平成15(わ)663 出入国管理及び難民認定法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年8月28日 神戸地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-6940.txt

判決文本文2,191 文字)

主文 被告人を懲役3年及び罰金40万円に処する。 未決勾留日数のうち,その1日を8000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を,その罰金刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。 別紙目録記載の現金のうち19万5000ペソを没収する。 理由 (犯罪事実)被告人は,バハマ船籍の貨物船A号の機関長であったものであるが,「B」なる男らと共謀の上,営利の目的で,平成15年5月18日(現地時間)から同月21日(同)までの間,フィリピン共和国ダバオ港において,いずれも同国の国籍を有し,入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸する目的を有するCら4名の集団密航者を,順次,同港に停泊中の同船に乗船させて,被告人の使用する船室等に潜伏させ,自己の管理下に置いた上,同船が航行して,同月26日午前5時5分(日本時間)ころ,北緯33度26.4分,東経134度47.6分付近の本邦領海内に到達するまで,上記集団密航者を乗船させ,もって,自己の管理下にある集団密航者を本邦に入らせた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)被告人の判示所為は刑法60条,出入国管理及び難民認定法74条2項,1項に該当するところ,その所定刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役3年及び罰金40万円に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数のうち,その1日を8000円に換算してその罰金額に満つるまでの分をその罰金刑に算入し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予し,被告人が判示犯罪行為の報酬として得た19万5000ペソの現金は,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律13条1項 条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予し,被告人が判示犯罪行為の報酬として得た19万5000ペソの現金は,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律13条1項1号の犯罪収益に該当し,その現金が混和した財産は犯人である被告人以外の者に帰属しないから,同法14条,15条1項本文を適用して没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由) 1 事案の概要本件は,バハマ船籍の貨物船機関長である被告人が,氏名不詳の共犯者と共謀の上,営利の目的で,フィリピン国籍を有する外国人4名を自己の船室等にかくまい,自己の管理下に置いて本邦に入らせたという出入国管理及び難民認定法違反の事案である。 2 量刑上考慮した事情(1) 不利な事情被告人は,専ら金銭目当てに本件犯行に荷担したものであり,このような動機は安易かつ利欲的であって,全く酌量の余地はない。 そして,被告人は,機関長という相応の責任を伴う要職にありながら,本件犯行遂行に当たって重要で必要不可欠の役割を積極的に果たしたもので,その犯行態様も,ほかの船員に察知される可能性が極めて低い自己の船室やエアーコンディションルームに集団密航者4名を巧妙にかくまい,上陸時には我が国の官憲に発見されないよう配慮するなど,かなり悪質である。 また,本件犯行により,集団密航者4名はいったん本邦に上陸を果たしたのであって,出入国の公正な管理を目的とする我が国の出入国管理行政に与えた悪影響は大きく,本件結果も重大である。 加えて,本件犯行の背後には,集団密航を業とする犯罪組織の存在がうかがわれることを併せ考慮すると,本件犯行は我が国の出入国管理秩序の根幹を揺るがすも 響は大きく,本件結果も重大である。 加えて,本件犯行の背後には,集団密航を業とする犯罪組織の存在がうかがわれることを併せ考慮すると,本件犯行は我が国の出入国管理秩序の根幹を揺るがすもので,その違法性は大きい。 以上の事情に照らすと,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。 (2) 有利な事情しかしながら,他方,被告人が本邦に入国させた集団密航者は4名と多数とはいえないこと,集団密航者が本邦に上陸した直後,税関職員に発見され,結果として不法就労の目的を達せずに終わったこと,被告人は,捜査機関に対して進んで本件犯罪事実を申告し,公判段階に至るまで一貫して事実を認め,誠実な反省の情が顕著に認められること,被告人には,本国及び我が国における前科・前歴が一切ないということ,被告人は,本件犯行の発覚により機関長としての職を失うなどの社会的制裁を受けたと認められること,本国に養育すべき妻子がおり,そのためにもまじめに働きたいと述べていることなど被告人にとって有利な事情も認められる。 3 結論そこで,以上諸般の事情を総合して考慮し,被告人に対して,主文の懲役刑及び罰金刑に処し,その懲役刑の執行を4年間猶予することとした。 (求刑・懲役3年及び罰金40万円並びに19万5000ペソの没収)平成15年8月28日神戸地方裁判所第4刑事部裁判長裁判官笹野明義裁判官浦島高広裁判官谷口吉伸別紙目録現金所有者被告人現金保管者神戸拘置所総務部長 D 裁判官谷口吉伸別紙目録現金所有者被告人現金保管者神戸拘置所総務部長 D現金所在場所神戸市北区ひよどり北町2丁目1番所在の神戸拘置所会計課備え付けの金庫内現金額上記金庫内に保管された22万1000ペソ

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る