【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人新崎武外の上告趣意は、要するに、被告人会社に対する本件法人税法違反 被告事件に関し、第一審裁判所は、訴訟指揮の怠慢
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人新崎武外の上告趣意は、要するに、被告人会社に対する本件法人税法違反 被告事件に関し、第一審裁判所は、訴訟指揮の怠慢の結果、著しく審理を遅延させ、 憲法三七条に保障する被告人の迅速な裁判を受ける権利を侵害したものであるから、 このような訴訟手続に基づく第一審判決を維持した原判決は憲法三七条に違反する、 というのである。ところで、記録によると、本件は、第一審金沢地方裁判所で審理 中、検察官の立証がほぼ終了したのち、被告人側の反証段階において、昭和三一年 八月一七日の公判期日外における証拠調を最後として、同四〇年一一月一六日の第 一八回公判期日に至るまで、約九年余の間その審理が中断されていたことは、所論 のとおりであるが、その経過は、次のとおりである。 (一) 金沢地方裁判所は、被告人会社と犯行当時の同会社代表者Aとを共同審 理していたところ、昭和三一年九月二一日弁護人から被告人会社の代表者が起訴当 時のBからAに変更された旨の上申書が提出され、同時にAの病気を理由に同月二 四日の第一八回公判期日の延期申請がなされたため、同裁判所は同月二二日公判期 日を追つて指定するとしたうえ、翌三二年一〇月一六日Aの病気による公判出頭不 能を理由として、刑訴法三一四条一項により被告人会社およびAにつき公判手続を 停止し、じ来被告人側からAの病状につき公判出頭不能である旨の診断書を徴して きたが、同四〇年八月一九日被告人会社とAとの公判手続を分離して被告人会社に つき公判手続停止決定を取り消し、第一八回公判期日を同年一一月一六日と指定し て本件審理を再開したものである。 (二) 被告人会社の代表者は、昭和三二年一月三一日AからCに変更され、同 年二月一六日その旨登記されているが、被告人側は、本件公判手続停止 同年一一月一六日と指定し て本件審理を再開したものである。 (二) 被告人会社の代表者は、昭和三二年一月三一日AからCに変更され、同 年二月一六日その旨登記されているが、被告人側は、本件公判手続停止に際し、異 - 1 - 議を述べていないばかりか、前記の審理再開に至るまで、裁判所に対し右代表者の 変更通知、停止決定の取消ないし公判期日の指定申立など、審理をうながす措置を 全く講じていないことも明らかである。 これら事実関係のもとにおいては、約九年余の本件審理中断は、主に、被告人会 社代表者の病気を理由とする公判手続の停止に起因し、かつ、被告人側に審理の主 導的役割が課せられているその反証段階において生じたものであつて、裁判所が被 告人会社の代表資格の認定を誤つて公判手続を停止しこれを継続していたとしても、 被告人側がもし審理中断により訴訟上の不利益を蒙り、迅速な裁判を受ける権利を 侵害される虞れがあるとするならば、その代表者の変更を通知するなどして右審理 中断を解消する措置をとるべきであるのに、これを漫然と放置していたものと認め られる以上、右審理中断は、もつぱら被告人側の責に帰すべきものであり、かつ、 記録上、被告人側が右のごとき審理中断により訴訟上の不利益を蒙つたものと認め るべき特段の事情も窺われない本件においては、いまだ憲法三七条一項に定める迅 速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとすべきでないことは、 当裁判所の判例(昭和四五年(あ)第一七〇〇号同四七年一二月二〇日大法廷判決・ 刑集二六巻一〇号六三一頁)の趣旨に照らして明らかである。そうすると、本件審 理中断の訴訟手続に基づく第一審判決を維持した原判決に所論の違法はなく、論旨 は理由がない。 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない よつて、同法四〇八条により、 件審 理中断の訴訟手続に基づく第一審判決を維持した原判決に所論の違法はなく、論旨 は理由がない。 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 昭和四八年七月二〇日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 岡 原 昌 男 裁判官 小 川 信 雄 - 2 - 裁判官 大 塚 喜 一 郎 裁判官 吉 田 豊 - 3 -
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