が行われる直前の株主の株式の と関連付けられた一時点として配当受領者が特定されることとなる時点を意味するものと解されること,③分割型分割により生じ るみなし配当という所得の金額は,分割型分割が行われる直前の株主の株式の保有状況をもとに算定されるのであり,分割型分割が行われる直前の時点においてその受領者が特定されること,④日米租税条約等に係る交換公文において,日本については「配当の支払を受ける者が特定される日」とは「利得の分配に係る会計期間(事業年度)の終了の日」と了解される とされているところ,これは両概念を同義に捉えるという我が国の理解を 示すものであり,本件租税条約についてもかかる理解と別異に解すべき根拠はないこと等を主張し,これらによれば,本件文言は「配当受領者が特定される時点」をいうものと解すべきであり,本件のような分割型分割によるみなし配当の場合には「分割型分割の直前の日」がこれに当たる旨主張する。 イしかしながら,このような本件文言に関する被告の解釈は,上記⑴から⑷までに検討したウィーン条約31条1項に基づく解釈,すなわち,「文脈」(日本の法令における当該用語の意義)とも,その趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味とも離れたものであって,採用することができない。 とりわけ,本件文言は,「theaccountingperiod」の前に,「theendof」という,時間的連続性のある概念に結合することを前提に当該概念の終了時点を意味する用語が置かれており,このことからしても,上記「theaccountingperiod」は,時間的連続性のある概念として用いられていることが明らかである。 また,被告の解釈にいう「配当受領者が特定される時点(日)」は,源泉地国における配当課税の軽減に tingperiod」は,時間的連続性のある概念として用いられていることが明らかである。 また,被告の解釈にいう「配当受領者が特定される時点(日)」は,源泉地国における配当課税の軽減について保有期間要件を設ける場合の規定の在り方として採り得る選択肢の一つであるところ,これに相当する英文は「thedateonwhichentitlementtothedividendsisdetermined」であり(前記1⑵イ),本件文言(theendoftheaccountingperiodforwhich thedistributionofprofitstakesplace)とは異なる概念として認識されるものである。 なお,被告は,上記ア④のとおり,日米租税条約等に関する交換公文において上記の各文言が同義であることが了解されていると主張するが,これらの交換公文では,条約の定めが「配当の支払を受ける者が特定される 日」であったため,この「特定される日」が具体的にいかなる日であるか の認定を必要としていたのであって,日本においては通常の期末配当について事業年度の終了時の株主名簿上の株主が配当受領者となることが多かったことから,認定の便宜のため,日本についてのみ,「特定される日」を「利得の分配に係る会計期間の終了の日」と読み替える旨の合意をしたものと考えられ,両者が概念としては異なるものであることを前提とした 読み替えの合意であると解される。そして,本件のように条約の定めが「利得の分配に係る会計期間の終了の日」である場合は,これが具体的にいつであるかは通常は一義的に明らかであるから,これを認定の便宜等のために他の概念と読み替える必要性は認め難く,現に,本件文言について読み替 配に係る会計期間の終了の日」である場合は,これが具体的にいつであるかは通常は一義的に明らかであるから,これを認定の便宜等のために他の概念と読み替える必要性は認め難く,現に,本件文言について読み替えをする旨の条約締結国の合意や交換公文等は存在しないから,被告主 張のような読み替えをする文脈上の根拠も認められない。 そうすると,被告の上記ア④の主張はその前提を欠くものといわざるを得ず,被告の解釈は,本件文言の文理に反し,文脈としても,その趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味としても採用することができないものである。したがって,以上に説示したところから,被告の解 釈は失当というべきであるが,念のため,被告のその余の主張についても以下検討を加えることとする。 ウ被告の上記ア①から③までの主張に関し被告の上記ア①から③までの主張を併せると,次のような主張として理解することができる。すなわち,本件租税条約10条の「配当」には通常 の期末配当のみならず,みなし配当も含まれるため,本件のような分割型分割により生ずるみなし配当も同条の対象となるところ,当該みなし配当の受領者は分割型分割が行われる直前の時点において特定されることから,通常の期末配当との関係で(配当受領者の特定という面で)利得の分配と関連付けられている「利得の分配に係る事業年度の終了の日」は,本 件のような分割型分割により生ずるみなし配当の場面では配当受領者が 特定される分割型分割の直前の日と解すべきである旨をいうものと理解される。 しかしながら,そもそも,上記⑶アに説示したとおり,本件規定⒜に本件保有期間要件が設けられた趣旨は,同規定が5%の軽減税率を定めることにより課税の繰り返しを避け国際投資の促進を図ろうとする一方,その しながら,そもそも,上記⑶アに説示したとおり,本件規定⒜に本件保有期間要件が設けられた趣旨は,同規定が5%の軽減税率を定めることにより課税の繰り返しを避け国際投資の促進を図ろうとする一方,その 適用について濫用的な事例への対策を図るため,配当支払法人の株式を一時的に取得するだけでは足りず,最低保有期間においてその保有を継続することを要するとしたものであるところ,このような濫用的な事例への対策という目的を達成するためには,最低保有期間として定められる期間が当該配当と一定の関連性を有するものであれば足りるものであって,最低 保有期間における投資(株式保有)のすべてが当該配当の受領に向けられたものであること,すなわち最低保有期間のすべてが配当受領者の特定に先立つものであることまでは,必ずしも必要とされるものではないというべきである。 また,被告がその主張の根拠とする通常の期末配当と事業年度の終了の 日との関係についても,日本における会社実務の運用として,通常の期末配当について当該事業年度の終了の日を会社法124条1項の基準日として定め,同日時点の株主名簿上の株主が配当を受領するという扱いとすることが多いというだけのことであって,事業年度の終了の日とは異なる日を基準日として定めることも可能であるから,「事業年度の終了の日」 と「配当の支払を受ける者が特定される日」(基準日)とが常に一致するわけではない。したがって,通常の期末配当についても,配当受領者が特定される日が当該事業年度の終了の日より前となる事態が生じ得ることは当然に想定されるところ,本件規定⒜は,かかる場合であっても事業年度の終了の日をもって最低保有期間の終期とすることを定めたものと解 される。そうすると,分割型分割に基づくみなし配当の場合にもこれと に想定されるところ,本件規定⒜は,かかる場合であっても事業年度の終了の日をもって最低保有期間の終期とすることを定めたものと解 される。そうすると,分割型分割に基づくみなし配当の場合にもこれと別 異に解すべき理由はない。 以上によれば,被告の上記ア①から③までの主張は,その根拠を欠き,採用することができない。 なお,この点に関し,被告は,国際投資を促進するという本件租税条約の趣旨からすれば,限度税率(軽減税率)の適用対象となる配当と関連付 けられた期間に現実に株式が保有されているかが重要である旨主張する。 しかしながら,上記のとおり,濫用的な事例への対策という本件保有期間要件の趣旨からは,配当受領法人の配当支払法人に対する投資が一時的なものでなく,その投資関係が一定以上の期間継続しており,濫用的な事例に当たらないといえればよいのであるから,最低保有期間と当該配当との 関連性もこれに応じた程度のものであればその目的を達成することができ,被告が主張するような緊密な関連性がなければその目的を達成することができないものではない。このことは,現に,モデル条約2017年版においても,10条2項⒜に保有期間要件を導入するに当たり,その内容を「当該配当の支払の日を含む365日の期間」としており,最低保有期 間は配当支払日より後の期間を含むものであってもよいとしていることからも,裏付けられているものといえる。 エまた,被告は,本件規定⒜について被告の解釈によらないとすれば,分割型分割の時点では本件規定⒜の軽減税率が適用されるか否かが確定せず,当該事業年度の終了の日まで株式を保有し続けなければならないが, これは,投資に対する阻害要因となるから,国際投資の促進という本件租税条約の目的に反することとなって不合理 るか否かが確定せず,当該事業年度の終了の日まで株式を保有し続けなければならないが, これは,投資に対する阻害要因となるから,国際投資の促進という本件租税条約の目的に反することとなって不合理である旨主張する。 しかしながら,本件規定⒜が定める最低保有期間につき配当が行われた会計期間(事業年度)の終了の日に先立つ6か月間をいうものと解しても,配当受領法人が本件規定⒜の適用を受けるために株式を保有し続けなけ ればならない期間は,分割型分割が行われてから1年に満たないものであ る。かかる期間は,モデル条約2017年版の10条2項⒜において配当支払日を含む365日の期間を最低保有期間としていることと比較しても長いものとはいえず,国際投資を不当に阻害するものということはできない。 オこのほか,被告は,国税通則法において配当所得に係る源泉所得税につ いてはその支払のときに納税義務が確定し,かかる納税義務の成立と同時に税額が確定する旨定められていることからすれば,源泉徴収時に税率が確定している必要があると主張する。 しかしながら,かかる主張は,本件租税条約の解釈に当たり,ウィーン条約31条にいう「文脈」とは別に,国内法令の規定を根拠に条約の規定 を解釈しようとするものであって,条約の解釈に係る主張として失当というべきである。また,配当時において最低保有期間の終期が到来せず,この時点では未だ本件保有期間要件を満たすか否かが不明であるという場合には,源泉徴収義務を負う配当支払法人において本件規定⒜を適用しないまま源泉所得税を納付し,後に本件保有期間要件を満たすことが明らか となってから配当受領法人において還付請求をすれば足りるのであるから,上記のような場合に不合理な結果となるものでもない。 カ以 得税を納付し,後に本件保有期間要件を満たすことが明らか となってから配当受領法人において還付請求をすれば足りるのであるから,上記のような場合に不合理な結果となるものでもない。 カ以上に説示したところによれば,被告の上記主張はいずれも採用することができない(また,被告のその余の主張についても,以上の説示に照らし,採用することができない。)。 ⑹ まとめ以上によれば,本件規定⒜は,配当受領法人が,利得の分配(配当)が行われる会計期間(事業年度)の終期に先立つ6か月の期間を通じて,配当支払法人の議決権のある株式の25%以上を所有することを要件とするものである。 これを本件についてみると,本件各分割が行われた本件各子会社の事業年 度は11月1日から翌年の10月31日までであるところ,本件各分割はいずれも平成26年8月1日に行われたから,本件各分割に係る事業年度の終了の日は,同年10月31日である(前提事実⑴,⑶)。そして,原告は,同日の6か月以上前である同年4月29日から同年10月31日まで本件各子会社の全株式を保有していた(前提事実⑵)から,本件規定⒜の定める本件 保有期間要件を満たし,本件各みなし配当に係る限度税率につき5%の軽減税率の適用を受ける。 したがって,本件においては,本件請求金額に係る還付請求権を認めることができるから,その還付金及びこれに関する別紙2記載の還付加算金(還付請求は源泉徴収義務者ごとにされているため,還付加算金もそれぞれの還 付金につき計算したものとなる。)の支払を求める原告の請求は,いずれも理由がある。 第4 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判 。)の支払を求める原告の請求は,いずれも理由がある。 第4 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判官横地大輔 裁判官定森俊昌 裁判長裁判官清水知恵子は,差支えのため署名押印することができない。 裁判官横地大輔 (別紙1省略) (別紙2)還付加算金目録 平成27年5月8日から平成28年12月31日までについては年1.8%,平成29年1月1日から同年12月31日までについては年1.7%,平成30年1 月1日から令和2年12月31日までについては年1.6%,令和3年1月1日から同年12月31日までについては年1.0%,令和4年1月1日から支払決定の日又は充当の日までについては年7.3%の割合又は租税特別措置法95条に規定する還付加算金特例基準割合(ただし,平均貸付割合に0.1%未満の端数があるときは,これを切り捨て,還付加算金特例基準割合が年0.1%未満の割合である ときは,年0.1%の割合となる。)のいずれか低い割合を乗じて計算した金額(ただし,これに1円未満の端数があるときは,その端数を切り捨てる。)をそれぞれ合計したもの(ただし,これらに100円未満の端数があるときは,その端数を切り捨てる。)の総額 以上(別紙3-1) ○ 所得税法(平成二十六年法律第十号による改正前のもの) (納税義務者) 以上(別紙3-1) ○ 所得税法(平成二十六年法律第十号による改正前のもの) (納税義務者) 第五条 (略) 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。 一 第百六十一条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。 二 その引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得(第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいう。以下この条において同じ。)の支払を国内において受けるとき又は当該信託財産に帰せられる外国法人課税所得(国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。 (略) 九号から第十二号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。 (略) 外国法人は、外国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を国内において受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。 (課税所得の範囲) 第七条 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。 一 非永住者以外の居住者 すべての所得 二 非永住者 第百六十一条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(以下この条において「国内源泉所得」という。)及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの 三 非居住者 第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応じそれぞれ同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得 四 内国法人 国内において 居住者の区分に応じそれぞれ同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得 四 内国法人 国内において支払われる第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配及び賞金 五 外国法人 国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで及び第九号から第十二号までに掲げるもの(法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる外国法人については、第百六十一条第一号の二に掲げるものを除く。) (略) (配当所得) 第二十四条 配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の 資信託の受益権及び社債的受益権を含む。 次条において同じ。 )に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割(同法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。 以下この項及び次条において同じ。 )によるものを除く。 )、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるものを除く。 )、剰余金の分配(出資に係るものに限る。 )、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(出(別紙3-1) 資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(次条第一項第三号において「出資等減少分配」という。 )を除く。 )、基金利息(保険業法第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。 )並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託 支払等の制限)に規定する基金利息をいう。 )並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。 )及び特定受益証券発行信託の収益の分配(法人税法第二条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係るものを除く。 以下この条において「配当等」という。 )に係る所得をいう。 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。 ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券を取得するために要した負債の利子を除く。 以下この項において同じ。 )でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。 (配当等とみなす金額) 第二十五条 法人(法人税法第二条第六号(定義)に 額を控除した金額とする。 (配当等とみなす金額) 第二十五条 法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。 以下この項において同じ。 )の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。 一 当該法人の合併(法人課税信託 する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。 一 当該法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、法人税法第二条第十二号の八に規定する適格合併を除く。) 二 当該法人の分割型分割(法人税法第二条第十二号の十二に規定する適格分割型分割を除く。) 三 当該法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの以外のもの及び出資等減少分配をいう。)又は当該法人の解散による残余財産の分配 四 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。) 所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。 五 当該法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、当該法人の出資の払戻し、当該法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は当該法人の株式若しくは出資を当該法人が取得することなく消滅させること。 六 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。) 前項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (国内源泉所得) 第百六十一条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。 (別紙3-1) 一~四(略) 五 第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等のうち次に掲げるもの イ 内国法人から受ける第二十四条第一項に規定 第一項(配当所得)に規定する配当等のうち次に掲げるもの イ 内国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配又は基金利息 ロ 国内にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。 )又は特定受益証券発行信託の収益の分配 六~十二(略) (外国法人に係る所得税の課税標準) 第百七十八条 外国法人に対して課する所得税の課税標準は、その外国法人が支払を受けるべき第百六十一条第一号の二から第七号まで及び第九号から第十二号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その外国法人が法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第七号まで及び第九号から第十二号までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。 )の金額(第百六十九条第一号、第二号、第四号 までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。 )の金額(第百六十九条第一号、第二号、第四号及び第五号(分離課税に係る所得税の課税標準)に掲げる国内源泉所得については、これらの規定に定める金額)とする。 (外国法人に係る所得税の税率) 第百七十九条 外国法人に対して課する所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前条に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。 ) その金額(第百六十九条第二号、第四号及び第五号(分離課税に係る所得税の課税標準)に掲げる国内源泉所得については、これらの規定に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 二、三(略) (源泉徴収義務) 第二百十二条 非居住者に対し国内において第百六十一条第一号の二から第十二号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その非居住者が第百六十四条第一項第四号(国内に恒久的施設 号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その非居住者が第百六十四条第一項第四号(国内に恒久的施設を有しない非居住者)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第十二号までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。 )の支払をする者又は外国法人に対し国内において同条第一号の二から第七号まで若しくは第九号から第十二号までに掲げる国内源泉所得(その外国法人が法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものに限るものとし、第百八十条第一項(国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例)又は第百八十条の二第一項若しくは第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定に該当するもの及び政令で定めるものを除く。 )の支払をする者は、その支払の際、これ の課税の特例)の規定に該当するもの及び政令で定めるものを除く。 )の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。 (徴収税額) 第二百十三条 前条第一項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前条第一項に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。)その金額(次に掲げる国内源泉所得については、それぞれ次に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 イ 第百六十一条第八号ロ(国内源泉所得)に掲げる年金その支払われる年金の額から六万円にその支払われる年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した残額 ロ 第百六十一条第九号に掲げる賞金その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払 した残額 ロ 第百六十一条第九号に掲げる賞金 その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払の時における価額として政令で定めるところにより計算した金額)から五十万円を控除した残額 ハ 第百六十一条第十号に掲げる年金 同号に規定する契約に基づいて支払われる年金の額から当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金の額のうちその支払われる年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額 二 第百六十一条第一号の三に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額 三 第百六十一条第四号及び第十一号に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額 (略) (別紙3-2) ○ 所得税法施行令(平成二十七年政令律第百四十一号による改正前のもの) (所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等) 第六十一 る改正前のもの) (所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等) 第六十一条 (略) 法第二十五条第一項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額は、同項に規定する事由の次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める金額とする。 一 (略) 二 法第二十五条第一項第二号に掲げる分割型分割 当該分割型分割に係る分割法人の当該分割型分割の直前の分割資本金額等(当該分割型分割の直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該分割型分割の直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額が零以下である場合には零と、当該分割型分割の直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額及びロに掲げる金額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。 )を乗じて計算し ある場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。 )を乗じて計算した金額をいう。 )を当該分割法人の当該分割型分割の直前の発行済株式等の総数で除して計算した金額に同項に規定する株主等が当該分割型分割の直前に有していた当該分割法人の株式の数を乗じて計算した金額 イ 当該分割法人の前期期末時(当該分割法人の当該分割型分割の日の属する事業年度の前事業年度(当該分割型分割の日以前六月以内に法人税法第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項)又は第八十一条の二十第一項(仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項)に規定する期間についてこれらの規定に掲げる事項を記載した同法第二条第三十号に規定する中間申告書又は同条第三十一号の二に規定する連結中間申告書を提出し、かつ、その提出の日から当該分割型分割の日までの間に同条第三十一号に規定する確定申告書又は同条第三 し、かつ、その提出の日から当該分割型分割の日までの間に同条第三十一号に規定する確定申告書又は同条第三十二号に規定する連結確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書又は連結中間申告書に係るこれらの規定に規定する期間)終了の時をいう。 )の資産の帳簿価額から負債(新株予約権に係る義務を含む。 )の帳簿価額を減算した金額(当該前期期末時から当該分割型分割の直前の時までの間に資本金等の額若しくは連結個別資本金等の額又は同条第十八号に規定する利益積立金額若しくは同条第十八号の三に規定する連結個別利益積立金額(法人税法施行令第九条第一項第一号若しくは第六号(利益積立金額)又は第九条の二第一項第一号若しくは第四号(連結利益積立金額)に掲げる金額を除く。 次号イにおいて「資本金等の額等」という。 )が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額) ロ 当該 加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額) ロ 当該分割法人の当該分割型分割の直前の移転資産(当該分割型分割により当該分割法人から分割承継法人に移転した資産をいう。 )の帳簿価額から移転負債(当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転した負債をいう。 )の帳簿価額を控除した金額(当該金額がイに掲げる金額を超える場合(イに掲げる金額が零に満たない場合を除く。 )には、イに掲げる金額) 三、四(略) 法第二十五条第一項第一号に掲げる合併又は同項第二号に掲げる分割型分割に際して当該合併又は分割型分割に係る被合併法人又は分割法人の株主等に対する株式に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配として交付がされた金銭その他の資産(法人税法第二条第十二号の九(別紙3-2) イに規定する分割対価資産を除く。 )及び合併に反対する当該株主等に対する 二条第十二号の九(別紙3-2) イに規定する分割対価資産を除く。及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付がされる金銭その他の資産は、同項の金銭その他の資産に含まれないものとする。 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 適格分割 法人税法第二条第十二号の十一に規定する適格分割をいう。 二 適格現物出資 法人税法第二条第十二号の十四に規定する適格現物出資をいう。 三 分割承継法人 法人税法第二条第十二号の三に規定する分割承継法人(信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける法人課税信託に係る受託法人(法第六条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人をいう。第五号及び第六号において同じ。)を含む。)をいう。 四 被現物出資法人 法人税法第二条第十二号の五に規定する被現物出資法人をいう。 六号において同じ。)を含む。)をいう。 四 被現物出資法人 法人税法第二条第十二号の五に規定する被現物出資法人をいう。 五 被合併法人 法人税法第二条第十一号に規定する被合併法人(信託の併合に係る従前の信託である法人課税信託に係る受託法人を含む。)をいう。 六 分割法人 法人税法第二条第十二号の二に規定する分割法人(信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する法人課税信託に係る受託法人を含む。)をいう。 七 現物出資法人 法人税法第二条第十二号の四に規定する現物出資法人をいう。 八 適格分社型分割 法人税法第二条第十二号の十三に規定する適格分社型分割をいう。 第一項に規定する合併には、法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、同項に規定する分割には、法人課税信託に係る信託の分割を含むものとする。 (別紙3-3) ○ 法人税法 に規定する分割には、法人課税信託に係る信託の分割を含むものとする。 (別紙3-3) ○ 法人税法 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一~十二の八(略) 十二の九 分割型分割 次に掲げる分割をいう。 イ 分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によって交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割 ロ 分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合 割」という。 )で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割 主文 分社型分割 次に掲げる分割をいう。 イ 分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。) ロ 無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割 十二の十一 適格分割 次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産 は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。 )のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。 )をいう。 イ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割 ロ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの ( ) 当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。 ロにおいて同じ。 )に係る主 業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。 ロにおいて同じ。 )に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。 ( ) 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。 )に従事することが見込まれていること。 ( ) 当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに(別紙3-3) 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見 3) 当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。において引き続き行われることが見込まれていること。 ハ その分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの ニ その分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの 十二の十二 適格分割型分割 分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。 十二の十三 適格分社型分割 分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。 十二の十四~十二の十八(略) 十二の 適格分社型分割 分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。 十二の十四~十二の十八(略) 十二の十九 恒久的施設 次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。 イ 外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの ロ 外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの ハ 外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの 十三~四十四(略) (事業年度の意義) 第十三条 この法律において「事業年度」とは 令で定めるもの 十三~四十四(略) (事業年度の意義) 第十三条 この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。 )で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。 )に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。 ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。 法令及び定款等に会計期間の定めがない法人は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める日以後二月以内に、会計期 会計期間の定めがない法人は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める日以後二月以内に、会計期間を定めてこれを納税地の所轄税務署長に届け出なければならない。 一 内国法人 設立の日(公益法人等又は人格のない社団等については収益事業を開始した日とし、公益法人等(収益事業を行つていないものに限る。 )に該当していた普通法人又は協同組合等については当該普通法人又は協同組合等に該当することとなつた日とする。 ) 二 外国法人 恒久的施設を有する外国法人になつた日又は恒久的施設を有しないで第百三十八条第一項第四号(国内源泉所得)に規定する事業を国内において開始し、若しくは第百四十一条第二号(課税標準)に定める国内源泉所得で同項第四号に掲げる対価以外のものを有することとなつた日(人格のない社団等については、同条各号に掲げる外(別紙3-3) 国法人の区分に応じ当該各号に定める国内源泉所得のうち収益事業から ては、同条各号に掲げる外(別紙3-3) 国法人の区分に応じ当該各号に定める国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなつた日) 前項の規定による届出をすべき法人(人格のない社団等を除く。 )がその届出をしない場合には、納税地の所轄税務署長は、その会計期間を指定し、当該法人に対し、書面によりその旨を通知する。 第二項の規定による届出をすべき人格のない社団等がその届出をしない場合には、その人格のない社団等の会計期間は、その年の一月一日(同項第一号に規定する収益事業を開始した日又は同項第二号に規定する国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなつた日の属する年については、これらの日)から十二月三十一日までの期間とする。 (みなし事業年度) 第十四条 次の各号に規定する法人(第五号から第七号までにあつてはこれらの規定に規定する他の内国法人とし、第八号、第十二号、第十三号 人(第五号から第七号までにあつてはこれらの規定に規定する他の内国法人とし、第八号、第十二号、第十三号及び第十五号にあつてはこれらの規定に規定する連結子法人とし、第十一号及び第十六号にあつてはこれらの規定に規定する連結法人とし、第十四号にあつては同号に規定する連結親法人とする。)が当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間をそれぞれ当該法人の事業年度とみなす。 一 内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をした場合、その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日までの期間 二 法人が事業年度の中途において合併により解散した場合(第十号に掲げる場合を除く。)その事業年度開始の日から合併の日の前日までの期間 三~二十五(略) (略) (別紙3-4) その事業年度開始の日から合併の日の前日までの期間 三~二十五(略) (略) (別紙3-4) ○ 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成二十五年法律第五号による改正前のもの) (法人に係る復興特別所得税の税率) 第二十七条 法人に対して課する復興特別所得税の額は、その法人の基準所得税額に百分の二・一の税率を乗じて計算した金額とする。 (源泉徴収義務等) 第二十八条 所得税法第四編第一章から第六章まで並びに租税特別措置法第三条の三第三項、第六条第二項(同条第十一項において準用する場合を含む。 )、第八条の三第三項、第九条の二第二項、第九条の三の二第一項、第九条の六第四項、第三十七条の十一の四第一項、第四十一条の九第三項、第四十一条の十二第三項及び第四十二条第一項の規定により所得税を徴収して納付すべき者は、その徴収(平成二十五年一 の十二第三項及び第四十二条第一項の規定により所得税を徴収して納付すべき者は、その徴収(平成二十五年一月一日から平成四十九年十二月三十一日までの間に行うべきものに限る。)の際、復興特別所得税を併せて徴収し、当該所得税の法定納期限(国税通則法第二条第八号に規定する法定納期限をいう。第三十条第一項において同じ。)までに、当該復興特別所得税を当該所得税に併せて国に納付しなければならない。 ~ (略) 第三十三条(略) (略) 第一項に定めるもののほか、復興特別所得税に係る租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(以下この条及び第六十三条において「租税条約等実施特例法」という。)の規定の適用については、次に定めるところによる。 一 次に掲げる配当等(租税条約等実施特例法第三条の二第一項に規定する配当等をいう。以下この項において同じ。)のうち、限度税率(租税条税 実施特例法第三条の二第一項に規定する配当等をいう。 以下この項において同じ。 )のうち、限度税率(租税条約等実施特例法第二条第五号に規定する限度税率をいう。 以下この号において同じ。 )を定める租税条約(租税条約等実施特例法第二条第一号に規定する租税条約をいう。 以下この号において同じ。 )の規定の適用があるものであって当該配当等につきそれぞれ適用される限度税率(ホに掲げる配当等につきそれぞれ適用される限度税率が租税条約等実施特例法第三条の二第九項に規定する住民税をも含めて規定されている場合には、同項に規定する控除後限度税率とする。 第三号において「適用限度税率」という。 )が租税条約等実施特例法第三条の二第一項、第三項、第五項、第七項若しくは第九項に規定する所得税法及び租税特別措置法の規定に規定する税率以下であるもの(以下この項において「限度税率適用配当等」という。 )又は所得税及び当該所得税に係る復興特 下であるもの(以下この項において「限度税率適用配当等」という。)又は所得税及び当該所得税に係る復興特別所得税の免除を定める租税条約の規定の適用があるもの(以下この項において「免除適用配当等」という。)については、第九条及び第二十六条から第二十八条までの規定(ニに掲げる配当等に係るもの及び居住者が支払を受けるホに掲げる配当等に係るものについては、同条の規定)は、適用しない。 イ 租税条約等実施特例法第三条の二第一項に規定する相手国居住者等配当等 ロ~ホ(略) 二、三(略) ~ (略) (別紙3-5) ○ 国税通則法(平成二十七年法律第九号による改正前のもの) (納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定) 第十五条 国税を納付する義務(源泉徴収による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべ る義務。以下「納税義務」という。が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。 納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十二号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。 一 所得税(次号に掲げるものを除く。) 暦年の終了の時 二 源泉徴収による所得税 利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時 三 法人税及び地方法人税 事業年度(連結所得に対する法人税については、連結事業年度)の終了の時 四~十四(略) 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。 一 所得 の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。 一 所得税法第二編第五章第一節(予定納税)(同法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。 )の規定により納付すべき所得税(以下「予定納税に係る所得税」という。 ) 二 源泉徴収による国税 三~六 (略) (還付加算金) 第五十八条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金等を還付し、又は充当する場合には、次の各号に掲げる還付金等の区分に従い当該各号に定める日の翌日からその還付のための支払決定の日又はその充当の日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)の日数に応じ、その金額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。 )をその還付し、 その金額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)をその還付し、又は充当すべき金額に加算しなければならない。 主文 還付金及び次に掲げる過納金 当該還付金又は過納金に係る国税の納付があった日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限) イ 更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は賦課決定(以下「更正決定等」という。)により納付すべき税額が確定した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金(次号に掲げるものを除く。) ロ 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税で納税の告知があったもの(当該国税に係る延滞税を含む。)に係る過納金 ハ イ又はロに掲げる過納金に類する国税に係る過納金として政令で定めるもの 二 更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについて て政令で定めるもの 二 更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含む。)により納付すべき税額が減少した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金 その更正の請求があった日の翌日から起算して三月を経過する日と当該更正があった日の翌日から起算して一月を経過する日とのいずれか早い日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限) (別紙3-5) 三 前二号に掲げる過納金以外の国税に係る過誤納金 その過誤納となった日として政令で定める日の翌日から起算して一月を経過する日 ~ (略) (還付金等の端数計算等) 第百二十条 還付金等の額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てる。 還付金等の額が一円未満であるときは、その額を一円として計算する。 還付加算金の確定金額に百円未満の端数が の額が一円未満であるときは、その額を一円として計算する。 還付加算金の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。 還付加算金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる還付金等の額に一万円未満の端数があるとき、又はその還付金等の額の全額が一万円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。 (別紙3-6) ○ 租税特別措置法(令和二年法律第八号による改正前のもの) (利子税の割合の特例) 第九十三条 次の各号に掲げる規定に規定する利子税の年七・三パーセントの割合は、当該各号に掲げる規定にかかわらず、各年の特例基準割合が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合とする。 一 所得税法第百三十一条第三項、第百三十六条第一項各号、第百三十七条の二第十二項及び第百 合とする。 主文 所得税法第百三十一条第三項、第百三十六条第一項各号、第百三十七条の二第十二項及び第百三十七条の三第十四項(これらの規定を同法第百六十六条において準用する場合を含む。) 理由 法人税法第七十五条第七項(同法第七十五条の二第八項及び第十項(同法第百四十四条の八において準用する場合を含む。)において準用する場合、同法第八十一条の二十三第二項並びに第八十一条の二十四第三項及び第六項において準用する場合並びに同法第百四十四条の七において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)及び地方法人税法第十九条第五項において準用する法人税法第七十五条第七項 事実 相続税法第五十一条の二第一項第二号、第五十二条第四項並びに第五十三条第一項、第四項第一号及び第二号イ、第六項並びに第七項 争点 消費税法第四十五条の二第五項 判断 第七十条の七の二第十四項第十号ロ(第七十条の七の四第十一項において準用する) 第四十五条の二第五項 五 第七十条の七の二第十四項第十号ロ(第七十条の七の四第十一項において準用する場合を含む。) 前項に規定する特例基準割合とは、各年の前々年の十月から前年の九月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を十二で除して計算した割合(当該割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として各年の前年の十二月十五日までに財務大臣が告示する割合に、年一パーセントの割合を加算した割合をいう。 ~ (略) (還付加算金の割合の特例) 第九十五条 各年の特例基準割合が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、国税通則法第五十八条第一項に規定する還付加算金(以下この条及び次条において「還付加算金」という。)の計算の基礎となる期間であってその年に含まれる 金(以下この条及び次条において「還付加算金」という。)の計算の基礎となる期間であってその年に含まれる期間に対応する還付加算金についての同項の規定の適用については、同項中「年七・三パーセントの割合」とあるのは、「租税特別措置法第九十三条第二項(利子税の割合の特例)に規定する特例基準割合」とする。 (利子税等の額の計算) 第九十六条 前三条のいずれかの規定の適用がある場合における利子税等(利子税、延滞税及び還付加算金をいう。)の額の計算において、その計算の過程における金額に一円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てる。 (別紙3-7) ○ 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(平成二十五年法律第五号による改正前のもの) (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 租税条約 我が国が締結した所得 て、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 租税条約 我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約をいう。 二 租税条約等 租税条約及び租税相互行政支援協定(租税条約以外の我が国が締結した国際約束で、租税の賦課若しくは徴収に関する情報を相互に提供すること、租税の徴収の共助若しくは徴収のための財産の保全の共助をすること又は租税に関する文書の送達の共助をすることを定める規定を有するものをいう。)をいう。 三 相手国等 租税条約等の我が国以外の締約国又は締約者をいう。 四 相手国居住者等 所得税法第二条第一項第五号に規定する非居住者(以下「非居住者」という。)又は同項第七号に規定する外国法人(同項第八号に規定する人格のない社団等(以下「人格のない社団等」という。)を含む。以下「外国法人」という。)で、租税条約の規定により当該租税条約の 人格のない社団等」という。 )を含む。 以下「外国法人」という。 )で、租税条約の規定により当該租税条約の相手国等の居住者又は法人とされるものをいう。 五 限度税率 租税条約において相手国居住者等に対する課税につき一定の税率又は一定の割合で計算した金額を超えないものとしている場合におけるその一定の税率又は一定の割合をいう。 (配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等) 第三条の二 相手国居住者等が支払を受ける配当等(租税条約に規定する配当、利子若しくは使用料(当該租税条約においてこれらに準ずる取扱いを受けるものを含む。 )又はその他の所得で、所得税法の施行地にその源泉があるものをいう。 以下同じ。 )のうち、当該相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定において、当該相手国等においてその法令に基づき当該相手国居住者等の所得として取り扱われるものとされるもの(次項において「相手国居住者 の法令に基づき当該相手国居住者等の所得として取り扱われるものとされるもの(次項において「相手国居住者等配当等」という。 )であつて限度税率を定める当該租税条約の規定の適用があるものに対する同法第百七十条、第百七十九条若しくは第二百十三条第一項又は租税特別措置法第三条第一項、第八条の二第一項、第三項若しくは第四項、第九条の三、第九条の三の二第一項、第九条の六第二項から第四項まで、第四十一条の九第一項から第三項まで、第四十一条の十第一項若しくは第四十一条の十二第一項若しくは第二項の規定の適用については、当該限度税率が当該配当等に適用されるこれらの規定に規定する税率以上である場合を除き、これらの規定に規定する税率に代えて、当該租税条約の規定により当該配当等につきそれぞれ適用される限度税率によるものとする。 ~ (略) (還付加算金等) 第十五条 次の各号に掲げる国税の還付金又は過誤納金(以下 する。 ~ (略) (還付加算金等) 第十五条 次の各号に掲げる国税の還付金又は過誤納金(以下「還付金等」という。 )について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項の期間は、当該還付金等の区分に応じ当該各号に掲げる日の翌日からその還付のため支払決定をする日又は当該還付金等につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。 一、二(略) 三 租税条約の規定に基づき所得税の軽減又は免除を受ける者が第一条(別紙3-7) の二第一項、第二条第一項、第二条の二第一項、第四条第一項から第四項まで若しくは第十一項、第五条第一項、第六条第一項、第七条第一項、第八条第一項若しくは第二項、第九条第一項、第九条の五第一項又は第九条の六第一項若しくは第十三項の規定による届出書を提出しないことにより、その 、第九条の五第一項又は第九条の六第一項若しくは第十三項の規定による届出書を提出しないことにより、その軽減又は免除を受けるべき所得につき所得税法第四編第一章から第五章まで又は租税特別措置法第九条の三の二第一項、第九条の六第四項若しくは第四十一条の九第三項の規定により徴収された所得税がある場合におけるその徴収された所得税に相当する国税の還付金 当該還付金に係る還付の請求があつた日の翌日から起算して一月を経過する日 四~七(略) ~ (略) (別紙3-8) ○ 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(平成二十五年省令第二号による改正前のもの) (相手国居住者等配当等に係る所得税の軽減又は免除を受ける者の届出等) 第二条 相手国居住者等は、その支払を受ける法第三条の二第一項に規定する相手国居住者等配当等(以下この条において「相手国居住者等配当等 払を受ける法第三条の二第一項に規定する相手国居住者等配当等(以下この条において「相手国居住者等配当等」という。 )につき所得税法第二百十二条第一項若しくは第二項又は租税特別措置法第九条の三の二第一項、第九条の六第四項若しくは第四十一条の九第三項の規定により徴収されるべき所得税について当該相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定に基づき軽減又は免除を受けようとする場合には、当該相手国居住者等配当等に係る源泉徴収義務者ごとに、次の各号に掲げる事項を記載した届出書を、当該租税条約の効力発生の日以後最初にその支払を受ける日の前日まで(その支払を受ける相手国居住者等配当等が無記名の株式、出資若しくは受益証券に係るもの又は無記名の債券に係るもの(次項において「無記名配当等」という。 )である場合にあつては、その支払を受ける都度、当該支払を受ける時)に、当該源泉徴収義務者を経由して、当該源泉徴収義 あつては、その支払を受ける都度、当該支払を受ける時)に、当該源泉徴収義務者を経由して、当該源泉徴収義務者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 一 当該相手国居住者等配当等の支払を受ける者の氏名、国籍及び住所若しくは居所又は名称、本店若しくは主たる事務所の所在地及びその事業が管理され、かつ、支配されている場所の所在地 二 当該相手国居住者等配当等の支払を受ける者の当該相手国居住者等配当等に係る当該相手国等における納税地及び当該支払を受ける者が当該相手国等において納税者番号を有する場合には、当該納税者番号 三 当該相手国居住者等配当等につき当該租税条約の規定に基づき租税の軽減又は免除を受けることができる事情の詳細 四 当該相手国居住者等配当等の支払者の氏名及び住所若しくは居所又は名称及び本店若しくは主たる事務所の所在地 五 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる事項 イ 当 及び本店若しくは主たる事務所の所在地 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる事項 イ 当該相手国居住者等配当等である配当(租税条約に規定する配当(当該租税条約においてこれに準ずる取扱いを受けるものを含む。)で、国内にその源泉があるものをいう。以下第二条の五までにおいて同じ。)の支払を受ける場合 当該配当に係る株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項に規定する投資口を含む。以下第二条の五までにおいて同じ。)、出資、基金又は受益権の銘柄又は名称、種類及び数量並びにその取得の日 ロ 当該相手国居住者等配当等である利子(租税条約に規定する利子(当該租税条約においてこれに準ずる取扱いを受けるものを含む。)で、国内にその源泉があるものをいう。以下第二条の五までにおいて同じ。)で債券に係るものの支払を受ける場合 当該債券の種類、名称、額面金額及び数 二条の五までにおいて同じ。 主文 )で債券に係るものの支払を受ける場合当該債券の種類、名称、額面金額及び数量並びにその取得の日 ハ 当該相手国居住者等配当等である利子で債券に係るもの以外のものの支払を受ける場合当該利子の支払の基因となった契約の締結の日、契約金額及び契約期間並びに当該契約期間において支払われる当該利子の金額及びその支払期日 ニ 当該相手国居住者等配当等である使用料(租税条約に規定する使用料(当該租税条約においてこれに準ずる取扱いを受けるものを含む。)で、国内にその源泉があるものをいう。以下第二条の五までにおいて同じ。)の支払を受ける場合当該使用料の支払の基因となった契約の締結の日及び契約期間並びに当該契約期間において支払われる当該使用料の金額及びその支払期日 (別紙3-8) ホ 当該相手国居住者等配当等であるその他の所得(租税条約に規定するその他の所得で、国内にその源泉があるものをいう。 当該相手国居住者等配当等であるその他の所得(租税条約に規定するその他の所得で、国内にその源泉があるものをいう。 以下第二条の五までにおいて同じ。 )の支払を受ける場合 当該その他の所得の種類、金額、支払方法、支払期日及び支払の基因となつた契約の内容 六 当該相手国居住者等配当等の支払を受ける者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしている場合には、当該納税管理人の氏名及び住所又は居所 七 その他参考となるべき事項 ~ (略) 相手国居住者等は、所得税法第二百十二条第一項若しくは第二項又は租税特別措置法第九条の三の二第一項、第九条の六第四項若しくは第四十一条の九第三項の規定(以下この項において「相手国居住者等の相手国居住者等配当等に関する規定」という。 )の適用がある相手国居住者等配当等の支払を受けた場合において、第一項に規定する租税条約の規定の適用を受けなかつたことによ 居住者等配当等の支払を受けた場合において、第一項に規定する租税条約の規定の適用を受けなかつたことにより当該相手国居住者等配当等につき相手国居住者等の相手国居住者等配当等に関する規定により徴収された所得税について、当該租税条約の規定に基づき軽減又は免除を受けようとするときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の還付を請求することができる。 一 租税条約の規定により当該相手国居住者等配当等について所得税が軽減される場合 当該相手国居住者等配当等に対する源泉徴収による所得税の額から当該相手国居住者等配当等の額に当該相手国居住者等配当等に対して適用される法第三条の二第一項に規定する限度税率を乗じて計算した金額を控除した残額に相当する金額 二 租税条約の規定により当該相手国居住者等配当等について所得税が免除される場合 当該相手国居住者等配当等に対する源泉徴収による所得税の額 前 当等について所得税が免除される場合 当該相手国居住者等配当等に対する源泉徴収による所得税の額 前項の規定による所得税の還付の請求をしようとする者は、第一項各号に掲げる事項並びにその還付を受けようとする所得税の額及びその計算に関して必要な事項を記載した還付請求書(第五項に規定する場合に該当するときは同項の規定による書類の添付があるものに限るものとし、第六項又は第七項に規定する場合に該当するときはこれらの規定による書類及び居住者証明書の添付があるものに限る。 )を、当該所得税に係る源泉徴収義務者を経由して、当該源泉徴収義務者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 ~ (略) (別紙3-9) ○ 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルク大公国との間の条約 日本国政府及びルクセンブルク大公国政府は、所得に対する租 日本国とルクセンブルク大公国との間の条約 日本国政府及びルクセンブルク大公国政府は、所得に対する租税及びある種の他の租税に関し、二重課税を回避し及び脱税を防止するための条約を締結することを希望して、次のとおり協定した。 第一条 この条約は、一方又は双方の締約国の居住者である者に適用する。 第二条 (略) この条約は、に掲げる租税に加えて又はこれに代わってこの条約の署名の日の後に課される租税であってに掲げる租税と同一であるもの又は実質的に類似するもの(国税であるか地方税であるかを問わない。)についても、適用する。両締約国の権限のある当局は、それぞれの国の税法について行われた実質的な改正を、その改正後の妥当な期間内に、相互に通知する。 第三条 この条約の適用上、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、(a)「ルクセンブルク」とは、ルクセンブルク大公国をいい、また、地理 に解釈すべき場合を除くほか、 主文 「ルクセンブルク」とは、ルクセンブルク大公国をいい、また、地理的意味で用いる場合には、ルクセンブルク大公国の領域をいう。 理由 「日本国」とは、地理的意味で用いる場合には、日本国の租税に関する法令が施行されているすべての領域(領海を含む。)及びその領域の外側に位置する水域で日本国が国際法に基づき管轄権を有し日本国の租税に関する法令が施行されているすべての水域(海底及びその下を含む。)をいう。 事実 「一方の締約国」及び「他方の締約国」とは、文脈により、日本国又はルクセンブルクをいう。 争点 「租税」とは、文脈により、日本国の租税又はルクセンブルクの租税をいう。 判断 「者」には、個人、法人及び法人以外の団体を含む。 「法人」とは、法人格を有する団体又は租税に関し法人格を有する団体として取り扱われる団体をいう。 「一方の締約国の企 有する団体又は租税に関し法人格を有する団体として取り扱われる団体をいう。 (g) 「一方の締約国の企業」及び「他方の締約国の企業」とは、それぞれ一方の締約国の居住者が営む企業及び他方の締約国の居住者が営む企業をいう。 (h) 「国民」とは、いずれか一方の締約国の国籍を有するすべての個人並びにいずれか一方の締約国の法令に基づいて設立され又は組織されたすべての法人及び法人格を有しないがいずれか一方の締約国の租税に関し当該一方の締約国の法令に基づいて設立され又は組織された法人として取り扱われるすべての団体をいう。 (i) 「国際運輸」とは、一方の締約国の企業が運用する船舶又は航空機による運送(他方の締約国内の地点の間においてのみ運用される船舶又は航空機による運送を除く。 )をいう。 (j) 「権限のある当局」とは、 (i) ルクセンブルクについては、大蔵大臣又は権限を与えられたその代理者をいう。 ある当局」とは、 ルクセンブルクについては、大蔵大臣又は権限を与えられたその代理者をいう。 日本国については、大蔵大臣又は権限を与えられたその代理者をいう。 一方の締約国によるこの条約の適用上、この条約において定義されていない用語は、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、この条約の適用を受ける租税に関する当該一方の締約国の法令における当該用語の意義を有するものとする。 第四条 この条約の適用上、「一方の締約国の居住者」とは、当該一方の締約国の法令の下において、住所、居所、本店又は主たる事務所の所在地その他これらに類する基準により当該一方の締約国において課税を受けるべきものとされる者をいう。 第五条 この条約の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう。 」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう。 ~ (略) 第十条 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。 の配当に対しては、これを支払う法人が居住者とされる締約国においても、当該締約国の法令に従って租税を課することができる。 その租税の額は、当該配当の受領者が当該配当の受益者である場合には、次の額を超えないものとする。 (a) 当該配当の受益者が、利得の分配に係る事業年度の終了の日に先立つ六箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の少なくとも二十五パーセントを所有する法人である場合には、当該配当の額の五パーセント (b) その他のすべての場合には、当該配当の額の十五パーセント この の規定は、当該配当を支払う法人のその配当に充てられ ての場合には、当該配当の額の十五パーセント この の規定は、当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。 この条において、「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。 )から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住者とされる締約国の税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう。 及び の規定は、一方の締約国の居住者である配当の受益者が、当該配当を支払う法人が居住者とされる他方の締約国において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行い又は当該他方の締約国において当該他方の締約国内にある固定的施設を通じて独立の人的役務を提供する場合において、当該配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該恒久的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。 こ その他の持分が当該恒久的施設又は当該固定的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。 この場合には、第七条又は第十四条の規定を適用する。 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国から利得又は所得を取得する場合には、当該他方の締約国は、当該法人の支払う配当及び当該法人の留保所得については、これらの配当及び留保所得の全部又は一部が当該他方の締約国内において生じた利得又は所得から成るときにおいても、当該配当(当該他方の締約国の居住者に支払われる配当及び配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該他方の締約国内にある恒久的施設又は固定的施設と実質的な関連を有するものである場合の配当を除く。 )に対していかなる租税も課することができず、また、当該留保所得に対して租税を課することができない。 第二十一条 一方の締約国内にある大学、学校その他の公認された教育機関におい(別紙3-9) きない。 第二十一条 一方の締約国内にある大学、学校その他の公認された教育機関におい(別紙3-9) て教育又は研究を行うため当該一方の締約国を訪れ、二年を超えない期間滞在する個人であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又は訪れる直前に他方の締約国の居住者であったものは、その教育又は研究に係る報酬でその者が当該他方の締約国において租税を課されるものにつき、当該一方の締約国において租税を免除される。 (略) 第二十四条 ルクセンブルクにおいては、二重課税は、次のとおり除去される。 (a) ルクセンブルクの居住者がこの条約の規定に従って日本国において租税を課される所得を取得し又は日本国に存在する財産で日本国において租税を課されるものを所有する場合には、ルクセンブルクは、(b)及び(c)の規定が適用される場合を除くほか、当該所得又は当該財産について租税を免除する。 (b) ルクセンブ )の規定が適用される場合を除くほか、当該所得又は当該財産について租税を免除する。 (b) ルクセンブルクの居住者が第十条から第十二条まで、第十三条 及び第二十二条 の規定に従って日本国において租税を課される所得を取得する場合には、ルクセンブルクは、日本国において納付される租税の額を当該居住者の所得に対する租税の額から控除する。 ただし、控除の額は、その控除が行われる前に算定された租税の額のうち、日本国において取得される所得に対応する部分を超えないものとする。 (c) ルクセンブルクの居住者が取得する所得又は所有する財産についてこの条約の規定に従ってルクセンブルクにおいて租税が免除される場合には、ルクセンブルクは、当該居住者の残余の所得又は財産に対する租税の額の算定に当たっては、その免除された所得又は財産を考慮に入れることができる。 日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控 得又は財産を考慮に入れることができる。 日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令に従い、 (a) 日本国の居住者がこの条約の規定に従ってルクセンブルクにおいて租税を課される所得をルクセンブルクにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるルクセンブルクの租税の額は、当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する。 ただし、控除の額は、日本国の租税の額のうち当該所得に対応する部分を超えないものとする。 (b) ルクセンブルクにおいて取得される所得が、ルクセンブルクの居住者である法人によりその議決権のある株式又はその発行済株式の少なくとも二十五パーセントを所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配当である場合には、日本国の租税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるルクセンブルクの租税 税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるルクセンブルクの租税を考慮に入れるものとする。 (別紙3-10) ○ 条約法に関するウィーン条約 第三十一条 解釈に関する一般的な規則 条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。条約の解釈上、文脈というときは、条約文(前文及び附属書を含む。)のほかに、次のものを含める。 (a)条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意 (b)条約の締結に関連して当事国の一又は二以上が作成した文書であってこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの 文脈とともに、次のものを考慮する。 (a)条約の解釈又は適用につき当事国の間で後にされた合意 (b)条約の適用につき後に生じた慣行であって、条約の解釈についての つき当事国の間で後にされた合意 (b) 条約の適用につき後に生じた慣行であって、条約の解釈についての当事国の合意を確立するもの (c) 当事国の間の関係において適用される国際法の関連規則 用語は、当事国がこれに特別の意味を与えることを意図していたと認められる場合には、当該特別の意味を有する。 第三十二条 解釈の補足的な手段 前条の規定の適用により得られた意味を確認するため又は次の場合における意味を決定するため、解釈の補足的な手段、特に条約の準備作業及び条約の締結の際の事情に依拠することができる。 (a) 前条の規定による解釈によっては意味があいまい又は不明確である場合 (b) 前条の規定による解釈により明らかに常識に反した又は不合理な結果がもたらされる場合 第三十三条 二以上の言語により確定がされた条約の解釈 条約について二以上の言語により確定がされた場合には、それぞれの言語に より確定がされた条約の解釈 条約について二以上の言語により確定がされた場合には、それぞれの言語による条約文がひとしく権威を有する。 ただし、相違があるときは特定の言語による条約文によることを条約が定めている場合又はこのことについて当事国が合意する場合は、この限りでない。 条約文の確定に係る言語以外の言語による条約文は、条約に定めがある場合又は当事国が合意する場合にのみ、正文とみなされる。 条約の用語は、各正文において同一の意味を有すると推定される。 の規定に従い特定の言語による条約文による場合を除くほか、各正文の比較により、第三十一条及び前条の規定を適用しても解消されない意味の相違があることが明らかとなつた場合には、条約の趣旨及び目的を考慮した上、すべての正文について最大の調和が図られる意味を採用する。 (別紙4)当事者の主張の要旨 (原告の主張の要旨) 1 本件規定⒜における「利得の分配に係る事業年度の 和が図られる意味を採用する。 (別紙4)当事者の主張の要旨 (原告の主張の要旨) 1 本件規定⒜における「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という文言(本件 文言)については,「配当を支払う法人がその配当の原資である所得を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する会計期間の末日」をいうものと解すべきであり(以下「原告の解釈」という。),「配当の受領者が特定される時点」をいうとする被告の解釈(以下「被告の解釈」という。)は誤りである。その理由は以下のとおりである。 2 原告の解釈の根拠⑴ ウィーン条約31条1項は,条約は,文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い,誠実に解釈するものとすると定めており,本件規定⒜については同項を踏まえて解釈されなければならない。同項にいう「文脈」とは,条約文や条約の関係合意等である(同条2項)。 ⑵ 用語の通常の意味本件文言の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という用語の通常の意味については,「利得」,「分配」,「事業年度」という各用語の意味及びこれらの相互関係を踏まえて確定させる必要がある。 「利得」とは,法人の利益のことである。株式会社等は,通常,存続期間を定 めないで永続的に事業を行うことを前提とするため,株主等に対する利益の「分配」を行うためには,存続期間を一定の期間ごとに区切り,発生主義,費用収益対応の原則等を含む一般に公正妥当と認められる会計処理の基準を適用して,利益を計算する必要がある。かかる利益計算の対象となる一定の期間が「事業年度」であり,「事業年度」を単位に計算された法人の利益に対して法人税が課される。 以上によれば,「利得 を適用して,利益を計算する必要がある。かかる利益計算の対象となる一定の期間が「事業年度」であり,「事業年度」を単位に計算された法人の利益に対して法人税が課される。 以上によれば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という用語の通常の 意味は,「配当を支払う法人がその配当の原資である所得を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する会計期間の末日」であると解される。 ⑶ 文脈ウィーン条約31条2項によれば,「文脈」には条約文が含まれるところ,本件租税条約3条2項は「一方の締約国によるこの条約の適用上,この条約におい て定義されていない用語は,文脈により別に解釈すべき場合を除くほか,この条約の適用を受ける租税に関する当該一方の締約国の法令における当該用語の意義を有するものとする。」と定めている。したがって,本件規定⒜を解釈する際の「文脈」は同項である。 本件租税条約3条2項によれば,同条約で定義されていない「事業年度」は, 我が国の租税に関する国内法令である法人税法13条1項が定める「事業年度」の定義と同義ということになる。同項は,「事業年度」とは,法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で,法令で定めるもの又は法人の定款,寄附行為,規則,規約その他これらに準ずるものに定めるものである旨定めている。また,同法14条1項は,同項各号の事由(解散や合併等)に該当するとき, 同法13条1項とは異なる期間を事業年度とみなす旨規定している(以下「みなし事業年度」という。)が,内国法人が事業年度の中途において分割型分割を行った場合に関するみなし事業年度の規定はない。そして,各事業年度の所得金額計算の通則を定めた同法22条は,同法13条の定める事業年度だけでなく,同法14条の定 が事業年度の中途において分割型分割を行った場合に関するみなし事業年度の規定はない。そして,各事業年度の所得金額計算の通則を定めた同法22条は,同法13条の定める事業年度だけでなく,同法14条の定めるみなし事業年度についても適用がある。 法人税法の上記各規定によれば,みなし事業年度を含む「事業年度」について,国内の租税に関する法令上の意味は,「所得を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する会計期間」のことであると解される。そうすると,原告主張に係る用語の通常の意味は,「文脈」としての法人税法の規定に照らしても,妥当な解釈であるということができる。 ⑷ 趣旨・目的 ア 「利得の分配に係る事業年度の終了の日」の意義を検討するに当たっては,①本件租税条約10条2項が配当に対して限度税率(5%又は15%)を規定した趣旨,②本件規定⒜が,一定の持株比率以上の株式等を保有する場合に本件規定⒝よりも軽い限度税率を定めた趣旨,③本件規定⒜の適用を受けるために本件保有期間要件が定められた趣旨を考慮する必要がある。 イ上記ア①の趣旨(本件租税条約10条2項が源泉地国の配当に対する源泉税率に制限を設けた趣旨)は,源泉地国での課税の繰り返しの防止・緩和である。 すなわち,源泉地国は,配当の原資である配当支払法人の利得・所得に対して既に課税していることから,その利得の分配である配当に対して重ねて課税するという課税の繰り返しが生じること(以下「経済的二重課税」ということが ある。)を考慮して,配当に対する源泉地国による課税を一定限度に制限したものである。この点については,経済協力開発機構(以下「OECD」という。)が定める「所得と財産に対するモデル租税条約」(以下「モデル条約」という。 なお,モデル 泉地国による課税を一定限度に制限したものである。この点については,経済協力開発機構(以下「OECD」という。)が定める「所得と財産に対するモデル租税条約」(以下「モデル条約」という。 なお,モデル条約は数次の改訂を経ていることから,特定の版を指すときは「モデル条約・・年版」のように表記する。)の注釈として発行しているコメンタ リー(以下「コメンタリー」という。)のパラグラフ9において,モデル条約10条2項の限度税率を超える税率は,「源泉地国が既に当該法人の利得に課税し得ているために,およそ正当化し得ない」と記載されていることからも明らかである。 この点,被告は,本件租税条約10条2項が源泉税率を制限する趣旨は国際 的な二重課税(法的二重課税)の除去である旨主張する。しかしながら,本件租税条約自体の主たる目的が法的二重課税の除去にあるとしても,同条約10条は,1項において,配当の支払を受ける者の居住地国(相手国)にも配当に対する課税(以下「配当課税」という。)を認めているから,同条は,国際的な二重課税の排除を目的とする規定ではない。かかる二重課税の排除は,同条 約24条において実現されるものである。被告の上記主張は,本件租税条約全 体の趣旨と同条約10条の趣旨とを混同するものである。 ウ次に,上記ア②の趣旨(本件規定⒜が,一定の持株比率以上の株式等を保有する場合に本件規定⒝よりも軽い限度税率を定めた趣旨)は,課税の繰り返し(源泉地国における所得課税と配当課税の重複)を避け,国際投資を促進するためである。この点については,モデル条約10条のコメンタリーのパラグラ フ10において,「課税の繰り返しを避けるため,また,国際投資の促進のために,当該子会社から当該外国親会社への利得の支払に対してはより軽減さ については,モデル条約10条のコメンタリーのパラグラ フ10において,「課税の繰り返しを避けるため,また,国際投資の促進のために,当該子会社から当該外国親会社への利得の支払に対してはより軽減された課税を行うべきとされることは,合理的である」と記載されており,同パラグラフ9と併せて読めば,上記の趣旨であることが明らかである。 配当支払法人の所在国(源泉地国)において,配当支払法人の株式等を一定 の持株比率以上保有することによって事業活動を行う配当受領法人は,配当支払法人の所在国で経済的二重課税があると,当該所在国への投資をちゅうちょすることになる。そこで,国際投資促進の観点からすれば,配当支払法人の株式等を一定の持株比率以上保有することによって事業活動を行う配当受領法人については,そうでない株主よりも軽減された税率で,配当に課税するのが 合理的である。 エ上記ア③の趣旨(本件規定⒜の適用を受けるために本件保有期間要件が定められた趣旨)は,5%という軽減された限度税率(以下,このような軽減された限度税率を「軽減税率」という。)の特典の適用を,それを受けるべき適切な者に限定する趣旨であると解される。 軽減税率の適用を限定する方法については,条約締結国の合意により定まる問題であって,租税条約の本質から演繹的に定まる問題ではない。 保有期間要件については,株式等の最低保有期間の長さ(例えば,1年又は6月などとすることが考えられる。),最低保有期間を計算するための基準点(例えば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」,「配当の支払を受ける者 が特定される日」又は「配当の支払の日」などとすることが考えられる。),基 準点から最低保有期間をどのように計算するか(例えば,基準点に「先立つ」期間又は 配当の支払を受ける者 が特定される日」又は「配当の支払の日」などとすることが考えられる。),基 準点から最低保有期間をどのように計算するか(例えば,基準点に「先立つ」期間又は基準点を「含む」前後の期間などとすることが考えられる。)などをどのように定めるかについては,条約締結国の合意に委ねられているのである(モデル条約23条に関するコメンタリーのパラグラフ54参照)。あくまで合意の問題である以上,最低保有期間は「配当に先立つ期間」でなければなら ないとか,配当後の期間が最低保有期間の計算に含まれるような要件であってはならないということはない。例えば,モデル条約2017年版では,10条2項⒜の改訂に当たって新たに保有期間要件を設けているところ,その内容は,「配当の受益者が,当該配当の支払の日を含む365日の期間を通じて」配当支払法人の資本の25%以上を直接に保有するというものであり,配当後の期 間も最低保有期間の計算に含めている。 オ上記イ及びウのとおり,本件規定⒜を含む本件租税条約10条2項の趣旨が経済的二重課税の防止・緩和にある以上,かかる課税の繰り返しが実際に生じていない場合には,本件規定⒜による特典を適用する必要はないと考えられるから,本件規定⒜は,配当の原資である配当支払法人の利得に対して所得課税 が実際に生じたことが要件になっていると解すべきである。そうすると,最低保有期間の起算点としては,配当支払法人に対する所得課税が発生する「利得の分配に係る事業年度の終了の日」にすることが合理的であり,その時点において,配当受領法人が配当支払法人の株式を保有していることが必要ということになる。 ⑸ あてはめ以上によれば,本件規定⒜の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,「 その時点において,配当受領法人が配当支払法人の株式を保有していることが必要ということになる。 ⑸ あてはめ以上によれば,本件規定⒜の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,「配当を支払う法人がその配当の原資である所得を一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算する会計期間の末日」をいうと解される。 そして,本件各子会社の事業年度は11月1日から翌年の10月31日までで あるところ,本件各分割は平成26年8月1日に行われたから,本件各分割に係 る「事業年度の終了の日」は,同年10月31日である。そして,原告は,同日の6か月以上前である同年4月29日から同年10月31日まで本件各子会社の全株式を保有していたから,本件規定⒜の要件を満たしている。 したがって,本件請求金額に係る還付金請求権が発生している。 3 被告の主張に対する反論 ⑴ 被告が主張する解釈は本件規定⒜の文言を離れた解釈であり,租税法規の解釈としては許されないことア被告は,被告の解釈を導く過程において,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」については,「利得の分配と関連付けられた期間の末日」を指すと主張しており,期間損益の計算単位としての期間である「事業年度」を,単なる 「期間」に読み替えている。しかしながら,かかる主張は,「事業年度」という用語を全く異なる概念に読み替えるものであって,用語の通常の意味の解釈として明らかに妥当性を欠く。 なお,一般に,単なる「計算期間」は「calculationperiod」と翻訳されるものであって,「accountingperiod」と訳されることはない。 「accountingperiod」 (事業年度)は,あくまで「accounting」(会計)と 」と翻訳されるものであって,「accountingperiod」と訳されることはない。 「accountingperiod」 (事業年度)は,あくまで「accounting」(会計)と密接な関係を有する期間を指す用語である。 イ上記アの点をおき,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」を「利得の分配と関連付けられた期間の末日」であると解したとしても,その「期間の末日」が「配当の受領者となる者が特定される時点」であるとの解釈は導き出せず, 論理の飛躍がある。 すなわち,「利得の分配に関連付けられた期間」にいう「期間」とは,「ある時点から他の時点までの時間的隔たりといった時的連続性をもった概念」であって,「点」ではない。被告が主張する,期末配当の「基準日」も,分割型分割の「配当受領者が特定される時点」ないし「分割型分割の日の前日」も,い ずれも単なる点であって,「期間」を前提としてその末日として定められた日 ではない。「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と「配当の受領者となる者が特定される時点」とは全く異なる概念である。 ウ 「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と「配当の受領者となる者が特定される時点」とは,国際的にも全く別の概念と捉えられている。 すなわち,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のた めの日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約」(昭和45年条約第23号。以下「日英租税条約」といい,平成18年条約第11号による改正前のものを指すときは「旧日英租税条約」,同改正後のもの〔ただし,平成26年条約第17号による改正前のもの〕を指すときは「新日英租税条約」ということがある。)において,新日英租税条約は,旧日英租 税条約10条2項の 日英租税条約」,同改正後のもの〔ただし,平成26年条約第17号による改正前のもの〕を指すときは「新日英租税条約」ということがある。)において,新日英租税条約は,旧日英租 税条約10条2項の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という文言を「当該配当の支払を受ける者が特定される日」に改めている。また,新日英租税条約のほか,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」(平成16年条約第2号。 以下「日米租税条約」という。)及び「所得に対する租税に関する二重課税の 回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリアとの間の条約」(平成20年条約第13号。以下「日豪租税条約」という。)においては,それぞれ,10条2項において「当該配当の支払を受ける者が特定される日」との規定を設けながら,「日本については,配当の支払を受ける者が特定される日は,利得の分配に係る会計期間の終了の日であることが了解される」として,日本に おいてのみ,文言を読み替える旨の交換公文が作成されている(以下「日米租税条約等に係る交換公文」という。)。 仮に,「当該配当の支払を受ける者が特定される日」と「利得の分配に係る会計期間(事業年度)の終了の日」という概念が同一の概念であれば,日英租税条約における上記改正や上記各交換公文の作成をする必要はなかったので あるから,両者は異なる概念であると捉えられていることになる。 この点,被告は,上記の日米租税条約等の規定及び交換公文について,ウィーン条約32条が規定する「解釈の補足的な手段」そのものではないが,本件規定⒜の解釈の参考とすることは妨げられず,我が国においては,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と「当該配当の支払を受ける ーン条約32条が規定する「解釈の補足的な手段」そのものではないが,本件規定⒜の解釈の参考とすることは妨げられず,我が国においては,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と「当該配当の支払を受ける者が特定される日」とが同一の概念であると考えられていることを示すものである旨主張する。 しかしながら,日米租税条約等の保有期間要件と本件保有期間要件とでは文言が異なる上,本件租税条約においては,本件文言の読み替えに係る交換公文は作成されていない。したがって,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」(本件文言)を,「当該配当の支払を受ける者が特定される日」という異なる概念に読み替えることは許されない。 エ被告は,通常の期末配当について,事業年度の終了の日を基準日(会社法124条)と定める会社が多く,その場合には同日が「配当の受領者となる者が特定される時点」となる旨を指摘する。しかしながら,事業年度の終了の日を基準日とする定めがない限り,配当の受領者が特定されるのは事業年度の終了の日とは全く異なる時点になる。被告のかかる主張は我が国の会社法に関する 実務を理由とするものであるが,これは,租税に関する法令を踏まえて用語の意義を解釈すべきとする本件租税条約3条2項に反する主張である。 オ被告は,本件租税条約10条における「配当」にみなし配当が含まれる旨規定する同条3項が本件規定⒜を解釈する際の「文脈」になる旨主張し,これによれば,種々の配当の意義を踏まえた解釈が必要となる結果,分割型分割によ るみなし配当に係る「利得の分配に係る事業年度の終了の日」は,分割型分割の日の直前と解すべきである旨主張する。 しかしながら,本件租税条約10条3項は,同条の対象となる「配当」の意義を定めているのみであり,同条2項の 配に係る事業年度の終了の日」は,分割型分割の日の直前と解すべきである旨主張する。 しかしながら,本件租税条約10条3項は,同条の対象となる「配当」の意義を定めているのみであり,同条2項の限度税率の適用関係については何ら規定していないのであって,被告の上記主張は誤りである。 カ被告は,親子間配当について定めた国内法の規定(法人税法施行令22条の 2第1項,22条の4第1項)が,配当に先立つ期間において株式を継続的に保有していることを配当課税の減免の要件として定めていることを根拠に,被告の解釈が正当である旨主張する。 しかしながら,我が国において,条約の規定と国内法の規定が整合しないときは条約が優先するのが原則であり,締約国の一方の国内法規の規定は,本件 租税条約3条2項に定める場合(本件租税条約が定義しない用語の意味を定める規定である場合)以外は,本件租税条約の解釈の要素となるものではない。 また,自国の制度についても,条約相手国との間での合意がない限り,「文脈」として条約解釈の要素となるものではない。 そして,親子間配当に係る課税の減免について定めた法人税法施行令の規定 は,課税の減免の要件について本件規定⒜とは異なる文言を用いており,本件文言の用語の意味について定義する規定ではないから,本件規定⒜の解釈の要素とはならない。 ⑵ 原告の主張する解釈を採用しても不合理な結果等は生じないことア被告は,原告の解釈によれば,事業年度の途中で配当又はみなし配当が行わ れた場合,本件規定⒜の適用の有無は事業年度の終了の日まで判明しないところ,これは,税引後利益の極大化を目して投資を行う株主の立場からすれば,投資に対する阻害要因でしかなく不合理である旨主張する。 しかしながら,モデル条 用の有無は事業年度の終了の日まで判明しないところ,これは,税引後利益の極大化を目して投資を行う株主の立場からすれば,投資に対する阻害要因でしかなく不合理である旨主張する。 しかしながら,モデル条約2017年版の10条2項⒜の規定からもわかるように,OECDは,配当支払日に配当課税に適用される税率が確定している ことは常に必要とは解しておらず,あくまで条約締結国の合意に委ねている。 また,事業目的で配当支払法人の株式を保有する法人は,ある程度の継続保有を前提として投資しているから,事業年度の半ばでみなし配当があった場合も,その事業年度の終了時まで株式保有することを通常は予定している。そうすると,かかる法人は,通常,最終的に配当課税に適用されるであろう税率を 配当受領時に確実性をもって予測することができる。したがって,みなし配当 の時点で税率が確定しないことは投資の阻害要因とはいえず,事業年度の終了まで待たずに株式を短期間で売却する法人については,本件規定⒜の特典を付与する必要があるとはいえない。 イまた,被告は,租税条約の適用を受けて課税の軽減を受けようとする非居住者等においては,その所得の支払の前日までにその旨の届出書を提出すること により源泉徴収時に課税の軽減を受けることが原則であること,国税通則法15条2項2号,3項2号において,配当所得に係る源泉所得税については支払の時に納税義務が確定し,かかる納税義務の成立と同時に税額が確定する旨定められていることからすれば,源泉徴収時に税率が確定している必要性があるとした上で,原告の解釈はこれらの法令等の規定に整合せず不合理である旨主 張する。 しかしながら,前記のとおり,条約の規定と国内法の規定が整合しない場合には条約の規定が優先すること等からす とした上で,原告の解釈はこれらの法令等の規定に整合せず不合理である旨主 張する。 しかしながら,前記のとおり,条約の規定と国内法の規定が整合しない場合には条約の規定が優先すること等からすれば,被告のかかる主張は失当である。 また,この点をおいたとしても,原告の解釈は,何ら国内法令の規定と齟齬するものではなく,不合理ではない。すなわち,実施令2条8項は,租税条約 による課税の軽減を受ける方法として事後的な還付請求の方法を定めているところ,当該方法によることについて,源泉徴収時に軽減税率の適用を受けなかった理由などについて特に限定が付されているわけではない。つまり,我が国の法制度上,源泉徴収時に軽減税率の適用を受ける方法と,事後的に過大な納付額を還付請求する方法の2つが並列的に定められており,いずれか一方が 原則で他方が例外という関係にはない。配当の支払時(源泉徴収時)において,租税条約に係る届出書が提出されていない場合は国内法上の税率で源泉徴収されることになるから,源泉徴収に係る法律関係に何ら支障は生じない。 そのほか,被告は,配当支払後に配当支払法人の定款変更,解散,合併等によって事業年度は変わり得るところ,このような配当後の事情によって事後的 に税率が左右されると課税関係が不安定になる旨主張するが,かかる主張は立 法論であって,本件規定⒜の解釈論としては不適切である。 (被告の主張の要旨) 1 本件規定⒜における「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という文言(本件文言)については,「配当の受領者が特定される時点」をいうものと解すべきであ り(被告の解釈),これと異なる原告の解釈は誤りである。その理由は以下のとおりである。 2 被告の解釈の根拠⑴ 本件租税条約3条2項は「一方 領者が特定される時点」をいうものと解すべきであ り(被告の解釈),これと異なる原告の解釈は誤りである。その理由は以下のとおりである。 2 被告の解釈の根拠⑴ 本件租税条約3条2項は「一方の締約国によるこの条約の適用上,この条約において定義されていない用語は,文脈により別に解釈すべき場合を除くほか,こ の条約の適用を受ける租税に関する当該一方の締約国の法令における当該用語の意義を有するものとする。」と定めており,本件租税条約の文言の解釈については,まずもって文脈によるべきであることが明記されている。 また,国際条約についての基本的規則を定めるウィーン条約の31条1項は,「条約は,文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の 意味に従い,誠実に解釈するものとする」と定めている。 したがって,本件規定⒜における本件文言の意義を解釈するに当たっても,単にその文言の一部を切り取って解釈することは妥当ではなく,本件租税条約における文脈,趣旨及び目的に沿って解釈する必要がある。 ⑵ モデル条約2010年版のコメンタリーによれば,本件租税条約10条2項の ように,配当所得に関して軽減税率を設ける趣旨は,課税の繰り返し(源泉地国における所得課税と配当課税の重複)を避けるとともに,国際投資を促進することにあるとされている。なお,ここでいう課税の繰り返しとは,配当受領者に対する源泉地国における課税(所得課税)と,配当受領者に対する居住地国(相手国)における課税(配当課税)という法的二重課税を指すものであって,原告の 主張する経済的二重課税の趣旨ではない。 そして,本件規定⒜が本件保有期間要件を設けている趣旨は,軽減税率を適用するという特典を与える上で,その対象者を適切に特定するという趣旨 主張する経済的二重課税の趣旨ではない。 そして,本件規定⒜が本件保有期間要件を設けている趣旨は,軽減税率を適用するという特典を与える上で,その対象者を適切に特定するという趣旨によるものと考えられる。 したがって,本件文言については,上記の趣旨を踏まえてその意義を検討する必要がある。 ⑶ア本件文言は,「利得の分配に係る」との表現に続けて「事業年度」(accountingperiod)との文言が使用され,その「事業年度」の「終了の日」と表現されていることからすれば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,「利得の分配」と関連付けられた期間の末日の時点を示すものであり,その関連付けられた意味合いを踏まえてその意義を確定すべきである。 ここで,本件租税条約10条3項は,同条において,「配当」とは,株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及びその他の持分から生ずる所得であって分配を行う法人が居住者とされる締約国の税法上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるものをいう旨定めている。したがって,同条の対象となる「配当」については,所得税法24条1項 に規定する通常の配当等だけでなく,同法25条1項に規定するみなし配当,例えば,合併や自己株式の取得等の事由により留保された利益が株主に分配されるものもあり,種々のものが含まれることになる。 このように,本件租税条約10条3項においては,国内法の規定内容を踏まえた配当の概念を用いるとしているところ,国内法である所得税法では,上述 したとおり種々の配当が規定されているのであるから,本件文言についても,「利得の分配」たる種々の配当の意義を踏まえた解釈をすることが,文脈に沿った解釈になるというべきである。この点,本 上述 したとおり種々の配当が規定されているのであるから,本件文言についても,「利得の分配」たる種々の配当の意義を踏まえた解釈をすることが,文脈に沿った解釈になるというべきである。この点,本件租税条約3条2項のみが「文脈」であるとする原告の主張は誤りである。 以上を踏まえ,通常の期末配当の場合及び本件のような分割型分割によるみ なし配当の場合のそれぞれについて検討し,本件文言の意義を捉えていくべき である。 イ所得税法24条1項の配当のうち通常の期末配当については,株主権を行使して配当を受領する時点において実際に株主権を有する株主が受けるのが原則であるが,我が国の実務上は,決算期末の日(3月31日とされることが多い。)を基準日(会社法124条1項)とした上で,決算期末時点の株主名簿 上の株主が,定時株主総会(6月下旬頃とされることが多い。)における議決権を行使し,同総会で承認された剰余配当金を受けるものとする扱いが一般的に行われている。 そして,剰余金の配当により株主に交付する金銭等は,具体的には,直前の事業年度の終了の日における剰余金の額に,同日後の自己株式処分差損益,剰 余金の配当をした額,臨時計算書類を作成した場合の一定の金額,自己株式の帳簿価額等を加減算して算定する分配可能額を限度として交付することとされている(会社法446条,461条1項,2項)。 この点,本件租税条約が締結された平成4年当時は,利益の配当については,会社法ではなく商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)290条 1項等によって規定されていたが,その内容は会社法の上記規定と大きく異なるものではなく,実務上も,決算期現在の株主に利益配当を行う旨定款で定めておくことが多いなど,現在の実務上の取扱い 0条 1項等によって規定されていたが,その内容は会社法の上記規定と大きく異なるものではなく,実務上も,決算期現在の株主に利益配当を行う旨定款で定めておくことが多いなど,現在の実務上の取扱いと大きな違いはなかった。 すなわち,通常の期末配当については,直前の事業年度の終了時の株主名簿上の株主が配当を受領することになるのであり,この場面において,「利得の 分配に係る事業年度の終了の日」とは,配当の受領者を特定するという面で,利得の分配と関連付けられた時点,すなわち,上記にいう直前の事業年度の終了の日(基準日)をいうものと解するのが自然である。 このような通常の期末配当の例を踏まえてみれば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,利得の分配と関連付けられた一時点として配当の受領 者が特定されることとなる時点を意味するものと理解することができる。この ような理解に立てば,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」において,その配当を受ける者が特定されることとなり,その時点に先立つ6か月の保有の状況を問題とする本件保有期間要件が本件規定⒜の適切な適用対象者を特定するという機能を果たすことになって,その趣旨を全うすることにもなるところである。 ウこれに対し,分割型分割については,所得税法25条1項2号が,法人の株主等が当該法人の分割型分割により金銭その他の資産の交付を受けた場合において,その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の資本金等の額のうち,その交付の基因となった当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは,同法の規定の適用については,その超える部分の金 額に係る金銭その他の資産は,同法24条1項に規定する剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配又は金銭の分 資に対応する部分の金額を超えるときは,同法の規定の適用については,その超える部分の金 額に係る金銭その他の資産は,同法24条1項に規定する剰余金の配当,利益の配当,剰余金の分配又は金銭の分配とみなす旨規定している。 この場合,上記の「株式又は出資に対応する部分」の金額の計算方法については,所得税法施行令61条2項2号により,分割型分割の直前の資本金等の額(同号柱書の括弧書)に,分割法人の前事業年度末の純資産簿価(同号イ) に占める分割法人の分割直前の純移転資産簿価(同号ロ)の割合を乗ずることによって算定される資本金等の額を,分割法人の分割型分割の直前の発行済株式等の総数で除して計算した金額に,株主等が当該分割型分割の直前に有していた当該分割法人の株式の数を乗じて計算される。 換言すれば,分割型分割により金銭その他の資産の交付を受けた株式におい て生じるみなし配当という所得の金額は,分割型分割が行われる直前の株主の株式の保有状況をもとに算定されるのであり,分割型分割が行われる直前の株主に対してみなし配当という所得が生じることになる。すなわち,分割直前時点において,その受領者が特定されるのであり,配当を生じさせる分割型分割が行われた日あるいは配当が行われた日の属する分割法人の定款上の「事業年 度」の終了の日の状態をもってみなし配当の受領者が確定するものではない。 これらのことからすれば,分割型分割により生じるみなし配当の場面では,本件規定⒜の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは,みなし配当の受領者が特定される分割型分割の日の直前がこれに該当するものと解すべきである。 エまた,本件租税条約10条2項において限度税率を定める前記の趣旨のうち, 国際投資を促進するという趣旨か 当の受領者が特定される分割型分割の日の直前がこれに該当するものと解すべきである。 エまた,本件租税条約10条2項において限度税率を定める前記の趣旨のうち, 国際投資を促進するという趣旨からすれば,本件保有期間要件については,限度税率の適用対象となる配当と関連付けられた期間に現実に株式が保有されているか(投資がされているか)により判断すべきということができる。 そして,本件租税条約10条2項のような規定は,投下資本の回収たる配当についての課税を軽減することで,その配当に結び付く投資を促進しようとす るものである。配当というものは,投資を行った株主が株式を保有し,その投下資本を活用して得られる利益を原資として生じるものであり,換言すれば,配当はこれに先立つ投資ないし株式の保有によってその株主に生じるものである。かかる配当の仕組みからすれば,上記の配当と関連付けられた期間とは,その配当に結び付く投資がされた期間,すなわち,当該配当に先立つ株式の保 有期間をいうものと理解することができる。かかる理解は,租税条約が限度税率を設ける趣旨及び配当の仕組みから導かれるものであって,妥当なものということができる。 オ加えて,日米租税条約等に係る交換公文においては,各条約の保有期間要件の文言に関し,日本国については,「配当の支払を受ける者が特定される日」 は,「利得の分配に係る会計期間の終了の日」であることが了解される旨規定されており,これら2つの文言が同義のものと捉えられるという,我が国における保有期間要件についてのあるべき理解が現れたものということができる。 そして,日米租税条約等に係る交換公文の「利得の分配に係る会計期間の終了の日」における「会計期間」に応答する英文は「accountingperiod」であ 理解が現れたものということができる。 そして,日米租税条約等に係る交換公文の「利得の分配に係る会計期間の終了の日」における「会計期間」に応答する英文は「accountingperiod」であり, この単語の日本語訳としては,「事業年度」及び「会計期間」のいずれも妥当 し得るところである。また,日米租税条約の改正について解説した文献の内容からしても,同条約に係る交換公文において了解された解釈と,本件租税条約の解釈を別異に解すべき根拠は見当たらない。 したがって,日米租税条約等に係る交換公文における上記了解の内容は,本件租税条約についても,「利得の分配に係る事業年度の終了の日」とは「配当 の支払を受ける者が特定される日」であるとする被告の解釈と整合するものである。 ⑷ 被告の解釈は,親子間配当について定めた国内法の規定(法人税法施行令22条の2第1項,22条の4第1項)が,配当に先立つ期間において株式を継続的に保有していることを配当課税の減免の要件として定めていること(平成4年当 時の法人税法も,受取配当につき課税が免除される特定株式等に該当するための保有期間要件について「配当等の額の支払い義務が確定する日以前6月以上引き続き有している場合」としていた〔当時の法人税法施行令22条の2〕)こととも整合する。 ⑸ 以上によれば,本件各みなし配当における「利得の分配に係る事業年度の終了 の日」とは,分割型分割の日の直前(前日)となると解すべきところ,本件各分割の効力発生日は平成26年8月1日とされているから,その前日である同年7月31日を指すことになる。そうすると,原告が本件各子会社の株式を25%以上取得した日は同年4月29日である以上,本件規定⒜の要件を満たさないことになる。 いるから,その前日である同年7月31日を指すことになる。そうすると,原告が本件各子会社の株式を25%以上取得した日は同年4月29日である以上,本件規定⒜の要件を満たさないことになる。 3 原告の主張に対する反論⑴ 原告の解釈は,本件文言の正文ではなく政府訳文にすぎない「利得の分配に係る事業年度の終了の日」という表現のうち,それぞれの単語を切り取り,切り取った日本語の国語的な意味をつなぎ合わせたものにすぎない。しかしながら,本件租税条約の正文は英文であるから,仮訳である日本語訳(政府訳文)のみを前 提とした原告の主張は,条約の解釈手法を根本的に誤っている。この点をおくと しても,本件文言は,その表現が簡潔であるがゆえに,その文言の用語の意味のみから直ちにその意義を判断することは困難であり,ウィーン条約31条1項及び本件租税条約3条2項によれば,租税条約の解釈に当たっては,「文脈」によるべきであり,「趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味」に照らして解釈する必要がある。この観点からしても,用語の国語的な意味をつなぎ合 わせたにすぎない原告の解釈は不適切である。 ⑵ 本件租税条約10条2項の趣旨は,原告のいうように経済的二重課税の除去に尽きるものではなく,法的二重課税の排除により国際投資を促進することにある。 原告は,経済的二重課税の排除という趣旨からすれば,配当支払法人への所得課税が本件規定⒜の適用を受けるための要件になると主張するが,かかる主張は理 由がない。 仮に原告の解釈を前提とすると,本件各分割の時点では本件規定⒜の税率(5%)が適用されるか否かが確定せず,事業年度の終了の日まで株式を保有し続けなければならないが,これは,税引後利益の極大化を目して投資を行う株主の立場からい ,本件各分割の時点では本件規定⒜の税率(5%)が適用されるか否かが確定せず,事業年度の終了の日まで株式を保有し続けなければならないが,これは,税引後利益の極大化を目して投資を行う株主の立場からいえば投資に対する阻害要因でしかなく,国際投資の促進という本件 租税条約の目的に反することとなって不合理である。原告は,モデル条約2017年版を持ち出すが,本件租税条約は平成4年(1992年)に締結されたものであり,モデル条約において2017年版よりも前の版では,保有期間要件は定められていなかった。モデル条約2017年版は,租税条約濫用防止の観点から新たに設けられたものであり,本件規定⒜の解釈の根拠となるものではない。 事業年度終了時まで株式を保有し続けなくとも,配当受領時点で6か月保有していた株主であれば,軽減税率を受けさせるに値するといえる。 ⑶ また,租税条約の適用を受けて課税の軽減を受けようとする非居住者等においては,その所得の支払の前日までにその旨の届出書を提出することにより源泉徴収時に課税の軽減を受けることが原則であること,国税通則法15条2項2号, 3項2号において,配当所得に係る源泉所得税については支払の時に納税義務が 確定し,かかる納税義務の成立と同時に税額が確定する旨定められていることからすれば,源泉徴収時に税率が確定している必要性があるというべきである。しかるに,原告の解釈によれば,源泉徴収時に適用される税率が確定せず,これらの法令等の規定と整合しないことになるから,そうした解釈は誤りである。 以上 以上
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