主文 被告は,A,B,C,D及びEに対し,福岡県に対する損害賠償として,連帯して14万2098円及びこれに対する平成15年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告は,A,B,C,F及びGに対し,福岡県に対する損害賠償として,連帯して297万6229円及びこれに対する平成15年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 原告Hらの本件訴えのうち,平成14年3月20日から同年8月19日までの期間に係る部分を却下する。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを3分し,その1を被告の負担とし,その余は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1)(主位的請求)被告は,I,J,K,L,M,N,A,C,E,O,D,G及びFに対し,福岡県に対する損害賠償として,Bに対し,福岡県に対する損害賠償あるいは不当利得として,金895万1903円及びこれに対する平成15年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して支払うよう請求せよ。 (予備的請求)被告は,Aに対し,福岡県に対する損害賠償として金16万2120円及びこれに対する平成15年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁)(1) 原告Hらの本件訴えを却下する。 (2) 原告らの,主位的請求の訴えを却下する。 (3) 訴訟費用は原告らの負担とする。 (本案の答弁)(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2事案の概要 本件は,主位的に,福岡県の住民である原告らが,県知事である被告に対し,福 る。 (本案の答弁)(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2事案の概要 本件は,主位的に,福岡県の住民である原告らが,県知事である被告に対し,福岡県が現職の教諭を追加配当により県立α高等学校(以下「α」という。)に配置し,出張命令ないし職務専念義務免除の手続を採った上で,平成14年3月20日から平成15年3月19日までの間,同教諭を福岡県同和教育研究協議会(平成14年度からは福岡県・同和教育研究協議会に改称。以下「県同教」という。),福岡県高等学校同和教育研究協議会(平成14年度からは福岡県高等学校人権・同和教育研究協議会に改称。以下「高同教」という。)及び全国同和教育研究協議会(以下「全同教」という。)に派遣し,その間給与及び旅費を支出してきた(以下,それぞれ「本件給与支出」,「本件旅費支出」という。)ことにつき,同配置,出張命令及び職務専念義務免除はいずれも地方公務員法等に照らし違法であり,給与及び旅費相当額の損害が発生しているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同配置,出張命令及び職務専念義務免除の行為に関わった者(怠る事実に係る相手方)に対して,不法行為に基づく損害賠償請求及び不法行為日後である訴状送達の日の翌日から支払済みまでの遅延損害金請求ないし不当利得返還請求及び訴状送達の日の翌日から支払済みまでの遅延損害金請求をすることを求め,予備的に,同号に基づき,旅費の支出負担行為及び支払命令を行った者に対して,損害賠償請求 及び訴状送達の日の翌日から支払済みまでの遅延損害金請求をすることを求めた事案である。 前提事実以下の事実は争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる。 (1) 原告らは,いずれも福岡県の住民である。 (2) 被告は,福岡県知 害金請求をすることを求めた事案である。 前提事実以下の事実は争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる。 (1) 原告らは,いずれも福岡県の住民である。 (2) 被告は,福岡県知事である。 (3) 全同教,県同教及び高同教(以下,これらの団体を併せて「本件各団体」という。)について全同教は,昭和28年5月に結成された「同和教育の研究と実践を目的とする」民間の研究団体である。各県及び政令指定都市の一部の同和教育研究団体を構成員とする組織で,役員は,委員長,副委員長3名,会計1名,常任委員若干名である。事務局は大阪市βに置かれている。 県同教は,昭和36年5月に結成された民間の研究団体である。県立学校教職員を含む学校教育関係者を主な会員として,その数は約2万人に及び,役員は,会長1名,副会長若干名,監査若干名である。県同教は,全同教の構成員である。事務局は福岡市γに置かれている。 高同教は,昭和51年3月に結成された民間の研究団体である。会員は約3千人おり,事務局は県同教と同じ場所にある。役員は,会長1名,副会長若干名,事務局長1名,事務局次長若干名となっている。高同教は,県同教のうち高等学校部門の部会的性質を有する(甲1,13の2,証人B(以下,証拠として引用するときは「証人B」という。))。 (4) 現職の高等学校教諭の本件各団体への派遣ア原告らが主張する,被告が損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権の行使を怠る相手方(以下「相手方」という。)の一人であるB(以下「B教諭」という。)は,昭和49年度から平成15年度にかけて,高校1種国語の免許を有する教諭であった(乙34,証人B)。 イB教諭は,平成12年度からαに配置され,平成14年3月20日から平成15年3月19日まで(以下「本件期間」といい,B教諭が平成1 高校1種国語の免許を有する教諭であった(乙34,証人B)。 イB教諭は,平成12年度からαに配置され,平成14年3月20日から平成15年3月19日まで(以下「本件期間」といい,B教諭が平成12年度から本件期間にかけてαに配置されていた事実を「本件配置」という。),次のいずれかの方法をとって,本件各団体の事務局等に派遣された。 すなわち,方法の1つ目は,当時αの校長であったA(以下「A校長」という。)の出張命令に従う方法であり,当初からこの方法によりなされた。2つ目はA校長による職務専念義務免除の承認(以下「職免」という。)を受ける方法であり,平成15年1月からこの方法によりなされた(以下,本件期間にA校長からB教諭に対して発せられた個々の出張命令を併せて「本件出張命令」,本件出張命令に従って本件各団体の事務局等に派遣されたことを「本件出張」,本件期間にB教諭がA校長から受けた職免を併せて「本件職免」,本件配置,本件出張命令及び本件職免を併せて「本件各手続」,本件期間中,本件出張又は本件職免によって本件各団体に派遣されたことを「本件派遣」という。)(甲2及び3の各3,乙40)。 ウ本件期間のうち,平成14年7月2日分,平成14年8月27日分及び平成14年9月25日分の各出張以外の出張については,B教諭が本件各団体の役員として出張したものである。 本件期間の出張のうち,平成14年8月27日分の出張については,B教諭が本件各団体の役員として出張したものではない。 本件期間の出張のうち,平成14年7月2日分及び同年9月25日分の各出張については,B教諭が本件各団体の役員として出張したものか,あるいはαの教諭の立場で出張したものかについて,当事者間に争いがある。 エ福岡県教育委員会(以下「県教委」という。)が,本件期間中,B教諭に支 ては,B教諭が本件各団体の役員として出張したものか,あるいはαの教諭の立場で出張したものかについて,当事者間に争いがある。 エ福岡県教育委員会(以下「県教委」という。)が,本件期間中,B教諭に支払った給与額は総額878万9783円である。 (ア) 平成14年3月20日から同月31日までの間の出張時間に対応する給与及び旅費について上記期間のB教諭の出張時間は合計46時間である。 同46時間を仮に欠勤扱いとした場合,給与額は合計12万3418円減額すべきこととなる。 上記期間の出張について,B教諭に支払われた旅費は合計1万8680円である(甲3の2)。 (イ) 平成14年4月1日から平成15年3月19日までの間の出張時間に対応する給与及び旅費について上記期間のB教諭の出張時間(前記ウの各出張時間を含む。)は合計758.33時間であり,仮に欠勤扱いとする場合に,給与期間ごとに減額時間を算出し直した総減額時間は761時間である。 761時間を仮に欠勤扱いとした場合,減額すべき給与額は290万5739円である。 上記期間の出張について,B教諭に支払われた旅費は合計14万5160円であるが,そのうち平成15年2月25日分の1720円については,その後返納されているので,残額は14万3440円となる(甲3の3,乙49,50)。 (ウ) 本件期間の職免時間に対応する給与について本件期間のうち,B教諭が職免を受けた時間は合計78.5時間であり,仮に欠勤扱いとした場合,給与時間ごとに減額時間を算出し直した職免にかかる総減額時間数は79時間である。 79時間を仮に欠勤扱いとした場合,減額すべき給与額は21万5038円である。 (エ) 前記ウ記載の各出張(平成14年7月2日分,平成14年8月27日分及び平成14年9月25日分)に対応する給与及び旅費につい 仮に欠勤扱いとした場合,減額すべき給与額は21万5038円である。 (エ) 前記ウ記載の各出張(平成14年7月2日分,平成14年8月27日分及び平成14年9月25日分)に対応する給与及び旅費について 前記ウ記載の各出張について,欠勤とした場合と欠勤としない場合との給与の差額は,平成14年7月2日分の出張が1万9250円,同年8月27日分の出張が2万2000円,同年9月25日分の出張が2万2000円である。 上記ウ記載の各出張の出張旅費は,合計9700円である。 (5) 原告らが主張する相手方について本件の相手方は,原告らが本件各手続に関わったと主張する者らであるが,相手方のうち,Iは県教委の委員長であり,J,K,L及びMは県教委委員であり,Nは福岡県教育庁(以下,同様)の教育企画部長,教育次長,教育長を歴任し,Cは同和教育課長,教職員課長を歴任し,Eは教職員課長,教育振興部長を歴任し,Oは同和教育課長,教育振興部長を歴任し,Dは教育振興部長,教育企画部長を歴任し,Gは同和教育課長であり,Fは教育企画部長であった。 (6) 教育委員会等についてア教育委員会(ア) 教育委員会は,地方自治体が処理する教育に関する事務のうち,学校の職員の人事等に関すること(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)23条各号記載の事務)を管理し,執行する。 (イ) 教育委員会は,教育委員会規則で定めるところにより,その権限に属する事務の一部を教育長に委任することができる(地教行法26条1項)。 同法に基づき,福岡県では,福岡県教育委員会の事務委任等に関する規則によって,教育行政の根本方針に係る事項や重要事項のみ教育委員会の権限として留保し,その他の事務は教育長に包括的に委任し(同規則2条),留保事項の一部について県教委の会議 会の事務委任等に関する規則によって,教育行政の根本方針に係る事項や重要事項のみ教育委員会の権限として留保し,その他の事務は教育長に包括的に委任し(同規則2条),留保事項の一部について県教委の会議で議決することとされ ている(同規則3条)。 イ教育委員会委員長教育委員会は,委員長を選挙しなければならず,委員長は,教育委員会の会議を主宰し,教育委員会を代表する(地教行法12条1項,3項)。 ウ事務局教育委員会は,教育委員会の権限に属する事務を処理させるため,事務局を置き(地教行法18条1項),事務局の内部組織は,教育委員会規則で定める(同条2項)。 同項に基づき,福岡県では,事務局(福岡県教育庁と称していた。)の内部組織として教育企画部及び教育振興部を設けている(福岡県教育庁組織規則2条,4条)。教育企画部には,教職員課が属しており(同規則8条),教育振興部には人権・同和教育課(以下「同和教育課」という。)が属している。 教育振興部は,分掌事務として同和教育をはじめとする人権教育が充てられており(同規則7条),同和教育課は,分掌事務として同和教育をはじめとする人権教育の推進に関する総合的計画,連絡調整,指導助言,啓発,研修及び助成等に関する事務を任せられている(同規則19条,福岡県教育庁事務分掌規程14条)。 エ教育長教育委員会には,教育長を置くこととされており,教育長は,教育委員会の指揮監督の下に,教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどり,また,教育委員会のすべての会議に出席し,議事について助言する(地教行法16条1項,17条1項,2項)。 オ教育次長教育次長は,教育長を補佐し,所属職員を指揮監督する(福岡県教育委員会事務局職員の職の設置に関する規則2条)。 カ高等学校教諭高等学校教諭は,児童の教育をつか 7条1項,2項)。 オ教育次長教育次長は,教育長を補佐し,所属職員を指揮監督する(福岡県教育委員会事務局職員の職の設置に関する規則2条)。 カ高等学校教諭高等学校教諭は,児童の教育をつかさどる(学校教育法51条,28条6項)。 (7) 本件各手続についてア本件各手続の権限委任関係出張命令,教職員の配置及び職免の本来的権限は,いずれも県教委にある(地方公務員法6条,地教行法23条3号,34条)。 そして,県教委の上記権限は,福岡県教育委員会の事務委任等に関する規則2条により,教育長に包括的に事務委任されている。 さらに,出張命令,職免及び後述の兼業の承認については,教育長が出先機関の長(本件ではα校長)に事務委任しており(教育長の権限に属する事務の委任等に関する規程7条1項3号,6号,8号),教職員の定数の配分については,教育企画部長の専決事項となっている(福岡県教育委員会事務決裁規程2条1項2号,同規定14条,同条別表8の九の9「県立学校における定数の配分を決定すること」)。 教育長は,教育長の権限に属する事務の委任等に関する規程に定めるところにより委任した事務について必要があるときは,自ら処理し,報告を徴し,又は指示をすることができる(同規程2条)。同規程によって事務を受けた者は,別に定めのない限り,委任を受けた事務を自ら決裁しなければならない(同規程3条)。 イ各手続に関連する法令等(ア) 各手続の根本規定地方公務員法は,地方公務員の任用,給与,勤務条件等に関する根本基準を定めた法律である(地方公務員法1条)。地方公務員法は,職員が,職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないこと(同法30条)及び職務に専念しなければならないこと(同法3 5条)を定めている。 また,職員の給与について,その職 は,職員が,職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないこと(同法30条)及び職務に専念しなければならないこと(同法3 5条)を定めている。 また,職員の給与について,その職務と責任に応ずるものでなければならないとし(同法24条1項),条例で定めなければならないとしている(同条6項,地方自治法204条3項)。 福岡県ではこれを受けて福岡県公立学校職員の給与に関する条例(以下「福岡県給与条例」という。)を設けている。 本件配置及び本件職免に関する法令として,他に以下に挙げるものがある。 (イ) 配置についてa法令等各都道府県における職員の定数については,地教行法31条3項によって,同法に特別の定めがある場合を除き条例で定めることとされている。同法に基づき福岡県県立学校職員定数条例(以下「定数条例」という。)が定められ,同条例2条によって高等学校の職員の総数が定められ,同条例3条によって,学校別の配分は当該機関の任命権者,すなわち福岡県立高等学校にあっては県教委が定めることとされている。 そして,県教委の事務局内部では,教育企画部の分掌事務とされている(福岡県教育庁組織規則6条7号)。 また,高等学校における教職員定数に関する法律として,公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(以下「定数標準法」という。)があり,総数については,同法7条によって,同法8条から12条までに規定する数を合計した数をその標準としている。 b配当の決定過程福岡県立高等学校における教職員定数の配当に係る1年間の事務の流れをみると次のとおりとなる。 ①前年度11月中旬に次年度の各高等学校の学級数等をもとに算定した仮配当定数が通知される。 ②前年度12月中旬から1月上旬ころ,高等学校又は教育関係団体の所管課から定 と次のとおりとなる。 ①前年度11月中旬に次年度の各高等学校の学級数等をもとに算定した仮配当定数が通知される。 ②前年度12月中旬から1月上旬ころ,高等学校又は教育関係団体の所管課から定数の追加配当の要望がある。 ③前年度2月から3月にかけ,定数の追加配当を行う。 ④4月以降の配当を含め,最終的な配当定数を8月中・下旬に各高等学校に通知する。 本件配置は,上記手続のうち,追加配当(③)によって実現した。 c本件配置に関連する内規の存在県教委は,教職員の追加配当について,平成5年4月付けで,別紙「甲第38-2号証」記載の内容の内規を定めている(以下「本件内規」という。)。 なお,本件内規については平成13年4月1日,別紙「甲第38-3号証」記載のとおりに改正されている(甲38の2,3)。 (ウ) 職免についてa職務専念義務について前述のとおり,地方公務員法は,職務専念義務を定めている(地方公務員法35条)。 b職免に関する条例前述のとおり,地方公務員の職員の給与は条例で定めなければならないとされている(地方公務員法24条6項,地方自治法204条3項)ところ,福岡県給与条例14条は,勤務しない時間に対する給与支出の可否について,「職員が勤務しないときは,その勤務しないことにつき任命権者の承認があった場合を除き,その勤務しない1時間につき勤務1時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。」と規定している。そして,同条例14条に定める「承認があった場合」と は,福岡県職員の給与に関する条例等の施行に関する規則12条の38第1号によって「職務に専念する義務の特例に関する条例(以下「職免条例」という。)2条の規定により職務に専念する義務を免除された場合」とされている。職免条例2条では,研修を受ける場合(同条1号),厚生 号によって「職務に専念する義務の特例に関する条例(以下「職免条例」という。)2条の規定により職務に専念する義務を免除された場合」とされている。職免条例2条では,研修を受ける場合(同条1号),厚生に関する計画の実施に参加する場合(同条2号),前記のほか,人事委員会が定める場合(同条4号)に,あらかじめ任命権者又はその委任を受けた者の承認を得て,職務に専念する義務を免除されることができる旨定めている。同条4号に基づく職免については,職務に専念する義務の免除に関する規則(以下「職免規則」という。)2条1号ないし12号に具体的に定められている。その1つとして,「職員があらかじめ任命権者の承認を得て県政推進のため指導育成を要する公益を目的とする団体の非常勤の役員又は非常勤の職員となり,その職務に従事する場合」(職免規則2条10号)と定められている。なお,ここにいう「任命権者」とは,県教委を指し,「承認」とは,兼業の承認を指す。 上記のとおり,福岡県では,職免が適法になされた場合には,給与が全額支出されることとなる。 (8) 本件各手続と給与及び旅費支出の関係本件で原告らが違法であると主張する本件各手続は,財務会計行為そのものではなく,財務会計行為(給与ないし旅費の支出決定(支出負担行為))の原因となる行為である。 本件では,A校長が行った本件出張命令や本件職免に基づき,給与については教職員課長が支出負担行為及び支出命令を行い(福岡県事務決裁規程16条2号別表3,福岡県財務規則2条4号及び8号,福岡県教育庁組織規則8条,15条6号,福岡県教育庁事務分掌規程10条4号),旅費についてはA校長自ら支出負担行為及び支出命令を行う(福岡県財務規則2条6号, 10号,福岡県事務委任規則12条7号)。そして,給与の支出については出納事務局の係長が専 掌規程10条4号),旅費についてはA校長自ら支出負担行為及び支出命令を行う(福岡県財務規則2条6号, 10号,福岡県事務委任規則12条7号)。そして,給与の支出については出納事務局の係長が専決し(福岡県財務規則93条,福岡県事務決裁規程17条2号別表5),旅費の支出についてはαの事務長(出納員)が行っている(地方自治法171条1項,福岡県事務委任規則16条1項,福岡県財務規則8条別表2)。 (9) 監査請求ア原告Hらは,平成14年8月19日,福岡県監査委員に対し,平成13年8月20日から平成14年8月19日までの間のB教諭の本件各団体への派遣につき,地方自治法242条に基づく福岡県職員措置請求(以下「第一次監査請求」という。)を行った。 福岡県監査委員は,同年10月18日,B教諭が給与の支給を受けながら団体業務に従事したことは適切さを欠くが違法とはいえないこと及びB教諭に支給された旅費についても損害が生じているとはいえない等の判断をした(乙38)。 イ原告らは,平成15年3月19日,同月25日及び同年4月11日,福岡県監査委員に対し,平成14年3月20日から平成15年3月19日までの間のB教諭の本件各団体への派遣につき,地方自治法242条に基づく福岡県職員措置請求(以下「第二次監査請求」という。)を行った。福岡県監査委員は,同年5月16日,第一次監査請求で監査の対象とした期間については第一次監査請求の判断を引用し,平成14年8月20日から平成15年3月19日までの期間については改めて監査を実施し,第一次監査請求の結果の通知がなされる以前にB教諭が給与の支給を受けながら団体業務に従事したことは適切さを欠くが違法とはいえないこと,支給された旅費についても損害が生じているとは判断しがたいこと及び第一次監査請求の結果の通知後は適 る以前にB教諭が給与の支給を受けながら団体業務に従事したことは適切さを欠くが違法とはいえないこと,支給された旅費についても損害が生じているとは判断しがたいこと及び第一次監査請求の結果の通知後は適切な対応が図られていること等の判断をした(甲1)。 ウ原告らは,第二次監査請求の監査結果に不服があるとして,同年6月13日,本訴を提起した。 第3争点及び争点に関する当事者の主張 監査請求前置について(1) 原告Hらについて(被告の主張)原告Hらは,平成14年8月19日付けで第一次監査請求を行っており,その後平成15年3月19日付け,同月25日付け及び同年4月11日付けで第二次監査請求を行っている。 同一住民が先に監査請求の対象とした財務会計行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことはできず(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照),第二次監査請求は不適法であり,原告Hらの本件訴えについては却下されるべきである。 (2) 第二次監査請求と本件訴訟(怠る事実の部分)との同一性について(被告の主張)住民訴訟は,問題とする財務会計行為について住民監査請求を要するが,住民監査請求と住民訴訟との間には,財務会計行為又は怠る事実が同一であることが必要とされている(最高裁平成10年7月3日判決・判例時報1652号65頁参照)。 本件についてみるに,監査請求の対象となる財務会計行為は,給与及び旅費の支出という「公金の支出」である一方,本件訴訟において対象となっている財務会計行為は「福岡県がB教諭らに対して有する不法行為に基づく損害賠償請求ないし不当利得返還請求権の請求を怠っている」事実であり,同一性がない。 したがって,原告らの請求のうち,財産の管理を怠る事実に関する部分は 県がB教諭らに対して有する不法行為に基づく損害賠償請求ないし不当利得返還請求権の請求を怠っている」事実であり,同一性がない。 したがって,原告らの請求のうち,財産の管理を怠る事実に関する部分は 監査請求前置を欠き,却下されるべきである。 (原告らの主張)監査請求の対象と住民訴訟の対象との同一性は,監査請求によって行政の違法状態を是正しようという制度の趣旨から,形式的に厳格に判断するのではなく,実質的に判断すべきであり,監査請求に係る行為又は事実から派生し,又はこれを前提として後続することが当然予想される行為又は事実も同一性を有すると解するべきである。 そして,普通地方公共団体の長その他財務会計職員の財務会計上の行為を違法,不当であるとしてその是正措置を求める監査請求をした場合には,特段の事情が認められない限り,上記監査請求は当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権を当該普通地方公共団体において行使しないことが違法,不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求をもその対象として含むと解するのが相当である(前掲最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決参照)。 本件において,住民監査請求の対象は「B教諭の多数回にわたる出張は公務と無関係な民間団体の行事運営のためのものであり,福岡県が同教諭に教育公務員としての給与を支払うことは違法,不当である。したがって,既に支給した給与・出張費分について県知事,教育委員会各委員,教育長,同校校長,同教諭らが支出相当額を連帯して県に返還すること」であり,そこには当然に財産の管理を怠る事実についての監査請求をもその対象として含むものと解することができ,実質的同一性が認められる。 (3) C,E,O,D,G及びF(以下「Cら」という。)に関する訴えについて(被告の主張) 理を怠る事実についての監査請求をもその対象として含むものと解することができ,実質的同一性が認められる。 (3) C,E,O,D,G及びF(以下「Cら」という。)に関する訴えについて(被告の主張)住民監査請求と住民訴訟との同一性は,対象となる行為の同一性のみならず人の同一性からも判断する必要がある。なぜなら,例えば職員に対して有 する損害賠償請求権は,各人ごとにその成立要件を異にし,その責任原因につき大筋において同一であるときでも,その地位,職務権限,関与の方法,程度を異にし,結論に及ぼすべき差異が存在するからである(千葉地裁昭和57年3月26日判決・行裁例集33巻3号600頁,広島高裁昭和58年10月11日判決・行裁例集34巻10号1757頁参照)。 本件についてみるに,Cらは,原告らの監査請求の対象となっていないから,監査請求前置の要件を欠き,不適法として却下されるべきである。 (原告らの主張)住民監査請求と住民訴訟の同一性については,その対象とする財務会計行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異なるものを相手方として右措置の内容と異なる請求をすることも許されると解するべきである(最高裁平成10年7月3日第二小法廷判決参照)。 そうすると,本件においては,住民監査請求の対象となった財務会計行為と住民訴訟の対象となった財務会計行為は同一であるから,住民訴訟において,対象者としてCらを追加したとしても,何ら監査請求前置を欠くものではない。 違法に債権の管理を怠る事実について(主位的主張)(1) 不法行為に基づく損害賠償請求権の取得について(原告らの主張)ア共同不法行為(民法719条)I,J,K,L,M(以下「Iら」という。),N,A校長,B教諭,D, について(主位的主張)(1) 不法行為に基づく損害賠償請求権の取得について(原告らの主張)ア共同不法行為(民法719条)I,J,K,L,M(以下「Iら」という。),N,A校長,B教諭,D,O,C,E,G,Fは,部落解放同盟と癒着して若しくはその意に沿って,共同して,故意又は過失により,民間団体にすぎない本件各団体の団体役員に就任しているB教諭が,その団体役員としての活動を,その教育公務員としての給与を保障したまま,更には旅費まで支払って,勤務時 間中といえども何らの制限もなく自由に行うことを可能にする体制を作るため,B教諭をαに追加配当する等のイ記載の各行為を行い,そのため,教諭としての本務から日常的恒常的に離れ,公務とは無関係な本件各団体の行事運営のために出張したB教諭に対し,ノーワークノーペイの原則(地方自治法204条の2,地方公務員法24条,30条,35条,福岡県給与条例14条,18条等,福岡県公立学校職員の給与に関する条例5条,14条,18条参照)に反するにもかかわらず,平成14年3月20日から平成15年3月19日までの間に,給与878万9783円,旅費16万2120円の支払を受けさせ,同額の損害を福岡県に与えた。 イ各共同不法行為者各自の不法行為について上記各共同不法行為者は,それぞれ,以下の行為を行うことにより,共同して不法行為を行った。 (ア) 教育企画部長,教育振興部長,同和教育課長,教職員課長の職にあった者らについてa平成12年度の本件配置について(a) 平成12年4月からB教諭をαに配置するため,同年1月20日,当時の同和教育課長Oは,当時の教職員課長Eに対して,「県同教・高同教の副会長及び全同教委員長として本県及び我が国の同和問題の解決に貢献するB教諭の業務を支援するため」との理由で,αの追 20日,当時の同和教育課長Oは,当時の教職員課長Eに対して,「県同教・高同教の副会長及び全同教委員長として本県及び我が国の同和問題の解決に貢献するB教諭の業務を支援するため」との理由で,αの追加配当について依頼をした。 (b) 当時の教育振興部長Dは,同追加配当依頼を行うことを決裁あるいは承認した。 (c) 当時の教職員課長Eは,この依頼に基づき,同追加配当を行うこととし,その決裁を当時の教育企画部長Nに求めた。 (d) 当時の教育企画部長Nは,この依頼を受け,本件配置の専決処分をした。 b平成13年度分の本件配置について(a) 平成13年1月25日,当時の同和教育課長Cは,当時の教職員課長Eに対して,「B教諭の本件各団体への団体役員としての業務に従事することを支援するため」との理由で,αの追加配当の依頼をした。 (b) 当時の教育振興部長Oは,同追加配当依頼を行うことを決裁あるいは承認した。 (c) 当時の教職員課長Eは,この依頼に基づき,同追加配当を行うこととし,その決裁を当時の教育企画部長Dに求めた。 (d) 当時の教育企画部長Dは,この依頼を受け,本件配置の専決処分をした。 c平成14年度分の本件配置について(a) 平成14年1月31日,当時の同和教育課長Gは,当時の教職員課長Cに対して,前年度と同様の理由により,同様の依頼をした。 (b) 当時の教育振興部長Eは,同依頼を行うことを決裁あるいは承認をした。 (c) 当時の教職員課長Cは,この依頼に基づき,同追加配当を行うこととし,その決裁を当時の教育企画部長Fに求めた。 (d) 当時の教育企画部長Fは,この依頼を受け,本件配置の専決処分をした。 (イ) 教育次長,教育長の職にあったNについて当時教育次長であったNは,平成14年度分の本件配置の決定に関与した。少なく d) 当時の教育企画部長Fは,この依頼を受け,本件配置の専決処分をした。 (イ) 教育次長,教育長の職にあったNについて当時教育次長であったNは,平成14年度分の本件配置の決定に関与した。少なくとも従前の配置が継続されていることを知悉しながら,それを黙認し何らの是正措置をも採らなかった。 また,平成14年4月に教育長となったNは,本件配置を改めることなくこれを継続した。 (ウ) 県教委委員の職にあった者らについて県教委は,本来教職員定数の配分に係る権限を有し,また,教育長を指揮監督する義務を負っている(地教行法17条)。 したがって,Iらは,県教委として,B教諭が本務を果たさないままに教育公務員の給与を受給することのないよう教育長を監督すべきであったのに,これを怠り,平成12年4月に本件配置を行って,B教諭がその団体役員としての活動に専念できる方策を採らせた。また,同月以降,教育長から本件配置によるB教諭の活動状況の報告を受けながら,あるいは少なくとも本件配置を認識してその後のB教諭の活動を認識しながら,これを容認し続けた。 (エ) α校長の職にあったA校長についてA校長は,B教諭を直接指揮監督すべき立場にあり,かつ,B教諭が本件各団体の活動に従事し,本来の教諭としての職務に従事していない事実をよく知りながら,本件出張命令を発し,本件職免をして,本件各団体の活動に専念することを支援,容認した。 (オ) B教諭についてB教諭は,部落解放同盟や本件各団体の構成員らとともに,本件各団体の活動に闇で専従することを擁護する政策を採るよう県教委や県教委事務局に要求して,本件配置を実施させるとともに,以降それに応じて教諭としての本務に全く従事することなく本件各団体の役員としての活動に専念した。また,そのため出張命令,兼業の承認及び職務専念 県教委事務局に要求して,本件配置を実施させるとともに,以降それに応じて教諭としての本務に全く従事することなく本件各団体の役員としての活動に専念した。また,そのため出張命令,兼業の承認及び職務専念義務免除の各申請を行った。 ウ違法性(ア) 地方公務員法24条1項,30条,35条違反についてB教諭は本件配置,本件出張命令,本件職免によって,本件各団体の業務に従事しているが,地方公務員法24条1項,30条,35条の趣 旨からすると,このように当該地方公共団体以外の団体のための業務に従事することが許容されるのは,その業務が当該地方公共団体の業務と同視し得るか又はこれに準じたものである場合に限られる(最高裁平成10年4月24日第二小法廷判決・裁集民188号275頁,最高裁平成16年3月2日第三小法廷判決・判例時報1870号8頁参照。)しかしながら,B教諭が従事していた本件各団体の業務は県教委又は教諭の職務と同視し得る又はこれに準じたものとはいえない。 よって,本件配置,本件出張命令及び本件職免は,地方公務員法24条1項,30条,35条に違反する違法なものである。 (イ) 本件配置の定数標準法違反について本件配置は,定数標準法上の根拠のない配置である。すなわち,同法及び同法施行令は,生徒の教育をより良くすることを目的として教員の配置を決することとしているが,本件配置はB教諭を本件各団体の団体活動に専念させることを目的としており,同法の定める目的外の配置である。 また,本件配置は同法22条3号の「特別の指導」又は同条4号の「特別の事情」のいずれかを根拠としていると解され得るが,同条3号の内容について,同法施行令は「公立の高等学校において,学習指導上,生徒指導上又は進路指導上特別の配慮が必要と認められる事情を有する生徒に対して行われる当 かを根拠としていると解され得るが,同条3号の内容について,同法施行令は「公立の高等学校において,学習指導上,生徒指導上又は進路指導上特別の配慮が必要と認められる事情を有する生徒に対して行われる当該事情に応じた特別の事情」等と規定し,同条4号の内容については,要するに,当該高等学校で開設する科目数が文部大臣の定める数を超えていたり,単位制を採用する場合等が該当する旨規定しているが,本件配置は,これらのいずれの場合にも該当しない。 したがって,本件配置は,定数標準法及び同法施行令に反する違法なものである。 エ各不法行為者の行為と損害との因果関係について (ア) NについてNは,平成11年度の教育企画部長であり,本件配置を最初に決定した平成12年度の専決処分をして,その後の違法な配置の枠組みを作出した。加えて,Nは,平成13年度は教育次長,平成14年度は教育長であり,本件配置が更新され継続されておりそれが違法であることを認識していながら,本件配置を是正すべき義務があったにもかかわらずこれを怠った。 したがって,Nは,本件期間のすべての損害につき責任を負う。 (イ) EについてEは,平成11年度の教職員課長であり,本件配置の最初の決定に関与し,その後の違法な配置の枠組みを作出した。加えて,Eは,平成12年度及び平成13年度においては,教職員課長又は教育振興部長として,本件配置の違法性を認識し又は認識し得たのであるから,これらを是正すべきであったのにこれを怠った。 したがって,Eは,本件期間のすべての損害につき責任を負う。 (ウ) OについてOは,平成11年度の同和教育課長であり,Nと同じく本件配置を最初に決定した平成12年度の決定に関与し,その後の違法な配置の枠組みを作出したのであるから,平成13年度以降の本件配置を是正する義務が Oは,平成11年度の同和教育課長であり,Nと同じく本件配置を最初に決定した平成12年度の決定に関与し,その後の違法な配置の枠組みを作出したのであるから,平成13年度以降の本件配置を是正する義務があるにもかかわらずこれを怠り,また平成12年度は教育振興部長として平成13年度の本件配置の決定に再度関与した。 したがって,Oは,本件期間のすべての損害につき責任を負う。 (エ) DについてDは,平成11年度の教育振興部長及び平成12年度の教育企画部長であり,N及びOと同じく平成12年度の本件配置決定に関与した。 したがって,Dも,N及びOと同じ理由により,本件期間のすべての 損害につき責任を負う。 (オ) MについてMは,平成13年8月1日に教育委員に就任し,公務員が本務を果たさないまま教育公務員の給与を受給することのないよう教育長を監督し是正すべき義務を負っていた。しかしながら,教育長から本件配置によるB教諭の活動状況の報告を受け,あるいは少なくとも本件配置を認識してその後のB教諭の活動を認識したにもかかわらず本件配置を是正しなかった。 したがって,Mは,本件期間のすべての損害につき責任を負う。 (被告の主張)ア違法性の不存在(ア) 本件配置の適法性本件配置は,定数の枠外として配置したものではなく,定数条例で定められた定数の範囲内において配置した適法なものであるから,そこに違法性はない。 なお,定数標準法によれば,教職員定数の標準は,各学校の生徒数,学級数及び設置学科の種類等によって算出されるものであるが,教職員定数の配当とは,あくまでも,法律によって定められた教職員定数の標準を基準として,県教委における様々な教育施策を進め,福岡県の教育の充実や振興に資するために,その必要に応じて裁量の範囲内で行われるものである。そして,本件配 ,法律によって定められた教職員定数の標準を基準として,県教委における様々な教育施策を進め,福岡県の教育の充実や振興に資するために,その必要に応じて裁量の範囲内で行われるものである。そして,本件配置については,福岡県全体の人権・同和教育の推進という施策を実行していくための行政上の措置として行われている。すなわち,αに所属するB教諭が同和教育研究団体の役員に就任することは,同校における人権・同和教育の充実に資するのみならず,児童生徒の進路,学力保障に関する指導方法の開発や教職員の人権・同和問題に関する認識の深化・充実に向けた研究活動,人権・同和教育の 内容,方法等に関わる情報の収集等の点において,福岡県における「人権・同和教育の推進」に深く寄与することであり,これは,福岡県における人権・同和教育を所管する同和教育課がその必要性を判断したことなのである。 したがって,本件配置は,あくまで県教委における行政施策上の裁量の範囲内の行為であり適法である。 (イ) 本件出張命令の適法性本件出張命令に係る用務は,本件各団体での役員としての活動を通じて,児童生徒に対する指導方法の開発や指導体制の充実,教職員に対する研修あるいは指導者の育成,他都府県の人権・同和問題に対する取組の状況や人権・同和教育の内容・方法等の情報収集等を目的としたものであって,福岡県の人権・同和教育の推進に深く寄与するものであったし,また,福岡県における人権・同和教育を所管する同和教育課がその必要性を判断した用務であった。 したがって,本件出張命令の目的においても法令に反するところのない出張であり,適法である。 (ウ) 本件職免の適法性地方公務員法35条により,法律又は条例に特別の定めがある場合に,職務専念義務が免除されるとされており,福岡県においては,職免条例2条及び のない出張であり,適法である。 (ウ) 本件職免の適法性地方公務員法35条により,法律又は条例に特別の定めがある場合に,職務専念義務が免除されるとされており,福岡県においては,職免条例2条及び職免規則2条において,具体的に規定されている。 本件において,本件各団体への出張については,これらの団体が県政推進のため指導育成を要する公益を目的とする団体であると認められ,職免規則2条10号に該当する。 具体的な職免の態様も,B教諭からの全同教委員長についての兼業承認申請を承認した上で,B教諭が全同教委員長としての活動に従事する必要がある都度,これを承認をし,その日数も平成15年1月が5日と 7.5時間,同年2月が3日と7時間と必要最小限度であった。 したがって,本件職免は適法である。 なお,本件職免期間は,福岡県給与条例14条,福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号により,給与が減額されないことになる。 (エ) よって,本件各手続に違法性はない。 イ故意又は重過失がないこと(ア) 地方自治法243条の2及び国家賠償法1条2項の趣旨からすると,公務員の職務行為がその所属する地方公共団体に対する不法行為を成立させるためには,当該職務の遂行が明白に違法であることを認識した場合(故意),又は,著しく注意を怠り故意と同視できる場合(重過失)に限定されると解すべきである(最高裁平成15年1月17日判決・判例時報1813号64頁参照)ところ,原告らの主張する共同不法行為者らには,いずれも故意又は重大な過失がなかった。 (イ) ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立して疑義を生じ,拠るべき明確な判例,学説がなく,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても一応の論拠が認められる場合に,公務員がその一方の解釈に立脚して公務を執行したと き異なる見解が対立して疑義を生じ,拠るべき明確な判例,学説がなく,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても一応の論拠が認められる場合に,公務員がその一方の解釈に立脚して公務を執行したときは,後にその執行が違法と判断されたからといって,ただちに同公務員に過失があったものとすることは相当でない(最高裁昭和49年12月12日第一小法廷判決・民集28巻10号2028頁等参照)ところ,仮に,本件各手続が違法であると認定されたとしても,これらの行為は,人権・同和教育を推進するという行政施策に従って,法令の範囲内で,適法な手続を経て行われたものであるから,原告らの主張する共同不法行為者らに過失があったということはできない。 ウ共同不法行為者各自の不法行為について(ア) 教育企画部長,教育振興部長,同和教育課長,教職員課長の職にあっ た者らについていずれの年度においても教育振興部長は決裁していない。 平成12年度の本件配置については,損害発生期間外のことであるから,これに関与した者が損害賠償責任を負うことはない。 (イ) 教育次長,教育長の職にあったNについてNは,教育次長,教育長として,本件配置に関与していない。 (ウ) 県教委委員の職にあった者らについてIらは,本件配置に関与していないし,その報告も受けていない。 (エ) B教諭についてB教諭が,原告ら主張の政策を採るように県教委に要求したことはない。 (2)B教諭に対する不当利得返還請求権の取得について(原告らの主張)ア福岡県の損失及びB教諭の利得福岡県が平成14年3月20日から平成15年3月19日までの間に,給与878万9783円,旅費16万2120円をB教諭に支払うことにより,福岡県は同額の損失をし,B教諭は同額の利得をした。 イ法律上の原因がないこと前述のよう ら平成15年3月19日までの間に,給与878万9783円,旅費16万2120円をB教諭に支払うことにより,福岡県は同額の損失をし,B教諭は同額の利得をした。 イ法律上の原因がないこと前述のように,B教諭は,教諭としての本務から日常的恒常的に離れ,公務とは無関係な本件各団体の活動をし,そのために出張していたのであるから,B教諭への給与の支払は,ノーワークノーペイの原則(地方自治法204条の2,地方公務員法24条,30条,35条)に違反し,違法である。また,B教諭に対する本件出張命令及び本件職免は,何ら公務とは関係のない内容,目的を有するものであるから不存在であるし,存在していても,その瑕疵が重大かつ明白であって,無効であるから,B教諭への給与及び旅費の支払は法律上の原因がない。 ウ悪意者であることB教諭は,本来の公務に関する労務を提供していなかったのであるから,給与及び旅費を受け取る権利がなく,受け取るべきでないことを知っていた。 (被告の主張)労働基準法32条の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則,労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である(最高裁平成12年3月9日判決・判例時報1709号122頁参照)。 また,地方公共団体の職員が職務命令である出張命令に従って出張をした場合には,職員は,出張命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り,当該出張に対して旅費の支給を受けることができ,それが不当利得になるものではない(最高裁平成15年1月17日判決・民集57巻1号1頁参照)。 これを本件についてみると,B教諭は上司の 瑕疵がない限り,当該出張に対して旅費の支給を受けることができ,それが不当利得になるものではない(最高裁平成15年1月17日判決・民集57巻1号1頁参照)。 これを本件についてみると,B教諭は上司の命に従って勤務・出張していたのであるから,これらは勤務時間に他ならず,また,出張命令自体に重大かつ明白な瑕疵はないので,B教諭は給与・旅費を受け取る法律上の原因があったというべきである。 (3) 財務会計法規上の違法性(違法に財産の管理を怠る事実)について(原告らの主張)被告は,地方公共団体の財務会計行為の最終責任者として,B教諭への給与等の違法な支払により生じた損害等を是正し,地方公共団体の財産を適正に管理すべき権限と義務を負っている(地方自治法2条14項,138条の2,地方財政法4条1項,8条,地方自治法240条2項)。しかるに,被告は,これらの財務会計法規に違反して,違法に,前記不法行為に基づく損 害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権の行使を怠っている。 (被告の主張)財産的価値の減少がなければ,財産の管理を怠る事実に当たらないところ,本件においては,財産的価値の減少は生じていないから,財産の管理を怠る事実は存在しない。 A校長による違法な旅費の支出について(予備的主張)(原告らの主張)(1) 財務会計法規上の違法性地方自治法204条の2は,地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これを支給することはできないとしているところ,旅費支給の規程は職員が地方公共団体の職務に従事していることを前提としているから,地方公共団体の職務に従事しているとはいえない出張に対して旅費を支給することは違法となる。そうすると,B教諭の出張は,民間団体にすぎない本件各団体の活動を目的とするものであって, 提としているから,地方公共団体の職務に従事しているとはいえない出張に対して旅費を支給することは違法となる。そうすると,B教諭の出張は,民間団体にすぎない本件各団体の活動を目的とするものであって,地方公共団体の職務に従事しているとはいえないから,財務会計法規上違法である。 (2) A校長に故意又は重過失があること(地方自治法243条の2第1項)A校長は,B教諭の出張の目的が,民間団体にすぎない本件各団体の活動を目的とするものであって,地方公共団体の職務に従事していないことを十分に認識し,又は容易に認識すべきであったのにこれを怠って,支出負担行為及び支出命令をしているので,故意又は重過失がある。 (被告の主張)(1) 財務会計法規上の違法性がないこと地方自治法242条の2第1項4号に基づき当該職員に損害賠償責任を問うことができるのは,先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,同原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務 に違反する違法なものであるときに限られる(最高裁平成4年12月15日判決・民集46巻9号2753頁)ところ,仮にB教諭に対する出張命令自体に違法な内容が含まれていたとしても,これを前提としてなされた旅費支払に係る支出負担行為及び支払命令については,福岡県財務規則4章「支出」に掲げられた一連の規定に則して処理されており,財務会計法規上の義務に違反する違法な点は存しない。 (2) A校長に故意又は重過失がないこと上述のとおり,A校長の旅費支払に係る支出負担行為及び支払命令については,一連の規定に則して処理されているのであるから,A校長が支出負担行為及び支出命令を行ったことにつき,故意又は重大な過失はない。 第4当裁判所の判断 本案前の答弁(監査請求前置)について(1) 原告Hらにつ 則して処理されているのであるから,A校長が支出負担行為及び支出命令を行ったことにつき,故意又は重大な過失はない。 第4当裁判所の判断 本案前の答弁(監査請求前置)について(1) 原告Hらについてア原告Hらは,平成14年8月19日,第一次監査請求を行い,平成15年5月16日,第二次監査請求を行っている。 イ同一住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されていないものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決)。 前記前提事実及び証拠(甲1,乙38)によれば,第一次監査請求の対象は平成13年8月20日から平成14年8月19日までのB教諭に対する給与及び旅費支出及び同支出の返還を求めること等であり,第二次監査請求の対象は,平成14年3月20日から平成15年3月19日までのB教諭に対する給与及び旅費支出及び同支出の返還を求めること等となっていることが認められる。 そうすると,第一次監査請求と第二次監査請求は対象とする財務会計行 為及び怠る事実が同一であるというべきである。 同一性の認められる範囲については,第一次監査請求と第二次監査請求とが重なる平成14年3月20日から同年8月19日までとなる。 ウそうすると,原告Hらは,第二次監査請求中平成14年3月20日から同年8月19日までの期間については重ねて監査請求をすることは許されないので,同期間については第一次監査請求により勧告の内容の通知があった同年10月18日ころ(乙38,39)から30日以内に訴えを提起しなければならない(地方自治法242条の2第2項1号)ところ,本件訴訟はその期間を徒過した後になされたものである。 したがって,原告Hらの,平成14年3月20日から同年8 から30日以内に訴えを提起しなければならない(地方自治法242条の2第2項1号)ところ,本件訴訟はその期間を徒過した後になされたものである。 したがって,原告Hらの,平成14年3月20日から同年8月19日までの期間に関する本件訴えは不適法であり却下されるべきである。 (2) 第二次監査請求と本件訴訟(怠る事実の部分)との同一性についてア証拠(甲1)によれば,第二次監査請求書において,原告らは,平成12年4月から平成15年3月ころまでのB教諭の出張状況等を指摘し,B教諭に給与や旅費を支出することが違法であると指摘し,既に支出した給与,旅費について,「県教委委員,教育長,α校長,B教諭らが支出相当額を県に返還することをもとめること」を勧告されたいと記載していることが認められる。 そうすると,原告らは,上記「支出相当額を県に返還することをもとめること」との記載によって,県の有する損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権を怠る事実に係る相手方に対し行使することを監査請求の直接の対象にしているといえる。 イ他方,本訴の主位的請求(怠る事実の部分)は,平成14年3月20日から平成15年3月19日までの間,B教諭に支払われた給与,旅費について,被告が,相手方らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権を行使することを求めるものである。 したがって,第二次監査請求の対象となった財務会計行為と本件訴訟の対象である財務会計行為は,いずれも被告の相手方らに対する損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権の行使を怠る事実であって,同一性が認められる。 したがって,被告らの主張は理由がない。 (3) Cらに関する訴えについてア住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査 られる。 したがって,被告らの主張は理由がない。 (3) Cらに関する訴えについてア住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ていると認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異なる者を相手方として同措置の内容と異なる請求をすることも,許されると解すべきである(最高裁平成10年7月3日第二小法廷判決・裁集民189号1頁参照)。 イこれを本件についてみると,前判示のとおり,第二次監査請求と本件訴訟とは対象において同一性が認められるから,怠る事実の相手方が監査請求におけるものと異なるからといって,本件訴えが監査請求前置の要件に欠けるということはできず,Cらに関する本件訴えは適法というべきである。 本案に関する認定事実前記前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 福岡県と本件各団体との関係についてア県教委は,昭和36年,同和教育の組織的,計画的推進を目的として策定した「同和教育5か年計画」において,県同教に対して昭和37年から補助金を交付するとともに,県同教とともに各種事業を開催するようになった。 昭和45年に策定した「福岡県同和教育基本方針」及び平成9年に策定した「今後の同和教育推進について-指針-」においても,同和教育研究 団体の育成に努める必要性を確認し,育成すべき同和教育研究団体として県同教及び高同教が挙げられている。そして,県同教へは,B教諭を含め複数の教職員が長期研修という形で派遣されていた(甲13の2,甲34)。 イ県教委は,全同教についても,全同教の研究活動が,小・中学校や高等学校の教員が各学校で行う教育活動と密接に関わるものであり,福岡県の同和教育,人権教育を推進していく上で極めて有益な活動となっていると 県教委は,全同教についても,全同教の研究活動が,小・中学校や高等学校の教員が各学校で行う教育活動と密接に関わるものであり,福岡県の同和教育,人権教育を推進していく上で極めて有益な活動となっているとの認識を持ち,平成4年に福岡県で開催された全同教主催の研究大会には,福岡県から大会開催費として1000万円を補助したり,全同教主催の研修会に教職員を参加させるなどしている(甲13の2,乙33)。 ウそうすると,福岡県は,本件各団体を県政推進のため育成を要する公益を目的とする団体として扱っていたといえる。 (2) B教諭と本件各団体との関係についてア総論B教諭は,昭和49年,県教委により高校の教諭として採用された。 そして,昭和52年αに転勤し,昭和56年に同和教育推進教員に任命されたころから,同和教育に積極的に関与することになった。 B教諭は,全同教については平成9年6月に委員長に就任し,県同教については平成8年に副会長に就任し,高同教については同年5月から平成10年5月までは会長,同年5月以降は副会長に就任するなど,本件各団体の役員を長年勤めていた。 本件期間についてみると,県同教と高同教については副会長,全同教については委員長を勤めていた(甲11,25,26,34,乙34,証人B)。 イ平成元年度から平成11年度までのB教諭B教諭は,平成元年度から平成11年度まで,長期研修名目でαから県 同教へ派遣されていた。 上記期間中は県同教の事務局を中心に活動しており,αでの授業の担当等はしていなかった。また,同期間中は,何らかの用件があってαに立ち寄ることはあっても,普段同校に立ち寄ることはなかった(甲11,乙34,証人B)。 ウ平成12年度から平成14年12月までのB教諭(ア) 出張先(本件各団体)での活動B教諭は,平成12年度以 ち寄ることはあっても,普段同校に立ち寄ることはなかった(甲11,乙34,証人B)。 ウ平成12年度から平成14年12月までのB教諭(ア) 出張先(本件各団体)での活動B教諭は,平成12年度以降はαの現場へ戻り,本件各団体への派遣は,A校長の出張命令に従う形で行われた。 B教諭が出張命令の形で本件各団体へ派遣された日数は,平成12年1月から同年12月までの間に174日,平成13年1月から同年12月までの間に204日,平成14年1月から同年12月までの間に153日,平成15年1月から同年3月19日までの間に1日である。 なお,A校長は,平成12年度もα校長の地位にあり,その頃からB教諭に対して出張命令を発していた。 B教諭の本件派遣先は,本件各団体の事務局ないし本件各団体の主催する学習会等が多く,活動内容のほとんどは本件各団体の役員としての活動であった(甲2及び3の各1ないし3,甲35の2,甲40)。 (イ) αでの活動B教諭は,平成12年度以降はαに戻り,出張命令によって本件派遣が行われたことから,平成12年3月以前と比較すれば学校における活動も多くなった。 すなわち,B教諭は出張していない日時においてはαに出勤し,校務分掌として人権・同和教育を担当した。人権・同和教育担当教諭としての具体的活動には,ホームルーム等で行う人権学習のカリキュラムの作成,職員研修の企画等があり,ホームルーム学習を担当する複数の教員 の一人として教壇に立つこともあった。また,同年4月から部活動である「部落解放研究会」及び「朝鮮文化研究会」の顧問を務めた。もっとも,授業及びクラスは担当しなかった(乙34,47,証人B)。 (ウ) 平成14年7月2日分及び同年9月25日分の出張について証拠(甲3の3の平成14年7月2日分の出張命令書)によれば,同日出張の も,授業及びクラスは担当しなかった(乙34,47,証人B)。 (ウ) 平成14年7月2日分及び同年9月25日分の出張について証拠(甲3の3の平成14年7月2日分の出張命令書)によれば,同日出張の訪問先が福岡県立δ高等学校,用務内容が人権教育校内研修であったことが認められるところ,上記訪問先及び用務内容に照らせば,B教諭は本件各団体の役員として出張したものではないというべきである。 また,証拠(甲3の3の同年9月25日分の出張命令書)によれば,同日出張の訪問先が福岡県ε庁舎3階会議室,用務内容が新規高卒者の進路保障に関する学習会であったことが認められるところ,上記訪問先及び用務内容に照らせば,B教諭は本件各団体の役員として出張したものではないというべきである(以下,本件各団体の役員として出張していないことについて当事者間に争いのない平成14年8月27日分並びに上記判示の同年7月2日分及び同年9月25日分の各出張を併せて「本件役員以外での出張」という。)。 エ平成15年1月以降のB教諭(ア) 本件各団体における活動平成15年1月以降,B教諭は職免の手続を経て全同教に派遣されていた。全同教では,委員長として活動をしていた(乙34,証人B)。 (イ) αでの活動同時期は監査委員の勧告を受けた後であり,同月以降同年3月までは,他の教諭と共にティームティーチングによって,2年生の国語科(古典)を担当し,生徒に対する授業を行った。 同年4月から平成16年3月までは,2年生と3年生の国語の授業を 週12時間担当するとともに,部活動の顧問等も勤めた(甲11,乙34,39,40,証人B)。 (3) 上記(2)のB教諭の活動に関連する県教委事務局等の動きア平成元年度から平成11年度までの動き長期研修員の選考決定は,同和教育課で行い,教育振興部 甲11,乙34,39,40,証人B)。 (3) 上記(2)のB教諭の活動に関連する県教委事務局等の動きア平成元年度から平成11年度までの動き長期研修員の選考決定は,同和教育課で行い,教育振興部長の承認を得てなされていた(弁論の全趣旨)。 イ平成12年度へ向けた動き及び当時の県教委の認識(ア) 平成12年度の配置及び同和教育課長の認識上記のとおり長期研修は平成12年3月まで行われたが,B教諭については,同和教育課での検討の結果,同月をもって終了した。もっとも,その後も,他の教職員は県同教へ研修名目で派遣された。 当時の同和教育課長Oは,B教諭が同年1月当時,県同教の副会長,高同教の副会長,全同教の会長をしていたこと及び今後も役員の地位にあるであろうことを認識していた。そして,B教諭については,長期研修が終了し学校現場に戻った後も本件各団体での活動を遂行することが県の同和教育推進上必要であると考えていた。そして,引き続き役員としての活動を行うことで,学校現場に影響が及びうることから追加配当要求をすることとした(証人O(以下「証人O」という。))。 (イ) 平成12年度の追加配当の実施a追加配当の内部での決裁過程平成12年度から平成14年度にかけて行われた本件配置については,県教委事務局が関与していた。 具体的な手続としては,まず,同和教育課長が,教職員課長に対して,αの定数加配の必要性に関する書面を提出し,これを受けて教職員課で教職員定数の必要性を検討し,教職員課長が必要であるとの判断をして教育企画部長に決裁を上げ,追加配当の専決権者である教育 企画部長が決裁することになる(甲13の2ないし4,証人O)。 b平成12年度の配置について平成12年1月20日,同和教育課長Oから教職員課長に「α高等学校に定数加配について(依頼 ある教育 企画部長が決裁することになる(甲13の2ないし4,証人O)。 b平成12年度の配置について平成12年1月20日,同和教育課長Oから教職員課長に「α高等学校に定数加配について(依頼)」と題する書面が提出された。同書面には,本件各団体が福岡県の人権・同和教育を推進していく上で極めて有益な活動をしており,育成を要する団体であるところ,B教諭は本件各団体の役員を務めることになっているので,その役員としてのB教諭の業務を支援するため,αに定数加配をお願いすると記載されていた。同書面を受けて,教職員課で必要性を検討し,教職員課長において本件配置が必要であると判断した後,教育企画部長が本件配置を認める内容の決裁をした(甲13の2,証人O)。 (ウ) 同和教育課長のA校長及びB教諭に対する内示本件配置が県教委事務局で決定された後である平成12年3月ころ,同和教育課長は,A校長に対して,人事異動内示を行った。その際,同和教育課の担当職員は,A校長に対し,B教諭の県同教における長期研修が,平成11年度末をもって終了すること,ただし,B教諭には,全同教や県同教の役員として,職責を果たしてもらいたいと考えていること及びαには,学校教育活動に支障をきたさないように教員定数が配当されるので,よろしくお願いしたい旨説明した。A校長は,B教諭の同和教育への取組を認識していたので,同和教育課の職員からの上記話を諒解した。 また,このころ,Oは,B教諭に対しても,県同教における長期研修は平成11年度末をもって終了するが,引き続き,同和教育推進のために,それぞれの団体の役員として尽力して欲しい旨伝えた(乙34,35,証人O,同B)。 ウ平成12年度から平成14年12月ころまでの県教委事務局等の動き (ア) 平成13年度及び平成14年度の追加配当 ぞれの団体の役員として尽力して欲しい旨伝えた(乙34,35,証人O,同B)。 ウ平成12年度から平成14年12月ころまでの県教委事務局等の動き (ア) 平成13年度及び平成14年度の追加配当について本件期間のうち,平成14年3月20日から同月31日までの期間については(平成13年度),平成13年1月25日,同和教育課長Cから教職員課長Eに前記と同様の内容の依頼文書が提出され,教職員課で必要性を検討し,教職員課長が必要であるとの判断をして教育企画部長に決裁を上げ,同年2月7日,教育企画部長Dが決裁した。 本件期間のうち,平成14年4月1日から平成15年3月19日(平成14年度)までの期間については,平成14年1月31日,同和教育課長Gから教職員課長Cに前記と同様の内容の依頼文書が提出され,教職員課で必要性を検討し,教職員課長が必要であるとの判断をして教育企画部長に決裁を上げ,同年2月8日,教育企画部長Fが決裁した。 上記各決裁を経て,B教諭の,平成13年度から平成14年度の追加配当が実現した(甲13の3,4)。 (イ) 本件出張命令についてB教諭は,前記記載のとおりαに配置(本件配置)された上で,さらに本件出張命令に従う形で,本件各団体へ派遣された。 本件出張については,まず,本件各団体がA校長に対してB教諭の派遣を依頼していた。全同教への派遣についてみると,全同教の委員長であったB教諭が,A校長に対して自身の全同教への派遣を依頼するという状況であった。 出張の手続としては,出張者であるB教諭が,出張命令書に出張期間,用務地,用務内容,出張方法などを自筆してA校長に申請し,A校長はこれを受けて,B教諭に対して出張命令を発し,B教諭がこれに従って出張するというものであった(甲3の1ないし3,甲6,乙34)。 エ第一次監査請求及び監 張方法などを自筆してA校長に申請し,A校長はこれを受けて,B教諭に対して出張命令を発し,B教諭がこれに従って出張するというものであった(甲3の1ないし3,甲6,乙34)。 エ第一次監査請求及び監査委員の勧告内容(ア) 原告Hらによる第一次監査請求 原告Hらは,前記前提事実のとおり平成14年8月19日付けで第一次監査請求を行った。 (イ) 福岡県監査委員による勧告原告Hらが行った第一次監査請求を受け,福岡県監査委員は,県教委委員長に対し,平成14年10月18日,「平成13年度,平成14年度のB教諭に対する出張命令に関して,一部不適切な事務処理がなされていたと判断される。県の職務以外に従事させる場合は,兼業従事の承認や職務に専念する義務の免除等の手続を行った上で,B教諭の本件出張命令のあり方を平成14年12月17日までに見直すように」勧告した(乙39)。 (ウ) 監査結果を受けた県教委の措置これを受けて,県教委委員長は,平成14年12月16日,県監査委員に対し,B教諭の全同教委員長としての役員業務に関して兼業従事の承認及び職免の手続を行うこと等を通知した(乙40)。 オ平成15年1月以降(ア) 職免についてB教諭は,平成15年1月以降,職免を得て全同教へ派遣された。 具体的には,平成14年12月,B教諭が,全同教委員長として兼業申請をA校長に対して行い(なお,前記前提事実のとおり,兼業の承認は職免の要件である。),その承認を得た。 平成15年1月ころから,B教諭が全同教の委員長として,A校長に対して職免の申請をし,その都度,A校長が職免の承認をした。事務手続としては,全同教へ派遣される当日までにB教諭が申請し,その日のうちに「休暇等届・承認簿」によるA校長の承認を経て全同教に派遣されていた。B教諭の申請した職免について,A校 免の承認をした。事務手続としては,全同教へ派遣される当日までにB教諭が申請し,その日のうちに「休暇等届・承認簿」によるA校長の承認を経て全同教に派遣されていた。B教諭の申請した職免について,A校長が拒否することはなかった(甲37の9,乙34,41,証人B)。 (イ) B教諭の職免状況B教諭は,全同教役員として仕事をする場合についてのみ職免の承認を得ており,県同教役員として仕事をする場合については職免を得ることはなかった(証人B)。 カ本件各団体への派遣の中止B教諭の本件各団体への派遣は,平成15年5月ころ中止された(弁論の全趣旨)。 (4) 県教委の行う会議について県教委は定例会ないし臨時会において,発議事項を審議する。 県教委の会議は,1か月に1回定例会(福岡県教育委員会会議規則2条)が,概ね1か月に1回臨時会がそれぞれ開催されている。県教委委員の職務は,これらの会議に出席し,福岡県教育委員会の事務委任等に関する規則3条1項に定められた県教委議決事項について権限を行使することである。 県教委の会議では,県立学校教職員の人事についても審議を行うが,県立高校の教職員定数に関する付議事項,報告事項は,次年度の教職員の総定数に関すること等にとどまり,個別の学校ごとの定数,配置については付議事項,報告事項とならない。 なお,B教諭の本件配置は,αへの追加配当という,個別の学校ごとの配置に関する事項である(乙32の1ないし4,33,証人O,弁論の全趣旨)。 本件各手続の違法性(1) 本件出張命令についてア教育委員会は,公務を遂行するために合理的な必要性がある場合には,その裁量により,職員に対して出張命令を発することができるが,上記裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときは,当該出張命令は違法となるというべきである。このことは,出 めに合理的な必要性がある場合には,その裁量により,職員に対して出張命令を発することができるが,上記裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときは,当該出張命令は違法となるというべきである。このことは,出張命令が教育委員会から委任を受けるなど してその権限を有するに至った職員により発せられる場合にも,同様に当てはまるものと解される(最高裁平成17年3月10日第一小法廷判決・判例時報1894号3頁参照)。 本件は,前記前提事実のとおり,県教委から委任を受けて高等学校校長が出張命令を発する権限を有している。 イそこで本件についてみるに,前記認定のとおり,本件出張は,本件各団体の事務局ないし本件各団体主催の学習会等への派遣であり,その出張回数及び出張時間も相当程度に上ることからすれば,B教諭は,本件出張によって,本件各団体の役員の立場で,本件各団体の運営に携わっていたと認められる。 そして,前記前提事実のとおり,本件各団体は,いずれも民間の研究団体であるところ,民間団体である本件各団体の運営は公務とはいえないから,本件出張命令は,上記裁量権の範囲を逸脱するものであって,違法である。 (2) 本件配置についてア本件配置の目的(ア) 本件配置依頼時の状況前記認定のとおり,本件配置は同和教育課長の依頼文書をもとに教職員課において検討が行われ,教職員課長が判断し,教育企画部長が決裁していたが,同和教育課長の依頼文書には,B教諭の本件各団体の役員としての業務を支援するため,定数加配をお願いすると記載されていた。 そして,本件配置を依頼した同和教育課は,上記の本件配置の趣旨をαのA校長に伝えるとともに,B教諭に対しては,引き続き本件各団体の役員として尽力して欲しい旨伝え,これを受けて,B教諭が出張命令を申請し,A校長が出張命令を発することにより,本 の本件配置の趣旨をαのA校長に伝えるとともに,B教諭に対しては,引き続き本件各団体の役員として尽力して欲しい旨伝え,これを受けて,B教諭が出張命令を申請し,A校長が出張命令を発することにより,本件各団体にB教諭が派遣された。 (イ) αにおけるB教諭の職務遂行状況前記認定のとおり,B教諭は,αでは,人権・同和教育担当教諭とされていたが,クラスを担当することはなく,ホームルーム等での活動を補助したり,平成15年1月からは,ティームティーチングを担当するにすぎなかった。 そうすると,本件配置が本件各団体への派遣以外の目的を有していたことを伺わせる事情はないといわざるを得ない。 (ウ) 本件配置の目的以上のとおりの本件配置を依頼した際の状況及びαにおけるB教諭の職務遂行状況並びに前記認定のとおりの本件各団体への出張による派遣状況及び本件各団体での活動状況によれば,本件配置の目的は,出張命令を発する方法によって,B教諭を本件各団体へ派遣し,本件各団体の運営に携わせることにあったものと認められる。 なお,付言するに,上記認定のとおり,本件配置は,当初から,出張命令を発する方法でB教諭を本件各団体へ派遣する目的でなされたものと認められるが,平成13年度及び平成14年度については,前年度までの本件配置による出張命令の方法による派遣を踏襲する形でなされているので,本件配置が出張命令の方法による派遣の目的でなされたことは明らかであるといえる。 イ本件配置の違法性そうすると,前記のとおり,出張命令を発する方法によってB教諭を本件各団体へ派遣して,本件各団体の運営に携わせることは違法であるから,このことを目的としてなされた本件配置は不法行為上の違法性を有するといえる。 (3) 本件職免についてア職免規則2条10号及び福岡県職員給与条例施行 件各団体の運営に携わせることは違法であるから,このことを目的としてなされた本件配置は不法行為上の違法性を有するといえる。 (3) 本件職免についてア職免規則2条10号及び福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1 号の解釈前記前提事実のとおり,本件職免は,職免規則2条10号の「県政推進のため指導育成を要する公益を目的とする団体の非常勤の役員となり,その職務に従事する場合」に当たるものとしてなされている。また,福岡県給与条例14条,福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号に基づいて,本件職免時間について給与額が減額されなかった。 しかしながら,条例に特別の定めのある場合には職務専念義務が免除される(地方公務員法35条)といっても,条例及びその委任を受けた規則で定めれば,いかなる場合でも職務専念義務が免除されるというものではなく,自ずから職務に専念すべき義務を定める地方公務員法35条や服務の根本基準を定める同法30条の趣旨の範囲内で職務専念義務は免除されるべきであり,また,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件は条例で定める(同法24条6項)といっても,条例及びその委任を受けた規則で定めれば,いかなる場合でも給与が支給されるというものではなく,自ずから給与の根本基準を定める同条1項の趣旨の範囲内で給与が支給されるべきである(最高裁平成10年4月24日第二小法廷判決・裁集民188号275頁,最高裁平成16年3月2日第三小法廷判決・判例時報1870号8頁,最高裁平成16年1月15日第一小法廷判決・民集58巻1号156頁参照)。 したがって,条例及びその委任を受けた規則において,地方公務員法35条や同法30条の趣旨に反する職務専念義務免除規定や同法24条1項の趣旨に反する給与支給規定が定められた場合には,その規定は法律に反するも て,条例及びその委任を受けた規則において,地方公務員法35条や同法30条の趣旨に反する職務専念義務免除規定や同法24条1項の趣旨に反する給与支給規定が定められた場合には,その規定は法律に反するものとして効力を有しないし,文理解釈すれば上記各法条の趣旨に反する場合が生じる可能性のある規定が定められた場合には,上記各法条の趣旨に従って合理的に限定解釈されるべきである(最高裁昭和53年12月21日第一小法廷判決・民集32巻9号1723頁参照)。 そうすると,職免規則2条10号及び福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号を適用するに当たっては,「県政推進のため指導育成を要する公益を目的とする団体の非常勤の役員となり,その職務に従事する場合」には,いかなる場合でも職務専念義務が免除できるとともに,その職務専念義務が免除された時間については給与額が減額されないと文理どおりに解釈したならば,地方公務員法24条1項,30条,35条の趣旨に反する場合が出てくることは明らかであるから,上記の場合であっても,上記各法条の趣旨に反する場合には,職免規則2条10号,福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号を適用できないと,これを合理的に限定解釈すべきである。 イ本件職免の違法性以上の観点から本件をみると,前記認定のとおり,B教諭は,公益を目的とする団体の非常勤の役員として,その職務に従事していたが,このような場合には,本件派遣の目的,全同教の性格及び具体的な事業内容並びにB教諭が従事した職務の内容のほか,派遣期間等諸般の事情が総合考慮された上で,本件職免をすること及びこれに対し給与を減額しないことが地方公務員法24条1項,30条,35条の趣旨に反しないか否かが検討されて,職免規則2条10号及び福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号の 件職免をすること及びこれに対し給与を減額しないことが地方公務員法24条1項,30条,35条の趣旨に反しないか否かが検討されて,職免規則2条10号及び福岡県職員給与条例施行規則12条の38第1号の適用の可否が決まる(前掲最高裁平成10年4月24日第二小法廷判決)から,その結果,本件職免及び本件職免時間について給与額が減額されなかったことが,地方公務員法24条1項,30条,35条の趣旨に反する違法なものになる可能性がある。 しかしながら,仮に本件職免が違法なものであったとしても,後記4(3)判示のとおり,本件職免に関わった相手方らには故意又は過失が認められず,いずれにしても不法行為は成立しないので,上記検討を行って違法性の有無を判断することはしないこととする。 本件各手続に関与した者の不法行為の成否前述のとおり,本件各手続はいずれも違法であるが,次に,本件各手続に関与した者らが不法行為責任を負うのかについて,個々に検討する。 (1) 主観的要件について被告は,地方自治法243条の2及び国家賠償法1条2項の趣旨からすると,地方公務員の職務行為がその所属する地方公共団体に対する不法行為を成立させるためには,当該職務の遂行が故意又は重過失のあるときに限定されるべきであると主張する。 しかしながら,国家賠償法1条2項は,公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについて,国民に損害を与えた場合の規定であって,その場合は,当該公務員が直接当該国民に対して損害賠償責任を負うことはなく(最高裁昭和30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁参照),故意又は重過失がある場合に,国又は公共団体が当該公務員に対し求償権を取得することを定めたものであり,同じく公務員がその職務を行うについて国民に損害を与えた場合であっても,公権力の行使に当た 照),故意又は重過失がある場合に,国又は公共団体が当該公務員に対し求償権を取得することを定めたものであり,同じく公務員がその職務を行うについて国民に損害を与えた場合であっても,公権力の行使に当たらない職務を行うについて国民に損害を与えた場合は,原則どおり,民法709条の規定に従って,故意又は過失がある場合に,直接,当該国民に対して損害賠償責任を負うことになる。 また,地方自治法243条の2は,同条1項所定の財務会計職員が同項所定の財務会計行為をした場合の,普通地方公共団体に対する損害賠償責任について定めたものであるが,これにつき,同項は,保管に係る現金を亡失したときは,故意又は過失があったときに損害賠償責任を負い,その余の同項所定の財務会計行為をしたときは,故意又は重過失があったときに損害賠償責任を負うと定めている。 このように,国家賠償法1条2項及び地方自治法243条の2は,それぞれ,一定の範囲の公務員の職務行為の特殊性に鑑み,その損害賠償責任が発 生する要件及び相手方について,個別に定めたものであって,しかも,地方自治法243条の2が,保管に係る現金を亡失したときは故意又は過失を要件とする旨定めていて,対象とするすべての財務会計行為について故意又は重過失を要件としていないことをも考慮すれば,これらの規定を直ちに類推適用して,非財務会計職員の職務行為がその所属する地方公共団体に対し損害を与える場合は,故意又は重過失のあるときに限って,損害賠償責任が発生すると解することはできない。 そうすると,国家賠償法1条2項及び地方自治法243条の2の適用のない公務員の職務行為の損害賠償責任については,原則どおり民法が適用されるので,非財務会計職員の職務行為がその所属する地方公共団体に対し損害を与えた場合の不法行為責任については,民法70 2の適用のない公務員の職務行為の損害賠償責任については,原則どおり民法が適用されるので,非財務会計職員の職務行為がその所属する地方公共団体に対し損害を与えた場合の不法行為責任については,民法709条等に従い,故意又は過失が存するときに損害賠償責任を負うことになる(最高裁昭和61年2月27日第一小法廷判決・民集40巻1号88頁参照)。 なお,付言するに,地方自治法243条の2の適用のない地方公務員の職務行為の中にも,故意又は重過失のあるときに限って,所属する地方公共団体に対し損害賠償責任が発生すると定めた方が妥当な職務行為の存在する可能性はあるが,地方公務員のいかなる職務行為について,上記のように定めるかは,結局,それぞれの職務行為の内容に応じて,立法府が個別に決すべきものである。 また,被告引用の最高裁判決が,被告主張のような判示をしていないことは,同判決の内容からして明らかである。 以下,上記見解に立って,判断する。 (2) 本件出張命令についてア本件出張命令と本件給与支出,本件旅費支出との相当因果関係について(ア) 本件出張命令と本件旅費支出との関係本件出張命令は,本件旅費の支出負担行為及び支出命令の先行行為で あり,また本件旅費支出と直接の関係があるから,本件出張命令と本件旅費支出との間には相当因果関係がある。 (イ) 本件出張命令と本件給与支出との関係本件出張命令がなければ,本件出張期間は欠勤扱いとなって,前記前提事実のとおり,給与は減額されることになるから,本件出張命令と上記減額される給与支出との間には相当因果関係が認められる。 その余の本件給与支出については,本件出張命令と相当因果関係がない。 イ本件出張命令に関与した者の不法行為責任の有無(ア) A校長A校長は,本件出張命令を発した当人であるところ,前記認定事 る。 その余の本件給与支出については,本件出張命令と相当因果関係がない。 イ本件出張命令に関与した者の不法行為責任の有無(ア) A校長A校長は,本件出張命令を発した当人であるところ,前記認定事実によれば,A校長は本件出張命令がB教諭を本件各団体へ派遣してその運営に携わせるためのものであることについて認識していたと認められるから,A校長には過失が認められる。 なお,被告は,「ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立して疑義を生じ,拠るべき明確な判例,学説がなく,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても一応の論拠が認められる場合に,公務員がその一方の解釈に立脚して公務を執行したときは,後にその執行が違法と判断されたからといって,ただちに上記公務員に過失があったものとすることは相当でない」との最高裁昭和49年12月12日第一小法廷判決を引用した上で,本件各手続は,人権・同和教育推進の行政施策に従って,法令の範囲内で,適法な手続を経て行われたものであるから,過失はないと主張する。しかしながら,前記のとおり,出張命令は公務を遂行するために合理的な必要性がある場合に発することができるものであって,当該公務を遂行するために出張が必要であるか否かといった判断については裁量権が認められるが,民間団体の運営を行う といった公務以外の目的で出張命令を発することができないことは,出張命令の性質上明らかであるから,本件出張命令が法令の範囲内で適法な手続を経て発せられたとはいえず,また,仮に,民間団体の運営を行うといった公務以外の目的で出張命令を発することができるとの見解があったり,そのような実務上の取扱いがなされていたとしても,その見解や取扱いには一応の論拠もないから,被告の上記主張を採用することはできない。 したがって,A校長は 令を発することができるとの見解があったり,そのような実務上の取扱いがなされていたとしても,その見解や取扱いには一応の論拠もないから,被告の上記主張を採用することはできない。 したがって,A校長は不法行為責任を負う。 (イ) B教諭B教諭は,前記認定のとおり,出張命令書に用務地,用務内容等を記載して,本件出張命令を発するようA校長に申請している。そうすると,B教諭の同申請に基づいて本件出張命令は発せられているのであるから,B教諭の同申請と本件出張命令による本件旅費支出及び本件給与支出中欠勤扱いとなった場合の減額分との間には相当因果関係が認められる。 また,前記認定事実によれば,当然のことながら,B教諭は本件出張が,公務ではない,本件各団体の事務局もしくは本件各団体主催の学習会等での本件各団体役員としての業務を遂行するためのものであったことを知っていたから,過失がある。 したがって,B教諭も不法行為責任を負う。 (3) 本件職免について前判示のとおり,本件職免については,違法性が認められる可能性がある。 しかしながら,前記認定のとおり,本件職免は職免規則2条10号の「県政推進のため指導育成を要する公益を目的とする団体の非常勤の役員となり,その職務に従事する場合」に当たるものとしてなされているところ,福岡県は,本件各団体を県政推進のため育成を要する公益を目的とする団体として扱っており,B教諭がその非常勤の役員となって,その職務に従事するため に本件職免がなされたのであるから,本件職免は,文理どおりに解釈すれば,職免規則2条10号に適ったものといえる。また,本件職免は第一次監査請求の勧告に基づき行われている。 そうすると,本件職免に関わったA校長及びB教諭としては,本件職免の申請及び承認を行うことが法令に適合すると考えることは無理からぬこ える。また,本件職免は第一次監査請求の勧告に基づき行われている。 そうすると,本件職免に関わったA校長及びB教諭としては,本件職免の申請及び承認を行うことが法令に適合すると考えることは無理からぬことであり,A校長及びB教諭には過失はないというべきである。 (4) 本件配置についてア本件配置と本件給与支出,本件旅費支出との因果関係について(ア) 本件配置と本件旅費支出との関係前記認定のとおり,本件配置は,出張命令を発する方法によってB教諭を本件各団体へ派遣する目的でなされたものであり,これに従って,A校長は,本件出張命令を発したのであるから,本件配置と本件出張命令,ひいては,本件旅費支出との間に相当因果関係が認められる。 (イ) 本件配置と本件給与支出との関係上記認定のとおり,本件配置と本件出張命令との間には相当因果関係が認められるので,本件配置と本件出張期間が欠勤扱いとなった場合に減額される給与支出との間には相当因果関係が認められる。 しかしながら,前記認定のとおり,B教諭は,出張していない日時についてはαに出勤して,人権・同和教育担当教諭等として教務を行っていたから,本件出張期間以外の期間に相当する給与支出は,適法に支出されたものであったというべきである。 (ウ) 本件配置と本件職免期間に相当する給与との関係前記認定のとおり,本件配置は,出張命令を発する方法によってB教諭を本件各団体へ派遣する目的でなされたものであるところ,この本件派遣方法は,監査委員の勧告によって取りやめられ,その後は,同勧告によって,職免による本件派遣方法に切り替えられたのであるから,本 件職免期間に相当する給与支出額と本件配置との相当因果関係は認められないというべきである。 (エ) 本件配置と年度をまたいだ本件給与支出,本件旅費支出との因果関係につい られたのであるから,本 件職免期間に相当する給与支出額と本件配置との相当因果関係は認められないというべきである。 (エ) 本件配置と年度をまたいだ本件給与支出,本件旅費支出との因果関係について原告らは,本件配置に関わった者は,その後の各年度に発生した本件給与支出及び本件旅費支出のすべてについて不法行為責任を負うと主張する。 しかしながら,そもそも,本件配置は,前記認定のとおり,各年度ごとに決定されるものであるから,特段の事情がない限り,各年度の本件配置に関わったにすぎない者が,当該年度を越えて他の年度の本件配置によって発生した損害について不法行為責任を負うことはないというべきである。 この点,原告らは,平成12年度の本件配置に関わった相手方について,その後の違法な配置の枠組みを作出したこと及びその後本件配置を是正しなかったことを根拠に,本件給与支出及び本件旅費支出のすべてについて不法行為責任があると主張するが,本件配置が各年度ごとに決定されるものであることからすると,平成12年度に本件配置がなされたからといって,その後の年度にも本件配置がなされるとは限らず,また,平成12年度の本件配置に関わったにすぎない相手方に,平成13年度以降の本件配置を是正すべき義務はなく,原告らの主張する事由は上記特段の事情に当たらないというべきである。 よって,各年度の本件配置に関わったにすぎない者が,当該年度を越えて他の年度の本件配置について不法行為責任を問われることはないというべきである。 イ本件配置に関与した者の各行為と本件給与支出,本件旅費支出との因果関係について (ア) 教育企画部長教育企画部長の本件配置の決裁行為と本件給与支出(本件出張期間が欠勤扱いとなった場合に減額される給与支出分)及び本件旅費支出(以下,両者を併せて「本件 因果関係について (ア) 教育企画部長教育企画部長の本件配置の決裁行為と本件給与支出(本件出張期間が欠勤扱いとなった場合に減額される給与支出分)及び本件旅費支出(以下,両者を併せて「本件損害」という。)との間に相当因果関係が認められることはいうまでもない。 (イ) 同和教育課長同和教育課長は,教職員課長に本件配置を依頼しているが,本件内規によれば,「団体の活動が県立学校の振興に寄与するものと教育庁所管課によって認められるものであること。」が,追加配当の要件となっているし,本件配置は同依頼に基づきなされているから,同和教育課長の依頼行為と本件配置,ひいては本件損害との間に相当因果関係が認められる。 (ウ) 教職員課長教職員課は,教職員の定数,任免,分限,懲戒その他人事に関することを分掌事務としている(福岡県教育庁組織規則15条1号)。本件配置も,人事に関することであって,同課の分掌事務に属するといえるところ,同課長は,同和教育課長の依頼を受け入れて,本件配置を行うとの実質的判断を行って,その決裁を教育企画部長に求めたのであるから,その実質的判断及び決裁を求めた行為と本件配置ひいては本件損害との間には相当因果関係が認められる。 (エ) 教育振興部長教育振興部長は,本件配置に関して,同和教育課から相談を受けることなどはなく(証人O),その他,本件配置に関与する行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,教育振興部長は不法行為責任を負わない。 (オ) 県教委委員長,同委員 県教委は教育長に本件配置に関する事務を委任している者である。この委任によって,教育長に対する指揮監督権限を有する関係にあるが,前記認定のとおり,県教委委員は会議に出席し権限を行使するところ,本件配置を含めた個別の定数配分,配置については会議 いる者である。この委任によって,教育長に対する指揮監督権限を有する関係にあるが,前記認定のとおり,県教委委員は会議に出席し権限を行使するところ,本件配置を含めた個別の定数配分,配置については会議に付議・報告されない関係にある。 また,事実上,本件配置に関与したことや,本件配置によるB教諭の活動状況の報告を受けたり,本件配置及びB教諭の活動を認識しながら,これを容認し続けたことを認めるに足りる証拠もない。 したがって,県教委委員長及び同委員は本件配置に関し何らの不法行為責任を負わない。 (カ) 教育長,教育次長前記前提事実のとおり,本件配置について,県教委は教育長に事務委任し,教育長は教育企画部長に事務委任して,教育企画部長の専決事項となっているところ,平成14年度の本件配置を決定した当時,教育次長であって,平成14年4月に教育長となったNが,教育企画部長その他の者から,本件配置に関し,相談を受けるなどの関与を行ったことや,従前の配置が継続されていることを知悉しながら,それを黙認していたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,教育長及び教育次長は不法行為責任を負わない。 (キ) B教諭B教諭が,本件配置を実施させるよう県教委や県教委事務局に働きかけたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,B教諭は本件配置について関与していない。 ウ故意又は過失について前記認定事実によれば,前記イの(ア)ないし(ウ)の者らは,本件出張命令によりB教諭が公務でない本件各団体へ派遣されて,その運営に携わるこ とを認識していたと認められるから,過失がある。 なお,本件配置は,本件内規に従ってなされているので,その点において,被告の主張について付言するに,本件内規は,教職員が教育関係団体の役員に就任する場合には,必要に応じ時数の追加配当をする がある。 なお,本件配置は,本件内規に従ってなされているので,その点において,被告の主張について付言するに,本件内規は,教職員が教育関係団体の役員に就任する場合には,必要に応じ時数の追加配当をすることができる旨を定めたにすぎず(このことは,別紙甲第38-3号証の4項に照らして明らかである。),本件配置がなしたように,出張命令を発する方法により教職員を民間の教育関係団体の役員として派遣してその運営に携わせることを目的として追加配当することができることまでを定めたものではないから,本件内規に従ってなされたからといって,本件配置は法令の範囲内で適法な手続を経て発せられたとはいえないし,従前の実務上の取扱いに従ってなされたものともいえない。また,仮に,本件配置のように,出張命令を発する方法により教職員を民間の教育関係団体の役員として派遣してその運営に携わせることが可能であるとの見解や実務上の取扱いがあったとしても,その見解や取扱いには一応の論拠もないことは,前記(2)イ(ア)で判示したところと同様であるから,被告の主張を採用することはできない。 各相手方の支払うべき損害賠償金額について(1) 本件配置について不法行為責任を負う相手方らの支払うべき損害賠償金額本件配置は,平成13年度及び平成14年度にまたがるものであるが,前判示のとおり,各年度の本件配置に関わったにすぎない者が当該年度を越えて他の年度の本件配置について不法行為責任を問われることはないので,平成13年度の本件配置に関与した者(当時の教育企画部長D,同和教育課長C及び教職員課長E)については,平成14年3月20日から同月31日までの期間のうち出張期間が欠勤扱いになって減額される給与額12万3418円及び旅費支出額1万8680円の合計14万2098円について,平成14年度の については,平成14年3月20日から同月31日までの期間のうち出張期間が欠勤扱いになって減額される給与額12万3418円及び旅費支出額1万8680円の合計14万2098円について,平成14年度の本件配置に関与した者(当時の教育企画部長F,同和教育課長G 及び教職員課長C)については,平成14年4月1日から平成15年3月19日までの期間のうち出張期間が欠勤扱いになって減額される給与額284万2489円(ただし,本件役員以外での出張期間に相当する給与支出額6万3250円については,損害とならないから除いている。)及び旅費支出額13万3740円(ただし,本件役員以外での出張分の旅費支出額9700円については,損害とならないから除いている。)の合計297万6229円について,それぞれ損害賠償責任を負う。 (2) 本件出張命令について不法行為責任を負う相手方らの支払うべき損害賠償金額A校長及びB教諭は,本件期間の本件出張命令全てに関与しているから,本件出張期間が欠勤扱いになって減額される給与額及び旅費支出額の合計額である311万8327円について損害賠償責任を負う。 (3) 共同不法行為前記認定事実によれば,本件配置及び本件出張命令に関与したものは,客観的に共同の不法行為によって,それぞれの年度の本件損害を発生させたというべきであるから,それぞれの年度の本件損害ごとに,連帯責任を負うことになる。 B教諭に対する不当利得返還請求権の取得について(1) B教諭は,本件期間のうち,本件出張期間に相当する給与及び旅費については損害賠償責任を負うが,本件出張期間及び本件職免期間以外の期間並びに本件職免期間については,前述のとおり不法行為が成立しないので,その部分について不当利得の成否について判断するに,前判示したところによれば,本件出張期間 本件出張期間及び本件職免期間以外の期間並びに本件職免期間については,前述のとおり不法行為が成立しないので,その部分について不当利得の成否について判断するに,前判示したところによれば,本件出張期間及び本件職免期間以外の期間に相当する給与については,法律上の原因があるといえる。 (2) 次に,本件職免期間に相当する給与について不当利得が成立するかを検討するに,B教諭は,本件職免がなされることによって,職務専念義務が免除 されるとともに,職免期間中の給与が全額支払われることになったが,本件職免は行政処分であるから,本件職免が違法で取り消し得べき瑕疵があっても,重大かつ明白な瑕疵がない限り,本件職免は有効であって,本件職免期間中の給与が全額支払われるという本件職免の効果は失われない。 そうすると,前記認定のとおり,本件職免は,文理どおりに解釈すれば,職免規則2条10号に適ったものといえていたし,監査委員の勧告に基づいてなされたものであるから,重大かつ明白な瑕疵があるとはいえない。 したがって,B教諭が本件職免期間の給与を受領したことについては,法律上の原因があり,不当利得は成立しない。 財務会計法規上の違法性(違法に財産の管理を怠る事実)について以上によれば,福岡県は,前記5記載の相手方らに対し,合計311万8327円の不法行為に基づく損害賠償請求権を取得したものと認められる。 そうすると,被告は,地方公共団体の財産を適正に管理して,同債権の取立てに関し必要な措置を採るべき財務会計法規上の義務を負っている(地方自治法138条の2,240条2項,地方財政法8条)。しかるに,弁論の全趣旨によれば,被告は,上記不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っていることが認められる。 この点に関する被告の主張は,独自の考えであって,これを採用することは 方財政法8条)。しかるに,弁論の全趣旨によれば,被告は,上記不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠っていることが認められる。 この点に関する被告の主張は,独自の考えであって,これを採用することはできない。 A校長による違法な旅費の支出について(予備的主張)原告らが,予備的請求として請求しているA校長による違法な旅費の支出金額16万2120円中,15万2420円については主位的請求において認容されたし,本件役員以外での出張分の旅費支出額9700円については,前記認定のとおり,B教諭が本件各団体の役員として出張したものではないから,財務会計法規上の違法性があるとはいえない。 結論 以上によれば,原告らの本訴請求は主文第1項及び第2項の限度で理由があるからこれを認容し,原告Hらの本件訴えのうち平成14年3月20日から同年8月19日までの期間に係る部分は不適法であるからこれを却下し,原告らのその余の請求は理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第3民事部裁判長裁判官一志泰滋裁判官本田能久裁判官三島聖子
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